説明

送信装置およびそれを用いた送受信システム

【課題】複数のアンテナ素子を容易に実装可能な送信装置を提供する。
【解決手段】E/O変換器11〜14は、送信信号を相互に異なる波長λ〜λを有する光信号OSG1〜OSG4に変換する。光結合器20は、光信号OSG1〜OSG4を重畳して光信号OSGを光ファイバ30へ入射する。光分離器40は、光信号OSGを光信号OSG1〜OSG4に分離し、それぞれ光ファイバ41〜44へ入射する。光バンドパスフィルタ45〜48は、それぞれ、光信号OSG1〜OSG4のノイズを除去し、O/E変換器53〜56は、それぞれ、光信号OSG1〜OSG4を電気信号ESG1〜ESG4に変換し、アンテナ素子57〜60は、それぞれ、電気信号ESG1〜ESG4に基づいて、電波を放射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送信装置およびそれを用いた送受信システムに関し、特に、MIMO(Multi−Input Multi−Output)によって信号を送信する送信装置およびそれを用いた送受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報を高能率に伝送する送受信システムとして、MIMOを用いた送受信システムが知られている(非特許文献1)。このMIMOを用いた送受信システムは、N本のアンテナ素子を有する送信機と、M本のアンテナ素子を有する受信機とを備える。
【0003】
N本のアンテナ素子およびM本のアンテナ素子は、N本のアンテナ素子とM本のアンテナ素子との距離よりも十分に大きい間隔で直線状に配置される。そして、送信機は、N本のアンテナ素子を用いて送信信号(電波)を送信する。受信機は、N本のアンテナ素子から送信された電波をM本のアンテナ素子によって受信し、M本のアンテナ素子の各々によって受信した受信電波に重み係数を乗算し、N本のアンテナ素子の各々から送信された信号を検出する。そして、受信機は、その検出した信号に基づいて送信信号を取得する。
【非特許文献1】Yoshio KARASAWA,“MIMO伝搬チャネルモデリング,”電子情報通信学会論文誌 B Vol.J86−B No.9 pp.1706−1720 2003年9月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のMIMOを用いた送受信システムにおいて、信号の伝送速度を向上させるためには、送信機および受信機におけるアンテナ素子の個数を増加させる必要があり、アンテナ素子数を増加させた状態でMIMOの効果を発揮させようとすると、アンテナ素子の配置間隔を大きくする必要がある。その結果、複数のアンテナ素子を実装することが困難であるという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のアンテナ素子を容易に実装可能な送信装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、複数のアンテナ素子を容易に実装可能な送信装置を用いた送受信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、送信装置は、導波路と、送信機と、第1および第2の信号変換器と、複数のアンテナ素子とを備える。導波路は、光信号を伝搬させる。送信機は、送信信号を生成する。第1の信号変換器は、送信機からの送信信号を相互に識別可能な複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を導波路に入射する。複数のアンテナ素子は、複数の光信号に対応して設けられる。第2の信号変換器は、導波路中を伝搬した複数の光信号を受けるとともに、その受けた複数の光信号を相互に分離し、その分離した複数の光信号を複数の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に供給する。
【0008】
好ましくは、第1の信号変換器は、送信信号を相互に異なる波長を有する複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を1つの光信号として導波路に入射する。第2の信号変換器は、導波路中を伝搬した光信号を受け、その受けた光信号を複数の光信号に分離する。
【0009】
好ましくは、第1の信号変換器は、送信信号を同じ波長を有する複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を相互に異なる複数の拡散符号によって拡散し、その複数の光信号を1つの光信号として符号分割で導波路へ入射する。第2の信号変換器は、導波路中を伝搬した複数の光信号を順次受け、その受けた複数の光信号を複数の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に順次供給する。
【0010】
好ましくは、第1の信号変換器は、送信信号を相互に異なる複数の拡散符号によって拡散して複数の電気信号を生成し、その生成した複数の電気信号を同じ波長を有する複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を1つの光信号として導波路へ入射する。第2の信号変換器は、導波路中を伝搬した複数の光信号を受け、その受けた複数の光信号をそれぞれ複数の拡散符号によって逆拡散し、その逆化拡散した複数の光信号を複数の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に供給する。
【0011】
また、この発明によれば、送受信システムは、送信装置と受信装置とを備える。送信装置は、送信信号を送信する。受信装置は、n(nは2以上の整数)個のアンテナ素子を用いて送信信号を受信する。そして、送信装置は、導波路と、送信機と、第1および第2の信号変換器と、m(mは2以上の整数)個のアンテナ素子とを含む。導波路は、光信号を伝搬させる。送信機は、送信信号を生成する。第1の信号変換器は、送信機からの送信信号を相互に識別可能なm個の光信号に変換し、その変換したm個の光信号を導波路に入射する。m個のアンテナ素子は、m個の光信号に対応して設けられる。第2の信号変換器は、導波路中を伝搬したm個の光信号を受けるとともに、その受けた複数の光信号を相互に分離し、その分離したm個の光信号をm個の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に供給する。
【0012】
好ましくは、第1の信号変換器は、送信信号を相互に異なる波長を有するm個の光信号に変換し、その変換したm個の光信号を1つの光信号として導波路に入射する。第2の信号変換器は、 導波路中を伝搬した光信号を受け、その受けた光信号をm個数の光信号に分離する。
【0013】
