説明

辞書機能を備えた電子装置およびプログラム

【課題】簡単なキーを備えるだけで、直感的に所望の見出し語を検索することが可能になる辞書機能を備えた電子装置を提供する。
【解決手段】見出し語一覧モードにて、辞書から読み出された各見出し語がその言語に応じた所定の文字順(abc順又は50音順)にソートされ見出し語一覧表示18aとして表示されると共に、上下カーソルキーにより上段又は下段にある見出し語が選択見出し語として設定され、左右カーソルキーにより当該選択見出し語のn番目の文字にカーソルCuが表示された状態で、上下ページ送りキーが操作されると、カーソルCuが位置するn番目の文字においてその文字種が異なる文字になる上段又は下段方向にある最初の見出し語が新たな選択見出し語として設定され、カーソルCuが付け替えられて表示される。訳/決定キーが操作されると、選択見出し語の説明情報が辞書から読み出され表示部18に展開表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の辞書コンテンツを搭載し辞書機能を備えた電子装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子辞書装置は、平仮名やアルファベットの文字入力キーを配置したキーボードを備え、所望の見出し語を検索する際には、ユーザは検索対象となる見出し語の文字列の読みを文字入力キーにより入力する。これにより入力された検索対象の文字列と一致する見出し語が検索されて表示され、決定キーを操作することで当該検索された見出し語の説明情報が読み出されて表示されるものである。
【0003】
このように従来の電子辞書装置では、(1)検索対象となる見出し語の文字列の読みに対応させた文字入力キーの操作が面倒である、(2)文字入力キーを配置したキーボードを使いこなせないユーザもいる、(3)キーボードを備える必要から装置本体の大型化が免れない、といった問題があった。
【0004】
そこで、50音順やアルファベット順にした見出し語のインデックスから所望の範囲をペンタッチすることにより、そのタッチ位置に対応した見出し語の一覧を表示させるようにした、電子辞書が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平07−230463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記見出し語のインデックスをペンタッチして対応する見出し語一覧を表示させるようにした従来の電子辞書では、キーボードを必要とせず、面倒なキー操作も必要ないものの、ペンタッチを認識するデバイスを備える必要がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、簡単なキーを備えるだけで、直感的に所望の見出し語を検索することが可能になる辞書機能を備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の辞書機能を備えた電子装置は、複数の見出し語と、各見出し語に対応する辞書情報とを対応付けて記憶する辞書情報記憶手段と、この辞書情報記憶手段により記憶された見出し語を、所定の文字順にして一覧表示させる見出し語一覧表示手段と、この見出し語一覧表示手段により表示された任意の見出し語を第1の方向指定キーのユーザ操作に応じて選択見出し語として設定する選択見出し語設定手段と、この選択見出し語設定手段により設定された選択見出し語の任意の文字を第2の方向指定キーのユーザ操作に応じて識別表示する文字識別表示手段と、この文字識別表示手段により識別表示された文字の前記選択見出し語の中での位置を記憶する識別位置記憶手段と、前記選択見出し語の任意の文字が識別表示されている状態で、第3の方向指定キーのユーザ操作に応じて、当該第3の方向指定キーにより指示された方向で前記識別位置記憶手段により記憶された位置の文字が当該識別表示されている文字と異なる種類の文字となる最初の見出し語を、新たな選択見出し語として設定する選択見出し語再設定手段と、ユーザ操作に応じて、前記選択見出し語に対応する辞書情報を前記辞書情報記憶手段により記憶された辞書情報から読み出して表示する辞書情報表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の辞書機能を備えた電子装置は、前記請求項1に記載の辞書機能を備えた電子装置において、前記選択見出し語の任意の文字が識別表示されている状態で、前記識