説明

車載器、制御方法及びプログラム

【課題】バッテリーの消費を抑え、目的地への到達の可能性を向上させること。
【解決手段】バッテリー24から電源電圧が供給される車載器1であって、バッテリー24の電池残量(バッテリー電圧)を検出するバッテリー残量管理部22と、目的地までの経路案内のためのデータの処理を実行する複数の処理部(表示部12〜RAM21)と、バッテリー残量管理部22により検出されたバッテリー電圧が所定の基準残量値(11.5V又は11.0V)より少ない場合、複数の処理部のいずれかの処理部(表示部12、操作部13)への電源電圧の供給を停止する制御モード(MODE B又はMODE C)を実行する制御部11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、快適なドライブを楽しむ装置として車載用のナビゲーション装置(以下、車載器)が普及している。
【0003】
車載器には、GPS信号を受信するためのGPS受信部や経路案内用の地図データを表示するための表示部といった各種の機能部が搭載されている。この各機能部は、バッテリーから供給される電源電圧に基づいて動作が行われる。
【0004】
また、データ受信開始時において、バッテリーの電池残量(以下、バッテリー残量)が所定値以上である場合に地図更新情報等の受信及び記憶を行うことにより、使い心地の悪化やユーザの負担を招くことなく、外部から必要なデータを受信して記憶することができる技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−47112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バッテリーから供給される電源電圧に基づいて各機能部を動作させる場合、バッテリー残量が少なくなってくると各機能部に電源電圧が供給されなくなる。各機能部に電源電圧が供給されなくなると、各機能部が動作不可の状態(例えば、GPS信号の受信不能、地図データの表示不能など)となる。そうすると、車両の現在位置の検出や正確な経路案内を行うことができなくなり、目的地への到達が困難になるという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、バッテリーの消費を抑え、目的地への到達の可能性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の車載器は、
バッテリーから電源電圧が供給される車載器であって、
前記バッテリーの電池残量を検出する検出部と、
目的地までの経路案内のためのデータの処理を実行する複数の処理部と、
前記検出部により検出されたバッテリーの電池残量が所定の基準残量値より少ない場合、前記複数の処理部のうちのいずれかの処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行する制御部と、
を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載器において、
前記基準残量値は、
前記バッテリーの電池残量が最大の残量レベルを示す第1の基準残量値と、当該第1の基準残量値より少ない残量レベルを示す第2の基準残量値とを含み、
前記複数の処理部は、
表示部、操作部、音声出力部のいずれかからなる第1の処理部及び第2の処理部を含み、
前記制御部は、
前記バッテリーの電池残量が前記第1の基準残量値以上の場合、前記複数の処理部に前記電源電圧を供給する制御モードを実行し、前記バッテリーの電池残量が前記第1の基準残量値より少なく、且つ、前記第2の基準残量値以上の場合、前記第1の処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行し、前記バッテリーの電池残量が前記第2の基準残量値より少ない場合、前記第1の処理部及び第2の処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車載器において、
情報を出力する出力部を備え、
前記制御部は、
前回実行した前記制御モードを示す第1のモード情報を取得し、当該取得された第1のモード情報が今回実行する前記制御モードを示す第2のモード情報と異なる場合、前回実行した前記制御モードと今回実行する前記制御モードとの異なる制御情報を前記出力部に出力させる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車載器において、
前記制御部は、
前記第1の処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードの実行時において、目的地までの経路情報を前記出力部に出力するタイミングとなったとき、所定時間、前記第1の処理部に前記電源電圧を供給する。
【0012】
請求項5に記載の発明の制御方法は、
