説明

車載カメラ映像提供システム

【課題】車載カメラの映像情報を車両の管理情報としても活用可能(例えば、ドライブレコーダとしても兼用可能)なシステムを提供する。
【解決手段】車載カメラを備える情報提供車両11と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を記憶装置12に蓄積しつつ、第三者の要求に対し、その指定場所に最も近い情報提供車両を捜索しつつ、該当車両の車載カメラの映像情報を情報取得手段14へ伝送するサーバと、を備える。情報提供車両11は、既定の管理事項が成立するとサーバへの送信データにフラグを付ける手段(S13,S14)を備え、サーバは、管理者の要求に対し、その指定する情報提供車両の車載カメラの映像情報をフラグに関係なく情報取得手段13へ伝送する手段(S18→S19)と、第三者の要求に対し、フラグ付きの映像情報の伝送をカットする手段(S18→S20)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載カメラ映像提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載カメラが捉える映像を交通情報としてリアルタイムに配信するシステムが提案される(特許文献1,特許文献2)。
【0003】
このシステムは、車載カメラを備える情報提供車両と、利用者に備えられる情報取得手段と、利用者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両を捜索しつつ該当する情報提供車両の車載カメラが捉える映像情報を要求者(利用者)の情報取得手段に対して伝送する情報配信センタ(サーバ)と、を主体に構成される。
【特許文献1】特開2004−038866号
【特許文献2】特開2003−030201号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムにおいては、利用者へ車載カメラの映像情報をリアルタイムに提供するに過ぎない。この発明は、このような従来技術を踏まえつつ、車載カメラの映像情報を車両の管理情報としても活用可能(例えば、ドライブレコーダとしても兼用可能)なシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、車載カメラ映像提供システムにおいて、車載カメラの出力する映像情報を所定時間毎にID情報,日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に送信する情報提供車両と、第三者に備えられる情報取得手段と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を大容量記憶装置に蓄積しながら、第三者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報を第三者の情報取得手段へ伝送するサーバと、情報提供車両の管理者に備えられる情報取得手段と、を備え、情報提供車両は、既定の管理事項が成立するとその間の映像情報にフラグを付ける手段と、を備え、サーバは、管理者の情報取得手段から映像情報の要求を受けるとその要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、第三者の情報取得手段からの要求に対してはフラグ付きの映像情報の伝送をカットする手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、車載カメラ映像提供システムにおいて、車載カメラの出力する映像情報を複数のコマに区分して所定時間毎にID情報,日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に送信する情報提供車両と、第三者に備えられる情報取得手段と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を大容量記憶装置に蓄積しながら、第三者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報を第三者の情報取得手段へ伝送するサーバと、情報提供車両の管理者に備えられる情報取得手段と、を備え、情報提供車両は、既定の管理事項が成立するとその時点に対応するコマおよびこれを挟む前後の数コマの映像情報にフラグを付ける手段と、を備え、サーバは、管理者の情報取得手段から映像情報の要求を受けるとその要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、第三者の情報取得手段からの要求に対してはフラグ付きのコマ分の映像伝送をカットする手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、車載カメラ映像提供システムにおいて、車載カメラの出力する映像情報を所定時間毎にID情報,日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に送信する情報提供車両と、第三者に備えられる情報取得手段と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を大容量記憶装置に蓄積しながら、第三者