説明

車載用レーダー装置

【課題】
本発明では、車両横方向の対象物を検出可能で狭あいな空間においても実装可能な車載用レーダー装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
上記目的を達成するため、本願発明は、送信波を送出する送信回路と、前記送信回路からの送信波をアンテナ面に略平行な方向に放射する平面型送信アンテナと、前記送信アンテナからの送信波のうち対象物で反射した受信波をアンテナ面に略平行な方向から受信する平面型受信アンテナと、前記受信アンテナからの受信波を復調する受信回路と、を備え、前記送信波を車両の略横方向に放射するよう車両のタイヤハウス、車両床下又はサイドミラーに装着されていることを特徴とする車載用レーダー装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、ミリ波、又は準ミリ波帯を用いた車載用レーダー装置に関する。特に、高さ方向の寸法を低く抑えた平面型のアンテナを備えた車載用レーダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミリ波を利用して車両周辺の障害物を検出する車載レーダー装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、高周波回路とアンテナとを一体化したレーダーモジュールが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載されているレーダーモジュールは車両に搭載する場合、アンテナが形成された基板面を検出方向に向けるようにして車両に搭載される。これは、パッチアレーアンテナを用いているため、アンテナ指向性が基板面に垂直な正面方向に形成されているためである。
【特許文献1】再公表WO2003/040754
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているパッチアレーアンテナを備えたレーダーモジュールに車両前方又は後方の対象物を検出させる場合において、上記レーダーモジュールを車両前面や後面に搭載するときには、通常、バンパー内に搭載される。
【0005】
一方、上記レーダーモジュールに車両横方向の対象物を検出させるためには、車両側面に搭載する必要がある。この場合、特許文献1に記載されている立体構造のレーダー装置では、別途穴を設けることができない車両の側面への搭載は不向きであり、車両の横方向の対象物の検出に大きな課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願第一発明では、車載用レーダー装置を、車両の側面に別途穴を設けることのない、タイヤハウス、車両床下又はサイドミラーに装着することとした。
【0007】
ここで、車載用レーダー装置を車両床下やタイヤハウスの内部上面に実装する場合、レーダーモジュールの実装空間を十分に確保できない。つまり、車両床下では、地面との距離に制限があるため、必要以上にレーダーモジュールを車両床下から突出させることができず、タイヤハウスでは、タイヤとの接触の恐れがあるため、必要以上にレーダーモジュールをタイヤハウスの内部上面から突出させることができない。
【0008】
そこで、本願第一発明では、アンテナ面に略平行な方向に送信波を放射し又は受信波を受信する平面型のアンテナを備えた車載用レーダー装置を車両の特定の位置に配置することとした。
【0009】
具体的には、本願第一発明は、送信波を送出する送信回路と、前記送信回路からの送信波をアンテナ面に略平行な方向に放射する平面型送信アンテナと、前記送信アンテナからの送信波のうち対象物で反射した受信波をアンテナ面に略平行な方向から受信する平面型受信アンテナと、前記受信アンテナからの受信波を復調する受信回路と、を備え、前記送信波を車両の略横方向に放射するよう車両のタイヤハウス、車両床下又はサイドミラーに装着されていることを特徴とする車載用レーダー装置である。
【0010】
本発明の車載用レーダー装置は、アンテナ面に略平行な方向に送信波を放射し又は受信波を受信する平面型のアンテナを備えるため、装置全体の厚さを薄くすることが可能で、十分な実装空間を確保できない場所においても装着して車両の横方向の対象物を検知することができる。
【0011】
