説明

軽量ガラスラミネート

本明細書中で提供されているのは、アイオノマー中間層と少なくとも1枚のガラス層を有する軽量ガラスラミネートである。詳細には、ガラスラミネートの重量は、少なくとも1枚のガラス層の厚みを約2.0mm以下または約1.5mm以下まで低減することによって低減される。軽量ラミネートは、良好な衝撃接着レベル、良好な耐湿性および低い応力を有するなどの有利な性能特性を保持する。さらに提供されるのは、一体型取付け用装置が備わった軽量ガラスラミネートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本発明は、35U.S.C.§120に基づき、各々その全体が参照により本明細書に援用されている2009年3月6日出願の米国仮特許出願第61/157,993号、2009年6月3日出願の第61/183,779号、および2009年11月6日出願の第61/258,761号に対する優先権を請求するものである。
【0002】
本発明は、アイオノマー中間層を有する軽量ガラスラミネートに向けられている。詳細には、ガラスラミネートの重量は、少なくとも1つのガラス層の厚みを2.0mm以下または1.5mm以下まで低減することによって低減される。軽量ガラスラミネートは、軽量フレーム内または枠無しの取付けシステム内において使用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
本明細書には、本発明が係る技術的現状をより完全に記述する目的で、いくつかの特許、特許出願および刊行物が引用されている。これらの特許、特許出願および刊行物の開示全体が参照により本明細書に援用されている。
【0004】
ガラスラミネートつまりラミネートされたガラスは、ほぼ一世紀にわたり商業的に使用されてきた。ガラスラミネートの一種である安全ガラスは、自動車産業において、フロントガラスまたはサイドウインドウに広く使用されてきた。これらの材料は、高い耐衝撃性および耐貫入強度をその特徴とする。さらに、特別な利点は、粉々に破損した場合に、安全ガラスは、ガラスの破片や残屑を散乱させない。さらに最近では、ガラスラミネートは、窓、壁および階段などの建物構造内にも取込まれている。
【0005】
典型的なガラスラミネートは、厚いポリマー中間層シートにより共に結合された2枚のガラスシートまたはパネルのサンドイッチ構造で構成されている。一部の利用分野においては、ガラスシートの1枚を、透明であってもよい剛性ポリマーシート、例えばポリカーボネートシートまたはハードコートポリエステルフィルムで置換してもよい。安全ラミネートはさらに進化して、ポリマー中間層シートにより共に結合されたポリマーであってもよいガラスシートまたはフィルムの多重層を含むようになった。
【0006】
ガラスラミネート中で使用される中間層は、典型的に、亀裂または衝突が発生した場合にガラスに対する結合能力および靭性を示す比較的厚いポリマーシートで作製される。広く使用されている中間層材料としては、ポリ(ビニルブチラール)(PVB)、ポリ(ウレタン)(PU)、ポリ(エチレンビニルアセテート)(EVA)、部分的に中和されたポリ(エチレン(メタ)アクリル酸)(アイオノマー)などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
過去において、充分な強度を有するガラスラミネートを提供するためには、例えば約2mm以上の大きな厚みを有するガラスシートを使用することが必要であった。ガラスラミネートは自動車部品として使用されるかまたは、重量および破損耐性の両方が懸念事項である建造物の中に一体化されることが多いことから、高度の機械的強度を維持しながらガラスラミネートの重量を低減する必要性がなおも存在している。
【0008】
さらに、ガラスラミネートが自動車または建築構造物中に設置され利用される場合には、それらはフレーム内に固定され支持構造上に取付けられることが多い。フレームは一般に金属類またはプラスチック類などの剛性材料で製造される。金属フレームは、例えば、鋼、アルミニウム、チタン、真鍮、鉛、クロム、銅およびこれらの金属(matasl)の2つ以上の組合せまたは合金で製造されてきた。プラスチックフレームは、例えばポリカーボネート、ポリウレタン、ナイロンおよびこれらの材料の2つ以上の組合せから製造されてきた。同様に、フレームおよび取付けシステムの重量を削減することも所望される。
【0009】
最後に、枠無しガラスラミネートを取付けることが所望されるかもしれない。枠無しの最終用途を成功させるためには、ガラスラミネートは、軽量構造とさらに高い耐湿性および耐候性を有する必要があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書中で提供されているのは、アイオノマー中間層シートと少なくとも1枚のガラス層を有する軽量ガラスラミネートである。詳細には、ガラスラミネートの重量は、少なくとも1枚のガラス層の厚みを約2.0mm以下または約1.5mm以下まで低減することによって低減される。軽量ラミネートは、良好な衝撃接着レベル、良好な耐湿性および低い応力を有するなどの有利な性能特性を保持する。さらに提供されるのは、一体型取付け用装置が備わった軽量ガラスラミネートである。
【0011】
本発明を特徴づける新規性の利点および特徴は、本明細書に添付されその一部を成している特許請求の範囲の中で詳細に指摘されている。しかしながら、本発明、その利点およびそれを使用して得られる目的をより良く理解するために、本発明のさらなる一部を成す図面、ならびに本発明の1つ以上の好ましい実施形態が示され記述されている随伴する記述事項を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】2つの取付け用装置を示すガラスラミネートの断面図である。
【図1B】2つの取付け用装置を含むガラスラミネートの平面図である。
【図2】2つの取付け用装置を示すガラスラミネートの断面図である。
【図3】4つの取付け用装置を含むガラスラミネートの平面図である。
【図4】4つの取付け用装置を含むガラスラミネートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の定義は、具体的事例において別段の限定のないかぎり、本明細書全体を通して使用されている用語に適用される。
【0014】
さらに、別段の定義のないかぎり、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含めた本明細書が支配する。
【0015】
本発明の実践または試験においては本明細書中に記載されるものと類似したまたはそれと均等の方法および材料を使用することができるが、本明細書には適切な方法および材料が記載されている。
【0016】
本明細書において使用される「約」という用語は、量、サイズ、調合、パラメータおよび他の数量および特性が正確でなくかつ正確である必要はなく、許容誤差、換算率、端数計算、測定誤差など、ならびに当業者にとって公知の他の要因を反映して所望される通りに近似のおよび/またはより大きいまたはより小さいものであり得ることを意味している。一般に、量、サイズ、調合、パラメータまたは他の数量または特性は、そのようなものとして明示されているか否かに関わらず、「約(about)」または「おおよそ(approximate)」である。
【0017】
本明細書中で使用される「または(or)」という用語は包含的である。より具体的には、「AまたはB」という語句は、「A、B、またはAとBの両方」を意味する。排他的「または(or)」は、本明細書中、「AまたはBのいずれか」および「AまたはBの1つ」などの用語により指定されている。
【0018】
さらに、本明細書中で説明されている範囲は、限定された状況下で別段の明示的記載のないかぎり、その端点を含む。さらに、量、濃度またはその他の値またはパラメータが範囲、1つ以上の好ましい範囲、または好ましい上限値と好ましい下限値の列記として示されている場合、これは、その対が別個に開示されているか否かに関わらず、任意の範囲上限または好ましい上限値および任意の範囲下限または好ましい下限値の任意の対で形成されるすべての範囲を具体的に開示するものとして理解されるべきである。
【0019】
さらに、一数値範囲が本明細書中で列挙されている場合、具体的状況下で別段の記載のないかぎり、その範囲はその端点およびその範囲内の全ての整数および分数を含むように意図されている。本発明の範囲が、一範囲を定義する際に説明された具体的値に限定されるということは意図されていない。最後に、1つの値または一範囲の端点を記述するにあたって「約」という用語が使用される場合、本開示は言及されている具体的値または端点を含み入れるものとして理解されるべきである。