別位置記憶手段により記憶された位置より前の文字が前記選択見出し語と同じで、かつ、前記識別位置記憶手段により記憶された位置の文字がユーザ操作に応じて指定された文字となる最上段の見出し語を、新たな選択見出し語として設定する文字指定選択見出し語再設定手段をさらに備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の辞書機能を備えた電子装置は、前記請求項1または請求項2に記載の辞書機能を備えた電子装置において、前記識別位置記憶手段により記憶される前記選択見出し語の中での識別表示された文字の位置が、当該選択見出し語の先頭の文字の位置にある状態で、さらに先頭の方向を指定する前記第2の方向指定キーのユーザ操作があった場合に、前記見出し語一覧表示手段により先頭の文字から順に所定の文字順にして一覧表示されている見出し語を、末尾の文字から順に所定の文字順にして一覧表示させる逆引き見出し語一覧表示手段を備え、前記識別位置記憶手段は、前記逆引き見出し語一覧表示手段により前記見出し語が末尾の文字から順に所定の文字順にして一覧表示された場合に、前記文字識別表示手段により識別表示された文字の前記選択見出し語の中での位置を、その末尾の文字を先頭の文字と読み替えた位置として記憶する、ことを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の辞書機能を備えた電子装置は、前記請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の辞書機能を備えた電子装置において、前記所定の文字順は、アルファベット順または50音順であることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載のプログラムは、複数の見出し語と、各見出し語に対応する辞書情報とを対応付けて記憶する辞書情報記憶手段を備えた電子装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記辞書情報記憶手段により記憶された見出し語を、所定の文字順にして表示部に一覧表示させる見出し語一覧表示制御手段、この見出し語一覧表示制御手段により表示された任意の見出し語を第1の方向指定キーのユーザ操作に応じて選択見出し語として設定する選択見出し語設定手段、この選択見出し語設定手段により設定された選択見出し語の任意の文字を第2の方向指定キーのユーザ操作に応じて識別表示させる文字識別表示制御手段、この文字識別表示制御手段により識別表示された文字の前記選択見出し語の中での位置をメモリに記憶する識別位置記憶手段、前記選択見出し語の任意の文字が識別表示されている状態で、第3の方向指定キーのユーザ操作に応じて、当該第3の方向指定キーにより指示された方向で前記識別位置記憶手段により記憶された位置の文字が当該識別表示されている文字と異なる種類の文字となる最初の見出し語を、新たな選択見出し語として設定する選択見出し語再設定手段、ユーザ操作に応じて、前記選択見出し語に対応する辞書情報を前記辞書情報記憶手段により記憶された辞書情報から読み出して表示部に表示させる辞書情報表示制御手段、として機能させることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載のプログラムは、前記請求項5に記載のプログラムにおいて、前記コンピュータを、さらに、前記選択見出し語の任意の文字が識別表示されている状態で、前記識別位置記憶手段により記憶された位置より前の文字が前記選択見出し語と同じで、かつ、前記識別位置記憶手段により記憶された位置の文字がユーザ操作に応じて指定された文字となる最上段の見出し語を、新たな選択見出し語として設定する文字指定選択見出し語再設定手段として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単なキーを備えるだけで、直感的に所望の見出し語を検索することが可能になる辞書機能を備えた電子装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の辞書機能を備えた電子装置の実施形態に係る電子辞書装置10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0016】