好ましくは、第1の信号変換器は、送信信号を同じ波長を有するm個の光信号に変換し、その変換したm個の光信号を時分割で導波路へ順次入射する。第2の信号変換器は、導波路中を伝搬したm個の光信号を順次受け、その受けたm個の光信号をm個の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に順次供給する。
【0014】
好ましくは、第1の信号変換器は、送信信号を同じ波長を有する複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を相互に異なるm個の拡散符号によって拡散し、その変換したm個の光信号を1つの光信号として符号分割で導波路へ入射する。第2の信号変換器は、導波路中を伝搬したm個の光信号を受け、その受けたm個の光信号をそれぞれm個の拡散符号によって逆拡散し、その逆拡散したm個の光信号をm個の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に供給する。
【0015】
好ましくは、送信信号の伝送速度が第1の伝送速度であるときのm個のアンテナ素子の間隔を第1の間隔とし、送信信号の伝送速度が第1の伝送速度よりも低い第2の伝送速度であるときの前m個のアンテナ素子の間隔を第2の間隔としたとき、m個のアンテナ素子は、第2の間隔で配置される。
【発明の効果】
【0016】
この発明においては、送信信号を相互に識別可能な複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を導波路によって伝搬させ、複数の光信号を複数の電気信号に変換して複数のアンテナ素子を用いて送信する。その結果、複数の光信号を複数の導波路を用いて伝播させたのと同等の効果が得られ、送信機と複数のアンテナ素子とを殆ど1個の導波路によって接続できる。
【0017】
したがって、この発明によれば、複数のアンテナ素子を容易に実装できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による送受信システムの構成を示す概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による送受信システム1000は、送信装置100と、受信装置200とを備える。
【0020】
送信装置100は、送信機10と、E/O変換器11〜14と、光ファイバ15〜18,30,41〜44,49〜51と、光結合器20と、光分離器40と、光バンドパスフィルタ45〜48と、O/E変換器53〜56と、アンテナ素子57〜60とを含む。
【0021】
光ファイバ15は、一方端がE/O変換器11に接続され、他方端が光結合器20に接続される。光ファイバ16は、一方端がE/O変換器12に接続され、他方端が光結合器20に接続される。光ファイバ17は、一方端がE/O変換器13に接続され、他方端が光結合器20に接続される。光ファイバ18は、一方端がE/O変換器14に接続され、他方端が光結合器20に接続される。
【0022】
光ファイバ30は、一方端が光結合器20に接続され、他方端が光分離器40に接続される。
【0023】
光ファイバ41は、一方端が光分離器40に接続され、他方端が光バンドパスフィルタ45に接続される。光ファイバ42は、一方端が光分離器40に接続され、他方端が光バンドパスフィルタ46に接続される。光ファイバ43は、一方端が光分離器40に接続され、他方端が光バンドパスフィルタ47に接続される。光ファイバ44は、一方端が光分離器40に接続され、他方端が光バンドパスフィルタ48に接続される。
【0024】
光ファイバ49は、一方端が光バンドパスフィルタ45に接続され、他方端がO/E変換器53に接続される。光ファイバ50は、一方端が光バンドパスフィルタ46に接続され、他方端がO/E変換器54に接続される。光ファイバ51は、一方端が光バンドパスフィルタ47に接続され、他方端がO/E変換器55に接続される。光ファイバ52は、一方端が光バンドパスフィルタ48に接続され、他方端がO/E変換器56に接続される アンテナ素子57〜60は、それぞれ、O/E変換器53〜56に接続される。
【0025】
送信機10は、送信信号を生成し、その生成した送信信号をE/O変換器11〜14へ出力する。
【0026】
E/O変換器11〜14は、送信機10から受けた送信信号を電気信号からそれぞれ波長λ〜λを有する光信号OSG1〜OSG4に変換する。そして、E/O変換器11〜14は、その変換した光信号OSG1〜OSG4をそれぞれ光ファイバ15〜18を介して光結合器20へ供給する。
【0027】
光結合器20は、それぞれ、光ファイバ15〜18を介して光信号OSG1〜OSG4を受け、その受けた光信号OSG1〜OSG4を重ね合わせることによって光信号OSG1〜OSG4を結合して光信号OSGを生成する。そして、光結合器20は、その生成した光信号OSGを光ファイバ30へ入射する。
【0028】
光ファイバ30は、光信号OSGを光結合器20から光分離器40へ伝搬させる。光分離器40は、光信号OSGを光信号OSG1〜OSG4に分離する。そして、光分離器40は、光信号OSG1を光ファイバ41を介して光バンドパスフィルタ45へ供給する。また、光分離器40は、光信号OSG2を光ファイバ42を介して光バンドパスフィルタ46へ供給する。さらに、光分離器40は、光信号OSG3を光ファイバ43を介して光バンドパスフィルタ47へ供給する。さらに、光分離器40は、光信号OSG4を光ファイバ44を介して光バンドパスフィルタ48へ供給する。
【0029】
光バンドパスフィルタ45は、光ファイバ41を介して光信号OSG1を受け、その受けた光信号OSG1の波長λ以外の成分であるノイズを除去し、そのノイズを除去した光信号OSG1を光ファイバ49を介してO/E変換器53へ供給する。
【0030】
光バンドパスフィルタ46は、光ファイバ42を介して光信号OSG2を受け、その受けた光信号OSG2の波長λ以外の成分であるノイズを除去し、そのノイズを除去した光信号OSG2を光ファイバ50介してO/E変換器54へ供給する。
【0031】
光バンドパスフィルタ47は、光ファイバ43を介して光信号OSG3を受け、その受けた光信号OSG3の波長λ以外の成分であるノイズを除去し、そのノイズを除去した光信号OSG3を光ファイバ51介してO/E変換器55へ供給する。
【0032】
光バンドパスフィルタ48は、光ファイバ44を介して光信号OSG4を受け、その受けた光信号OSG4の波長λ以外の成分であるノイズを除去し、そのノイズを除去した光信号OSG4を光ファイバ52介してO/E変換器56へ供給する。
【0033】
光ファイバ49〜52は、それぞれ、光信号OSG1〜OSG4を光バンドパスフィルタ45〜48からO/E変換器53〜56へ伝搬させる。
【0034】
