説明

転写フィルムおよび無機パターンの形成方法

【課題】 無機薄膜パターンの形成に好適に用いられる転写フィルムと、当該転写フィルムを用いた、表面平滑性の高い無機パターンが得られ、従来の製造方法に比べて、実質的に作業性を向上することができる製造効率の優れた無機パターンの製造方法を提供すること。
【解決手段】 粘着樹脂層、無機蒸着層およびレジスト層を有する積層膜が支持フィルム上に形成されている転写フィルムと、当該転写フィルムを用いた無機パターンの形成方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板、多層回路基板、マルチチップモジュール、フラットパネルディスプレイおよびLSI等の蒸着膜の形成において、蒸着膜の薄膜高精細パターンの形成が可能となり、また転写フィルムを使用することにより従来の方法に比べて実質的に作業性を向上させることができる無機薄膜の製造方法に好適に用いられる転写フィルムおよび当該転写フィルムを用いた無機パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント回路基板、多層回路基板、マルチチップモジュール、フラットパネルディスプレイおよびLSI等の蒸着薄膜の形成に対して、小型化、高精細化、高密度化の要求が高まっている。
従来、このような蒸着薄膜の製造方法としては、金属薄膜をスパッタや蒸着などで形成し、レジストを塗布、露光、現像後にエッチング液により金属薄膜のパターンを形成する方法が知られている。
【0003】
しかしながら、前記レジスト塗布法では、工程上のスループットが遅い、下地の表面平滑性が悪いと形成した蒸着膜の密着性が悪い、または蒸着できない、または蒸着膜の表面平滑性も悪くなるなどの問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、新規な無機薄膜パターン(例えばプリント回路基板、多層回路基板、マルチチップモジュール、LSIの回路、フラットパネルディスプレイの反射電極および反射板等)の形成に好適に用いられる転写フィルムと、当該転写フィルムを用いた無機パターンの形成方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、表面平滑性の高い無機パターンの形成方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、従来の製造方法に比べて、実質的に作業性を向上することができる製造効率の優れた無機パターンの製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、下記説明で明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の転写フィルムは、粘着樹脂層、無機蒸着層およびレジスト層を有する積層膜が支持フィルム上に形成されていることを特徴とする。
粘着樹脂層およびレジスト層は、アクリル樹脂を含有することが好ましい。
本発明の無機パターンの形成方法は、基板上に、本発明の転写フィルムにおける粘着樹脂層が基板に当接するように転写することにより、積層膜を基板上に形成する工程と、
該積層膜を構成するレジスト層を露光処理してレジストパターンの潜像を形成する工程と、
該レジスト層を現像処理してレジストパターンを顕在化させる工程と、
該積層膜を構成する無機蒸着層および粘着樹脂層をエッチング処理することにより、レジストパターンに対応する無機蒸着層および粘着樹脂層の積層パターンを形成する工程と、
該パターンを焼成処理する工程と
を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
<転写フィルム>
本発明の転写フィルムは、支持フィルムと、この支持フィルム上に形成された粘着樹脂層、無機蒸着層およびレジスト層を有する積層膜を有してなり、当該粘着樹脂層の表面には保護フィルムが設けられていてもよい。
以下、本発明の転写フィルムの構成要素について詳述する。
【0008】
(1)支持フィルム・保護フィルム:
転写フィルムを構成する支持フィルムおよび必要に応じて用いられる保護フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムが可撓性を有することにより、ロールコータによってペースト状組成物を塗布することができ、粘着樹脂層やレジスト層をロール状に巻回した状態で保存し、供給することができる。支持フィルムおよび保護フィルムを形成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。支持フィルムおよび保護フィルムの厚さとしては、例えば20〜100μmとされる。
なお、支持フィルムおよび保護フィルムの表面には離型処理が施されていることが好ましい。これにより、後述する転写工程において、支持フィルムの剥離操作を容易に行うことができる。また、保護フィルムを設ける場合、支持フィルムと保護フィルムとでは、支持フィルムの方が剥離力の小さい(剥離しやすい)ものであることが好ましい。
【0009】
(2)粘着樹脂層(粘着樹脂組成物)
