軽量気泡コンクリートパネルの固定方法
【課題】 ＡＬＣパネルの吊り上げる際に、吊り上げ治具の脱着が容易で、かつ作業性が良く、金具コストを抑えてＡＬＣパネルを建物躯体の所定位置に固定する方法を提供する。
【解決手段】 パイプのいずれか一方の端部にネジ穴を有し、該ネジ穴がＡＬＣパネルの一方の短辺小口に開口してなるＡＬＣパネルを準備し、このパネルの一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴にアイボルトを螺合させ、シャクルを介して吊り上げ用ワイヤーを掛けて吊り上げて所定位置に吊り込み、しかる後、一旦補助把持具を利用して仮止めし、アイボルトを外して代わりにパネル取り付け用金具を平ボルトを使用して固定し、該パネル取り付け用金具を建物躯体に溶接してＡＬＣパネルを建物躯体に固定する。
【解決手段】 パイプのいずれか一方の端部にネジ穴を有し、該ネジ穴がＡＬＣパネルの一方の短辺小口に開口してなるＡＬＣパネルを準備し、このパネルの一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴にアイボルトを螺合させ、シャクルを介して吊り上げ用ワイヤーを掛けて吊り上げて所定位置に吊り込み、しかる後、一旦補助把持具を利用して仮止めし、アイボルトを外して代わりにパネル取り付け用金具を平ボルトを使用して固定し、該パネル取り付け用金具を建物躯体に溶接してＡＬＣパネルを建物躯体に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、軽量気泡コンクリートパネル（以下、ＡＬＣパネルという）を施工現場などにおいて所定位置に吊り上げた後、建物躯体に取り付ける方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、建築現場で軽量気泡コンクリートパネル（ＡＬＣパネル）を吊り上げて固定する方法としては、例えば図９に示すような方法がある。この方法は、ＡＬＣパネル１の上部に水平Ｘ軸方向の鋼棒孔２と、水平Ｙ軸方向のボルト孔３および垂直Ｚ軸方向の吊金具孔４がそれぞれ連通して穿設されており、ＡＬＣパネル１の吊り上げに際しては、鋼棒７を鋼棒孔２へ、下部に挿通孔を有する金具５ａを吊り金具５に螺合させ吊金具孔４に挿入すると共に、端部に挿通孔を有するＯボルト６をボルト孔３に挿入して、該アンカー鋼棒７を前記吊金具５とＯボルト６に挿通し、これによって吊金具５、Ｏボルト６およびアンカー鋼棒７を相互に係合する。その後、吊金具５の頂部にアイボルト５ｂを螺合し、かつＯボルト６を挿通孔９を有するパネル取付金具８に挿通させた後、このＯボルト６にナット１０を螺合し、Ｏボルト６およびアンカー鋼棒７をＡＬＣパネル１に仮止めする。この状態でアイボルト５ｂに吊金具に介してワイヤーを取り付けることにより、パネル挿通孔およびＯボルト６を挿入し、相互の金具と金具を連結せしめた後に吊金具を介してパネルを吊り上げる方法が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開平０６−１０５１２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
前記、特許文献１に示す吊り上げ方法においては、水平Ｘ軸方向からのアンカー鋼棒７の挿通孔、水平Ｘ方向からのＯボルト６の挿通孔および垂直Ｚ方向からの吊金具５の挿通孔の３つの挿通孔が必要である。そのため、それぞれ３つの孔を１箇所で合致させるためには、孔あけ精度と技術を要する。また、それぞれの挿通孔が合致する箇所で下部に挿通孔を有する金具５ａとＯボルト６とをアンカー鋼棒７に連結しなければならず、手間がかかる。また、下部に挿通孔を有する吊り上げ金具５ａと螺合された吊り上げ金具５は、ＡＬＣパネル１を吊り上げ躯体に取り付けられた後には不要となるが、取り外すことができないため金具コストがかさむといった問題もある。