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報を第三者の情報取得手段へ伝送するサーバと、情報提供車両の管理者に備えられる情報取得手段と、を備え、情報提供車両は、既定の管理事項が成立するとその間の映像情報にフラグを付ける手段と、を備え、サーバは、管理者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、第三者の情報取得手段からの要求に対してはフラグ付きの映像情報の伝送をカットする手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第4の発明は、車載カメラ映像提供システムにおいて、車載カメラの出力する映像情報を複数のコマに区分して所定時間毎にID情報,日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に送信する情報提供車両と、第三者に備えられる情報取得手段と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を大容量記憶装置に蓄積しながら、第三者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報を第三者の情報取得手段へ伝送するサーバと、情報提供車両の管理者に備えられる情報取得手段と、を備え、情報提供車両は、既定の管理事項が成立するとその時点に対応するコマおよびこれを挟む前後の数コマの映像情報にフラグを付ける手段と、を備え、サーバは、管理者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、第三者の情報取得手段からの要求に対してはフラグ付きのコマ分の映像伝送をカットする手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第5の発明は、第3の発明または/および第4の発明に係る車載カメラ映像提供システムにおいて、サーバは、管理者の情報取得手段から要求を受けると、要求の指定する情報提供車両の、要求の指定する日時に対応する映像情報を大容量記憶装置から抽出して管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第6の発明は、第2の発明〜第5の発明の何れか1つに係る車載カメラ映像提供システムにおいて、情報提供車両は、所定数のフラグ付けを終わると所定時間毎の送信時期に関係なくフラグ付きのコマ分の映像情報をサーバへ緊急送信する手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明または第4の発明においては、第三者(一般利用者)は、条件を指定して映像情報を要求することにより、その条件に合う映像情報を主に交通情報として視聴可能となる。管理者は、条件を指定して映像情報を要求することにより、その条件に合う映像情報を主に管理情報として視聴可能となる。フラグ付きの映像情報については、第三者への伝送がカットされ、管理者のみが視聴可能となるので、管理情報が第三者に意味なく漏れるのを防止できる。
【0012】
第1の発明または第2の発明においては、サーバは、第三者の情報取得手段から要求を受けると、その要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ、該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報(フラグ付きの映像情報を除く)または/および該当する蓄積情報(フラグ付きの映像情報を除く)を第三者の情報取得手段へ伝送する一方、管理者の情報取得手段から映像情報の要求を受けると、その要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ、該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報(フラグ付きの映像情報を含む)または/および該当する蓄積情報(フラグ付きの映像情報を含む)を管理者の情報取得手段へ伝送する。このため、管理者は、その蓄積情報をドライブレコーダとして利用可能となる。つまり、管理者は、条件(車両ID,日付,時間)を指定して映像情報を要求することにより、サーバの蓄積情報を情報提供車両(管理対象車両)のドライブレコーダとして利用可能となる。
【0013】
第3の発明または第4の発明においては、サーバは、第三者の情報取得手段から要求を受けると、その要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ、該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報(フラグ付きの映像情報を除く)または/および該当する蓄積情報(フラグ付きの映像情報を除く)を第三者の情報取得手段へ伝送する一方、管理者の情報取得手段から要求を受けると、その要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ、該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報(フラグ付きの映像情報を含む)または/および該当する蓄積情報(フラグ付きの映像情報を含む)を管理者の情報取得手段へ伝送する。このため、第三者および管理者は、場所を指定して映像情報を要求することにより、主に交通情報として即時性のある映像情報を視聴可能となる。