上記第一発明において、前記平面型送信アンテナがエンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナであることが望ましい。
【0012】
本発明の車載用レーダー装置は、エンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナとすることにより車載用レーダー装置の薄型化が可能である。
【0013】
上記第一発明において、前記平面型送信アンテナの電磁波の導波方向に平行な導電体板が配置されていることが望ましい。
【0014】
本発明の車載用レーダー装置は、アンテナ面と導電体板との距離を調整することによって、垂直平面内の指向性を調整することができる。
【0015】
上記第一発明において、前記平面型送信アンテナと前記導電体板との間に誘電体が配置されていることが望ましい。
【0016】
本発明の車載用レーダー装置は、平面型送信アンテナと導電体板との間に誘電体を配置することにより、平面型送信アンテナと導電体板との距離を短くして車載用レーダー装置のさらなる薄型化が可能である。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本願第二発明では、車両の略横方向に送信波を放射し又は受信波を受信する平面型のアンテナを車両の特定のウィンドに形成することとした。
【0018】
具体的には、本願第二発明は、送信波を送出する送信回路と、前記送信回路からの送信波を車両の略横方向に放射する平面型送信アンテナと、前記送信アンテナからの送信波のうち対象物で反射した受信波を前記車両の略横方向から受信する平面型受信アンテナと、前記受信アンテナからの受信波を復調する受信回路と、を備え、前記平面型送信アンテナ及び前記平面型受信アンテナは、リヤウィンド又はサイドウィンドに形成されていることを特徴とする車載用レーダー装置である。
【0019】
本発明の車載用レーダー装置は、平面型のアンテナをリヤウィンド又はサイドウィンドに形成して車両の横方向の対象物を検知することができる。
【0020】
上記第二発明において、リヤウィンドに形成された前記平面型送信アンテナがエンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナであることが望ましい。
【0021】
本発明の車載用レーダー装置は、平面型送信アンテナをエンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナとすることにより、平面型送信アンテナをリヤウィンドに形成しつつ車両の横方向の対象物に向けて送信波を放射し又は受信波を受信することができる。
【0022】
上記第二発明において、サイドウィンドに形成された前記平面型送信アンテナがブロードサイドアレイアンテナであることが望ましい。
【0023】
本発明の車載用レーダー装置は、平面型送信アンテナをブロードサイドアレイアンテナとすることにより、平面型送信アンテナをサイドウィンドに形成しつつ車両の横方向の対象物に向けて送信波を放射し又は受信波を受信することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、車両横方向の対象物を検出可能で狭あいな空間においても実装可能な車載用レーダー装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の車載用レーダー装置の実施形態の一例を説明するブロック図であって、車載用レーダー装置の構成を説明するブロック図である。
【0027】
図1において、11は送信信号を出力する信号出力回路、12は搬送波周波数で発振する発振器、13は送信信号を基に送信波を生成する変調回路、14は送信波を放射する平面型送信アンテナ、21は対象物からの受信波を受信する平面型受信アンテナ、22は受信波を復調する復調回路である。
【0028】
送信回路には、信号出力回路11、変調回路13及び発振器12が含まれる。受信回路には、発振器12及び復調回路22が含まれる。
【0029】
信号出力回路11は、送信信号を発生する。この送信信号は、パルス波でも、三角波のような連続波でもよく、車両近傍の対象物を検出できるものであればよい。
【0030】
変調回路13は、信号出力回路11からの送信信号と発振器12からの搬送波を混合して、送信波を出力する。搬送波の周波数は、100GHz以下が望ましい。100GHz以上の周波数では、空気中の伝搬損失が大きく車載用レーダー装置100の検出距離限界が短くなる。
