説明

送信側ネットワークと放送システム

【課題】受信側にあるGigabitイーサーネットを用いた伝送で支障をきたすことなく、ユーザー端末装置に対して情報の欠落なく送信する放送システムを提供する。
【解決手段】コンテンツを配信するコンテンツ配信装置からのコンテンツデータをコンテナ化する送信側ネットワークであって、コンテンツ配信装置から配信されたコンテンツデータを所定のバイト数以下になるようにコンテナ化するコンテナ化部と、コンテナ化部がコンテナ化したコンテナを伝送路上の信号形式に変換するために特定のフォーマットに多重する多重化部と、多重化部で多重化された信号を伝送路に出力するために変調する変調部とを備え、コンテナのバイトサイズを制限することにより、Gigabitイーサーネットを用いた伝送で支障をきたさなくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度化ISDB−S(Integrated Services Digital Broadcasting−Satellite)、つまり、高度化衛星放送の規格で運用されることが考えられている、TLV(Type Length Value)伝送技術に関するもので、放送コンテンツを伝送する単位であるTLVコンテナの個数あるいはバイト数を制限することで、Gigabitイーサーネット出力した際の伝送の破綻を防ぐことを可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来の放送システムでは、リアルタイム放送システムに適した信号フォーマットとして固定長パケットのMPEG2−TSを使用して伝送する方法が一般的である。図7に従来の放送システムであるMPEG2−TSを使用した構成の放送システムを示す。コンテンツ配信者からエンドユーザにコンテンツを送信するとき、コンテンツ配信装置600から送信側ネットワーク700、伝送路、受信側ネットワーク800、表示装置900への順番に送信する。
【0003】
コンテンツ配信装置600は映像や音声、その制御信号をMPEG2−TSのパケット形式にエンコードして、送信側ネットワーク700に出力する。
【0004】
送信側ネットワーク700は、多重化部710、変調部720で構成され、多重化部710はコンテンツ配信装置600から入力されたMPEG2−TSのパケット形式の信号を伝送路の信号フォーマットに合わせた形式に多重化して、変調部720は多重化部710で多重化された信号を伝送路に変調して出力する。
【0005】
受信側ネットワーク800は、復調部810、デコーダ820で構成され、復調部810は伝送路から入力された変調信号を復調し多重分離して、デコーダ820でMPEG2−TS形式の信号をコンテンツデータにデコードして、表示装置900へ出力する。
【0006】
表示装置900は、受信側ネットワーク800からコンテンツデータを受け、コンテンツデータの映像や音声を表示する。
【0007】
一方、コンテンツデータを受信機に蓄積し、受信後にストリームを復元・表示する蓄積型放送サービスの実現に向けた、衛星などの既存の伝送路とGigabitイーサーネットなどの通信網の組み合わせた放送システムが考えられており、高度化ISDB−Sで検討されているTLV伝送技術が期待されている。TLV伝送技術は、typeフィールドによりデータの種類を示し、lengthフィールドによりデータのサイズを示すことで、Valueフィールドに任意の可変長データを格納可能である。このTLV伝送技術では、パケット種別として、4種類のデータタイプを割り当ててIP(Internet Protocol)パケットの伝送を可能としている。(非特許文献1)
【非特許文献1】情報通信審議会 諮問第2023号 「放送システムに関する技術的条件」のうち「衛星デジタル放送の高度化に関する技術的条件」答申書 総務省 平成20年7月29日 29頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、高度化ISDB−Sの運用で検討されているTLV伝送技術においては、TLVコンテナのサイズは4バイト以上での運用が考えられており、上記従来の方法ではコンテンツデータを含んだTLVコンテナのパケットサイズがGigabitイーサーネットで制限される512バイトよりも短い場合、短いパケットが連続して入力されると、MACフレーム変換するブロックのメモリバッファがオーバーフローを起こし、GbE出力の破綻となって、データの欠落が発生するという課題があった。
【0009】
