説明

車載制御システム

【課題】レーダ装置の性能低下が検知された場合に、測定および車両制御を一時停止し、車両の安全を確保した後に、故障診断処理を実行して性能低下の原因を特定可能な車載制御システムを得る。
【解決手段】レーダ装置10は、電磁波の送受信手段と、送信信号および受信信号から車両と目標物体50との間の距離および相対速度を測定する信号処理部7と、信号処理部7の処理結果からレーダ装置10の性能低下を検知する性能低下検知部8と、目標物体50の測定を停止して、レーダ装置10の故障診断を行う故障検知部9とを備え、性能低下検知部8により性能低下を検知した場合には、レーダ装置10による目標物体50の測定と車両制御装置20による車両制御を停止して、故障検知部9による故障診断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載された車載制御システムに関し、特に、自車両周辺に存在する目標物体を検知して自車両と目標物体との間の距離や相対速度を測定するレーダ装置と、レーダ装置を用いて目標物体との車間距離などを制御する車両制御装置とを備えた車載制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自車両に設置されたレーダ装置は、電磁波を送信信号として送信し、目標物体で反射された電磁波を受信信号として受信し、送信信号および受信信号から目標物体に関する情報(車両と目標物体との間の距離や相対速度など)を測定しており、たとえば、衝突軽減および衝突防止システム、車間距離制御システム、渋滞追従システムなどの車両制御装置に利用されている。
【0003】
車両制御装置は、レーダ装置が測定した目標物体の位置、相対速度などの情報に基づいて車両を制御しているので、何らかの原因でレーダ装置による目標物体の検知性能が低下すると、車両制御を行う上で支障が生じる。レーダ装置の性能が低下する要因としては、レーダ装置の故障、他のレーダ装置から送信された電磁波による干渉、レーダ装置に付着した汚れ、などが考えられる。
【0004】
そこで、車両制御時に、何らかの性能低下要因によってレーダ装置の性能低下が生じた場合には、レーダ装置の性能が低下していることを検知し、車両制御を停止させて車両の安全を確保する必要がある。また、レーダ装置の故障によって性能低下した場合には、レーダ装置の修理または交換が必要となるので、性能低下が故障によるものか、または、電磁波干渉や汚れによるものかを特定することも必要となる。
【0005】
従来の車載制御システムにおけるレーダ装置の故障判別装置は、目標物体の測定を停止しても支障のない特定期間(エンジン始動時など)に、通常の測定モードとは異なる故障検知モードを設定し、故障検知モード時において故障診断用の変調信号を生成して、故障診断を行うように構成されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−62525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の車載制御システムでは、上記特許文献1のように、エンジン始動時などの特定期間のみに故障検知処理を実行した場合には、目標物体の測定中に発生した故障を検知することができないので、車両制御装置の誤動作を招く可能性があるという課題があった。
また、目標物体の測定を停止して一定時間ごとに故障診断を行うと、目標物体の測定頻度が低下するので、車両制御に悪影響が生じる可能性があるという課題があった。
【0008】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、目標物体の位置や相対速度を測定するレーダ装置と、レーダ装置を用いて車間距離制御などを行う車両制御装置とからなる車載制御システムにおいて、目標物体の測定中に何らかの原因よりレーダ装置の性能が低下した場合に、性能低下の原因が故障によるものか否かを判定し、車両制御装置の誤動作を防止することのできる車載制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る車載制御システムは、車両に搭載されて目標物体を測定するレーダ装置と、レーダ装置により測定された目標物体に基づいて車両を制御する車両制御装置と、からなる車載制御システムであって、レーダ装置は、電磁波を送信信号として送信する送信手段と、目標物体で反射された電磁波を受信信号として受信する受信手段と、送信信号および受信信号に基づいて車両と目標物体との間の距離および相対速度を測定する信号処理手段と、信号処理手段の処理結果に基づいて、レーダ装置の性能低下を検知する性能低下検知手段と、送信信号および受信信号に基づいてレーダ装置の故障診断を行う故障検知手段と、を備え、性能低下検知手段によりレーダ装置の性能低下が検知された場合には、目標物体の測定と、車両制御装置による車両の制御とを一時停止して、故障検知手段による故障診断処理を実行するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の車載制御システムによれば、性能低下検知手段によりレーダ装置の性能低下が検知された場合に、目標物体の測定および車両制御を一時停止して、車両の安全を確保した後に、通常はエンジン始動時など特定期間にのみ実行する故障検知手段による故障診断処理を再度実行することにより、性能低下の原因がレーダ装置の故障によるものかを特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車載制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図1において、車載制御システムは、車両(図示せず)に搭載されて目標物体50を測定するレーダ装置10と、レーダ装置10に接続された車両制御装置20および警報装置30とを備えている。
【0012】
車両制御装置20は、レーダ装置10により測定された目標物体50に基づいて車両を制御する。たとえば、車両制御装置20は、レーダ装置10が測定した目標物体50の距離や相対速度などの情報から、車両のアクセルやブレーキを調節して車両の速度を制御し、目標物体50と車両との間の車間距離を目標値に制御する。
【0013】
レーダ装置10は、電磁波を送信信号として送信する送信手段として、周波数変調した電磁波を発生する送信部1と、送信部1からの出力信号を送信用または受信用に分岐する方向性結合器2と、方向性結合器2の出力信号を空間に放射する送信アンテナ3とを備えている。
【0014】
また、レーダ装置10は、目標物体50で反射された電磁波を受信信号として受信する受信アンテナ(受信手段)4と、受信アンテナ4を介して受信した受信信号と方向性結合器2から送られてくる送信信号とを混合して、両者の周波数の差分からなるビート信号を取り出す受信部5と、受信部5から出力されるビート信号をデジタル信号に変換するA/D変換器6とを備えている。
【0015】
また、レーダ装置10は、A/D変換器6によりデジタル信号に変換されたビート信号から目標物体50の位置(距離)や相対速度を測定する信号処理部(信号処理手段)7と、信号処理部7の処理結果からレーダ装置10の性能低下を検出する性能低下検知部(性能低下検知手段)8とを備えている。たとえば、性能低下検知部8は、受信信号の信号強度を監視して、所定閾値以上の信号強度を有する受信信号が、所定時間にわたって検知されない状態が継続した場合などに、レーダ装置10の性能が低下していると判定する。
【0016】
また、レーダ装置10は、送信信号および受信信号に基づいてレーダ装置10の故障診断を行う故障検知部(故障検知手段)9を備えている。故障検知部9は、通常の目標物体50の測定中には実行できない詳細な故障診断、たとえば電磁波の送信を停止する必要がある故障診断か、または、電磁波の変調パラメータを変更する必要がある故障診断を実行する。さらに、たとえば、送信アンテナ3を機械的に走査している場合などにおいては、アンテナ駆動部(図示せず)の動作についての故障診断を実行してもよい。
【0017】
レーダ装置10の故障診断は、前述のように、目標物体50の測定を停止しても支障のない特定期間(通常はエンジン始動時など)に実行される。エンジン始動時での故障診断により故障が発見されなかった場合には、目標物体50の測定を開始する。一方、エンジン始動時での故障診断により故障が検知された場合には、車両制御装置20にレーダ装置10の故障を通知する。これに応答して、車両制御装置20は、車両の制御を停止する。
【0018】
ここで、前述のように、エンジン始動時のみに故障診断を実行したのでは、たとえば、目標物体50の測定中にレーダ装置10の故障が発生した場合に、レーダ装置10の故障を検知することができないので、車両制御装置20の誤動作を引き起こす可能性がある。また、目標物体50の測定中にレーダ装置10の故障を検知するために、たとえば、測定中に一定時間ごとに故障診断を行うと、その度に測定を停止しなければならないので、目標物体50を測定する頻度が減少してしまい、車両制御装置20による車両制御に支障が生じる。さらに、レーダ装置10の故障のみでなく、他の電磁波干渉や汚れによるレーダ装置10の性能低下が起こった場合も、同様に車両制御装置20の誤動作を引き起こす可能性がある。
【0019】
そこで、性能低下検知部8によりレーダ装置10の性能低下が検知された場合には、目標物体50の測定と、車両制御装置20による車両制御とを一時停止して、故障検知部9による故障診断処理を実行する。
【0020】
すなわち、目標物体50の測定中に性能低下検知部8がレーダ装置10の性能低下を検知した場合には、まず、目標物体50の測定および車両制御を一時停止して、性能低下による車両制御の誤動作を防いで車両の安全を確保した後に、故障検知部9により故障診断(通常は、エンジン始動時に行われる)を再度実行することにより、レーダ装置10の性能低下の原因が、故障によるものか、または、他の電磁波干渉や汚れなどによるものか、を特定する。このように、レーダ装置10の性能低下時に故障診断を実行することにより、車両制御装置20への影響を最小限に抑制しながら、目標物体50の測定中にレーダ装置10の故障を検知することができる。