バッテリーから電源電圧が供給される車載器の制御方法であって、
前記バッテリーの電池残量を検出する検出部により検出されたバッテリーの電池残量が所定の基準残量値より少ない場合、目的地までの経路案内のためのデータの処理を実行する複数の処理部のうちのいずれかの処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行する制御工程を含む。
【0013】
請求項6に記載の発明のプログラムは、
バッテリーから電源電圧が供給される車載器のコンピュータを、
前記バッテリーの電池残量を検出する検出部、
目的地までの経路案内のためのデータの処理を実行する複数の処理部、
前記検出部により検出されたバッテリーの電池残量が所定の基準残量値より少ない場合、前記複数の処理部のうちのいずれかの処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行する制御部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バッテリーの消費を抑え、目的地への到達の可能性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る車載器の内部構成を示す図である。
【図2】バッテリー電圧監視処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】MODE A処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】MODE B処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】MODE C処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】拡大図表示処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0017】
図1〜図6を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。先ず、図1を参照して、本発明に係る車載器1について説明する。車載器1は車両100に搭載されている。
図1に示す車載器1は、制御部11と、第1の処理部、出力部としての表示部12と、第2の処理部としての操作部13と、音声入力部14と、出力部としての音声出力部15と、ビーコン受信部16と、放送受信部17と、GPS受信部18と、ジャイロ部19と、ROM(Read Only Memory)20と、RAM(Random Access Memory)21と、検出部としてのバッテリー残量管理部22と、電源回路部23と、を備えて構成される。なお、バッテリー24は、車両100に搭載されたバッテリーとして説明するが、車載器1に搭載されたバッテリーとしてもよい。
【0018】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備えて構成され、車載器1の各部を中央制御する。制御部11は、ROM20に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM21に展開し、RAM21に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0019】
また、制御部11は、後述するバッテリー電圧監視プログラムとの協働により、バッテリー残量管理部22により検出されたバッテリー残量(バッテリー電圧)が所定の基準残量値(11.5V又は11.0V)より少ない場合は、目的地までの経路案内のためのデータの処理を実行する複数の処理部(表示部12〜RAM21)のうちのいずれかの処理部(例えば、表示部12、操作部13等)への電源電圧の供給を停止する制御モード(動作モード:MODE B又はMODE C)を実行する。
【0020】
表示部12は、カラー液晶ディスプレイ等により構成され、制御部11からの指示に従って表示画面上に地図画面やアイコン、案内図等のナビゲーション用の表示情報を表示する。また、表示部12には、画面表示を見やすくするため、バックライト(図示省略)が配置されている。
【0021】
操作部13は、方向を指示するための矢印キー、セットキー、数字キー、その他ナビゲーション利用等の各種機能に対応付けられた各種キーからなるキースイッチ(ハードスイッチ)を備え、操作されたキースイッチに対する操作信号を制御部11に出力する。また、操作部13は、表示部12の画面を覆うように設けられたタッチパネルを備え、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を位置信号として制御部11に出力する。
【0022】