本発明は以上の課題を解決することを目的とするものであり、受信側でGbE出力する際のバッファメモリのオーバーフローを回避するために、受信側にあるGigabitイーサーネットを用いた伝送で支障をきたすことなく、ユーザー端末装置に対して情報の欠落なく送信するTLV伝送対応の放送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の送信側ネットワークは、コンテンツを配信するコンテンツ配信装置からのコンテンツデータをコンテナ化する送信側ネットワークであって、コンテンツ配信装置から配信されたコンテンツデータを所定のバイト数以下になるようにコンテナ化するコンテナ化部と、コンテナ化部がコンテナ化したコンテナを伝送路上の信号形式に変換するために特定のフォーマットに多重する多重化部と、多重化部で多重化された信号を伝送路に出力するために変調する変調部とを備え、コンテナのバイトサイズを制限する。
【発明の効果】
【0011】
高度化ISDB−Sの運用で検討されているTLV伝送するシステムにおいて、送信側で送るコンテナのバイト数を制限することで、受信側にあるGigabitイーサーネットを用いた伝送で支障をきたすことなく、ユーザー端末装置に対して情報の欠落なく送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本願発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態3に係るTLV対応の放送システムの概要について説明する。図1は本発明の実施の形態3に係るTLV対応の放送システムの構成図を示す。TLV対応の放送システムは、コンテンツ配信者からエンドユーザにコンテンツを送信するとき、コンテンツ配信装置100から送信側ネットワーク200、伝送路、受信側ネットワーク300、ユーザー端末装置400への順番に送信する。本発明の放送システムは、主に衛星放送での使用を主としている。そのため、伝送路は衛星から送信された電波が通過する空間を想定している。また、図1ではユーザー端末装置400を1台のみ記載しているが、受信側ネットワーク300には複数台のユーザー端末装置400が接続されている。
【0014】
コンテンツ配信装置100は、映像や音声、文字情報などのデータをコンテンツとして送信側ネットワーク200へ出力する。なおコンテンツ配信装置100は、受信側ネットワーク300やユーザー端末装置400などで使用されるMACアドレス情報を含ませることも可能である。
【0015】
送信側ネットワーク200は、データを伝送路に出力するために、コンテンツ配信装置100から入力されたコンテンツデータをTLVコンテナ化するTLVコンテナ化部210と、TLVコンテナ化部210でコンテナ化されたTLVコンテナを伝送路上の信号形式に変換するために特定のフォーマットに多重化する多重化部220と、多重化部220で多重化された信号を伝送路で出力するために変調する変調部230で構成されている。特に、変調部230は、多重化されたデータを変調する機能に加え、伝送路の最小単位である固定長のスロット期間の中でデータ範囲を示す情報や、スロットに多重されているデータの種類を示す情報をTMCCデータとして変調する機能を有している。
【0016】
ここで、TLVコンテナとは、TypeデータとLengthデータとValueデータの3つのデータから構成されており、Valueデータはコンテンツ配信装置100から送信するコンテンツなどのデータで、LengthデータはTLVコンテナのサイズ情報を含んだデータで、TypeデータはTLVコンテナの種類の情報を含んだデータである。
【0017】
受信側ネットワーク300は、送信側ネットワーク200からデータを受信し、ユーザー端末装置400へGigabitイーサーネットの形式で出力するものである。そのために、受信側ネットワーク300は、伝送路から入力した変調波を復調し、伝送路上の信号形式からデータを多重分離する復調部310と、復調部310で多重分離したデータからTLVコンテナのValueデータを抜き出すTLVデコンテナ化部320と、TLVデコンテナ化部320で抜き出されたデータをGigabitイーサーネット形式のデータに変換するMACフレーム変換部330と、MACフレーム変換部330で変換されたデータを外部のユーザー端末装置400のGbE_I/Fに出力するGbE_I/F340で構成される。特に、復調部310は、変調された変調信号から、まずTMCCデータを復調し、多重化されたデータを復調する際には、TMCCデータからスロットに含まれているデータ範囲を認識して復調している。また、復調部310は、多重化されたデータを多重分離する際にも、TMCCデータから多重されているデータの種類を認識して多重分離している。
【0018】
ここで、MACフレーム変換部330は、TLVデコンテナ化部320で抜き出されたTLVコンテナのValueデータ、つまり、コンテンツ配信装置100から送信されたコンテンツとユーザー端末装置400などで使用されるMACアドレス情報をMACフレームに変換する。このとき、MACフレームのヘッダーに特定のMACアドレスのみを付加したり、複数のMACアドレスを付加したりすることが可能である。また、ヘッダーに付加するMACアドレスは、MACフレーム変換部330が保有しているMACアドレスを使用したり、コンテンツ配信装置100から送信されてきたMACアドレスを使用したりすることができる。
