説明

送風機およびそれを備える車両用空調装置

【課題】送風機の性能を改善する。
【解決手段】第1送風機30は、第1出口32dへ向かう第1流路33を区画する第1スクロール32を有する。第2送風機50は、第2出口52dへ向かう第2流路53を区画する第2スクロール52を有する。第1スクロール32は、第2スクロール52の外側に覆いかぶさるように広がる。第2スクロール52は、第1スクロール32の内側に潜り込むように広がる。この結果、第1出口32dと第2出口52dとの中央線L2は、送風機10の回転軸L1とは、交差している。第1流路33と第2流路53とは、ラビリンス構造20の径方向外側においても拡張されている。スクロールケーシング14は、曲線で構成されたノーズ部5fを有する。ノーズ半径とノーズギャップとは、吸込口側からボス部側に向かうに従って徐々に大きくなるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機およびそれを備える車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に記載の車両用空調装置が知られている。これら車両用空調装置は、車外の外気を吸い込むファンと、車内の内気を吸い込むファンとを備えている。さらに、空調装置は、車室内の上部へ供給する空気を温度調節する部分と、車室内の下部へ供給する空気を温度調節する部分とを有している。
【0003】
かかる空調装置は、冬季に暖房能力を損なうことなく、車内上部に位置する窓の曇りを予防することができる。
【特許文献1】特開平10−76834号公報
【特許文献2】特開平10−119533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2の技術によると、2つの多翼ファンを同軸的に連結している。さらに、スクロールケーシングは、羽根車の中央部に対応して仕切壁を有している。この構成では、羽根車の両側から吸い込まれた空気は、羽根車の径方向外側へ吹き出される。しかし、羽根車から吹き出される空気流は、羽根車の両側から内側へ向かう斜流成分を有している。このため、羽根車から吹き出される空気流は、仕切壁に強く衝突し、性能を低下させる原因のひとつとなるおそれがあった。
【0005】
また、別の観点では、特許文献1および特許文献2の技術では、送風機と温度調節装置との配置が制限されるという問題点があった。すなわち、従来技術では、2つの送風機の延長上に2つの温度調節装置が配置されている。かかる構成では、空調装置を小型化すること、あるいは車両への搭載性を改善することが困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、2つのファンを有する送風機の性能を改善することを目的とする。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、2つのファンを有する送風機の配置の自由度を改善することを他の目的とする。
【0008】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用することができる。
【0010】
請求項1に記載の発明は、ボス部(13)の回転軸(L1)の方向の両側に複数の羽根が円筒状に配列されることによって、ボス部の両側に第1ファン(31)と第2ファン(51)とが形成された羽根車(12)と、第1ファンの周囲において渦巻き状をなす第1流路(33)を区画形成するとともに、第2ファンの周囲において渦巻き状をなす第2流路(53)を区画形成するスクロールケーシング(14)とを備え、羽根車(12)とスクロールケーシング(14)とは、ボス部の外周面に設けられた回転環状面(21)と、スクロールケーシングの内面に設けられた固定環状面(22)とを含み、それらの間に狭く曲がったラビリンス通路(23)を区画形成するラビリンス構造(20)を有しており、スクロールケーシング(14)は、ラビリンス構造(20)の径方向外側に、羽根車の回転軸(L1)の方向に凹んだ凹部(14b、14c)を区画形成しており、第1流路および第2流路の少なくとも一方が凹部によってラビリンス構造の径方向外側において回転軸(L1)の方向に拡張されていることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、ボス部の外周にラビリンス構造が提供されることで、第1流路と第2流路との間の空気漏れが抑制される。さらに、ラビリンス構造の径方向外側に設けられた凹部によって流路が回転軸の方向に拡張される。凹部は、吸い込み口からの流れが、流路の壁に強く衝突することを抑制する。この結果、送風機の性能改善が図られる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、スクロールケーシング(14)は、ラビリンス構造(20)の径方向外側に、両側から回転軸の方向に凹んだ第1および第2凹部(14b、14c)を区画形成しており、第1流路が第1凹部によってラビリンス構造の径方向外側において回転軸の方向に拡張され、第2流路が第2凹部によってラビリンス構造の径方向外側において回転軸の方向に拡張されていることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、2つの流路の両方において性能改善が図られる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、凹部(14b、14c)は、羽根車(12)の外周面におけるボス部の縁(13a、13b)より回転軸の方向に凹んでいる底面を有することを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、羽根車から吹き出す空気流れの強い衝突を確実に回避することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、スクロールケーシング(14)は、第1流路および第2流路のそれぞれの開始部分にノーズ部(5f)を形成しており、ノーズ部の先端のノーズ半径(RN)は、羽根車の吸込口側からボス部側へ向けて徐々に大きくなるよう設定されており、ノーズ部と羽根車との間のノーズギャップ(GN)は、羽根車の吸込口側からボス部側へ向けて徐々に大きくなるよう設定されていることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、ノーズ部における空気流れを滑らかにすることができる。この結果、送風機の性能改善を図ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、スクロールケーシング(14)は、ノーズ部から螺旋状に延びる外周壁(5a)を有し、外周壁(5a)は、ノーズ部から所定角度範囲にわたって延びる曲線断面部分(5d)と、曲線断面部分の下流に延びる直線断面部分(5e)とを有し、曲線断面部分(5d)が吸込口側において延在する範囲RSTは、110°≦RST≦130°であり、曲線断面部分(5d)がボス部側において延在する範囲RSBは、120°≦RSB≦140°であることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、送風機の性能改善を図ることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、羽根の回転軸の方向の中央における直径をDとして、ノーズ部の吸込口側におけるノーズ半径RNTは、0.04D≦RNT≦0.06Dであり、ノーズ部のボス部側におけるノーズ半径RNBは、0.045D≦RNB≦0.08Dであり、ノーズ部の吸込口側におけるノーズギャップGNTは、0.05D≦GNT≦0.08Dであり、ノーズ部のボス部側におけるノーズギャップGNBは、0.18D≦GNB≦0.24Dであり、スクロールケーシング(14)は、第1流路および第2流路の巻きの開始点と終了点において、螺旋関数に対応する始点流路面積と終点流路面積とを提供するとともに、開始点と終了点との間において、始点流路面積と終点流路面積とを直線補間した流路面積を提供することを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、送風機の性能改善を図ることができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、ラビリンス構造の回転環状面(21)は、ボス部の外周面に設けられた円柱面(24)と、この円柱面から突出して設けられた環状の凸部(25)とを備え、ラビリンス構造の固定環状面(22)は、凸部を収容する環状の凹部(26)を備えることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、空気漏れを抑制できるラビリンス構造を提供することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、ラビリンス構造の回転環状面(21)は、ボス部の外周面に設けられた円柱面(24)と、この円柱面から突出して設けられた環状の凸部(25)とを備え、ラビリンス構造の固定環状面(22)は、環状の凸部と対向する環状のL字型断面を有するL字部(226)を備えることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、スクロールケーシングの構造が簡単なラビリンス構造を提供することができる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、スクロールケーシング(14)は、羽根車の径方向外側では、第1流路と第2流路とを、羽根車の回転軸(L1)の方向に並べて位置づけており、さらに羽根車から離れた出口では、第1流路と第2流路とを、羽根車の回転軸(L1)と交差する方向に並べて位置づけていることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、高い自由度をもって、羽根車の回転軸の方向と、出口とを配置することができる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、ボス部(13)の回転軸(L1)の方向の両側に複数の羽根が円筒状に配列されることによって、ボス部の両側に第1ファン(31)と第2ファン(51)とが形成された羽根車(12)と、第1ファンの周囲において渦巻き状をなす第1流路(33)を区画形成するとともに、第2ファンの周囲において渦巻き状をなす第2流路(53)を区画形成するスクロールケーシング(14)とを備え、スクロールケーシング(14)は、羽根車の径方向外側では、第1流路と第2流路とを、羽根車の回転軸(L1)の方向に並べて位置づけており、さらに、羽根車から離れた出口では、第1流路と第2流路とを、羽根車の回転軸(L1)と交差する方向に並べて位置づけていることを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、高い自由度をもって、羽根車の回転軸の方向と、出口とを配置することができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、先行する請求項のいずれかに記載の送風機と、第1流路の下流に設けられた第1温度調節装置(71)、および第2流路の下流に設けられた第2温度調節装置(72)を有する温度調節装置(70)と、第1ファンに車内の内気を導入し、第2ファンに車外の外気を導入する導入装置(80)と、第1温度調節装置から車室内の下部に空調空気を供給し、第2温度調節装置から車室内の上部へ空調空気を供給する吹出装置(90)とを備えることを特徴とする車両用空調装置という技術的手段を採用する。この発明によると、暖房能力の低下を抑えながら、窓の曇りを抑制することができる。