そこで本発明の目的は、ＡＬＣパネルの吊り上げの際に吊り治具の脱着が容易で、かつ作業性が良く、金具コストを抑えたＡＬＣパネルの吊り上げ固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明の軽量気泡コンクリートパネルの固定方法は、軽量気泡コンクリートパネル内部に、パイプのいずれか一方の端部及びほぼ中央の側面にネジ穴を有するパイプアンカーを埋設して具備し、前記軽量気泡コンクリートパネルの一平面に開口したネジ穴にパイプアンカー固定用ボルトを螺合させて、該パイプアンカーを前記軽量気泡コンクリートパネルに固定し、次いで、一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴にアイボルトを螺合させ、該記アイボルトにはシャクルを介して吊り上げ用ワイヤーを掛けて前記軽量気泡コンクリートパネルを吊り上げて建物躯体の所定に位置に吊り込み、補助把持具を使用して軽量気泡コンクリートパネルを建物躯体に仮止めした後、シャクルとワイヤーロープ、及びアイボルトを取り外し、しかる後、前記軽量気泡コンクリートパネルの一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴に平ボルトを螺合させ、該平ボルトでパネル取り付け用金具を前記軽量気泡コンクリートパネルの短辺小口に締め付けて固定し、さらに該パネル取り付け用金具を建物躯体に固定した後、最後に前記補助把持具を取り外す固定方法を採用した。
このような方法を採用すれば、ＡＬＣパネルの吊り上げから固定までの作業が簡素化され、作業が安全に能率よく行える利点がある。
【０００５】
本発明で使用するパネル吊り上げ用アンカーは、パネル取り付け用のパイプアンカーを利用したアンカーであって、パイプのいずれか一方の端部にアイボルトと螺合するためのネジ穴が切削加工されており、パイプのほぼ中央の側面にはパイプアンカー固定用ボルトを螺合させるためのネジ穴が切削加工されているものを使用する。このパイプアンカーをＡＬＣパネル内に埋設し、ＡＬＣパネルの吊り上げ用及びＡＬＣパネルの固定用に使用する。
【０００６】
本発明で使用するＡＬＣパネルは、上記のパイプのいずれか一方の端部及びほぼ中央の側面にネジ穴を有するパイプアンカーをＡＬＣパネル内部に埋設し、該パイプアンカーの一方の端部のネジ穴が前記ＡＬＣパネルの一方の短辺小口に開口してなり、パイプアンカー中央部のネジ穴がＡＬＣパネルの一平面に開口してなるＡＬＣパネルである。
本発明で使用するＡＬＣパネルの吊り上げ方法は、前記ＡＬＣパネルの一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴にアイボルトを螺合させ、シャクルを介して吊り上げ用ワイヤーを掛けて吊り上げる吊り上げ方法である。
【発明の効果】
【０００７】
従来、パネルに埋設されるアンカーは、パネルの吊り上げ又はパネルの取り付けのいずれか一つの目的のための機能しか有していなかった。これに対して本発明の取り付け方法では、埋設されたアンカーを利用してパネルの吊り上げ及び取り付けを一つのアンカーで行うことを可能とする方法である。
本発明のパネル取り付け方法は、パネルにあらかじめ埋設されたアンカーを利用したものである。ＡＬＣパネルを垂直に吊り上げることが可能であり、建物躯体に仮固定した後、パネル頂部で吊り金具の取り外し及びパネル取り付け金具の設置が可能となるため、安全な吊り上げ及び取り付け作業をすることができる。また、パネル取り付け金具である平ボルトはパネル取り付け金具へ挿通後、パネル取り付け金具の水平受け面から突出することがないため、上段パネルの下部を加工する必要はない。さらにパネルへのアンカーはあらかじめ埋設されているため、アンカー挿入のためのパネル穿孔作業が不要であり、パネル取り付け金具の部品数の低減により施工効率の向上および金具費の削減効果が得られるという効果がある。