音声入力部14は、例えば、マイクロフォン、AF(Audio Frequency)増幅器、サンプラー及びA/D(Analog-to-Digital)コンバータ等により構成される。音声入力部14は、マイクロフォンが集音した音声を表す音声信号を増幅し、サンプリングしてA/D変換することにより、当該音声を表すデジタル形式の音声データを生成する。そして、この音声データを制御部11に出力する。そして、制御部11より、音声データに音声認識を施す処理が行われ、処理の施された音声データが音声出力部15に出力される。尚、音声認識の手法は適宜公知技術を採用可能である。
【0023】
音声出力部15は、例えば、D/A(Digital-to-Analog)コンバータ、AF増幅器及
びスピーカ等を備えて構成され。制御部11から供給された音声データをD/A変換して増幅し、得られたアナログ信号に基づいてスピーカから音声を再生する。
【0024】
ビーコン受信部16は、光ビーコン及び電波ビーコン等によって送信されている渋滞や交通規制に関する所謂VICS情報をANT1を介して受信し、受信したVICS情報を制御部11に出力する。
【0025】
放送受信部17は、TV放送を受信して、映像信号及び音声信号を生成・出力するための回路部であり、チューナ部、復調部、映像復号部及び音声復号部等を備えて構成される。具体的には、放送受信部17は、アンテナANT2を同調させることによって、ユーザにより指定されたチャンネルに対応する周波数のTV放送を受信する。そして、その受信したTV放送を復調部によって復調して、映像データ及び音声データそれぞれを抽出して映像復号部及び音声復号部に出力する。映像復号部及び音声復号部は、復調部によって復調された映像データ及び音声データを復号して映像信号及び音声信号をそれぞれ生成し、生成した映像信号及び音声信号を制御部11に出力する。
また、放送受信部17は、FM放送を受信することとしてもよい。この場合、放送受信部17は、受信したFM放送に含まれるVICS FM交通情報(渋滞や交通規制に関する情報)を処理して制御部11に出力する。
【0026】
GPS受信部18は、車両の現在位置(例えば、緯度や経度)を測位する回路部であり、複数のGPS衛星から送信されるGPS信号をアンテナANT3を介して受信して、そのGPS信号に基づいて測位した現在位置を制御部11に出力する。尚、現在位置を測位する方法は、適宜公知技術を採用可能である。
【0027】
ジャイロ部19は、角度(左右、上下)や走行速度を検出するセンサである。具体的には、ジャイロ部19は、角度として車両の右左折(車両の左右)や道路の高低(車両の上下)を検出し、検出した角度を制御部11に出力する。
【0028】
車速パルス測定部19Aは、車両から車速パルス(タイヤが一回転で4パルスなどの情報)を取り込み、取り込んだ車速パルスから時間当たりにタイヤが何回転したかを測定する。そして、測定した回転数に基づいて、走行速度を計算(検出)し、計算した走行速度を制御部11に出力する。
【0029】
ROM20は、制御部11により実行される制御プログラム、当該制御プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶する。具体的には、ROM20は、地図DB20Aを記憶する。地図DB20Aは、道路情報を含む地図情報を格納するデータベースである。道路情報としては、ノード、リンク、各道路の名称、道路の種類を示す種別(高速道路、国道、県道、一般道、幹線道、有料道路等)、道幅、IC(インターチェンジ)の名称及び地図上の座標情報(緯度経度)、SA(サービスエリア)の名称及び地図上の座標情報等の情報が含まれる。
【0030】
RAM21は、制御部11により制御実行される各種処理において、ROM20から読み出された各種プログラム、入力、若しくは出力データ及びパラメータなどの一時的な格納領域となる。
【0031】
また、RAM21は動作モード情報を記憶する。動作モード情報は、車載器1の制御モード(動作モード)を示す情報であり、MODE A,B,Cからなる。
【0032】
MODE Aは、車載器1の各部(目的地までの経路案内のためデータの処理を実行する表示部12〜RAM21)の全てが動作可能な動作モードを示す。MODE Aの実行時においては、制御部11から各部に電源電圧が供給され、各部が動作可能となる。また、MODE Aは、バッテリー電圧が11.5V(第1の基準残量値)以上である場合に実行される。
【0033】
MODE Bは、表示部12が動作不可であり、表示部12以外の各部(操作部13〜RAM21)が動作可能である動作モードを示す。MODE Bの実行時においては、制御部11により表示部12への電源電圧の供給が停止され、表示部12は動作不可(非表示)となる。このとき、表示部以外の各部には電源電圧が供給される。また、MODE Bは、バッテリー電圧が11.5Vより少なく(低く)、且つ、11.0V(第2の基準残量値)以上の場合(すなわち、11.0V〜11.5Vの場合)に実行される。さらに、MODE Bの実行時において、後述する拡大図表示処理が実行されると、所定時間(例えば、約5秒間)、表示部12に電源電圧が供給されて表示部12は動作可能(表示可能)となる。
