説明

転動体保持チェーンユニット

【課題】循環経路に沿って円滑に運行する転動体保持チェーン。
【解決手段】
転動体保持チェーン01は、柔軟性を有する金属薄片02と複数の樹脂製スペーサー03とから構成され、金属片は、軸方向に配列孔を有し、孔の間に水平部を形成して、該水平部のスペーサーを固定する。
ボール等の転動体05は、配列孔中に収容されてスペーサーにより相互に一定間隔に保持される。
柔軟性を有する金属薄片の強度は、一般の現有使用するプラスチック材質より高く、より高い張力を受けても断裂することがなく、転動体保持チェーンの耐久性をより保証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線形運動機構に応用するボールチェーンなどの転動体保持チェーンユニットに関し、軸方向に延伸した弾性を有する転動体保持チェーンが軸方向にに延伸して列を成す複数の転動体をその保持孔中に収容し、2つの隣接する転動体の間に一定間隔を保持して、転動体保持チェーンと転動体が線形運動機構、例えば、線形滑動軌道または珠螺子等が形成する循環経路内で円滑に循環運行することができる転動体保持チェーンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の線形運動機能は、運動部材と軸方向に延伸可能なガイド部材を有する。運動部材とガイド部材は、それぞれ少なくとも1列の相互に対応する軌道を提供して、運行経路を形成する。運動部材は、各1列の相互に対応する軌道に対して回流経路と2つの旋転路を提供し、旋転路は回流経路及び軌道の端面出入口に接続して循環経路を形成し、転動体が軌道領域から旋転路を経由して回流経路に進入し、回流経路から更に旋転路を経由して軌道領域に進入できるようにし、従って、転動体が循環経路内で循環運行することができる。転動体の無制限な転動によって、運動部材がガイド部材上で軌道に沿って行程を制限せずに運動することができる。
【0003】
各転動体が相互に衝突することを回避する為、運動部材は、転動体保持チェーンの構造をなす。一列となった複数のスペーサーが転動体の間に配置され、直列に接続されて転動体の間が一定の距離を保持して循環運動し、且つ運動部材がより円滑に運行することができる。現行の一般の設計、例えば、日本公開公報JP05-052217(Japanese unexamined patent publication)が開示するローラーボールチェーンは、直接、樹脂射出成型で形成される。但し、線形運動機構が小さくなる、または精密になるにつれて、射出成型が困難になり、射出成形の樹脂充填できない状況が容易に発生する。また、樹脂の抗張力強度が小さいことにより、循環運行中に断裂しないことを保証することができず、しばしば断裂により突然運行不順が生じる。
【0004】
上記の問題を克服する為、例えば、米国特許US6,142,671が開示する転動体保持チェーンの構造は、保持ブロックと接続部が、柔軟性を有する金属帯から形成され、金属の抗張力強度が樹脂より遥かに高いので、一方では該柔軟性を有する金属帯が転動体保持チェーンの抗張力を強化することができるため断裂し難く、もう一方で接続部の厚さを減少しつつより高い抗張力を保持することができる。金属帯の厚さが0.1mmより小さくない時、プレス湾曲の方式で寸法が更に小さい構造を容易に実現することができる。金属材料の弾性係数E、厚さhの金属帯が曲率半径ρの円弧湾曲をなす時、その発生する最大応力がσR について、
【数3】

と仮定する。
【0005】
例えば、鋼製金属帯の厚さがh=0.03mm,E=210,000 N/mm2,ρ=10mmであれば σR= 315 N/ mm2であり、金属材料の弾性係数は、樹脂より遥かに高く、従って、同一の曲率半径であれば、金属帯の厚さは、樹脂材料で製造する転動体接続部の厚さより遥かに小さくなり、過大な応力の発生を回避してその湾曲抵抗力を保持することができる。但し、金属帯の厚さが0.06mmより小さい時、精密プレス成型及び湾曲の製作が益々困難になり、金属片において被覆片を加工成型し、転動体と間隔を置き、転動体の転動体接続部内での効用を保持する保持ブロックとすることが困難である。製作を容易にし、金属片の厚さを増加し、金属片が湾曲時の抵抗力を増加し、転動体が両端に接続し、旋転路を通過する時、湾曲が不完全で旋転が円滑ではなくなり、循環運行時に容易に追従出来ずに断裂する。
【0006】