【0031】
平面型送信アンテナ14は、変調回路13からの送信波を放射する。平面型受信アンテナ21は、平面型送信アンテナ14からの送信波のうち対象物で反射した受信波を受信する。なお、平面型送信アンテナ14及び平面型受信アンテナ21の詳細については、後述する。
【0032】
復調回路22は、平面型受信アンテナ21からの受信波を復調して受信信号を出力する。復調に際しては、例えば、同期検波や包絡線検波等の非同期検波の通常の技術で実現できる検波方式を適用することができる。本実施形態では、車載用レーダー装置100の使用する周波数帯のローカル信号を発振器12で発生させ、発生させたローカル信号に基づいて同期検波することとした。以上の構成により、送信波を放射したタイミングと受信波を受信したタイミングとが分かるので、車載用レーダー装置100は、対象物を検知し対象物までの距離を検出することができる。
【0033】
ここで、平面型送信アンテナ14の構成について説明する。
【0034】
図2は、本実施形態に係る車載用レーダー装置の概略構成図である。また、図3は、平面型のアンテナを示した概略構成図である。
【0035】
図2において、24は平面型のアンテナ、26は平面型のアンテナのアンテナ面、27は筺体、28は平面型のアンテナの指向性、29は筺体を装着する装着面である。また、図3において、34は平面型のアンテナ、36は平面型のアンテナのアンテナ面、38は平面型のアンテナの指向性、39は平面型のアンテナが形成された装着面である。
【0036】
図2に示す筺体27は、図1で説明した車載用レーダー装置100の信号出力回路11、発振器12、変調回路13及び復調回路22を内部に収容することができる。これにより、筺体27と平面型のアンテナ24とで車載用レーダー装置101を構成することができる。
【0037】
図2に示す平面型のアンテナ24は、アンテナ面26に平行な方向に指向性28を有し、平面型のアンテナ24から送信波を指向性28のようにアンテナ面26に略平行な方向に放射する。車載用レーダー装置101は、車両での配置位置に併せて、平面型のアンテナ24のアンテナ面26が装着面29に平行となるように装着面29に装着して、アンテナ面26の垂直方向への厚みが薄い車載用レーダー装置とすることができる。一方、平面型のアンテナ24のみを装着面29に形成することもできる。例えば、装着面29にアンテナのパターンを印刷して形成することができる。図1に示す平面型送信アンテナ14は、車両での配置位置に併せて、図2の平面型のアンテナ24に示すように、アンテナ面26の垂直方向への厚みが薄い平面型の送信アンテナとすることもできる。
【0038】
図3に示す平面型のアンテナ34は、アンテナ面36に垂直方向に指向性38を有し、平面型のアンテナ34から送信波を指向性38のようにアンテナ面36の垂直方向に放射する。また、図3に示す平面型のアンテナ34は、アンテナ面36を車両の装着面39に平行に形成する。図1に示す平面型送信アンテナ14は、車両での配置位置に併せて、図3の平面型のアンテナ34に示すように、アンテナ面36の垂直方向への厚みが薄い平面型の送信アンテナとすることもできる。
【0039】
次に、図1の平面型受信アンテナ21の構成について説明する。
【0040】
図1に示す平面型受信アンテナ21は、図2及び図3で説明した平面型のアンテナと全く同様の構成で、受信波を受信する平面型の受信アンテナとすることができる。図1の平面型受信アンテナ21を図2に示す平面型のアンテナ24と同様の構成とした場合には、図1に示す平面型受信アンテナ21は、図2のアンテナ面26を装着面29に平行としアンテナ面26に平行な方向に指向性28を有して、指向性28のようにアンテナ面26に略平行な方向から到来する受信波を受信する。一方、平面型受信アンテナ21を図3に示す平面型のアンテナ34と同様の構成とした場合には、図1に示す平面型受信アンテナ21は、図3のアンテナ面36の垂直方向に指向性38を有し、指向性38のようにアンテナ面36の垂直方向から到来する受信波を受信する。
【0041】
また、図1の平面型送信アンテナ14及び平面型受信アンテナ21は、送受兼用アンテナとしてもよい。本実施形態の車載用レーダー装置100の場合、送受兼用アンテナとして、アンテナの実装スペースをコンパクトにすることができる。
