説明

軸受の潤滑剤劣化検出装置

【課題】 コンパクトに配置できてメンテナンスなどにおける取り扱いも容易で、軸受内の潤滑剤の劣化状態を正確に検出できる軸受の潤滑剤劣化検出装置を提供する。
【解決手段】 潤滑剤劣化検出装置1は、発光素子2および受光素子3と、中間に潤滑剤を介在させる検出ギャップ部7を有し前記発光素子2から受光素子3へ光を導く導光部材4A,4Bと、判定手段6と、センサケース10とを備える。判定手段6は、受光素子2の出力から前記検出ギャップ部7内の潤滑剤に混入している異物の量を推定する手段である。センサケース10には、発光素子2、受光素子3、および導光部材4A,4Bが取付けられる。軸受21が取付けられたハウジング25の前記軸受21の端面を覆う軸受端面覆い部26にセンサケース10を取付け、前記導光部材4A,4Bの前記検出ギャップ部7を、ハウジング25の前記軸受端面覆い部26と軸受21の端面との間の空間内に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸受内に封入された潤滑剤の混入物などによる劣化状態を検出する軸受の潤滑剤劣化検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤を封入した軸受では、軸受内部の潤滑剤(グリース、油など)が劣化すると転動体の潤滑不良が発生し、軸受寿命が短くなる。転動体の潤滑不良を、軸受の振動状態などから判断するのでは、寿命に達して動作異常が発生してから対処することになるため、潤滑状態の異常をより早く検出できない。そこで、軸受内の潤滑剤の状態を定期的あるいはリアルタイムに観測し、異常やメンテナンス期間の予測を可能にすることが望まれる。
【0003】
潤滑剤の劣化の主要な要因として、軸受の使用に伴って発生する摩耗粉が潤滑剤に混入することが挙げられる。
軸受の摩耗状態を検出するものとしては、軸受のシール部材の内側に電極を配置し、摩耗粉の混入による潤滑剤の電気的特性を、抵抗値や静電容量や磁気抵抗やインピーダンスの変化で検出するようにしたセンサ付き軸受が提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−293776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のセンサ付き軸受は、潤滑剤の電気的特性を検出するものであるため、大量の摩耗粉が入って導通が起こるなどの状況にならなければ、特性変化として検出されず、混入物の検出が困難な場合がある。
【0005】
このような課題を解決するものとして、例えば図8のように、発光側および受光側の光ファイバ46,47の各一端を検出対象となる潤滑剤45が存在する検出部48に対向させ、発光側の光ファイバ46の他端に発光素子43を、受光側の光ファイバ47の他端に受光素子44をそれぞれ配置した光学式の構成を考えた。
図8の構成では、発光素子43から出射された光が発光側の光ファイバ46を経由して検出部48に存在する潤滑剤45を透過し、さらに受光側の光ファイバ47を経由して受光素子44で検出され、受光素子44で検出される透過光量から潤滑剤45に混入する異物の量が推定される。
【0006】
しかし、図8のような構成の潤滑剤劣化検出装置を用いて軸受内部に封入された潤滑剤の劣化検出を行う場合、例えば光ファイバ46,47や発光受光素子43,44を軸受内に配置するものとすると、そのためのスペースを軸受内部に確保するのが容易でなく、コンパクトに配置できない。また、メンテナンスにおいては、軸受内から潤滑剤劣化検出装置を取り出す必要があり、取り扱いも容易でない。
【0007】
この発明の目的は、コンパクトに配置できてメンテナンスなどにおける取り扱いも容易で、軸受内の潤滑剤の劣化状態を正確に検出できる軸受の潤滑剤劣化検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の軸受の潤滑剤劣化検出装置は、発光素子および受光素子と、中間に潤滑剤を介在させる検出ギャップ部を有し前記発光素子から受光素子へ光を導く導光部材と、前記受光素子の出力から前記検出ギャップ部内の潤滑剤に混入している異物の量を推定する判定手段と、前記発光素子、受光素子、および前記導光部材を取付けたセンサケースとを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、軸受が取付けられたハウジングの前記軸受の端面を覆う軸受端面覆い部に前記センサケースを取付け、前記導光部材の前記検出ギャップ部を、前記ハウジングの前記軸受端面覆い部と前記軸受の端面との間の空間内に配置したことを特徴とする。