【0014】
第5の発明においては、サーバは、管理者の情報取得手段から要求を受けると、大容量記憶装置に対し、要求の指定する情報提供車両(ID情報)の、要求の指定する日時(日付,時間)に対応する蓄積情報を抽出して管理者の情報取得手段へ伝送する手段を備えるので、第3の発明または第4の発明に係る車載カメラ映像提供システムにおいても、管理者は、サーバの蓄積情報を情報提供車両のドライブレコーダとして利用可能となる。
【0015】
第6の発明においては、サーバへの緊急送信により、管理者は、フラグ付きの映像情報を逸早く視聴可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図に基づいて、この発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、車載カメラ映像提供システムの概要図であり、11は情報提供車両であり、12はサーバの大容量記憶装置であり、13は情報提供車両11の管理者に装備される情報取得手段であり、14は第三者(一般利用者)に装備される情報取得手段であり、各情報取得手段13,14は、通信機器を介してネットワークに接続される。
【0018】
情報提供車両11は、車両前方を向く車載カメラと、自車位置情報取得手段と、車載カメラの出力する映像情報をサーバへ送信するデータを作成する手段(図2のS13、参照)と、この手段をネットワークに接続する通信機器と、を備える。車載カメラの出力する映像情報は、複数のコマに区分され、所定時間毎にID情報や日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に通信機器からネットワークを介してサーバへ伝送される(図4,図5、参照)。
【0019】
自車位置情報取得手段としては、GPSの受信機が用いられる。サーバへの送信データを作成する手段は、車載カメラの出力する映像情報を一時的に保存するメモリを備える。ID情報は、サーバへの送信データ作成手段のメモリに設定される。日付時刻情報としては、車載カメラの日付時刻表示信号が用いられる。
【0020】
サーバは、情報提供車両11の車載カメラから提供される送信データを大容量記憶装置12に蓄積しつつ管理する装置と、この装置をネットワークに接続する通信機器と、を備える。サーバは、第三者の情報取得手段14から配信要求を受けると、各情報提供車両11の自車位置情報から要求の指定する場所に最も近い情報提供車両を捜索しつつ、該当する情報提供車両11の車載カメラから送信される映像情報を第三者の情報取得手段14へ伝送する。管理者の情報取得手段13から場所を指定する配信要求を受けると、各情報提供車両11の自車位置情報から要求の指定する場所に最も近い情報提供車両11を捜索しつつ、該当する情報提供車両11の車載カメラから送信される映像情報を後述のフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段13へ伝送する。
【0021】
情報提供車両11においては、既定の管理事項が成立するとその間の映像情報にフラグを付ける手段を備える。図3は、その制御動作(図2のS14で行われる)を例示するフローであり、既定の管理事項については、運転室に配置される情報提供解除ボタン(スイッチ)がオン操作されるかどうか、Gセンサ(所定の加速度検知範囲を持つ)が作動したかどうか、スタビリティコントロール(車体のローリングを積極的に抑える)が作動したかどうか、衝突被害軽減システムの自動ブレーキが作動したかどうか、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が作動したかどうか、の各事項(S14.01〜S14.06)が判定され、これらの少なくとも1つが成立すると、S14.07において、データにフラグが付けられるのである。
【0022】
サーバは、第三者の情報取得手段14からの配信要求に対し、該当する情報提供車両11からの映像情報がフラグ付きの場合、フラグ付きの映像情報の伝送をカットする手段(図2のS18、参照)が備えられる。
【0023】
図4は、システムの通信処理を説明するものであり、情報提供車両11(図中の車載器)において、車載カメラの出力する映像情報は、単位時間(例えば、10秒間)あたりのコマに区分され、所定時間(例えば、1分10秒間)毎に付随情報(ID情報,自車位置情報など)を加えて所定コマ数(例えば、6コマ)ずつサーバへ送信される。
【0024】
☆が送信時期を表す。送信時期は、フラグを付ける処理との関係から、直前の1コマ分を次回の送信時期に遅らせる設定になっている。例えば、☆(A)においては、6コマ(a〜f)分の映像情報が送信され、直前の1コマ(g)は、次回の☆(B)において、☆(A)後の5コマ(h〜l)と一緒に送信される。つまり、情報提供車両11からサーバへの送信データは、所定時間(例えば、1分10秒間)遅れの映像情報となる。
【0025】
情報提供車両11の送信データは、サーバにおいて、大容量記憶装置12に蓄積される。ユーザ(管理者,第三者)の要求に対し、サーバは、該当する情報提供車両11からの映像情報を配信する。
【0026】