【0021】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明を車両用空調装置の送風機10に適用した第1実施形態を説明する。図1は、この実施形態に係る送風機の斜視図である。図2は、この実施形態に係る送風機の斜視図であって、図1の背面から見た斜視図を示す。図3は、この実施形態に係る送風機の背面図である。図4は、この実施形態に係る送風機の側面図である。図5は、この実施形態に係る送風機の側面図である。図6は、図5のVI−VI断面を示す断面図である。図7は、図6のVII部を示す拡大断面図である。図8は、図6のVIII−VIII断面を示す断面図である。図9は、図6のIX−IX断面を示す断面図である。図10は、図6のX−X断面を示す断面図である。図11は、この実施形態に係るスクロールケーシングの部分拡大斜視図である。図12は、この実施形態に係るノーズ部を示す部分拡大断面図である。図13は、流路面積の変化を示すグラフである。図14は、この実施形態に係る送風機の性能を示すグラフである。図15は、この実施形態に係る車両用空調装置の断面図である。
【0023】
図1ないし図4において、送風機10は、2つの多翼渦巻き送風機を同軸に連結した構造を有している。シャフト11は、図示せぬモータに連結されており、モータによって回転駆動される。送風機10は、第1送風機30と第2送風機50とを有する。第1送風機30と第2送風機50とは、その通路形状に若干の相違があるが、ほぼ相似形である。
【0024】
図1において、第1送風機30は、第1ファン31と、スクロールケーシングとしての第1スクロール32とを有する。第1ファン31は、円筒状に配列された複数の羽根を有する。第1スクロール32は、第1ファン31の開口部を囲む吸込口32aを形成している。第1スクロール32は、第1ファン31の周囲において渦巻き状をなす第1流路33を区画形成している。第1スクロール32は、遠心ファンとしての螺旋部分32bと、螺旋部分32bの下流に延び出すダクト部分32cとを備える。ダクト部分32cの終端は、出口32dを形成している。ダクト部分32cは、螺旋部分32bより大きい半径をもつ曲線を描きながら回転軸L1から延び出してゆく通路を区画形成している。ダクト部分32cは、下流に向かうに従って、第1流路33の断面積を拡張している。
【0025】
図3において、ダクト部分32cの終端近傍は、第1流路の断面積を急激に拡張している。出口32dの中央線L2は、2つの送風機30、50の境界線上に位置している。出口32dの回転軸L1の方向の幅WDは、2つの送風機30、50の螺旋部分32b、52bの幅WFより大きい。出口部分32dは、2つの送風機30、50の螺旋部分32bの幅WDよりも、回転軸L1の方向に関して両側へ延び出している。
【0026】
図2において、第2送風機50は、第2ファン51と、スクロールケーシングとしての第2スクロール52とを有する。第2ファン51は、円筒状に配列された複数の羽根を有する。第2スクロール52は、第2ファン51の開口部を囲む吸込口52aを形成している。第2スクロール52は、第2ファン51の周囲において渦巻き状をなす第2流路53を区画形成している。第2スクロール52は、遠心ファンとしての螺旋部分52bと、螺旋部分52bの下流に延び出すダクト部分52cとを備える。ダクト部分52cの終端は、出口52dを形成している。ダクト部分52cは、螺旋部分52bより大きい半径をもつ曲線を描きながら回転軸L1から延び出してゆく通路を区画形成している。ダクト部分52cは、下流に向かうに従って、第2流路53の断面積を拡張している。
【0027】
図3において、ダクト部分52cの終端近傍は、第2流路の断面積を急激に拡張している。出口52dの中央線L2は、2つの送風機30、50の境界線上に位置している。出口52dの回転軸L1の方向の幅WDは、2つの送風機30、50の螺旋部分32b、52bの幅WFより大きい。出口52dは、2つの送風機30、50の螺旋部分32b、52bの幅WDよりも、回転軸L1の方向に関して両側へ延び出している。
【0028】
図1ないし図4において、シャフト11の回転軸L1は、車両の幅方向、言い換えると左右方向に向けて、水平に配置される。2つの出口32d、52dは、それらの中央を通る中央線L2を含む平面上に並べられている。この平面は、回転軸L1と平行である。回転軸L1と中央軸L2とは、それらに平行な平面上に投影された状態において、互いに直交して交差している。この実施形態では、中央線L2は、回転軸L1よりも吹き出し方向に向けてやや前進して配置されている。
【0029】
第1送風機30は、回転軸L1から離れた位置に開設された出口32dに向かう流路を区画形成している。第2送風機50は、回転軸L1から離れた位置に開設された出口52dに向かう流路を区画形成している。出口32dは、出口52dよりも回転軸L1から遠くに開設されている。このため、ダクト部分32cは、ダクト部分52cより長い。出口32dと出口52dとは、回転軸L1と平行な境界線L3を挟んで両側に区画されて位置している。