このような吊り上げ用パイプアンカーを利用したＡＬＣパネルの取り付け方法によれば、手間がからずに施工能率を大幅に向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図１は、本発明で使用するＡＬＣパネルの一実施形態を示す外観斜視透視図である。
本発明で使用するＡＬＣパネル１０は、ＡＬＣパネル１の内部にパイプアンカー２１を埋設して有し、該ＡＬＣパネル１の一方の短辺小口１ａに設けた穴１ｃに、前記パイプアンカー２１の一方の端部のネジ穴２１ａが開口している。
また、ＡＬＣパネル１の一平面１ｂに設けた穴１ｄには、前記パイプアンカー２１の中央部に設けたネジ穴２１ｂが開口している。
【０００９】
図２に、本発明で使用するＡＬＣパネルに埋設されているパイプアンカー２１の外観斜視図を示す。
このパイプアンカー２１は、パイプ２０の一方の端部に吊り上げ用のアイボルトを螺合させるためのネジ穴２１ａを有している。また、パイプ２０のほぼ中央の側面にはパイプアンカー固定用ボルトを螺合させるためのネジ穴２１ｂを有している。
【００１０】
図３は、本発明で使用するＡＬＣパネルの吊り上げ方法を説明する図である。
先ず、ＡＬＣパネル１の一平面１ｂに開口したネジ穴にパイプアンカー固定用ボルト１５を螺合させ、パイプアンカー２１をＡＬＣパネル１に締め付けて固定する。
次に、ＡＬＣパネル１の短辺小口１ａに設けられた穴１ｃに開口している、前記パイプアンカー２１のネジ穴にアイボルト５ｂを挿入して螺合させる。
次に、アイボルト５ｂにシャックル５ｃを介してクレーンフック５ｄを掛けてＡＬＣパネル１を吊り上げる。
このとき、ＡＬＣパネル１の内部に埋設されたパイプアンカー２１は、パイプアンカー固定用ボルト１５によってＡＬＣパネル１に締め付けて固定されているので、抜け落ちることはない。
【００１１】
図４〜図８は本発明のＡＬＣパネルの固定方法を説明する図である。
前述のようにして施工現場の所定位置までＡＬＣパネルを吊り込んだら、図４に示すようにシャコマン等の補助把持具１４を使用してＡＬＣパネル１を建物躯体３１に仮固定し、クレーンフック５ｄ、シャックル５ｃを順次外し、最後にアイボルト５ｂを抜き取る。
次いで、平ボルト１２を前記パイプアンカーのネジ穴２１ａに螺合させ、パネル取り付け金具１３をＡＬＣパネル１の短辺小口１ａに締め付け固定する。図中３１は建物躯体であり、３２はＡＬＣパネルを固定するための定規アングルで、３３はスペーサーである。
【００１２】
図５は、本発明で使用する平ボルト１２及びパネル取り付け金具１３の外観斜視図である。
平ボルト１２は、頭部１２ａの上下面が平面に加工されており、厚さは後述のパネル取り付け金具１３の窓１３ｄの深さよりも小さく作製してある。頭部の下面が平面になっているので、パネル取り付け金具１３の２枚の受け板１３ｅ，１３ｅ上に安定して接することができるので、パネル取り付け金具１３をＡＬＣパネル１にしっかりと固定することができる。
パネル取り付け金具１３は、平板のほぼ半分が分割されて互いに上下方向に折り曲げられ、両端部の２本の折り曲げ部１３ａ，１３ａと中央部の折り曲げ部１３ｂを形成している。さらに、水平受け面１３ｃの中央には、四角形の窓１３ｄが切り込まれており、窓１３ｄの内側には２枚の受け板１３ｅ，１３ｅが下方に押し曲げて形成されている。受け板１３ｅ，１３ｅは、平ボルト１２の首を受け止めてパネル取り付け金具１３をＡＬＣパネル１の短辺小口１ａに締め付け固定するためのものである。
水平受け面１３ｃをこのように形成することにより、前述の平ボルト１２が水平受け面より上にとび出すことはなく、上に載置するＡＬＣパネルの下端を切削加工する必要はない。