本発明の転写フィルムに用いられる粘着樹脂層は、通常、アルカリ可溶性樹脂を含有するものである。ここに、「アルカリ可溶性」とは、後述するアルカリ性のエッチング液によって溶解し、目的とするエッチング処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えばアクリル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。これらのうち、アクリル樹脂が特に好ましく用いられる。
上記アクリル樹脂としては、下記のアルカリ可溶性官能基を有するモノマーと他の共重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。
【0010】
アルカリ可溶性官能基を有するモノマーとしては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどの水酸基含有モノマー類などが挙げられる。
【0011】
他の共重合性モノマーとしては、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系モノマー類;
ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物類;
ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマー鎖の一方の末端に、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーなどのマクロモノマー類などが挙げられる。
これらは、単独で若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
上記のカルボキシル基含有単量体に由来する構成単位を含有する共重合体は、アルカリ溶解性を有し、特に後述する割合で当該単量体を用いることにより得られる共重合体は、アルカリ現像液に対して優れた溶解性を有するものとなり、従って、これを樹脂成分として用いた粘着樹脂層は、エッチング液に対する未溶解物の生成が本質的に少ないものとなり、エッチング処理においてパターン形成部以外の個所における地汚れ、膜残りなどが発生しにくいものである。
また、この共重合体を樹脂成分とする場合に得られる粘着樹脂層のパターンは、エッチング液に過剰に溶解することがなく、無機蒸着層に対して優れた密着性を有するため、得られる無機パターンが基板から脱落しにくいものとなる。
【0013】
上記カルボキシル基含有単量体と共重合性単量体とを共重合して得られる樹脂の好ましい具体例としては、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸シクロヘキシル/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
また、粘着樹脂層に用いられる樹脂は、側鎖に不飽和二重結合を有する重合体であってもよい。当該重合体は、上述した水酸基含有モノマー類を共重合成分として得られる共重合体に(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネートを反応させて好適に得ることができる。
側鎖に光重合性の不飽和二重結合を持つ樹脂の好ましい具体例として、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのベースポリマーに2−メタクリロイルオキシエチルエチルイソシアネートまたは2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させて得られたものが好ましい。
粘着樹脂層には、上記の成分のほかに、他の無機粉体、可塑剤、現像促進剤、接着助剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、架橋剤、光重合開始剤、光酸発生剤、熱重合開始剤、熱酸発生剤などの各種添加剤が任意成分として含有されていてもよい。
特に、粘着樹脂層には、本発明の転写フィルムの可撓性や転写性を良好に保持するために、可塑剤が用いられることが好ましい。粘着樹脂層に使用される可塑剤としては、種々の化合物を用いることができ、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケート、ジブチルジグリコールアジペート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレートなどの化合物や、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変成物;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類などの分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が用いられる。
また、粘着樹脂層は、感光性を有するものであってもよく、その場合、後述するアルカリ現像型感放射線性レジスト組成物を構成する感放射線性成分を添加することにより感光性を付与する。
【0014】
粘着樹脂層は、上述したようなアルカリ可溶性樹脂と任意成分とを必要に応じて溶剤に溶解・分散させた組成物(以下、「粘着樹脂組成物」ともいう)を支持フィルムに塗布・乾燥させて得ることができる。
【0015】
(4)無機蒸着層
転写フィルムを作製するために使用される無機蒸着層は、粘着樹脂層上に無機材料を蒸着することにより得られる。
【0016】
