説明

車載表示装置

【課題】運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を正確に判定し、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を可能とする。
【解決手段】運転席以外の座席に送信電極12aを設け、操作部23に受信電極22aを設ける。運転席以外の座席に乗員が着座して操作部23を接触操作したときに、操作部23を接触操作した乗員の人体を介して送信電極12aと受信電極22aとの間に現れる電界の変化を検出することにより運転席以外の乗員による操作部23への接触操作が実施されたか否かを判定し、運転席以外の乗員による操作であることを判定した場合、車両走行時であっても操作部23への操作規制を解除する(S108)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行時における操作部への操作を規制する機能を有する車載表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、車載ナビゲーション装置等の車載表示装置においては、安全性の観点から車両走行中に運転席の乗員による操作部の操作を禁止するように規制がかかる仕組みとなっている。したがって、車両走行中に、目的地設定の変更、経由地の追加、有料道路の使用有無の変更等、ナビゲーション装置の操作が必要となった場合には、車両を停車させてナビゲーション装置の操作を行う必要がある。
【0003】
しかし、このように車両を停車させてナビゲーション装置の操作を行うのは時間の浪費につながってしまう。また、車両を停車させる場所がなかなか見つからないような状況や周辺車両が多い状況では運転者の負担も大きくなり、かえって安全性が損なわれてしまう。
【0004】
そこで、操作部を操作している乗員が運転者か否かを識別し、運転席以外の乗員による操作については操作の規制を解除するような対策を行うことで、運転者の負担を軽減することが可能であると考えられる。
【0005】
なお、乗員を識別する技術としては、車両内の座席に受信機を設置しておき、所持者を特定する認証コードを格納した認証カードキーを携帯した乗員が車両内の座席に着座すると、この乗員の体を介した人体通信が行われ認証カードキーに格納された認証コードが受信機により受信され、この認証コードに基づいて乗員の識別を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−73421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような装置では、乗員が認証カードキーを所持する必要があるので、乗員が認証カードキーを忘れてしまうと乗員を特定することができない。また、上記特許文献1に記載されたような装置は、認証カードキーを所持している乗員を特定することはできるが、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作か否かを正確に判定することはできない。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みたもので、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を正確に判定し、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両走行時における操作部への操作を規制する機能を有する車載表示装置であって、運転席以外の座席に設けられた第1の電極と、操作部に設けられた第2の電極と、運転席以外の座席に乗員が着座して操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否かを判定する操作判定手段と、操作判定手段により運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、車両走行時であっても操作部への操作規制を解除する操作規制解除手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、運転席以外の座席に乗員が着座して操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否かを判定し、運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、車両走行時であっても操作部への操作規制が解除される。すなわち、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を正確に判定し、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を可能とすることができる。
【0011】
また、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明は、車両走行時における操作部への操作を規制する機能を有する車載表示装置であって、運転席に設けられた第1の電極と、操作部に設けられた第2の電極と、運転席に乗員が着座して操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより運転席の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否か運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたかを判定する操作判定手段と、操作判定手段により運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、車両走行時であっても操作部への操作規制を解除する操作規制解除手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記した構成によれば、運転席に乗員が着座して操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより運転席の乗員による操作部への接触操作が実施されたか運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたかを判定し、運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、車両走行中の操作部への操作を規制し、運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、車両走行時であっても操作部への操作規制が解除されるので、請求項1に記載の発明と同様に、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を正確に判定し、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を可能とすることができる。