【0034】
MODE Cは、表示部12及び操作部13が動作不可であり、表示部12及び操作部13以外の各部(音声入力部14〜RAM21)が動作可能である動作モードを示す。MODE Cの実行時においては、制御部11により表示部12及び操作部13への電源電圧の供給が停止され、表示部12は非表示となり、操作部13は操作不可となる。このとき、表示部12及び操作部13以外の各部には電源電圧が供給される。また、MODE Cは、バッテリー電圧が11.0V(第2の基準残量値)より少ない(低い)場合に実行される。
【0035】
バッテリー残量管理部22は、例えば、電圧検出回路により構成されており、バッテリー残量としてバッテリー24の端子電圧(バッテリー電圧)を検出して管理する。そして、バッテリー電圧を制御部11に出力する。
【0036】
電源回路部23は、バッテリー24を電力源として制御部11に電源電圧を供給する電源回路であり、供給する電源電圧をオン/オフ(投入、遮断)するスイッチング機能を有している。電源回路部23から制御部11に電源電圧が供給されると、制御部11により車載器の各部に電源電圧が供給される。
【0037】
次に、図2を参照して、車載器1で実行されるバッテリー電圧監視処理について説明する。バッテリー電圧監視処理は、バッテリー電圧を監視し、バッテリー電圧が基準残量値(11.5V又は11.0V)より少ない場合は、車載器1のいずれかの処理部(表示部12、操作部13)への電源電圧の供給を停止する制御モード(MODE B又はMODE C)を実行する処理である。
【0038】
例えば、車載器1において、操作部13を介してバッテリー電圧監視処理の実行指示が入力されたことをトリガとして、ROM20から読み出されて適宜RAM21に展開されたバッテリー電圧監視プログラムと、CPUとの協働によりバッテリー電圧監視処理が実行される。
【0039】
予め、前回のバッテリー電圧監視処理において実行された動作モード(前回実行した動作モード)を示す動作モード情報(第1のモード情報:MODE A〜Cのいずれかを示す情報)がRAM21に記憶されているものとする。以下、動作モード情報は、RAM21から読み書き(読み出し、書き込み)が行われるものとする。
【0040】
先ず、バッテリー電圧が何Vであるかが判別される(ステップS11)。具体的には、バッテリー残量管理部22から出力されたバッテリー電圧が制御部11により検知され、当該検知されたバッテリー電圧に基づいて本ステップの判別が行われる。
【0041】
ステップS11において、バッテリー電圧が11.5V以上であると判別された場合(ステップS11;11.5V以上)、MODE A処理が実行される(ステップS12)。ステップS11において、バッテリー電圧が11.0〜11.5Vであると判別された場合(ステップS11;11.0V〜11.5V)、MODE B処理が実行される(ステップS13)。ステップS11において、バッテリー電圧が11.0V未満(11.0Vより少ない)と判別された場合(ステップS11;11.0V未満)、MODE C処理が実行される(ステップS14)。
【0042】
ステップS15において、拡大図の表示タイミングでないと判別された場合(ステップS15;NO)、ステップS11に移行される。ステップS15において、拡大図の表示タイミングであると判別された場合(ステップS15;YES)、拡大図表示処理が実行される(ステップS16)。
【0043】
ステップS16の実行後、バッテリー電圧監視処理を終了するか否かが判別される(ステップS17)。具体的には、ユーザから操作部13を介してバッテリー電圧監視処理を終了する旨の指示入力が受け付けられたか否かに基づいて本ステップの判別が行われる。ステップS17において、終了しないと判別された場合(ステップS17;NO)、ステップS11に移行される。ステップS17において、終了すると判別された場合(ステップS17;YES)、バッテリー電圧監視処理は終了される。バッテリー電圧監視処理が終了されると、実行された動作モード情報がROM20に記憶される。
【0044】
次に、図3を参照して、バッテリー電圧監視処理のステップS12において実行されるMODE A処理について説明する。
【0045】
先ず、前回のMODEは何であったかが判別される(ステップS21)。具体的には、ROM20に記憶されている前回実行した動作モード情報(第1のモード情報)が読み出されて取得される。そして、取得された動作モード情報に基づいて、本ステップが実行される。ステップS21において、前回のMODEがAであると判別された場合(ステップS21;MODE A)、前回実行した動作モード情報(第1のモード情報)と今回実行する動作モードを示す動作モード情報(第2のモード情報)とは一致すると判別され、後述するステップS23に移行される。