このような形状のパネル取り付け金具１３は、鋼板を切断、プレス加工することにより成形することができる。
【００１３】
図６〜図８は、前記ＡＬＣパネル１を建物躯体に取り付ける方法を説明する図である。
図６は、ＡＬＣパネル１を建物躯体３１に取り付ける際の外観斜視図である。図中３１はＨ形鋼などの建物躯体であり、３２はＡＬＣパネルを取り付けるために設けられたアングル鋼からなる定規アングルである。ＡＬＣパネル１はスペーサー３３を介して定規アングル３２に当接しており、平ボルト１２によって固定されたパネル取り付け金具１３を該定規アングル３２に溶接することにより、建物躯体３１に固定される。
【００１４】
図７は、ＡＬＣパネルを建物躯体に取り付けた状態を示す正面図であり、図８はその断面を示す図である。まず、平ボルト１２によってパネル取り付け金具１３がＡＬＣパネル１-１中に埋設されたパイプアンカー２１を介してＡＬＣパネル１-１に固定され、パネル取り付け金具１３の折り曲げ部１３ａ，１３ａを定規アングル３２に溶接することにより、ＡＬＣパネル１-１が建物躯体３１に固定される。
次いで、ＡＬＣパネル１-２がパネル取り付け金具１３の水平受け面１３ｃ上に吊り込まれ、図示は省略するがＡＬＣパネル１-１と同様の手順で建物躯体に固定される。
このようにして、必要なＡＬＣパネルを順次所定位置に吊り上げ、固定することによりＡＬＣパネルを取り付け施工する。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明のＡＬＣパネルの一実施形態を示す外観斜視透視図である。
【図２】本発明で使用するパイプアンカーの一例を示す外観斜視図である。
【図３】ＡＬＣパネルの吊り上げ方法を説明する図である。
【図４】ＡＬＣパネルの固定方法を説明する図である。
【図５】本発明で使用する平ボルトとパネル取り付け金具の一例を示す外観斜視図である。
【図６】図４に続くＡＬＣパネルの固定方法を説明する図である。
【図７】ＡＬＣパネルを建物躯体に固定した状態を示す正面図である。
【図８】ＡＬＣパネルを建物躯体に固定した状態を示す断面図である。
【図９】従来のＡＬＣパネルの吊り上げ方法の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【００１６】
１ ＡＬＣパネル
２ 水平Ｘ軸方向の鋼棒孔
３ 水平Ｙ軸方向のボルト孔
４ 垂直Ｚ軸方向の吊金具孔
５ 吊金具
５ｂ アイボルト
５ｃ シャックル
５ｄ クレーンフック
６ Ｏボルト
７ アンカー鋼棒
８ 取り付け金具
９ 取り付け金具挿通孔
１０ ナット
１２ 平ボルト
１３ パネル取り付け金具
１４ 補助把持具
１５ パイプアンカー固定用ボルト
２１ パイプアンカー
３１ 建物躯体
３２ 定規アングル
３３ スペーサー
【技術分野】
【０００１】
本発明は、軽量気泡コンクリートパネル（以下、ＡＬＣパネルという）を施工現場などにおいて所定位置に吊り上げた後、建物躯体に取り付ける方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、建築現場で軽量気泡コンクリートパネル（ＡＬＣパネル）を吊り上げて固定する方法としては、例えば図９に示すような方法がある。この方法は、ＡＬＣパネル１の上部に水平Ｘ軸方向の鋼棒孔２と、水平Ｙ軸方向のボルト孔３および垂直Ｚ軸方向の吊金具孔４がそれぞれ連通して穿設されており、ＡＬＣパネル１の吊り上げに際しては、鋼棒７を鋼棒孔２へ、下部に挿通孔を有する金具５ａを吊り金具５に螺合させ吊金具孔４に挿入すると共に、端部に挿通孔を有するＯボルト６をボルト孔３に挿入して、該アンカー鋼棒７を前記吊金具５とＯボルト６に挿通し、これによって吊金具５、Ｏボルト６およびアンカー鋼棒７を相互に係合する。