【0019】
ユーザー端末装置400は、コンテンツデータを映像表示するために、受信側ネットワーク300から入力したGigabitイーサーネット形式のデータを受け取り、コンテンツデータを出力する情報端末部410と、情報端末部410が出力したコンテンツデータを映像表示する表示部420で構成される。
【0020】
情報端末部410は、MACフレーム変換部330で宛先としてMACアドレスがヘッダーに付加された場合、コンテンツデータを受け取ることができる。また、MACフレーム変換部330で複数の宛先のMACアドレスが付加された場合、宛先に対応する複数の情報端末部410でそれぞれデータを受け取ることが可能である。また、情報端末部410はモニタにリアルタイムで出力する必要はなく、ハードディスクなどの記録部を接続、或いは、内蔵することで、コンテンツデータを蓄積することが可能となる。
【0021】
次に、本発明の実施の形態3に係るTLV対応の放送システムの受信側ネットワークについて詳細を説明する。受信側ネットワーク300は、送信側ネットワーク200から伝送路経由で受信したTLVコンテナのデータを外部機器であるユーザー端末装置400にGigabitイーサーネットで出力するMACフレームに変換する機能を有している。まず、TLVコンテナをGigabitイーサーネットで出力するためのTLVコンテナのMACフレームについて説明する。図2は、本発明の実施の形態3に係るMACフレームの構成図である。
【0022】
TLVコンテナのデータフォーマット変換後のMACフレームは、Gigabitイーサーネットの規格であるIEEE Standard 802.3に基づいている。図2に示すように、宛先MACアドレスからCarrier Extendまでのサイズは最小で512バイトとなっているため、TLVコンテナのサイズが466バイト以下の場合、Carrier Extendのデータサイズを調整することで最小サイズ512バイトにしている。そして、TLVコンテナのMACフレーム変換は、プリアンブルとIFGを更に付加することで、最小サイズ532バイトとなっている。
【0023】
さらに、MACフレーム変換部330がTLVコンテナをこのMACフレームにMACフレーム変換することについて説明する。図3は、本発明の実施の形態3に係るMACフレーム変換部330の概要図である。MACフレーム変換部330は、入力されたTLVコンテナをバッファメモリ331で一旦蓄積し、ヘッダー付加部332でTLVコンテナにUDPheaderを付加した後、IPv4headerを付加して、IPv4パケットの形式にする。さらに、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ、FCSを付加することで、MACフレームとし、そのMACフレームのサイズが512バイト未満の場合、MACフレームのサイズと合わせて512バイトになるようにCarrier Extendのデータを最後尾に付加する。そして先頭を示すプリアンブルやパケット間の間を示すIFGの期間を加えたサイズのパケットをGbE_I/F340に出力する。
【0024】
MACフレーム変換部330への入力速度は、受信ネットワーク300のデータ処理の動作周波数になり、バイトクロック周波数18.5MHzとしている。一方、MACフレーム変換部330の出力速度は、GbE_I/Fの動作モードで決まり、GMIIの動作モードで125MHzである。入力速度より出力速度が6.7倍と速いため、パケットサイズであるTLVコンテナサイズが79バイト(532バイトの1/6.7)以上であれば、バッファメモリのオーバーフローを理論上起こすことはない。しかし、TLVコンテナサイズが78バイト未満になると、ヘッダーのオーバーヘッドが増加し、結果として出力のスループットが低下する現象が生じる。
【0025】
MACフレーム変換部330の出力のスループットの低下の様子の例としてTLVコンテナのMACフレーム変換部330の内部動作として、入力に対するヘッダー付加後の出力の処理を示す。図4は本発明のMACフレーム変換部330の内部動作概要図である。
【0026】
MACフレーム変換部330は、伝送路の最小単位である固定長のスロット期間を処理範囲として、MACフレームにおけるヘッダーの割合が最も大きくなる最小バイトサイズ(4バイト)のコンテナN個と、5049バイトからN個の最小コンテナのバイト数の合計を引いた余りバイト数サイズをもつコンテナ1個を入力している。そして、MACフレーム変換部330は、図2で示す最小MACフレームサイズ(532バイト)のMACフレームN個を出力することになり、出力期間が入力期間よりも長くなったときに出力のスループットが低下する。出力期間が入力期間よりも長い状態が続くと、コンテナデータがバッファメモリに蓄積され続け、いずれバッファメモリからコンテナデータがオーバーフローを起こすことになる。