この構成によると、潤滑剤劣化検出装置における導光部材の検出ギャップ部を、ハウジングの軸受端面覆い部と軸受の端面との間の空間内に配置するので、軸受の潤滑面の近傍を流動する潤滑剤を測定することとなり、正確な劣化検出が可能となる。
また、潤滑剤劣化検出装置の全体ではなく、そのうちの導光部材の検出ギャップ部を、ハウジングの軸受端面覆い部と軸受の端面との間の空間内に配置することから、コンパクトに配置できてメンテナンスなどにおける取り扱いも容易となる。
【0009】
この発明において、前記ハウジングの前記軸受端面覆い部に、内外に貫通したセンサ取付孔を設け、このセンサ取付孔に、前記軸受端面覆い部の外部から着脱可能に前記センサケースを取付けても良い。この構成の場合、軸受端面覆い部に対する潤滑剤劣化検出装置1の取付け・取り外しが容易となり、メンテナンスなどにおける取り扱いがより容易となる。
【0010】
この発明において、前記センサ取付孔の内面と前記センサケースとの接触面にシール部材を介在させても良い。この構成の場合、潤滑剤劣化検出装置の取付部での防水処理が図られて、ごみや水分の浸入を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の軸受の潤滑剤劣化検出装置は、発光素子および受光素子と、中間に潤滑剤を介在させる検出ギャップ部を有し前記発光素子から受光素子へ光を導く導光部材と、前記受光素子の出力から前記検出ギャップ部内の潤滑剤に混入している異物の量を推定する判定手段と、前記発光素子、受光素子、および前記導光部材を取付けたセンサケースとを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、軸受が取付けられたハウジングの前記軸受の端面を覆う軸受端面覆い部に前記センサケースを取付け、前記導光部材の前記検出ギャップ部を、前記ハウジングの前記軸受端面覆い部と前記軸受の端面との間の空間内に配置したため、コンパクトに配置できてメンテナンスなどにおける取り扱いも容易で、軸受内の潤滑剤の劣化状態を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の一実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1および図2は、この実施形態の潤滑剤劣化検出装置を組み込んだ軸受装置の断面図および正面図を示す。この軸受装置20は鉄道車両などの電動機における回転軸用の軸受装置であって、回転軸30が回転自在に支持される転がり軸受21を、モータハウジングであるハウジング25の一部で保持したものである。転がり軸受21は例えば深溝玉軸受からなり、内輪22と外輪23の間に複数のボール24を介在させたものである。
【0013】
内輪22は回転側輪となるものであって、その内周面にモータ軸となる回転軸30が嵌合して支持される。内輪22は、その一端面が回転軸30の大径軸部と小径軸部の境界の段面に係合し、他端面が回転軸30の小径軸部に螺合する締付ナット31で軸方向に押し付けられることにより、軸方向に位置決めされる。
外輪23は固定側輪となるものであって、モータハウジング25の端板部に設けられた軸受取付孔の内周面に嵌合して固定される。外輪23は、その一端面が、モータハウジング25の軸受嵌合孔の内周面に続く段面25aに係合し、他端面がモータハウジング25に固定されたリング状の外輪押さえ部材32で軸方向に押し付けられることにより、軸方向に位置決めされる。
【0014】
転がり軸受21の前記締付ナット31が押し付けられる一端面側は、モータハウジング25の端板部における軸受貫通孔の周辺部分からなる軸受端面覆い部26で覆われる。前記外輪押さえ部材32の軸受21側に向く内面、およびモータハウジング25の前記軸受端面覆い部26の軸受21側に向く内面には、転がり軸受21の内外輪22,23間の軸受空間に臨む環状溝からなるポケット33,34がそれぞれ設けられている。潤滑剤は、モータハウジング25に設けられた給脂経路35の給脂口35aから定期的に注入され、前記ポケット33,34および転がり軸受21の内部に供給される。また、前記給脂に伴い、転がり軸受21の内部やポケット34に滞留する古い潤滑剤が、モータハウジング25に別に設けられた排脂経路36を経て外部に押し出される。上記給脂口35aはモータハウジング25の上部に設けられ、上記給脂経路35は外輪押さえ部材32のポケット33に開通している。上記排脂経路36は、モータハウジング25の下部で、軸受端面覆い部26側のポケット34から外部に開通している。