その後、吊金具５の頂部にアイボルト５ｂを螺合し、かつＯボルト６を挿通孔９を有するパネル取付金具８に挿通させた後、このＯボルト６にナット１０を螺合し、Ｏボルト６およびアンカー鋼棒７をＡＬＣパネル１に仮止めする。この状態でアイボルト５ｂに吊金具に介してワイヤーを取り付けることにより、パネル挿通孔およびＯボルト６を挿入し、相互の金具と金具を連結せしめた後に吊金具を介してパネルを吊り上げる方法が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開平０６−１０５１２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
前記、特許文献１に示す吊り上げ方法においては、水平Ｘ軸方向からのアンカー鋼棒７の挿通孔、水平Ｘ方向からのＯボルト６の挿通孔および垂直Ｚ方向からの吊金具５の挿通孔の３つの挿通孔が必要である。そのため、それぞれ３つの孔を１箇所で合致させるためには、孔あけ精度と技術を要する。また、それぞれの挿通孔が合致する箇所で下部に挿通孔を有する金具５ａとＯボルト６とをアンカー鋼棒７に連結しなければならず、手間がかかる。また、下部に挿通孔を有する吊り上げ金具５ａと螺合された吊り上げ金具５は、ＡＬＣパネル１を吊り上げ躯体に取り付けられた後には不要となるが、取り外すことができないため金具コストがかさむといった問題もある。
そこで本発明の目的は、ＡＬＣパネルの吊り上げの際に吊り治具の脱着が容易で、かつ作業性が良く、金具コストを抑えたＡＬＣパネルの吊り上げ固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明の軽量気泡コンクリートパネルの固定方法は、軽量気泡コンクリートパネル内部に、パイプのいずれか一方の端部及びほぼ中央の側面にネジ穴を有するパイプアンカーを埋設して具備し、前記軽量気泡コンクリートパネルの一平面に開口したネジ穴にパイプアンカー固定用ボルトを螺合させて、該パイプアンカーを前記軽量気泡コンクリートパネルに固定し、次いで、一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴にアイボルトを螺合させ、該記アイボルトにはシャクルを介して吊り上げ用ワイヤーを掛けて前記軽量気泡コンクリートパネルを吊り上げて建物躯体の所定に位置に吊り込み、補助把持具を使用して軽量気泡コンクリートパネルを建物躯体に仮止めした後、シャクルとワイヤーロープ、及びアイボルトを取り外し、しかる後、前記軽量気泡コンクリートパネルの一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴に平ボルトを螺合させ、該平ボルトでパネル取り付け用金具を前記軽量気泡コンクリートパネルの短辺小口に締め付けて固定し、さらに該パネル取り付け用金具を建物躯体に固定した後、最後に前記補助把持具を取り外す固定方法を採用した。
このような方法を採用すれば、ＡＬＣパネルの吊り上げから固定までの作業が簡素化され、作業が安全に能率よく行える利点がある。
【０００５】
本発明で使用するパネル吊り上げ用アンカーは、パネル取り付け用のパイプアンカーを利用したアンカーであって、パイプのいずれか一方の端部にアイボルトと螺合するためのネジ穴が切削加工されており、パイプのほぼ中央の側面にはパイプアンカー固定用ボルトを螺合させるためのネジ穴が切削加工されているものを使用する。このパイプアンカーをＡＬＣパネル内に埋設し、ＡＬＣパネルの吊り上げ用及びＡＬＣパネルの固定用に使用する。
【０００６】
本発明で使用するＡＬＣパネルは、上記のパイプのいずれか一方の端部及びほぼ中央の側面にネジ穴を有するパイプアンカーをＡＬＣパネル内部に埋設し、該パイプアンカーの一方の端部のネジ穴が前記ＡＬＣパネルの一方の短辺小口に開口してなり、パイプアンカー中央部のネジ穴がＡＬＣパネルの一平面に開口してなるＡＬＣパネルである。
