車載用レーダ装置
【課題】自動車用の電波パルスレーダ装置においては、電波障害により被検出物体(ターゲット)の誤検知や検出漏れが発生する場合がある。外来電波による電波障害によって、被検出物体の誤検知、検知漏れが発生するということは、ACC制御、プリクラッシュ制御、低速追従走行制御等の車両制御装置に対し非安全側へ影響を及ぼすことになる。
【解決手段】ビーム受信手段で被検出物体から反射された受信信号を検出して相対距離及び相対速度を検出するレーダ観測期間後からビーム送信手段で次の送信信号を送出するまでの間のレーダ観測期間外を電波障害判定期間とし、この電波障害判定期間に到来した受信信号の信号レベルが予め定めた閾値を超えた場合に電波障害であると判定する外来電波判定手段を設けたものである。
【解決手段】ビーム受信手段で被検出物体から反射された受信信号を検出して相対距離及び相対速度を検出するレーダ観測期間後からビーム送信手段で次の送信信号を送出するまでの間のレーダ観測期間外を電波障害判定期間とし、この電波障害判定期間に到来した受信信号の信号レベルが予め定めた閾値を超えた場合に電波障害であると判定する外来電波判定手段を設けたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等に搭載されたレーダ装置により被検出物体との相対距離および相対速度を測定するようにした車載用レーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用レーダ装置は、送信部から被検出物体(ターゲット)に向けて電波ビームを放射し、受信部により放射範囲内にある被検出物体から反射された電波ビームを受信し、電波の送信から受信するまでの時間から被検出物体までの相対距離および相対速度を計測するものである。
以上のような構成をとる車載用レーダ装置において、該装置の発した電波による反射波以外の外来電波によりビート信号に障害を生じた場合、被検出物体の誤検知、検知漏れが発生する恐れがある。
自動車用の電波パルスレーダ装置において、外来電波による電波障害によって、被検出物体の誤検知、検知漏れが発生するということは、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)制御、プリクラッシュ制御、低速追従走行制御等の車両制御装置に対し非安全側へ影響を及ぼすことになる。
【0003】
このような外来電波による障害時の対策として、送信波の中心周波数を周期的にシフトし、それぞれの周波数において検出された被検出物体の位置情報の中で多数決を行い、電波障害で誤った被検出物体の検知結果がある場合に、それを排除する等の信号処理上での工夫を行った車載用電波レーダ装置がある。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−109046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような外来電波による電波障害を信号処理の工夫だけで取り除くにはハードウェア、ソフトウェアの両面から大きな負担になるだけでなく、これを完全に防止することは困難であった。そこで、これら信号処理上の工夫と合わせて被検出物体の検出結果に対する信憑性を判断し、車の制御を安全側へ導くために、電波障害自体を検出する手段が求められていた。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するため、通常観測期間後の無信号期間の受信信号を観測することで、特別なハードウェア追加をすることなく、該レーダ装置が外来電波による障害(影響)下にあるか否かを判定出来るようにした車載用レーダ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の車両用レーダ装置は、レーダビームを送信信号として放射する送信手段と、放射されたレーダビームの放射範囲内にある被検出物体から反射された信号を受信する受信手段と、送信信号と受信信号の処理結果から、被検出物体との相対距離、相対速度を算出する信号処理手段とを有した車両用レーダ装置において、受信手段で被検出物体から反射された受信信号を検出するレーダ観測期間後から送信手段で次の送信信号を送出するまでの間のレーダ観測期間外に到来する受信信号を検出処理する外来電波処理手段と、この外来電波処理手段で処理した受信信号レベルが予め定めた閾値を超えた場合に電波障害であると判定する外来電波判定手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の車載用レーダ装置によれば、余分なハードウェアを追加することなく、外来電波による電波障害による被検出物体(障害物)の誤検知、検知漏れを抑制し、レーダ装置としての検出結果の信頼性を向上することが出来る。これは、ACC等の車両自動制御を安全側に保てることを意味しており、エンドユーザの保護、快適性確保に寄与するレーダ装置を余分なコストをかけずに提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1
この発明の実施の形態1における車載用レーダ装置を図1〜図7について説明する。図1はこの発明に係る車載用レーダ装置の概念的な構成を示したブロック図、図2は外来電波による障害の有無を判定する機能ブロック図、図3はこの発明に係る車載用レーダ装置の動作を示す説明図、図4はこの発明に係るターゲットの検出方法を示す説明図、図5はこの発明に係るターゲットの検出方法の一例であるFFT結果を示す説明図、図6はこの発明に係るターゲットとの相対距離と受信レベルの関係ならびに電波障害判定期間を示す説明図、図7はこの発明の実施の形態1における電波障害判定動作を示す説明図である。
【0009】
図1に示す車載用レーダ装置のブロック図において、レーダ装置の送信部は、車両等の被検出物体(ターゲット)に対して電波を放射するための電磁波を出力する発振器(VCO=Voltage ControlledOscillator)1、電磁波の電力を分配する電力分配器2、送信アンプ3、送信オンオフ用スイッチ4、および送信アンテナ5で構成される。送信アンテナ5からのレーダビームの送信信号はレドーム6を介して被検出物体(ターゲット)7に向けて放射される。
レーダ装置の受信部は、被検出物体7からの反射波を受ける受信アンテナ8、受信アンプ9、受信信号と電力分配器2で分配された電磁波とを混合するミキサ10、フィルタ11、受信信号のゲインを調整するIFアンプ12、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器13で構成される。
A/D変換器13からのデジタル信号を入力する信号処理装置14は、電波の送信から受信するまでの時間からFFT(Fast Fourier Transform)演算処理を行なって、レーダ装置を搭載した車両から被検出物体7までの相対距離および相対速度を計測する。また、信号処理装置14は、送信アンテナ5から送信信号を放射するタイミングを決めるため、送信オンオフ用スイッチ4をオンするタイミングを制御している。なお、発振器1の発振周波数を制御するための電圧生成用DA変換器15が発信器1に接続されている。
【0010】
図2は図1に示す信号処理装置14のうち、外来電波による障害の有無を判定する回路部分を主体に示したブロック図で、A/D変換器13からのデジタル信号をサンプリングしてそのデータを蓄積するデータ蓄積メモリ21、蓄積されたデジタル信号のデータからFFT演算処理する信号処理部22、FFT演算処理結果およびFFT演算処理に使用されたデジタル信号データを蓄積する記憶部23、記憶部23に蓄積されたデジタル信号データの内、レーダ観測期間外(後述する)の期間に受信されたデータから予め定めた閾値を超える信号データを検出する外来電波検出部24、自車速や走行距離に基づいて、閾値を設定するマイコン25で構成されている。
【0011】
なお、信号処理部22は、レーダ観測期間内に検出された受信信号から被検出物体7までの相対距離Rおよび相対速度Vを計測する信号処理部を構成する共に、レーダ観測期間外に到来する受信信号もFFT信号処理する処理部を構成する。したがってこの信号処理部22とデジタル信号データを蓄積する記憶部23とで、外来電波処理手段を構成している。
また、外来電波検出部24には、マイコン25からピークノイズ検出閾値とノイズフロア検出閾値の2つの閾値が設定される。こうして外来電波検出部24とマイコン25とで外来電波による電波障害を検出する外来電波判定手段を構成する。