O/E変換器53は、光ファイバ49を介して光信号OSG1を受け、その受けた光信号OSG1を電気信号ESG1に変換し、その変換した電気信号ESG1をアンテナ素子57に供給する。
【0035】
O/E変換器54は、光ファイバ50を介して光信号OSG2を受け、その受けた光信号OSG2を電気信号ESG2に変換し、その変換した電気信号ESG2をアンテナ素子58に供給する。
【0036】
O/E変換器55は、光ファイバ51を介して光信号OSG3を受け、その受けた光信号OSG3を電気信号ESG3に変換し、その変換した電気信号ESG3をアンテナ素子59に供給する。
【0037】
O/E変換器56は、光ファイバ52を介して光信号OSG4を受け、その受けた光信号OSG4を電気信号ESG4に変換し、その変換した電気信号ESG4をアンテナ素子60に供給する。
【0038】
アンテナ素子57〜60は、それぞれ、電気信号ESG1〜ESG4に基づいて電波wv1〜wv4を放射する。
【0039】
受信装置200は、アンテナ素子201〜204と、受信機210とを含む。アンテナ素子201〜204は、アンテナ素子57〜60から放射された電波を受信し、その受信した受信電波を受信機210へ供給する。
【0040】
受信機210は、アンテナ素子201〜204から受けた4個の電波に基づいて、公知の方法によって受信処理を行ない、受信信号を取得する。
【0041】
図2は、送信装置100の複数のアンテナ素子の配置間隔による通信特性の変化を実験する方法を説明するための図である。図2を参照して、パーソナルコンピュータPC1は、イーサネット(登録商標)ケーブルEthによってアクセスポイントAPに接続される。
【0042】
アクセスポイントAPは、アンテナANT1〜ANT3に接続される。アンテナANT1〜ANT3は、直線状に配置される。パーソナルコンピュータPC2は、アンテナANT4〜ANT6を備える。
【0043】
そして、アンテナANT1〜ANT3間の間隔dおよびアンテナANT1〜ANT3とアンテナANT4〜ANT6との間の距離rを変化させて無線通信の通信特性が測定された。
【0044】
また、実験に用いた通信仕様を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
さらに、各実験における通信プロトコル、距離rおよび間隔dを表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
図3は、受信レートと送信レートとの関係を示す図である。図3において、縦軸は、受信レートを表し、横軸は、送信レートを表す。また、曲線k1〜k4は、それぞれ、実験ID.1〜ID.4における受信レートと送信レートとの関係を示す。
【0049】
実験ID.1においては、IEEE802.11gが用いられているため、受信レートは、送信レートの上昇に伴ってIEEE802.11gの上限速度で飽和する(曲線k1参照)。
【0050】
実験ID.2,ID.4においては、受信レートは、送信レートの上昇に対してほぼ線形に増加する(曲線k2,k4参照)。また、実験ID.3においては、受信レートは、送信レートが60Mbpsまでは、送信レートにほぼ比例して上昇し、送信レートが60Mbps以上になると、飽和する(曲線k3参照)。
【0051】
その結果、IEEE802.11nを用いた場合において、アンテナANT1〜ANT3間の間隔dを0.05mに保持したまま、距離rを1mから9mに変化させると、受信レートが60Mbps以上の送信レートに対して飽和するようになる(曲線k2,k3参照)。
【0052】
しかし、受信レートは、60Mbps以下の送信レートに対しては、送信レートの上昇に伴って線形に上昇しており、アンテナANT1〜ANT3の間隔を2mに設定したときの特性とほぼ同じであるので(曲線k3,k4参照)、アンテナANT1〜ANT3を0.05mの間隔で集中配置しても通信品質の低下を抑制して無線通信を行なうことができる(曲線k3,k4参照)。
【0053】
次に、シミュレーションによる評価について説明する。図4は、シミュレーションに用いた送信機および受信機の配置パターンを示す図である。図4を参照して、パターンaは、受信アンテナが4個であり、送信アンテナが1個であるパターンである。また、パターンbは、4個の送信アンテナを集中配置したパターンである。さらに、パターンcは、送信アンテナが空間的に分散されたパターンである。
【0054】
さらに、シミュレーションに用いたパラメータを表3に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
図5は、シミュレーション結果を示す図である。図5において、縦軸は、複数の端末装置の伝送速度を周波数帯域幅で除算したもの(=伝送速度に相当)を表し、横軸は、受信アンテナにおける受信信号と雑音エネルギーとの比を表す。
【0057】
また、曲線k5〜k7は、それぞれ、パターンa、パターンbおよびパターンcにおける特性を示す。
【0058】
図5を参照して、パターンcの場合、送信アンテナが分散配置されているため、伝送速度は、受信信号/雑音エネルギー比の増加に対して上昇し、飽和する(曲線k7参照)。また、パターンbの場合、送信アンテナを集中配置しているにも拘わらず、パターンcにおける伝送速度からの低下は、小さい(曲線k6,k7参照)。
【0059】
一方、パターンaの場合、パターンcにおける伝送速度からの低下は、大きい(曲線k5,k7参照)。
【0060】
このように、複数のアンテナを分散配置すれば、通信特性は、最も良くなり(曲線k7参照)、複数のアンテナを集中配置しても、通信特性の低下は、小さいので(曲線k6,k7参照)、送受信システム1000においては、送信装置100のアンテナ素子57〜60を分散配置または集中配置する。
【0061】
アンテナ素子57〜60を分散配置しても、E/O変換器11〜14とアンテナ素子57〜60との間に配置する光ファイバは、殆どが1本の光ファイバ30によって占められるので、従来のように複数のアンテナ素子を分散配置する場合のように送信機と複数のアンテナ素子との間に多くのケーブルを配置する必要がなく、複数のアンテナ素子を容易に実装できる。
【0062】
このように、送受信システム1000においては、送信装置100におけるE/O変換器11〜14とアンテナ素子57〜60との間を殆ど1本の光ファイバ30によって結合することを第1の特徴とする。
【0063】
また、E/O変換器11〜14によって送信信号を相互に異なる波長λ〜λを有する光信号OSG1〜OSG4に変換し、その変換した光信号OSG1〜OSG4を重畳して光信号OSGを光ファイバ30に入射するとともに、光ファイバ30を伝搬した光信号OSGを光分離器40によって光信号OSG1〜OSG4に分離してアンテナ素子57〜60に導くので、実質的には、E/O変換器11〜14からアンテナ素子57〜60まで4本の光ファイバを用いて光信号を伝搬させたのと同等となり、アンテナ素子57〜60を集中配置しても、通信特性の低下が少なくなる。