この辞書機能を備えた電子装置は、以下に説明する電子辞書専用の携帯機器(電子辞書装置10)として構成されるか、辞書機能を備えたPDA(personal digital assistants)、PC(personal computer)、携帯電話、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成される。
【0017】
この電子辞書装置10は、各種の記憶媒体に記録されたプログラム、又は、伝送されたプログラムを読み込んで、その読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって構成され、その電子回路には、CPU(central processing unit)11が備えられる。
【0018】
CPU11は、主記憶装置(フラッシュメモリ)12内に予め記憶された装置制御プログラム、あるいはROMカードなどの外部記憶媒体13から記憶媒体読み書き部14を介して前記主記憶装置12に読み込まれた装置制御プログラム、あるいはインターネットN上のWebサーバ(この場合はプログラムサーバ)20から通信制御部15を介して前記主記憶装置12に読み込まれた装置制御プログラムに応じて、RAM16を作業用メモリとして回路各部の動作を制御する。
【0019】
前記主記憶装置12に記憶された装置制御プログラムは、入力部17からのユーザ操作に応じた入力信号、あるいは通信制御部15を介して接続されるインターネットN上の各Webサーバ20…との通信信号、あるいは記憶媒体読み書き部14を介して外部接続されるEEPROM,RAM,ROMなどのメモリ・カード(記憶媒体)13との接続通信信号に応じて起動される。
【0020】
前記CPU11には、前記主記憶装置12、記憶媒体読み書き部14、通信制御部15、RAM16、入力部17が接続される他に、表示部18などが接続される。
【0021】
主記憶装置12に記憶される装置制御プログラムとしては、当該電子辞書装置10の全体の動作を司るシステムプログラムや通信制御部15を介してインターネットN上の各Webサーバ20…や図示しないユーザPC(Personal Computer)などとデータ通信するための通信プログラムが記憶される他に、検索文字列のキー入力に応じて見出し語を検索するか(見出し語検索モード)又は見出し語一覧からカーソルキー入力に応じて見出し語を検索するか(見出し語一覧モード)を選択して見出し語検索する処理、選択見出し語に対応した訳語・意味内容・例文(用例)などの各種説明情報の読み出し表示処理など、同主記憶装置12内に記憶された辞書データベース12bに基づく検索処理全般を制御するための各種処理プログラム12aが記憶される。
【0022】
前記辞書データベース12bが有する複数種類の辞書コンテンツ12b1,12b2,…としては、「国語辞典」「英和辞典」「和英辞典」「漢字辞典」「四字熟語辞典」「百科事典」など、種類の異なる辞書データが予め、あるいはダウンロードされて複数辞書記憶される。
【0023】
各辞書コンテンツ12b1,12b2,…は、それぞれの言語に応じた所定の順番で配列された見出し語W、各見出し語Wに対応付けられた当該見出し語の訳語・意味内容・例文(用例)などの説明情報Dを有する。
【0024】
また、前記辞書データベース12bが有する見出し語一覧リスト(先頭文字からソート)12Lhは、各辞書コンテンツ12b1,12b2,…毎にその全ての見出し語W…を先頭の文字から所定の文字順(50音順,アルファベット順など)でソートしたものであり、また見出し語一覧リスト(末尾文字からソート)12Leは、各辞書コンテンツ12b1,12b2,…毎にその全ての見出し語W…を末尾の文字から所定の文字順でソートしたものである。
【0025】
RAM16には、表示部18の表示画面に対応した表示データの記憶領域を有し、その表示画面に表示すべきデータがビットマップのパターンデータとして展開記憶される表示メモリ、前記各種処理プログラム12aに従って入力部17によりユーザ入力された文字・数字・記号などの入力データが記憶保持される入力文字メモリ、辞書検索処理された見出し語や説明情報が記憶される検索結果メモリ、前記各種処理プログラム12aに従いCPU11に入出力される種々のデータが必要に応じて記憶されるワークメモリの他、前記見出し語検索の処理に伴い現在選択中の見出し語が記憶される選択見出し語情報メモリ16a、当該選択見出し語情報メモリ16aに記憶された現在選択中の見出し語においてカーソルCu(図5参照)が先頭の文字から何番目nの文字に位置するかが記憶されるカーソル位置情報メモリ16bなどが備えられる。
【0026】
