説明

車載用撮像装置

【課題】各情報の記録の同時性に富み、走行画像、運転情報の記録の改ざんが不可能となる、信頼性の高い車載用撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の車載用撮像装置10によれば、自車に搭載した撮像部11によって、少なくとも自車の走行前方が撮影される。また、運転手の運転動作に係る情報、例えばアクセル踏み量、ブレーキ踏み量やハンドル舵角の運転手の運転動作に係る情報と、走行速度、エンジン回転数車両の走行状態に係る情報とを含む運転情報を運転情報変換手段11−2によって画像データに変換される。そして、画像合成部11−3によって少なくとも自車の走行前方の画像データに、上記運転情報の画像データが重ね合わされる。更に、上記画像合成手段11−3によって重ね合わされた1つの画像データは記憶手段13に記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、運転者自身が運転する自動車(以下自車と称す)の動き及びその周辺の状況を、自車の一部とそれに関連する路面と共に撮影する車載カメラと撮影画像を記憶するレコーダを含む車載用撮像装置が普及している。この車載用撮像装置によって自車の動きや周辺状況を撮像して画像情報として記録し、運転者に自分自身の運転状況の全てが記録されることを自覚させることで安全運転を促している。また、万が一に自動車事故に遭遇した場合でも、記録しておいた画像情報により、事故の瞬間及びその直前における自車の動きを証明して、事故の原因究明に大きく役立たせることができる。この車載用撮像装置であるドライブレコーダにカメラから取得した画像と速度、ブレーキ、アクセルなどの運転情報や時刻のデータを個別に保存する方法が特許文献1に提案されている。
【0003】
上記特許文献1は、事故に遭遇した際の運転に関する情報を記録することが目的で、車載カメラで撮像した画像と時刻、速度、ブレーキ動作、方向指示器の運転情報を記録装置に記憶する構成を有している。上記特許文献1の構成を図4を用いて説明すると、車載カメラ41で撮影した画像とマイク42で集音した音とが記録部43に記録される。また、日時記録手段44によって日時が記録部43に記録される。更に、走行速度信号手段45によって走行中の自車の走行速度情報が記録部43に記録される。また、停止信号手段46によってブレーキの踏み量に相当する停止信号が、更には方向指示信号手段47によって方向指示器の操作に伴う方向指示信号がそれぞれ記録部43に記憶される。そして、モニタ48には、車載カメラ41によって撮影された画像と、そして日時情報、走行速度情報、停止情報や方向指示情報の運転情報とが同時にあるいは個別に表示される。このうち、モニタ48に同時に表示するために記録している日時情報を照合しながら各記録の時間的ずれを調整している。このような特許文献1によれば、自車の走行状況を画像として記録し、かつ運転状況の記録も記録されているため、この記録をもって自車が安全な運転を行なっているか否かを立証することができる。また、運転者の運転マナーが担保されて交通事故の減少にも大きく役立つという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、上述したように、走行画像、音、各運転情報を図4の記録部43に個別に記録しているので、各記録の改ざんが容易である。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、各情報の記録の改ざんが困難な車載用撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、自車に搭載され、少なくとも自車の走行前方を撮影する撮像部と、運転手の運転動作に係る情報及び車両の走行状態に係る情報を含む運転情報を画像データに変換する運転情報変換手段と、上記撮像部によって撮影された少なくとも自車の走行前方の画像データに上記運転情報変換手段によって変換された上記運転情報の画像データを重ね合わせる画像処理手段と、上記画像処理手段によって得られた1つの画像データを記憶する記憶手段とを有することを特徴とする車載用撮像装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の車載用撮像装置において、上記画像処理手段によって得られた1つの画像データを表示する表示手段を有することを特徴とするものである。
更に、請求項3の発明は、請求項2記載の車載用撮像装置において、上記表示手段の表示画面領域のうち自車の走行前方の画像を表示する表示画面領域以外の表示画面領域に上記運転情報の画像データを表示することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載用撮像装置において、運転手の運転動作に係る情報は、アクセル踏み量、ブレーキ踏み量、ハンドル舵角であり、車両の走行状態に係る情報は、走行速度、エンジン回転数であることを特徴とするものである。
更に、請求項5の発明は、運転手の運転動作に係る情報及び車両の走行状態に係る情報を含む運転情報を画像データに変換する運転情報変換手段と、オーバーレイ機能を有する撮像素子を含んで構成され、少なくとも自車の走行前方を撮影し、撮影された少なくとも自車の走行前方の画像データに、上記運転情報変換手段によって変換された上記運転情報の画像データを上記撮像素子のオーバーレイ機能を用いて重ね合わせる撮像部と、上記撮像素子のオーバーレイ機能を用いて重ね合わせた1つの画像データを記憶する記憶手段とを有することを特徴とする車載用撮像装置である。