【0012】
次に、図3乃至図6に基づき、レーダ装置により被検出物の相対距離および相対速度を検出する動作について説明する。まずレーダ装置の電波送信動作を説明する。発振器1から送信周波数ftx(例えば76.5GHz)の電波が出力される。その電波は電力分配器2、送信アンプ3を通過し、送信オンオフ用スイッチ4によりパルス変調される。パルス変調された電波は送信アンテナ5からレドーム6を通過し、空間に図3に示す送信パルスが放射される。
次に電波受信動作を説明する。送信アンテナ5からレドーム6を通過して空間に出力された電波は距離Rに存在する被検出物体7で反射され、図3のように距離Rに依存する遅延時間△tをもって再びレドーム6を通過し受信アンテナ8で受信パルスが入力される。また、被検出物体7が相対速度を持つとき受信電波周波数は送信電波周波数ftxに対してfbだけドップラシフトされる。受信アンテナ8で入力された受信パルス信号は受信アンプ9で増幅され、ミキサ10で電力分配器2からのローカル用電波信号とミキシングされ、図3に示すビート信号を出力する。得られたビート信号はフィルタ11を通過し、IFアンプ12により増幅されてA/D変換器13に入力される。
【0013】
信号処理装置14においては、図3に示すように観測された受信信号の距離ゲートから被検出物体7までの距離を算出できる。また図4及び図5のように、A/D変換器13に入力されたデータをパルスn発分観測し、信号処理装置14でFFT処理をかければドップラシフト周波数fbが求まり、これを元に被検出物体7の相対速度も求めることが出来る。
ここで、相対距離R、相対速度Vは下記式(1)(2)で計算できる。
【数1】
【数2】
ここで、tgは距離ゲート時間幅、nは距離ゲート番号、Cは光速、fbはビート周波数、foは送信周波数である。
【0014】
図1に示す車載用レーダ装置において、パルス変調をかけた電波を送信し、その反射波からビート信号を抽出、FFT処理をかけて被検出物体7までの相対距離R、相対速度Vを求める動作を繰り返して行う。このビート信号の受信レベルは、被検出物体7までの距離Rの4乗に反比例する形で減衰する。ある送信パルスAに対するビート信号受信レベルと被検出物体7との距離の関係を図6に示す。該レーダ装置において、通常、被検出物体7を検出出来なくなるまで受信レベルが減衰する距離に相当する期間を通常観測期間Tsとし、これを任意の距離ゲートに分割して観測している。この通常観測期間Tsの後、IFアンプ12のゲイン操作等のレーダ装置として必要な操作にかかる時間を加味して、次の送信パルスBの送信までの時間を決めている。即ち、送信パルスを放射する間隔は、レーダ装置が観測可能な距離から電波の往復に必要となる時間を算出し、これに信号処理操作に必要な時間を加味したものとなっている。
【0015】
ここで、レーダ装置単体で考えれば、通常観測期間後から次の送信パルスBを送信するまでの期間においては、ビート信号受信レベルは回路系ノイズに相当する十分に低いところで安定しているはずである。従って、図4、図5で説明した信号処理(FFT演算)結果のレベルは基本的に回路系の持つノイズレベルに収まっているはずである。また、これはレーダ装置出荷時にも基本特性として確認されているはずであるから、このポイントにおいて何らかのビート信号が検知されるということは、レーダ装置が想定している通常動作とは異なる状態にあることを示している。このポイントでビート信号に振幅が認められるということは、受信アンテナ8から何らかの電波を受信したものがミキサ10の出力に現れているか、回路系に外来電波の影響が出ているものと想定される。この場合、通常観測期間Tsにおいても影響が出ているものと考えられる。
【0016】
この発明は、受信手段で被検出物体から反射された受信信号を検出するレーダ観測期間Ts後から送信手段で次の送信信号を送出するまでの間のレーダ観測期間外を電波障害判定期間Tnおよび送信準備期間Tpとし、電波障害判定期間Tnに到来する信号を観測することにより、特別なハードウェアを追加することなく、レーダ装置が外来電波による障害があるか否かを判定できるようにしたものである。以下、外来電波による障害の有無を検出する動作を図2および図7に基づいて説明する。図7(a)は正常動作時を、図7(b)はピークノイズを検出した電波障害時を、図7(c)はノイズフロアを検出した電波障害時をそれぞれ示す。
【0017】
図2に示すように、電波障害判定期間Tnにおいても、通常観測期間Tsと同様にA/D変換器13からのデジタル信号をサンプリングしてそのデータをデータ蓄積メモリ21に蓄積する。蓄積されたデジタル信号のうち、通常観測期間Tsで観測されたデータから信号処理部22でFFT演算処理して被検出物体7までの相対距離Rおよび相対速度Vを計測する。同時にこの信号処理部22で電波障害判定期間Tnに観測された受信信号もFFT演算処理する。FFT演算処理結果およびFFT演算処理に使用されたデジタル信号データは記憶部23に蓄積しておく。電波障害判定期間TnにおけるFFT演算処理結果を図7に示す。
次に、マイコン25で自車速や走行距離に基づいて、外来電波障害判定レベル閾値を計算し、外来電波検出部24に対して設定する。この外来電波障害判定レベル閾値は、図7に示すように外来電波の影響を受けていない正常時の受診レベルに対し、ピークノイズ検出閾値Lpとノイズフロア検出閾値Lnの2つの閾値を設ける。ここで、ピークノイズとは、例えば、違法出力無線機、放送局、レーダ装置と同周波数帯を使った他のレーダ装置などの電波源からの障害信号である。ノイズフロアとは、ホワイトノイズ的に時間軸で平均すると一様な分布を持つノイズレベルを指し、元々回路系で持っている一様な分布のノイズレベルに対し、外来電波により一様なエネルギーを注入された場合、元のノイズフロアがかさ上げされた形で上昇するノイズである。
【0018】
外来電波検出部24は、マイコン25から設定された閾値Lp、Lnに基づいて、記憶部23に蓄積されている電波障害判定期間Tnに観測されたデータがそれぞれの閾値を超えているかどうかを判定する。外来電波検出部24の判定結果における各状態を図7に示す。
図7(a)は電波障害判定期間Tnに観測した受信信号レベルがいずれの閾値Lp、Lnも超えていない場合で、これはレーダ装置が外来電波による障害を受けていない正常状態を示している。図7(b)は電波障害判定期間Tnに観測した受信信号レベルがピークノイズ検出閾値Lpを超えた場合で、これはレーダ装置が外来電波による障害を受けている状態なので、図示していない送出手段で車両制御装置側に通知する。このように受信信号がピークノイズ検出閾値Lpを超える状態は、外来電波の周波数が一定で、FFT処理結果としては、これに対応した周波数にエネルギーが集中した形として鋭いピークが現れるためである。図7(c)は電波障害判定期間Tnに観測した受信信号レベルがピークノイズ検出閾値Lpを超えないがノイズフロア検出閾値Lnを超えた場合で、これはレーダ装置が外来電波による障害を受けている状態なので、図示していない送出手段で車両制御装置側に通知する。このように受信信号がノイズフロア検出閾値Lnを超える状態は、無線のような周波数の揺らぎを伴う外来電波である場合は、FFT処理結果としてエネルギー分散した形でノイズフロア全体が持ち上がったような形となることに対応したものである。
なおノイズフロアはピークノイズのように一箇所にエネルギーが集中して現れるのではなく、エネルギーが分散した形で現れるので、受信信号がノイズフロア検出閾値Lnを所定回数超えた場合にノイズフロアとして検出するようにする。また以上はピークノイズとノイズフロアの2つを検出するようにしたが、どちらか一方だけでも良い。
【0019】
図7(b)(c)のように、レーダ装置が外来電波による障害を受けていることを検出した場合、外来電波判定手段は、図示していない送出手段を介して、車間距離制御システムACC(Adaptive Cruise Control System)、低速追従走行制御システム、プリクラッシュ(セーフティ)制御システムなどの車両制御装置に送出し、車両制御装置はそれぞれ安全側に制御して、運転者の保護或いは快適性確保を図る。
【0020】
実施の形態2