【0020】
本明細書中で「当業者にとって公知の」という用語または同義の単語または言いまわしを用いて材料、方法、または機械類が記述されている場合、この用語は、本出願の提出時点で慣習的である材料、方法および機械がこの記述により包含されていることを意味している。同様に包含されているのは、現在慣習的ではないが、類似の用途のために適したものとして当該技術分野において認知されることになるであろう材料、方法および機械類である。
【0021】
本明細書中で使用される用語「〜を含む(comprises、comprising、includes、including、containing)」「〜を特徴とする(characterized by)」、「〜を有する(has、having)」またはその任意の他の同義語または変形形態は、非排他的包含を意味する。例えば、要素の詳細な列記を含むものとして記述されているプロセス、方法、物品または器具は、必ずしもこれらの詳細な列記に限定されず、明示的に列記されていないかまたはこのようなプロセス、方法、物品または器具に固有である他の要素をさらに含んでいてもよい。
【0022】
「本質的に〜からなる(〜で構成される)」という過渡的な言いまわしは、1つのクレームの範囲を、特定された材料またはステップおよび請求対象の発明の基本的なおよび新規の1つまたは複数の特徴に実質的な影響を及ぼすことのない材料またはステップに限定している。「「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」のクレームは「〜からなる(consisting of)」書式で書かれている閉鎖クレームと、「〜を含む(comprising)」書式で作成された完全開放クレームの中間を占める。」
【0023】
発明またはその一部分が「〜を含む(comprising)」などの開放型用語を用いて記述されている場合、具体的な状況の下で別段の記載があるのでないかぎり、この記述は、以上で定義されている通りの「本質的に〜からなる」という用語を用いた本発明の記述をも含むものと理解されるべきである。
【0024】
不定冠詞「a」および「an」は、本発明の要素および構成要素を記述するために利用される。これらの冠詞の使用は、これらの要素または構成要素の1つまたは少なくとも1つが存在することを意味する。これらの冠詞は慣習的に、修飾される名詞が単数名詞であることを意味するために用いられるが、本明細書中で使用される冠詞「a」および「an」は、具体的な事例において別段の記載がなされているのでないかぎり、複数も含む。同様にして本明細書中で使用される定冠詞「the」も、ここでもまた具体的な事例において別段の記載がなされているのでないかぎり被修飾名詞は単数または複数であってもよいということを意味している。
【0025】
本明細書で使用される「コポリマー」という用語は、2つ以上のコモノマーの共重合の結果として得られる共重合された単位または残渣を含むポリマーを意味する。これに関連して、コポリマーは、その成分コモノマーまたはその成分コモノマーの量に関して、例えば「エチレンおよび9重量%のアクリル酸を含むコポリマー」またはそれに類する記述で記載されてもよい。このような記述は、それが共重合された単位としてコモノマーに言及していないという点において;またはそれが例えばInternational Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)命名法などのコポリマーについての慣習的な命名法を含まないという点において;またはそれがプロダクト・バイ・プロセス専門用語集を使用しないという点において;または別の理由から、非公式のものとみなされる場合がある。しかしながら、本明細書中で使用されるように、その成分コモノマーまたはその成分コモノマーの量に関するコポリマーの記述は、そのコポリマーが、規定されたコモノマーの共重合単位を(規定されている場合には規定の量で)含んでいることを意味する。その必然的帰結として、コポリマーは、限定的な状況下でそのようなものとして明示的に記載されているのでないかぎり、所与の量で所与のコモノマーを含有する反応混合物の生成物ではないことになる。
【0026】
「酸コポリマー」という用語は、α−オレフィン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位、そして場合により、例えばα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステルなどの他の1つまたは複数のコモノマーの共重合単位を含むポリマーを意味する。
【0027】
「アイオノマー」という用語は、上述の通り酸コポリマーを部分的または完全に中和することによって生産されるポリマーを意味する。より具体的には、アイオノマーは、金属イオンカルボキシレート類、例えばアルカリ金属カルボキシレート類、アルカリ土類金属カルボキシレート類、遷移金属カルボキシレート類およびこのようなカルボキシレート類の混合物であるイオン基を含む。このようなポリマーは一般に、例えば塩基との反応によって本明細書中で定義されている酸コポリマーである前駆体または親ポリマーのカルボン酸基を部分的にまたは完全に中和することによって生産される。本明細書中で使用されるアルカリ金属アイオノマーの例としては、ナトリウムアイオノマー(つまりナトリウム中和アイオノマー)、例えばエチレンおよびメタクリル酸のコポリマーがあり、ここで共重合メタクリル酸単位のカルボン酸基の全てまたは一部分がナトリウムカルボキシレート類の形をしている。
【0028】
ここで単独で使用されるかまたは「ラミネート(された)(laminated)」または「ラミネーション(lamination)」などの組合せた形で使用される「ラミネートする(ラミネート)(laminate)」という用語は、互いにしっかりと接着または結合された少なくとも2つの層を有する構造を意味する。層は互いに直接的または間接的に接着されてもよい。「直接的に」という用語は、2層の間に中間層または接着剤層などの追加の材料が全く存在しないことを意味し、「間接的に」という用語は、2層の間に追加の材料が存在することを意味する。
【0029】
本明細書中の材料、方法および実施例は単に例示的なものであり、具体的に記載されている場合を除き、限定的であるようには意図されていない。
【0030】
最後に、本明細書中に説明されている全ての百分率、部分、比率などは、具体的事例において別段の記載のないかぎり、重量に基づく。
【0031】
安全ガラス製フロントガラスなどのガラスラミネートは、厚み2mm以下のガラスシートを用いて製造された場合適切な強度を有していないと考えられてきた。しかしながら、現在では、ガラスラミネートがアイオノマー中間層シートを含む場合、ガラスシートの厚みを削減してもよいことが発見されている。その結果、ガラスラミネートの重量は削減され、それでもなおその強度および耐破損特性は許容可能なレベルに維持される。したがって、本明細書中で提供されているのは、1枚以上の薄いガラスシートおよび1枚以上のアイオノマー中間層シートを含むガラスラミネートである。
【0032】
さらに、より軽量なこれらのガラスラミネートは同様に、より軽量のフレームおよび取付けシステムの使用をも可能にする。この状況で使用される「より軽量な」という用語は、フレームまたは取付けシステムの重量を意味してもよい。しかしながら、あるいはそれはフレームまたは取付け用システムが支持するよう適切に定格された重量を意味してもよい。さらに、アイオノマー中間層シートはより優れた耐湿性と耐候性を有する。したがって、薄いガラスシートとアイオノマー中間層シートを用いて作られたガラスラミネートもまた、枠無し取付けシステム内での使用に適したものであるかもしれない。
【0033】
ここで、図全体にわたり同じ参照番号が対応する構造を指している図面、特に図1を参照すると、ガラスラミネート10は、2つの薄いガラスシート11および13の間にラミネートされているアイオノマー中間層シート12を含む。ラミネート10は同様に、2つの取付け用装置14を含み、その各々はラミネートの相対する側に位置づけされてもよい。詳細には、各取付け用装置14は、アイオノマー中間層12に結合されている第1の部分14aとラミネート10の周縁部から外向きに突出している第2の部分14bを含む。「アイオノマー中間層に結合された」とは、取付け用装置14の第1の部分14aが、アイオノマー中間層12とその隣接層(図1中の薄いガラスシート11および13)のうちの1つの間に結合されているか、または中間層12の内部に埋込まれているか、あるいは最終的に結合されて最終的アイオノマー中間層12を形成する2つの副層の間に結合されていることを意味する。
【0034】