上記の問題を克服する為に、例えば、米国特許US7,329,047が開示する転動体接続帯の設計は、皺状を呈する金属帯から形成され、皺状を利用し湾曲可能部分を増加し、湾曲が必要な幅を分担し、例えば、図34、図35、図36が示すように、そのうちの金属帯が90度の湾曲範囲内でN個の皺を有し、曲率半径がρであり、皺の深さがTであり、計算を簡易化する為、皺尖端を尖端の交点であると仮定すると、皺の幅2W、皺の長さLを得ることができ、その幾何学関係は以下の通りである:
【数4】

【0007】
図36に示すように、Sは直線が湾曲していない時の金属帯を示し、S’は、曲率半径がρであり、且つ湾曲角度が90度の時の金属帯を示し、SとS’の角度の差は、90/4N度であり、計算を簡易化する為、皺の長さLが半径が等しい円弧湾曲をなし、円弧半径がrであると仮定する。従って、金属帯の厚さがhである時、曲率半径がrである円弧湾曲を形成する時に発生する最大応力がσRである。
【数5】

【0008】
一般の設計において、循環経路が提供する循環ガイド凹溝の幅は、転動体直径の0.1〜0.2倍であり、皺の深さが凹溝の幅より小さく、旋転半径は、転動体の直径の1.5〜3.0倍である。
【0009】
例えば、転動体の直径がφD = 5mmであり、鋼製金属片の弾性係数がE=210,000 N/mm2であり、旋転半径ρ=10mmであれば、異なる状況の下、該皺状を呈する金属帯上に作用する最大応力は、
T=0.8mm,h=0.0685mm,N=20,2W=0.8mm,σR= 315 N/ mm2
T=1.0mm,h=0.823mm,N=20,2W=0.8mm,σR= 314 N/ mm2
T=0.8mm,h=0.126mm,N=60,2W=0.4mm,σR=315N/ mm2
と、算出することができる。
【0010】
上記計算から分かるように、同一の応力の下、皺の数Nが多くなるか、皺の深さTが深くなる程、厚さを増加することができる。一般の設計の寸法に従い、上記の例に示すように、同一の応力の下、皺を有する金属帯の厚さが皺を有さない金属帯の2〜4倍を達成することができ、皺を有さない金属帯の問題を解決することができる。但し、この構造は、金属帯から構成される軸方向に延長する接続部の両側面を皺状である平滑面ではなくしてなり、該皺状の金属帯が線形運動機構の循環経路が提供する封鎖式循環ガイド凹溝内で運行することによって、転動体保持チェーンの方向が正確で循環経路で安定して円滑な運行をガイドする。各皺が該ガイド凹溝に垂直になるので、各皺の端点が該皺状を呈する金属帯がガイド凹溝内で円滑に運行することに不利である。且つ循環経路閉鎖式の循環ガイド凹溝は、2つ以上の部材が結合してなるので、各皺の端点の結合箇所が不安定に揺動し、安定した円滑な運行をすることができない。
【特許文献1】特開平05-052217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記金属片を使用した構造に伴う湾曲プレスが困難であることを解決し、皺が発生する運行の不順を回避し、皺設計方式のように転動体接続部張力強度を増加することができる柔軟性金属片を有する転動体保持チェーンユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的に基づき、本発明の転動体保持チェーンユニットは、少なくとも1つの柔軟性を有する金属片とスペーサーから構成され、そのうち、少なくとも1つの柔軟性を有する金属片が軸方向に配列される複数の孔を有し、且つ該複数の孔は、任意の2つの孔が相互に間隔を有する横棒により区画され、スペーサーがその上に結合される。孔上下両側にそれぞれ接続部を形成し、全ての横棒がその上に接続される。軸方向に配列されて列を成す転動体が孔内に保持され、スペーサーによりそれぞれ相互に隔てられ、転動体の間に一定の距離を保持し、転動体保持チェーンの接続部は、循環経路において運行方向に沿って延伸する凹溝内の運行を提供し、転動体保持チェーンの方向が正確な循環経路での安定し、円滑な運行をガイドする。転動体保持チェーンは、軌道領域および回流経路で直線運行をし、旋転路領域では、旋転する弧度に従い湾曲するので、転動体保持チェーンが循環運行時に湾曲伸直を反復する動作を行い、反復応力に塑性変形を発生させないようにし、金属薄片の厚さh且つh < ho、 ho= 2.Rp0.2.ρ/Eであり、そのうち、E:金属材料の弾性係数、Rp0.2:金属材料の0.2%塑性変形の降伏強度、ρ:旋転路ガイド凹溝の最小旋転半径である。従って、旋転路で旋転する時、塑性変形が発生せず、反復湾曲の能力を達成することができる。
【0013】
