説明

軟質熱可塑性ポリウレタンからなるポリウレタン

熱可塑性ポリウレタンと、熱可塑性ポリウレタンに加えられた官能価が2より大きく10未満であるイソシアネート濃縮物とからなるポリウレタンPU−Eであって、該熱可塑性ポリウレタンの硬質相含量が0〜5%であり、イソシアネート濃縮物が該ポリウレタンに対して少なくとも2重量%の量で加えられていることを特徴とするポリウレタン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタンと他のポリイソシアネートとからなるポリウレタンと、本発明のポリウレタンの製造方法およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリウレタン(以下、短縮してTPUと称す)の製造は、公知である。TPUは部分的に結晶性である物質であり、熱可塑性エラストマーの群に属す。ポリウレタンエラストマーの特徴は、高分子のセグメント構造である。これらのセグメントの結合エネルギー密度の違いのため、理想的な場合は、結晶性の「硬い」領域と非晶質の「軟らかい」領域への相分離が起こる。この得られる二相構造がTPUの性質を決定する。熱可塑性ポリウレタンは、幅広い利用範囲もつポリマーである。例えばTPUは、自動車産業で(例えば、ダッシュボード表面材、フィルム、ケーブル外装)、レジャー産業で(敷物や、スポーツシューズの機能性装飾材、硬軟の組合せ中の軟質成分として)、また他のいろいろな用途で使用されている。
【0003】
文献には、TPUの性質の改善のためにTPUを架橋すると、強度の上昇、熱歪抵抗性の改善、引張永久ひずみと圧縮永久ひずみの低下、あらゆる種類の媒体に対する抵抗性や反発弾性、クリープ挙動の向上がおこることが記載されている。
【0004】
既知の架橋方法としては、特に、UVまたは電子線での架橋、シロキサン基での架橋、溶融TPUにイソシアネートを添加する架橋があげられる。TPUの、好ましくは溶融状態でのTPUのイソシアネート基を有する化合物との反応は、プレポリマー架橋と呼ばれ、例えばWO2005/054322A2とWO2006/134138A1から公知である。熱可塑性ポリウレタン中に含まれる硬質相と軟質相の改変は、WO03/014179A1とWO01/12692A1から既知である。
【0005】
いくつかの特定の用途での既知の熱可塑性ポリウレタンの欠点は、その機械的性質、特に圧縮永久ひずみと曲げ角度である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、機械的性質の改善されたポリウレタンを提供することである。特に、圧縮永久ひずみと曲げ角度を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱可塑性ポリウレタンPU−1と該熱可塑性ポリウレタンPU−1に好ましくは反応を伴って添加される、好ましくは官能価が2を超えるイソシアネート濃縮物であるイソシアネートIC−1とからなるポリウレタンであって、PU−1の硬質相含量が0〜5%、特に2〜4%であり、好ましくはイソシアネート濃縮物であるイソシアネートIC−1が、ポリウレタンPU−1に対して少なくとも2重量%〜20重量%の量で、特に好ましくは3重量%〜15重量%、特に少なくとも3重量%〜10重量%の量で添加されていることを特徴とするポリウレタンを提供する。
【0008】
ある好ましい実施様態においては、このイソシアネート濃縮物IC−1は、20重量%〜70重量%の、好ましくは25重量%〜70重量%、より好ましくは30重量%〜60重量%、さらに好ましくは35重量%〜60重量%の熱可塑性樹脂中に溶解したイソシアネートを含む。イソシアネート濃縮物IC−1のイソシアネートは、より好ましくは熱可塑性ポリウレタンPU−2に溶解している。上記重量%は、イソシアネートを含有する熱可塑性樹脂の総重量に対するものであり、好ましくは熱可塑性ポリウレタンPU−2に対するものである。このことは、このイソシアネートはイソシアネート濃縮物中で溶液として存在し、このイソシアネートが、好ましくは熱可塑性ポリウレタンPU−2(の熱可塑性樹脂)と実質的にまったく反応していないことを意味する。「反応していない」とは、少なくとも60%のイソシアネートが、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、極めて好ましくは少なくとも99%のイソシアネートが、イソシアネート濃縮物IC−1中の熱可塑性樹脂と反応していないことを意味する。この「%含量」は、添加したイソシアネートを基礎とするイソシアネート基の理論含量(理論NCO含量)を100%として決められたものである。次いで、イソシアネート濃縮物中に実際に含まれる遊離イソシアネート基の含量(実NCO含量)を求め、理論的NCO含量の%として計算する。実NCO含量の好ましい決定方法が実施例7に示されている。
【0009】
このイソシアネート濃縮物IC−1のNCO含量は、特に好ましくは5%より大で70%未満であり、特に好ましくは8%より大で40%未満である。
【0010】
