説明

送り駆動装置

【課題】ねじ機構の危険速度限界を向上することができ、高速駆動や高加減速化に対応することができる送り駆動装置を提供する。
【解決手段】送りねじ軸3の軸方向の両端を回転自在に支持する基台1上に固定した一対の軸受2a,2bと、送りねじ軸を回転駆動させる第1回転駆動部10と、送りねじ軸にねじ螺合する主ナット12と、一軸テーブル6に固定されて主ナットを回転自在に支持しているナットハウジング13と、主ナットを回転駆動させる第2回転駆動部15と、主ナットと一対の軸受との間の距離の半分の位置で送りねじ軸を支持し、送りねじ軸の軸線に沿って移動可能に前記基台上に設けた中間サポート部16,17と、第1及び第2回転駆動部を同時に駆動し、送りねじ軸及び主ナットを互いに逆方向に同一回転数で回転させる駆動制御部23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ機構を用いた送り駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、ねじ機構を用いた送り駆動装置の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線矢視図である。
この装置は、基台1の長手方向の両端に配置した軸受2a,2bに、ねじ軸3の長手方向両端が回転自在に支持され、ねじ軸3の外周にナット4が螺合している。基台1上にはテーブルガイド5a,5bが長手方向に延在して設けられおり、これらテーブルガイド5a,5bに、テーブル6に固定したテーブル取付部材6a,6bが係合している。テーブル6にはナットハウジング7が固定されており、このナットハウジング7に前述したナット4が回転不能に保持されている。そして、基台1上に固定したモータ8の回転駆動力がねじ軸3に伝達されると、ねじ軸3の回転力がナット4を介してテーブル6に直線駆動力として伝達され、テーブル6は、テーブルガイド5a,5bに支持されながら基台1の長手方向に移動するようになっている。
【0003】
この図3の送り駆動装置は、高速で回転したねじ軸3の回転数がラジアル方向固有振動数(以下、固有振動数と称する)に近づくと、ねじ軸3が、回転振れ回り力により励振され、共振を起こして大きな振幅で激しく振動する。この共振を起こすねじ軸3の回転速度を「送りねじの危険速度」と呼ぶ。
ところで、図3とは異なるねじ機構を用いた送り駆動装置として、図示しないが、ねじ軸の両端を回転不能に基台に固定し、このねじ軸の外周に螺合したナットをテーブルに回転自在に連結し、ナットにモータの回転駆動力を伝達することで、ナットの回転がテーブルを長手方向に移動させる送り駆動装置も知られているが、この装置も、ナットの高速回転による振れ回りがねじ軸を励振し、ねじ軸が共振を起こして激しく振動する。この現象も、前述の現象と合わせて「送りねじの危険速度」と呼ばれている。
【0004】
ねじ軸の固有振動数Nc1は、ねじ軸の材料が鋼材の場合には以下の(1)式で求められる。
Nc1=f・(dr/L1)・10 ……(1)
なお、dr:ねじ軸谷径≒ねじ軸の軸径、L1:取付け間距離(軸受とナットまでの距離)、f:ねじ軸の支持条件により決まる定数である。
上記(1)式から、ねじ軸の軸径drが大きくなれば固有振動数Nc1を大きくすることができるが、その分だけねじ軸の体積や重量も大きくなって大型のモータが必要となり、製造コストの面で問題がある。
【0005】
また、危険速度は、ねじ軸の取付け間距離L1の2乗に反比例するため、取付け間距離L1は短いほど好ましい。ところが、例えば大型平面研削盤、レーザ加工機や液晶搬送装置などはテーブルを送るねじ軸が長くなり、ねじ軸の取付け間距離L1が長くなるので、危険速度が低くなり、高速な送りができなくなる。
このため、ねじ軸の中間部を支持する中間サポートを設けて取付け間距離L1を短くし、送りねじの危険速度を安全側の高い回転域にすることにより、高速送りを可能にする技術が知られている(例えば、例えば特許文献1、2)。
【0006】
特許文献1の装置は、ナットとねじ軸の長手方向両端を回転自在に支持する一対の軸受部との間のねじ軸の外周位置に、ねじ軸のラジアル荷重を受けるすべり軸受からなる一対の中間サポートが配設され、ねじ軸の軸方向に移動可能となるように基台上に設けた一対のスライダが、一対の中間サポートにそれぞれ固着しているとともに、これら一対のスライダを同時に軸方向に移動させるスライダ駆動部とを備えた装置である。
また、特許文献2の装置は、特許文献1の装置のすべり軸受からなる一対の中間サポートに代えて、ねじ軸の外周に螺合し、回転自由に支持した一対の中間サポートナットを備え、これら一対の中間サポートにそれぞれ固着している一対のスライダを同時に軸方向に移動させるスライダ駆動部を備えた装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2923951号