当該無機蒸着材料は、目的とする形成材料の種類によって異なるが、例えば、Ag、Au、Al、Ni、Ag−Pd合金、Cu、Cr、酸化インジウム、酸化錫、錫含有酸化インジウム(ITO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、フッ素添加酸化インジウム(FIO)、フッ素添加酸化錫(FTO)、フッ素添加酸化亜鉛(FZO)などを挙げることができ、中でもAlが好ましいものとして挙げられる。
【0017】
(2)レジスト層(レジスト組成物)
本発明の転写フィルムに用いられるレジスト層は、通常、(A)樹脂、(B)多官能性モノマー、(C)光重合開始剤を含有するレジスト組成物から得られるものである。
【0018】
(A)樹脂
レジスト組成物に用いられる樹脂(A)は、アルカリ現像型の場合にはアルカリ可溶性樹脂である必要があり、例えば上述した粘着樹脂層に用いられるアルカリ可溶性樹脂が用いられる。当該アルカリ可溶性樹脂としては、アクリル樹脂が好ましい。特に、分子中に少なくとも1個以上のカルボキシル基を有するエチレン不飽和性単量体と、当該単量体と共重合可能な共重合性単量体とを重合して得られるカルボキシル基含有共重合体であることが好ましく、さらに好ましいものとしては、側鎖に不飽和二重結合を有する重合体が挙げられる。
上記のカルボキシル基含有単量体に由来する構成単位を含有する共重合体は、アルカリ溶解性を有し、特に後述する割合で当該単量体を用いることにより得られる共重合体は、アルカリ現像液に対して優れた溶解性を有するものとなり、従って、これを樹脂成分として用いた感光性レジスト組成物は、アルカリ現像液に対する未溶解物の生成が本質的に少ないものとなり、現像処理においてレジストパターン形成部以外の個所における地汚れ、膜残りなどが発生しにくいものである。
また、この共重合体を樹脂成分とする場合に得られるレジストパターンは、アルカリ現像液に過剰に溶解することがなく、無機蒸着層に対して優れた密着性を有するため、無機蒸着層から脱落しにくいものである。
【0019】
樹脂(A)におけるカルボキシル基含有単量体の共重合割合は、単量体全量に対して5〜50質量%、特に、10〜40質量%であることが好ましい。カルボキシル基含有単量体の共重合割合が5質量%未満の場合には、得られるレジスト組成物は、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなる傾向がある。一方、カルボキシル基含単量体の共重合割合が50質量%を超える場合には、現像時にレジストパターンが無機蒸着層から脱落する傾向がある。
【0020】
このような樹脂(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、キャリアー:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という。)が、3,000〜300,000、特に5,000〜200,000であることが好ましい。
このような分子量を有する樹脂を用いることによって、現像性の高いレジスト組成物が得られ、これにより、シャープなパターンエッジを有するレジストパターンを形成することができる。
【0021】
(B)多官能性モノマー
多官能性モノマー(B)としては、多官能性(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。好ましい具体例としては、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの2官能以上の多官能アクリレート類、およびこれらのオリゴマー、エチレンオキサイド変性、プロピレンオキサイド変性が挙げられる。
これらの中で、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートが、レジストパターンの強度が高く、パターン形成部以外での地汚れまたは膜残りが発生しにくい点で特に好ましい。
【0022】
上記多官能性(メタ)アクリレートの分子量としては、100〜2,000であることが好ましい。
多官能性モノマー(B)の使用割合は、樹脂(A)100重量部に対して、通常、5〜100重量部、好ましくは10〜70重量部である。この割合が5重量部未満である場合には、レジストパターン強度が不十分なものとなりやすい傾向がある。一方、この割合が100重量部を超える場合には、アルカリ解像性が低下したり、レジストパターン形成部以外の地汚れ、膜残りなどが発生したりする傾向がある。
【0023】
(C)光重合開始剤
本発明における光重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾイン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;メルカプタンジスルフィドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4ジメトキシフェニル)]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メトキシフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、などのトリハロメタン類;などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