【0013】
また、運転席に第1の電極を取り付け、運転席以外の座席に第1の電極を取り付ける必要がないので、構成を簡素化することができる。
【0014】
また、上記目的を達成するため、請求項3に記載の発明は、車両走行時における操作部への操作を規制する機能を有する車載表示装置であって、運転席以外の座席から接触可能な位置に設けられた第1の電極と、操作部に設けられた第2の電極と、運転席以外の座席の乗員が第1の電極に接触しながら操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に流れる電流を検出することにより運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否かを判定する操作判定手段と、操作判定手段により運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、車両走行時であっても操作部への操作規制を解除する操作規制解除手段と、を備えたことを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、運転席以外の座席の乗員が第1の電極に接触しながら操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に流れる電流を検出することにより運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否かを判定し、運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、車両走行時であっても操作部への操作規制が解除される。すなわち、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を正確に判定し、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を可能とすることができる。
【0016】
なお、請求項4に記載の発明のように、操作部は、ディスプレイの周囲に配置されたメカニカルスイッチとし、第2の電極は、メカニカルスイッチにおいて乗員により接触される位置に形成された金属電極として構成することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明のように、操作部は、有線接続されたリモコンに設けられたリモコンスイッチとし、第2の電極は、リモコンスイッチにおいて乗員により接触される位置に形成された金属電極により構成することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明のように、操作部は、ディスプレイに設けられたタッチスイッチであり、第2の電極は、タッチスイッチに重ねて配置された透明電極により構成することができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明では、座席への乗員の有無を検出する乗員検出手段を備え、乗員検出手段により乗員が検出された座席に設けられた第1の電極と操作部に設けられた第2の電極との間に電位差を発生させ、乗員検出手段により乗員が検出されない座席に設けられた第1の電極と操作部に設けられた第2の電極との間には電位差を発生させないようになっていることを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、乗員が検出されない座席には、第1の電極と操作部に設けられた第2の電極との間に電位差が発生させられないので、無駄な電力を消費しないようにすることができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明では、操作部への接触操作の有無を判定する接触有無判定手段と、接触有無判定手段により操作部への接触操作があると判定され、かつ、操作判定手段により運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されていないと判定された場合、操作規制解除手段により操作部への操作規制が解除されていても、操作部への操作を規制する操作規制手段と、を備えたことを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、操作部への接触操作があると判定され、かつ、運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されていないと判定された場合、操作部への操作規制が解除されていても、操作部への操作が規制される。すなわち、運転席に第1の電極を備えることなく、運転席の乗員による操作部への接触操作が実施されたことを推定し、操作部への操作を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載表示装置の概略構成を示す図である。
【図2】認識装置の配置について説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車載表示装置のブロック構成図である。
【図4】受信電極について説明するための図である。
【図5】受信電極について説明するための図である。
【図6】ナビゲーション装置の制御装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係る車載表示装置の概略構成を図1に示す。本車載表示装置は、認識装置1およびナビゲーション装置2により構成されている。本ナビゲーション装置2は、車両走行時における運転席の乗員による操作部23に対する操作を規制する機能を有している。
【0025】
認識装置1は、運転席以外の座席の乗員による操作部23に対する操作を認識するための装置であり、運転席以外の各座席に設けられている。本実施形態において、認識装置1は、図2に示すように、助手席、左側の後部座席、右側の後部座席に設けられており、運転席には設けられていない。
【0026】
認識装置1には、後述する送信電極12a(第1の電極に相当する)が備えられており、ナビゲーション装置2の操作部23には、後述する受信電極22a(第2の電極に相当する)が備えられている。