実施の形態1で説明したように、電波障害判定期間Tnにおいて閾値を超える特定ピークの1回観測にてレーダ装置が外来電波障害下にあると判定するのは、一時的なノイズ等を考えた場合問題がある。実施の形態2の発明は、電波障害判定期間Tnにおいて閾値を超える周波数成分が観測された場合、現在から過去にさかのぼってのノイズ成分の連続性を検証し、予め設定した条件以上の連続性が認められた場合、電波障害下にあると判断し、車両制御装置側に通知するようにしたものである。
【0021】
図8は実施の形態2における外来電波による障害の有無を判定する機能ブロック図で、図8において、デジタル信号のデータを蓄積するデータ蓄積メモリ21、FFT演算処理する信号処理部22、FFT演算処理結果およびデジタル信号データを蓄積する記憶部23、予め定めた閾値を超える信号データを検出する外来電波検出部24、閾値を設定するマイコン25については実施の形態1と同じであるので、詳細な説明は省略する。
実施の形態2では、更に、外来電波検出部24で検出したノイズ成分の連続性を検証する連続性判定部26、連続性判定部26で判定した結果を蓄積するメモリ27、ノイズ成分の連続性が所定回数継続した場合に外来電波による障害と出力するカウンタ28を有している。カウンタ28にはマイコン25から連続性の回数が設定される。
この実施の形態2では、外来電波判定手段は、外来電波検出部24とマイコン25と連続性判定部26とメモリ27とカウンタ28で構成される。
【0022】
この実施の形態2における動作を図7に基づいて説明する。図7(b)に示すように、今回の電波障害判定期間Tnにおいてピークノイズ検出閾値Lpを超える周波数成分が観測された場合、連続性判定部26で前回の電波障害判定期間Tnにおいてピークノイズ検出閾値Lpを超えた周波数成分と同じかどうか判定し、同じであれば電波障害と判定する。また図7(c)に示すように、今回の電波障害判定期間Tnにおいてノイズフロア検出閾値Lnを超える周波数成分が観測された場合、連続性判定部26で前回の電波障害判定期間Tnにおいてノイズフロア検出閾値Lnを超えた周波数成分と同じかどうか判定し、同じであれば電波障害と判定する。
また図7では、前回の結果と今回の結果の2回の連続性を検証する例を示しているが、図8に示すように、電波障害判定期間Tnにおいてデータがピークノイズ検出閾値Lp或いはノイズフロア検出閾値Lnを超えた場合、その判定結果をメモリ27に蓄積しておく。そして、カウンタ28においてマイコン25から設定した任意の回数以上に連続性が認められた場合に、真の電波障害と判定することで誤判定確立を抑えることが出来る。
【0023】
実施の形態3
実施の形態1および2では、外来電波による障害の判定方法について述べた。レーダ装置を、ACC制御システム等に使うことを考えれば、電波障害下においても出来る限り被検出物体の検知を続ける必要がある。つまり、電波障害による検知不能期間を出来るだけ短くする方法が求められる。実施の形態3の発明は、通常観測期間Tsにおける障害情報の除去方法を提案するものである。
以下、この発明の実施の形態3における車載用レーダ装置を図9〜図11について説明する。図9はこの発明に係る外来電波処理手段及び外来電波判定手段を示す機能ブロック図、図10は通常観測期間Tsにおける障害情報の除去方法を示す図、図11は障害情報の除去方法のフロチャートを示す図である。
【0024】
図9のブロック図において、実施の形態2における構成と同じ構成或いは相当する構成については同一符号を付し、説明を省略する。実施の形態3では実施の形態2における連続性判定部26に代えて、外来電波検出部24で検出したノイズ成分の相関性および連続性を検証する相関性判定部29を有している。また相関性判定部29にはマイコン25から相関性の閾値を決める閾値Lsが設定される。
この実施の形態3では、外来電波判定手段は、外来電波検出部24とマイコン25と相関性判定部29とメモリ27とカウンタ28で構成される。
【0025】
この実施の形態3における動作を図10、図11に基づいて説明する。実施の形態3において外来電波の障害が外来電波検出部24にて検出された場合、図10に示すように、まず、今回の電波障害判定期間Tnにおいて閾値Lsを超えるピークA’の周波数成分と同一の周波数成分のピークが、今回の通常観測期間Tsにあるかどうかを相関性判定部29で比較判定する。このステップが図11のステップS11(比較1)である。ステップS11で、もし今回の通常観測期間Tsに同一周波数成分で受信レベルも同一程度のピークAが認められた場合、ピークAは外来電波障害によるものと判定し、被検出物体(ターゲット)候補から除外する。引き続き、電波障害判定期間Tnで他のピークがある場合は同じ処理を行う。
【0026】
次に、今回の通常観測期間TsのFFT処理結果で得られたピークBの確からしさを確認するために、今回の電波障害判定期間Tnに得られたFFT処理結果において、ピークBの周波数成分と同じピークB’が存在しないかを相関性判定部29で比較判定する。このステップが図11のステップS12(比較2)である。ステップS12で、今回の電波障害判定期間TnにピークB’が存在しないのであれば、ピークBは被検出物体(ターゲット)候補であると判定する。
次に、電波障害判定と同様に、今回の通常観測期間Tsに検出された被検出物体(ターゲット)候補であるピークBについて、前回の通常観測期間TsにもピークBと同一周波数成分の信号があるかどうかの連続性について相関性判定部29で比較判定する。このステップが図11のステップS13(比較3)である。このステップS13で連続性が確認されれば、ピーク周波数Bは被検出物体(ターゲット)であると判定する。その最終判定がステップS14である。
【0027】
こうして、所定閾値Lsを超えた信号が電波障害によるものか、被検出物体(ターゲット)のものかを判定するのに、数段のフィルターを設けることで誤判定を抑えることができる。なお、ステップS11〜S13はすべて必須である必要でなく、いずれか1つのステップを用いても電波障害または被検出物体の検出の信頼性は高くなる。
また、電波障害が発生した時点から被検出物体(ターゲット)のピークBの連続性が突然途絶えたり、不安定になった場合は、被検出物体(ターゲット)からの反射波と障害電波の合成によりビート信号が観測されなくなったと考えて、安全側の処置として検知不能を車両制御側に通知する。
【0028】
実施の形態4
実施の形態2では、電波障害成分の連続性を検証するための期間(回数)を任意とした。この連続性の検証に許される時間は、レーダ装置が搭載された車両の走行状態によって変わってくると考えられる。つまり、レーダ装置が載る車両の速度が一定、例えば80km/hであっても、被検出物体との相対距離の長短によって自車両を安全に保つのに許容される判定時間が変わってくる。同じように被検出物体との相対距離が一定、例えば20mであっても車両速度の大小によって自車両を安全に保つのに必要な判定時間が変わってくる。
この発明の実施の形態4は、被検出物体との相対距離と相対速度の関係から電波障害検出の確度を上げるに許される検証許容時間を設定するようにしたものである。
【0029】
以下、この発明の実施の形態4における車載用レーダ装置を図12〜図13について説明する。図12はこの発明に係る外来電波処理手段及び外来電波判定手段を示す機能ブロック図、図13は検証許容時間を設定するためのマップイメージを示す図である。
図12のブロック図において、実施の形態3における構成と同じ構成或いは相当する構成については同一符号を付し、説明を省略する。実施の形態4では実施の形態3におけるマイコン25の中に、検証許容時間を設定するための図13に示すようなマップ30を設けている。
図13に示すマップ30は、横軸に相対距離、縦軸に連続性検証許容時間とし、相対速度をパラメータとしたもので、相対速度が大きいほど連続性検証許容時間は短くする。また相対距離が小さいほど連続性検証許容時間は短くする。
【0030】
この実施の形態4では、マイコン25に自車速度などの車両の走行状態を入力すると共に、記憶部23からレーダ装置が観測した相対距離Rおよび相対速度Vを入力し、マイコン25はそれを基にマップ30から連続性検証許容時間を算出する。そしてこの連続性検証許容時間を基に、連続性判定および相関性判定部29の閾値やカウンタ28に設定する設定回数などを決める。こうして車両制御上許される電波障害判定時間を出来るだけ長く確保した上で、電波障害判定の誤検知確率を最大限減らすことで、安定した滑らかな車両制御状態を確保する。
【0031】
実施の形態5