【0027】
次に送信側ネットワーク200について詳細を説明する。送信側ネットワーク200では受信側ネットワーク300で起きるコンテナデータのオーバーフローを回避するために、TLVコンテナ化部210でTLVコンテナのサイズを解析し、2つのコンテナを1つにまとめることでコンテナのサイズを調整する機能を有している。コンテナのサイズを調整する手段として、図5に本発明の実施の形態3に係るTLVコンテナ化部210の内部動作概要図示す。
【0028】
図5に示すように、TLVコンテナ化部210は、バッファメモリ211と、データ解析部212と、ヘッダー作成部213と、TLVコンテナ生成部214と、バッファメモリ215と、コンテナ解析部216と、重複ヘッダー作成部217と、TLVコンテナ再生成部218と、ヘッダー情報データ化部219で構成されている。
【0029】
バッファメモリ211は、コンテンツ配信装置100から入力したコンテンツデータを蓄積する。
【0030】
データ解析部212は、TLVコンテナ化部210に入力されるデータのサイズと種類を解析し、ヘッダー作成部213にその情報を出力する。
【0031】
ヘッダー作成部213はデータのサイズと種類からLengthデータとTypeデータを作成し、TLVコンテナ生成部214に出力する
TLVコンテナ生成部214は、バッファメモリ211に蓄積されたコンテンツデータをValueデータとして読み出し、このValueデータにヘッダー作成部213から入力されたLengthデータとTypeデータを結合することで、TLVコンテナを生成する。
【0032】
バッファメモリ215は、TLVコンテナ生成部214から出力されたTLVコンテナを蓄積する。
【0033】
コンテナ解析部216は、TLVコンテナ生成部214から出力されたTLVコンテナのLengthデータとTypeデータとValueデータを解析し、その解析結果を重複ヘッダー作成部217に出力する。
【0034】
重複ヘッダー217は、コンテナ解析部216から得た解析結果、つまり、バッファメモリ215に蓄積されたTLVコンテナのLengthデータが所定サイズ未満であった場合、コンテナ解析部216から入力された次にバッファメモリ215に入力されるTLVコンテナの解析結果と合せて、2つのTLVコンテナのValueデータを結合した場合のLengthデータとそれを認識するためのTypeデータを新たに作成する。また、結合する2つのTLVコンテナのValueデータのサイズが異なる場合は、そのサイズの差分データもTLVコンテナ再生成部218に出力する。コンテナ解析部216から得た解析結果、つまり、バッファメモリ215に蓄積されたTLVコンテナのLengthデータが所定サイズ以上であった場合、コンテナ解析部216はコンテナ解析部216から得たLengthデータとTypeデータをそのままTLVコンテナ再生成部218へ出力する。
【0035】
また、コンテナ解析部216は、2つのTLVコンテナを結合させてもTLVコンテナのサイズが所定サイズに満たないときは、所定サイズに達するまでの複数個のTLVコンテナを結合し、Lengthデータとそれを認識するためのTypeデータを新たに作成する。
【0036】
TLVコンテナ再生成部218は、バッファメモリ215からTLVコンテナを呼び出し、重複ヘッダー作成部215から入力されたTypeデータと異なっていた場合、つまり、重複ヘッダー作成部215が新たに作成したTypeデータであった場合、次のTLVコンテナと結合すると認識し、バッファメモリ215に蓄積されている次のTLVコンテナも呼び出し、それぞれValueデータを抜き出して結合し、重複ヘッダー作成部215から入力した新たなTypeデータとLengthデータを結合して新たなTLVコンテナとして多重化部220へ出力する。
【0037】
ところで、Valueデータ同士を結合する際は、重複ヘッダー作成部217から入力される差分データから、その差分を埋めるための無関係なデータ(ヌルデータ)をValueデータのサイズが小さい方のValueデータ末尾に挿入する。そのため、Lengthデータは、挿入されるヌルデータのサイズ分も追加した値になる。
【0038】
ヘッダー情報データ化部219は、TLVコンテナ再生成部218で結合された新たなTLVコンテナを、受信側ネットワーク300で処理可能にするために、ヌルデータのサイズや重複ヘッダー作成部217で作成されたTypeデータの意味を示すデータを作成し、変調部230で作成されるTMCCデータに追加するデータとして新たなTLVコンテナに付加するようにTLVコンテナ再生成部218へ出力する。