本発明のイソシアネート濃縮物IC−1中のイソシアネートとして、一般的に知られているイソシアネートを、例えば脂肪族、環状脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートで、2〜10個のイソシアネート基をもつもの、特に好ましくは2〜5個のイソシアネート基、特に3個のイソシアネート基をもつものを使用することができる。また、これらのイソシアネートが、好ましくは2〜8個の、より好ましくは2〜5個、特に好ましくは3個のイソシアネート基をもつイソシアヌレートの形で存在していることが好ましい。もう一つの好ましい実施様態においては、これらのイソシアネートが、2〜10個のイソシアネート基をもつプレポリマーの形で存在する。プレポリマーを形成するには、イソシアネートを、イソシアネート反応性化合物と、好ましくはアルコールと反応させ、次いで2〜10個のイソシアネート基をもつプレポリマーとする。
【0011】
他の好ましい実施様態においては、イソシアネート濃縮物の好ましい実施様態の少なくとも二つが、具体的にはイソシアネートとイソシアヌレート、イソシアネートとプレポリマー、またはプレポリマーとイソシアヌレートが共存する。ある好ましい実施様態においては、イソシアネートとプレポリマーとイソシアヌレートが共存する。
【0012】
イソシアネート濃縮物IC−1の製造用のイソシアネートとして特に好ましいものとしては、ジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性ジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)系のプレポリマーがあげられ、好ましくはNCO含量が20〜25%で、DIN53018に準じて求めた25℃での粘度が500〜1000mPasであるプレポリマーで、そのイソシアネートがビウレット基及び/又はイソシアヌレート基をもつものであり、特に好ましくは、NCO含量が20〜25%で、DIN−EN−ISO3219に準じて求めた23℃の粘度が2.5〜4Pasであるイソシアヌレート、特にnヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系のものである。
【0013】
ある好ましい実施様態においては、少なくとも二種のイソシアネートがイソシアネート濃縮物IC−1に含まれる。その場合のイソシアネート濃縮物IC−1の官能価は、好ましくは2〜8の範囲であり、より好ましくは2〜6、特に好ましくは2.5〜4の範囲である。
【0014】
この官能価は、1分子あたりのイソシアネート基(NCO基)の平均数である。
【0015】
特に好ましいのは、カルボジイミドで変性されたジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(MDI)で、特に好ましくはイソシアネート含量が25〜33重量%、特に29.5重量%のもの、例えばルプラネート(R)mm103(BASF社);エチレンオキシド/プロピレンオキシド系のプレポリマーで、好ましくは分子量が0.4〜0.6kg/molの範囲、特に分子量が0.45kg/molのもの、好ましくはイソシアネート含量が20〜28重量%、特に23重量%のもの、例えばルプラネート(R)MP102(BASF社);及び/又は三量化ヘキサメチレンジイソシアネートで、好ましくはイソシアネート含量が20〜28重量%、特に23重量%であるもの、例えばバソナート(R)H1100(BASF社)である。
【0016】
熱可塑性樹脂系、好ましくは熱可塑性ポリウレタンPU−2系のイソシアネート濃縮物IC−1は、当業界の熟練者には既知のすべての方法で生産可能である。例えば、熱可塑性ポリウレタンを溶融し、次いでこの熱可塑性ポリウレタン溶融物中にイソシアネートを、好ましくは均一に混和することができる。得られる熱可塑性ポリウレタン溶融物の温度は、好ましくは120℃〜160℃である。イソシアネート濃縮物に用いられる熱可塑性ポリウレタンPU−2を170℃〜280℃の温度で、好ましくは170℃〜240℃の温度で溶融し、次いで温度が20℃〜80℃のイソシアネートをこの溶融物中に混合し、得られる混合物、即ちイソシアネート濃縮物IC−1が、160℃未満の温度に、好ましくは120℃〜160℃の温度にすることが特に好ましい。このように目標温度を160℃未満として混和することで、この温度でのジイソシアネート添加による熱可塑性ポリウレタンの劣化やトリイソシアネートまたはポリイソシアネートの導入による熱可塑性ポリウレタンの架橋を避けることができるというメリットが得られる。
【0017】
このイソシアネートを、押出機により、好ましくは二軸押出機により熱可塑性ポリウレタン中に導入することが好ましい。押出機から得られる、イソシアネート濃縮物IC−1、即ちイソシアネートを含む熱可塑性ポリウレタンに相当する生成物を、押出機のダイから出た直後に水槽中で冷却することが好ましく、次いで得られるストランドを公知の方法で、例えばペレット化することができる。
【0018】
ある好ましい実施様態においては、押出機から出るイソシアネート濃縮物IC−1を押出機から多孔ダイを経由して水槽中に押し出し、次いで回転ナイフで切断して、小さなペレットを生成させる。この方法は水中ペレット化とよばれる。
【0019】
硬質相の含有量は次式で計算される。
【0020】
【数1】

【0021】
式中、
HP(%):硬質相の含量(%)
CE:鎖延長剤のモル数
ISO:イソシアネートの数平均分子量(g/mole)
CE:鎖延長剤の重量(g)
total:鎖延長剤とイソシアネートとポリオールの合計重量(g)