1つまたは複数の取付け用装置14を形成する上で任意の適切な材料を使用してもよい。より具体的には、取付け用装置14は、ガラスラミネート10を支持する応力に耐えるのに充分なほどに耐久性のある任意の1つまたは複数の材料から製造されてもよい。さらに、取付け用装置14は、例えば窓上の風の力、または自動車または建物の内部と外部の間の圧力差の力などのガラスラミネート10に対して加わるかもしれないあらゆる追加的力に耐えることもできなくてはならない。したがって、少なくとも1つの取付け用装置14は、鋼、アルミニウム、チタン、真鍮、鉛、クロム、銅またはこれらの金属の2つ以上の組合せまたは合金などの充分な強靭性を有する金属で作られていてもよい。あるいは、少なくとも1つの取付け用装置14は、充分な強靭性を有するプラスチック例えばポリカーボネート、ポリウレタン、ナイロンまたはこれらのプラスチックの2つ以上の組合せで作られていてもよい。
【0035】
図1をさらに参照すると、取付け用装置14bの第2の部分の中に含まれている固着用手段15が存在していてもよい。ラミネート10を支持構造に固定するために使用可能なあらゆるタイプの固着用手段15をここで使用することができる。例えば図1Aおよび1Bに示されているように、固着用手段15は、支持構造上にラミネート10を固定するためのネジを収容するのに使用可能である取付け用装置14の第2の部分14b中の孔であってもよい。他の適切な固着用手段15としては、非限定的に、ネジに類似する手段例えば釘およびボルトが含まれる。孔を必要としない固着用手段15としては、取付け用装置14を介してフレームに対しラミネート10をしっかりと固定するクランプまたは類似の装置が含まれる。クランプをフレームまたは取付け用装置14に対してしっかり固定してもよい。したがって、それはフレームを「挟持して」もよいし、あるいは取付け用装置14を「挟持して」もよい。
【0036】
さらに、取付け用装置14は、ラミネート10の縁部の長さに比べて小さいサイズを有するタブまたはクーポン(coupon)として描かれている。ただし、長さがラミネート10の縁部の長さに近い取付け用装置14を含め、他の構成も可能である。さらに長い取付け用装置14には、複数の固着用手段15が具備されていてもよい。
【0037】
ここで図2を参照すると、ガラスラミネート20は、図1Aおよび1B中に描かれているガラスラミネート10の構造と類似の構造を有する。それはアイオノマー中間層22、薄いガラスシート21および23そしてアイオノマー中間層22に結合されている第1の部分24aとラミネート20の周縁部から外向きに突出している第2の部分24bを含む取付け用装置24を含んでいる。ここでもまた、第2の部分24bには、取付け用装置24の第2の部分24bの中の孔として描かれている固着用手段25が具備されている。しかしながら、取付け用装置24はさらに、ラミネート20の周縁部全体にわたるカバーを形成する第3の部分24cを含む。
【0038】
明らかに、四角形のラミネート20の4つの縁部全てに沿って延在させた場合、4つの取付け用装置24は一種のフレームを形成すると考えられる。さらに、延在する取付け用装置24には複数の固着用手段25が具備されていてもよい。しかしながら、取付け用装置24がこの形態を有する必要はない。図1Aおよび1Bで描かれている取付け用装置14と同様に、図2で描かれている取付け用装置24は、ラミネート20の縁部の長さに比べて小さいサイズを有していてもよい。さらに、第3の部分24cは、取付け用装置24が突出している部分に相当する周縁部の部分全体にわたるカバーを形成してもよい。あるいは、第3の部分24cは、取付け用装置24が突出している部分よりも大きいかまたは小さい周縁部の部分全体にわたるカバーを形成してもよい。同様に明らかに、たとえ取付け用装置24が周縁部の長さに比べて小さい長さを有するとしても、周縁部全体にわたり4つのカバー部分24cが延在している取付け用装置24の形態によって第2のタイプのフレームが形成される。
【0039】
ここで、図3を参照すると、ガラスラミネート30は同様に、図1Aおよび1B中に描かれたガラスラミネート10の構造に類似した構造を有する。それは、一方または両方が薄いガラスシートである少なくとも2枚のガラスシートの間にラミネートされた少なくとも1つのアイオノマー中間層シートを含んでいる。しかしながら、ガラスラミネート30は、二対の取付け用装置34を含む。各対の部材は、ラミネート30の相対する周縁部に付着されている。その上、取付け用装置34は同様に、アイオノマー中間層に結合されている第1の部分34aおよびラミネート30の周縁部から外向きに突出している第2の部分34bも含んでいる。ここでもまた、第2の部分34bには、取付け用装置34の第2の部分34bの中の孔として描かれている固着用手段35が具備されている。図面には描かれていないが、取付け用装置34は、図2に示されているラミネート20中の取付け用装置24の構造と類似する構造を有していてもよい。詳細には、これらには同様に、ラミネート30の周縁部全体にわたるカバーを形成する第3の部分が具備されていてもよい。
【0040】
ここで図4を参照すると、ガラスラミネート40は、図1Aおよび1Bの中で描かれているガラスラミネート10の構造に類似する構造を有する。それは、一方または両方が薄いガラスシートである少なくとも2つのガラスシートの間にラミネートされた少なくとも1つのアイオノマー中間層シートを含む。さらに、ガラスラミネート40も同様に、二対の取付け用装置44を含むが、これらの取付け用装置は、図3に描かれている形態とは異なる形態で配置されている。ガラスラミネート40においては、その4つの周縁部の各々に1つの取付け用装置44が付着される。他の取付け用装置14、24および34と同様に、取付け用装置44も、アイオノマー中間層に結合されている第1の部分44aと、ラミネート40の周縁部から外向きに突出する第2の部分44bを含む。ここでもまた第2の部分44bには、取付け用装置44の第2の部分44bの中の孔として描かれている固着用手段45が具備されている。最後に、図面には描かれていないが、取付け用装置44は、図2に示されているラミネート20内の取付け用装置24の構造に類似した構造を有していてもよい。詳細には、これらには同様に、ラミネート40の周縁部全体にわたるカバーを形成する第3の部分が具備されていてもよい。
【0041】
本明細書中で使用される「薄いガラスシート」という用語は、2.0mm未満または約1.9mm以下または約1.8mm以下、または約1.7mm以下、または約1.6mm以下、または約1.5mm以下、または約1.2mm以下、または約1mm以下、または約0.8mm以下または約0.1〜約0.8mmまたは約0.2〜約0.7mm、または約0.3〜約0.7mm、または約0.4〜約0.7mm、または約0.5〜約0.7mmの厚みを有するガラスシートまたはフィルムを意味する。この薄いガラスシートは、薄いブロックまたはロールドガラスシートなどの任意の適切なタイプのガラスシートから選択されてもよい。薄いガラスシートの一部のタイプは、液晶デバイスの中の基板として使用されてきており、例えばPraezisions Glas & Optik GmbH(Germany)、Pilkington(Toledo、OH)、松浪硝子工業株式会社(日本)、日本板硝子株式会社(日本)、日本電気硝子株式会社(日本)および旭硝子株式会社(日本)から市販されている。
【0042】
アイオノマー中間層シートは、2〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて約18〜約30重量%または約20〜約25重量%または約21〜約24重量%の、3〜8個の炭素を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位とを含む前駆体酸コポリマーのイオン中和誘導体であるアイオノマーを含んでいる。
【0043】
適切なα−オレフィンコモノマーには、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、3 メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなど、およびこれらのオレフィンの2つ以上の組合せが含まれるが、これらに限定されない。1つの好ましいアイオノマーにおいて、α−オレフィンはエチレンである。
【0044】
適切なα,β−エチレン性不飽和カルボン酸コモノマーとしては、アクリル酸類、メタクリル酸類、イタコン酸類、マレイン酸類、マレイン酸無水物類、フマル酸類、モノメチルマレイン酸類およびこれらの酸の2つ以上の組合せが含まれるが、これらに限定されない。1つの好ましいアイオノマーにおいて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸類、メタクリル酸類およびアクリル酸類とメタクリル酸類の組合せから選択される。別の好ましいアイオノマーにおいて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸はメタクリル酸である。