【0064】
したがって、実施の形態1においては、E/O変換器11〜14によって送信信号を相互に異なる波長λ〜λを有する光信号OSG1〜OSG4に変換し、その変換した光信号OSG1〜OSG4を重畳して光信号OSGを光ファイバ30に入射することを第2の特徴とする。
【0065】
アンテナ素子57〜60を分散配置したときの伝送速度(図5の曲線k7参照)を第1の伝送速度とし、アンテナ素子57〜60を分散配置したときの間隔(=2m、表2のID.4参照)を第1の間隔としたとき、第1の伝送速度よりも低い第2の伝送速度(図5の曲線k6参照)が得られるようにアンテナ素子57〜60の間隔を第1の間隔よりも狭い第2の間隔に設定してアンテナ素子57〜60を集中配置する。
【0066】
送受信システム1000において、送信機10から受信機210へ信号を送信する場合、送信機10は、送信信号s1,s2,s3,s4,s5,s6,s7,s8を次のようにE/O変換器11〜14へ出力する。
【0067】
すなわち、送信機10は、送信信号s1,s2,s3,s4をそれぞれE/O変換器11〜14へ出力し、その後、送信信号s5,s6,s7,s8をそれぞれE/O変換器11〜14へ出力する。このように、送信機10は、送信信号を並列して送信するように送信信号をE/O変換器11〜14へ出力する。
【0068】
そして、E/O変換器11は、信号s1,s5を電気信号から光信号OSG1に順次変換して光結合器20へ導く。また、E/O変換器12は、信号s2,s6を電気信号から光信号OSG2に順次変換して光結合器20へ導く。さらに、E/O変換器13は、信号s3,s7を電気信号から光信号OSG3に順次変換して光結合器20へ導く。さらに、E/O変換器14は、信号s4,s8を電気信号から光信号OSG4に順次変換して光結合器20へ導く。
【0069】
光結合器20は、それぞれ、光ファイバ15〜18を介して光信号OSG1〜OSG4を受け、その受けた光信号OSG1〜OSG4を重畳して光信号OSGを光ファイバ30に入射する。
【0070】
そして、光ファイバ30は、光信号OSGを光結合器20から光分離器40まで伝搬させ、光分離器40は、光信号OSGを光信号OSG1〜OSG4に分離する。そして、光分離器40は、その分離した光信号OSG1を光ファイバ41を介して光バンドパスフィルタ45へ出力し、その分離した光信号OSG2を光ファイバ42を介して光バンドパスフィルタ46へ出力し、その分離した光信号OSG3を光ファイバ43を介して光バンドパスフィルタ47へ出力し、その分離した光信号OSG4を光ファイバ44を介して光バンドパスフィルタ48へ出力する。
【0071】
光バンドパスフィルター45は、光信号OSG1以外の光信号OSG2,OSG3,OSG4を除去し、その光信号OSG1を光ファイバ49を介してO/E変換器53へ出力する。また、光バンドパスフィルター46は、光信号OSG2以外の光信号OSG1,OSG3,OSG4を除去し、その光信号OSG2を光ファイバ50を介してO/E変換器54へ出力する。さらに、光バンドパスフィルター47は、光信号OSG3以外の光信号OSG1,OSG2,OSG4を除去し、その光信号OSG3を光ファイバ51を介してO/E変換器55へ出力する。さらに、光バンドパスフィルター48は、光信号OSG4以外の光信号OSG1,OSG2,OSG3を除去し、その光信号OSG4を光ファイバ52を介してO/E変換器56へ出力する。
【0072】
O/E変換器53は、光信号OSG1を電気信号ESG1に変換してアンテナ素子57へ出力する。また、O/E変換器54は、光信号OSG2を電気信号ESG2に変換してアンテナ素子58へ出力する。さらに、O/E変換器55は、光信号OSG3を電気信号ESG3に変換してアンテナ素子59へ出力する。さらに、O/E変換器56は、光信号OSG4を電気信号ESG4に変換してアンテナ素子60へ出力する。
【0073】
そして、アンテナ素子57〜60は、それぞれ、電気信号ESG1〜ESG4に基づいて、電波wv1〜wv4を放射する。
【0074】
受信装置200のアンテナ素子201〜204は、送信装置100のアンテナ素子57〜60から放射された電波を受信し、その受信した電波を受信機210へ出力する。そして、受信機210は、アンテナ素子201〜204から受けた電波に基づいて、受信処理を行い、送信機10から送信された送信信号を受信する。
【0075】
実施の形態1によれば、送信信号を相互に波長が異なる光信号OSG1〜OSG4に変換し、その変換した光信号OSG1〜OSG4を重畳して光信号OSGを1本の光ファイバ30に入射してアンテナ素子57〜60に導くので、送信機10とアンテナ素子57〜60との間を殆ど1本の光ファイバ30によって接続でき、複数のアンテナ素子を容易に実装できる。
【0076】
また、送信信号を異なる波長の光信号OSG1〜OSG4に変換して1本の光ファイバ30中を伝搬させるので、4本の光ファイバを用いて光信号OSG1〜OSG4を送信機10からアンテナ素子57〜60まで伝搬させたのと同等の効果が得られ、アンテナ素子57〜60を集中配置しても、通信特性の低下を最小限に抑制できる。
【0077】
さらに、送信機10からアンテナ素子57〜60までを1本の光ファイバ30によって信号を伝搬させるので、通信帯域を広くできる。
【0078】
[実施の形態2]
図6は、実施の形態2による送受信システムの構成を示す概略図である。図6を参照して、実施の形態2による送受信システム1000Aは、図1に示す送受信システム1000の送信装置100を送信装置100Aに代えたものであり、その他は、送受信システム1000と同じである。
【0079】
送信装置100Aは、図1に示す送信装置100の光ファイバ49〜52を削除し、E/O変換器11〜14をそれぞれE/O変換器11A〜14Aに代え、光結合器20を光スイッチ20Aに代え、光分離器40を光スイッチ40Aに代え、光バンドパスフィルタ45〜48をバンドパスフィルタ61〜64に代えたものであり、その他は、送信装置100と同じである。
【0080】
光スイッチ20Aは、光ファイバ15〜18と光ファイバ30との間に配置され、光ファイバ30の一方端に接続される。光スイッチ40Aは、光ファイバ30と光ファイバ41〜44との間に配置され、光ファイバ30の他方端に接続される。
【0081】
バンドパスフィルタ61は、O/E変換器53とアンテナ素子57との間に配置され、バンドパスフィルタ62は、O/E変換器54とアンテナ素子58との間に配置され、バンドパスフィルタ63は、O/E変換器55とアンテナ素子59との間に配置され、バンドパスフィルタ64は、O/E変換器56とアンテナ素子60との間に配置される。