【0022】
特に好ましい実施様態においては、この熱可塑性ポリウレタンPU−Eの指数が1100〜1600である。
【0023】
この指数は、反応に用いる成分(a)の合計イソシアネート基の、成分(b)といずれかの鎖延長剤(c)のイソシアネートと反応する基、即ち活性水素に対するモル比と定義される。なお、「いずれかの」は、鎖延長剤が添加された場合、必ず考慮に入れることを意味する。指数が1000の時、成分(a)のイソシアネート基1個当り、1個の活性水素原子、即ちイソシアネートに反応する基が成分(b)と(c)に存在する。指数が1000を超えると、活性水素原子を持つ基、例えばOH基より多くのイソシアネート基が存在する。
【0024】
本発明で使用される成分:
特記しない場合、以下の情報は、上記ポリウレタンとその合成に使用される成分、またポリウレタンPU−Eと、熱可塑性ポリウレタンPU−1とPU−2に関するものである。
【0025】
ポリウレタンの製造方法は公知である。これらのポリウレタンは、(a)イソシアネートを、(b)数平均分子量が0.5kg/mol〜12kg/molであるイソシアネート反応性化合物と、好ましくは(c)数平均分子量が0.05kg/mol〜0.499kg/molである鎖延長剤と、必要なら(d)触媒及び/又は(e)通常の助剤の存在下で反応させて生産することが好ましい。
【0026】
好ましい出発成分と好ましいポリウレタンの製造方法を以下に例示する。これらのポリウレタンの製造に好適な(a)イソシアネート、(b)イソシアネート反応性化合物、(c)鎖延長剤、また必要なら(d)触媒及び/又は(e)通常の助剤を以下に例示する。イソシアネート(a)とイソシアネート反応性化合物(b)と、使用の場合は鎖延長剤(c)を、形成成分とよぶ。
【0027】
a)有機イソシアネート(a)としては、公知のイソシアネートが使用可能であり、好ましくは芳香族、脂肪族、環状脂肪族及び/又は芳香脂肪族イソシアネートが、より好ましくはジイソシアネート、好ましくはジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネート、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート及び/又はジシクロヘキシルメタン4,4−、2,4−及び2,2’−ジイソシアネート(H12MDI);より好ましくはジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4−及び2,2−ジイソシアネート(H12MDI)及び/又は1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサンIPDIが、特に好ましくは4,4’−MDIが使用できる。
【0028】
ある好ましい実施様態においては、単一のイソシアネートがポリウレタンの製造に用いられるが、もう一つの好ましい実施様態においては、少なくとも2種の異なるイソシアネートがポリウレタンの製造に用いられる。
【0029】
b)イソシアネート反応性化合物(b)としては、公知のイソシアネート反応性化合物が使用でき、好ましくは、数平均分子量が0.5kg/mol〜12kg/mol、好ましくは0.6kg/mol〜6kg/mol、特に0.8kg/mol〜4kg/molであり、好ましくは平均官能価が1.8〜2.3、好ましくは1.9〜2.2、特に2であるポリエステルオール、ポリエーテルオール及び/又はポリカーボネートジオール(これらは、「ポリオール」と総称される)が使用できる。この平均官能価は、平均して1分子に存在するイソシアネート反応性の基の数をさす。これらのポリオールは軟質相成分を形成する。
【0030】
c)鎖延長剤(c)としては、公知の脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は環状脂肪族化合物が使用でき、好ましくは数平均分子量が0.05kg/mol〜0.499kg/molであって、好ましくは二官能性化合物、即ち2個のイソシアネート基と反応する基を持つ分子であるものが使用できる。好ましいのは、ジアミン及び/又はアルキレン基中に2〜10個の炭素原子をもつアルカンジオール特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−エチレングリコール及び/又はジアルキレン、トリアルキレン、テトラアルキレン、ペンタアルキレン、ヘキサアルキレン、ヘプタアルキレン、オクタアルキレン、ノナアルキレン及び/又はデカアルキレングリコール(最大で8個の炭素原子をもつ)であり、好ましくは相当するオリゴプロピレン及び/又はポリプロピレングリコールである。なお、ある好ましい実施様態においては、鎖延長剤との混合物も使用される。鎖延長剤(c)はイソシアネート(a)とともに、硬質相成分を形成する。
【0031】