本発明で使用するＡＬＣパネルの吊り上げ方法は、前記ＡＬＣパネルの一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴にアイボルトを螺合させ、シャクルを介して吊り上げ用ワイヤーを掛けて吊り上げる吊り上げ方法である。
【発明の効果】
【０００７】
従来、パネルに埋設されるアンカーは、パネルの吊り上げ又はパネルの取り付けのいずれか一つの目的のための機能しか有していなかった。これに対して本発明の取り付け方法では、埋設されたアンカーを利用してパネルの吊り上げ及び取り付けを一つのアンカーで行うことを可能とする方法である。
本発明のパネル取り付け方法は、パネルにあらかじめ埋設されたアンカーを利用したものである。ＡＬＣパネルを垂直に吊り上げることが可能であり、建物躯体に仮固定した後、パネル頂部で吊り金具の取り外し及びパネル取り付け金具の設置が可能となるため、安全な吊り上げ及び取り付け作業をすることができる。また、パネル取り付け金具である平ボルトはパネル取り付け金具へ挿通後、パネル取り付け金具の水平受け面から突出することがないため、上段パネルの下部を加工する必要はない。さらにパネルへのアンカーはあらかじめ埋設されているため、アンカー挿入のためのパネル穿孔作業が不要であり、パネル取り付け金具の部品数の低減により施工効率の向上および金具費の削減効果が得られるという効果がある。
このような吊り上げ用パイプアンカーを利用したＡＬＣパネルの取り付け方法によれば、手間がからずに施工能率を大幅に向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図１は、本発明で使用するＡＬＣパネルの一実施形態を示す外観斜視透視図である。
本発明で使用するＡＬＣパネル１０は、ＡＬＣパネル１の内部にパイプアンカー２１を埋設して有し、該ＡＬＣパネル１の一方の短辺小口１ａに設けた穴１ｃに、前記パイプアンカー２１の一方の端部のネジ穴２１ａが開口している。
また、ＡＬＣパネル１の一平面１ｂに設けた穴１ｄには、前記パイプアンカー２１の中央部に設けたネジ穴２１ｂが開口している。
【０００９】
図２に、本発明で使用するＡＬＣパネルに埋設されているパイプアンカー２１の外観斜視図を示す。
このパイプアンカー２１は、パイプ２０の一方の端部に吊り上げ用のアイボルトを螺合させるためのネジ穴２１ａを有している。また、パイプ２０のほぼ中央の側面にはパイプアンカー固定用ボルトを螺合させるためのネジ穴２１ｂを有している。
【００１０】
図３は、本発明で使用するＡＬＣパネルの吊り上げ方法を説明する図である。
先ず、ＡＬＣパネル１の一平面１ｂに開口したネジ穴にパイプアンカー固定用ボルト１５を螺合させ、パイプアンカー２１をＡＬＣパネル１に締め付けて固定する。
次に、ＡＬＣパネル１の短辺小口１ａに設けられた穴１ｃに開口している、前記パイプアンカー２１のネジ穴にアイボルト５ｂを挿入して螺合させる。
次に、アイボルト５ｂにシャックル５ｃを介してクレーンフック５ｄを掛けてＡＬＣパネル１を吊り上げる。
このとき、ＡＬＣパネル１の内部に埋設されたパイプアンカー２１は、パイプアンカー固定用ボルト１５によってＡＬＣパネル１に締め付けて固定されているので、抜け落ちることはない。
【００１１】
図４〜図８は本発明のＡＬＣパネルの固定方法を説明する図である。
前述のようにして施工現場の所定位置までＡＬＣパネルを吊り込んだら、図４に示すようにシャコマン等の補助把持具１４を使用してＡＬＣパネル１を建物躯体３１に仮固定し、クレーンフック５ｄ、シャックル５ｃを順次外し、最後にアイボルト５ｂを抜き取る。
次いで、平ボルト１２を前記パイプアンカーのネジ穴２１ａに螺合させ、パネル取り付け金具１３をＡＬＣパネル１の短辺小口１ａに締め付け固定する。図中３１は建物躯体であり、３２はＡＬＣパネルを固定するための定規アングルで、３３はスペーサーである。