【0046】
ステップS21において、前回のMODEがB又はCであると判別された場合(ステップS21;MODE BorC)、前回実行した動作モード情報と今回実行する動作モード情報とは異なると判別され、「バッテリー電圧が復帰したため、機能制限を解除します。画面表示をONします。操作部が操作可能です。」との情報(前回実行した動作モードと今回実行する動作モードとの異なる制御情報)が表示部12に表示されるとともに、音声出力部15から音声出力される(ステップS22)。
【0047】
ステップS22の実行後、表示部12の画面表示がON(バックライトON)に設定され、操作部13が操作可能に設定される(ステップS23)。具体的には、制御部11により、車載器1の各部(表示部12〜RAM21)に電源電圧が供給され、車載器1の各部が動作可能に設定される。ステップS23の実行後、MODE A処理は終了され、バッテリー監視処理のステップS15に移行される。
【0048】
次に、図4を参照して、バッテリー電圧監視処理のステップS13において実行されるMODE B処理について説明する。
【0049】
ステップS31はMODE A処理のステップS21と同様である。ステップS31において、前回のMODEがBであると判別された場合(ステップS31;MODE B)、前回実行した動作モード情報と今回実行する動作モード情報とは一致すると判別され、後述するステップS33に移行される。ステップS31において、前回のMODEがAであると判別された場合(ステップS31;MODE A)、前回実行した動作モード情報と今回実行する動作モード情報とは異なると判別され、「バッテリー電圧が低下したため機能制限をします。画面表示をOFFします。」との情報が表示部12に表示されるとともに、音声出力部15から音声出力される(ステップS32)。
【0050】
ステップS31において、前回のMODEがCであると判別された場合(ステップS31;MODE C)、前回実行した動作モード情報と今回実行する動作モード情報とは異なると判別され、「バッテリー電圧が復帰したため、機能制限を解除します。操作部13が操作可能です。」との情報が音声出力部15から音声出力される(ステップS33)。
【0051】
ステップS32又はS33の実行後、表示部12の画面表示がOFFに設定され、操作部13が操作可能に設定される(ステップS34)。具体的には、制御部11により、表示部12への電源電圧が停止され、表示部12以外の各部(操作部13〜RAM21)に電源電圧が供給される。また、このとき、表示部12は非表示となるため、ユーザはタッチパネルを介して操作を行うことができなくなる(ただし、このとき、操作部13のハードスイッチは有効である)。この場合、音声入力部14により音声入力の受け付けが開始され、ユーザにより所望の情報が音声入力部14に音声入力される。そして、入力された音声に対して音声認識処理が実行され、入力された音声に対する回答が音声出力部15により出力される。ステップS33の実行後、MODE B処理は終了されバッテリー監視処理のステップS15に移行される。
【0052】
次に、図5を参照して、バッテリー電圧監視処理のステップS14において実行されるMODE C処理について説明する。
【0053】
ステップS41はMODE A処理のステップS21と同様である。ステップS41において、前回のMODEがCであると判別された場合(ステップS41;MODE C)、前回実行した動作モード情報と今回実行する動作モード情報とは一致すると判別され、後述するステップS43に移行される。ステップS41において、前回のMODEがB又はAであると判別された場合(ステップS41;MODE BorA)、前回実行した動作モード情報と今回実行する動作モード情報とは異なると判別され、「バッテリー電圧が低下したため機能制限をします。画面表示をOFFします。操作部は使用できません。」との情報が表示部12に表示されるとともに、音声出力部15から音声出力される(ステップS42)。
【0054】
ステップS42の実行後、表示部12の画面表示がOFFに設定され、操作部13が操作禁止に設定される(ステップS43)。具体的には、制御部11により、表示部12及び操作部13への電源電圧の供給が停止され、表示部12及び操作部13以外の各部(音声入力部14〜RAM21)に電源電圧が供給される。このとき、表示部12及び操作部13は動作不可となるため、ユーザは操作部13のハードスイッチやタッチパネルを介して操作を行うことができなくなる。この場合、音声入力部14により音声入力の受け付けが開始され、ユーザにより所望の情報が音声入力部14に音声入力される。そして、入力された音声に対して音声認識処理が実行され、入力された音声に対する回答が音声出力部15により出力される。ステップS43の実行後、MODE C処理は終了されバッテリー監視処理のステップS15に移行される。