d)特にイソシアネート(a)の、好ましくはジイソシアネートのNCO基と形成成分(b)と(c)のヒドロキシル基の間の反応を加速する好適な触媒(d)は、先行技術に知られる通常の第三級アミン(好ましくはトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等)であり、また特にチタン酸エステルなどの有機金属化合物や、鉄化合物(好ましくは鉄(III)アセチルアセトネート)、スズ化合物(好ましくは、スズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート)または脂肪族カルボン酸のジブチル錫(好ましくは、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート)などである。これらの触媒は、通常100重量部のポリヒドロキシル化合物(b)に対して0.00001〜0.1重量部の量で用いられる。
【0032】
e)好ましい実施様態においては、触媒(d)に加えて、通常の助剤(e)が形成成分(a)〜(c)に加えられる。例えば、表面活性物質や難燃剤、核剤、酸化安定剤、潤滑剤や離型剤、染料や顔料、例えば加水分解や光、熱または変色に対する安定剤、無機及び/又は有機増量剤、強化、可塑剤があげられる。
【0033】
加水分解阻害剤としては、オリゴマー状及び/又はポリマー状の脂肪族または芳香族カルボジイミドが好ましい。本発明のTPUを老化から守るために、TPUに安定剤を加えることが好ましい。本発明の目的においては、安定剤とはポリマーまたはポリマー混合物を有害環境の影響から守る添加物である。例としては、第一級及び第二級の抗酸化剤や「ヒンダードアミン光安定剤」、UV吸収剤、加水分解阻害剤、失活剤、難燃剤があげられる。市販の加水分解阻害剤と安定剤の例が、プラスチック添加物ハンドブック(Plastics Additive Handbook), 5版、H. Zweifel, ed., Hanser Publishers, Munich, 2001 ([1]), p.98−p.136に見出される。
【0034】
本発明のTPUが使用中に熱酸化的損傷をこうむる恐れがあるなら、抗酸化剤を添加することができる。フェノール性抗酸化剤の使用が好ましい。フェノール性抗酸化剤の例が、プラスチック添加物ハンドブック(Plastics Additive Handbook), 5版, H. Zweifel, ed, Hanser Publishers, Munich, 2001, pp. 98−107 and pp. 116−121に与えられている。数平均分子量が0.7kg/molより大きなフェノール性抗酸化剤が好ましい。好ましく用いられるフェノール性抗酸化剤の一例が、ペンタエリトリチルテトラキス(3−(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(イルガノックス(R)1010)である。これらのフェノール性抗酸化剤は、一般的にはTPUの総重量に対して0.1〜5重量%の濃度で、好ましくは0.1〜2重量%、特に0.5〜1.5重量%の濃度で使用される。
【0035】
これらのTPUは、さらにUV吸収剤で安定化されていることが好ましい。UV吸収剤は、高エネルギーの紫外光を吸収してそのエネルギーを放出する分子である。工業的に使用されている既存のUV吸収剤は、例えばシンナミックエステルとジフェニルシアノアクリレート、ホルムアミジン、ベンジリデンマロネート、ジアリールブタジエン、トリアジン、ベンゾトリアゾールの群に属す。市販のUV吸収剤の例が、プラスチック添加物ハンドブック(Plastics Additive Handbook), 5版, H. Zweifel, ed, Hanser Publishers, Munich, 2001, pages 116−122に見出される。ある好ましい実施様態においては、これらのUV吸収剤の数平均分子量が0.3kg/molより大きく、特に0.39kg/molより大きい。また、使用が好ましいUV吸収剤の数平均分子量は5kg/mol以下である必要があり、特に好ましくは2kg/mol以下である必要がある。特に好適なUV吸収剤の群は、ベンゾトリアゾール群である。特に好適なベンゾトリアゾールは、チヌビン(R)213と、チヌビン(R)328、チヌビン(R)571、チヌビン(R)384、Eversorb(R)82である。これらのUV吸収剤は、好ましくはTPUの総質量に対して0.01〜5重量%の範囲の量で用いられ、特に好ましくはTPUの総重量に対して0.1〜2.0重量%、特に0.2〜0.5重量%で用いられる。上述のように、UV光の有害な影響に対して本発明のTPUの安定性を保証するには、抗酸化剤とUV吸収剤によるUV安定化ではまだ不十分である。この場合にはヒンダードアミン光安定剤(HALS)を添加することができ、好ましくは本発明のTPUの成分(e)の抗酸化剤とUV吸収剤にこれを加えて添加できる。HALS化合物の活性は、それが保有する、ポリマーの酸化メカニズムに干渉するニトロキシルラジカルを生成する能力による。HALSはほとんどのポリマーに対して高効率なUV安定剤である。HALS化合物は公知であり市販されている。市販されているHALSの例が、プラスチック添加物ハンドブック(Plastics Additive Handbook), 5版, H. Zweifel, Hanser Publishers, Munich, 2001, pp. 123−136に見出される。「ヒンダードアミン光安定剤」としては、数平均分子量が0.5kg/molを超えるヒンダードアミン光安定剤が好ましい。また、好適なHALS化合物の数平均分子量は、好ましくは10kg/mol以下であり、特に好ましくは5kg/mol以下である。