入力部17には、辞書キー17a、カーソルキー17b、ページ送りキー17c、訳/決定キー17d、文字入力キー17e、タッチパネル17fなどが備えられる。
【0027】
表示部18には、前記辞書検索処理の過程において、見出し語一覧表示18a、当該見出し語一覧表示18a内での選択中の見出し語Wとその辞書情報Dをプレビューにして表示する辞書情報プレビュー表示18b、そして選択決定された見出し語の説明情報を全画面に展開して表示する見出し語展開表示18cが行われる。
【0028】
次に、前記構成の電子辞書装置10によるカーソルキー操作を主体とした辞書検索機能について説明する。
【0029】
図2は、前記電子辞書装置10の辞書検索処理(その1)を示すフローチャートである。
【0030】
図3は、前記電子辞書装置10の辞書検索処理(その2)を示すフローチャートである。
【0031】
図4は、前記電子辞書装置10の辞書検索処理(その3)を示すフローチャートである。
【0032】
図5は、前記電子辞書装置10の辞書検索処理に伴うユーザ操作に対応した見出し語検索の表示状態を示す図である。
【0033】
入力部17のメニューキーが操作されると、辞書データベース12bに記憶されている各辞書コンテンツ12b1,12b2,…の中から検索対象の辞書を選択するための辞書選択画面が表示部18に表示される(ステップS1)。
【0034】
この辞書選択画面において、検索対象の辞書(例えば「英和辞典」)がカーソルキー17bの操作により選択される(または辞書キー17aの操作により直接に検索対象の辞書が選択される)と(ステップS2(YES))、図5(A)に示すように、検索文字列のキー入力に応じて所望の見出し語を検索する「見出し語検索モード」か、又は見出し語一覧からカーソルキー17bの入力に応じて所望の見出し語を検索する「見出し語一覧モード」かの何れかの検索方法を選択するための見出し語検索方法選択画面Gが表示部18に表示される(ステップS3)。
【0035】
この見出し語検索方法選択画面Gにおいて、ユーザ操作に応じて「見出し語一覧モード」が選択されたと判断されると(ステップS4(YES))、先ず、図5(B)に示すように、検索対象として選択した辞書の言語に応じた所定の文字順(英語系辞書の場合はアルファベット順、日本語系辞書の場合は五十音順など)でその先頭文字から順にソートされた見出し語が、前記辞書データベース12内の見出し語一覧リスト(先頭文字からソート)12Lhから読み出され、先頭文字位置(桁)を合わせた見出し語一覧表示18aとして表示部18に表示される。この際、見出し語一覧表示18aの初期状態では、先頭の見出し語「abate」が選択見出し語とされその先頭文字「a」にカーソルCuが表示される。この選択見出し語の先頭文字を1番目としてカーソルCuが何番目nの文字に位置するかは、RAM16内のカーソル位置情報メモリ16bにて記憶管理される(ステップS5)。
【0036】
なお、前記図5(B)で示したように、表示部18では、見出し語一覧表示18aと共に、カーソルCuが位置する選択見出し語「abate」とその説明情報が辞書情報プレビュー表示18bとして表示される。
【0037】
そして、前記図5(B)で示した見出し語一覧表示18aにおいて、右カーソルキー[→](17b)が操作されると(ステップS6(YES))、現在カーソルCuが位置する文字「a」の右隣に文字が有るか否か判断される(ステップS7)。
【0038】
ここで、現在カーソルCuが位置する文字「a」の右隣に文字「b」が有ると判断されると(ステップS7(YES))、図5(C)に示すように、当該右隣の文字「b」にカーソルCuが移動されて表示される(ステップS8)。
【0039】
一方、前記図5(B)における見出し語一覧表示18aにおいて、例えばその選択見出し語「abate」の末尾文字「e」にカーソルCuが位置している状態(n=5)で、右カーソルキー[→](17b)が操作されると(ステップS6(YES))、当該カーソルCuが位置する文字「e」の右隣に文字は無いと判断される(ステップS7(NO))。この場合、選択見出し語「abate」より下に存在する各見出し語のうち、n+1(=5+1)番目の文字が存在する最初の見出し語「ability」が新たな選択見出し語に設定され、当該選択見出し語「ability」のn+1(=6)番目の文字「t」にカーソルCuが表示される(ステップS9)。
【0040】