実施の形態1〜4にて、レーダ装置が外来電波による障害下にあることを前提にその検出方法を説明した。レーダ装置に、電波障害を引き起こすような電波を発する設備は一般的にまれであると考えられる。例えば、違法出力無線、放送局などの直近や、レーダ装置と同周波数帯を使った他のレーダ装置との干渉などが考えられる。しかし、レーダ装置が搭載される車両がある所定の距離以上走行したにもかかわらず、引き続いて電波障害を検出するようであれば、これらの原因は考えにくく、これは外来電波による障害ではないと考えられる。例えば、高周波回路の異常発振であったり、同回路系電源の異常であったりした場合も同じような現象が考えられる。
【0032】
この発明の実施の形態5は、実施の形態1〜4のような外来電波の障害検出に加えて、レーダ装置内部の回路異常も検出するようにしたものである。そのブロック構成図は図14に示す。図14における構成は、図9に示す実施の形態3とほぼ同じ構成につき、説明を省略する。
図14において、マイコン25は自車両の走行距離をモニタすると共に、カウンタ28からの信号で電波障害の連続性をモニタし、ある走行距離以上連続して電波障害検知が続いた場合に限り、回路系異常と判断する。回路異常と判断された場合、マイコン25はレーダ装置故障として車両制御装置側へ回路異常を通知する。
【0033】
実施の形態6
実施の形態5にて、レーダ装置が搭載される車両が、ある所定の距離以上走行した場合との条件を設けた。しかし、高速道路等、自動車が比較的長い距離を併走するような場合、レーダ装置を搭載する車両と、例えば違法無線を搭載する車両が併走することが例外的に考えられる。この場合、レーダ装置は故障していないにもかかわらず回路故障と判断してしまう危険性がある。実施の形態6の発明は、このような回路故障の判断を防止するようにしたものである。そのブロック構成図は図15に示す。図15における構成は、図9に示す実施の形態3とほぼ同じ構成につき、説明を省略する。
【0034】
図15において、マイコン25はレーダ装置が搭載される車両に搭載されるナビゲーション装置から、自車両がおかれる位置情報を入力している。先に説明した高速道路を走行している場合などは回路故障の判定基準となる所定の走行距離を長くとるなどの変更手段をマイコン25に設けることで、回路故障誤判定の確立を抑えることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載用レーダ装置の概念的な構成を示したブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る車載用レーダ装置の基本動作を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるターゲットの検出方法を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるターゲットの検出方法の一例であるFFT結果を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1によるターゲットとの相対距離と受信レベルの関係ならびに電波障害判定期間を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1による電波障害判定動作を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態3による電波障害判定動作を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態3による電波障害判定手順を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態4による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態4による電波障害判定に許容される時間イメージを示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態5による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図15】この発明の実施の形態6による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
1:発振器 2:電力分配器
3:送信アンプ 4.送信スイッチ
5:送信アンテナ 6:レドーム
7:被検出物(ターゲット) 8:受信アンテナ
9:受信アンプ 10:ミキサ
11:フィルタ(高域カットフィルター) 12:IFアンプ
13:A/D変換器 14:信号処理回路
21:データ蓄積メモリ 22:信号処理部
23:記憶部 24:外来電波検出部
25:マイコン 26:連続性判定部
27:蓄積メモリ 28:カウンタ
29:相関性判定部 30:マップ
Ts:通常観測期間 Tn:電波障害判定期間
Lp:ピークノイズ検出閾値 Ln:ノイズフロア検出閾値
Ls:閾値
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等に搭載されたレーダ装置により被検出物体との相対距離および相対速度を測定するようにした車載用レーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用レーダ装置は、送信部から被検出物体(ターゲット)に向けて電波ビームを放射し、受信部により放射範囲内にある被検出物体から反射された電波ビームを受信し、電波の送信から受信するまでの時間から被検出物体までの相対距離および相対速度を計測するものである。
以上のような構成をとる車載用レーダ装置において、該装置の発した電波による反射波以外の外来電波によりビート信号に障害を生じた場合、被検出物体の誤検知、検知漏れが発生する恐れがある。
自動車用の電波パルスレーダ装置において、外来電波による電波障害によって、被検出物体の誤検知、検知漏れが発生するということは、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)制御、プリクラッシュ制御、低速追従走行制御等の車両制御装置に対し非安全側へ影響を及ぼすことになる。
【0003】
このような外来電波による障害時の対策として、送信波の中心周波数を周期的にシフトし、それぞれの周波数において検出された被検出物体の位置情報の中で多数決を行い、電波障害で誤った被検出物体の検知結果がある場合に、それを排除する等の信号処理上での工夫を行った車載用電波レーダ装置がある。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−109046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような外来電波による電波障害を信号処理の工夫だけで取り除くにはハードウェア、ソフトウェアの両面から大きな負担になるだけでなく、これを完全に防止することは困難であった。そこで、これら信号処理上の工夫と合わせて被検出物体の検出結果に対する信憑性を判断し、車の制御を安全側へ導くために、電波障害自体を検出する手段が求められていた。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するため、通常観測期間後の無信号期間の受信信号を観測することで、特別なハードウェア追加をすることなく、該レーダ装置が外来電波による障害(影響)下にあるか否かを判定出来るようにした車載用レーダ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の車両用レーダ装置は、レーダビームを送信信号として放射する送信手段と、放射されたレーダビームの放射範囲内にある被検出物体から反射された信号を受信する受信手段と、送信信号と受信信号の処理結果から、被検出物体との相対距離、相対速度を算出する信号処理手段とを有した車両用レーダ装置において、受信手段で被検出物体から反射された受信信号を検出するレーダ観測期間後から送信手段で次の送信信号を送出するまでの間のレーダ観測期間外に到来する受信信号を検出処理する外来電波処理手段と、この外来電波処理手段で処理した受信信号レベルが予め定めた閾値を超えた場合に電波障害であると判定する外来電波判定手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の車載用レーダ装置によれば、余分なハードウェアを追加することなく、外来電波による電波障害による被検出物体(障害物)の誤検知、検知漏れを抑制し、レーダ装置としての検出結果の信頼性を向上することが出来る。これは、ACC等の車両自動制御を安全側に保てることを意味しており、エンドユーザの保護、快適性確保に寄与するレーダ装置を余分なコストをかけずに提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1