【0045】
前駆体酸コポリマーはさらに、1つ以上の他のコモノマーの共重合単位、例えば2〜10個または好ましくは3〜8個の炭素を有する不飽和カルボン酸またはその誘導体をさらに含んでいてもよい。適切な酸誘導体には、酸無水物、アミドおよびエステルが含まれる。エステルが好まれる。不飽和カルボン酸の好ましいエステルの具体的例としては、メチルアクリレート類、メチルメタクリレート類、エチルアクリレート類、エチルメタクリレート類、プロピルアクリレート類、プロピルメタクリレート類、イソプロピルアクリレート類、イソプロピルメタクリレート類、ブチルアクリレート類、ブチルメタクリレート類、イソブチルアクリレート類、イソブチルメタクリレート類、tert−ブチルアクリレート類、tert−ブチルメタクリレート類、オクチルアクリレート類、オクチルメタクリレート類、ウンデシルアクリレート類、ウンデシルメタクリレート類、オクタデシルアクリレート類、オクタデシルメタクリレート類、ドデシルアクリレート類、ドデシルメタクリレート類、2−エチルヘキシルアクリレート類、2−エチルヘキシルメタクリレート類、イソボルニルアクリレート類、イソボルニルメタクリレート類、ラウリルアクリレート類、ラウリルメタクリレート類、2−ヒドロキシエチルアクリレート類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート類、グリシジルアクリレート類、グリシジルメタクリレート類、ポリ(エチレングリコール)アクリレート類、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート類、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート類、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート類、ポリ(エチレングリコール)べヘニルエーテルアクリレート類、ポリ(エチレングリコール)べヘニルエーテルメタクリレート類、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテルアクリレート類、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテルメタクリレート類、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルアクリレート類、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルメタクリレート類、ジメチルマレエート類、ジエチルマレエート類、ジブチルマレエート類、ジメチルフマレート類、ジエチルフマレート類、ジブチルフマレート類、ジメチルフマレート類、ビニルアセテート類、ビニルプロピオネート類およびそれらの2つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されない。1つの好ましいアイオノマーにおいて、この他のコモノマーは、メチルアクリレート類、メチルメタクリレート類、ブチルアクリレート類、ブチルメタクリレート類、グリシジルメタクリレート類、ビニルアセテート類およびこれらのエステルの2つ以上の組み合わせから選択される。しかしながら別の好ましいアイオノマーにおいて、前駆体酸コポリマーは他のコモノマーを取込まない。
【0046】
適切な前駆体酸コポリマーは、190℃、2.16kgでASTM方法D1238に準じて判定した場合に、約1〜約1000g/10分、または約20〜約900g/10分、または約20〜約70g/10分、または約70〜約700g/10分または約100〜約500g/10分または約150〜約300g/10分の溶融流量(MFR)を有する。
【0047】
最後に、適切な前駆体酸コポリマーを、例えば米国特許第3,404,134号明細書;5,028,674号明細書;6,500,888号明細書または6,518,365号明細書中に記載される通りに合成してもよい。
【0048】
アイオノマー中間層シート中で有用なアイオノマーを得るためには、前駆体酸コポリマーは、1つ以上の塩基との反応により部分的に中和される。親酸コポリマーを中和するための適切な手順の一例は、米国特許第3,404,134号明細書および6,518,365号明細書中に記載されている。中和の後、前駆体酸中に存在するカルボン酸基の水素原子の約5%〜約90%、または約10%〜約60%、または約20%〜約55%が、他のカチオンによって置換される。換言すると、前駆体酸コポリマー中に存在するカルボン酸基の総含有量の約5%〜約90%または約10%〜約60%または約20%〜約55%が中和される。別の代替的表現をすると、酸性基は、非中和前駆体酸コポリマーについて計算または測定された通りの前駆体酸コポリマー中に存在するカルボン酸基の総含有量に基づいて、約5%〜約90%または約10%〜約60%または約20%〜約55%のレベルまで中和される。
【0049】
アイオノマーは、カルボキシレートアニオンに対する対イオンとして、カチオンを含む。適切なカチオンとしては、アイオノマー組成物が合成され、加工され使用される条件の下で安定している任意の正荷電種が含まれる。一部の好ましいアイオノマーにおいて、使用されるカチオンは、一価、二価、三価、多価またはその混合物であってもよい金属カチオンである。有用な一価の金属カチオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀、水銀、銅などのカチオンまたはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。有用な二価の金属カチオンとしては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カドミウム、水銀、錫、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛などのカチオンおよびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。有用な三価の金属カチオンとしては、アルミニウム、スカンジニウム、鉄、イットリウムなどのカチオンおよびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。有用な多価の金属カチオンとしては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、タングスチン、クロム、セリウム、鉄などのカチオンおよびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。金属カチオンが多価である場合、米国特許第3,404,134号明細書中に記載されるように、ステアレート、オレエート、サリチレートおよびフェノレートラジカルなどの錯化剤を含み入れてもよいということが指摘される。別の好ましい中間層中では、使用される金属カチオンは一価または二価の金属カチオンである。さらに別の好ましい中間層において、金属カチオンは、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、カリウムおよびそれらの混合物から選択される。さらに別の好ましい中間層において、金属カチオンは、ナトリウム、亜鉛およびそれらの混合物のカチオンから選択される。さらに別の中間層では、金属カチオンは、ナトリウムカチオンである。
【0050】
結果として得られるアイオノマーは、190℃、2.16kgでASTM方法D1238に準じて判定した場合に、25g/10分以下、または約20g/10分以下または約10g/10分以下、または約5g/10分以下または約0.7〜約5g/10分のMFRを有していてもよい。
【0051】