特に好ましいヒンダードアミン光安定剤は、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)セバケート(チヌビン(R)765、チバスペシャルティケミカルズ社)と1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合生成物(チヌビン(R)622)である。1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合生成物(チヌビン(R)622)で、チタン含量が<150ppmのもの、好ましくは<50ppm、特に<10ppmのものが、特に好ましい。HALS化合物は、好ましくはTPUの総重量に対して0.01〜5重量%の範囲の濃度で用いられ、特に好ましくは0.1〜1重量%で、特に0.15〜0.3重量%の範囲の濃度で用いられる。特に好ましいUV安定化は、フェノール性安定剤とベンゾトリアゾールとHALS化合物とを上述の好ましい量で含む混合物からなる。
【0036】
上述の助剤と添加物に関する他の詳細が、技術文献中に、例えばプラスチック添加物ハンドブック(Plastics Additive Handbook), 5版, H. Zweifel, ed, Hanser Publishers, Munich, 2001に見出される。本明細書中のすべての分子量は数平均分子量であり、特記しない場合は単位として[kg/mol]をもつ。
【0037】
TPUの硬度の調整のために、形成成分(b)と(c)の比を比較的広い範囲のモル比内で変更することができる。成分(b)の総使用鎖延長剤(c)に対するモル比が10:0〜1:0.35であることが有用であることが分かっている。なお、TPUの硬度は(c)の量が多いほど大きくなる。
【0038】
これらのTPUの製造は、既知のプロセスで、連続的に、好ましくは反応押出機またはベルトプロセスを用いて連続的に実施でき、またワンショット法、またはプレポリマー法で、あるいは回分的に行うこともできる。プレポリマー法で製造することも好ましい。この方法では、反応させる成分(a)と(b)と、必要なら(c)、(d)及び/又は(e)を、続けてあるいは同時に相互に混合し、直ちに反応を始める。押出機法では、形成成分(a)と(b)と必要なら(c)と、成分(d)及び/又は(e)を、個別にまたは混合物として押出機に供給して、好ましくは100℃〜280℃の温度で、より好ましくは140℃〜250℃の温度で反応させる。得られるTPUを押し出し、冷却してペレット化する。
【0039】
WO03/014179A1に記載のTPUは、特に相溶性が優れるため、PU−EとPU−1の両方の製造に好適である。これらの文書を本明細書の引用文献とする。
これ以降で実施例までに記載の情報は、これらの特に好ましいTPUに関するものである。
【0040】
特に好ましいポリウレタンは、次のものからなる。
−イソシアネートとして、モノマー状MDIあるいはポリマー状MDI(即ち、少なくとも2個の環及び/又はカルボジイミドとイソシアネートの反応生成物であるウレトンイミンを含む)、
−数平均分子量が0.5kg/molを超え100kg/molより小さい、好ましくは0.6kg/mol〜6kg/mol、特に0.8kg/mol〜4kg/molである軟質相用のポリオール成分、および
−数平均分子量が0kg/molを超え0.499kg/mol以下である、特に0.060kg/mol〜0.15kg/molである硬質相用ポリオール成分。
【0041】
特に好ましい実施様態においては、熱可塑性ポリウレタンPU−1が、ポリイソシアネートとしてのMDIと、ポリエステルオール及び/又はポリエーテルオール、特にアジピン酸とブタンジオールのポリエステル及び/又はエチレングリコール及び/又はメチルプロパンジオールとからなる。
【0042】
好ましい実施様態においては、本発明に係るポリウレタンPU−Eは、以下の特性の少なくとも一つをもつ。
【0043】
−引張強度が5MPaを超え、好ましくは10MPaを超え、特に好ましくは20MPaを超える。
−破断伸度が200%を超え、好ましくは300%を、特に好ましくは500%を超える。
−引裂伝搬抵抗が10kN/mを超え、好ましくは15kN/mを超え、特に好ましくは25kN/m以上である。
−摩耗が100mm3未満であり、好ましくは70mm3、特に好ましくは55mm3未満である。
−圧縮永久ひずみが23℃で40%未満であり、好ましくは30%、特に好ましくは24%未満である。
−70℃での圧縮永久ひずみが50%未満であり、好ましくは35%、特に好ましくは25%未満である。
−23℃での曲げ角度が50%未満であり、好ましくは30%、に好ましくは20%未満である。
【0044】
上記のパラメーターは、実施例に示す試験方法で求められる。
【0045】
好ましい実施様態においては、上記パラメーターの少なくとも2つが満たされ、より好ましくは少なくとも3つが、より好ましくは少なくとも4つが、より好ましくは少なくとも5つが、さらに好ましくは少なくとも6つが、極めて好ましくはすべて7つの上記パラメーターが満たされる。なお、好みの程度が同じまたは異なるパラメーターのいかなる組合せも、具体的には「好ましくは」と「好ましくは」の組み合わせや「好ましくは」と「特に好ましくは」の組み合わせなども、もしこれらの組合せが単純化のため明確に記載されてないとしても、本明細書の開示内容に含まれる。