【0055】
次に、次に、図6を参照して、バッテリー電圧監視処理のステップS16において実行される拡大図表示処理について説明する。
【0056】
先ず、MODEは何かが判別される(ステップS51)。具体的には、バッテリー電圧監視処理のステップS11において判別されたバッテリー電圧に基づいて、本ステップの判別が行われる。ステップS51において、MODEがAであると判別された場合(ステップS51;MODE A)、後述するステップS53に移行される。ステップS51において、MODEがCであると判別された場合(ステップS51;MODE C)、拡大図表示処理は終了され、バッテリー監視処理のステップS17に移行される。
【0057】
ステップS51において、MODEがBであると判別された場合(ステップS51;MODE B)、画面表示がONに設定される(ステップS52)。ステップS52の実行後、拡大図が表示部12に表示される(ステップS53)。例えば、ルート案内時の交差点等の拡大図が表示部12に表示される。
【0058】
ステップS53の実行後、MODEは何かが判別される(ステップS54)。本ステップはステップS51と同様の処理が実行される。ステップS54において、MODEがA又はCであると判別された場合(ステップS54;MODE A or MODE C)、拡大図表示処理は終了され、バッテリー監視処理のステップS17に移行される。ステップS54において、MODEがBであると判別された場合(ステップS54;MODE B)、画面表示がONされてから一定時間経過後(例えば、5秒後)に、画面表示がOFFに設定される(ステップS55)。すなわち、5秒間だけ表示部12に電源電圧が供給される。ステップS55の実行後、拡大図表示処理は終了され、バッテリー監視処理のステップS17に移行される。
【0059】
以上、本実施の形態によれば、バッテリー24の残量(バッテリー電圧)が所定の基準残量値(11.5V又は11.0V)より少ない場合は、車載器1のいずれかの処理部(表示部12、操作部13等)への電源電圧の供給を停止する制御モード(MODE B又はMODE C)を実行する。これにより、いずれかの処理部(表示部12又は操作部13)に供給する電源電圧が制限されるので、バッテリー24の消費電力を抑えることができ、目的地への到達の可能性を向上させることができる。
【0060】
また、バッテリー電圧が11.5V以上の場合、車載器1の各部(複数の処理部:表示部12〜RAM21)に電源電圧を供給する制御モード(MODE A)を実行する。また、バッテリー電圧が11.5Vより少なく(低く)、11.0V以上の場合、表示部12への電源電圧の供給を停止する制御モード(MODE B)を実行する。また、バッテリー電圧が11.0Vより少ない(低い)場合、表示部12及び操作部13への電源電圧の供給を停止する制御モード(MODE C)を実行する。これにより、バッテリー電圧に基づいて、電源電圧を制御するので、バッテリーの消費電力を抑えることができる。
【0061】
また、前回実行した制御モードと今回実行する制御モードとの異なる制御情報を出力部(表示部12又は音声出力部15)から出力する。例えば、前回実行した制御モードがMODE B又はMODE Cであり、今回実行する制御モードがMODE Aである場合、異なる制御情報として「バッテリー電圧が復帰したため、機能制限を解除します。画面表示をONします。操作部が操作可能です。」等の情報を表示部12に表示するとともに音声出力部15から音声出力する。これにより、ユーザは、前回実行した制御モードと今回実行する制御モードとの異なる制御情報を把握することができる。
【0062】
また、MODE B処理の実行時において、目的地までの経路情報を表示部12に表示するタイミングとなったとき、所定時間(5秒間)、表示部12に電源電圧を供給する。これにより、ユーザは、所定時間の間、目的地までの経路情報を参照することにより、目的地までの経路情報を把握することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る車載器の一例であり、これに限定されるものではない。
【0064】
例えば、上記実施の形態では、表示部12及び操作部13の少なくとも1つ(MODE B処理においては表示部12、MODE C処理においては表示部12及び操作部13)に電源電圧を供給しないこととしたがこれに限定されるものではない。例えば、表示部12又は操作部13の代わりに、目的地までの経路案内を実行するその他の各部(音声入力部14〜RAM21のうちのいずれかの各部)に電源電圧を供給しないこととしてもよい。
【0065】