アイオノマー中間層シートはさらに、当該技術分野内で公知の他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤には、加工助剤、流動促進添加剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、衝撃改質剤、核形成剤、ブロッキング防止剤例えばシリカ、熱安定剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、補強用添加剤例えばガラス繊維、充填剤などが含まれるが、これらに限定されない。適切な添加剤、アイオノマー中間層中の添加剤の適切なレベルおよびアイオノマー中間層中への添加剤の取込み方法についての一般的情報は、例えば「Kirk Othmer Encyclopedia、the Modern Plastics Encyclopedia」、McGraw−Hill(New York、1995)または「Wiley Encyclopedia of Packaging Technology」、2d edition、A.L.Brody and K.S.Marsh、Eds.、Wiley−Interscience(Hoboken、1997)などの参考文献中に見出されるかもしれない。アイオノマー中間層中で使用するためには、4つのタイプの添加剤、具体的には熱安定剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)およびシランカップリング剤に注目すべきである。これら4タイプの添加剤についてのさらなる情報、例えば、好ましい例およびアイオノマー中間層中の適切なレベルなどは、例えば以上で引用した参考文献中および米国特許第7,641,965号明細書中に見出されるかもしれない。
【0052】
適切なアイオノマー中間層シートは、30℃、1分の負荷時間でASTM D5026に準じて判定された場合、約200〜約600MPa、または約250〜約550MPa、または約300〜約500MPa、または約300〜約400MPaのヤング率を有する。さらに、アイオノマー中間層シートは、約1〜約120ミル(約0.025〜約3mm)、または約5〜約100ミル(約0.127〜約2.54mm)、または約5〜約45ミル(約0.127〜約1.14mm)、または約10〜約35ミル(約0.25〜約0.89mm)、または約10〜約30ミル(約0.25〜約0.76mm)の合計厚みを有していてもよい。ガラスラミネートが2つの以上のアイオノマー中間層シートを含む場合、各シートの厚みは独立して選択される。
【0053】
アイオノマー中間層シートは、ガラスラミネートを調製するために用いられるラミネーションプロセスに先立ち一方または両方の側に平滑なまたは粗い表面を有していてもよい。1つのラミネートにおいて、シートは、ラミネーションプロセス中の脱気を容易にするため両方の側に粗い表面を有している。粗い表面は、機械的エンボス加工によってかまたはシートの押出し加工中のメルトフラクチャとそれに続く急冷によって作り上げられ、こうして取扱い作業中も表面粗度が保持されるようになっている。表面パターンは、一般的な当該技術分野のプロセスを通してシートに適用可能である。例えば、溶融ポリマーの一方の側に所望される表面特性を付与するダイの出口に極近いところに位置づけされたダイロールの特別に前処理された表面の上に、押出し放しのシートを通過させてもよい。こうして、このようなダイロールの表面が微小な山や谷を有する場合、その上に流延されたポリマーシートは、ロールと接触している側に粗い表面を有し、粗い表面は一般にそれぞれロール表面の谷および山に一致する。このようなダイロールは、例えば米国特許第4,035,549号明細書および米国特許公開第20030124296号明細書中に記載されている。
【0054】
アイオノマー中間層シートは任意の適切なプロセスによって生産可能である。 例えば、シートは、浸漬被覆、溶液流延、圧縮成形、射出成形、ラミネーション、溶融押出流延、インフレートフィルム、押出被覆、タンデム押出被覆または、当業者にとって公知である他の任意の手順を通して形成されてもよい。好ましくは、シートは、溶融押出流延、溶融同時押出流延、溶融押出被覆またはタンデム溶融押出被覆プロセスによって形成される。
【0055】
1枚以上の薄いガラスシートおよび1枚以上のアイオノマー中間層シートに加えて、ガラスラミネートはさらに追加のフィルム、剛性シートまたは他の非アイオノマーポリマー中間層シートを含んでいてもよい。
【0056】
適切な追加のフィルムには、限定的な意味なく、アルミニウムフォイルなどの金属フィルム、およびポリマーフィルムが含まれる。適切なポリマーフィルムには、ポリエステル類(例えばポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンナフタレート))、ポリカーボネート類、ポリオレフィン類(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、および環式ポリオレフィン類)、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン類(例えばシンジオタクチックポリスチレン)、スチレン−アクリレートコポリマー類、アクリロニトリル−スチレンコポリマー類、ポリスルホン類(例えばポリエーテルスルホンおよびポリスルホン)、ポリアミド類、ポリウレタン類、アクリルポリマー類、セルロースアセテート類(例えばセルロースアセテートおよびセルローストリアセテート)、セロファン類、ビニルクロリドポリマー類(例えばポリ(ビニルクロリド)ポリ(ビニリデンクロリド))、フルオロポリマー類(例えばポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー類)およびこれらの材料の2つ以上の組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
ポリマーフィルムがガラスラミネートの外側表面層として取り込まれる場合、外側表面には、耐摩耗性ハードコートが具備されてもよい。耐摩耗性ハードコート内で使用するものとして公知の任意の材料を使用してもよい。例えば、ハードコートは、ポリシロキサン類または架橋(熱硬化性)ポリウレタン類を含んでいてもよい。同じく適しているのは、例えば、(A)イソシアネート含有オリゴマーとヒドロキシル含有オリゴマーとの反応または(B)エポキシド含有化合物と無水物含有オリゴマーの反応によって調製される、米国特許公開第2005/0077002号明細書中に記載されているものなどのオリゴマー系コーティングである。一部のラミネートにおいて、ハードコートは、米国特許第4,177,315号明細書;4,469,743号明細書;5,415,942号明細書および5,763,089号明細書中に記述されているものなどのポリシロキサン耐摩耗性コーティングを含んでいてもよい。
【0058】
適切な剛性シートは、ASTM D−638にしたがって判定された約690MPa以上の引張り係数を有する材料を含む。1つのラミネートにおいて、剛性シートは約2mm以上の厚みを有する任意の適切な従来のガラスシートから導出される。ガラスシートには、窓ガラス、板ガラス、ケイ酸塩ガラス、並ガラスシート、低鉄ガラス、強化ガラス、無CeO強化ガラス、およびフロートガラスのみならず、色ガラス、特殊ガラス(例えば、太陽光加熱を制御するための成分を含むもの)、コートガラス(例えば太陽光を制御する目的で金属(例えば銀またはインジウム錫酸化物)でのスパッタリングが施されたもの)、低Eガラス、Toroglas(登録商標)ガラス(Saint−Gobain N.A.Inc.(Trumbauersville、PA))、Solexia(商標)ガラス(PPG Industries(Pittsburgh、PA))およびStarphire(登録商標)ガラス(PPG Industries)が含まれていてもよいが、これらに限定されない。さらなるラミネートにおいては、他の剛性シートは、金属、セラミックまたはポリカーボネート類、アクリル樹脂類、ポリアクリレート類、環式ポリオレフィン類、メタロセン−触媒ポリスチレン類およびそれらの2つ以上の組合せから選択されたポリマーで形成されてもよい。
【0059】
追加のポリマー中間層シートは、ポリ(ビニルアセタール)(例えばポリ(ビニルブチラール))、ポリ(ビニルクロリド)、ポリウレタン類、ポリ(エチレンビニルアセテート)、エチレン酸コポリマー類などの任意の適切なポリマー材料またはこれらの材料の2つ以上の組合せで形成されてもよい。これらの材料と上述のアイオノマーとのブレンドおよび組合せも同様に適切である。
【0060】
ガラスラミネートは、アイオノマー中間層シートの片側(つまり第1の側面)にラミネートされている2.0mm未満、または1.5mm以下の厚みを有する薄いガラスシートを含む。「ラミネートされた」とは、1つのラミネートされた構造内で、2つの層が直接的に(すなわち2層の間にいかなる追加材料も無く)、あるいは間接的に(すなわち、2層の間に中間層または接着材料などの追加の材料を伴って)結合されていることを意味する。したがって、アイオノマー中間層シートは、薄いガラスシートに対し直接結合されていてもよいし、あるいは接着剤またはプライマー材料の1つ以上の層を介して薄いガラスシートに結合されていてもよい。
【0061】