【0030】
図5において、第1送風機30の螺旋部分32bの巻きの開始点位置SS30は、第2送風機50の螺旋部分52bの巻きの開始点位置SS50よりも、送風方向に関して後退した位置にある。これにより、第1スクロール32は、出口52dよりも遠くに位置する出口32dを指向する。第1送風機30の螺旋部分32bと、第2送風機50の螺旋部分52bとは、それらの開始点位置が異なるが、他の構成は相似形である。
【0031】
図6ないし図10において、第1ファン31と第2ファン51とは、筒状の羽根車12によって提供されている。羽根車12は、シャフト11と連結されたボス部13を有する。ボス部13は、外周部分がやや厚く形成された円板である。ボス部13の回転軸L1の方向の両側には、複数の羽根31a、51aが円筒状に配列されている。これらの羽根31a、51aが、ボス部13の両側に第1ファン31と第2ファン51とを形成している。
【0032】
図6ないし図10において、第1スクロール32と第2スクロール52とは、スクロールケーシング14を構成している。スクロールケーシング14は、樹脂製の複数の部材を連結することによって構成されている。スクロールケーシング14は、羽根車12の径方向外側では、第1流路33と第2流路53とを、羽根車12の回転軸L1の方向に並べて位置づけている。さらに、スクロールケーシング14は、羽根車12から離れた出口32d、52dでは、第1流路33と第2流路53とを、羽根車12の回転軸L1と交差する中央線L2上に並べて位置づけている。螺旋部分32b、52bにおける第1流路33と第2流路53との配列方向は、回転軸L1と平行である。第1流路33と第2流路53との配列方向は、ダクト部分32c、52cにおいて、下流に向かうに従って徐々に回転させられる。そして、出口32d、52dにおいては、第1流路33と第2流路53との配列方向は、回転軸L1と直交する方向である。
【0033】
図10において、矢印33aで示されるように、第1流路33の中央は、下流に向かうに従って徐々に第2スクロール52の径方向外側に覆いかぶさるように遷移してゆく。一方、矢印53aで示されるように、第2流路53の中央は、下流に向かうに従って第1スクロール32の径方向内側に潜り込むように遷移してゆく。このように、第1流路33と第2流路53とは、ダクト部分32c、52cにおいては、互いに巻きつくように延びている。第1流路33と、第2流路53とは、ダクト部分32c、52cにおいて、約90°捻られている。この構成により、螺旋部分32b、52bの配列方向と、交差ないしは直交するように出口32d、52dを配列することが可能となる。
【0034】
図7において、羽根車12とスクロールケーシング14とは、ラビリンス構造20を有している。ラビリンス構造20は、ボス部13の外周面に設けられた回転環状面21と、スクロールケーシング14の内面に設けられた固定環状面22とを含む。回転環状面21と固定環状面22との間には、狭く曲がったラビリンス通路23が区画形成されている。
【0035】
ボス部13の外周面には、回転環状面21の一部をなす円柱面24が形成されている。この円柱面24の中央には、円柱面24から突出する環状の凸部25が設けられている。環状凸部25は、その両側面と、外周面とによって、回転環状面21の一部を提供している。よって、回転環状面21は、ボス部13の外周面に設けられた円柱面24と、この円柱面24から突出して設けられた環状凸部25とによって提供されている。
【0036】
スクロールケーシング14は、第1スクロール32と第2スクロール52との境界としての仕切壁14aを有している。仕切壁14aは、ボス部13の径方向外側に板状に広がっている。仕切壁14aは、羽根車12を収容する丸穴を区画している。仕切壁14aの内周面には、ブラケット型の固定リング26が設けられている。固定リング26は、外周面中央に仕切壁14aが連結された円筒部27と、この円筒部27の両端から径方向内側へ向けて突出した環状凸部28、29とを有する。環状凸部28、29の径方向内側端は、環状凸部25の径方向外側端よりも内側にまで伸びている。この結果、固定リング26は、環状凸部25を収容する環状の凹部を提供している。固定環状面22は、環状凸部25を収容する環状凹部によって提供されている。固定リング26は、回転軸の方向に分割される複数の部材によって構成されることができる。これらの部材は、固定リング26の凹部内に凸部25を収容した後に、組立てることができる。回転環状面21と、固定環状面22とは、互いに対向する複数対の面を提供する。しかも、それらの面は、回転軸の方向に広がる円柱面と、径方向に広がる円板面とによって構成されている。この結果、ラビリンス通路23は、少なくとも1回はほぼ直角に曲がる環状通路となっている。この実施形態では、ラビリンス通路23は、ほぼ直角に4回曲がっている。ラビリンス通路23は、そこを通る空気量を制限するために、狭く形成されている。
【0037】
ラビリンス構造20は、回転軸L1の方向に沿って所定の厚さWLを有している。スクロールケーシング14の仕切壁14aの厚さWPは、厚さWLよりも十分に小さい。この結果、ラビリンス構造20の径方向外側には、回転軸L1の方向に凹んだ凹部14b、14cを区画形成している。凹部14b、14cは、第1スクロ−ル32側から凹んだ第1凹部14bと、第2スクロール側から凹んだ第2凹部14cとを有する。凹部14b、14cは、(WL−WP/2)だけ第1流路33および第2流路53を回転軸L1の方向に拡張する。第1流路33は、第1凹部14bによって、ラビリンス構造20の径方向外側において、回転軸L1の方向に拡張される。同様に、第2流路53は、第2凹部14cによって、ラビリンス構造20の径方向外側において、回転軸L1の方向に拡張される。第1凹部14bと第2凹部14cとは、各スクロール32、52の巻きの開始点から終了点にわたってほぼ一定の深さで形成されている。