【0015】
モータハウジング25における前記軸受端面覆い部26には、転がり軸受21内の潤滑剤の劣化状態を検出する光学式の潤滑剤劣化検出装置1が取付けられる。この潤滑剤劣化検出装置1は、図3に概略構成を示すように、潤滑剤5を介在させるための検出ギャップ部7を介して先端が並ぶ導光部材である2本の光ファイバ4A,4Bと、一方の光ファイバ4Aの基端に配置した発光素子2と、他方の光ファイバ4Bの基端に配置した受光素子3と、この受光素子3の出力から潤滑剤5に混入している異物の量を検出する判定手段6とを備える。
【0016】
2本の光ファイバ4A,4Bは平行に揃えて配置され、それらの先端は、それぞれ斜めにカットした斜めカット面とされている。これらの斜めカット面は、蒸着膜、またはメッキ、または樹脂封止により反射コーティングした反射面4Aa,4Baとされている。これら斜めの反射面4Aa,4Baは、一方の光ファイバ4Aを通る光が先端の反射面4Aaで他方の光ファイバ4Bの反射面4Baに向けて反射し、この反射面4Baから他方の光ファイバ4B内に反射する方向に向けられている。また、2本の光ファイバ4A,4Bの先端の互いに対向する面には、光透過を可能とする平坦面化などの処理が施されている。
【0017】
具体的には、一方の光ファイバ4Aは、発光素子2の発光面と対向する基端の端面に発光素子2から出射された光を入射させ、先端の反射面4Aaで反射させることで光路を90°曲げて、検出ギャプ部7に投光する投光側光ファイバとなるものである。また、他方の光ファイバ4Baは、検出ギャップ部7に対向する先端の面から検出ギャップ部7における潤滑剤5を透過した光を入射させ、先端の反射面4Baで光ファイバ4B内に反射させることで光路をさらに90°曲げて、受光素子3の受光面と対向する基端の端面から受光素子3に入射させる受光側光ファイバとなるものである。
このように投光側光ファイバ4Aおよび受光側光ファイバ4Bを配置することにより、発光素子2から出射された光が投光側光ファイバ4Aを介して潤滑剤5を透過し、その透過光が受光側光ファイバ4Baを介して受光素子3に入射される。すなわち、2本の光ファイバ4A,4Bは、発光素子2から受光素子3へ光を導く導光部材となるものである。
【0018】
前記発光素子2としては、LED,EL、有機ELなどを用いることができ、発光回路8によって駆動される。前記受光素子3としては、フォトダイオード、フォトトランジスタなどを用いることができ、その出力を受ける受光回路9によって受光素子3の受光量が検出される。
【0019】
図3に鎖線で示すように、潤滑剤劣化検出装置1における発光素子2、受光素子3、および2本の光ファイバ4A,4Bは、樹脂モールドなどによりセンサケース10に埋め込み状態に取付けられて、センサケース10と共にセンサ部材11が構成される。前記モータハウジング25の軸受端面覆い部26には、図1のように内外に貫通するセンサ取付孔27が設けられ、このセンサ取付孔27に軸受端面覆い部26の外部から前記センサケース10を着脱可能に取付けることで、潤滑剤劣化検出装置1が軸受端面覆い部26に取付けられる。
【0020】
この取付け状態で、センサ部材11のうちの発光素子2と受光素子3は、軸受端面覆い部26の肉厚内または外部に突出して設けられ、検出ギャップ部7は軸受端面覆い部26と転がり軸受21の端面との間の空間内(例えばポケット34の内部)に配置される。これにより、転がり軸受21の内部に封入された潤滑剤5を検出ギャップ部7に容易に介在させることができる。この場合、検出ギャップ部7は、できるだけ軸受21の端面付近に配置するのが望ましく、特にボール24や図示しない保持器の近傍、あるいは外輪23の内径面付近に配置するのが望ましい。このように配置すると、内輪22の回転に伴って流動する潤滑剤が検出ギャップ部7に介在し易くなり、潤滑に寄与している潤滑剤の状態を安定してモニタすることが可能になる。
【0021】
潤滑剤劣化検出装置1における前記センサ部材11を除く回路構成部品(判定手段6,発光回路8,受光回路9)は、軸受端面覆い部26の外側に配置される。軸受端面覆い部26におけるセンサ取付孔34の内面とセンサケース10との接触面には図示しないOリングなどのシール部材が介在させられている。これにより潤滑剤劣化検出装置1の取付部での防水処理が図られ、ごみや水分の浸入が防止される。
【0022】