【0046】
本発明のポリウレタンの引張強度が20MPaを超え、破断伸度が500%を超え、引裂伝搬抵抗25kN/m以上で、摩耗が55mm3未満で、圧縮永久ひずみが23℃で24%未満で、70℃で25%未満であることが極めて好ましい。
【0047】
本発明のポリウレタンPU−Eの指数INは、好ましくは1100〜1600の範囲であり、好ましくは1100〜1500、特に好ましくは1150〜1450である。なおこの指数は、式2により求めた値である:
【0048】
【数2】

【0049】
式中、
IN:指数
ISO:NCO含有分子(イソシアネート1と2)の総モル数(mol)
OH:活性水素、特にOH含有分子(鎖延長剤とポリオール1と2)の総モル数(mol)
ISO1:イソシアネート1の官能価
ISO1:イソシアネート1のモル数
ISO2:イソシアネート2の官能価
ISO2:イソシアネート2のモル数
P1:ポリオール1の官能価
P1:ポリオール1のモル数
P2:ポリオール2の官能価
P2:ポリオール2のモル数
CE:鎖延長剤の官能価
CE:鎖延長剤のモル数
【0050】
本発明のポリウレタンは、特に、成形物、例えばローラー、靴底、自動車のライニング、ホース、塗膜、ケーブル、形材(profiles)、積層物、プラグ接続器、ケーブルプラグ、ふいご(bellows)、けん引ケーブル、スクレーパ、シーリングリップ、ケーブル外装、シール、ベルトまたはダンパー、フィルムまたは繊維の、射出成形、カレンダ加工、粉末焼結、押出し成形による製造に好適である。
【実施例】
【0051】
下の実施例では、以下の成分を用いた。
【0052】
【表1】

【0053】
プレポリマーAは、イソシアネート成分としてのウレトンイミン含有MDIと、ヒドロキシ成分としてのジプロピレングリコールと数平均分子量が0.45kg/molであるプロピレングリコールポリエーテルジオールとからなるプレポリマーである。このプレポリマーの官能価は2.05であり、NCO含量は23g/100g(ASTM5155−96Aにより測定)である。
【0054】
プレポリマーBは、イソシアネート成分としてのポリマー状MDI(PMDI)とモノマー状MDIの混合物(約39重量%のモノマーMDIと61重量%のポリマー状MDIとから)とヒドロキシ成分としての数平均分子量が0.45kg/molであるプロピレングリコールポリエーテルジオールからなるプレポリマーである。このポリマーの官能価は2.4であり、NCO含量は28.2g/100gである。
【0055】
PU−1.1は、10.1%のMDIモノマーと0.7%の1,4−ブタンジオールと59.3%の分子量が2kg/molであるポリエステルジオール(ブタンジオール−エチレングリコール−アジピン酸で、ブタンジオール/エチレングリコール混合比率:1:1)からなるポリエステルポリウレタンと、MDIと1,4−ブタンジオールと分子量が2.5kg/molであるポリエステルジオール(ブタンジオール−アジピン酸)とからなるもう一つの高分子量ポリウレタンと、1%の加水分解阻害剤としてのポリマー状カルボジイミドと、1.5%の粘着防止剤としての潤滑剤と、0.2%のフェノール性抗酸化剤と、0.1%のリン系抗酸化剤と0.1%の微粉化したタルクとの混合物である。分子量が2.5kg/molである基本ポリウレタン(MDIモノマーと1,4−ブタンジオールとポリエステルジオール(ブタンジオールアジピン酸)からなる他の高分子量ポリウレタンを含まない)の硬質相含量は3.5%である。他の高分子量ポリウレタンの重量比は、PU−1.1の27%である。
【0056】
PU−1.2は、10.2%のMDIと0.7%の1,4−ブタンジオールと38重量%の分子量が3kg/molであるポリエステルジオール(ブタンジオール−メチルプロパンジオール−アジピン酸;ブタンジオール/メチルプロパンジオール混合比率:1/1)からなるポリエステルポリウレタンと、38重量%の分子量が2kg/molであるポリエステルジオール(ブタンジオール−ヘキサンジオールアジピン酸;ブタンジオール/ヘキサンジオール混合比率:2/1)と、10.4重量%のテレフタル酸とブタンジオールからなる高分子量ポリエステルと、1%の加水分解阻害剤としてのポリマー状脂肪族カルボジイミドと、0.8%の粘着防止剤としての潤滑剤と、0.4%のフェノール性抗酸化剤と0.5%の微粉化したタルクの混合物である。基本ポリウレタンの硬質相の含量は2.8%である。
【0057】
PU−2は、MDIと1,4−ブタンジオールと数平均分子量が2kg/molであるポリエステルジオール(ブタンジオール−ヘキサンジオール−アジピン酸)からなるポリエステルポリウレタンである。硬質相含量は26%である。イソシアネート成分のIC−1.1とIC−1.2は、下の表2のように熱可塑性ポリウレタン中にイソシアネートプレポリマーを溶解させて製造した。その製造方法は、WO2006/134138A1に記載されている。加工部長さが35Dで、10個のバレル部分に分割されたベルストルフ社製二軸押出機ZE40A型を、本発明のポリウレタンの製造に用いた。そのスクリュー要素の配列は、バレル区画2中でペレット状の熱可塑性ポリウレタンPU−1の溶融する装置として2個の逆方向輸送混練ブロックを有していた。バレル区画3と6と7は、従来の輸送要素に加えて、歯付きディスクブロックの形状の混合要素を有していた。
【0058】