このアルカリ現像型感放射線性レジスト組成物における感放射線性成分の含有割合としては、アルカリ可溶性樹脂100質量部当たり、通常1〜300重量部とされ、好ましくは10〜200質量部である。
【0024】
(D)溶剤
本発明で用いられるレジスト組成物には、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために、通常、溶剤が含有される。
レジスト組成物に含有される溶剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、エーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、ラクトン類、スルホキシド類、スルホン類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
かかる溶剤の具体例としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、ヒドロキシプロピオン酸エステル類、アルコキシプロピオン酸エステル類、乳酸エステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコキシ酢酸エステル類、環式ケトン類、非環式ケトン類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類、N,N−ジアルキルホルムアミド類、N,N−ジアルキルアセトアミド類、N−アルキルピロリドン類、γ−ラクトン類、ジアルキルスルホキシド類、ジアルキルスルホン類、ターピネオール、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
当該レジスト組成物における溶剤の含有割合としては、良好な膜形成性(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができる。
【0025】
本発明で用いられるレジスト組成物には、任意成分として、増感剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、蛍光体、顔料、染料などの各種添加剤が含有されていてもよい。
【0026】
(5)転写フィルムの製造方法
本発明の転写フィルムの製造方法としては、まず、支持フィルム上にレジスト組成物を塗布してレジスト層を形成し、当該レジスト層の上に無機蒸着層を蒸着により形成し、当該無機蒸着層の上に粘着樹脂組成物を塗布して粘着樹脂層を形成し、三層積層膜を形成する方法が挙げられる。粘着樹脂層の上には保護フィルムを重ね合わせてもよい。また、保護フィルム上に粘着樹脂組成物を塗布して粘着樹脂層を形成し、当該粘着樹脂層の上に無機蒸着層を蒸着により形成し、当該無機蒸着層の上にレジスト組成物を塗布してレジスト層を形成し、当該レジスト層の上に支持フィルムを重ね合わせて転写フィルムを製造してもよい。さらに、本発明の転写フィルムは、保護フィルム上に粘着樹脂層、無機蒸着層を形成し、支持フィルム上にレジスト層を形成し、無機蒸着層表面とレジスト層表面とを重ね合わせて圧着する方法によっても、好適に形成することができる。また上記方法において無機蒸着層をレジスト層の上に蒸着し、粘着樹脂層表面と無機蒸着層表面とを圧着させても、好適に形成することができる。
レジスト組成物および粘着樹脂組成物を塗布する方法としては、膜厚の均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができるものであることが必要とされ、具体的には、ロールコータによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、カーテンコーターによる塗布方法、ワイヤーコーターによる塗布方法、グラビアコーターによる塗布方法などを好ましいものとして挙げることができる。
【0027】
塗膜の乾燥条件としては、例えば、50〜150℃で0.5〜30分間程度とされ、乾燥後における溶剤の残存割合(無機粉体含有樹脂層中の含有率)は、通常2質量%以内とされる。粘着樹脂層の膜厚としては、通常、0.1〜40μm、好ましくは0.5〜20μmであり、レジスト層の膜厚としては、通常、0.1〜40μm、好ましくは0.5〜20μmである。
【0028】
蒸着層の形成方法は、例えば高真空下で無機物を加熱蒸発させて基材上に凝結し、薄膜を形成するものである。条件としては、例えば、真空度1〜1.5×10−2Pa、蒸発源として高周波誘導加熱、抵抗加熱式などが用いられる。無機蒸着層の膜厚としては、通常、100〜10000Å、好ましくは500〜3000Åである。
【0029】
<無機パターンの形成方法>
本発明の無機パターンの形成方法は、〔1〕積層膜の転写工程、〔2〕レジスト層の露光工程、〔3〕レジスト層の現像工程、〔4〕無機蒸着層および粘着樹脂層のエッチング工程、〔5〕焼成工程を含む。
【0030】
〔1〕積層膜の転写工程
この工程においては、必要に応じて使用される転写フィルムの保護フィルム層を剥離した後、基板の表面に、粘着樹脂層の表面が当接されるように転写フィルムを重ね合わせ、この転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、支持フィルムを剥離除去する。これにより、基板の表面に粘着樹脂層/無機蒸着層/レジスト層が下からこの順に積層された積層膜が転写されて密着した状態となる。ここで、転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が80〜140℃、加熱ローラによるロール線圧が1〜5kg/cm 、加熱ローラの移動速度が0.1〜10.0m/分を示すことができる。また、基板は予熱されていてもよく、予熱温度としては例えば40〜100℃とすることができる。