【特許文献2】特許第2526816号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の装置は、高速で回転するねじ軸の外周とすべり軸受からなる中間サポートとの間にすべり摩擦が発生し、ねじ軸及び中間サポートに摩耗が生じやすい。
特に、ねじ軸外周に形成されているねじ溝の肩角部が、中間サポート部に支持されながら軸方向に摺動することとなるため、角部による摩耗や摩擦が大きくなり、さらに摩耗粉が送りねじ全体の耐久性に悪影響を与える等の問題がある。
【0009】
また、特許文献2の装置も、ねじ軸と中間サポートナット間に発生する軸力によって中間サポートナットを回転させなければならないので、ねじ軸のねじリードを大きく設定できない場合には、ねじ軸が高速回転する際に、ねじ軸及び中間サポートナットのねじに大きな摩擦や摩耗が生じやすい。
また、特許文献1,2の装置は、一対のスライダを同時に軸方向に移動させるスライダ駆動部を必要とするので、構造が複雑になるとともに、コスト高になるという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、簡単な構造で且つ低コストでねじ機構の危険速度限界を向上することができ、高速駆動や高加減速化に対応することができる送り駆動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の送り駆動装置は、送りねじ軸の軸方向の両端を回転自在に支持する基台上に固定した一対の軸受と、前記送りねじ軸を回転駆動させる第1回転駆動部と、前記送りねじ軸にねじ螺合する主ナットと、一軸テーブルに固定されて前記主ナットを回転自在に支持しているナットハウジングと、前記主ナットを回転駆動させる第2回転駆動部と、前記主ナットと前記一対の軸受との間の距離のほぼ中央の位置で前記送りねじ軸を支持し、前記送りねじ軸の軸線に沿って移動可能に前記基台上に設けた中間サポート部と、前記第1及び第2回転駆動部を駆動し、前記送りねじ軸及び前記主ナットを互いに逆方向にほぼ同一回転数で回転させる駆動制御部とを備えている。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の送り駆動装置において、前記送りねじ軸及び前記主ナットのねじ螺合は、前記送りねじ軸の外周に設けたボール溝と、前記主ナットの内周に設けたボール溝の間に複数個のボールが組み込まれて構成され、前記送りねじ軸の回転運動を前記主ナットの直線運動に変換するボールねじ機構である。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の送り駆動装置において、前記中間サポート部の少なくとも1つには、前記送りねじ軸外周に形成されたねじ溝を介して当該送りねじ軸の回転運動を前記中間サポート部の軸方向直線運動に変換する機構を備えていることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の送り駆動装置において、前記送りねじ軸の回転運動を前記中間サポート部の軸方向直線運動に変換する機構として、前記送りねじ軸の外周にねじ螺合する中間ナットを備えていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の送り駆動装置において、前記送りねじ軸及び前記中間ナットのねじ螺合は、前記送りねじ軸の外周に設けたボール溝と、前記中間ナットの内周に設けたボール溝の間に複数個のボールが組み込まれて構成され、前記送りねじ軸の回転運動を前記中間ナットの直線運動に変換するボールねじ機構であることを特徴としている。
さらに、請求項6記載の発明は、請求項4記載の送り駆動装置において、前記送りねじ軸及び前記中間ナットのねじ螺合は、前記送りねじ軸の外周に設けたねじ溝と、前記中間ナットの内周に設けたねじ溝とが係合するすべりねじ機構であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る送り駆動装置によれば、主ナットと一対の軸受との間の距離のほぼ中央の位置で送りねじ軸を支持し、送りねじ軸の軸線に沿って移動可能に前記基台上に設けた中間サポート部材とを備えている。また、駆動制御部は、前記第1及び第2回転駆動部を駆動して前記送りねじ軸及び前記主ナットを互いに逆方向にほぼ同一回転数で回転させるので、簡単な構造で且つ低コストで送りねじ軸の危険速度を安全側の高い回転域にすることができる。中間サポート部は、送りねじ軸を支持しながら軸方向に移動することとなるが、送りねじ軸と中間サポート部の接触部は、送りねじ軸の外周に形成されたねじ溝に沿って摺動することになるので、摩耗や摩擦が小さく長い耐久性を有することになる。また、送りねじ軸の外周に形成されたねじ溝を介して、ねじ軸の回転運動を軸方向直線運動に変換する機構を有するので、送りねじ軸の回転に伴い、中間サポート部を駆動することができ、中間サポート部の駆動に特別な駆動装置も必要としない。