バレル区画温度は、まずすべて210℃に設定し、イソシアネート濃縮物1C−1を、重量計量により連続的に熱可塑性ポリウレタンPU−2からなるペレットの形でバレル区画1内に投入した。プレポリマーAまたはBを、連続的にギアポンプと重量計量によりバレル区画3中の熱可塑性ポリウレタンPU−1の溶融物中に供給し、これを続くバレル区画で激しく混合した。プレポリマーAまたはBの添加後、バレル区画4以降の他のすべてのバレル区画温度を150℃に下げた。押出機ダイヘッドから排出される肉眼的に透明な溶融押し出し物の温度が150〜160℃に達した後、これを水槽で冷却し、付着した水を換気扇で除き、従来の方法でペレット化した。この結果、結晶化の進んだ相互粘着のない硬いペレットが得られ、これをさらに乾燥することなく使用した(濃縮物No.1)。
【0059】
【表2】

【0060】
これらの成分を用いて以下の実験を行った。
【0061】
実施例1(比較用):PU1.1
従来の方法で1)、射出成形によりPU−1.1ペレットを加工し、試験板(成形物、長さ:125mm;幅:90mm)を得た。この試験板を100℃で20時間加熱し、その機械的性質を測定した。
【0062】
DIN−EN−ISO527−2に規定の引張試験片とDIN−EN−ISO179−1に規定の耐ノッチ衝撃性測定用試験片と試験板を、射出成形により一つの装置で製造した。スクリューピストン射出成形機アルブルグ420C型を本目的に用いた。機械的またプロセス的なパラメーターは次のとおりである。
−最大締め圧力:100kN
−スクリュー径:D=30mm、LVD=25(3ゾーンスクリュー)
−フライト深度比:2.2:1
−装置温度:40℃
【0063】
実施例2(発明):PU−E1
PU−1.1ペレットを8%のイソシアネートIC−1.1ペレットと混合し、このペレット混合物を反応射出成形で加工して試験板とし、この試験板を100℃で20時間加熱し、その機械特性を測定した。その結果を表3に示す。
【0064】
実施例3(発明):PU−E2
PU−1.1ペレットを8%のイソシアネートIC−1.2ペレットと混合し、このペレット混合物を反応射出成形により加工して試験板とし、この試験板を100℃で20時間加熱し、その機械特性を測定した。その結果を表3に示す。
【0065】
実施例4(比較用):PU−1.2
PU−1.2ペレットを射出成形で加工して試験板を得て、この試験板を100℃で20時間して、その機械的性質を測定した。その結果を表3に示す。
【0066】
実施例5(発明):PU−E3
PU−1.2ペレットを8%のイソシアネートIC−1.2ペレットと混合し、このペレット混合物を反応射出成形により加工して試験板を得て、この試験板を100℃で20時間加熱して、その機械的性質を測定した。その結果を表3に示す。
【0067】
実施例6:
曲げ角度測定のための試験方法:
曲げ角度の測定のために、適当なポリウレタン製の成形物(長さ:110mm;幅:25mm;高さ:2mm)を末端で180℃折り曲げ、厚みが4mmの鋼板二枚の間に挟み、90℃のオーブン中で16時間保存した。次いでこの成形物をオーブンから取り出し、15分間後に室温でその直線からのずれを測定した。測定された曲げ角度が小さいほど、その材料は良好である。
【0068】
実施例7−NCO含量の測定
測定に用いるイソシアネート含有材料を、まずジクロロメタン中に溶解させる。想定されるNCO含量に応じて試料の重量を決める必要がある。約50mg(NCO含量が約30〜40%の場合)〜500mg(NCO含量が約1〜2%の場合)の範囲の量を正確に評量して10mLの容量フラスコに入れ、約8mLのジクロロメタンと混合し、完全に溶解するまで振とうする。次いでこのフラスコにジクロロメタンを校正マークのところまで加える。
【0069】
50mLのアセトニトリルを滴定装置の滴定容器に入れ、1mLの材料の試料溶液を加える。この容器を装置内に入れた後に10mLのジブチルアミン溶液を加える。次いでこの混合物を5分間攪拌し、過剰のジブチルアミンを0.01N塩酸で逆滴定する。測定は繰返し行う必要がある。同時に、材料の試料溶液を含まないブランクを二つ作る。塩酸濃度は炭酸ナトリウムを滴定標準として用いて測定する。
【0070】
ブランクと材料の試料の塩酸消費量の差が、NCOと反応したアミンの量に相当する。この差が1〜9mLの範囲にない場合は、適当な少量または多量の材料の試料溶液を用いて測定を繰り返す必要がある。100μlの0.01N塩酸は、42μgのNCOに相当する。この結果はまた、%NCOまたはμg/g(×10000)またはmg/g(×10)で報告することができる。
【0071】
【表3】

【0072】
本発明の実施例の結果は、圧縮永久ひずみの大きな低下と曲げ角度の大きな低下したまた好ましい低下を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタンPU−1と、熱可塑性ポリウレタンPU−1に加えられた官能価が2より大きく10未満であるイソシアネート濃縮物IC−1とからなるポリウレタンPU−Eであって、熱可塑性ポリウレタンPU−1の硬質相含量が0〜5%であり、イソシアネート濃縮物IC−1がポリウレタンPU−1に対して少なくとも2重量%の量で加えられていることを特徴とするポリウレタンPU−E。
【請求項2】