また、前記図5(C)で示したように、選択見出し語「abate」の2番目の文字「b」にカーソルCuが移動された見出し語一覧表示18aにおいて、下ページ送りキー[↓](17c)が操作されると(ステップS17(YES))、当該選択見出し語「abate」に対してページ送りキー17cの指示した下方向に有る見出し語のうち、図5(D)に示すように、n番目(2番目)の文字が前記カーソルCuが位置する文字「b」と異なる種類の文字(この場合は「c」)になる最初の見出し語「accept」が新たな選択見出し語に設定され、この新たな選択見出し語「accept」のn番目の文字「c」にカーソルCuが表示される(ステップS18)。
【0041】
なお、上ページ送りキー[↑](17c)が操作された場合にも(ステップS17(YES))、前記同様に、現在の選択見出し語に対してページ送りキー17cの指示した上方向に有る見出し語のうち、カーソルCuが位置するn番目の文字が異なる種類の文字になる最初の見出し語が新たな選択見出し語に設定され、この新たな選択見出し語のn番目の文字にカーソルCuが表示される(ステップS18)。
【0042】
また、前記図5(C)で示したように、選択見出し語「abate」の2番目の文字「b」にカーソルCuが移動された見出し語一覧表示18aにおいて、下カーソルキー[↓](17b)が操作されると(ステップS15(YES))、図5(F)に示すように、当該選択見出し語「abate」に対してカーソルキー17bの指示した下方向に有る次の見出し語「ability」が新たな選択見出し語に設定され、この新たな選択見出し語のn番目(2番目)の文字「b」にカーソルCuが表示される(ステップS16)。
【0043】
その逆に、前記図5(F)で示したように、選択見出し語「ability」の2番目の文字「b」にカーソルCuが移動された見出し語一覧表示18aにおいて、上カーソルキー[↑](17b)が操作されると(ステップS15(YES))、図5(C)に示すように、当該選択見出し語「ability」に対してカーソルキー17bの指示した上方向に有る次の見出し語「abate」が新たな選択見出し語に設定され、この新たな選択見出し語のn番目(2番目)の文字「b」にカーソルCuが表示される(ステップS16)。
【0044】
また、前記図5(C)で示したように、選択見出し語「abate」の2番目の文字「b」にカーソルCuが移動された見出し語一覧表示18aにおいて、左カーソルキー[←](17b)が操作されると(ステップS10(YES))、現在カーソルCuが位置する文字「b」の左隣に文字が有るか否か判断される(ステップS11)。
【0045】
ここで、現在カーソルCuが位置する文字「b」の左隣に文字「a」が有ると判断されると(ステップS11(YES))、図5(B)に示すように、当該左隣の文字「a」にカーソルCuが移動されて表示される(ステップS12)。
【0046】
また、前記図5(B)で示したように、選択見出し語「abate」の先頭の文字「a」にカーソルCuが位置する見出し語一覧表示18aの状態で、左カーソルキー[←](17b)が操作されると(ステップS10(YES))、当該カーソルCuが位置する文字「a」の左隣に文字は無いと判断される(ステップS11(NO))。この場合には、図5(E)に示すように、末尾文字から順に所定の文字順でソートされた見出し語が、前記辞書データベース12内の見出し語一覧リスト(末尾文字からソート)12Leから読み出され、末尾文字位置(桁)を合わせた逆引き状態の見出し語一覧表示18a「BAA」「CAA」「NCAA」…として表示部18に更新表示される。この際、カーソル位置情報メモリ16bにて記憶管理されるカーソルCuの位置nは、選択見出し語の末尾文字を1番目として左右読み替えられて記憶管理されるので、同選択見出し語「BAA」の末尾文字「A」を1番目としてカーソルCuが表示される(ステップS13)。
【0047】
なお、前記図5(E)で示したように、逆引き状態として左右が読み替えられている選択見出し語「BAA」の末尾文字「A」にカーソルCuが位置している見出し語一覧表示18aの状態で、右カーソルキー[→](17b)が操作されると、左右の読み替えによりステップS10では(YES)、ステップS11では(NO)、つまり当該カーソルCuが位置する文字「A」の右隣に文字は無いと判断される。するとこの左右が読み替えられている状態では、再び図5(B)で示したように、先頭文字から順に所定の文字順でソートされた見出し語が、前記辞書データベース12内の見出し語一覧リスト(先頭文字からソート)12Lhから読み出され、先頭文字位置(桁)を合わせた通常の見出し語一覧表示18a「abate」「ability」「abolish」…として表示部18に更新表示される(ステップS13)。この際、カーソル位置情報メモリ16bにて記憶管理されるカーソルCuの位置nも、前記逆引きによる左右の読み替えが解除されることで選択見出し語の先頭文字を1番目として記憶管理されるので、同選択見出し語「abate」の先頭文字「a」を1番目としてカーソルCuが表示される。