【0027】
本車載表示装置は、図1に示したように、運転席以外の座席に乗員が着座してナビゲーション装置2の操作部23を操作したときに、この操作部23を操作した乗員の人体を介して行われる人体通信の可否を検出することにより、運転席以外の乗員による操作部23への操作が実施されたか否かを判定し、運転席以外の乗員による操作部23への操作が実施されたと判定された場合には、走行中であっても操作部23への操作規制を解除するようになっている。
【0028】
本実施形態では、電界方式による人体通信を採用して人体通信の可否検出を行う。この電界方式を採用することで乗員が衣服等の絶縁物を身につけていても人体通信の可否検出を行うことが可能となっている。具体的には、認識装置1に設けられた送信電極12aとナビゲーション装置2の操作部23に設けられた受信電極22aとの間に、乗員の人体が接触して介在した状態で、第1の電極と第2の電極との間に電位差を発生させて人体表面の電界を変化させ、この人体表面の電界の変化を検出することで人体通信の可否検出を行う。
【0029】
図3に、本車載表示装置のブロック構成図を示す。本車載表示装置は、認識装置1およびナビゲーション装置2により構成されており、認識装置1およびナビゲーション装置2には、それぞれ車両バッテリ3より電力が供給されるようになっている。
【0030】
認識装置1は、着座センサ10、情報格納部11および送信部12を備えている。着座センサ10は、運転席以外の各座席における乗員の着座の有無を検出し、乗員の着座の有無を示す信号を出力する。本実施形態では、運転席以外の各座席の座面に埋め込まれた圧力センサを用いて乗員の着座の有無を検出するようになっている。
【0031】
情報格納部11は、メモリを有しており、着座センサ10より入力される信号に応じて座席に乗員が着座しているか否かを示すフラグをメモリに記憶させる。
【0032】
送信部12は、送信回路12bと送信電極12aを備えている。送信回路12bは、予め定められたパルス信号を生成し、この生成したパルス信号を送信電極12aへ出力する。
【0033】
送信電極12aは、後述するナビゲーション装置2の受信電極22aとの間に電界を発生させるためのものである。本実施形態では、送信回路12bよりパルス信号が送出されると、送信電極12aの電位がナビゲーション装置2の受信電極22aの電位よりも高くなり、送信電極12aとナビゲーション装置2の受信電極22aとの間に電界が発生するようになっている。
【0034】
ナビゲーション装置2は、表示部21、受信電極22aを有する操作部23、受信回路22bおよび制御装置24を備えている。
【0035】
表示部21は、液晶等のディスプレイを有し、制御装置24より入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0036】
受信電極22aは、上記したように認識装置1の送信電極12aとの間に電界を発生させるためのものである。受信回路22bは、受信電極22aを用いて電界の変化を検出するための回路である。
【0037】
操作部23は、表示部21の周囲に配置されたメカニカルスイッチと、表示部21に重ねて設けられたタッチスイッチと、制御装置24と有線接続されたリモコンに設けられたリモコンスイッチ(いずれも図示せず)によって構成されている。
【0038】
図4に、表示部21のディスプレイの周囲に配置されたメカニカルスイッチ23aの外観を示す。この図には、「現在地ボタン」が示されている。この図に示すように、メカニカルスイッチ23aにおいて、乗員により接触される位置には、金属製の受信電極22aが形成されている。リモコンに設けられたリモコンスイッチにおいても、乗員により接触される位置には、同様の金属製の受信電極22aが形成されている。
【0039】
また、図5に、表示部21のディスプレイに重ねて設けられたタッチスイッチ23bの構成を示す。このタッチスイッチ23bと重なるように、透明電極を用いて構成された受信電極22aが配置されている。
【0040】
制御装置24は、CPU、RAM、ROM,フラッシュメモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各処理を実施する。制御装置24には、GPS受信機、車速センサ、ジャイロスコープ、方位センサ等の位置検出器(いずれも図示せず)から現在位置を特定するための信号が入力されるようになっている。
【0041】
制御装置24の処理としては、位置検出器から入力される現在位置を特定するための信号に基づいて現在位置を特定する現在位置特定処理、地図データを格納した地図データ記憶媒体(図示せず)から現在位置周辺の地図データを読み出して、現在位置周辺の地図上に自車位置マークを重ねた地図表示画像を生成し、この地図表示画像を表示部21に表示させる地図表示処理、出発地から目的地に至る最適な案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って経路案内を行う経路案内処理等がある。
【0042】
上記した構成において、車両の運転者の操作に応じて車両バッテリ3からアクセサリ電源が供給されると、認識装置1における着座センサ10および情報格納部11は動作状態となるものの、送信部12は動作状態とはならない。着座センサ10により乗員の着座が検出され、座席に乗員が着座しているか否かを示すフラグが情報格納部11のメモリに記憶されると、送信部12は動作状態となる。すなわち、乗員の着座が検出されるまで、認識装置1に備えられた送信電極12aには送信回路12bからのパルス信号に応じた電圧が印加されない。
【0043】
本実施形態におけるナビゲーション装置2は、車両走行時における運転席の乗員による操作部23に対する操作を規制する機能を有している。
【0044】
次に、ナビゲーション装置2の制御装置24の処理について説明する。図6に、この処理のフローチャートを示す。車両の運転者の操作に応じて車両バッテリ3からアクセサリ電源が供給されると、本ナビゲーション装置2は動作状態となり、制御装置24は、現在位置特定処理、地図表示処理等と並行して、図6に示す処理を開始する。なお、図6中には示してないが、車両停車時には各乗員による操作部23に対する操作は規制されないようになっている。
【0045】
まず、車両が走行中か否かを判定する(S100)。具体的には、車速センサより入力される信号に基づいて車両が走行中か否かを判定する。ここで、車両が停車中の場合、S100の判定はNOとなり、S100の判定を繰り返し実施する。このとき、車両の各乗員による操作部23に対する操作は規制されない。