転がり軸受21の内部に封入された潤滑剤5が新品のときには透明に近い状態にあり、発光素子2から光ファイバ4Aを経由して投光され潤滑剤5を透過する透過光の強度は高い。ところが、潤滑剤5に混入する鉄粉(摩耗粉)などの異物の量が多くなると、透過光の強度が徐々に低下する。そこで、判定手段6は、透過光の強度に対応する受光素子3の出力から、潤滑剤5に混入している異物の量を検出する。潤滑剤5に混入する異物の量の増加は潤滑剤5の劣化の進行を意味するので、検出された異物の量から潤滑剤5の劣化具合を推定することができる。
【0023】
このように、この軸受の潤滑剤劣化検出装置1は、発光素子2および受光素子3と、中間に潤滑剤5を介在させる検出ギャップ部7を有し前記発光素子2から受光素子3へ光を導く導光部材(光ファイバ4A,4B)と、前記受光素子3の出力から前記検出ギャップ部7内の潤滑剤5に混入している異物の量を推定する判定手段6と、前記発光素子2、および前記導光部材(光ファイバ4A,4B)を取付けたセンサケース10とを備えており、転がり軸受21が取付けられたモータハウジング25の前記転がり軸受21の端面を覆う軸受端面覆い部26に前記センサケース10を取付け、前記導光部材(光ファイバ4A,4B)の検出ギャップ部7を、モータハウジング25の軸受端面覆い部26と軸受21の端面との間の空間内に配置しているので、軸受21の潤滑面の近傍を流動する潤滑剤5を測定することとなり、正確な劣化検出が可能となる。
これにより、振動の発生、温度上昇、軸受21の破損などの深刻な状況に至る前に、その兆候を検出することが可能になる。例えば、検出信号に急激な変化があった場合には、軸受21の内部に損傷が発生している可能性があり、その検出信号から早急な対策を講じることができる。また、長期間の運転によって徐々に検出信号が変化して行くのをモニタし続けることにより、その検出値が基準値に到達したとき、潤滑剤の給脂が必要と判断してタイミング良くメンテナンスを行うこともできる。
【0024】
また、潤滑剤劣化検出装置1におけるセンサ部材11の全体ではなく、そのうちの導光部材(光ファイバ4A,4B)の検出ギャップ部7を、モータハウジング25の軸受端面覆い部26と軸受21の端面との間の空間内に配置しているので、潤滑剤劣化検出装置1の設置に必要なスペースを最小限にできる。このため、コンパクトに配置できて、軸受21の組み付け時に潤滑剤劣化検出装置1が邪魔になることがない。また、潤滑剤劣化検出装置1の交換も容易なため、メンテナンスなどにおける取り扱いも容易となる。
【0025】
また、この実施形態では、モータハウジング25の軸受端面覆い部26に、内外に貫通したセンサ取付孔27を設け、このセンサ取付孔27に、軸受端面覆い部26の外部から着脱可能に前記センサケース10を取付けているので、軸受端面覆い部26に対する潤滑剤劣化検出装置1の取付け・取り外しが容易となり、メンテナンスなどにおける取り扱いがさらに容易となる。
【0026】
この発明の他の実施形態を図4ないし図6に示す。図4および図5(A)は、この実施形態の潤滑剤劣化検出装置を組み込んだ軸受装置の断面図および部分破断正面図を示す。この実施形態における軸受装置20の構成は、先の実施形態の場合と同様であり、ここではその説明を省略する。
この実施形態では、潤滑剤劣化検出装置1は、図6に示すように、1本の光ファイバ4の中間に、潤滑剤5を介在させる検出ギャップ部7を設け、この検出ギャップ部7の両側の光ファイバ部分の端面を互いに対面させている。この光ファイバ4の両端に発光素子2および受光素子3を各々対向して設け、受光素子3の出力から前記検出ギャップ部7内の潤滑剤5に混入する異物の量を推定する図示しない判定手段(先の実施形態における判定手段6)を設けている。
【0027】
図5(B)に示すように、潤滑剤劣化検出装置1における前記発光素子2、受光素子3、および前記導光部材(光ファイバ4)が樹脂モールドなどによりセンサケース10内に埋め込み状態に取付けられ、センサケース10と共にセンサ部材11が構成される。このセンサ部材11を除く回路構成部品(先の実施形態における判定手段6,発光回路8,受光回路9)が、軸受端面覆い部26の外側に配置されること、およびモータハウジング25の軸受端面覆い部26に内外に貫通したセンサ取付孔27が設けられ、このセンサ取付孔27に前記センサケース10を軸受端面覆い部26の外部から着脱可能に取付けることで、潤滑剤劣化検出装置1が軸受端面覆い部26に取付けられることも先の実施形態の場合と同様である。これにより、前記センサ部材11の全体でなく、発光素子2および受光素子3が軸受端面覆い部26の肉厚内または外部に突出して設けられる。前記センサ取付孔27の内面と前記センサケース10との接触面に図示しないシール部材を介在させて、軸受端面覆い部26における潤滑剤劣化検出装置1の取付部での防水処理を図ることも先の実施形態の場合と同様である。