図5は、システムの配信制限処理を説明するものであり、情報提供車両11(図中の車載器)において、既定の管理事項が成立すると、その時点に対応する1コマおよびこれを挟む前後の数コマ(例えば、2コマ)の映像情報にフラグvが付けられる。例えば、車両のローリングが大きくなったり、急ブレーキが掛かると、管理事項が成立する(ギザギザ模様が成立時点を表す)ので、フラグvが付けられる。
【0027】
サーバへの送信データは、図4の場合と同じく、所定時間遅れの映像情報となる。ユーザが管理者の場合、管理者の要求に対し、サーバは、フラグvの有無に関係なく、該当する情報提供車両11からの映像情報を配信する。ユーザが第三者の場合、第三者の要求に対し、サーバは、フラグv付きのコマ分の映像伝送をカットする。図示の場合、車両が通常状態に回復するのを待って映像伝送を再開する手段が備えられ、例えば、フラグv付きのコマ(h〜j)に続くコマ(k,l)から次々回の☆(D)の映像情報のコマ(s)へ至る間の映像伝達もカットされる。
【0028】
図2は、システムの制御動作を説明するフローであり、S11およびS12においては、車載カメラの映像情報,車両の自車位置情報,日付時刻情報,車両のID情報を取得する。S13においては、車載カメラの出力する映像情報をサーバへ送信するデータを作成する。車載カメラの出力する映像情報は、複数のコマに区分され、車両の自車位置情報,日付時刻情報,車両のID情報が付けられ、S14の判定がyesのときはフラグが付けられる。S14においては、既定の管理事項が成立すると、フラグ付けを指令する。S15においては、S13の作成データを所定時間毎にサーバへ送信する。
【0029】
サーバは、S16において、情報提供車両から所定時間毎に送信されるデータを受信して大容量記憶装置に蓄積する。S17の配信要求に対し、S18においては、要求に該当する受信データにフラグ付きのコマがあるかどうかを判定する。S18の判定がno(「フラグなし」)のときは、管理者の要求および第三者の要求に対し、要求に該当する受信データの映像情報を必要な付随情報を加えて伝送する。S18の判定がyes(「フラグあり」)のときは、管理者の要求に対し、フラグの有無に関係なく、該当する受信データの映像情報を必要な付随情報を加えて伝送する一方、第三者の要求に対し、該当するフラグ付きの映像情報および再開条件が成立するまでの映像情報の伝送をカットする。
【0030】
S19においては、管理者の情報取得手段13および第三者の情報取得手段14がサーバからの伝送データを受信する。S20においては、管理者の情報取得手段13がサーバからの伝送データを受信する一方、第三者の情報取得手段14は、伝送データのカット分の受信がカットされる。
【0031】
このような車載カメラ映像提供システムにより、第三者や管理者は、要求の指定する場所に最も近い情報提供車両11から送信される車載カメラの映像情報を主に交通情報として視聴可能となる。フラグv付きの映像情報については、第三者への伝送がカットされ、管理者のみが視聴可能となるので、管理情報が第三者に意味なく漏れるのを防止できる。
【0032】
この例においては、要求の指定する場所に最も近い情報提供車両11が要求の指定する場所から離れ過ぎる可能性があるので、サーバは、情報取得手段13,14から要求を受けると、その要求の指定する場所に最も近い情報提供車両11または/および同じく指定する場所の蓄積情報の最新データを捜索しつつ、該当する情報提供車両11から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報(最新データ)を情報取得手段13,14へ伝送するように設定される。
【0033】
尚、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報か、要求の指定する場所の蓄積情報か、どちらを送信するかは、必要に応じて決めればよいが、例えば、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を優先させ、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報がない場合に、要求の指定する場所の蓄積情報を送るようにすれば、存在する最新の情報を送ることが可能になる。尚、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報と要求の指定する場所の蓄積情報の両方を送るようにしても構わない。
【0034】
サーバにおいては、該当する情報提供車両11が要求の指定する場所を中心とする所定半径(例えば、10m)の範囲内に存在するかどうか、該当する蓄積情報(最新データ)が現時点から所定時間(例えば、30分)の範囲にあるかどうか、の判定が行われ、何れかの映像情報(要求の指定する場所に最も近い情報提供車両11のうち、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両11から送信される車載カメラの映像情報か、要求の指定する場所の蓄積情報のうち、現時点から所定時間の範囲にある最新の映像情報)が情報取得手段13,14へ伝送される。
【0035】
サーバは、蓄積情報(最新データ)の配信についても、管理者の情報取得手段13に対し、フラグの有無に関係なく、配信の要求される映像情報を伝送する一方、第三者の情報取得手段14に対しては、フラグ付きの映像情報の伝送をカットする。