【0048】
また、前記図5(C)〜図5(D)で示したように、ページ送りキー17cの操作に応じて、カーソルCuが位置する文字が異なる種類の文字となる下方向または上方向の最初の見出し語を新たな選択見出し語として飛ばし検索する状態にあっても(ステップS17→S18)、当該カーソルCuが位置する文字の種類を、例えば「c」〜「x」まで大幅に飛ばす必要がある場合には、現在の選択見出し語で所望の見出し語とその文字種が異なっているn番目の文字にカーソルCuが表示されている状態で、入力部17の文字キー17eを操作するか又はタッチパネル17fを手書き操作して、所望の文字種「x」を直接に入力する(ステップS19(YES))。
【0049】
すると、図5(G)に示すように、n−1番目(1番目)までの文字は現在の選択見出し語と同じで、n番目(2番目)の文字が前記直接入力された文字「x」となる最上段の見出し語「ax,axe」が新たな選択見出し語に設定され、当該n番目の文字「x」にカーソルCuが表示される(ステップS20)。
【0050】
このように、文字キー17aやタッチパネル17fを用いて所望の文字種を直接入力することで、カーソルキー17b及びページ送りキー17cを原則使用した見出し語検索処理をよりスピーディに行うことができる。そればかりか、タッチパネル17fを用いることで、文字キー17eであると複数回のキー入力が必要になる漢字やハングル文字の入力を容易に行うことができる。
【0051】
この後、前記ステップS1〜S20における見出し語検索処理に従い所望の見出し語が検索されて選択見出し語として設定された状態で、訳/決定キー17dが操作されると(ステップS21(YES))、当該選択見出し語の説明情報が検索対象の辞書データ12bnから読み出され、見出し語展開表示18cとして表示部18の全画面に展開されて表示される(ステップS22)。
【0052】
したがって、前記構成の電子辞書装置10によるカーソルキー操作を主体とした辞書検索機能によれば、見出し語一覧モードにより、検索対象の辞書データ12bnから読み出された各見出し語がその言語に応じた所定の文字順(アルファベット順又は50音順)にソートされ見出し語一覧表示18aとして表示されると共に、上下カーソルキー17bにより上段または下段にある見出し語が選択見出し語として設定され、左右カーソルキー17bにより当該選択見出し語のn番目の文字にカーソルCuが表示された状態で、上下ページ送りキー17cが操作されると、カーソルCuが位置するn番目の文字においてその文字種が異なる文字になる上段または下段方向にある最初の見出し語が新たな選択見出し語として設定されカーソルCuが付け替えられて表示される。そして、所望の見出し語にカーソルCuが表示された選択見出し語の設定状態で、訳/決定キー17dが操作されると、当該選択見出し語の説明情報が辞書データ12bnから読み出され見出し語展開表示18cとして表示部18に表示される。このため、カーソルキー17b及びページ送りキー17cを組合せ操作するだけで、非常に簡単に所望の見出し語を選択してその辞書情報を検索表示させることができる。
【0053】
また、前記構成の電子辞書装置10によるカーソルキー操作を主体とした辞書検索機能によれば、見出し語一覧モードによる辞書検索処理の状態で、文字キー17eによる文字入力またはタッチパネル17fによる手書き文字入力が為されると、現在の選択見出し語でカーソルCuが位置する文字が当該入力された文字に直接置き換えられた見出し語が新たな選択見出し語として設定されカーソルCuが付け替えられて表示される。このため、現在表示部18に表示されている見出し語一覧表示18aにあって、そのカーソルCuにより識別表示された選択見出し語に対し、所望の見出し語が所定の文字順でかなり離れたところにある場合でも、当該所望の見出し語の近くまで一気に選択見出し語を飛ばすことができる。
【0054】