【0039】
例えば、TLVコンテナ再生成部218がTLVコンテナ生成部214からバッファ215を経由して、52バイト、96バイトのサイズのTLVコンテナを入力したときを説明する。コンテナ解析部216で、バッファ215に蓄積される各TLVコンテナのサイズと種類をそれぞれLengthデータとTypeデータから解析する。重複ヘッダー作成部217は、設けた所定サイズ(76バイト)よりコンテナ解析部2106で解析したTLVコンテナのサイズが小さいかどうかを判断し、大きい場合はそのTLVコンテナのLengthデータをそのまま出力し、小さい場合はこのTLVコンテナと次のTLVコンテナのValueデータのサイズを加算したLengthデータを出力する。52バイトのTLVコンテナが入力されると制限サイズより小さいので、それぞれのTLVコンテナのサイズである52バイト、96バイトからTypeデータとLengthデータの合計バイト数である4バイトを差し引いた48バイト、92バイトを加算して、140(=48+92)バイトのLengthデータをTLVコンテナ再生成部219に出力する。
【0040】
そして、TLVコンテナ再生成部218が、バッファ215に蓄積されているTLVコンテナを呼び出し、重複ヘッダー作成部217から得たLengthデータとのサイズを比較し、52バイトと140バイトが一致しないので、次に蓄積されている96バイトのTLVコンテナをバッファ215から呼び出し、それぞれValueデータを抜き出し、96バイトと52バイトの差分である、44バイトのヌルデータを48バイトのValueデータの末尾に結合し、92バイトのValueデータと結合して、合計184バイトのValueデータを作成する。この184バイトのValueデータをTLVコンテナ化するために、ヌルデータと2つのValueデータが結合されていることを示すTypeデータを作成し、重複ヘッダー作成部217で作られたLengthデータを使用する。重複ヘッダー作成部217で作成されたTypeデータは、ヘッダー情報データ化部219にも送られ、TMCCデータに格納されるType情報としてデータ化される。
【0041】
ここで特定の制限サイズ(76バイト)について、詳細を以下に述べる。図6は、本発明のコンテナの特定の制限サイズを求める式を示す図である。特定の制限サイズの値は、受信側ネットワーク300でオーバーフローを必ず起こさない値が考えられる。高度化ISDB−Sの規格においては、変調方式が32APSKで、符号化率9/10の運用時にスロットのデータバイト数が最も大きくなり、スロットのデータバイト数は5049バイトになる。出力クロックは、シンボルレート32.5941MHzから導かれたバイトクロックである。オーバーフローを起こさない最小コンテナサイズとして、スロット単位あたりで処理可能な最小サイズのコンテナ数N個が考えられ、計算される値は最小GbE(Gigabitイーサーネットの出力サイズ)×N≧スロット期間であり、図6のように計算するとN≦67となる。そして、スロットのデータバイト数5049から処理可能な最小サイズのコンテナ数67を割った値より大きい整数値で最小コンテナサイズは76バイトとなる。
【0042】
かかる構成によれば、送信側ネットワークの多重化部においてスロット内のコンテナの個数を制限個数以下にすることにより、受信側のMACフレーム変換部でのMACフレーム変換でオーバーフローを起すことがなくなりGigabitイーサーネットを用いた伝送で支障をきたすことなく、ユーザー端末装置に対して情報の欠落なく送信することができる。
【0043】
なお、本実施の形態において、GbE_I/F340としてギガビットイーサーネットを想定しているが、1000Mbps未満のイーサーネットでも運用は可能である。その場合は、MACフレーム変換部330のMACフレーム変換がその1000Mbps未満のイーサーネットの規格に沿ったデータ転送速度で動作するものとする。
【0044】
なお、本実施の形態において、TLVデコンテナ化部320は、Valueデータのみを抜き出すとしたが、Valueデータと、Typeデータと、Lengthデータの全て含むTLVコンテナを抜き出し、そのデータをMACフレーム変換した後、GbE_I/F340に出力するとしても良い。その場合は、情報端末部410でTLVコンテナのValueデータを抜き出し、コンテンツデータを表示部420に出力する構成とする。
【0045】
なお、本実施の形態において、復調部310で復調されたTMCCデータから2つのValueデータが結合されたTLVコンテナの情報データを、MACフレーム変換部330でMACフレーム変換し、GbE_I/F340に出力することも可能である。その場合は、情報端末部410で結合されたTLVコンテナの情報データから、結合されたValueデータを分割し、コンテンツデータを復元して表示部420に出力する構成とする。