イソシアネート濃縮物IC−1が、20重量%〜70重量%の、好ましくは25重量%〜70重量%、特に好ましくは35重量%〜60重量%のイソシアネートを含む請求項1に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項3】
ポリウレタンPU−1の指数が1100〜1600である請求項1又は2に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項4】
熱可塑性ポリウレタンPU−1が、
−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)及び/又はIPDIと、特にMDIと、
−軟質相成分としての、数平均分子量が0.5kg/molより大きく12kg/molより小さい、好ましくは0.6kg/mol〜6kg/mol、特に好ましくは0.8kg/mol〜4kg/molであり、平均官能価が1.8〜2.3、好ましくは1.9〜2.2、特に好ましくは2であるポリオール成分と、
−硬質相成分としての、数平均分子量が0kg/molより大きく0.499kg/mol以下であるポリオール成分とから構成される請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項5】
ポリウレタンPU−1が、イソシアネートとしてのMDIと、軟質相成分としてのポリエステルオールまたはポリエーテルオール、特にアジピン酸のポリエステルと、硬質相成分としての1,4−ブタンジオールとから構成される請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項6】
以下のパラメーターの少なくとも一つが満たされる:
−引張強度が5MPaより大きい、
−破断伸度が200%より大きい、
−引裂伝搬抵抗が10kN/m以上である、
−摩耗が100mmより小さい、
−圧縮永久ひずみが23℃で40%未満である、
−圧縮永久ひずみが70℃で50%未満である、
−曲げ角度が23℃で50%未満である
請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項7】
イソシアネート濃縮物IC−1が、ポリウレタンPU−2中に溶解したイソシアネートプレポリマーである請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項8】
ポリウレタンPU−2とPU−1が同じである請求項7に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項9】
イソシアネート濃縮物IC−1が、変性された形で及び/又はポリマーとして存在する、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)由来のプレポリマーである請求項7に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項10】
ポリウレタンPU−1の硬質相含量が1〜4%である請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリウレタンPU−E。
【請求項11】
押出機中または射出成形工程中でポリウレタンPU−1とイソシアネート濃縮物IC−1とを混合して溶融し加工する請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリウレタンPU−Eの製造方法。
【請求項12】
イソシアネート濃縮物IC−1がペレットとして加えられる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
成形物、例えばローラー、靴底、自動車のライニング、ホース、塗膜、ケーブル、形材、積層物、プラグ接続器、ケーブルプラグ、ふいご、けん引ケーブル、スクレーパ、シーリングリップ、ケーブル外装、シール、ベルトまたはダンパー、フィルムまたは繊維を、射出成形、カレンダ加工、粉末焼結又は押出し成形により製造するために請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリウレタンPU−Eを使用する方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリウレタンPU−Eに加えて、少なくとも一種の他のポリマー、好ましくは熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルまたはポリアミドを、特に総量で、ポリウレタンPU−Eと他のポリマーの合計量に対して5〜40%の量で含むポリマーブレンドまたは混合物。
【請求項15】
前記請求項の少なくとも一項に記載のポリウレタンPU−Eを含むフィルム、射出成形品または押し出し品。

【公表番号】特表2012−530826(P2012−530826A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516689(P2012−516689)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058763
【国際公開番号】WO2010/149636
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】