【0042】
ここで、図1の車載用レーダー装置100及び平面型送信アンテナ14の車両における配置について説明する。図4は、本実施形態に係る車載用レーダー装置及び平面型送信アンテナの車両における配置を示した概略図である。図4において、(1)は車両の側面図であり、(2)は車両の上面図である。
【0043】
図4において、50は車両、40はタイヤ、41は車両のタイヤを収容するタイヤハウス、42は車両床下、43は車両のサイドウィンド、44は車両のリヤウィンド、45はサイドミラー、47a、47bはそれぞれ別個の平面型送信アンテナ、100a、100b、100cはそれぞれ別個の車載用レーダー装置である。
【0044】
図1に示す車載用レーダー装置100は、平面型送信アンテナ14をアンテナ面に平行な方向に指向性を有する図2の平面型のアンテナ24とし及び平面型受信アンテナ21をアンテナ面に平行な方向に指向性を有する図2の平面型のアンテナ24として、図4の車載用レーダー装置100aに示すようにタイヤハウス41、車載用レーダー装置100bに示すように車両床下42、若しくは車載用レーダー装置100cに示すようにサイドミラー45に装着する。
【0045】
ここで、車載用レーダー装置100a、100b、100cをそれぞれタイヤハウス41、車両床下42又はサイドミラー45に装着する場合、車載用レーダー装置100a、100b、100cの平面型送信アンテナ及び平面型受信アンテナは、図2の平面型のアンテナ24の指向性を図4の車両50の進行方向46に対して略横方向に一致させるようにして、且つ図2の平面型のアンテナ24のアンテナ面26が図4の車載用レーダー装置100a、100b、100cを装着する装着面(図2の車載用レーダー装置101の装着面29に相当する面)に平行となるように装着する。
【0046】
このように車載用レーダー装置100a、100b、100cを車両50に装着することで、車載用レーダー装置100a、100b、100cは、各車載用レーダー装置の平面型送信アンテナにより各アンテナに対応する送信波48a、48b、48cを車両50の進行方向46に対して略横方向に放射することができる。また、車載用レーダー装置100a、100b、100cは、各車載用レーダー装置の平面型受信アンテナにより各アンテナに対応する受信波51a、51b、51cを車両50の進行方向46に対して略横方向から受信することができる。なお、車両50は、進行方向46の反対の方向にも進行し、この場合も、当然に車載用レーダー装置100a、100b、100cは、各車載用レーダー装置の平面型送信アンテナから車両50の進行方向46の反対の方向に対して略横方向に各アンテナに対応する送信波48a、48b、48cを放射し、各車載用レーダー装置の平面型受信アンテナにより各アンテナに対応する受信波51a、51b、51cを車両50の進行方向46の反対の方向に対して略横方向から受信する。
【0047】
このように、図1に示す本実施形態の車載用レーダー装置100は、平面型送信アンテナ14としてアンテナ面に略平行な方向に送信波を放射する平面型送信アンテナを備え、平面型受信アンテナ21としてアンテナ面に略平行な方向からの受信波を受信する平面型受信アンテナを備えるため、アンテナ面が車載用レーダー装置を装着する面に平行となるように装着することで装置全体の厚さを薄くすることが可能で、図4に示すように十分な実装空間を確保できない場所であるタイヤハウス41、車両床下42又はサイドミラー45に装着して車両50の横方向の対象物を検知することができる。
【0048】
また、図1に示す平面型送信アンテナ14及び平面型受信アンテナ21は、アンテナ面に平行な方向に指向性を有する図2の平面型のアンテナ24として、平面型送信アンテナ47a及び平面型受信アンテナ49aに示すように車両50のリヤウィンド44に形成し、又はアンテナ面の垂直方向に指向性を有する図3の平面型のアンテナ34として、平面型送信アンテナ47b及び平面型受信アンテナ49bに示すように車両50のサイドウィンド43に形成する。
【0049】