所定の寿命または反復回数を達成し、材料疲労により断裂が発生しなうようにする為、各種金属材料の特性に基づき、適切な係数fを選択し、金属薄片の厚さがh ≦ f.hm、hm= 2.Rm.ρ/Eであり、そのうち、Rm:金属材料の断裂強度である。例えば、金属材料が鋼製品であり、且つ反復回数の要求が百万回以上である時、f = 0.6〜0.7である。循環経路が運行方向に沿った延伸を提供する循環ガイド凹溝が閉鎖式であり、通常は、2つ以上の部材が結合してなり、結合箇所に不整合により発生する不連続面を有し、金属薄片が形成する接続部の両側面に皺がないことによって平滑面を保持することができる。従って、循環ガイド凹溝結合箇所で障害を発生し、運行不順を起こすことがない。
【0014】
スペーサーと金属片孔の間の横棒を結合する為、横棒上に横棒に沿った軸方向に移動を防止することができる突出、凹陥を提供するか、横棒上に小孔を形成し、スペーサーを嵌合、固定する。
【0015】
スペーサーの転動体に対応する面は、被覆状を呈し、転動体の左右の被覆状を呈する2つのスペーサーの間が転動体保持チェーン内に保持され、自由落下することがない。該柔軟性を有する金属片上に軸方向に配列する孔を有し且つフック部を有さず、更に薄い厚さでプレス、エッチング方式で製作することができる。
【0016】
スペーサーの材料は樹脂であり、油、ガラス繊維、カーボン繊維等の混合からなる樹脂により構成する。
【0017】
金属片と樹脂スペーサーの結合は、射出成型によりスペーサーを金属片上に射出することができる。もう1種の結合方式は、金属片を分割面とし、スペーサーを左右2つに分け、左右2つの半スペーサーが対応する定位ピンと孔および金属片の横棒を収容する凹溝を有するので、左右2つの半スペーサーは、金属片の横棒の左右側に結合した後、完全なスペーサーを形成する。もう1種の結合方式は、金属片の垂直面を分割面とし、スペーサーを前後2つに分け、前後2つの半スペーサーは、相対する定位ピンと孔および金属片の横棒を収納する凹溝を有するので、前後2つの半スペーサーが金属片の横棒前後側に結合し、完全なスペーサーを形成する。2つの半スペーサーの定位ピンは、2つの半スペーサーに突出することができ、定位ピンの端面に転動体の被覆面を形成し、転動体は、これにより定位ピンの端面の被覆と間隔を置かれ、定位ピンの間の空間は、これにより潤滑油脂を蓄積する空間となり、潤滑効果を向上することができる。
【0018】
金属片が必要とする湾曲能力の為に厚さhを減少して転動体保持チェーンの抗張力強度の不足を生じる時、2片以上の金属片を1つに重ね合わせることができ、樹脂スペーサーをその上に結合し、転動体保持チェーンの抗張力強度を増加することができ、各金属片の厚さがh1, h2, … < ho、
【数6】

であり、各金属片が単独で湾曲でき、このように複数の金属片から構成される転動体保持チェーンが依然として単一金属片から構成される転動体保持チェーンの湾曲能力を保有することができ、但し抗張力強度は、重ね合わせ片数に従い倍増することができる。
【0019】
左右または前後の2つの半スペーサーの結合方式を利用する時、左右または前後の2つの半スペーサーの金属片を収納する凹溝は、金属片の横棒よりやや大きいものであり、各金属片の湾曲時に必要な相対移動により多くの空間を提供し、この重ね合わせた複数の金属片から構成される転動体保持チェーンが湾曲する時の抵抗力とその発生する最大応力は、単一金属片が構成する転動体保持チェーンと同一の応力を維持することができる。
【0020】
転動体保持チェーンのスペーサーの強度を増加する為、少なくとも1つの金属片上の軸方向に配列孔の間で金属片接続部上に接続する横棒が上下半分に分割され、上下半分の横棒がスペーサーを介して1つに連結され、転動体保持チェーンを形成する。
【0021】
転動体保持チェーンの金属片の横棒の剛性を増加する為、金属片上の軸方向に配列孔は、金属片を分割面として各転動体を切断する断面形状よりもやや大きい。
【0022】
高い摩擦係数を有する金属片の循環ガイド凹溝内で運行時の摩擦抵抗力を減少させる為、少なくとも1つの金属片が低摩擦係数を有する樹脂被覆を有し、スペーサーと一緒に射出成型されることができる。
【0023】
転動体がローラーボールまたはローラーであることができる。
【発明の効果】
【0024】
金属片の厚さが樹脂で形成された転動体保持チェーンより小さいので、構造上に空間を有し、金属片を重ね合わせることができる。本発明の金属片の転動体保持チェーンユニット中、その両端部の金属片を相互に重ね合わせ、両端部に少なくとも1つの半スペーサーを提供し、一端の少なくとも1つの半スペーサーともう一端の少なくとも1つの半スペーサーが相互に対応し、相互に対応する定位ピン及び定位孔を有し、相互に結合固定した後、完全なスペーサーおよび封鎖した転動体保持チェーンを形成し、金属片の転動体保持チェーンユニットは、これにより両端の開放が起こす運行不順の問題を解決する。