【0038】
ボス部13は、羽根車12の羽根間通路の端部を規定する部材でもある。ボス部13の縁13a、13bは、吸込口とは反対側における羽根通路の端部を規定している。第1凹部14bの底面は、縁13aよりもさらに吸込口とは反対側に凹んでいる。羽根車12から径方向外側へ向けて吹き出す空気流れは、吸込口から仕切壁14に向かう成分を有している。このような空気流れは、第1凹部14bに受け入れられ、底面に強く衝突することが回避される。第2凹部14cの底面は、縁13bよりもさらに吸込口とは反対側に凹んでいる。羽根車12から径方向外側へ向けて吹き出す空気流れは、吸込口から仕切壁14に向かう成分を有している。このような空気流れは、第2凹部14cに受け入れられ、底面に強く衝突することが回避される。
【0039】
以下、螺旋部分32b、52bの形状を詳細に説明する。第1スクロール32の螺旋部分32bと、第2スクロール52の螺旋部分52bとは、同一形状である。そこで、螺旋部分52bの形状を説明する。螺旋部分32bは、ほぼ対称形状として理解することができる。
【0040】
図11において、第2スクロール52の螺旋部分52bは、螺旋状に広がりながら延びる外周壁5aと、吸込口52a側の側壁5bと、螺旋状の第2流路53の内側を規定する内周壁5cと、仕切壁14aとを有している。仕切壁14aは、螺旋部分52bの範囲においては、回転軸L1と直交する平面に沿って広がっている。側壁5bは、螺旋部分52bの開始点から、終了点に向かうに従って、回転軸L1の方向に沿って吸込口52aの方向へ徐々に遷移する壁によって提供されている。この結果、回転軸L1の方向に関して、第2流路53の高さは、上流側から下流側に向かうに従って、徐々に拡大している。
【0041】
図5および図11において、外周壁5aは、螺旋部分52bの開始点から中間位置まで延びる曲線断面部分5dと、中間位置から終了点まで延びる直線断面部分5eとを有する。中間位置は、螺旋部分52bの開始点から100°ないし150°の範囲に位置づけることができる。よって、曲線断面部分5dは、開始点から所定角度範囲にわたって延びている。ここで、開始点は、後述するノーズ部によって規定されている。曲線断面部分5dは、回転軸L1を通る断面における断面形状が、吸込口52aから仕切壁14aに向かうに従って、羽根車12との間の距離が徐々に大きくなるように傾斜し、しかも羽根車12に向けて凸となる曲線を描いている。直線断面部分5eは、回転軸L1を通る断面における断面形状が、直線を描いている。曲線断面部分5dと直線断面部分5eとの間の境界線である中間位置は、回転軸L1と平行に延びている。曲線断面部分5dが吸込口52a側において延在する範囲RSTは、約135°である。曲線断面部分5dがボス部13側において延在する範囲RSBは、約120°である。曲線断面部分5dは、開始点の近傍における第2流路53内の空気流れを滑らかに案内する。この結果、送風機の性能向上に貢献する。例えば、騒音の低減、送風量の向上に貢献することができる。
【0042】
図13において、第2スクロール52が螺旋部分52bにおいて与える第2流路53の断面積SCは、螺旋部分52bの開始点SASから終了点SAEまで角度SAが増加するに従って、言い換えると下流に向かうに従って、開始点流路面積SCSから終了点流路面積SCEまで徐々に増加する。第2流路53の開始点流路面積SCSと終了点流路面積SCEとは、螺旋関数FS(SA)によって与えられている。開始点SASと終了点SAEとの間においては、開始点流路面積SCSと終了点流路面積SCEとを比例関数FP(SA)によって直線補間した流路面積が与えられている。流路面積の変化は、空気流れを滑らかに案内する。この結果、送風機の性能向上に貢献する。例えば、騒音の低減、送風量の向上に貢献することができる。
【0043】
図11および図12において、第2スクロール52の外周壁5aと内周壁5cとが交差する部位には、ノーズ部5fが形成されている。このノーズ部5fは、第2流路53の開始部分に相当する。ノーズ部5fは、曲線断面部分5dの傾斜と、曲線状の断面形状とに対応して、回転軸L1に対して傾斜し、かつ第2ファン51の外周面に対して傾斜し、さらに第2ファン51の外周面に向けて凸となる曲線をなして延びている。ノーズ部5fは、羽根車12の回転方向に関して、傾斜している。ノーズ部5fの吸込口側の部位5gは、ノーズ部5fのボス部側の部位5hよりも、羽根車12の回転方向の前方に位置している。これら部位5gと部位5hとの間は、滑らかな曲線によって形成されている。
【0044】
ノーズ部5fの先端のノーズ半径RNは、羽根車12の吸込口側からボス部側へ向けて徐々に大きくなるよう設定されている。ノーズ部5fは、吸込口側に位置して第2ファン51の外周面に最も近い部位5gにおいて最も鋭いノーズ半径RNを有する。ノーズ部5fは、ボス部側に位置して第2ファン51の外周面に最も遠い部位5hにおいて最も緩やかなノーズ半径RNを有する。ノーズ部5fの吸込口側の部位5gにおけるノーズ半径RNTは、0.055Dである。ノーズ部5fのボス部側の部位5hにおけるノーズ半径RNBは、0.065Dである。なお、Dは、羽根車12のうち第2ファン51の回転軸L1の方向の中央における直径である。