ここで、図1の平面型送信アンテナ14及び平面型受信アンテナ21は、図2に示す平面型のアンテナ24の指向性を図4の車両50の進行方向46に対して略横方向に一致させるようにして車両50のリヤウィンド44に形成する。また、図3の平面型のアンテナ34の指向性を図4の車両50の進行方向46に対して略横方向に一致させるようにして車両50のサイドウィンド43に形成する。なお、図4では、平面型送信アンテナ47a、平面型受信アンテナ49a、平面型送信アンテナ47b及び平面型受信アンテナ49bを車両50にそれぞれ別に設けたが、前述のように、平面型送信アンテナ47a及び平面型受信アンテナ49a、平面型送信アンテナ47b及び平面型受信アンテナ49bは、それぞれ送受兼用アンテナとすることもできる。
【0050】
このように平面型送信アンテナ47a、47b及び平面型受信アンテナ49a、49bを車両50に形成することで、平面型送信アンテナ47a、47bは、各アンテナに対応する送信波48d、48eを車両50の進行方向46に対して略横方向に放射する。また、平面型受信アンテナ49a、49bは、各アンテナに対応する受信波51d、51eを車両50の進行方向46に対して略横方向から受信する。なお、車両50は、進行方向46の反対の方向にも進行し、この場合も、当然に平面型送信アンテナ47a、47bは、各アンテナに対応する送信波48d、48eを車両50の進行方向46の反対の方向に対して略横方向に放射し、平面型受信アンテナは、各アンテナに対応する受信波51d、51eを図4に示す車両50の進行方向46の反対の方向に対して略横方向から受信する。
【0051】
このように、図1に示す本実施形態の車載用レーダー装置100は、平面型送信アンテナ14として車両の略横方向に送信波を放射する平面型送信アンテナを備え、平面型受信アンテナ21として平面型送信アンテナ14からの送信波のうち対象物で反射した受信波を受信する平面型受信アンテナを備えるため、図4に示す平面型送信アンテナ及び平面型受信アンテナをリヤウィンド44又はサイドウィンド43に形成して車両50の横方向の対象物を検知することができる。
【0052】
本実施形態では、車載用レーダー装置100a、100b、100c並びに平面型送信アンテナ47a、47b及び平面型受信アンテナ49a、49bは、それぞれ進行方向46に対して車両50の右側側面に配置しているが、当然に左側側面に配置して、進行方向46に対して車両50の左側の略横方向に各アンテナに対応する送信波を放射し、又進行方向46に対して車両50の左側の略横方向から各アンテナに対応する受信波を受信することもできる。また、車載用レーダー装置100aは、車両50の前輪側のタイヤハウス41に配置したが、当然に車両50の後輪側のタイヤハウスに配置することもできる。また、本実施形態では、車両50のサイドウィンド43を、セダン等の車両の後部座席側に配置された三角窓としたが、サイドウィンドとして、例えば、ワゴン車等の車両の前席側に配置された三角窓若しくは固定窓、又はクーペ等の車両の後部窓を採用することとしてもよい。
【0053】
ここで、図1の平面型送信アンテナ14は、アンテナ面に平行な方向に指向性を有する図2の平面型のアンテナ24として、図1の車載用レーダー装置100を図4に示す車両50のタイヤハウス41、車両床下42又はサイドウィンド43に装着することとした場合、エンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナとすることが望ましい。
【0054】
図5に、本実施形態に係るエンドファイアアレイアンテナの概略構成図を示す。図5において、(1)はエンドファイアアレイアンテナの上面図であり、(2)はエンドファイアアレイアンテナの側面図である。また、図6に、本実施形態に係る進行波アンテナの概略構成図を示す。図6において、(1)は進行波アンテナの上面図であり、(2)は進行波アンテナの側面図である。
【0055】
図5において、55は送信波を放射するアンテナ、56はアンテナのアンテナ面、57はアンテナから放射される送信波の放射方向、58はアンテナを実装させる導電体板である。また、図6において、65は送信波を放射するアンテナ、66はアンテナのアンテナ面、67はアンテナから放射される送信波の放射方向、68はアンテナを実装させる導電体板である。
【0056】