また、極めて高い加減速で一軸テーブルを駆動することが可能となり、応答性が高い送り駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のねじ機構を用いた送り駆動装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視図である。
【図2】本発明のねじ機構を用いた送り駆動装置の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線矢視図である。
【図3】従来のねじ機構を用いた送り駆動装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図3で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明する。
図1は、本発明に係るねじ機構を用いた送り駆動装置の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線矢視図である。
【0016】
本実施形態の装置は、例えば縦長平板形状の基台1上に、互いに幅方向に平行に離間して長手方向に延在するテーブルガイド5a,5b(例えばリニアガイドの案内レール等)が固定されており、これらテーブルガイド5a,5bに、可動体であるテーブル6の下面に固定したテーブル取付部材6a,6bがリニガイドのスライダ9a,9bを介して係合し、テーブル6は、テーブル取付部材6a,6bがテーブルガイド5a,5b上を摺動することで基台1の長手方向に移動自在とされている。
【0017】
送りねじ軸3(以下、単にねじ軸3と記載する)は、テーブルガイド5a,5bと平行に配され、基台1の長手方向両端側に配置した一対の軸受2a,2bに回転自在に支持されているとともに、ねじ軸3の長手方向の例えば略中央位置にテーブル用ナット12が螺合されている。
ねじ軸3の一端は、基台1上に固定した第1駆動モータ10の出力軸にカップリング11を介して固定され、駆動モータ10を駆動することによってねじ軸3に回転が伝達される。
【0018】
テーブル6の下面にはナットハウジング13が固定されており、このナットハウジング13内には軸受14が配置されている。そして、前述したねじ軸3に螺合したテーブル用ナット12が、ナットハウジング13内に配置した軸受14に嵌合されている。
テーブル用ナット12は、中空モータからなる第2駆動モータ15の回転部に連結されている。この第2駆動モータ15は、軸心位置に設けた中空部(不図示)にねじ軸3を挿通しながらテーブル6の下面に固定され、テーブル用ナット12に直接連結されて回転が伝達される。
【0019】
一方の軸受2aとテーブル用ナット12との間の距離のほぼ中央の位置のねじ軸3は、第1中間サポート部16を介して基台1に支持され、他方の軸受2bとテーブル用ナット12との間の距離のほぼ中央の位置のねじ軸3は、第2中間サポート部17を介して基台1に支持されている。
基台1上のテーブルガイド5a,5bの間には、テーブルガイド5a,5bと平行に長手方向に延在する中間ナットガイド18が固定されている。
【0020】
第1中間サポート部16は、ねじ軸3に螺合している中間ナット19と、この中間ナット19を回転不能に固定し、中間ナットガイド18の長手方向に移動自在に係合している中間ナットスライダ20とで構成されている。また、第2中間サポート部17も、ねじ軸3に螺合している中間ナット21と、この中間ナット21を回転不能に固定し、中間ナットガイド18の長手方向に移動自在に係合している中間ナットスライダ22とで構成されている。ここで、中間ナット19,21は、テーブル用ナット12とねじ仕様が同一である。
ねじ軸3に回転を伝達する第1駆動モータ10及びテーブル用ナット12に回転を伝達する第2駆動モータ15は、モータ制御装置23に電気的に接続されている。このモータ制御装置23は、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ15に対して互いに逆回転方向にほぼ同一回転数の駆動制御を行なう。
【0021】
次に、本実施形態の送り駆動装置の作用について説明する。
モータ制御装置23が、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ15に対して互いに逆回転でほぼ同一回転数の駆動制御を行なうと、ねじ軸3及びテーブル用ナット12は、互いに逆回転方向に略同一回転数で回転する。
このとき、ねじ軸3とテーブル用ナット12の相対回転数は、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ15の回転数Nの和となるので、相対回転数は回転数Nの2倍となる。したがって、ねじ軸3のリードをAとすれば、テーブル6の移動速度V1は、V1=2・A・Nとなる。