【0045】
ノーズ部5fは、第2ファン51の外周面との間に、径方向のノーズギャップGNを規定している。ノーズギャップGNは、第2ファン51の吸込口側からボス部側へ向けて徐々に大きくなるよう設定されている。吸込口側の部位5gにおけるノーズギャップGNTは、0.07Dである。ボス部側の部位5hにおけるノーズギャップGNBは、0.21Dである。
【0046】
このように、ノーズ部5fは、曲線によって区画形成されている。しかも、羽根車12からの空気流に沿って滑らかに空気流れを案内する形状を有している。この結果、ノーズ部5fにおける第2流路53内の空気流れを効率的に案内する。この結果、送風機の性能向上に貢献する。例えば、騒音の低減、送風量の向上に貢献することができる。ノーズ部5fの形状は、第1送風機30においても同様に構成されている。よって、この実施形態では、両方の送風機30、50において上記の作用効果が得られる。
【0047】
図14において、実線はこの実施形態の送風機10の性能を示し、破線は比較例の性能を示す。図14には、上から効率、圧力係数、比騒音が示されている。この実施形態の比騒音KSEは、比較例の比騒音KSCに比べて、有意な低さを示している。比騒音KSEは、特に流量係数が高い領域において、比較例より低くなっている。
【0048】
この実施形態によると、ラビリンス構造20によって第1送風機30と第2送風機50との間の空気漏れを低減することができる。さらに、ラビリンス構造20の径方向外側に設けられた凹部14b、14cによって、吸込口からの空気流れの強い衝突が抑制される。しかも、2つの流路33、53の両方において、凹部14b、14cの効果を得ることができる。
【0049】
さらに、ノーズ半径RNとノーズギャップGNとを最適に構成したことにより空気流れを滑らかに案内することができる。加えて、螺旋部分32b、52bの外周壁5aに曲線断面部分5dを設けたことによって、空気流れを滑らかに案内することができる。これらの作用効果の結果、送風機の性能の改善を図ることができる。この実施形態では、送風機の性能のひとつである騒音を顕著に改善している。
【0050】
図15において、送風機10は、車両用空調装置1の送風機として用いられる。車両用空調装置1は、送風機10の下流側に温度調節装置70と、吹出装置90とを有する。温度調節装置70は、第1流路33の下流に設けられた第1温度調節装置71、および第2流路53の下流に設けられた第2温度調節装置72を有する。それぞれの温度調節装置71、72には、フィルタ73、冷凍サイクル装置の蒸発器74、車両の温水を利用するヒータコア76、電熱式のヒータ77、および温度調節のためのエアミックスダンパ75が設けられる。この実施形態では、フィルタ73と、蒸発器74と、ヒータコア76と、ヒータ77は、2つの温度調節装置72にまたがって配置されている。吹出装置90は、車室内の上部に空調空気を供給するダクト91、93と、車室内の下部に空調空気を供給するダクト95とを有する。それぞれのダクト91、93、95には、それらを開閉する開閉装置92、94、96が設けられている。吹出装置90は、第1温度調節装置71から車室内の下部に空調空気を供給し、第2温度調節装置72から車室内の上部へ空調空気を供給する状態を提供することができる。さらに、車両用空調装置1は、送風機10の2つの吸込口32a、52aに、車内の内気と、車外の外気とを選択的に供給することができる導入装置80を備えている。導入装置80は、外気ダクト81と、内気ダクト82とを有する。導入装置80は、第1送風機30に車内の内気を導入し、第2送風機50に車外の外気を導入する状態を提供することができる。
【0051】
この車両用空調装置1によると、第1送風機30に吸引された車内の内気は、第1流路33から、第1温度調節装置71に供給され、ダクト95を通して車内の下部に供給される。この結果、ヒータコア76とヒータ77とが十分な暖房能力を発揮できないときに、内気を循環させて車内の暖房が図られる。一方、第2送風機50に吸引された車外の外気は、第2流路53から、第2温度調節装置72に供給され、ダクト91、93の少なくともひとつを通して車内の上部に供給される。このため、比較的乾燥した外気を車内の上部に供給しながら暖房が継続される。この結果、暖房能力の低下を抑えながら、窓の曇りを抑制することができる。
【0052】
この実施形態によると、回転軸L1が車両の左右方向に配置された第1送風機30と第2送風機50とから、車両の上下方向に積層された第1温度調節装置71と第2温度調節装置72とへ送風することができる。この結果、効率的な通風路配置を提供することができる。このような効率的な通風路配置は、車両用空調装置の性能改善に貢献する。例えば、車両用空調装置1の小型化、および通風騒音の低減の少なくともひとつを実現できる。
【0053】
(第2実施形態)
本発明を適用した第2実施形態を説明する。図16は、第2実施形態に係る送風機210の断面図である。図16において、先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。
【0054】
この実施形態では、第1送風機230と第2送風機250とのスクロールケーシング214の形状が、先行する実施形態と異なっている。ラビリンス構造220は、L字部としての固定リング226を有している。仕切壁214aの内周面には、L字型の固定リング226が設けられている。固定リング226は、円筒部227と、この円筒部27の一端から径方向内側へ向けて突出した環状凸部228とを有する。環状凸部228の径方向内側端は、環状凸部25の径方向外側端よりも内側にまで伸びている。この結果、固定リング226は、環状凸部25の頂面と側面とに対向する固定環状面を提供している。この形状によると、固定リング226を分割構造にすることなく、環状凸部25を配置することができる。このため、製造が容易であるという利点を得ることができる。