【0036】
図のS19においては、サーバに対し、配信映像の条件に場所のみを指定する要求が送信されるが、サーバへの配信要求については、条件に場所のほか、例えば日時(日付,曜日,時間)を指定することも考えられる。その場合、サーバにおいては、第三者の情報取得手段14から要求を受けると、大容量記憶装置12に対し、要求の指定する場所の、要求の指定する日時に対応する蓄積情報が検索され、該当する蓄積情報(フラグ付きの映像情報を除く)を情報取得手段14へ送信される一方、管理者の情報取得手段13から要求を受けると、大容量記憶装置12に対し、要求の指定する場所の、要求の指定する日時に対応する蓄積情報が検索され、該当する蓄積情報(フラグ付きの映像情報を含む)を情報取得手段14へ送信する。
【0037】
管理者の情報取得手段13からサーバへの配信要求については、情報提供車両11(ID情報)を指定すると、サーバにおいて、要求の指定する情報提供車両11を捜索しつつ、その情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段13へ伝送する。また、情報提供車両(ID情報)のほか、日時(日付,時間)を配信要求の条件に指定すると、サーバの蓄積情報をドライブレコーダとして利用可能となる。サーバにおいては、管理者の情報取得手段13から要求を受けると、大容量記憶装置12に対し、要求の指定する情報提供車両の、要求の指定する日時に対応する蓄積情報が検索され、これを管理者の情報取得手段13へ伝送する。従って、管理者は、大容量記憶装置12の保存データを車両事故の検証に効率よく簡便に利用できるのである。
【0038】
フラグ付きの映像情報については、管理者へ可及的速やかに配信するのが望ましく、そのため、情報提供車両11において、所定数のフラグ付けが終わると、フラグ付きの映像情報をサーバへ緊急送信する手段が追加することが考えられる。
【0039】
図6は、システムの緊急送信処理を説明するものであり、情報提供車両11において、既定の管理事項が成立する(ギザギザ模様が成立時点を表す)と、その時点に対応する1コマおよびこれを挟む前後の数コマ(例えば、2コマ)の映像情報にフラグvが付けられる。このフラグv付けが終わると、所定時間毎の送信時期☆に関係なく、フラグv付きの数コマ(例えば、3コマ)分の映像情報が緊急送信される。★が緊急送信時期を表す。
【0040】
これにより、通常は、所定時間(例えば、1分10秒間)遅れの映像情報がサーバへ送信される(図4,図5、参照)のに対し、緊急送信時は、小時間遅れ(例えば、30秒間遅れ)の映像情報がサーバへ緊急送信される。サーバは、管理者に対し、フラグv付きの数コマ分の映像情報(例えば、30秒間遅れの映像情報)を伝送する。
【0041】
尚、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報か、要求の指定する場所の蓄積情報か、どちらを送信するかは、必要に応じて決めればよいが、例えば、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を優先させ、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報がない場合に、要求の指定する場所の蓄積情報を送るようにすれば、存在する最新の情報を送ることが可能になる。尚、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報と要求の指定する場所の蓄積情報の両方を送るようにしても構わない。
【0042】
尚、要求の指定する条件(例えば、指定の場所に最も近い)情報提供車両、要求する条件(例えば、指定する場所)の蓄積情報のデータ、の捜索は、どちらか一方のみの捜索でも良し、両方の捜索でも良い。また、要求の指定する場所を中心とする所定半径の範囲内に存在する情報提供車両11から送信される車載カメラの映像情報と、要求の指定する場所の蓄積情報の両方を送信するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】システムの概要図である。
【図2】システムの制御動作を例示するフロー図である。
【図3】システムの制御動作を例示するフロー図である。
【図4】システムの通常配信処理を例示する説明図である。
【図5】システムの配信制限処理を例示する説明図である。
【図6】システムの緊急送信処理を例示する説明図である。
【符号の説明】
【0044】
11 情報提供車両
12 サーバの大容量記憶装置
13 管理者の情報取得手段
14 第三者の情報取得手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載カメラの出力する映像情報を所定時間毎にID情報,日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に送信する情報提供車両と、第三者に備えられる情報取得手段と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を大容量記憶装置に蓄積しながら、第三者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報を第三者の情報取得手段へ伝送するサーバと、情報提供車両の管理者に備えられる情報取得手段と、を備え、情報提供車両は、既定の管理事項が成立するとその間の映像情報にフラグを付ける手段と、を備え、サーバは、管理者の情報取得手段から映像情報の要求を受けるとその要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、第三者の情報取得手段からの要求に対してはフラグ付きの映像情報の伝送をカットする手段と、を備えることを特徴とする車載カメラ映像提供システム。