【0046】
また、車両が走行を開始すると、S100の判定はYESとなり、次に、操作部23への操作があったか否かを判定する(S102)。具体的には、表示部21のディスプレイの周囲に配置されたメカニカルスイッチ、リモコンに設けられたリモコンスイッチ、表示部21のディスプレイに重ねて設けられたタッチスイッチの少なくとも1つに対する操作の有無に基づいて操作部23への操作があったか否かを判定する。
【0047】
ここで、操作部23を構成している各スイッチに対する操作が実施されていない場合、S102の判定はNOとなり、S100へ戻る。
【0048】
また、操作部23を構成している各スイッチの少なくとも1つに対する操作が実施されると、S102の判定はYESとなり、次に、運転席以外の乗員による操作か否かを判定する(S104)。具体的には、受信回路22bにより、第1の電極と第2の電極との間に介在する乗員の体による電界の変化が検出されたか否かに基づいて運転席以外の乗員による操作か否かを判定する。
【0049】
ここで、運転席の乗員がナビゲーション装置2の操作部23を操作した場合、受信回路22bにより、第1の電極と第2の電極との間に介在する乗員の体による電界の変化が検出されない。したがって、S104の判定はNOとなり、操作部23に対する操作の規制を開始する(S106)。このように、運転席の乗員が操作部23の各スイッチを操作しても操作は無効となる。
【0050】
また、車両走行中に運転席以外の乗員がナビゲーション装置2の操作部23を操作した場合には、受信回路22bにより、第1の電極と第2の電極との間に介在する乗員の体による電界の変化が検出される。したがって、S104の判定はNOとなり、操作部23に対する操作の規制を解除する(S108)。このように、運転席以外の乗員が操作部23の各スイッチを操作すると、車両が走行中であっても操作は有効となる。
【0051】
また、再度、車両走行中に運転席の乗員が操作部23を操作すると、操作部23への接触操作があると判定(S102でYESと判定)され、かつ、運転席の乗員による操作部23への接触操作が実施されたと判定(S104でNOと判定)され、操作部23への操作規制が解除されていても、操作部23への操作規制が開始される。
【0052】
上記した構成によれば、運転席以外の座席に乗員が着座して操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否かを判定し、運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、車両走行時であっても操作部への操作規制が解除される。すなわち、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を正確に判定し、運転席以外の座席の乗員による操作部の操作を可能とすることができる。
【0053】
また、座席への乗員の有無を検出する着座センサ10を備え、着座センサ10により乗員が検出された座席に設けられた第1の電極と操作部に設けられた第2の電極との間に電位差を発生させ、着座センサ10により乗員が検出されない座席に設けられた第1の電極と操作部に設けられた第2の電極との間には電位差を発生させないようになっているので、無駄な電力を消費しないようにすることができる。
【0054】
特に、同乗者がいない場合には、運転席以外の各座席に取り付けられた第1の電極に電圧が印加されないので、低消費電力の観点で有効である。
【0055】
また、操作部への接触操作があると判定され、かつ、運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されていないと判定された場合、操作部への操作規制が解除されていても、操作部への操作が規制される。すなわち、運転席に第1の電極を備えることなく、運転席の乗員による操作部への接触操作が実施されたことを推定し、操作部への操作を規制することができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態では、運転席以外の座席に認識装置1を備え、運転席以外の座席に乗員が着座して操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否かを判定したが、運転席以外の座席に認識装置1を配置するのではなく、運転席に認識装置1を配置するように構成し、運転席に乗員が着座して操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して第1の電極と第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより運転席の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否かを判定するように構成してもよい。この場合、S102の肯定判定と組み合わせて、運転席以外の乗員による操作部への接触操作が実施されたか否かを判定することも可能である。
【0058】
また、上記実施形態では、認識装置1に送信電極12aを設け、操作部23に受信電極22aを設け、送信電極12aから受信電極22aへ向けて電界を発生させたが、反対に、認識装置1に受信電極を設け、操作部23に送信電極を設け、送信電極12aから受信電極22aへ向けて電界を発生させてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、電界方式の人体通信を採用することで乗員が衣服等の絶縁物を身につけていても人体通信の可否検出を行うことを可能としたが、電流方式の人体通信を採用してもよい。ただし、この場合、助手席以外の乗員の体が送信電極12aと受信電極22aに直接接触させる必要がある。そこで、例えば、助手席ドアの窓開閉スイッチ付近等、運転者の手が届かず運転席以外の座席の乗員の手が届く位置に送信電極12aを配置し、左手で送信電極12aを接触しながら右手で操作部23を操作したときに、操作部23を接触操作した乗員の人体を介して送信電極12aと操作部23に設けられた受信電極22aとの間に流れる電流を検出することにより、人体通信の可否検出を行うようにすることができる。この場合、送信電極12aの位置は、運転者が車両運転中に送信電極12aと受信電極22aに同時に接触することができない位置、例えば、センターコンソールのように運転者が接触可能な位置とすることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、着座センサ10として圧力センサを用いて構成したが、圧力センサ以外のセンサを用いて構成してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、着座センサ10を運転席以外の座席の座面に埋め込んだ構成を示したが、このような配置に限定されるものではなく、例えば、着座センサ10を運転席以外の座席の背もたれに埋め込んだ構成としてもよい。