この発明の実施の形態1における車載用レーダ装置を図1〜図7について説明する。図1はこの発明に係る車載用レーダ装置の概念的な構成を示したブロック図、図2は外来電波による障害の有無を判定する機能ブロック図、図3はこの発明に係る車載用レーダ装置の動作を示す説明図、図4はこの発明に係るターゲットの検出方法を示す説明図、図5はこの発明に係るターゲットの検出方法の一例であるFFT結果を示す説明図、図6はこの発明に係るターゲットとの相対距離と受信レベルの関係ならびに電波障害判定期間を示す説明図、図7はこの発明の実施の形態1における電波障害判定動作を示す説明図である。
【0009】
図1に示す車載用レーダ装置のブロック図において、レーダ装置の送信部は、車両等の被検出物体(ターゲット)に対して電波を放射するための電磁波を出力する発振器(VCO=Voltage ControlledOscillator)1、電磁波の電力を分配する電力分配器2、送信アンプ3、送信オンオフ用スイッチ4、および送信アンテナ5で構成される。送信アンテナ5からのレーダビームの送信信号はレドーム6を介して被検出物体(ターゲット)7に向けて放射される。
レーダ装置の受信部は、被検出物体7からの反射波を受ける受信アンテナ8、受信アンプ9、受信信号と電力分配器2で分配された電磁波とを混合するミキサ10、フィルタ11、受信信号のゲインを調整するIFアンプ12、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器13で構成される。
A/D変換器13からのデジタル信号を入力する信号処理装置14は、電波の送信から受信するまでの時間からFFT(Fast Fourier Transform)演算処理を行なって、レーダ装置を搭載した車両から被検出物体7までの相対距離および相対速度を計測する。また、信号処理装置14は、送信アンテナ5から送信信号を放射するタイミングを決めるため、送信オンオフ用スイッチ4をオンするタイミングを制御している。なお、発振器1の発振周波数を制御するための電圧生成用DA変換器15が発信器1に接続されている。
【0010】
図2は図1に示す信号処理装置14のうち、外来電波による障害の有無を判定する回路部分を主体に示したブロック図で、A/D変換器13からのデジタル信号をサンプリングしてそのデータを蓄積するデータ蓄積メモリ21、蓄積されたデジタル信号のデータからFFT演算処理する信号処理部22、FFT演算処理結果およびFFT演算処理に使用されたデジタル信号データを蓄積する記憶部23、記憶部23に蓄積されたデジタル信号データの内、レーダ観測期間外(後述する)の期間に受信されたデータから予め定めた閾値を超える信号データを検出する外来電波検出部24、自車速や走行距離に基づいて、閾値を設定するマイコン25で構成されている。
【0011】
なお、信号処理部22は、レーダ観測期間内に検出された受信信号から被検出物体7までの相対距離Rおよび相対速度Vを計測する信号処理部を構成する共に、レーダ観測期間外に到来する受信信号もFFT信号処理する処理部を構成する。したがってこの信号処理部22とデジタル信号データを蓄積する記憶部23とで、外来電波処理手段を構成している。
また、外来電波検出部24には、マイコン25からピークノイズ検出閾値とノイズフロア検出閾値の2つの閾値が設定される。こうして外来電波検出部24とマイコン25とで外来電波による電波障害を検出する外来電波判定手段を構成する。
【0012】
次に、図3乃至図6に基づき、レーダ装置により被検出物の相対距離および相対速度を検出する動作について説明する。まずレーダ装置の電波送信動作を説明する。発振器1から送信周波数ftx(例えば76.5GHz)の電波が出力される。その電波は電力分配器2、送信アンプ3を通過し、送信オンオフ用スイッチ4によりパルス変調される。パルス変調された電波は送信アンテナ5からレドーム6を通過し、空間に図3に示す送信パルスが放射される。
次に電波受信動作を説明する。送信アンテナ5からレドーム6を通過して空間に出力された電波は距離Rに存在する被検出物体7で反射され、図3のように距離Rに依存する遅延時間△tをもって再びレドーム6を通過し受信アンテナ8で受信パルスが入力される。また、被検出物体7が相対速度を持つとき受信電波周波数は送信電波周波数ftxに対してfbだけドップラシフトされる。受信アンテナ8で入力された受信パルス信号は受信アンプ9で増幅され、ミキサ10で電力分配器2からのローカル用電波信号とミキシングされ、図3に示すビート信号を出力する。得られたビート信号はフィルタ11を通過し、IFアンプ12により増幅されてA/D変換器13に入力される。
【0013】
信号処理装置14においては、図3に示すように観測された受信信号の距離ゲートから被検出物体7までの距離を算出できる。また図4及び図5のように、A/D変換器13に入力されたデータをパルスn発分観測し、信号処理装置14でFFT処理をかければドップラシフト周波数fbが求まり、これを元に被検出物体7の相対速度も求めることが出来る。
ここで、相対距離R、相対速度Vは下記式(1)(2)で計算できる。
【数1】
【数2】
ここで、tgは距離ゲート時間幅、nは距離ゲート番号、Cは光速、fbはビート周波数、foは送信周波数である。
【0014】
図1に示す車載用レーダ装置において、パルス変調をかけた電波を送信し、その反射波からビート信号を抽出、FFT処理をかけて被検出物体7までの相対距離R、相対速度Vを求める動作を繰り返して行う。このビート信号の受信レベルは、被検出物体7までの距離Rの4乗に反比例する形で減衰する。ある送信パルスAに対するビート信号受信レベルと被検出物体7との距離の関係を図6に示す。該レーダ装置において、通常、被検出物体7を検出出来なくなるまで受信レベルが減衰する距離に相当する期間を通常観測期間Tsとし、これを任意の距離ゲートに分割して観測している。この通常観測期間Tsの後、IFアンプ12のゲイン操作等のレーダ装置として必要な操作にかかる時間を加味して、次の送信パルスBの送信までの時間を決めている。即ち、送信パルスを放射する間隔は、レーダ装置が観測可能な距離から電波の往復に必要となる時間を算出し、これに信号処理操作に必要な時間を加味したものとなっている。
【0015】
ここで、レーダ装置単体で考えれば、通常観測期間後から次の送信パルスBを送信するまでの期間においては、ビート信号受信レベルは回路系ノイズに相当する十分に低いところで安定しているはずである。従って、図4、図5で説明した信号処理(FFT演算)結果のレベルは基本的に回路系の持つノイズレベルに収まっているはずである。また、これはレーダ装置出荷時にも基本特性として確認されているはずであるから、このポイントにおいて何らかのビート信号が検知されるということは、レーダ装置が想定している通常動作とは異なる状態にあることを示している。このポイントでビート信号に振幅が認められるということは、受信アンテナ8から何らかの電波を受信したものがミキサ10の出力に現れているか、回路系に外来電波の影響が出ているものと想定される。この場合、通常観測期間Tsにおいても影響が出ているものと考えられる。
【0016】
この発明は、受信手段で被検出物体から反射された受信信号を検出するレーダ観測期間Ts後から送信手段で次の送信信号を送出するまでの間のレーダ観測期間外を電波障害判定期間Tnおよび送信準備期間Tpとし、電波障害判定期間Tnに到来する信号を観測することにより、特別なハードウェアを追加することなく、レーダ装置が外来電波による障害があるか否かを判定できるようにしたものである。以下、外来電波による障害の有無を検出する動作を図2および図7に基づいて説明する。図7(a)は正常動作時を、図7(b)はピークノイズを検出した電波障害時を、図7(c)はノイズフロアを検出した電波障害時をそれぞれ示す。
【0017】