【0082】
なお、送信装置100Aにおいては、O/E変換器53〜56は、それぞれ、光ファイバ41〜44の他方端に接続される。
【0083】
E/O変換器11A〜14Aは、それぞれ、送信信号を同じ波長を有する光信号OSG1〜OSG4に変換し、その変換した光信号OSG1〜OSG4をそれぞれ光ファイバ15〜18へ入射する。
【0084】
光スイッチ20Aは、光ファイバ15〜18中を伝搬した光信号OSG1〜OSG4を時分割で光ファイバ30へ導く。
【0085】
光スイッチ40Aは、光ファイバ30中を伝搬した光信号OSG1〜OSG4を時分割でそれぞれ光ファイバ41〜44中へ導く。
【0086】
バンドパスフィルタ61は、O/E変換器53から受けた電気信号ESG1のノイズを除去するとともに、O/E変換器53から順次受けた複数の電気信号ESG1を連結してアンテナ素子57へ出力する。
【0087】
バンドパスフィルタ62は、O/E変換器54から受けた電気信号ESG2のノイズを除去するとともに、O/E変換器54から順次受けた複数の電気信号ESG2を連結してアンテナ素子58へ出力する。
【0088】
バンドパスフィルタ63は、O/E変換器55から受けた電気信号ESG3のノイズを除去するとともに、O/E変換器55から順次受けた複数の電気信号ESG3を連結してアンテナ素子59へ出力する。
【0089】
バンドパスフィルタ64は、O/E変換器56から受けた電気信号ESG4のノイズを除去するとともに、O/E変換器56から順次受けた複数の電気信号ESG4を連結してアンテナ素子60へ出力する。
【0090】
なお、光スイッチ20Aが光信号OSG1〜OSG4を選択する順番と、光スイッチ40Aが光ファイバ30中を伝搬した光信号OSG1〜OSG4を光ファイバ41〜44へ導く順番とは、光ファイバ15〜18中をそれぞれ伝搬した光信号OSG1〜OSG4が、それぞれ、光ファイバ41〜44へ入射するように決定されており、予め、光スイッチ20A,40Aに設定されている。
【0091】
送信装置100Aにおいては、E/O変換器11A〜14Aによって生成された光信号OSG1〜OSG4を光スイッチ20Aによって時間的に分離して1本の光ファイバ30中を伝搬させ、光ファイバ30中を伝搬した光信号OSG1〜OSG4を光スイッチ40Aによってそれぞれアンテナ素子57〜60の系に分離するので、送信機10とアンテナ素子57〜60との間を4本の光ファイバによって光信号OSG1〜OSG4を伝搬させたのと同等となり、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0092】
送受信システム1000Aにおける通信動作について説明する。送信機10は、送信信号s1,s2,s3,s4をそれぞれE/O変換器11A〜14Aへ出力し、その後、送信信号s5,s6,s7,s8をそれぞれE/O変換器11A〜14Aへ出力する。
【0093】
そして、E/O変換器11Aは、信号s1,s5を電気信号から光信号OSG1に順次変換して光ファイバ15へ入射する。また、E/O変換器12Aは、信号s2,s6を電気信号から光信号OSG2に順次変換して光ファイバ16へ入射する。さらに、E/O変換器13Aは、信号s3,s7を電気信号から光信号OSG3に順次変換して光ファイバ17へ入射する。さらに、E/O変換器14Aは、信号s4,s8を電気信号から光信号OSG4に順次変換して光ファイバ18へ入射する。
【0094】
光スイッチ20Aは、それぞれ、光ファイバ15〜18を介して光信号OSG1〜OSG4を、たとえば、光信号OSG1、光信号OSG2、光信号OSG3および光信号OSG4の順番で選択し、その選択した光信号OSG1、光信号OSG2、光信号OSG3および光信号OSG4を光ファイバ30へ順次入射する。
【0095】
そして、光ファイバ30は、光信号OSG1、光信号OSG2、光信号OSG3および光信号OSG4を光スイッチ20Aから光スイッチ40Aまで順次伝搬させる。光スイッチ40Aは、光信号OSG1、光信号OSG2、光信号OSG3および光信号OSG4を順次選択し、その選択した光信号OSG1、光信号OSG2、光信号OSG3および光信号OSG4をそれぞれ光ファイバ41〜44へ順次入射する。
【0096】
O/E変換器53は、光信号OSG1を電気信号ESG1に変換してバンドパスフィルタ61へ出力する。また、O/E変換器54は、光信号OSG2を電気信号ESG2に変換してバンドパスフィルタ62へ出力する。さらに、O/E変換器55は、光信号OSG3を電気信号ESG3に変換してバンドパスフィルタ63へ出力する。さらに、O/E変換器56は、光信号OSG4を電気信号ESG4に変換してバンドパスフィルタ64へ出力する。
【0097】
バンドパスフィルタ61は、電気信号ESG1のノイズを除去するとともに、連結してアンテナ素子57へ出力する。また、バンドパスフィルタ62は、電気信号ESG2のノイズを除去するとともに、連結してアンテナ素子58へ出力する。さらに、バンドパスフィルタ63は、電気信号ESG3のノイズを除去するとともに、連結してアンテナ素子59へ出力する。さらに、バンドパスフィルタ64は、電気信号ESG4のノイズを除去するとともに、連結してアンテナ素子60へ出力する。
【0098】
そして、アンテナ素子57〜60は、それぞれ、電気信号ESG1〜ESG4に基づいて、電波wv1〜wv4を放射する。
【0099】
受信装置200のアンテナ素子201〜204は、送信装置100Aのアンテナ素子57〜60から放射された電波を受信し、その受信した電波を受信機210へ出力する。そして、受信機210は、アンテナ素子201〜204から受けた電波に基づいて、受信処理を行い、送信機10から送信された送信信号を受信する。
【0100】
実施の形態2によれば、送信信号を波長が同じ光信号OSG1〜OSG4に変換し、その変換した光信号OSG1〜OSG4を時分割で1本の光ファイバ30に入射してアンテナ素子57〜60に導くので、送信機10とアンテナ素子57〜60との間を殆ど1本の光ファイバ30によって接続でき、複数のアンテナ素子を容易に実装できる。
【0101】
また、光信号OSG1〜OSG4を時分割で1本の光ファイバ30中を伝搬させるので、4本の光ファイバを用いて光信号OSG1〜OSG4を送信機10からアンテナ素子57〜60まで伝搬させたのと同等の効果が得られ、アンテナ素子57〜60を集中配置しても、通信特性の低下を最小限に抑制できる。
【0102】
さらに、送信機10からアンテナ素子57〜60までを1本の光ファイバ30によって信号を伝搬させるので、通信帯域を広くできる。
【0103】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0104】
[実施の形態3]