1つのガラスラミネートにおいて、アイオノマー中間層が、2〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて約18〜約30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位とを含む前駆体酸コポリマーのイオン中和誘導体であるアイオノマーを含んでおり、前駆体酸コポリマー中に存在するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の総含有量の約5%〜約90%はすでに中和されている。別のガラスラミネートにおいて、前記前駆体酸コポリマーは、前駆体酸コポリマーの総重量に基づいてα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位を約20〜約25重量%含み、前駆体酸コポリマー中に存在するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の総含有量の約10%〜約60%はすでに中和されている。
【0062】
別のガラスラミネートはさらに、アイオノマー中間層シートのもう一方の側(つまり第2の側面)に対しラミネートされた、上述したものなどの追加のフィルムまたは剛性シートを含む。ガラスラミネートは、薄いガラスシートを含んでいてもよく、これはアイオノマー中間層シートにラミネートされ、このアイオノマー中間層シートはさらに、厚み約2mm以上の従来のガラスシートである第2のガラスシートに対しラミネートされる。あるいは、ガラスラミネートは、厚み2.0mm以下、または好ましくは約1.5mm以下の第1の薄いガラスシートを含んでいてもよく、このガラスシートはアイオノマー中間層シートにラミネートされ、これはさらに、厚み2.0mm以下または好ましくは約1.5mm以下の第2の薄いガラスシートにラミネートされる。同様に、ガラスラミネートは、厚み2.0mm以下または好ましくは約1.5mm以下の薄いガラスシートを含んでいてもよく、これはアイオノマー中間層シートにラミネートされ、このアイオノマー中間層シートはさらにポリエステル(例えばポリ(エチレンテレフタレート))フィルムなどのポリマーフィルムにラミネートされ、ここでポリマーフィルムの外側表面には、ハードコート層が塗布されていてもよい。
【0063】
別のラミネートにおいては、アイオノマー中間層シートの第1の側面は、薄いガラスシートにラミネートされている。ガラスラミネートはさらに、アイオノマー中間層シートの第2の側面にラミネートされた剛性シートを含む。剛性シートは好ましくは、約2mm以上の厚みを有する第2のガラスシートである。あるいは、剛性シートは、ポリマー材料を含む。
【0064】
別のラミネートにおいて、ガラスラミネートは、n層のフィルムおよび/または剛性シートおよびn−1層のポリマー中間層シートを含んでいてもよく、ここで(i)nは2〜10の整数であり;(ii)フィルムおよび/または剛性シートの各隣接対の間の空間をポリマー中間層シートの1枚が占めており;(iii)n層のフィルムおよび/または剛性シートの1つ以上が、上述のガラスシートで形成されており;かつ(iv)n−1層のポリマー中間層シートの1つ以上が上述のアイオノマー組成物を含んでいる。
【0065】
さらに別のラミネートにおいては、ガラスラミネートは、上述の通りのn層の薄いガラスシートと、上述の通りのn−1層のアイオノマー中間層シートを含んでいてもよく、ここで(i)nは2〜10の整数であり;(ii)n層の薄いガラスシートの各々は独立して約1.5mm以下の厚みを有し、(iii)薄いガラスシートの各隣接対の間の空間を、アイオノマー中間層シートの1つが占めている。
【0066】
本明細書中で記述されるガラスラミネートを調製するためには、任意の適切なラミネーションプロセスを用いてもよい。最初に、所望される場合には、ガラスラミネートの構成要素層のいずれかの一方または両方の表面が、ラミネーションプロセスに先立ち任意の適切な接着増強処理を受けてもよい。適切な接着処理は、例えばポリマーフィルムに関して、以上で引用した参考文献および米国特許第7,625,627号明細書中に記載されている。次に、オートクレーブプロセスにおいて、ガラスラミネートの構成要素層は、所望の順序で積重ねられてプリラミネーションアセンブリを形成する。アセンブリは次に、真空を維持できるバッグ(「真空バッグ」)内に入れられる。真空バッグの代りに真空リングを用いてもよい。適切な真空バッグの1つのタイプは、米国特許第3,311,517号明細書中に記載されている。真空ラインまたは他の手段によって真空バッグから空気が吸引され、このバッグは真空(例えばHgで約27〜28(689〜711mmHg))が維持されている間に密封され、密封したバッグはオートクレーブ内に置かれる。アセンブリを収納する密封したバッグは、約150〜約250psi(約11.3〜18.8バール)の圧力および約110℃〜約180℃または約120℃〜約160℃、または約135℃〜約160℃の温度で、約10〜約90分間、または約20〜約70分または約25〜約60分間、オートクレーブ内で処理される。熱および圧力サイクルの後、オートクレーブ内の空気は追加の気体を加えることなく冷却され、こうしてオートクレーブ内部の圧力は低下する。約20分間の冷却後、オートクレーブを大気に通気し、ラミネートの入った密封バッグはオートクレーブから取出される。
【0067】
あるいは、プリラミネーションアセンブリをオーブン内で約80℃〜約120℃または約90℃〜約100℃で、約20〜約40分間加熱してもよい。その後加熱したアセンブリを一組のニップロールに通して、個々の層間の隙間から空気を放出させてもよく、アセンブリの縁部を密封してもよい。この段階におけるアセンブリは、プリプレスアセンブリと呼ばれる。
【0068】
次に、プリプレスアセンブリをエアーオートクレーブ内に入れ、約100〜約300psi(約6.9〜約20.7バール)または約200psi(13.8バール)の圧力で約120℃〜約160℃、または約135℃〜約160℃の温度で処理してもよい。これらの条件は、約15〜約60分間または約20〜約50分間維持されてもよい。熱および圧力サイクルの後、オートクレーフ内の空気は追加の気体を加えることなく冷却される。約20分〜約40分の冷却後、余剰の空気圧は放出され、ラミネートされた製品は、オートクレーブから取出される。
【0069】
ガラスラミネートを、非オートクレーブプロセスを介して生産してもよい。このような非オートクレーブプロセスは、例えば米国特許第3,234,062号明細書;3,852,136号明細書;4,341,576号明細書;4,385,951号明細書;4,398,979号明細書;5,536,347号明細書;5,853,516号明細書;6,342,116号明細書および5,415,909号明細書、米国特許公開第20040182493号明細書、欧州特許第1235683B1号明細書およびPCT国際公開第9101880号パンフレットおよび国際公開第03057478号パンフレット中に記載されている。一般に、非オートクレーブプロセスは、プリラミネーションアセンブリの加熱ステップおよび真空、圧力またはその両方の適用ステップを含む。例えば、アセンブリを加熱用オーブンとニップロールに連続して通してもよい。
【0070】
本明細書中で記述するガラスラミネートは、数多くの業界、例えば建築、自動車、航空宇宙および水産業において有用であるかもしれない。例えば、これらを建物、自動車、航空機および船舶内のグレージングとして使用することができる。
【0071】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明する目的で提供される。本発明を実施するために現在企図されている好ましい態様を説明するこれらの実施例は、本発明を例示するように意図されたものであって、それを限定するように意図されたものではない。
【実施例】
【0072】
以下の実施例の各々において、同一の2セットのガラスラミネートが調製されており、1つのセットはラミネーション直後に、衝撃接着試験、含水量試験および応力試験に付され、もう1つのセットは、IEC61646にしたがって温度を−40℃と85℃の間で交番させる50回の熱サイクルを受けた後、衝撃接着、含水量および応力試験に付された。
【0073】