さらに、前記選択見出し語におけるカーソルCuの表示位置がその最も左側の先頭文字にある状態で、左カーソルキー17bが操作された場合には、末尾文字から順に所定の文字順でソートされた見出し語が、逆引き状態の見出し語一覧表示18aとして表示部18に更新表示され、前記通常状態での見出し語一覧18aに対し左右カーソルキー17bを読み替えた同様の見出し語検索が為されるので、カーソルキー17b及びページ送りキー17cを組合せ操作するだけでも、所望の見出し語を多用な形態で素早く選択してその辞書情報を検索表示させることができる。
【0055】
なお、前記実施形態において記載した電子辞書装置10による各処理の手法、すなわち、図2〜図4のフローチャートに示す辞書検索処理(その1)〜(その3)などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリ・カード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記憶媒体13に格納して配布することができる。そして、辞書データベース12bを有する電子装置(10)のコンピュータは、この外部記憶媒体13に記憶されたプログラムを記憶装置12に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記実施形態において説明したカーソルキー操作を主体とした辞書検索機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0056】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワークN上を伝送させることができ、このプログラムデータを、ネットワークNに接続された辞書データベース12bを有する電子装置(10)のコンピュータに通信制御部15によって取り込むことで、前述したカーソルキー操作を主体とした辞書検索機能を実現することもできる。
【0057】
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の辞書機能を備えた電子装置の実施形態に係る電子辞書装置10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図2】前記電子辞書装置10の辞書検索処理(その1)を示すフローチャート。
【図3】前記電子辞書装置10の辞書検索処理(その2)を示すフローチャート。
【図4】前記電子辞書装置10の辞書検索処理(その3)を示すフローチャート。
【図5】前記電子辞書装置10の辞書検索処理に伴うユーザ操作に対応した見出し語検索の表示状態を示す図。
【符号の説明】
【0059】
10 …電子辞書装置
11 …CPU
12 …主記憶装置
12a…各種処理プログラム
12b…辞書データベース
12bn…辞書コンテンツ
12Lh…見出し語一覧リスト(先頭文字からソート)
12Le…見出し語一覧リスト(末尾文字からソート)
13 …外部記憶媒体
14 …記憶媒体読み書き部
15 …通信制御部
16 …RAM
16a…選択見出し語情報メモリ
16b…カーソル位置情報メモリ
17 …入力部
17a…辞書キー
17b…カーソルキー
17c…ページ送りキー
17d…訳/決定キー
17e…文字キー
17f…タッチパネル
18 …表示部
18a…見出し語一覧表示
18b…辞書情報プレビュー表示
18c…見出し語展開表示
20 …Webサーバ
N …通信ネットワーク(インターネット)
G …見出し語検索方法選択画面
Cu …カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の見出し語と、各見出し語に対応する辞書情報とを対応付けて記憶する辞書情報記憶手段と、
この辞書情報記憶手段により記憶された見出し語を、所定の文字順にして一覧表示させる見出し語一覧表示手段と、
この見出し語一覧表示手段により表示された任意の見出し語を第1の方向指定キーのユーザ操作に応じて選択見出し語として設定する選択見出し語設定手段と、
この選択見出し語設定手段により設定された選択見出し語の任意の文字を第2の方向指定キーのユーザ操作に応じて識別表示する文字識別表示手段と、
この文字識別表示手段により識別表示された文字の前記選択見出し語の中での位置を記憶する識別位置記憶手段と、
前記選択見出し語の任意の文字が識別表示されている状態で、第3の方向指定キーのユーザ操作に応じて、当該第3の方向指定キーにより指示された方向で前記識別位置記憶手段により記憶された位置の文字が当該識別表示されている文字と異なる種類の文字となる最初の見出し語を、新たな選択見出し語として設定する選択見出し語再設定手段と、