図2に示すように、電波障害判定期間Tnにおいても、通常観測期間Tsと同様にA/D変換器13からのデジタル信号をサンプリングしてそのデータをデータ蓄積メモリ21に蓄積する。蓄積されたデジタル信号のうち、通常観測期間Tsで観測されたデータから信号処理部22でFFT演算処理して被検出物体7までの相対距離Rおよび相対速度Vを計測する。同時にこの信号処理部22で電波障害判定期間Tnに観測された受信信号もFFT演算処理する。FFT演算処理結果およびFFT演算処理に使用されたデジタル信号データは記憶部23に蓄積しておく。電波障害判定期間TnにおけるFFT演算処理結果を図7に示す。
次に、マイコン25で自車速や走行距離に基づいて、外来電波障害判定レベル閾値を計算し、外来電波検出部24に対して設定する。この外来電波障害判定レベル閾値は、図7に示すように外来電波の影響を受けていない正常時の受診レベルに対し、ピークノイズ検出閾値Lpとノイズフロア検出閾値Lnの2つの閾値を設ける。ここで、ピークノイズとは、例えば、違法出力無線機、放送局、レーダ装置と同周波数帯を使った他のレーダ装置などの電波源からの障害信号である。ノイズフロアとは、ホワイトノイズ的に時間軸で平均すると一様な分布を持つノイズレベルを指し、元々回路系で持っている一様な分布のノイズレベルに対し、外来電波により一様なエネルギーを注入された場合、元のノイズフロアがかさ上げされた形で上昇するノイズである。
【0018】
外来電波検出部24は、マイコン25から設定された閾値Lp、Lnに基づいて、記憶部23に蓄積されている電波障害判定期間Tnに観測されたデータがそれぞれの閾値を超えているかどうかを判定する。外来電波検出部24の判定結果における各状態を図7に示す。
図7(a)は電波障害判定期間Tnに観測した受信信号レベルがいずれの閾値Lp、Lnも超えていない場合で、これはレーダ装置が外来電波による障害を受けていない正常状態を示している。図7(b)は電波障害判定期間Tnに観測した受信信号レベルがピークノイズ検出閾値Lpを超えた場合で、これはレーダ装置が外来電波による障害を受けている状態なので、図示していない送出手段で車両制御装置側に通知する。このように受信信号がピークノイズ検出閾値Lpを超える状態は、外来電波の周波数が一定で、FFT処理結果としては、これに対応した周波数にエネルギーが集中した形として鋭いピークが現れるためである。図7(c)は電波障害判定期間Tnに観測した受信信号レベルがピークノイズ検出閾値Lpを超えないがノイズフロア検出閾値Lnを超えた場合で、これはレーダ装置が外来電波による障害を受けている状態なので、図示していない送出手段で車両制御装置側に通知する。このように受信信号がノイズフロア検出閾値Lnを超える状態は、無線のような周波数の揺らぎを伴う外来電波である場合は、FFT処理結果としてエネルギー分散した形でノイズフロア全体が持ち上がったような形となることに対応したものである。
なおノイズフロアはピークノイズのように一箇所にエネルギーが集中して現れるのではなく、エネルギーが分散した形で現れるので、受信信号がノイズフロア検出閾値Lnを所定回数超えた場合にノイズフロアとして検出するようにする。また以上はピークノイズとノイズフロアの2つを検出するようにしたが、どちらか一方だけでも良い。
【0019】
図7(b)(c)のように、レーダ装置が外来電波による障害を受けていることを検出した場合、外来電波判定手段は、図示していない送出手段を介して、車間距離制御システムACC(Adaptive Cruise Control System)、低速追従走行制御システム、プリクラッシュ(セーフティ)制御システムなどの車両制御装置に送出し、車両制御装置はそれぞれ安全側に制御して、運転者の保護或いは快適性確保を図る。
【0020】
実施の形態2
実施の形態1で説明したように、電波障害判定期間Tnにおいて閾値を超える特定ピークの1回観測にてレーダ装置が外来電波障害下にあると判定するのは、一時的なノイズ等を考えた場合問題がある。実施の形態2の発明は、電波障害判定期間Tnにおいて閾値を超える周波数成分が観測された場合、現在から過去にさかのぼってのノイズ成分の連続性を検証し、予め設定した条件以上の連続性が認められた場合、電波障害下にあると判断し、車両制御装置側に通知するようにしたものである。
【0021】
図8は実施の形態2における外来電波による障害の有無を判定する機能ブロック図で、図8において、デジタル信号のデータを蓄積するデータ蓄積メモリ21、FFT演算処理する信号処理部22、FFT演算処理結果およびデジタル信号データを蓄積する記憶部23、予め定めた閾値を超える信号データを検出する外来電波検出部24、閾値を設定するマイコン25については実施の形態1と同じであるので、詳細な説明は省略する。
実施の形態2では、更に、外来電波検出部24で検出したノイズ成分の連続性を検証する連続性判定部26、連続性判定部26で判定した結果を蓄積するメモリ27、ノイズ成分の連続性が所定回数継続した場合に外来電波による障害と出力するカウンタ28を有している。カウンタ28にはマイコン25から連続性の回数が設定される。
この実施の形態2では、外来電波判定手段は、外来電波検出部24とマイコン25と連続性判定部26とメモリ27とカウンタ28で構成される。
【0022】
この実施の形態2における動作を図7に基づいて説明する。図7(b)に示すように、今回の電波障害判定期間Tnにおいてピークノイズ検出閾値Lpを超える周波数成分が観測された場合、連続性判定部26で前回の電波障害判定期間Tnにおいてピークノイズ検出閾値Lpを超えた周波数成分と同じかどうか判定し、同じであれば電波障害と判定する。また図7(c)に示すように、今回の電波障害判定期間Tnにおいてノイズフロア検出閾値Lnを超える周波数成分が観測された場合、連続性判定部26で前回の電波障害判定期間Tnにおいてノイズフロア検出閾値Lnを超えた周波数成分と同じかどうか判定し、同じであれば電波障害と判定する。
また図7では、前回の結果と今回の結果の2回の連続性を検証する例を示しているが、図8に示すように、電波障害判定期間Tnにおいてデータがピークノイズ検出閾値Lp或いはノイズフロア検出閾値Lnを超えた場合、その判定結果をメモリ27に蓄積しておく。そして、カウンタ28においてマイコン25から設定した任意の回数以上に連続性が認められた場合に、真の電波障害と判定することで誤判定確立を抑えることが出来る。
【0023】
実施の形態3
実施の形態1および2では、外来電波による障害の判定方法について述べた。レーダ装置を、ACC制御システム等に使うことを考えれば、電波障害下においても出来る限り被検出物体の検知を続ける必要がある。つまり、電波障害による検知不能期間を出来るだけ短くする方法が求められる。実施の形態3の発明は、通常観測期間Tsにおける障害情報の除去方法を提案するものである。
以下、この発明の実施の形態3における車載用レーダ装置を図9〜図11について説明する。図9はこの発明に係る外来電波処理手段及び外来電波判定手段を示す機能ブロック図、図10は通常観測期間Tsにおける障害情報の除去方法を示す図、図11は障害情報の除去方法のフロチャートを示す図である。
【0024】
図9のブロック図において、実施の形態2における構成と同じ構成或いは相当する構成については同一符号を付し、説明を省略する。実施の形態3では実施の形態2における連続性判定部26に代えて、外来電波検出部24で検出したノイズ成分の相関性および連続性を検証する相関性判定部29を有している。また相関性判定部29にはマイコン25から相関性の閾値を決める閾値Lsが設定される。
この実施の形態3では、外来電波判定手段は、外来電波検出部24とマイコン25と相関性判定部29とメモリ27とカウンタ28で構成される。
【0025】
この実施の形態3における動作を図10、図11に基づいて説明する。実施の形態3において外来電波の障害が外来電波検出部24にて検出された場合、図10に示すように、まず、今回の電波障害判定期間Tnにおいて閾値Lsを超えるピークA’の周波数成分と同一の周波数成分のピークが、今回の通常観測期間Tsにあるかどうかを相関性判定部29で比較判定する。このステップが図11のステップS11(比較1)である。ステップS11で、もし今回の通常観測期間Tsに同一周波数成分で受信レベルも同一程度のピークAが認められた場合、ピークAは外来電波障害によるものと判定し、被検出物体(ターゲット)候補から除外する。引き続き、電波障害判定期間Tnで他のピークがある場合は同じ処理を行う。
【0026】