実施例E1において調製されたガラスラミネートの各々は、15×15cmの寸法および「ガラスシート1/アイオノマー中間層シート/ガラスシート2」という重層構造を有し、ここで「ガラスシート1」は、PPG Industries、Pittsburgh、PA製の厚み2.3mmのガラスシートであり;「ガラスシート2」は、Euro−Tech GmbH(Germany)製の厚み0.7mmのガラスシートであり;「アイオノマー中間層シート」はE.I.DuPont de Nemours & Co.(Wilmington、DE)(以下「DuPont」と呼ぶ)から入手可能な厚み35ミル(0.89mm)のSentryGlas(登録商標)アイオノマー樹脂中間層シートである。実施例E2で調製されるガラスラミネートは、ラミネートの相対する側面に沿ってかつそれぞれの縁部から約2cm離して「ガラスシート1」と「アイオノマー中間層シート」の間にさらに長さ20cm、幅2mmおよび厚み100μmのワイヤー対が埋込まれているという点を除いて、実施例E1で調製されるものと類似している。実施例E3で調製されるガラスラミネートは、長さ20cm、幅2mm、厚み100μmの2本のワイヤーの各々が、ラミネートから突出する片端を有するという点を除いて、実施例E2で調製されるものと類似している。
【0074】
「ガラスシート1/使用される場合にはワイヤー/アイオノマー中間層シート/ガラスシート2」アセンブリを使い捨ての真空バッグ内に置くこと、室温で約20分間真空バッグ内部においてアセンブリを真空下に維持すること、アセンブリを収納する真空バッグを、90℃に設定したオーブン内にさらに20分間置くこと、真空バッグからアセンブリを取り出すこと、そして最後にアセンブリを、20分間145℃の最高温度と8.5バールの最大プラトー圧を提供する条件下で行なわれたオートクレーブプロセスに付すことによって、ガラスラミネートE1、E2およびE3の各々を調製した。
【0075】
各ラミネートの衝撃接着値を、最初に25℃+/−5℃で1時間以上の間試料を平衡化し、次に0.5kgの平頭ハンマー(flat headed hammer)でラミネートを打撃することによって判定した。衝撃場所間の間隔1.25cmそして横列間間隔2cmで、横列パターンでラミネートを打撃した。表1に示された任意の尺度にしたがって、中間層に接着した状態にとどまっている粉砕ガラスの量に基づいて、衝撃接着評定を割当てた。
【0076】
【表1】

【0077】
各ラミネートについて2つの衝撃接着値を測定し、「IN」値は、「ガラスシート1」上でラミネートをハンマー打撃することにより決定され、「OUT」値は「ガラスシート2」上でラミネートをハンマー打撃することで判定された。
【0078】
Perkin Elmer(Waltham,MA)製のSpectrum BX FTIRスペクトロメーターを用いて、各ラミネートの水分増加レベルを判定した。具体的には、透過近赤外線(NIR)スペクトルを記録し、1880nmと1990nmの間の水分バンドを積分した。次に、積分した面積を水分基準に比較して試料中の含水率を計算した。各ラミネートについて、2つの位置で、水分利得値を記録した。「位置1」は、ラミネートの縁部から約1cm離れた場所であり、「位置2」はラミネートの中心に近い場所であった。実施例E2およびE3において、位置1は縁部とワイヤーの間にあった。
【0079】
各ラミネート上で発生した応力を、180〜90度の間で変動する角度で交差分極光の下で観察することにより目視で判定した。応力を表わす虹様の特徴は、試料ラミネート中に全く観察されなかった。
【0080】
表2に示されているデータは、厚み0.7mmの薄いガラスシートと35ミル(0.89mm)のアイオノマー中間層シートを用いたガラスラミネートが、良好な衝撃接着レベル、良好な耐湿性そして低い応力を有することを示している。このことは、アイオノマー中間層を有するガラスラミネート内の外部保護層の一方または両方として薄いガラスシートを使用することが実現可能であり、こうして、その物理的強度を維持しながらラミネートの重量が削減される、ということを実証している。
【0081】
【表2】

【0082】
比較例C1および実施例E4およびE5
以下の仮説的グレージング構築物における応力発生およびたわみは、非線形有限要素モデリング(FEM)応力解析により計算する。例C1では、グレージング構築物は、厚み6.5mmのポリカーボネートシートである。実施例E4では、グレージング構築物は、2枚の薄いガラスシート(厚み1mm)の間にDuPont社から入手可能な1枚のSentryGlas(登録商標)アイオノマー中間層シート(厚み4.56mm)がラミネートされたラミネートである。実施例E5では、グレージング構築物は、2枚の薄いガラスシート(厚み1mm)の間に1枚のSentryGlas(登録商標)アイオノマー中間層シート(厚み3.04mm)がラミネートされたラミネートである。これらの例の各々においてグレージング構築物は1000×800mmの寸法を有し、4側面上で支持されている。2kPaの均一負荷が加えられる。グレージング構築物の各構成要素についてヤング率およびポワソン比を表3に列記する。
【0083】
【表3】

註:
a.ENISO1288にしたがって測定。
b.EN843にしたがって測定。
c.40℃、1日の負荷時間でASTM D5026にしたがって測定。
d.30℃、1分の負荷時間でASTM D5026にしたがって測定。
e.ISO527にしたがって測定。
【0084】
各ラミネートの最大応力発生およびたわみは、SJ−MEPLA(ドイツ、SJ−Softwareのバージョン3.0.4)を用いて計算する。結果として得た値を表4で報告する。
【0085】
【表4】

【0086】
これらの結果は、薄い(1mm)ガラスシートおよびアイオノマー中間層を伴うラミネートが、ポリカーボネートシートに比較した場合により高い強度を有しより低いたわみを示すということを実証している。
【0087】
実施例E6
「薄いガラスシート(1.1mm)/アイオノマーシート(60ミル)/薄いガラスシート(1.1mm)」の構造をもつ一連のラミネートを調製した。薄いガラスシートは、日本板硝子株式会社(日本国、東京)より入手したUFF(商標)薄ガラスであり、アイオノマーシートは、DuPont社から入手したSentryGlas(登録商標)シートであった。
【0088】
次にラミネートを、数回の欧州安全基準試験に付した。EN356−P2A試験においては、鋼球(直径100mm、重量4.11kg)を3mの高さから3回、ラミネート構造上に落下させた。ラミネートは、3回目の衝撃の後も貫通されなかったことから、この試験に合格した。EN356−P3A試験においては、鋼球(直径100mm、重量4.11kg)を6mの高さから3回、ラミネート構造上に落下させた。鋼球は3回目の落下でラミネートを貫通したことから、第1のラミネートは不合格となったが、第2のラミネートは、3回目の落下後も貫通しなかったために合格した。最後に、EN356−P4A試験においては、鋼球(直径100mmおよび重量4.11kg)を高さ9mから3回、ラミネート構造上に落下させた。鋼球は、2回目の落下でラミネートを貫通したことから、ラミネートはこの試験に不合格となった。
【0089】
実施例E7〜E14
以上で使用したものと類似のラミネーションプロセスにより、一連の「ガラス1/アイオノマー中間層/ガラス2」のラミネートを調製した。これらのラミネートの構造は、表5に示されている。ラミネートをJISR3205ボール落下試験に付し、この試験では、直径63mm、重量1.04kgの鋼球を最初に120cmの高さから610×610mmという寸法のラミネート上に落下させた。破壊が全く起こらなかった場合、150cmの高さ、次に190cm、次に240cm、次に300cm、次に380cm、そして次に480cmの高さから落下をくり返した。この実験の結果も同様に表5中に記録する。
【0090】
【表5】

a.ここで使用されるガラスシートは、日本板硝子株式会社より入手したUFFTM薄ガラスであった。
b.アイオノマー中間層シートはDuPontから入手したSentryGlas(登録商標)シートであった。
【0091】
実施例E15およびE16
実施例E15では、アイオノマー中間層を伴うガラスラミネートを調製する。ラミネートを72カ月間、フロリダにおいて屋外での自然風化作用に曝露し、かつ96カ月の等価曝露としてアリゾナでの屋外促進風化作用に曝露する。風化作用の後、ラミネート中にはいかなる層間剥離、目視による欠陥、縁部曇り、または望ましくない曇り度の変化も観察されていない。その上、ラミネートの引張り強度は、4500時間の実験室内促進風化作用の後も、高いままである。
【0092】
実施例E16では、アイオノマー中間層またはPVB中間層を伴うガラスラミネートを調製する。結露凍結試験の後、アイオノマー中間層を伴うこれらのラミネートには、いかなる目視による欠陥も、層間剥離も、変色も接着喪失も見られない。しかしながら、PVB中間層を伴うラミネートにおいては、結露凍結試験の後、縁部曇りおよび層間剥離の両方が観察される。
【0093】
実施例E17