【0022】
また、中間ナット19,21は、第1駆動モータ10によって駆動されるから、中間ナット19,21の送り速度V2は、V2=A・Nとなり、テーブル6の移動速度V1の半分(V2=V1/2)となる。また、中間ナット19,21の位置は、テーブル用ナット12と一対の軸受2a,2bのほぼ中央の位置に配置されているので、テーブル6が移動しても、中間ナット19,21は、テーブル用ナット12と一対の軸受2a,2bの間に位置する。そして、中間ナット19,21は、テーブル用ナット12とねじ仕様が同一なので、通常のねじ送りの運動をすることにより、特別な磨耗や摩擦の増大が発生しない。
【0023】
一方、本実施形態のねじ軸3の固有振動数Nc2は,(2)式で求められる。
Nc2=f・(dr/L2)・10 ……(2)
ここで、この(2)式はねじ軸の材料が鋼材の場合であり、dr:ねじ軸谷径≒ねじ軸の軸径、L2:取付け間距離(軸受2a,2bからテーブル用ナット12までの距離)、f:ねじ軸の支持条件により決まる定数である。
【0024】
本実施形態の送り駆動装置は、中間ナット19,21がテーブル用ナット12と一対の軸受2a,2bのほぼ中央の位置に配置されているので、図2で示した従来の送り駆動装置の取付け間距離L1と、本実施形態の取付け間距離L2の関係は、
L1=2・L2 ……(3)
となる。
したがって、従来装置のねじ軸の固有振動数Nc1と、従来装置と比較して取付け間距離が半分の値になった本実施形態のねじ軸3の固有振動数Nc2とは、
Nc2=4・Nc1 ……(4)
の関係となる。
【0025】
ここで、ねじ機構の危険速度の低下を引き起こす励振力は、ねじ軸3の回転振れ回りと、テーブル用ナット12の振れ回り力によって引き起こされる。その励振周波数は、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ15の回転数Nとなる。
危険速度は、前述した励振周波数と、ねじ軸の固有振動数が近づくことによって発生するから、余裕を持ってねじ軸3の固有振動数Nc2の80%まで第1駆動モータ10及び第2駆動モータ15が回転するものとすれば、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ15の回転数Nは、
N=0.8・Nc2 ……(5)
となる。
【0026】
この(5)式に前述した(4)式を代入すると、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ15の回転数Nは、
N=0.8・4・Nc1 ……(6)
となる。
そして、本実施形態の送り駆動装置は、ねじ軸3及びテーブル用ナット12が互いに逆回転方向に略同一回転数で回転するので、それらの相対速度は2倍となり、実質的な送り回転数Naは、第1駆動モータ10及び第2駆動モータ15の回転数Nの2倍となるので、
Na=2・0.8・4・Nc1 ……(7)
となる。
【0027】
このように、本実施形態の送り駆動装置は、図2で示した従来の送り駆動装置(回転数Nの駆動モータ8のみが駆動源)と比較して略8倍の高速の送り回転数Naでテーブル6を駆動することができる。
したがって、本実施形態の送り駆動装置は、第1中間サポート部16及び第2中間サポート部17が、テーブル用ナット12と一対の軸受2a,2bの間のほぼ中央の位置でねじ軸3を支持して取付け間距離L2を短く設定しているので、危険速度を安全側の高い回転域にすることができる。
【0028】
また、第1及び中間サポート部16,17は、ねじ軸3に螺合する中間ナット19,21を使用しており、ねじ軸3との間の摩耗が十分に小さいので、耐久性及び信頼性が高い装置を提供することができる。
また、第1中間サポート部16は、中間ナット19を回転不能に固定している中間ナットスライダ20が、基台1上に設けた中間ナットガイド18の長手方向に移動自在に係合するだけで第1中間サポート部16の駆動機構は不要である。第1中間サポート部17も同様な構造とされているので、簡単な構造、且つ低コストでねじ機構の危険速度を向上させることができる。
【0029】
さらに、本実施形態の装置は、ねじ軸3に回転を伝達する第1駆動モータ10及びテーブル用ナット12に回転を伝達する第2駆動モータ15の両者がテーブル6を駆動し、極めて高い加減速でテーブル6を駆動することができるので、応答性が高い送り駆動装置を実現することができる。
なお、上記実施形態では、テーブル用ナット12の内周面に形成したねじ溝と、ねじ軸3の外周に形成したねじ溝とが係合するすべりねじ構造を示したが、テーブル用ナット12の内周に形成したボール溝とねじ軸3の外周に形成したボール溝との間にボールを転動自在に配置したボールねじ構造が望ましく、送り駆動装置が必要とする機能に合わせて必要な負荷ボール数を持つようにすればよく、予圧を与えて剛性を上げることもできる。
【0030】