【0025】
本発明の金属片転動体保持チェーンユニットのもう1種の構造は、少なくとも1つの金属片を少なくとも1つの金属片の一側に置かれる半スペーサーと結合し、半金属片転動体保持チェーンとし、半スペーサーが対応する定位ピンと定位孔を有し、少なくとも1つの金属片と半スペーサーが射出成型方式で結合でき、相互に対応する定位ピンと定位孔の結合を介して、2つの半金属片転動体保持チェーンを完全な転動体保持チェーンに結合し、半金属片転動体保持チェーンユニットが被覆状のスペーサーを2つに分け、このようにして簡易化するとともに、被覆状のスペーサーが射出成型時に直接型抜きできない困難性を解決する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
転動体5は、左右が被覆状36を呈する2つのスペーサー3の間で転動体保持―チェーン1内に保持され、自由落下することがない。図5に示すように、転動体保持チェーン1及び転動体列5は運動部材6が提供する循環回路61内に配置されて循環運行する。循環経路61は、運行に沿って延伸する凹溝62を提供し、転動体保持チェーン1の接続部23は、凹溝62内に配置されガイドされる。転動体保持チェーン1は軌道領域64および回流経路63で直線運行をなし、旋転路領域65では、最小の旋転の弧度ρに従い湾曲し、従って転動体保持チェーン1が循環運行する時、湾曲伸直を反復する運動を行い、反復応力により塑性変形を発生させない為、金属片2の厚さhであり(図2参照)、且つh < ho, ho= 2.R0.2p.ρ/E、ここで、E:金属材料の弾性係数、R0.2p:金属材料の0.2%塑性変形の降伏強度、ρ:旋転路の最小旋転半径である。従って、転動体保持チェーン1が旋転路領域65で旋転時に塑性変形を発生せず、湾曲を反復する能力を達成することができる。
【0027】
所定の寿命または反復回数を達成し、材料疲労による断裂が発生しないようにする為、各種材料の特性に基づき、適切な係数fを選択し、金属片2の厚さをh ≦ f.hm、hm= 2.Rm.ρ/Eとし、ここで、Rm:金属材料の断裂強度である。例えば、金属片2の材料が鋼製品であり、反復回数の要求が百万回以上である時、f = 0.6〜0.7である。金属片2の細長形の接続部23両側面は、皺を有さないので、平滑面を保持する。
【0028】
図6に示すように、水平部22は、スペーサー3と固定結合できるよう構成し、水平部22上にスペーサー3が水平部22に沿って軸方向に移動することを防止する突出24、凹陥25を提供し、または水平部22上に小孔26を形成する。突出24、凹陥25または小孔26は、水平部22の両端に配置されることが最適であり、水平部22中間の厚さを減少し、2つの転動体5の間の距離を低減することができる。
【0029】
金属片2は、プレス、エッチングまたはレーザー切削方式で製作できる。図1に示すように、金属片2とスペーサーとの結合は、射出成型でスペーサーを金属片2上に射出することができる。図7、図8に示すように、第2の結合方式は、金属片2を分割面としスペーサー3を左右2つの半スペーサー31,32に分け、左右2つの半スペーサー31,32が相対する定位ピン33と孔34および金属片上の水平部22を収容する凹溝35を有する。従って、相対する定位ピン33及び孔34を介して左右2つの半スペーサー31,32を金属片の水平部22上に結合し、完全なスペーサー3を形成することができる。図9、図10に示すように、第3の結合方式は、金属片2の垂直面を分割面とし、スペーサー3を前後2つの半スペーサー41,42に分ける。図11、図12、図13に示すように、前後2つの半スペーサー41,42が相対する定位ピン43と孔44および金属片2を収容する凹溝45を有する。従って、相対する定位ピン43及び孔44を介して前後2つの半スペーサー41,42を金属片の水平部22上に結合し、完全なスペーサーを形成することができる。図10に示すように、定位ピン43は、前後2つの半スペーサー41,42から突出し、定位ピン43の端面46に転動体5の被覆面を形成することができ、転動体は、これにより相互に隣接するスペーサーの定位ピンの端面46により被覆され、間隔を置き、定位ピン43の間の空間は、潤滑油を蓄積する空間となり、転動体5の直接潤滑効果を保持することができる。
【0030】