図5に示すエンドファイアアレイアンテナ54は、線状のアンテナ55を導電体板58上に並列に配置したアンテナで送信波を放射方向57のようにアンテナ面56に略平行な方向に放射する。また、図6に示す進行波アンテナ64は、線状のアンテナ65を導電体板68上に配置したアンテナで送信波を放射方向67のようにアンテナ面66に略平行な方向に放射する。このように、図5のエンドファイアアレイアンテナ54又は図6の進行波アンテナ64は、送信波を放射するアンテナが線状であり、図1の車載用レーダー装置100の薄型化を可能とする。また、図5のエンドファイアアレイアンテナ54及び図6の進行波アンテナ64は、使用周波数帯幅が広いため、UWB(Ultra Wide Band)の広帯域の電波を使用する用途に適している。また、図6の進行波アンテナ64は、定在波が立たないため、周波数特性が広い。そのため、進行波アンテナ64は、狭パルスのパルス波レーダー装置に適したアンテナとして採用することができる。また、進行波アンテナ64は、平面で広帯域のロンビック型のアンテナであることがよい。また、上記のエンドファイアアレイアンテナ54又は進行波アンテナ64は、導電体とアンテナとを共にレドームに収容する構成としてもよい。導電体とアンテナとをレドームによりカバーして保護することができる。
【0057】
また、本実施形態の図5のエンドファイアアレイアンテナ54や図6の進行波アンテナ64のように、送信波を放射するアンテナを電磁波の導波方向に平行な導電体板上に配置することが望ましい。
【0058】
図7に、導電体板とアンテナのアンテナ面との距離に対する指向性の変化の概略図を示す。図7では、進行波アンテナ84について説明するが、前述のエンドファイアアレイアンテナにおいても同様に説明できる。
【0059】
図7において、88は導電体板、85は導電体板上に配置されたアンテナ、86はアンテナのアンテナ面、89はアンテナから放射される送信波の指向性である。
【0060】
図7に示すように、進行波アンテナ84では、導電体板88とアンテナ85のアンテナ面86との距離hを短くすると、指向性89のアンテナ面86に対する仰角が大きくなる。ここで、距離hを無限長とした場合の指向性89は、アンテナ面86に対し平行となる。このように、導電体板88上にアンテナ85を配置して、アンテナ面86と導電体板88との距離hを調整することによって、アンテナ85の指向性89のアンテナ面86に対する仰角を調整することができるため、車両にアンテナを配置した後に、車両に対して検知すべき対象物の範囲の調整をすることができる。
【0061】
ここで、上記距離hは、アンテナ85から放射する送信波の波長の1/8倍から5倍の長さとすることが望ましい。距離hを波長の1/8倍より短くすると送信波の放射効率が悪く、距離hを波長の5倍より長くすると導電体板88を設けないことと等価となるためである。また、導電体板88について、図2に示す筺体27の一面を導電体板としてもよいし、筺体27に代えて図4に示す車両50のタイヤハウス41や車両床下42の鉄板を直接に導電体板としてもよい。筺体27の一面を導電体板とすると、平面型送信アンテナを車両と独立させることができる。一方、車両の鉄板を直接に導電体板とすると、平面型送信アンテナの車両に締める割合をコンパクトにすることができる。
【0062】
また、図1の平面型送信アンテナ14を図5のエンドファイアアレイアンテナ54又は図6の進行波アンテナ64とした場合、導電体板とアンテナとの間に誘電体を配置することが望ましい。当該誘電体の誘電率を誘電率εとすると、アンテナと導電体板との間に誘電体を配置することにより、アンテナと導電体板との間の電気長をε倍に長くすることが可能である。そのため、アンテナと導電体板との間に誘電体を配置することにより、上記距離hを1/εと短くして、図1の車載用レーダー装置100のさらなる薄型化が可能である。
【0063】
ここでは、平面型送信アンテナ14について説明したが、これはアンテナの機能に着目したためであり、平面型受信アンテナ21についても、アンテナ面に平行な方向に指向性を有する図2の平面型のアンテナ24として、図1の車載用レーダー装置100を図4に示す車両50のタイヤハウス41、車両床下42又はサイドウィンド43に装着することとした場合、平面型受信アンテナ21は、平面型送信アンテナ14と同様にエンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナとすることが望ましい。
【0064】