【００１２】
図５は、本発明で使用する平ボルト１２及びパネル取り付け金具１３の外観斜視図である。
平ボルト１２は、頭部１２ａの上下面が平面に加工されており、厚さは後述のパネル取り付け金具１３の窓１３ｄの深さよりも小さく作製してある。頭部の下面が平面になっているので、パネル取り付け金具１３の２枚の受け板１３ｅ，１３ｅ上に安定して接することができるので、パネル取り付け金具１３をＡＬＣパネル１にしっかりと固定することができる。
パネル取り付け金具１３は、平板のほぼ半分が分割されて互いに上下方向に折り曲げられ、両端部の２本の折り曲げ部１３ａ，１３ａと中央部の折り曲げ部１３ｂを形成している。さらに、水平受け面１３ｃの中央には、四角形の窓１３ｄが切り込まれており、窓１３ｄの内側には２枚の受け板１３ｅ，１３ｅが下方に押し曲げて形成されている。受け板１３ｅ，１３ｅは、平ボルト１２の首を受け止めてパネル取り付け金具１３をＡＬＣパネル１の短辺小口１ａに締め付け固定するためのものである。
水平受け面１３ｃをこのように形成することにより、前述の平ボルト１２が水平受け面より上にとび出すことはなく、上に載置するＡＬＣパネルの下端を切削加工する必要はない。
このような形状のパネル取り付け金具１３は、鋼板を切断、プレス加工することにより成形することができる。
【００１３】
図６〜図８は、前記ＡＬＣパネル１を建物躯体に取り付ける方法を説明する図である。
図６は、ＡＬＣパネル１を建物躯体３１に取り付ける際の外観斜視図である。図中３１はＨ形鋼などの建物躯体であり、３２はＡＬＣパネルを取り付けるために設けられたアングル鋼からなる定規アングルである。ＡＬＣパネル１はスペーサー３３を介して定規アングル３２に当接しており、平ボルト１２によって固定されたパネル取り付け金具１３を該定規アングル３２に溶接することにより、建物躯体３１に固定される。
【００１４】
図７は、ＡＬＣパネルを建物躯体に取り付けた状態を示す正面図であり、図８はその断面を示す図である。まず、平ボルト１２によってパネル取り付け金具１３がＡＬＣパネル１-１中に埋設されたパイプアンカー２１を介してＡＬＣパネル１-１に固定され、パネル取り付け金具１３の折り曲げ部１３ａ，１３ａを定規アングル３２に溶接することにより、ＡＬＣパネル１-１が建物躯体３１に固定される。
次いで、ＡＬＣパネル１-２がパネル取り付け金具１３の水平受け面１３ｃ上に吊り込まれ、図示は省略するがＡＬＣパネル１-１と同様の手順で建物躯体に固定される。
このようにして、必要なＡＬＣパネルを順次所定位置に吊り上げ、固定することによりＡＬＣパネルを取り付け施工する。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明のＡＬＣパネルの一実施形態を示す外観斜視透視図である。
【図２】本発明で使用するパイプアンカーの一例を示す外観斜視図である。
【図３】ＡＬＣパネルの吊り上げ方法を説明する図である。
【図４】ＡＬＣパネルの固定方法を説明する図である。
【図５】本発明で使用する平ボルトとパネル取り付け金具の一例を示す外観斜視図である。
【図６】図４に続くＡＬＣパネルの固定方法を説明する図である。
【図７】ＡＬＣパネルを建物躯体に固定した状態を示す正面図である。
【図８】ＡＬＣパネルを建物躯体に固定した状態を示す断面図である。
【図９】従来のＡＬＣパネルの吊り上げ方法の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【００１６】
１ ＡＬＣパネル
２ 水平Ｘ軸方向の鋼棒孔
３ 水平Ｙ軸方向のボルト孔
４ 垂直Ｚ軸方向の吊金具孔
５ 吊金具
５ｂ アイボルト
５ｃ シャックル
５ｄ クレーンフック
６ Ｏボルト
７ アンカー鋼棒
８ 取り付け金具
９ 取り付け金具挿通孔
１０ ナット