【0021】
また、レーダ装置10に接続された警報装置30は、報音装置や表示装置を含み、故障検知部9による故障診断処理においてレーダ装置10の故障が検知された場合に駆動され、レーダ装置10の修理または交換が必要であることを車両の運転者に通知する。また、車両制御装置20は、故障検知部9による故障診断処理においてレーダ装置10の故障が検知された場合には、車両の制御を停止し続ける。
【0022】
また、レーダ装置10は、レーダ装置10の性能低下の原因を判定する原因判定部(原因判定手段)11を備えている。原因判定部11は、故障検知部9による故障診断処理においてレーダ装置10の故障が検知されなかった場合には、レーダ装置10の性能低下の原因を、レーダ装置10に付着した汚れ、または、他のレーダ装置が送信した電磁波との干渉によるものと判定する。
また、警報装置30は、原因判定部11による判定結果を車両の運転者に通知する。
【0023】
以下、図2のフローチャートを参照しながら、図1に示したこの発明の実施の形態1による具体的な動作について説明する。
図2において、まず、性能低下検知部8は、信号処理部7の処理結果に基づいて性能低下判定処理を実行し(ステップS101)、レーダ装置10の性能低下の有無を判定する(ステップS102)。
【0024】
ステップS102において、レーダ装置10の性能低下がない(すなわち、No)と判定されれば、直ちに図2の処理ルーチンを終了し、一方、レーダ装置10の性能低下があり(すなわち、Yes)と判定されれば、レーダ装置10による目標物体50の測定と、車両制御装置20による車両制御とを停止し(ステップS103)、車両の安全を確保する。
【0025】
続いて、故障検知部9は、送信信号および受信信号に基づく故障診断(通常はエンジン始動時のみに実行される)を実行し(ステップS104)、レーダ装置10の故障の有無を判定する(ステップS105)。
【0026】
ステップS105において、レーダ装置10の故障があり(すなわち、Yes)と判定されれば、原因判定部11は、性能低下の原因が故障によるものと判定し(ステップS106)、また、警報装置30は、原因判定部11の判定結果を警報表示して(ステップS107)、図2の処理ルーチンを終了する。
【0027】
ステップS107において、警報装置30は、運転手に対して、レーダ装置10が故障していて、修理または交換が必要であることを通知する。また、その後において、車両制御装置20は車両制御を停止し続ける。
【0028】
一方、ステップS105において、レーダ装置10の故障がない(すなわち、No)と判定されれば、原因判定部11は、レーダ装置10の性能低下の原因が、他の電磁波干渉または汚れによるものと判定し(ステップS108)、警報装置30は、運転者に対して、汚れまたは干渉により、レーダ装置10の性能が低下していることを通知し(ステップS109)、図2の処理ルーチンを終了する。
【0029】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、目標物体50の測定中にレーダ装置10の性能が低下した場合に、レーダ装置10による測定および車両制御装置20による車両制御を停止して、車両の安全を確保してから、通常はエンジン始動時などの特定期間のみに実行される故障診断処理を再度実行するので、目標物体50の測定中においても故障の検知処理を実行することができる。
また、レーダ装置10の性能低下の原因が故障によるものか、または、干渉や汚れによるものかを特定することができる。
【0030】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、レーダ装置10の性能低下の原因が干渉や汚れによる場合に原因を特定しなかったが、他の電磁波干渉による場合を特定可能に構成してもよい。以下、図3および図4を参照しながら、干渉による性能低下を特定可能にしたこの発明の実施の形態2について説明する。
【0031】
図3はこの発明の実施の形態2に係る車載制御システムの概略構成を示すブロック図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
【0032】
図3において、レーダ装置10Aは、前述の構成に加えて、信号処理部7の処理結果を用いて、他のレーダ装置(図示せず)から送信された電磁波により発生した干渉を検知する干渉検知部12を備えている。
【0033】
干渉検知部12は、故障検知部9による故障診断処理においてレーダ装置10の故障が検知されなかった場合に、干渉検知処理を実行する。たとえば、干渉検知部12は、レーダ装置10Aの電磁波の送信を停止して電磁波の受信のみを行う状態で、何らかの信号を受信した場合に、他のレーダ装置からの電磁波による干渉が発生していると判定する。これにより、目標物体50の測定中に発生する性能低下の原因をさらに詳細に特定することができる。