また、中間ナット19,21は、これらの内面にねじ溝を形成し、ねじ溝の外周に形成したねじ溝をラジアル方向に支持するためのものであるから、ボールねじでも良いし、必要な機能が満足する範囲でねじ軸3のねじ形状と合致した溝を持つ、すべりねじでもよい。また、中間ナット19,21をボールねじとする場合には、テーブル用ナット12と同一仕様である必要はなく、ラジアル荷重を支えるに足る負荷容量を持てばよく、予圧などの必要もなく、わずかな隙間を持っているもので充分である。
上記実施形態では、2個の中間ナット19,21を配置した構造を示したが、図2に示すように、第1中間サポート部16と第2中間サポート部17とを連結棒30などを用いて軸方向位置を連結すれば、中間ナットは少なくとも1つあれば良く、他方はねじ軸外径を支持するものであれば良い。
【0031】
また、上記実施形態では、テーブルガイド5a,5bと、中間ナットガイド18とを別に設けたが、中間ナッドガイド18を、テーブルガイド5a,5bと併用しても良い。
さらに、上記実施形態では、テーブル6に一個のテーブル用ナット12を固定し、テーブル用ナット12と一対の軸受2a,2bの間のほぼ中央の位置に2個の中間ナット19,21を配置した構造を示したが、テーブル用ナット12、中間ナット19,21の個数を増大した構造でもよい。さらにまた、上記実施形態では、第1駆動モータ10とねじ軸3、第2駆動モータ15とテーブル用ナット12は直結した構造を示したが、歯車やタイミングベルトなどの回転伝達部材を介して連結する構造であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…基台、2a,2b…軸受、3…ねじ軸(送りねじ軸)、5a,5b…テーブルガイド、6…テーブル(一軸テーブル)、スライダ…9a,9b、10…第1駆動モータ(第1回転駆動部)、12…テーブルナット(主ナット)、13…ナットハウジング、14…軸受、15…第2駆動モータ(第2回転駆動部)、16,17…中間サポート部、18…中間ナットガイド、19,21…中間ナット、20,22…中間ナットスライダ、23…モータ制御装置(駆動制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送りねじ軸の軸方向の両端を回転自在に支持する基台上に固定した一対の軸受と、
前記送りねじ軸を回転駆動させる第1回転駆動部と、前記送りねじ軸にねじ螺合する主ナットと、
一軸テーブルに固定されて前記主ナットを回転自在に支持しているナットハウジングと、前記主ナットを回転駆動させる第2回転駆動部と、
前記主ナットと前記一対の軸受との間の距離のほぼ中央の位置で前記送りねじ軸を支持し、前記送りねじ軸の軸線に沿って移動可能に前記基台上に設けた中間サポート部と、
前記第1及び第2回転駆動部を駆動し、前記送りねじ軸及び前記主ナットを互いに逆方向にほぼ同一回転数で回転させる駆動制御部と、を備えていることを特徴とする送り駆動装置。
【請求項2】
前記送りねじ軸及び前記主ナットのねじ螺合は、前記送りねじ軸の外周に設けたボール溝と、前記主ナットの内周に設けたボール溝の間に複数個のボールが組み込まれて構成され、前記送りねじ軸の回転運動を前記主ナットの直線運動に変換するボールねじ機構であることを特徴とする請求項1記載の送り駆動装置。
【請求項3】
前記中間サポート部の少なくとも1つには、前記送りねじ軸外周に形成されたねじ溝を介して当該送りねじ軸の回転運動を前記中間サポート部の軸方向直線運動に変換する機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の送り駆動装置。
【請求項4】
前記送りねじ軸の回転運動を前記中間サポート部の軸方向直線運動に変換する機構として、前記送りねじ軸の外周にねじ螺合する中間ナットを備えていることを特徴とする請求項3記載の送り駆動装置。
【請求項5】
前記送りねじ軸及び前記中間ナットのねじ螺合は、前記送りねじ軸の外周に設けたボール溝と、前記中間ナットの内周に設けたボール溝の間に複数個のボールが組み込まれて構成され、前記送りねじ軸の回転運動を前記中間ナットの直線運動に変換するボールねじ機構であることを特徴とする請求項4記載の送り駆動装置。
【請求項6】
前記送りねじ軸及び前記中間ナットのねじ螺合は、前記送りねじ軸の外周に設けたねじ溝と、前記中間ナットの内周に設けたねじ溝とが係合するすべりねじ機構であることを特徴とする請求項4記載の送り駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−149514(P2011−149514A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12412(P2010−12412)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】