また、請求項6の発明は、請求項5記載の車載用撮像装置において、上記撮像部によって得られた1つの画像データを表示する表示手段を有することを特徴とするものである。
更に、請求項7の発明は、請求項6記載の車載用撮像装置において、上記表示手段の表示画面領域のうち自車の走行前方の画像を表示する表示画面領域以外の表示画面領域に上記運転情報の画像データを表示することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の車載用撮像装置において、運転手の運転動作に係る情報は、アクセル踏み量、ブレーキ踏み量、ハンドル舵角であり、車両の走行状態に係る情報は、走行速度、エンジン回転数であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
以上、本発明によれば、各情報の記録の改ざんが困難な車載用撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車載用撮像装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る車載用撮像装置の構成を示す概略構成図である。
【図3】本発明から出力される画像の一例を示す図である。
【図4】従来の車載用画像記録システムの構成を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る車載用撮像装置の構成を示す概略構成図である。同図に示す本実施の形態の車載用撮像装置10は、主として、車載カメラ11、モニタ12、レコーダ13及び運転情報出力部14を含んで構成されている。そして、車載カメラ11は、画像情報を取得する撮像素子を有するイメージセンサ11−1、運転情報出力部14からの各運転情報を画像データに変換する運転情報画像変換部11−2、及びイメージセンサからの画像情報と運転情報画像変換部11−2からの運転情報の画像データを重ね合わせて出力形式に整えて出力する画像合成部11−3を有している。モニタ12は、画像合成部11−3から供給される車載カメラ11によって撮影された画像と運転情報の画像とをモニタする。また、レコーダ13は、モニタ12に表示された画像、つまり車載カメラ11によって撮影された画像と運転情報の画像の合成画像が記録される。更に、運転情報出力部14は、自車の走行速度、走行時刻、アクセルの踏み量、ブレーキの踏み量、ハンドルの舵角などの運転情報が供給される。なお、運転情報は前段の処理時間を短くしたデジタルデータとして入力することがより好適である。また、車内用LAN規格であるCAN/LIN/FLEXRAYなどで情報を取得することが特別な配線もいらずより好適である。運転情報画像変換部11−2の出力としては画像データをアナログ及びまたはデジタル化したものになる。アナログとして出力する場合は、再生互換性の高いNTSC/PALの方法をとることが好適である。デジタル出力する場合は、画像データを受ける機器の規格ごとに合わせることができるが、互換性の高い規格としてBT656やYUV422などが挙げられる。
【0010】
このように、図1に示す本実施の形態の車載用撮像装置によれば、走行画像と各運転情報が合成された状態で記録されているので、各記録の同時性に富み、各記録の改ざんが不可能となる。
【0011】
図2は本発明の第2の実施の形態に係る車載用撮像装置の構成を示す概略構成図である。同図において、図1と同じ参照番号は同じ構成要件を示す。同図に示す本実施の形態の車載用撮像装置20は、第1の実施の形態の車載用撮像装置10と異なる構成要件として、車載カメラ11のイメージセンサ11−1が撮像素子11−4のみで構成されている。このような構成を有するイメージセンサ11−1おいては、複数の画像を重ねて表示するオーバーレイ機能を用いて合成し出力する機能を有している。よって、本実施の形態によれば、第1の実施の形態の画像合成部11−3の合成機能としての撮像素子11−4のオーバーレイ機能を用いて画像することで、第1の実施の形態の画像合成部11−3を不要となって装置構成部材を少なくでき、装置の小型化が図れる。
【0012】
図3は本発明から出力される画像の一例を示す図である。同図に示すように、図1及び図2のモニタ12に表示される画像は、通常ドライブレコーダなどに用いるレンズでは水平画角を広くすることに伴い垂直画角も広くなってしまう。そのためボンネットなど運転手に対して情報として不要な画面領域ができてしまう。そこで、図3に示すように、当該不要な画面領域に、図1及び図2に示す運転情報の画像データを表示する表示領域にライト点灯の有無を表示するライト点灯有無表示31や運転情報表示32を表示して運転に活用することができる。また、運転情報表示32は、走行速度表示32−1、エンジン回転数表示32−2、ハンドルの切り量表示32−3、アクセル踏み量表示32−4、ブレーキ踏み量表示32−5からなり、各表示はバー表示でそれぞれ個別の色で表示している。なお、各表示色は不要な画像領域の色相の補色に近いほうが好適である。
【0013】