ユーザ操作に応じて、前記選択見出し語に対応する辞書情報を前記辞書情報記憶手段により記憶された辞書情報から読み出して表示する辞書情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする辞書機能を備えた電子装置。
【請求項2】
前記選択見出し語の任意の文字が識別表示されている状態で、前記識別位置記憶手段により記憶された位置より前の文字が前記選択見出し語と同じで、かつ、前記識別位置記憶手段により記憶された位置の文字がユーザ操作に応じて指定された文字となる最上段の見出し語を、新たな選択見出し語として設定する文字指定選択見出し語再設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の辞書機能を備えた電子装置。
【請求項3】
前記識別位置記憶手段により記憶される前記選択見出し語の中での識別表示された文字の位置が、当該選択見出し語の先頭の文字の位置にある状態で、さらに先頭の方向を指定する前記第2の方向指定キーのユーザ操作があった場合に、前記見出し語一覧表示手段により先頭の文字から順に所定の文字順にして一覧表示されている見出し語を、末尾の文字から順に所定の文字順にして一覧表示させる逆引き見出し語一覧表示手段を備え、
前記識別位置記憶手段は、前記逆引き見出し語一覧表示手段により前記見出し語が末尾の文字から順に所定の文字順にして一覧表示された場合に、前記文字識別表示手段により識別表示された文字の前記選択見出し語の中での位置を、その末尾の文字を先頭の文字と読み替えた位置として記憶する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の辞書機能を備えた電子装置。
【請求項4】
前記所定の文字順は、アルファベット順または50音順であることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の辞書機能を備えた電子装置。
【請求項5】
複数の見出し語と、各見出し語に対応する辞書情報とを対応付けて記憶する辞書情報記憶手段を備えた電子装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記辞書情報記憶手段により記憶された見出し語を、所定の文字順にして表示部に一覧表示させる見出し語一覧表示制御手段、
この見出し語一覧表示制御手段により表示された任意の見出し語を第1の方向指定キーのユーザ操作に応じて選択見出し語として設定する選択見出し語設定手段、
この選択見出し語設定手段により設定された選択見出し語の任意の文字を第2の方向指定キーのユーザ操作に応じて識別表示させる文字識別表示制御手段、
この文字識別表示制御手段により識別表示された文字の前記選択見出し語の中での位置をメモリに記憶する識別位置記憶手段、
前記選択見出し語の任意の文字が識別表示されている状態で、第3の方向指定キーのユーザ操作に応じて、当該第3の方向指定キーにより指示された方向で前記識別位置記憶手段により記憶された位置の文字が当該識別表示されている文字と異なる種類の文字となる最初の見出し語を、新たな選択見出し語として設定する選択見出し語再設定手段、
ユーザ操作に応じて、前記選択見出し語に対応する辞書情報を前記辞書情報記憶手段により記憶された辞書情報から読み出して表示部に表示させる辞書情報表示制御手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み込み可能なプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、さらに、
前記選択見出し語の任意の文字が識別表示されている状態で、前記識別位置記憶手段により記憶された位置より前の文字が前記選択見出し語と同じで、かつ、前記識別位置記憶手段により記憶された位置の文字がユーザ操作に応じて指定された文字となる最上段の見出し語を、新たな選択見出し語として設定する文字指定選択見出し語再設定手段として機能させるようにした請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−79735(P2010−79735A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249155(P2008−249155)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】