次に、今回の通常観測期間TsのFFT処理結果で得られたピークBの確からしさを確認するために、今回の電波障害判定期間Tnに得られたFFT処理結果において、ピークBの周波数成分と同じピークB’が存在しないかを相関性判定部29で比較判定する。このステップが図11のステップS12(比較2)である。ステップS12で、今回の電波障害判定期間TnにピークB’が存在しないのであれば、ピークBは被検出物体(ターゲット)候補であると判定する。
次に、電波障害判定と同様に、今回の通常観測期間Tsに検出された被検出物体(ターゲット)候補であるピークBについて、前回の通常観測期間TsにもピークBと同一周波数成分の信号があるかどうかの連続性について相関性判定部29で比較判定する。このステップが図11のステップS13(比較3)である。このステップS13で連続性が確認されれば、ピーク周波数Bは被検出物体(ターゲット)であると判定する。その最終判定がステップS14である。
【0027】
こうして、所定閾値Lsを超えた信号が電波障害によるものか、被検出物体(ターゲット)のものかを判定するのに、数段のフィルターを設けることで誤判定を抑えることができる。なお、ステップS11〜S13はすべて必須である必要でなく、いずれか1つのステップを用いても電波障害または被検出物体の検出の信頼性は高くなる。
また、電波障害が発生した時点から被検出物体(ターゲット)のピークBの連続性が突然途絶えたり、不安定になった場合は、被検出物体(ターゲット)からの反射波と障害電波の合成によりビート信号が観測されなくなったと考えて、安全側の処置として検知不能を車両制御側に通知する。
【0028】
実施の形態4
実施の形態2では、電波障害成分の連続性を検証するための期間(回数)を任意とした。この連続性の検証に許される時間は、レーダ装置が搭載された車両の走行状態によって変わってくると考えられる。つまり、レーダ装置が載る車両の速度が一定、例えば80km/hであっても、被検出物体との相対距離の長短によって自車両を安全に保つのに許容される判定時間が変わってくる。同じように被検出物体との相対距離が一定、例えば20mであっても車両速度の大小によって自車両を安全に保つのに必要な判定時間が変わってくる。
この発明の実施の形態4は、被検出物体との相対距離と相対速度の関係から電波障害検出の確度を上げるに許される検証許容時間を設定するようにしたものである。
【0029】
以下、この発明の実施の形態4における車載用レーダ装置を図12〜図13について説明する。図12はこの発明に係る外来電波処理手段及び外来電波判定手段を示す機能ブロック図、図13は検証許容時間を設定するためのマップイメージを示す図である。
図12のブロック図において、実施の形態3における構成と同じ構成或いは相当する構成については同一符号を付し、説明を省略する。実施の形態4では実施の形態3におけるマイコン25の中に、検証許容時間を設定するための図13に示すようなマップ30を設けている。
図13に示すマップ30は、横軸に相対距離、縦軸に連続性検証許容時間とし、相対速度をパラメータとしたもので、相対速度が大きいほど連続性検証許容時間は短くする。また相対距離が小さいほど連続性検証許容時間は短くする。
【0030】
この実施の形態4では、マイコン25に自車速度などの車両の走行状態を入力すると共に、記憶部23からレーダ装置が観測した相対距離Rおよび相対速度Vを入力し、マイコン25はそれを基にマップ30から連続性検証許容時間を算出する。そしてこの連続性検証許容時間を基に、連続性判定および相関性判定部29の閾値やカウンタ28に設定する設定回数などを決める。こうして車両制御上許される電波障害判定時間を出来るだけ長く確保した上で、電波障害判定の誤検知確率を最大限減らすことで、安定した滑らかな車両制御状態を確保する。
【0031】
実施の形態5
実施の形態1〜4にて、レーダ装置が外来電波による障害下にあることを前提にその検出方法を説明した。レーダ装置に、電波障害を引き起こすような電波を発する設備は一般的にまれであると考えられる。例えば、違法出力無線、放送局などの直近や、レーダ装置と同周波数帯を使った他のレーダ装置との干渉などが考えられる。しかし、レーダ装置が搭載される車両がある所定の距離以上走行したにもかかわらず、引き続いて電波障害を検出するようであれば、これらの原因は考えにくく、これは外来電波による障害ではないと考えられる。例えば、高周波回路の異常発振であったり、同回路系電源の異常であったりした場合も同じような現象が考えられる。
【0032】
この発明の実施の形態5は、実施の形態1〜4のような外来電波の障害検出に加えて、レーダ装置内部の回路異常も検出するようにしたものである。そのブロック構成図は図14に示す。図14における構成は、図9に示す実施の形態3とほぼ同じ構成につき、説明を省略する。
図14において、マイコン25は自車両の走行距離をモニタすると共に、カウンタ28からの信号で電波障害の連続性をモニタし、ある走行距離以上連続して電波障害検知が続いた場合に限り、回路系異常と判断する。回路異常と判断された場合、マイコン25はレーダ装置故障として車両制御装置側へ回路異常を通知する。
【0033】
実施の形態6
実施の形態5にて、レーダ装置が搭載される車両が、ある所定の距離以上走行した場合との条件を設けた。しかし、高速道路等、自動車が比較的長い距離を併走するような場合、レーダ装置を搭載する車両と、例えば違法無線を搭載する車両が併走することが例外的に考えられる。この場合、レーダ装置は故障していないにもかかわらず回路故障と判断してしまう危険性がある。実施の形態6の発明は、このような回路故障の判断を防止するようにしたものである。そのブロック構成図は図15に示す。図15における構成は、図9に示す実施の形態3とほぼ同じ構成につき、説明を省略する。
【0034】
図15において、マイコン25はレーダ装置が搭載される車両に搭載されるナビゲーション装置から、自車両がおかれる位置情報を入力している。先に説明した高速道路を走行している場合などは回路故障の判定基準となる所定の走行距離を長くとるなどの変更手段をマイコン25に設けることで、回路故障誤判定の確立を抑えることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載用レーダ装置の概念的な構成を示したブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る車載用レーダ装置の基本動作を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるターゲットの検出方法を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるターゲットの検出方法の一例であるFFT結果を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1によるターゲットとの相対距離と受信レベルの関係ならびに電波障害判定期間を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1による電波障害判定動作を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態3による電波障害判定動作を示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態3による電波障害判定手順を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態4による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態4による電波障害判定に許容される時間イメージを示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態5による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【図15】この発明の実施の形態6による電波障害判定のための機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
1:発振器 2:電力分配器
3:送信アンプ 4.送信スイッチ
5:送信アンテナ 6:レドーム
7:被検出物(ターゲット) 8:受信アンテナ
9:受信アンプ 10:ミキサ
11:フィルタ(高域カットフィルター) 12:IFアンプ
13:A/D変換器 14:信号処理回路
21:データ蓄積メモリ 22:信号処理部
23:記憶部 24:外来電波検出部
25:マイコン 26:連続性判定部
27:蓄積メモリ 28:カウンタ