【産業上の利用可能性】
【0046】
受信側の機能制限による、送信側のコンテンツ配信の制限や複雑なレート調整を行う必要がなくなり、市場における不具合を事前に回避する利点がある。そのため、高度化ISDB−Sの伝送路規格として成り立つ可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1に係るTLV伝送対応の放送システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態1に係るMACフレーム構成図
【図3】本発明の実施の形態1に係るMACフレーム変換部330の概要図
【図4】本発明のMACフレーム変換部330の内部動作概要図
【図5】本発明の実施の形態3に係るTLVコンテナ化部210の内部動作概要図
【図6】本発明のコンテナの制限サイズを求める式を示す図
【図7】従来の放送システムの構成図
【符号の説明】
【0048】
100 コンテンツ配信装置
200 送信側ネットワーク
210 TLVコンテナ化部
211 バッファメモリ
212 データ解析部
213 ヘッダー作成部
214 TLVコンテナ生成部
215 バッファメモリ
216 コンテナ解析部
217 重複ヘッダー作成部
218 TLVコンテナ再生成部
219 ヘッダー情報データ化部
220 多重化部
300 受信側ネットワーク
310 復調部
320 TLVデコンテナ化部
330 MACフレーム変換部
331 バッファメモリ
332 ヘッダー付加部
340 GbE_I/F
400 ユーザー端末装置
410 情報端末部
420 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを配信するコンテンツ配信装置からのコンテンツデータをコンテナ化する送信側ネットワークであって、
前記コンテンツ配信装置から配信されたコンテンツデータを所定のバイト数以下になるようにコンテナ化するコンテナ化部と、前記コンテナ化部がコンテナ化したコンテナを伝送路上の信号形式に変換するために特定のフォーマットに多重する多重化部と、前記多重化部で多重化された信号を伝送路に出力するために変調する変調部とを備えることを特徴とする送信側ネットワーク。
【請求項2】
前記コンテナ化部は、
前記コンテンツ配信装置が出力したデータのサイズと種類を解析するデータ解析部と、
前記データ解析部が算出したデータのサイズと種類からヘッダーを作成するヘッダー作成部と、
前記ヘッダー作成部が作成したヘッダーとデータを結合してTLVコンテナを生成するTLVコンテナ生成部と、
前記TLVコンテナ生成部が生成したTLVコンテナからTLVコンテナの種類とサイズを解析するコンテナ解析部と、
前記コンテナ解析部が解析したTLVコンテナのサイズが所定サイズより小さい場合、前記TLVコンテナ生成部が生成する次のスロットのTLVコンテナのデータ部分と結合したときのサイズを出力する重複ヘッダー作成部と、
前記重複ヘッダー作成部が出力したサイズと前記TLVコンテナ生成部が出力したTLVコンテナのサイズを比較し、一致しなかった場合、一致しなかったTLVコンテナのデータ部分と前記TLVコンテナ生成部が次に出力したTLVコンテナのデータ部分を結合し、前記重複ヘッダー作成部が出力したヘッダーをつけて、新たなTLVコンテナを作成するTLVコンテナ再生成部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の送信側ネットワーク。
【請求項3】
コンテンツを配信するコンテンツ配信装置と、前記コンテンツ配信装置が配信するコンテンツデータをコンテナ化する送信側ネットワークと、前記送信側ネットワークがコンテナ化したコンテナをMACフレームに変換する受信側ネットワークと、前記受信側ネットワークが変換したMACフレームを受信するユーザー端末装置からなる放送システムであって、
前記送信側ネットワークは、前記コンテンツ配信装置から配信されたコンテンツデータを所定のバイト数以下になるようにコンテナ化するコンテナ化部と、前記コンテナ化部がコンテナ化したコンテナを伝送路上の信号形式に変換するために特定のフォーマットに多重する多重化部と、前記多重化部で多重化された信号を伝送路に出力するために変調する変調部とを備えることを特徴とする放送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−219996(P2010−219996A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65755(P2009−65755)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】