【0062】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、送信電極12aが第1の電極に相当し、受信電極22aが第2の電極に相当し、S104が操作判定手段に相当し、S108が操作規制解除手段に相当し、着座センサ10が乗員検出手段に相当し、S102が接触有無判定手段に相当し、S106が操作規制手段に相当する。なお、請求項2については、S102、S104が操作判定手段に相当する。
【符号の説明】
【0063】
1 認識装置
2 ナビゲーション装置
3 車両バッテリ
10 着座センサ
11 情報格納部
12 送信部
12a 送信電極
12b 送信回路
21 表示部
22a 受信電極
22b 受信回路
23 操作部
23a メカニカルスイッチ
23b タッチスイッチ
24 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行時における操作部への操作を規制する機能を有する車載表示装置であって、
前記運転席以外の座席に設けられた第1の電極と、
前記操作部に設けられた第2の電極と、
前記運転席以外の座席に乗員が着座して前記操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより前記運転席以外の乗員による前記操作部への接触操作が実施されたか否かを判定する操作判定手段と、
前記操作判定手段により前記運転席以外の乗員による前記操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、前記車両走行時であっても前記操作部への操作規制を解除する操作規制解除手段と、を備えたことを特徴とする車載表示装置。
【請求項2】
車両走行時における操作部への操作を規制する機能を有する車載表示装置であって、
前記運転席に設けられた第1の電極と、
前記操作部に設けられた第2の電極と、
前記運転席に乗員が着座して前記操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間に現れる電界の変化を検出することにより前記運転席の乗員による前記操作部への接触操作が実施されたか否か前記運転席以外の乗員による前記操作部への接触操作が実施されたかを判定する操作判定手段と、
前記操作判定手段により前記運転席以外の乗員による前記操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、前記車両走行時であっても前記操作部への操作規制を解除する操作規制解除手段と、を備えたことを特徴とする車載表示装置。
【請求項3】
車両走行時における操作部への操作を規制する機能を有する車載表示装置であって、
運転席以外の座席から接触可能な位置に設けられた第1の電極と、
前記操作部に設けられた第2の電極と、
前記運転席以外の座席の乗員が前記第1の電極に接触しながら前記操作部を接触操作したときに、当該操作部を接触操作した乗員の人体を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間に流れる電流を検出することにより前記運転席以外の乗員による前記操作部への接触操作が実施されたか否かを判定する操作判定手段と、
前記操作判定手段により前記運転席以外の乗員による前記操作部への接触操作が実施されたと判定された場合、前記車両走行時であっても前記操作部への操作規制を解除する操作規制解除手段と、を備えたことを特徴とする車載表示装置。
【請求項4】
前記操作部は、ディスプレイの周囲に配置されたメカニカルスイッチであり、
前記第2の電極は、前記メカニカルスイッチにおいて前記乗員により接触される位置に形成された金属電極により構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車載表示装置。
【請求項5】
前記操作部は、有線接続されたリモコンに設けられたリモコンスイッチであり、
前記第2の電極は、前記リモコンスイッチにおいて前記乗員により接触される位置に形成された金属電極により構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車載表示装置。
【請求項6】
前記操作部は、ディスプレイに設けられたタッチスイッチであり、
前記第2の電極は、前記タッチスイッチに重ねて配置された透明電極により構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車載表示装置。
【請求項7】
前記座席への乗員の有無を検出する乗員検出手段を備え、
前記乗員検出手段により前記乗員が検出された座席に設けられた前記第1の電極と前記操作部に設けられた前記第2の電極との間に電位差を発生させ、前記乗員検出手段により前記乗員が検出されない座席に設けられた前記第1の電極と前記操作部に設けられた前記第2の電極との間には電位差を発生させないようになっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車載表示装置。
【請求項8】
前記操作部への接触操作の有無を判定する接触有無判定手段と、
前記接触有無判定手段により前記操作部への接触操作があると判定され、かつ、前記操作判定手段により前記運転席以外の乗員による前記操作部への接触操作が実施されていないと判定された場合、前記操作規制解除手段により前記操作部への操作規制が解除されていても、前記操作部への操作を規制する操作規制手段と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車載表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168139(P2011−168139A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32727(P2010−32727)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】