29:相関性判定部 30:マップ
Ts:通常観測期間 Tn:電波障害判定期間
Lp:ピークノイズ検出閾値 Ln:ノイズフロア検出閾値
Ls:閾値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダビームを送信信号として放射する送信手段と、前記放射されたレーダビームの放射範囲内にある被検出物体から反射された信号を受信する受信手段と、前記送信信号と受信信号の処理結果から、前記被検出物体との相対距離、相対速度を算出する信号処理手段とを有した車両用レーダ装置において、前記受信手段で前記被検出物体から反射された受信信号を検出するレーダ観測期間後から前記送信手段で次の送信信号を送出するまでの間のレーダ観測期間外に到来する受信信号を検出処理する外来電波処理手段と、この外来電波処理手段で処理した受信信号レベルが予め定めた閾値を超えた場合に電波障害であると判定する外来電波判定手段とを設けたことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項2】
外来電波判定手段は、ピークノイズ検出閾値とノイズフロア検出閾値の2つの閾値を設け、外来電波処理手段で処理した受信信号レベルがいずれか一方の閾値を超えた場合に電波障害であると判定するようにした請求項1に記載の車載用レーダ装置。
【請求項3】
外来電波判定手段は、閾値を超えるレベルの受信信号を所定回数連続して検出した場合に、電波障害であると判定するようにした請求項1または請求項2に記載の車載用レーダ装置。
【請求項4】
電波障害であると判定された場合、レーダ観測期間外で得られた電波障害の周波数成分と同じ周波数成分の信号が、レーダ観測期間で得られた信号処理結果にあるかどうかを比較判定し、前記レーダ観測期間で得られた信号処理結果に前記電波障害の周波数成分と同一周波数成分で受信レベルも同一程度の信号があった場合は、その信号はレーダ観測期間の信号処理結果から除去するようにした請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項5】
レーダ観測期間で得られた所定レベル以上の周波数成分と同じ周波数成分の信号が、レーダ観測期間外で得られた信号処理結果にあるかどうかを比較判定し、前記レーダ観測期間外で得られた信号処理結果に同一周波数成分の信号が存在しない場合は、前記レーダ観測期間で得られた所定レベル以上の信号は、被検出物体からの信号とするようにした請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項6】
今回のレーダ観測期間で得られた所定レベル以上の周波数成分と同じ周波数成分の信号が、前回のレーダ観測期間で得られた信号処理結果にあるかどうかを判定し、前記前回のレーダ観測期間で得られた信号処理結果に今回のレーダ観測期間で得られた信号と同じ周波数成分でレベルも同一程度の信号が存在する場合は、被検出物体からの信号とするようにした請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項7】
外来電波判定手段は、レーダ装置搭載車の自車速と、被検出物体との相対速度と相対距離の関係から電波障害を判定する時間を設定した請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項8】
外来電波判定手段は、ある所定の走行距離以上、電波障害の検出が続いた場合は、特定の外来電波による障害では無く回路故障と判定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項9】
外来電波判定手段は、車載ナビゲーション装置からの情報を元に、回路故障判定に用いる所定の走行距離を変更することで、回路故障の誤判定を防止することを特徴とする請求項8に記載の車載用レーダ装置。
【請求項10】
外来電波判定手段は、電波障害と判定した場合に、車両側に対してこれを報告する手段を有することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項1】
レーダビームを送信信号として放射する送信手段と、前記放射されたレーダビームの放射範囲内にある被検出物体から反射された信号を受信する受信手段と、前記送信信号と受信信号の処理結果から、前記被検出物体との相対距離、相対速度を算出する信号処理手段とを有した車両用レーダ装置において、前記受信手段で前記被検出物体から反射された受信信号を検出するレーダ観測期間後から前記送信手段で次の送信信号を送出するまでの間のレーダ観測期間外に到来する受信信号を検出処理する外来電波処理手段と、この外来電波処理手段で処理した受信信号レベルが予め定めた閾値を超えた場合に電波障害であると判定する外来電波判定手段とを設けたことを特徴とする車載用レーダ装置。
【請求項2】
外来電波判定手段は、ピークノイズ検出閾値とノイズフロア検出閾値の2つの閾値を設け、外来電波処理手段で処理した受信信号レベルがいずれか一方の閾値を超えた場合に電波障害であると判定するようにした請求項1に記載の車載用レーダ装置。
【請求項3】
外来電波判定手段は、閾値を超えるレベルの受信信号を所定回数連続して検出した場合に、電波障害であると判定するようにした請求項1または請求項2に記載の車載用レーダ装置。
【請求項4】
電波障害であると判定された場合、レーダ観測期間外で得られた電波障害の周波数成分と同じ周波数成分の信号が、レーダ観測期間で得られた信号処理結果にあるかどうかを比較判定し、前記レーダ観測期間で得られた信号処理結果に前記電波障害の周波数成分と同一周波数成分で受信レベルも同一程度の信号があった場合は、その信号はレーダ観測期間の信号処理結果から除去するようにした請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項5】
レーダ観測期間で得られた所定レベル以上の周波数成分と同じ周波数成分の信号が、レーダ観測期間外で得られた信号処理結果にあるかどうかを比較判定し、前記レーダ観測期間外で得られた信号処理結果に同一周波数成分の信号が存在しない場合は、前記レーダ観測期間で得られた所定レベル以上の信号は、被検出物体からの信号とするようにした請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項6】
今回のレーダ観測期間で得られた所定レベル以上の周波数成分と同じ周波数成分の信号が、前回のレーダ観測期間で得られた信号処理結果にあるかどうかを判定し、前記前回のレーダ観測期間で得られた信号処理結果に今回のレーダ観測期間で得られた信号と同じ周波数成分でレベルも同一程度の信号が存在する場合は、被検出物体からの信号とするようにした請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項7】
外来電波判定手段は、レーダ装置搭載車の自車速と、被検出物体との相対速度と相対距離の関係から電波障害を判定する時間を設定した請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項8】
外来電波判定手段は、ある所定の走行距離以上、電波障害の検出が続いた場合は、特定の外来電波による障害では無く回路故障と判定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【請求項9】
外来電波判定手段は、車載ナビゲーション装置からの情報を元に、回路故障判定に用いる所定の走行距離を変更することで、回路故障の誤判定を防止することを特徴とする請求項8に記載の車載用レーダ装置。
【請求項10】
外来電波判定手段は、電波障害と判定した場合に、車両側に対してこれを報告する手段を有することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の車載用レーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−111773(P2008−111773A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295972(P2006−295972)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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