図15に示すように、少なくとも1つの柔軟性を有する金属片200は、複数の金属片201,202,203・・・を重ね合わせてなり、樹脂スペーサー3をその上に結合し、転動体保持チェーン1の抗張力強度を増加し、複数の金属片200の各片の厚さがh1, h2, h3… < hoであり、そのうち、の定義は、前記と同様である。図16に示すように、各金属片201,202,203・・・は、単独で湾曲することができ、このように、複数の金属片200が構成する転動体接続部は、依然として単一の金属片2が構成する転動体接続部の湾曲能力を保持することができると共に、抗張力強度は、金属片を重ね合わせた数量に従い倍増させることができる。
【0031】
図8、図10に示す左右または前後の2つの半スペーサー31,32または41,42を結合する結合方式は、図17、図18に示すように、左右または前後2つの半スペーサー320および410,420上の複数の金属片200を収容する凹溝350,450は、複数の金属片の水平部220よりやや大きく、各金属片201,202,203,・・・が湾曲時に相対移動するために必要とするより多くの空間を提供することができる。
【0032】
図19に示すように、スペーサー3の強度を増加する為、少なくとも1つの金属片200上の軸方向に配列孔21の間の水平部220は、上下2つの半水平部221,222に分割され、且つそれぞれ接続部223,224上に接続し、スペーサー3上下端と上下2つの半水平部221,222に分割され、且つそれぞれ接続部223,224上に接続し、スペーサー3の上下端と上下2つの半水平部221,222の短点と接続し、完全な転動体保持チェーンを形成する。
【0033】
図20、図21、図22に示すように、少なくとも1つの金属片接続部23,204,223が循環ガイド凹溝62内で 運行時の摩擦抵抗力を減少する為、少なくとも1つの金属片接続部23,204,223外に低摩擦係数の樹脂被覆層301を有し、スペーサー3と共に一体に射出成型する。
【0034】
図23、図24、図25に示すように、転動体は、ローラー7とすることができる。水平部22上に結合し、且つ相互に隣接するローラー7が有する被覆面81に対応するローラースペーサー8がローラー7を分離し、ローラーが相互に衝突せず、転動体保持チェーン1内に保持され、自由に脱落することがないようにする。
【0035】
図26、図27に示すように、柔軟性を有する金属片2の一端部に配置される2つの半スペーサー9は、他端部に配置される2つの半スペーサー10と相互に対応し、相互に対応する半スペーサー9,10上に対応する定位ピンと定位孔を有する。図28、図29に示すように、半スペーサー9,10を相互に結合固定した後、完全なスペーサーを形成し、金属片2上に有する孔21の両端部27,28が相互に重なり合い固定され、封鎖された転動体保持チェーン1を形成する。両端部27,28を重ね合わせた長さは、相対する半スペーサー9,10の数に従い増減させることができる。
【0036】
図30、図31、図32、図33に示すように、本発明の金属片転動体保持チェーン1のもう1種の構成は、少なくとも1つの金属片230を半スペーサー340と結合して半金属片転動体保持チェーン11にし、半スペーサー340は、相対する定位ピン342と定位孔341を有し、定位ピン342の直径は、少なくとも1つの金属片11の相対する孔231の直径より大きく、従って、少なくとも1つの金属片230と半スペーサー340は、射出成型方式で結合することができる。相対する定位ピン342と定位孔341の結合を経由して、2つの半金属片転動体保持チェーン11は、完全な転動体保持チェーン1に結合され、2つの半金属片230も緊密に1つに結合される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明が開示する柔軟性を有する金属片転動体保持チェーンの側面図である。
【図2】図1のI−I断面図である。
【図3】図1のII−II断面図である。
【図4】本発明が開示する転動体保持チェーンの柔軟性を有する金属片の部分図である。
【図5】本発明が開示する柔軟性を有する金属片転動体保持チェーンの運動部材内の循環説明図である。
【図6】本発明が開示する転動体保持チェーンの金属片スラット設計の側面図である。
【図7】本発明が開示する転動体チェーンのスペーサーの第2種設計の透視図である。
【図8】図7のAの拡大図である。
【図9】本発明が開示する転動体保持チェーンのスペーサーの第3種設計の側面図である。
【図10】図9のBの拡大図である。
【図11】本発明が開示する転動体保持チェーンのスペーサーの第3種設計の前半スペーサーの透視図である。