また、図1の平面型送信アンテナ14をアンテナ面に平行な方向に指向性を有する図2の平面型のアンテナ24として平面型送信アンテナ47aのように車両50のリヤウィンド44に設けることとした場合、平面型送信アンテナ47aは、図5で説明したエンドファイアアレイアンテナ又は図6で説明した進行波アンテナとすることが望ましい。図5のエンドファイアアレイアンテナ54又は図6の進行波アンテナ64により、図4の車両50のリヤウィンド44に形成しつつ車両50の横方向の対象物に向けて送信波を放射することができる。
【0065】
また、図1の平面型送信アンテナ14をアンテナ面の垂直方向に指向性を有する図3の平面型のアンテナ34として平面型送信アンテナ47bのように車両50のサイドウィンド43に設けることとした場合、平面型送信アンテナ47bは、ブロードサイドアレイアンテナとすることが望ましい。
【0066】
図8に、本実施形態に係るブロードサイドアレイアンテナの概略構成図を示す。図8において、(1)はブロードサイドアレイアンテナの上面図であり、(2)はブロードサイドアレイアンテナの側面図である。
【0067】
図8において、75は送信波を放射するアンテナ、76はアンテナのアンテナ面、77はアンテナから放射される送信波の放射方向、78はアンテナを実装させる導電体板である。
【0068】
ブロードサイドアレイアンテナ74は、線状のアンテナ75を導電体板78上に行列状に配置したアンテナで送信波を放射方向77のようにアンテナ面76に対して垂直方向に放射する。このように、ブロードサイドアレイアンテナ74により、平面型送信アンテナ47bのように図4のサイドウィンド43に平面型送信アンテナを形成してサイドウィンド43から車両50の横方向の対象物に向けて送信波を放射することができる。また、上記のブロードサイドアレイアンテナ74は、導電体とアンテナとを共にレドームに収容する構成としてもよい。導電体とアンテナとをレドームによりカバーして保護することができる。
【0069】
なお、前述したように、平面型受信アンテナは、平面型送信アンテナと同様の構成とすることができるため、当然に前述のエンドファイアアレイアンテナ、進行波アンテナ及びブロードサイドアレイアンテナと同様の構成とすることが望ましい。この場合、平面型受信アンテナとしてエンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナを適用したときは、受信波の受信方向は、アンテナ面に対して略平行となり、平面型受信アンテナとしてブロードサイドアレイアンテナを適用したときは、受信波の受信方向は、アンテナ面に対して垂直となる。また、前述したように、平面型送信アンテナ及び平面型受信アンテナは送受兼用アンテナとすることができるため、前述のエンドファイアアレイアンテナ、進行波アンテナ及びブロードサイドアレイアンテナは、当然にそれぞれ送受兼用アンテナとすることができる。
【0070】
ここでは、図1の平面型送信アンテナ14について説明したが、これはアンテナの機能に着目したためであり、平面型受信アンテナ21についても、アンテナ面に平行な方向に指向性を有する図2の平面型のアンテナ24として、平面型受信アンテナを図4の車両50のリヤウィンド44に装着することとした場合、図1の平面型送信アンテナ14と同様にエンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナとすることが望ましい。図5のエンドファイアアレイアンテナ54又は図6の進行波アンテナ64により、平面型受信アンテナを図4の車両50のリヤウィンド44に形成しつつ車両50の横方向からの受信波を受信することができる。
【0071】
また、同様に、図1の平面型受信アンテナ21は、アンテナ面の垂直方向に指向性を有する図3の平面型のアンテナ34として、平面型受信アンテナを図4の車両50のサイドウィンド43に装着することとした場合、図1の平面型送信アンテナ14と同様にブロードサイドアレイアンテナとすることが望ましい。図8のブロードサイドアレイアンテナ74により、平面型受信アンテナを図4のサイドウィンド43に形成して車両50の横方向からの受信波を受信することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の車載用レーダー装置は、車両の衝突防止や車線変更アシストを目的とした車載用レーダー装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の車載用レーダー装置の実施形態の一例を説明するブロック図である。