また、バッテリー電圧監視処理のステップS11において、各モード(MODE A〜MODE C)を実行するための基準残量値(11.5V、11.0V等の値)は任意の値としてもよい。また、モード分け方においても、3モード(MODE A〜MODE C)には限られず、任意のモード数としてもよい。
【0066】
また、拡大図表示処理のステップS55において、画面表示する時間(5秒)は、任意の時間としてもよい。
【0067】
その他、本実施の形態における、車載器1の細部構造及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 車載器
11 制御部
12 表示部
13 操作部
14 音声入力部
15 音声出力部
16 ビーコン受信部
17 放送受信部
18 受信部
19 ジャイロ部
20 ROM
21 RAM
22 バッテリー残量管理部
23 電源回路部
24 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーから電源電圧が供給される車載器であって、
前記バッテリーの電池残量を検出する検出部と、
目的地までの経路案内のためのデータの処理を実行する複数の処理部と、
前記検出部により検出されたバッテリーの電池残量が所定の基準残量値より少ない場合、前記複数の処理部のうちのいずれかの処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行する制御部と、
を備えた車載器。
【請求項2】
前記基準残量値は、
前記バッテリーの電池残量が最大の残量レベルを示す第1の基準残量値と、当該第1の基準残量値より少ない残量レベルを示す第2の基準残量値とを含み、
前記複数の処理部は、
表示部、操作部、音声出力部のいずれかからなる第1の処理部及び第2の処理部を含み、
前記制御部は、
前記バッテリーの電池残量が前記第1の基準残量値以上の場合、前記複数の処理部に前記電源電圧を供給する制御モードを実行し、前記バッテリーの電池残量が前記第1の基準残量値より少なく、且つ、前記第2の基準残量値以上の場合、前記第1の処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行し、前記バッテリーの電池残量が前記第2の基準残量値より少ない場合、前記第1の処理部及び第2の処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行する請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
情報を出力する出力部を備え、
前記制御部は、
前回実行した前記制御モードを示す第1のモード情報を取得し、当該取得された第1のモード情報が今回実行する前記制御モードを示す第2のモード情報と異なる場合、前回実行した前記制御モードと今回実行する前記制御モードとの異なる制御情報を前記出力部に出力させる請求項1又は2に記載の車載器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1の処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードの実行時において、目的地までの経路情報を前記出力部に出力するタイミングとなったとき、所定時間、前記第1の処理部に前記電源電圧を供給する請求項3に記載の車載器。
【請求項5】
バッテリーから電源電圧が供給される車載器の制御方法であって、
前記バッテリーの電池残量を検出する検出部により検出されたバッテリーの電池残量が所定の基準残量値より少ない場合、目的地までの経路案内のためのデータの処理を実行する複数の処理部のうちのいずれかの処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行する制御工程を含む制御方法。
【請求項6】
バッテリーから電源電圧が供給される車載器のコンピュータを、
前記バッテリーの電池残量を検出する検出部、
目的地までの経路案内のためのデータの処理を実行する複数の処理部、
前記検出部により検出されたバッテリーの電池残量が所定の基準残量値より少ない場合、前記複数の処理部のうちのいずれかの処理部への前記電源電圧の供給を停止する制御モードを実行する制御部、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−2285(P2011−2285A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144104(P2009−144104)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(508209990)J&Kカーエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】