以上説明したように、本実施の形態によれば、図1の自車に搭載した撮像部11によって、少なくとも自車の走行前方が撮影される。また、運転手の運転動作に係る情報、例えばアクセル踏み量、ブレーキ踏み量やハンドル舵角の運転手の運転動作に係る情報と、走行速度、エンジン回転数車両の走行状態に係る情報とを含む運転情報を運転情報変換手段11−2によって画像データに変換される。そして、画像合成部11−3によって少なくとも自車の走行前方の画像データに、上記運転情報の画像データが重ね合わされて1つの画像データとして作成される。更に、上記画像合成手段11−3によって重ね合わされた1つの画像データは記憶手段13に記憶される。また、このような各画像データを重ね合わせて1つの画像データを生成する画像処理は撮像素子のオーバーレイ機能を用いて行うことも可能である。よって、自車の走行状況の画像に運転状況の画像を重ね合わされた1つの画像データを記憶することで、各情報の記録の同時性に富み、記録の改ざんが困難となって記録の信頼性が高くなる。
【0014】
また、画像合成手段11−2によって重ね合わされた画像データを表示手段12に表示する。その表示手段12の表示画面領域において、自車の走行前方の画像を表示する表示画面領域以外の表示画面領域、例えば図3に示すように自車のボンネットなど運転状況について不要な画像領域に上記運転情報の画像データを表示する。よって、運転情報を表示して運転操作に活用することができる。
【0015】
更に、図2に示すように、撮像カメラを構成する撮像素子11−4が有しているオーバーレイ機能を用いて、自車の走行前方の画像データと上記運転情報の画像データとを合成することにより、図1の画像合成部11−3を不要となり装置構成部材を少なくでき、装置の小型化を図ることができる。
【0016】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換、応用が可能である。
【符号の説明】
【0017】
10 車載用撮像装置
11 車載カメラ
11−1 イメージセンサ
11−2 運転情報画像変換部
11−3 画像合成部
11−4 撮像素子
12 モニタ
13 レコーダ
14 運転情報出力部
31 ライト点灯有無表示
32 運転情報表示
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2002−127948号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車に搭載され、少なくとも自車の走行前方を撮影する撮像部と、
運転手の運転動作に係る情報及び車両の走行状態に係る情報を含む運転情報を画像データに変換する運転情報変換手段と、
上記撮像部によって撮影された少なくとも自車の走行前方の画像データに上記運転情報変換手段によって変換された上記運転情報の画像データを重ね合わせる画像処理手段と、
上記画像処理手段によって得られた1つの画像データを記憶する記憶手段と
を有することを特徴とする車載用撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載用撮像装置において、
上記画像処理手段によって得られた1つの画像データを表示する表示手段を有することを特徴とする車載用撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の車載用撮像装置において、
上記表示手段の表示画面領域のうち自車の走行前方の画像を表示する表示画面領域以外の表示画面領域に上記運転情報の画像データを表示することを特徴とする車載用撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載用撮像装置において、
運転手の運転動作に係る情報は、アクセル踏み量、ブレーキ踏み量、ハンドル舵角であり、車両の走行状態に係る情報は、走行速度、エンジン回転数であることを特徴とする車載用撮像装置。
【請求項5】
運転手の運転動作に係る情報及び車両の走行状態に係る情報を含む運転情報を画像データに変換する運転情報変換手段と、
オーバーレイ機能を有する撮像素子を含んで構成され、少なくとも自車の走行前方を撮影し、撮影された少なくとも自車の走行前方の画像データに、上記運転情報変換手段によって変換された上記運転情報の画像データを上記撮像素子のオーバーレイ機能を用いて重ね合わせる撮像部と、
上記撮像素子のオーバーレイ機能を用いて重ね合わせた1つの画像データを記憶する記憶手段と
を有することを特徴とする車載用撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の車載用撮像装置において、
上記撮像部によって得られた1つの画像データを表示する表示手段を有することを特徴とする車載用撮像装置。
【請求項7】
請求項6記載の車載用撮像装置において、
上記表示手段の表示画面領域のうち自車の走行前方の画像を表示する表示画面領域以外の表示画面領域に上記運転情報の画像データを表示することを特徴とする車載用撮像装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の車載用撮像装置において、
運転手の運転動作に係る情報は、アクセル踏み量、ブレーキ踏み量、ハンドル舵角であり、車両の走行状態に係る情報は、走行速度、エンジン回転数であることを特徴とする車載用撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−193324(P2011−193324A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59012(P2010−59012)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】