図7は、実施の形態3による送受信システムの構成を示す概略図である。図7を参照して、実施の形態3による送受信システム1000Bは、図1に示す送受信システム1000の送信装置100を送信装置100Bに代えたものであり、その他は、送受信システム1000と同じである。
【0105】
送信装置100Bは、図1に示す送信装置100のE/O変換器11〜14をそれぞれE/O変換器11A〜14Aに代え、光バンドパスフィルタ45〜48をそれぞれ符号器73〜76に代え、光ファイバ65〜68および符号器69〜72を追加したものであり、その他は、送信装置100と同じである。
【0106】
光ファイバ65は、一方端がE/O変換器11Aに接続され、他方端が符号器69に接続される。光ファイバ66は、一方端がE/O変換器12Aに接続され、他方端が符号器70に接続される。光ファイバ67は、一方端がE/O変換器13Aに接続され、他方端が符号器71に接続される。光ファイバ68は、一方端がE/O変換器14Aに接続され、他方端が符号器72に接続される。
【0107】
符号器69は、E/O変換器11Aと光ファイバ15との間に配置される。符号器70は、E/O変換器12Aと光ファイバ16との間に配置される。符号器71は、E/O変換器13Aと光ファイバ17との間に配置される。符号器72は、E/O変換器14Aと光ファイバ18との間に配置される。
【0108】
符号器73は、光ファイバ41と光ファイバ49との間に配置される。符号器74は、光ファイバ42と光ファイバ50との間に配置される。符号器75は、光ファイバ43と光ファイバ51との間に配置される。符号器76は、光ファイバ44と光ファイバ52との間に配置される。
【0109】
バンドパスフィルタ61は、O/E変換器53とアンテナ素子57との間に配置される。バンドパスフィルタ62は、O/E変換器54とアンテナ素子58との間に配置される。バンドパスフィルタ63は、O/E変換器55とアンテナ素子59との間に配置される。バンドパスフィルタ64は、O/E変換器56とアンテナ素子60との間に配置される。
【0110】
E/O変換器11A〜14Aは、それぞれ、送信機10からの送信信号を波長が同じである光信号OSG1〜OSG4に変換し、その変換した光信号OSG1〜OSG4を光ファイバ65〜68を介して符号器69〜72へ出力する。
【0111】
光ファイバ65〜68は、それぞれ、光信号OSG1〜OSG4をE/O変換器11A〜14Aから符号器69〜72まで伝搬させる。
【0112】
符号器69は、光信号OSG1を拡散符号c1によって拡散し、その拡散した光信号OSG1_cを光ファイバ15へ入射する。符号器70は、光信号OSG2を拡散符号c2によって拡散し、その拡散した光信号OSG2_cを光ファイバ16へ入射する。符号器71は、光信号OSG3を拡散符号c3によって拡散し、その拡散した光信号OSG3_cを光ファイバ17へ入射する。符号器72は、光信号OSG4を拡散符号c4によって拡散し、その拡散した光信号OSG4_cを光ファイバ18へ入射する。
【0113】
符号器73は、光ファイバ41中を伝搬した光信号OSG1_cを拡散符号c1に逆拡散し、その逆拡散した光信号OSG1を光ファイバ49を介してO/E変換器53へ出力する。
【0114】
符号器74は、光ファイバ42中を伝搬した光信号OSG2_cを拡散符号c2に逆拡散し、その逆拡散した光信号OSG2を光ファイバ50を介してO/E変換器54へ出力する。
【0115】
符号器75は、光ファイバ43中を伝搬した光信号OSG3_cを拡散符号c3に逆拡散し、その逆拡散した光信号OSG3を光ファイバ51を介してO/E変換器55へ出力する。
【0116】
符号器76は、光ファイバ44中を伝搬した光信号OSG4_cを拡散符号c4に逆拡散し、その逆拡散した光信号OSG4を光ファイバ52を介してO/E変換器56へ出力する。
【0117】
バンドパスフィルタ61〜64は、実施の形態2において説明した機能と同じ機能を果たす。
【0118】
なお、送信装置100Bにおいては、光結合器20は、光信号OSG1_c〜OSG4_cを重畳して光信号OSG_cを光ファイバ30へ入射する。また、光分離器40は、光ファイバ30中を伝搬した光信号OSG_cを光信号OSG1_c〜OSG4_cに分離し、その分離した光信号OSG1_c〜OSG4_cをそれぞれ光ファイバ41〜44へ入射する。
【0119】
送信装置100Bにおいては、E/O変換器11A〜14Aによって生成された光信号OSG1〜OSG4を相互に異なる拡散符合c1〜c4によって光信号OSG1_c〜OSG4_cに変換し、その変換した光信号OSG1_c〜OSG4_cを重畳して光信号OSG_cを1本の光ファイバ30中を伝搬させ、光ファイバ30中を伝搬した光信号OSG_cを光分離器40によって光信号OSG1_c〜OSG4_cに分離するので、送信機10とアンテナ素子57〜60との間を4本の光ファイバによって光信号OSG1〜OSG4を伝搬させたのと同等となり、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0120】
送受信システム1000Bにおける通信動作について説明する。送信機10は、送信信号s1,s2,s3,s4をそれぞれE/O変換器11A〜14Aへ出力し、その後、送信信号s5,s6,s7,s8をそれぞれE/O変換器11A〜14Aへ出力する。
【0121】
そして、E/O変換器11Aは、信号s1,s5を電気信号から光信号OSG1に順次変換して符号器69へ出力する。また、E/O変換器12Aは、信号s2,s6を電気信号から光信号OSG2に順次変換して符号器70へ出力する。さらに、E/O変換器13Aは、信号s3,s7を電気信号から光信号OSG3に順次変換して符号器71へ出力する。さらに、E/O変換器14aは、信号s4,s8を電気信号から光信号OSG4に順次変換して符号器72へ出力する。
【0122】
符号器69は、光信号OSG1を拡散符号c1によって拡散し、その拡散した光信号OSG1_cを光ファイバ15へ入射する。符号器70は、光信号OSG2を拡散符号c2によって拡散し、その拡散した光信号OSG2_cを光ファイバ16へ入射する。符号器71は、光信号OSG3を拡散符号c3によって拡散し、その拡散した光信号OSG3_cを光ファイバ17へ入射する。符号器72は、光信号OSG4を拡散符号c4によって拡散し、その拡散した光信号OSG4_cを光ファイバ18へ入射する。
【0123】
光結合器20は、それぞれ、光ファイバ15〜18を介して光信号OSG1_c〜OSG4_cを受け、その受けた光信号OSG1_c〜OSG4_cを重畳して光信号OSG_cを光ファイバ30に入射する。
【0124】