１２ 平ボルト
１３ パネル取り付け金具
１４ 補助把持具
１５ パイプアンカー固定用ボルト
２１ パイプアンカー
３１ 建物躯体
３２ 定規アングル
３３ スペーサー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
軽量気泡コンクリートパネル内部に、パイプのいずれか一方の端部及びほぼ中央の側面にネジ穴を有するパイプアンカーを埋設して具備し、前記軽量気泡コンクリートパネルの一平面に開口したネジ穴にパイプアンカー固定用ボルトを螺合させて、該パイプアンカーを前記軽量気泡コンクリートパネルに固定し、次いで、一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴にアイボルトを螺合させ、該記アイボルトにはシャクルを介して吊り上げ用ワイヤーを掛けて前記軽量気泡コンクリートパネルを吊り上げて建物躯体の所定に位置に吊り込み、補助把持具を使用して軽量気泡コンクリートパネルを建物躯体に仮止めした後、シャクルとワイヤーロープ、及びアイボルトを取り外し、しかる後、前記軽量気泡コンクリートパネルの一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴に平ボルトを螺合させ、該平ボルトでパネル取り付け用金具を前記軽量気泡コンクリートパネルの短辺小口に締め付けて固定し、さらに該パネル取り付け用金具を建物躯体に固定した後、最後に前記補助把持具を取り外すことを特徴とする軽量気泡コンクリートパネルの固定方法。
【請求項１】
軽量気泡コンクリートパネル内部に、パイプのいずれか一方の端部及びほぼ中央の側面にネジ穴を有するパイプアンカーを埋設して具備し、前記軽量気泡コンクリートパネルの一平面に開口したネジ穴にパイプアンカー固定用ボルトを螺合させて、該パイプアンカーを前記軽量気泡コンクリートパネルに固定し、次いで、一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴にアイボルトを螺合させ、該記アイボルトにはシャクルを介して吊り上げ用ワイヤーを掛けて前記軽量気泡コンクリートパネルを吊り上げて建物躯体の所定に位置に吊り込み、補助把持具を使用して軽量気泡コンクリートパネルを建物躯体に仮止めした後、シャクルとワイヤーロープ、及びアイボルトを取り外し、しかる後、前記軽量気泡コンクリートパネルの一方の短辺小口に開口したパイプアンカーのネジ穴に平ボルトを螺合させ、該平ボルトでパネル取り付け用金具を前記軽量気泡コンクリートパネルの短辺小口に締め付けて固定し、さらに該パネル取り付け用金具を建物躯体に固定した後、最後に前記補助把持具を取り外すことを特徴とする軽量気泡コンクリートパネルの固定方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２００６−３２２２０８（Ｐ２００６−３２２２０８Ａ）
【公開日】平成１８年１１月３０日（２００６．１１．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１４６０５２（Ｐ２００５−１４６０５２）
【出願日】平成１７年５月１８日（２００５．５．１８）
【出願人】（３９９１１７７３０）住友金属鉱山シポレックス株式会社 (195)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１１月３０日（２００６．１１．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年５月１８日（２００５．５．１８）
【出願人】（３９９１１７７３０）住友金属鉱山シポレックス株式会社 (195)
【Ｆターム（参考）】
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