【0028】
光ファイバ4の検出ギャップ部7の近傍部は、図6のように固定具12を介して前記センサケース10の前面に固定される。これにより、光ファイバ4の検出ギャップ部7が、モータハウジング25の軸受端面覆い部26と転がり軸受21の端面との間の空間内に配置される。その他の構成は先の実施形態の場合と同様である。
【0029】
なお、前記潤滑剤劣化検出装置1の構成において、図7のように、光ファイバ4を金属製パイプ13に挿入することで、光ファイバ4の変形を防止するようにしても良い。このように金属製パイプ13に光ファイバ4を挿入すると、潤滑剤5の流動による荷重などで光ファイバ4が変形するのを防止できるので、潤滑剤5のより正確な劣化検出が可能となる。
【0030】
また、これらの実施形態では、潤滑剤劣化検出装置1として光学式のものを用いているので、潤滑剤の電気的特性を検出する従来の方式のものに比べて正確な劣化検出が可能となる。
なお、導光部材としては、光ファイバに限らず、透明の樹脂材やガラスブロック等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置を搭載した軸受装置の断面図である。
【図2】同軸受装置における潤滑剤劣化検出装置が取付けられるモータハウジングの軸受端面覆い部の正面図である。
【図3】同潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。
【図4】この発明の他の実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置を搭載した軸受装置の断面図である。
【図5】(A)は同軸受装置における潤滑剤劣化検出装置が取付けられるモータハウジングの軸受端面覆い部の部分破断正面図、(B)は同軸受端面覆い部での潤滑剤劣化検出装置の取付状態を示す断面図である。
【図6】図5(B)の部分拡大断面図である。
【図7】潤滑剤劣化検出装置の他の構成例の概略図である。
【図8】潤滑剤劣化検出装置の提案例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1…潤滑剤劣化検出装置
2…発光素子
3…受光素子
4,4A,4B…光ファイバ(導光部材)
5…潤滑剤
6…判定手段
7…検出ギャップ部
10…センサケース
11…センサ部材
20…軸受装置
21…転がり軸受
25…モータハウジング
26…軸受端面覆い部
27…センサ取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子および受光素子と、中間に潤滑剤を介在させる検出ギャップ部を有し前記発光素子から受光素子へ光を導く導光部材と、前記受光素子の出力から前記検出ギャップ部内の潤滑剤に混入している異物の量を推定する判定手段と、前記発光素子、受光素子、および前記導光部材を取付けたセンサケースとを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、
軸受が取付けられたハウジングの前記軸受の端面を覆う軸受端面覆い部に前記センサケースを取付け、前記導光部材の前記検出ギャップ部を、前記ハウジングの前記軸受端面覆い部と前記軸受の端面との間の空間内に配置したことを特徴とする軸受の潤滑剤劣化検出装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ハウジングの前記軸受端面覆い部に、内外に貫通したセンサ取付孔を設け、このセンサ取付孔に、前記軸受端面覆い部の外部から着脱可能に前記センサケースを取付けた軸受の潤滑剤劣化検出装置。
【請求項3】
請求項2において、前記センサ取付孔の内面と前記センサケースとの接触面にシール部材を介在させた軸受の潤滑剤劣化検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−139139(P2008−139139A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325294(P2006−325294)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】