【0034】
また、レーダ装置10A内の原因判定部11Aは、干渉検知部12により干渉が検知された場合には、レーダ装置10Aの性能低下の原因を、干渉によるものと判定する。
また、原因判定部11Aは、干渉検知部12により干渉が検知されなかった場合には、レーダ装置10Aの性能低下の原因を、レーダ装置10Aに付着した汚れであると判定する。
【0035】
また、レーダ装置10Aに接続された警報装置30は、原因判定部11Aによる判定結果を車両の運転者に通知し、原因判定手段によりレーダ装置の性能低下の原因が汚れであると判定された場合には、レーダ装置のメンテナンスが必要であることを運転者に通知する。
【0036】
また、レーダ装置10Aは、干渉検知部12により干渉が検知された場合には、停止していた目標物体50の測定を再開し、性能低下検知部8Aは、レーダ装置10Aによる目標物体50の測定の再開後、一定時間ごとに性能低下判定処理を実行し、車両制御装置20Aは、性能低下検知部8Aによる一定時間ごとの性能低下判定処理において、性能低下が検知されなくなった時点で、車両の制御を再開する。
【0037】
以下、図4のフローチャートを参照しながら、図3に示したこの発明の実施の形態2による具体的な動作について説明する。図4において、ステップS201〜S207は、前述(図2参照)と同様の処理なので、ステップS208以降の処理に注目して説明する。
【0038】
まず、性能低下判定処理および故障診断処理を実行し(ステップS201〜S205)、ステップS205において、レーダ装置10Aに故障なし(すなわち、No)と判定された場合には、干渉検知部12による干渉検知処理を実行し(ステップS208)、他のレーダ装置による電磁波干渉の有無を判定する(ステップS209)。
【0039】
ステップS209において、干渉あり(すなわち、Yes)と判定されれば、原因判定部11Aは、レーダ装置10Aの性能低下の原因を干渉によるものと判定し(ステップS210)、警報装置30は、運転者に対して一時的に性能が低下している状態(無視できる状態)であることを通知する(ステップS211)。
【0040】
続いて、レーダ装置10Aは、目標物体50の測定を再開し(ステップS212)、一定時間後に、性能低下検知部8Aは、性能低下判定処理を再度実行し(ステップS213)、レーダ装置10の性能低下の有無を判定する(ステップS214)。
【0041】
ステップS214において、レーダ装置10Aの性能低下がない(すなわち、No)と判定されれば、電磁波干渉による性能低下がなくなったものと見なして、車両制御装置20Aは車両制御を再開し(ステップS215)、図4の処理ルーチンを終了する。
また、ステップS214において、レーダ装置10Aの性能低下があり(すなわち、Yes)と判定されれば、ステップS213に復帰し、一定時間後に、性能低下判定を再度実行する。
【0042】
一方、ステップS209において、他のレーダ装置による電磁波干渉がない(すなわち、No)と判定されれば、原因判定部11Aは、性能低下の原因がレーダ装置10Aに付着した汚れによるものと判定し(ステップS216)、警報装置30は、運転手に汚れによる性能低下が発生していて、レーダ装置10Aのメンテナンスが必要であることを通知し(ステップS217)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0043】
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、目標物体50の測定中にレーダ装置10Aの性能が低下して、性能低下の原因がレーダ装置10Aの故障以外であると判定された場合に、干渉検知部12は、他のレーダ装置10Aが送信した電磁波による干渉が発生しているかを判定するので、性能低下の原因がレーダ装置10Aの故障によるものか、干渉によるものか、または、レーダ装置10Aに付着した汚れによるものか、を詳細に特定することができる。
【0044】
なお、上記実施の形態1、2では、性能低下検知部8、8Aが、信号処理部7の処理結果に基づいてレーダ装置10の性能低下を検知したが、信号処理部7の処理結果のみならず、レーダ装置10の内部情報または外部機器(図示せず)から得られる外部情報などに基づいて、性能低下を検知してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による性能低下原因の特定処理の説明するためのフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る車載制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2による性能低下原因の特定処理の説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 送信部、2 方向性結合器、3 送信アンテナ、4 受信アンテナ、5 受信部、7 信号処理部、8、8A 性能低下検知部、10、10A レーダ装置、11、11A 原因判定部、12 干渉検知部、20、20A 車両制御装置、30 警報装置、50 目標物体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて目標物体を測定するレーダ装置と、