2つのガラス板(厚み3.2mm)の間にラミネートされたEVA中間層、PVB中間層およびアイオノマー中間層の水分進入プロファイルは、FTIR方法を用いてならびにASTM D7191の方法を用いて、Kapurらが獲得した。Kapurら、「Proceedings of the Photovoltaic Specialists Conference (PVSC)」、2009 34th IEEE; Digital Object Identifier:10.1109/PVSC.2009.5411235;刊行年:2009年、頁数:001210−001214を参照のこと。Kapurらが得たデータは、アイオノマー中間層内への水分進入が、EVAおよびPVB中間層内への水分進入よりも少ないことを実証している。ガラスラミネート内への水分進入は、厚みが少なくとも約0.1mmである場合には、ガラス層の厚みによる有意な影響を受けないとも考えられている。したがって、2枚の薄いガラスシート間のアイオノマー中間層のラミネートが、Kapurらにより研究されたPVBラミネートの水分進入よりも低い、すなわちそれよりも優れた水分進入を有することが予測される。
【0094】
本発明の好ましい実施形態のいくつかを以上で記述し具体的に例証してきたが、本発明がこのような実施形態に限定されることは意図されていない。さらに、本発明の構造および機能の詳細と共に、本発明の数多くの特徴および利点が以上の記述の中で説明されたにせよ、開示は一例にすぎず、添付クレームを表現している用語が有する広い一般的意味が指示する最大の限度まで、本発明の原理の範囲内で、特に形状、サイズおよび配置に関して、詳細な変更を加えてもよいということも理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄いガラスシートおよびアイオノマー中間層シートを含むガラスラミネートにおいて、前記薄いガラスシートが1.5mm以下の厚みを有するガラスラミネート。
【請求項2】
前記アイオノマー中間層シートがアイオノマーを含み、前記アイオノマーが、負荷時間1分、30℃でASTM D5026に準じて測定した約200〜約600MPaのヤング率を有する、請求項1に記載のガラスラミネート。
【請求項3】
前記アイオノマー中間層シートが、2〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて約18〜約30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位とを含む前駆体酸コポリマーのイオン中和誘導体であるアイオノマーを含んでおり、前記前駆体酸コポリマー中に存在するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の総含有量の約5%〜約90%がすでに中和されている、請求項1に記載のガラスラミネート。
【請求項4】
前記前駆体酸コポリマーが、前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位を約20〜約25重量%含み、前記前駆体酸コポリマー中に存在する前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の前記総含有量の約10%〜約60%がすでに中和されている、請求項3に記載のガラスラミネート。
【請求項5】
前記アイオノマー中間層シートが約1〜約120ミル(約0.025〜約3mm)の厚みを有する、請求項1に記載のガラスラミネート。
【請求項6】
前記アイオノマー中間層シートが約5〜約45ミル(約0.127〜約1.14mm)の厚みを有する、請求項5に記載のガラスラミネート。
【請求項7】
前記薄いガラスシートが約0.1〜約0.8mmの厚みを有する、請求項1に記載のガラスラミネート。
【請求項8】
前記アイオノマー中間層シートが第1の側面と第2の側面を有し、前記第1の側面が前記薄いガラスシートに対し直接結合されている、請求項1に記載のガラスラミネート。
【請求項9】
さらにフィルムまたは剛性シートを含み、前記フィルムまたは前記剛性シートがアイオノマー中間層シートの前記第2の側面にラミネートされている、請求項8に記載のガラスラミネート。
【請求項10】
前記フィルムが、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリオレフィン類、ノルボルネンポリマー、ポリスチレン類、スチレン−アクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリスルホン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、アクリルポリマー、セルロースアセテート類、セロファン類、ビニルクロリドポリマー、フルオロポリマーおよびこれらのポリマー材の2つ以上の組合せからなる群から選択されたポリマー材料を含むか、あるいは前記剛性シートが、ガラス、金属、セラミックからなる群から選択された材料を含むか、またはポリカーボネート類、アクリル樹脂類、ポリアクリレート類、環式ポリオレフィン類、メタロセン−触媒ポリスチレン類、ASTM D−638にしたがって判定された約690MPa以上の引張り係数を有する別の一材料、およびこれらの材料の2つ以上の組合せからなる群から選択されたポリマー材料を含む、請求項9に記載のガラスラミネート。
【請求項11】
前記剛性シートが第2のガラスシートであり、前記第2のガラスシートが約2mm以上の厚みを有する、請求項10に記載のガラスラミネート。
【請求項12】
前記剛性シートが第2のガラスシートであり、前記第2のガラスシートが約1.5mm以下の厚みを有する、請求項10に記載のガラスラミネート。
【請求項13】
4つの周縁部および少なくとも1つの取付け用装置をさらに含み、前記少なくとも1つの取付け用装置が、アイオノマー中間層シートに結合された第1の部分とガラスラミネートの周縁部から外向きに突出した第2の部分を有する、請求項1に記載のガラスラミネート。
【請求項14】
前記少なくとも1つの取付け用装置は、それが突出している前記周縁部の一部分全体にわたるカバーを形成する第3の部分をさらに含んでいる、請求項13に記載のガラスラミネート。
【請求項15】
前記少なくとも1つの取付け用装置の前記第2の部分が少なくとも1つの固着用手段を含む、請求項13に記載のガラスラミネート。
【請求項16】
2つの取付け用装置を含み、前記取付け用装置が前記ガラスラミネートの相対する周縁部上に位置づけされている、請求項13に記載のガラスラミネート。
【請求項17】
4つの取付け用装置を含み、前記取付け用装置のうちの2つが前記ガラスラミネートの一つの縁部上に位置づけされ、前記取付け用装置のうちの2つが前記ガラスラミネートの前記相対する周縁部上に位置づけされる、請求項13に記載のガラスラミネート。
【請求項18】
4つの取付け用装置を含み、前記取付け用装置の各々が前記ガラスラミネートの異なる周縁部上に位置づけされている、請求項13に記載のガラスラミネート。
【請求項19】
前記少なくとも1つの取付け用装置が金属またはプラスチックで作製されている、請求項13に記載のガラスラミネート。
【請求項20】
前記少なくとも1つの取付け用装置が、鋼、アルミニウム、チタン、真鍮、鉛、クロム、銅およびそれらの合金からなる群から選択された金属を含む、請求項19に記載のガラスラミネート。
【請求項21】
n層のフィルム、剛性シートまたはそれらの組合せおよびn−1層のポリマー中間層シートを含むガラスラミネートにおいて、(i)nが2〜10の整数であり;(ii)前記n層のフィルム、剛性シートまたはそれらの組合せの各隣接対の間の空間を前記ポリマー中間層シートの1枚が占めており;(iii)前記n層のフィルム、剛性シートまたはそれらの組合せの1つ以上が、約1.5mm以下の厚みを有する薄いガラスシートを含み;かつ(iv)前記n−1層のポリマー中間層シートの1つ以上がアイオノマーを含む、ガラスラミネート。
【請求項22】
前記n層が薄いガラスシートのn層であり、前記n−1層がアイオノマー中間層シートであり、前記n層の薄いガラスシートの各々が独立して1.5mm未満の厚みを有し、前記薄いガラスシートの各隣接対の間の空間を前記アイオノマー中間層シートの1つが占めている、請求項21に記載のガラスラミネート。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−519646(P2012−519646A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553164(P2011−553164)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/026515
【国際公開番号】WO2010/102282
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】