【0031】
〔2〕レジスト層の露光工程
この工程においては、レジスト層の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的照射(露光)して、レジストパターンの潜像を形成する。
ここに、放射線照射装置としては、前記フォトリソグラフィー法で使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置など特に限定されるものではない。
【0032】
〔3〕レジスト層の現像工程
この工程においては、露光されたレジスト層を現像処理することにより、レジストパターン(潜像)を顕在化させる。
ここに、現像処理条件としては、レジスト層の種類などに応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、現像装置などを適宜選択することができる。
この現像工程により、レジスト層残留部とレジスト層除去部とから構成されるレジストパターンが形成される。
このレジストパターンは、次工程(エッチング工程)におけるエッチングマスクとして作用するものであり、レジスト残留部の構成材料(光硬化されたレジスト)は、粘着樹脂層の構成材料よりもエッチング液に対する溶解速度が小さいことが必要である。
【0033】
〔6〕無機蒸着層および粘着樹脂層のエッチング工程
この工程においては、無機蒸着層と粘着樹脂層をエッチング処理し、レジストパターンに対応する無機蒸着層と粘着樹脂層のパターンを形成する。
すなわち、無機蒸着層と粘着樹脂層のうち、レジストパターンのレジスト除去部に対応する部分がエッチング液に溶解されて選択的に除去される。そして、更にエッチング処理を継続すると、無機蒸着層と粘着樹脂層におけるレジスト除去部に対応する部分で基板表面が露出する。これにより、材料層残留部と材料層除去部とから構成される無機蒸着層と粘着樹脂層のパターンが形成される。なお、本工程においては、レジスト除去部に対応する部分の粘着樹脂層のみがエッチング液に溶解され、無機蒸着層の該当部分が剥離除去されてパターンが形成されるものであってもよい。
ここに、エッチング処理条件としては、無機蒸着層と粘着樹脂層の種類などに応じて、エッチング液の種類・組成・濃度、処理時間、処理温度、処理方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法)、処理装置などを適宜選択することができる。
なお、エッチング液として、現像工程で使用した現像液と同一の溶液を使用することができるよう、レジスト層、無機蒸着層および粘着樹脂層の種類を選択することにより、現像工程とエッチング工程とを連続的に実施することが可能となり、工程の簡略化による製造効率の向上を図ることができる。
なお、エッチング処理後にレジスト残留部の一部または全部が残留していても、当該レジスト残留部は、次の焼成工程で除去される。
【0034】
〔7〕焼成工程
この工程においては、無機蒸着層と粘着樹脂層のパターンを焼成処理して無機パターンを形成する。これにより、レジスト層および粘着樹脂層の有機物質が焼失して、例えば金属層、金属酸化物層などの無機薄膜が形成され、対象物の表面に無機パターンが形成される。
ここに、焼成処理の温度としては、有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常、400〜600℃とされる。また、焼成時間は、通常10〜90分間とされる。
【0035】
以下に、前記の各工程に用いられる材料、各種条件などについて説明する。
・基板
本発明の無機パターンが形成される基板としては、特に限定されないが、例えばガラス、セラミック、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの材料からなる板状部材が挙げられる。また、当該基板は平滑であっても曲面であってもよく、また、例えば無機粉体が上記板状部材表面に焼結して得られた部材等の表面であってもよい。
【0036】
・現像液
本発明において、レジスト膜の現像工程には、一般にアルカリ現像液が使用される。
アルカリ現像液の有効成分としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどの有機アルカリ性化合物などを挙げることができる。
レジスト膜の現像工程に使用されるアルカリ現像液は、前記アルカリ性化合物の1種または2種以上を水などに溶解させることにより調整することができる。ここに、アルカリ性現像液におけるアルカリ性化合物の濃度は、通常0.001〜10質量%とされ、好ましくは0.01〜5質量%とされる。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0037】
・エッチング液
無機蒸着層と粘着樹脂層のエッチング工程で使用されるエッチング液としては、アルカリ性溶液であることが好ましい。これにより、粘着樹脂層に含有されるアルカリ可溶性樹脂を容易に溶解除去することができる。