【図12】本発明が開示する転動体保持チェーンのスペーサーの第3種設計の前半スペーサーの上面図である。
【図13】図12のIII-III断面図である。
【図14】本発明が開示する転動体保持チェーンの複数片の金属片の設計の上面図である。
【図15】図14のCの拡大図である。
【図16】本発明が開示する転動体保持チェーンの複数片の金属片の設計の説明図である。
【図17】本発明が開示する転動体保持チェーンの複数片の金属片の設計において、比較的広い凹溝を有し且つ複数の金属片上に結合する左半スペーサーの側面図である。
【図18】本発明が開示する転動体保持チェーンの複数片の金属片の設計において、比較的広い凹溝を有し且つ複数の金属片上に結合する左半スペーサーの説明図である。
【図19】本発明が開示する転動体保持チェーンの少なくとも1片の金属片のもう1種の設計の上面図である。
【図20】本発明が開示する転動体保持チェーンの接続部が樹脂で被覆される設計の側面図である。
【図21】図20のIV−IV断面図である。
【図22】図20のV−V断面図である。
【図23】本発明が開示する転動体がローラーである保持チェーン設計の透視図である。
【図24】本発明が開示する転動体がローラーである保持チェーン設計の上面図である。
【図25】図20のVII−VII断面図である。
【図26】本発明が開示する複数片の金属片の保持チェーン端部接続設計の側面図である。
【図27】本発明が開示する複数片の金属片の保持チェーン端部接続設計の上面図である。
【図28】本発明が開示する複数片の金属片の保持チェーン端部の相互接続設計の上面図である。
【図29】本発明が開示する複数片の金属片の保持チェーン端部の相互接続設計の説明図である。
【図30】本発明が開示する半金属片の保持チェーン設計の側面図である。
【図31】図30のVII−VIII断面図及び対応するもう片半の金属片保持チェーンの断面図である。
【図32】本発明が開示する2つの半金属片の保持チェーン設計の相互対応結合の説明図である。
【図33】図32のDの拡大図である。
【図34】皺金属帯の旋転経路が湾曲時の説明図である。
【図35】皺金属帯の湾曲時の各皺の幾何学関係図である。
【図36】皺金属帯の直線及び湾曲時の幾何学関係図である。
【符号の説明】
【0038】
1 転動体保持チェーン
2 金属片
3 スペーサー
5 転動体列
6 運動部材
7 ローラー
8 ローラースペーサー
9,10 端部スペーサー
11 半金属片転動体保持チェーン
21 軸方向に設けられた転動体配列孔
22 水平部
23 接続部
24 水平突出部
25 水平部凹陥部
26 水平部小孔
31,32 左右2つの半スペーサー
33 左右2つの半スペーサーの定位ピン
34 左右2つの半スペーサーの孔
35 左右2つの半スペーサーの金属片収容凹溝
41,42 前後2つの半スペーサー
43 前後2つの半スペーサーの定位ピン
44 前後2つの半スペーサーの孔
45 前後2つの半スペーサーの金属片収容凹溝
46 前後2つの半スペーサーの定位ピン端面
61 循環経路
62 循環経路ガイド凹溝
63 回流経路
64 軌道領域
65 旋転路領域
200 複数の金属片接続部
201,202,203,・・・ 複数の金属片
210 複数の金属片の水平部
220 少なくとも1つの金属片
221,222 上下2つの半水平部
223,224 少なくとも1つの金属片接続部
231 金属片の相互に対応する孔
301 樹脂被覆層
320 左右2つの半スペーサー
340 半スペーサー
341 定位孔
342 定位ピン
350,450 複数の金属片よりやや大きな凹溝
410,420 前後2つの半スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの柔軟性を有する金属片と複数のスペーサーからなり、且つ該金属片には軸方向に配列する複数の孔を設け、且つ該複数の孔は、隣接する2つの孔が相互に間隔を有する水平部により隔てられ、該スペーサーは該水平部上に結合され、整列転動体の各転動体を各孔内に保持させ、チェーンユニットが回流する循環経路内で相互に一定間隔を保持し、相互に衝突のなく運行させる転動体保持チェーンユニット。
【請求項2】
【数1】

前記柔軟性を有する金属片の厚さhが
であり、Eが金属の弾性係数であり、ρが転動体保持チェーン循環経路運行時の最小の曲率半径であり、Rp0.2が金属0.2%塑性変形の降伏強度である請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項3】