【図2】本発明の車載用レーダー装置の一例を示した概略構成図である。
【図3】平面型のアンテナの一例を示した概略構成図である。
【図4】車載用レーダー装置及び平面型送信アンテナの車両における配置の一例を示した概略図である。
【図5】エンドファイアアレイアンテナの一例を示した概略構成図を示す。
【図6】進行波アンテナの一例を示した概略構成図である。
【図7】導電体板とアンテナのアンテナ面との距離に対する指向性の変化を示した概略図である。
【図8】ブロードサイドアレイアンテナの一例を示した概略構成図である。
【符号の説明】
【0074】
11:信号出力回路、12:発振器、13:変調回路、14:平面型送信アンテナ、21:平面型受信アンテナ、22:復調回路
24:平面型のアンテナ、26:アンテナ面、27:筺体、28:指向性、29:装着面、34:平面型のアンテナ、36:アンテナ面、38:指向性、39:装着面
40:タイヤ、41:タイヤハウス、42:車両床下、43:サイドウィンド、44:リヤウィンド、45:サイドミラー、46:進行方向、47a、b:平面型送信アンテナ、48a−e:送信波、49a、b:平面型受信アンテナ、50:車両、51a−e:受信波
54:エンドファイアアレイアンテナ、55:アンテナ、56:アンテナ面、57:放射方向、58:導電体板、64:進行波アンテナ、65:アンテナ、66:アンテナ面、67:放射方向、68:導電体板、74:ブロードサイドアレイアンテナ、75:アンテナ、76:アンテナ面、77:放射方向、78:導電体板、84:進行波アンテナ、85:アンテナ、86:アンテナ面、88:導電体板、89:指向性
100:車載用レーダー装置、100a−c:車載用レーダー装置、101:車載用レーダー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を送出する送信回路と、
前記送信回路からの送信波をアンテナ面に略平行な方向に放射する平面型送信アンテナと、
前記送信アンテナからの送信波のうち対象物で反射した受信波をアンテナ面に略平行な方向から受信する平面型受信アンテナと、
前記受信アンテナからの受信波を復調する受信回路と、を備え、
前記送信波を車両の略横方向に放射するよう車両のタイヤハウス、車両床下又はサイドミラーに装着されていることを特徴とする車載用レーダー装置。
【請求項2】
前記平面型送信アンテナがエンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナであることを特徴とする請求項1に記載の車載用レーダー装置。
【請求項3】
前記平面型送信アンテナの電磁波の導波方向に平行な導電体板が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車載用レーダー装置。
【請求項4】
前記平面型送信アンテナと前記導電体板との間に誘電体が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の車載用レーダー装置。
【請求項5】
送信波を送出する送信回路と、
前記送信回路からの送信波を車両の略横方向に放射する平面型送信アンテナと、
前記送信アンテナからの送信波のうち対象物で反射した受信波を前記車両の略横方向から受信する平面型受信アンテナと、
前記受信アンテナからの受信波を復調する受信回路と、を備え、
前記平面型送信アンテナ及び前記平面型受信アンテナは、リヤウィンド又はサイドウィンドに形成されていることを特徴とする車載用レーダー装置。
【請求項6】
リヤウィンドに形成された前記平面型送信アンテナがエンドファイアアレイアンテナ又は進行波アンテナであることを特徴とする請求項5に記載の車載用レーダー装置。
【請求項7】
サイドウィンドに形成された前記平面型送信アンテナがブロードサイドアレイアンテナであることを特徴とする請求項5に記載の車載用レーダー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−64730(P2007−64730A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249168(P2005−249168)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】