ここに、エッチング液として使用されるアルカリ性溶液としては、現像液と同一組成の溶液を挙げることができる。
そして、エッチング液が、現像工程で使用するアルカリ現像液と同一の溶液である場合には、現像工程と、エッチング工程とを連続的に実施することが可能となり、工程の簡略化による製造効率の向上を図ることができるために好ましい。
なお、アルカリ性溶液によるエッチング処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0038】
また、エッチング液として、粘着樹脂層、レジスト層のバインダーを溶解することのできる有機溶剤を使用することもできる。かかる有機溶剤としては、粘着樹脂層、レジスト層を構成するものとして例示した溶剤を挙げることができる。
なお、有機溶剤によるエッチング処理がなされた後は、必要に応じて貧溶媒によるリンス処理が施される。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を示す。
[結着樹脂のMw]
東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(商品名HLC−802A)によりポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
【0040】
<実施例>
(1)レジスト組成物の調製:
アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸ベンジル/メタクリル酸=75/25(重量%)共重合体(Mw=30,000)60部、多官能性モノマー(感放射線性成分)としてトリプロピレングリコールジアクリレート40部、光重合開始剤(感放射線性成分)として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン5部および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部を混練りした後、カートリッジフィルター(2μm径)でフィルタリングすることにより、レジスト組成物を調製した。
【0041】
(2)粘着樹脂組成物の調製:
アルカリ可溶性樹脂として、メタクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸/コハク酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)=60/20/20/20(質量%)共重合体(Mw=50,000)60部、その他任意成分として、オレイン酸1部、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート40部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル100部を混練りした後、カートリッジフィルター(2μm径)でフィルタリングすることにより、粘着樹脂組成物を調製した。
【0042】
(3)転写フィルムの作製:
下記(イ)〜(ニ)の操作により、粘着樹脂層と無機蒸着層およびレジスト層を積層してなる積層膜が支持フィルム上に形成されてなる本発明の転写フィルムを作製した。
(イ)(2)で調製した粘着樹脂組成物を膜厚38μmのPETフィルムよりなる保護フィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、塗膜を100℃で3分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ8μmの粘着樹脂層を保護フィルム上に形成した。
(ロ)(イ)で形成した粘着樹脂層形成フィルムを半連続式の真空蒸着機に入れ、蒸着材料にAlを使用し、機内のフィルム流路に設置し、10−4torrまで真空引きし、蒸着加工、真空破壊、蒸着加工品の取り出し、というプロセスを経て、粘着樹脂層上にAlの蒸着薄膜を形成した。
(ハ)(1)で調製したレジスト組成物を膜厚38μmのPETフィルムよりなる支持フィルム上にブレードコーターを用いて塗布し、塗膜を100℃で3分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ10μmのレジスト層を支持フィルム上に形成した。
(ニ)(ロ)で作製した無機蒸着層と、レジスト層との表面が当接されるよう両フィルムを重ね合わせ、加熱ローラで熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を2.5kg/cm、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、三層からなる積層膜が支持フィルムと保護フィルムの間に形成されてなる転写フィルムを作製した。
【0043】
(4)積層膜の転写工程:
Ra=5000Åと平滑性の悪い(3)で得られた転写フィルムの保護フィルムを剥離して、ガラス基板の表面に当該転写フィルムの粘着樹脂層の表面が当接されるよう転写フィルムを重ね合わせ、加熱ローラに熱圧着した。ここで、圧着条件としては、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を2.5kg/cm、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、ガラス基板の表面に転写フィルムが転写されて密着した状態となった。