そして、光ファイバ30は、光信号OSG_cを光結合器20から光分離器40まで伝搬させ、光分離器40は、光信号OSG_cを光信号OSG1_c〜OSG4_cに分離する。そして、光分離器40は、その分離した光信号OSG1_cを光ファイバ41を介して符号器73へ出力し、その分離した光信号OSG2_cを光ファイバ42を介して符号器74へ出力し、その分離した光信号OSG3_cを光ファイバ43を介して符号器75へ出力し、その分離した光信号OSG4_cを光ファイバ44を介して符号器76へ出力する。
【0125】
符号器73は、光信号OSG1_cを拡散符号c1によって逆拡散し、その逆拡散した光信号OSG1を光ファイバ49を介してO/E変換器53へ出力する。また、符号器74は、光信号OSG2_cを拡散符号c2によって逆拡散し、その逆拡散した光信号OSG2を光ファイバ50を介してO/E変換器54へ出力する。さらに、符号器75は、光信号OSG3_cを拡散符号c3によって逆拡散し、その逆拡散した光信号OSG3を光ファイバ51を介してO/E変換器55へ出力する。さらに、符号器76は、光信号OSG4_cを拡散符号c4によって逆拡散し、その逆拡散した光信号OSG4を光ファイバ52を介してO/E変換器56へ出力する。
【0126】
O/E変換器53は、光信号OSG1を電気信号ESG1に変換してバンドパスフィルタ61へ出力する。また、O/E変換器54は、光信号OSG2を電気信号ESG2に変換してバンドパスフィルタ62へ出力する。さらに、O/E変換器55は、光信号OSG3を電気信号ESG3に変換してバンドパスフィルタ63へ出力する。さらに、O/E変換器56は、光信号OSG4を電気信号ESG4に変換してバンドパスフィルタ64へ出力する。
【0127】
バンドパスフィルタ61は、電気信号ESG1のノイズを除去するとともに、連結してアンテナ素子57へ出力する。また、バンドパスフィルタ62は、電気信号ESG2のノイズを除去するとともに、連結してアンテナ素子58へ出力する。さらに、バンドパスフィルタ63は、電気信号ESG3のノイズを除去するとともに、連結してアンテナ素子59へ出力する。さらに、バンドパスフィルタ64は、電気信号ESG4のノイズを除去するとともに、連結してアンテナ素子60へ出力する。
【0128】
そして、アンテナ素子57〜60は、それぞれ、電気信号ESG1〜ESG4に基づいて、電波wv1〜wv4を放射する。
【0129】
受信装置200のアンテナ素子201〜204は、送信装置100Bのアンテナ素子57〜60から放射された電波を受信し、その受信した電波を受信機210へ出力する。そして、受信機210は、アンテナ素子201〜204から受けた電波に基づいて、受信処理を行い、送信機10から送信された送信信号を受信する。
【0130】
実施の形態3によれば、送信信号を相互に異なる拡散符号c1〜c4によって光信号OSG1_c〜OSG4_cに変換し、その変換した光信号OSG1_c〜OSG4_cを重畳して光信号OSG_cを1本の光ファイバ30に入射してアンテナ素子57〜60に導くので、送信機10とアンテナ素子57〜60との間を殆ど1本の光ファイバ30によって接続でき、複数のアンテナ素子を容易に実装できる。
【0131】
また、送信信号を相互に異なる拡散符号c1〜c4によって光信号OSG1_c〜OSG4_cに変換して1本の光ファイバ30中を伝搬させるので、4本の光ファイバを用いて光信号OSG1_c〜OSG4_cを送信機10からアンテナ素子57〜60まで伝搬させたのと同等の効果が得られ、アンテナ素子57〜60を集中配置しても、通信特性の低下を最小限に抑制できる。
【0132】
さらに、送信機10からアンテナ素子57〜60までを1本の光ファイバ30によって信号を伝搬させるので、通信帯域を広くできる。
【0133】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0134】
上述したように、実施の形態1においては、送信信号を波長が異なる複数の光信号に変換して1本の光ファイバ30中を伝搬させ、実施の形態2においては、送信信号を時分割された複数の光信号に変換して1本の光ファイバ30中を伝搬させ、実施の形態3においては、送信信号を異なる拡散符号によって複数の光信号に変換して1本の光ファイバ30中を伝搬させた。
【0135】
したがって、この発明においては、送信装置は、送信信号を相互に識別可能な複数の光信号に変換する信号変換器を備えていればよい。
【0136】
また、上記においては、送信装置100,100A,100Bは、4個のアンテナ素子57〜60を備え、受信装置200は、4個のアンテナ素子201〜204を備えると説明したが、この発明においては、これに限らず、送信装置100,100A,100Bおよび受信装置200は、一般的には、複数のアンテナ素子を備えていればよい。そして、送信装置100,100A,100Bのアンテナ素子の個数は、受信装置200のアンテナ素子の個数と同じであっても異なっていてもよい。
【0137】
この発明においては、光ファイバ30は、「導波路」を構成する。
【0138】
また、この発明においては、E/O変換器11〜14および光結合器20は、「第1の信号変換器」を構成し、光分離器40、光バンドパスフィルタ45〜48およびO/E変換器53〜56は、「第2の信号変換器」を構成する。
【0139】
さらに、この発明においては、E/O変換器11A〜14Aおよび光スイッチ20Aは、「第1の信号変換器」を構成し、光スイッチ40AおよびO/E変換器53〜56は、「第2の信号変換器」を構成する。
【0140】
さらに、この発明においては、E/O変換器11A〜14A、符号器69〜72および光結合器20は、「第1の信号変換器」を構成し、光分離器40、符号器73〜76およびO/E変換器53〜56は、「第2の信号変換器」を構成する。
【0141】
さらに、この発明においては、アンテナ素子57〜60は、「m(mは2以上の整数)個のアンテナ素子」を構成し、アンテナ素子201〜204は、「n(nは2以上の整数)個のアンテナ素子」を構成する。
【0142】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0143】
この発明は、複数のアンテナ素子を容易に実装可能な送信装置に適用される。また、この発明は、複数のアンテナ素子を容易に実装可能な送信装置を用いた送受信システムに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】この発明の実施の形態1による送受信システムの構成を示す概略図である。
【図2】送信装置の複数のアンテナ素子の配置間隔による通信特性の変化を実験する方法を説明するための図である。
【図3】受信レートと送信レートとの関係を示す図である。
【図4】シミュレーションに用いた送信機および受信機の配置パターンを示す図である。
【図5】シミュレーション結果を示す図である。