前記レーダ装置により測定された前記目標物体に基づいて前記車両を制御する車両制御装置と、からなる車載制御システムであって、
前記レーダ装置は、
電磁波を送信信号として送信する送信手段と、
前記目標物体で反射された電磁波を受信信号として受信する受信手段と、
前記送信信号および前記受信信号に基づいて前記車両と前記目標物体との間の距離および相対速度を測定する信号処理手段と、
前記信号処理手段の処理結果に基づいて、前記レーダ装置の性能低下を検知する性能低下検知手段と、
前記送信信号および前記受信信号に基づいて前記レーダ装置の故障診断を行う故障検知手段と、を備え、
前記性能低下検知手段により前記レーダ装置の性能低下が検知された場合には、前記目標物体の測定と、前記車両制御装置による前記車両の制御とを一時停止して、前記故障検知手段による故障診断処理を実行することを特徴とする車載制御システム。
【請求項2】
前記レーダ装置に接続された警報装置を備え、
前記警報装置は、前記故障検知手段による故障診断処理において前記レーダ装置の故障が検知された場合には、前記レーダ装置の修理または交換が必要であることを前記車両の運転者に通知し、
前記車両制御装置は、前記故障検知手段による故障診断処理において前記レーダ装置の故障が検知された場合には、前記車両の制御を停止し続けることを特徴とする請求項1に記載の車載制御システム。
【請求項3】
前記レーダ装置は、前記レーダ装置の性能低下の原因を判定する原因判定手段を含み、
前記原因判定手段は、前記故障検知手段による故障診断処理において前記レーダ装置の故障が検知されなかった場合には、前記レーダ装置の性能低下の原因を、前記レーダ装置に付着した汚れ、または、他のレーダ装置が送信した電磁波との干渉によるものと判定することを特徴とする請求項1に記載の車載制御システム。
【請求項4】
前記レーダ装置に接続された警報装置を備え、
前記警報装置は、前記原因判定手段による判定結果を前記車両の運転者に通知することを特徴とする請求項3に記載の車載制御システム。
【請求項5】
前記レーダ装置は、他のレーダ装置から送信された電磁波により干渉が発生していることを検知する干渉検知手段を含み、
前記干渉検知手段は、前記故障検知手段による故障診断処理において前記レーダ装置の故障が検知されなかった場合には、干渉検知処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の車載制御システム。
【請求項6】
前記レーダ装置は、前記レーダ装置の性能低下の原因を判定する原因判定手段を含み、
前記原因判定手段は、前記干渉検知手段により干渉が検知された場合には、前記レーダ装置の性能低下の原因を、干渉によるものと判定することを特徴とする請求項5に記載の車載制御システム。
【請求項7】
前記レーダ装置は、前記干渉検知手段により干渉が検知された場合には、停止していた前記目標物体の測定を再開し、
前記性能低下検知手段は、前記レーダ装置による前記目標物体の測定の再開後、一定時間ごとに性能低下判定処理を実行し、
前記車両制御装置は、前記性能低下検知手段による前記一定時間ごとの性能低下判定処理において性能低下が検知されなくなった時点で、前記車両の制御を再開することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の車載制御システム。
【請求項8】
前記原因判定手段は、前記干渉検知手段により干渉が検知されなかった場合には、前記レーダ装置の性能低下の原因を、前記レーダ装置に付着した汚れであると判定することを特徴とする請求項6に記載の車載制御システム。
【請求項9】
前記レーダ装置に接続された警報装置を備え、
前記警報装置は、前記原因判定手段による判定結果を前記車両の運転者に通知することを特徴とする請求項6または請求項8に記載の車載制御システム。
【請求項10】
前記警報装置は、前記原因判定手段により前記レーダ装置の性能低下の原因が汚れであると判定された場合には、前記レーダ装置のメンテナンスが必要であることを運転者に通知することを特徴とする請求項9に記載の車載制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−175713(P2008−175713A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9981(P2007−9981)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】