【0044】
(5)レジスト層の露光工程・現像工程:
上記(4)においてガラス基板上に形成された積層膜中のレジスト層に対して、支持フィルム上より露光用マスク(100μm角のドットパターン)を介して、超高圧水銀灯により、i線(波長365nmの紫外線)を400mJ/cm2照射した。レジスト層上の支持フィルムを剥離し、次いで、露光処理されたレジスト層に対して、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を現像液とするシャワー法によるレジスト膜の現像処理を30秒間行った。
これにより、紫外線が照射されていない未硬化のレジストを除去し、レジストパターンを形成した。レジストパターンは、パターン形状が均一で、パターンエッジの直線性に優れた形状が良好なものであった。
【0045】
(6)粘着樹脂層と無機蒸着層のエッチング工程:
上記(5)の工程に連続して、0.3質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)をエッチング液とするシャワー法によるエッチング処理を60秒間行った。
次いで、超純水による水洗処理および乾燥処理を行った。これにより、粘着樹脂層と無機蒸着層のパターンを形成した。
【0046】
(7)焼成工程:
粘着樹脂層と無機蒸着層のパターンが形成されたガラス基板を焼成炉内に入れ、大気雰囲気下、500℃で10分間にわたり焼成処理を行った。これにより、ガラス基板の表面に膜厚1000ÅのAlドットパターンが形成された。
(8)パターンの評価:
得られたドットパターンは、ガラス基板が平滑性が悪いものであったにもかかわらず、亀裂や欠けがなく、また膜厚均一性に優れたものであった。
【0047】
<比較例>
(1)蒸着膜の形成
実施例で使用したものと同じ平滑性の悪いガラス基板の表面に、実施例の(3)(ロ)と同じ条件でAlを薄膜で蒸着した。平滑性が悪いガラス基板に直接蒸着したため、一部蒸着が成されていない部分もあった。
【0048】
(2)レジスト層の形成
実施例(1)で調製したレジスト液を上記蒸着膜上にスピンコーターにより均一に塗布した。次に塗膜を100℃で3分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ10μmのレジスト層を蒸着膜上に形成した。
【0049】
(3)レジスト層の露光工程・現像工程:
上記(2)においてガラス基板上に形成されたレジスト層に対して、実施例と同様に露光用マスク(100μm角のドットパターン)を介して、超高圧水銀灯により、i線(波長365nmの紫外線)を400mJ/cm2照射した。次いで、露光処理されたレジスト層に対して、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を現像液とするシャワー法によるレジスト膜の現像処理を30秒間行った。
これにより、紫外線が照射されていない未硬化のレジストを除去し、レジストパターンを形成した。レジストパターン自体は、パターン形状が均一で、パターンエッジの直線性に優れた形状が良好なものであった。しかし下地の蒸着膜の膜厚均一性が悪く、表面平滑性も悪いため、レジストパターン全体像は大きなうねり、くぼみがあるものとなっていた。
【0050】
(4)蒸着膜のエッチング工程:
実施例と同様に上記の工程に連続して、0.3質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)をエッチング液とするシャワー法による蒸着膜のエッチング処理を60秒間行った。
次いで、超純水による水洗処理および乾燥処理を行った。これにより、蒸着膜パターンを形成した。
【0051】
(5)パターンの焼成工程:
蒸着膜のパターンが形成されたガラス基板を実施例と同じ焼成炉内に入れ、大気雰囲気下、500℃で10分間にわたり焼成処理を行った。これにより、ガラス基板の表面に膜厚1000ÅのAlドットパターンが形成された。
(8)パターンの評価:
得られたドットパターンは、亀裂や欠けが多いものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着樹脂層、無機蒸着層およびレジスト層を有する積層膜が支持フィルム上に形成されていることを特徴とする、転写フィルム。
【請求項2】
粘着樹脂層およびレジスト層がアクリル樹脂を含有する、請求項1記載の転写フィルム。
【請求項3】
基板上に、請求項1に記載の転写フィルムにおける粘着樹脂層が基板に当接するように転写することにより、積層膜を基板上に形成する工程と、
該積層膜を構成するレジスト層を露光処理してレジストパターンの潜像を形成する工程と、
該レジスト層を現像処理してレジストパターンを顕在化させる工程と、
該積層膜を構成する無機蒸着層および粘着層をエッチング処理することにより、レジストパターンに対応する無機蒸着層および粘着層の積層パターンを形成する工程と、
該パターンを焼成処理する工程と
を含むことを特徴とする無機パターンの形成方法。


【公開番号】特開2007−290227(P2007−290227A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120320(P2006−120320)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】