【0055】
(第3実施形態)
本発明を適用した第3実施形態を説明する。図17は、第3実施形態に係る送風機310の断面図である。図17において、先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。
【0056】
この実施形態では、羽根車312の形状と、スクロールケーシング314の形状とが、先行する実施形態と異なっている。羽根車312は、先行する実施形態のボス部13よりも回転軸方向に厚い厚さを有するボス部313を有する。ラビリンス構造320を提供する固定リング326は、ほぼブラケット記号状の断面形状を有する。固定リング326は、その内面に、長い円筒部分を有し、円筒部分の中央に、環状凸部325を収容する環状溝を形成している。固定リング326は、その径方向外側に、傾斜した斜面326a、326bを有する。各々の斜面326a、326bは、吸込口側に頂点を位置させた円錐外周面に似ている。各々の斜面326a、326bは、径方向外側に向かうに従って徐々に深くなる凹部314b、314cを仕切壁314aに区画する。凹部314b、314cは、第1流路333および第2流路353を、ラビリンス構造320の径方向外側において、回転軸L1の方向へ拡張する。しかも、凹部314b、314cは、第1流路333および第2流路353を、径方向外側ほど回転軸L1の方向へ拡張する。凹部314b、314cの径方向断面における最深部は、各スクロールの巻きの開始点から終了点に向かって徐々に深くなるように形成されている。この結果、2つのスクロールの境界側において、下流に向かうに従って徐々に深くなるように流路を拡張できる。図17には、開始点に近い部位における比較的浅い最深部と、終了点に近い部位における比較的深い最深部とが図示されている。この実施形態によると、羽根車312から吹出す空気流を滑らかに案内することができる。
【0057】
(他の実施形態)
本発明の技術的範囲は、上述した実施形態にのみ限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で、多様な変形、改良、または拡張を伴うことができる。本発明は、少なくとも次のような変形、改良または拡張を伴う実施形態を包含する。
【0058】
例えば、スクロールケーシングは、第1流路と第2流路とを、図18、図19、図20、および図21のように配列するよう構成されてもよい。これらの図は、回転軸L1と、2つの出口の中央線L2との関係を示す斜視図である。
【0059】
図18において、スクロールケーシング414は、中央線L2上に並べられた出口432d、452dを有する。出口432d、452dは、回転軸L1の方向を指向している。このため、スクロールケーシング414は、羽根車の周囲では回転軸L1の方向に並べて位置づけられた流路を、羽根車から離れるに従って回転軸L1の方向を指向するように曲げている。さらに、中央線L2は、2つの送風機の中央から、回転軸L1の方向に大きくずれている。このため、スクロールケーシング414は、回転軸L1の方向へ大きくずれて延び出すダクト部分を有している。この形態においても、高い自由度をもって、回転軸L1と、出口432d、452dとを配置することができる。
【0060】
図19において、スクロールケーシング514は、中央線L2上に並べられた出口532d、552dを有する。中央線L2は、2つの送風機の中央から、回転軸L1の方向にわずかにずれている。スクロールケーシング514は、出口552dへ向かうダクト部分だけが、回転軸L1の方向へずれて延び出している。この形態においても、高い自由度をもって、回転軸L1と、出口532d、552dとを配置することができる。
【0061】
図20において、スクロールケーシング614は、中央線L2上に並べられた出口632d、652dを有する。出口632d、652dは、回転軸L1から径方向外側に向けて開設されている。2つの出口632d、652dは、回転軸L1から等距離に位置している。この形態においても、高い自由度をもって、回転軸L1と、出口632d、652dとを配置することができる。
【0062】
図21において、スクロールケーシング714は、中央線L2上に並べられた出口732d、752dを有する。スクロールケーシング714は、出口752dよりも、空気流れの下流方向に向けて延び出した位置に、出口732dを位置づけている。この構成においても、回転軸L1と交差する中央線L2が想定される。回転軸L1は、垂直方向に沿って配置されている。この形態においても、高い自由度をもって、回転軸L1と、出口732d、752dとを配置することができる。
【0063】
先行する実施形態に代えて、回転軸L1は、垂直方向に沿って配置することができる。さらに、車両への搭載にあたっては、回転軸L1の方向は、車両の左右方向に代えて、前後方向、上下方向などに沿って配置することができる。また、回転軸L1と中央線L2とが直交する構成に代えて、回転軸L1と中央線L2とを90°未満の鋭角で交差させてもよい。
【0064】
スクロールケーシング14は、第1凹部14bと、第2凹部14cとのうちの少なくともひとつを設ける構成とすることができる。この構成においては、第1流路33および第2流路53の少なくとも一方が凹部によってラビリンス構造20の径方向外側において回転軸の方向に拡張される。