【請求項2】
車載カメラの出力する映像情報を複数のコマに区分して所定時間毎にID情報,日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に送信する情報提供車両と、第三者に備えられる情報取得手段と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を大容量記憶装置に蓄積しながら、第三者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報を第三者の情報取得手段へ伝送するサーバと、情報提供車両の管理者に備えられる情報取得手段と、を備え、情報提供車両は、既定の管理事項が成立するとその時点に対応するコマおよびこれを挟む前後の数コマの映像情報にフラグを付ける手段と、を備え、サーバは、管理者の情報取得手段から映像情報の要求を受けるとその要求の指定する条件に合う情報提供車両または/および蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、第三者の情報取得手段からの要求に対してはフラグ付きのコマ分の映像伝送をカットする手段と、を備えることを特徴とする車載カメラ映像提供システム。
【請求項3】
車載カメラの出力する映像情報を所定時間毎にID情報,日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に送信する情報提供車両と、第三者に備えられる情報取得手段と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を大容量記憶装置に蓄積しながら、第三者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報を第三者の情報取得手段へ伝送するサーバと、情報提供車両の管理者に備えられる情報取得手段と、を備え、情報提供車両は、既定の管理事項が成立するとその間の映像情報にフラグを付ける手段と、を備え、サーバは、管理者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、第三者の情報取得手段からの要求に対してはフラグ付きの映像情報の伝送をカットする手段と、を備えることを特徴とする車載カメラ映像提供システム。
【請求項4】
車載カメラの出力する映像情報を複数のコマに区分して所定時間毎にID情報,日付時刻情報を付けて自車位置情報と共に送信する情報提供車両と、第三者に備えられる情報取得手段と、情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報を大容量記憶装置に蓄積しながら、第三者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報を第三者の情報取得手段へ伝送するサーバと、情報提供車両の管理者に備えられる情報取得手段と、を備え、情報提供車両は、既定の管理事項が成立するとその時点に対応するコマおよびこれを挟む前後の数コマの映像情報にフラグを付ける手段と、を備え、サーバは、管理者の情報取得手段から要求を受けるとその要求の指定する場所に最も近い情報提供車両または/および同じく要求の指定する場所の最新の蓄積情報を捜索しつつ該当する情報提供車両から送信される車載カメラの映像情報または/および該当する蓄積情報をフラグの有無に関係なく管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、第三者の情報取得手段からの要求に対してはフラグ付きのコマ分の映像伝送をカットする手段と、を備えることを特徴とする車載カメラ映像提供システム。
【請求項5】
サーバは、管理者の情報取得手段から要求を受けると、その要求の指定する情報提供車両の、要求の指定する日時に対応する映像情報を大容量記憶装置から抽出して管理者の情報取得手段へ伝送する手段と、を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車載カメラ映像提供システム。
【請求項6】
情報提供車両は、所定数のフラグ付けを終わると所定時間毎の送信時期に関係なくフラグ付きのコマ分の映像情報をサーバへ緊急送信する手段と、を備えることを特徴とする請求項2〜請求項5に記載の車載カメラ映像提供システム。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−122884(P2010−122884A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295657(P2008−295657)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】