前記金属片の水平部上のスペーサーの移動を阻止する突出部、凹陥部または孔を有する請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項4】
前記スペーサーが樹脂材料から形成された請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項5】
前記スペーサーが直接金属片上に射出成型される請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項6】
前記スペーサーが左右2つの半スペーサーが相互に対応する定位ピンと孔を介して結合されて金属片の水平部上に結合され、且つ左右2つの半スペーサー上に金属片の水平部を収容する凹溝を有する請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項7】
前記スペーサーが前後2つの半スペーサーが相互に対応する定位ピンと孔を介して結合され、金属片の水平部上に結合され、且つ前後2つの半スペーサー上に金属片の水平部を収容する凹溝を有する請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項8】
前記前後2つの半スペーサーの定位ピンは、該2つの半スペーサーに突出し、定位ピンの端面に転動体の被覆面を形成する請求項6記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項9】
前記金属片の孔がプレス、エッチングまたはレーザー切削により形成された請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項10】
前記金属片の重ね合わせが各金属片の厚さh1,h2,h3を構成し、これに従い、
【数2】

の関係とし、Eが金属の弾性係数であり、ρが転動体保持チェーン循環経路運行時の最小の曲率半径であり、Rp0.2が金属0.2%塑性変形の降伏強度である請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項11】
前記金属片を収容する凹溝が該金属片の水平部よりやや大きいものである請求項6または請求項7記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項12】
前記金属片の水平部が上下2つの半水平部に分割され、且つスペーサーが上下2つの半水平部と接続する請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項13】
前記金属片接続部がスペーサーと1つに射出成型される樹脂被覆層により被覆された請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項14】
整列転動体の循環経路内を運行し、転動体がローラーボールまたはローラーである請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項15】
前記転動体保持チェーンの両端部に少なくとも1つの半スペーサーを設け、少なくとも1対の2つの半スペーサーの結合固定を介して完全なスペーサーを完成し、金属片の両端を重ね合わせ方式で1つに接続固定し、封鎖式転動体保持チェーンを形成する請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。
【請求項16】
前記転動体保持チェーンが左右2つの半金属片転動体保持チェーンの結合からなり、そのうち、半金属片転動体保持チェーンは、少なくとも1つの金属片と同一側の複数の半スペーサーを射出成型により結合してなり、半スペーサー上に相対する定位ピンと定位孔を有し、対応する定位ピンと定位孔の結合を介して、左右2つの半金属片転動体保持チェーンの半スペーサーが完全なスペーサーに結合され、左右の2つの半金属片転動体保持チェーンを完全な転動体保持チェーンユニットに結合する請求項1記載の転動体保持チェーンユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2009−299890(P2009−299890A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210910(P2008−210910)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(507095219)直得科技股▲ふん▼有限公司 (6)
【Fターム(参考)】