【図6】実施の形態2による送受信システムの構成を示す概略図である。
【図7】実施の形態3による送受信システムの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0145】
10 送信機、11〜14,11A〜14A E/O変換器、15〜18,30,41〜44,49〜52,65〜68 光ファイバ、20 光結合器、20A,40A 光スイッチ、40 光分離器、45〜48 光バンドパスフィルタ、53〜56 O/E変換器、57〜60,201〜204 アンテナ素子、61〜64 バンドパスフィルタ、69〜76 符号器、100,100A,100B 送信装置、200 受信装置、210 受信機、1000,1000A,1000B 送受信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を伝搬させる導波路と、
送信信号を生成する送信機と、
前記送信機からの前記送信信号を相互に識別可能な複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を前記導波路に入射する第1の信号変換器と、
前記複数の光信号に対応して設けられた複数のアンテナ素子と、
前記導波路中を伝搬した前記複数の光信号を受けるとともに、その受けた複数の光信号を相互に分離し、その分離した複数の光信号を複数の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に供給する第2の信号変換器とを備える送信装置。
【請求項2】
前記第1の信号変換器は、前記送信信号を相互に異なる波長を有する複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を1つの光信号として前記導波路に入射し、
前記第2の信号変換器は、前記導波路中を伝搬した光信号を受け、その受けた光信号を前記複数の光信号に分離する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記第1の信号変換器は、前記送信信号を同じ波長を有する複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を時分割で前記導波路へ順次入射し、
前記第2の信号変換器は、前記導波路中を伝搬した複数の光信号を順次受け、その受けた複数の光信号を複数の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に順次供給する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
前記第1の信号変換器は、前記送信信号を同じ波長を有する複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を相互に異なる複数の拡散符号によって拡散し、その複数の光信号を1つの光信号として符号分割で前記導波路へ入射し、
前記第2の信号変換器は、前記導波路中を伝搬した複数の光信号を受け、その受けた複数の光信号をそれぞれ前記複数の拡散符号によって逆拡散し、その逆化拡散した複数の光信号を複数の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に供給する、請求項1に記載の送信装置。
【請求項5】
送信信号を送信する送信装置と、
n(nは2以上の整数)個のアンテナ素子を用いて前記送信信号を受信する受信装置とを備え、
前記送信装置は、
光信号を伝搬させる導波路と、
前記送信信号を生成する送信機と、
前記送信機からの前記送信信号を相互に識別可能なm(mは2以上の整数)個の光信号に変換し、その変換したm個の光信号を前記導波路に入射する第1の信号変換器と、
前記m個の光信号に対応して設けられたm個のアンテナ素子と、
前記導波路中を伝搬した前記m個の光信号を受けるとともに、その受けた複数の光信号を相互に分離し、その分離したm個の光信号をm個の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に供給する第2の信号変換器とを含む、送受信システム。
【請求項6】
前記第1の信号変換器は、前記送信信号を相互に異なる波長を有するm個の光信号に変換し、その変換したm個の光信号を1つの光信号として前記導波路に入射し、
前記第2の信号変換器は、 前記導波路中を伝搬した光信号を受け、その受けた光信号を前記m個数の光信号に分離する、請求項5に記載の送受信システム。
【請求項7】
前記第1の信号変換器は、前記送信信号を同じ波長を有するm個の光信号に変換し、その変換したm個の光信号を時分割で前記導波路へ順次入射し、
前記第2の信号変換器は、前記導波路中を伝搬したm個の光信号を順次受け、その受けたm個の光信号をm個の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に順次供給する、請求項5に記載の送受信システム。
【請求項8】
前記第1の信号変換器は、前記送信信号を同じ波長を有する複数の光信号に変換し、その変換した複数の光信号を相互に異なるm個の拡散符号によって拡散し、その変換したm個の光信号を1つの光信号として符号分割で前記導波路へ入射し、
前記第2の信号変換器は、前記導波路中を伝搬したm個の光信号を受け、その受けたm個の光信号をそれぞれ前記m個の拡散符号によって逆拡散し、その逆拡散したm個の光信号をm個の電気信号に変換して各電気信号を対応するアンテナ素子に供給する、請求項5に記載の送受信システム。
【請求項9】
前記送信信号の伝送速度が第1の伝送速度であるときの前記m個のアンテナ素子の間隔を第1の間隔とし、前記送信信号の伝送速度が前記第1の伝送速度よりも低い第2の伝送速度であるときの前記m個のアンテナ素子の間隔を第2の間隔としたとき、
前記m個のアンテナ素子は、前記第2の間隔で配置される、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の送受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−232183(P2009−232183A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75418(P2008−75418)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、総務省、研究テーマ「広帯域無線信号の一括光伝送による放送・通信の融合に関する研究」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(503420833)学校法人常翔学園 (62)
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】