【0065】
また、スクロールケーシングの螺旋部分の形状は、アルキメデス螺旋関数、対数螺旋関数などの螺旋関数によって規定することができる。
【0066】
曲線断面部分5dの範囲RSTは、110°≦RST≦130°に設定することができる。曲線断面部分5dの範囲RSBは、120°≦RSB≦140°に設定することができる。このような範囲内に設定することで、送風機の性能改善が図られる。ノーズ半径RNTは、0.04D≦RNT≦0.06Dに設定することができる。ノーズ半径RNBは、0.045D≦RNB≦0.08Dに設定することができる。このような範囲内に設定することで、送風機の性能改善が図られる。ノーズギャップGNTは、0.05D≦GNT≦0.08Dに設定することができる。ノーズギャップGNBは、0.18D≦GNB≦0.24Dに設定することができる。このような範囲内に設定することで、送風機の性能改善が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る送風機の斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る送風機の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る送風機の背面図である。
【図4】第1実施形態に係る送風機の側面図である。
【図5】第1実施形態に係る送風機の側面図である。
【図6】図5のVI−VI断面を示す断面図である。
【図7】図6のVII部を示す拡大断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII断面を示す断面図である。
【図9】図6のIX−IX断面を示す断面図である。
【図10】図6のX−X断面を示す断面図である。
【図11】第1実施形態に係るスクロールケーシングの部分拡大斜視図である。
【図12】第1実施形態に係るノーズ部を示す部分拡大断面図である。
【図13】第1実施形態に係る送風機の流路面積の変化を示すグラフである。
【図14】第1実施形態に係る送風機の性能を示すグラフである。
【図15】第1実施形態に係る車両用空調装置の断面図である。
【図16】本発明を適用した第2実施形態に係る送風機の断面図である。
【図17】本発明を適用した第3実施形態に係る送風機の断面図である。
【図18】本発明を適用した第4実施形態に係る送風機の斜視図である。
【図19】本発明を適用した第5実施形態に係る送風機の斜視図である。
【図20】本発明を適用した第6実施形態に係る送風機の斜視図である。
【図21】本発明を適用した第7実施形態に係る送風機の斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用空調装置
10 送風機
11 シャフト
12 羽根車
13 ボス部
14 スクロールケーシング
20 ラビリンス構造
30 第1送風機
31 第1ファン
32 第1スクロール
50 第2送風機
51 第2ファン
52 第2スクロール
70 温度調節装置
80 導入装置
90 吹出装置
L1 回転軸
L2 中央線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボス部(13)の回転軸(L1)の方向の両側に複数の羽根が円筒状に配列されることによって、前記ボス部の両側に第1ファン(31)と第2ファン(51)とが形成された羽根車(12)と、
前記第1ファンの周囲において渦巻き状をなす第1流路(33)を区画形成するとともに、前記第2ファンの周囲において渦巻き状をなす第2流路(53)を区画形成するスクロールケーシング(14)とを備え、
前記羽根車(12)と前記スクロールケーシング(14)とは、前記ボス部の外周面に設けられた回転環状面(21)と、前記スクロールケーシングの内面に設けられた固定環状面(22)とを含み、それらの間に狭く曲がったラビリンス通路(23)を区画形成するラビリンス構造(20)を有しており、
前記スクロールケーシング(14)は、
前記ラビリンス構造(20)の径方向外側に、前記羽根車の回転軸(L1)の方向に凹んだ凹部(14b、14c)を区画形成しており、
前記第1流路および前記第2流路の少なくとも一方が前記凹部によって前記ラビリンス構造の径方向外側において前記回転軸(L1)の方向に拡張されていることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記スクロールケーシング(14)は、前記ラビリンス構造(20)の径方向外側に、両側から前記回転軸の方向に凹んだ第1および第2凹部(14b、14c)を区画形成しており、
前記第1流路が前記第1凹部によって前記ラビリンス構造の径方向外側において前記回転軸の方向に拡張され、前記第2流路が前記第2凹部によって前記ラビリンス構造の径方向外側において前記回転軸の方向に拡張されていることを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記凹部(14b、14c)は、前記羽根車(12)の外周面における前記ボス部の縁(13a、13b)より前記回転軸の方向に凹んでいる底面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の送風機。
【請求項4】
前記スクロールケーシング(14)は、前記第1流路および前記第2流路のそれぞれの開始部分にノーズ部(5f)を形成しており、
前記ノーズ部の先端のノーズ半径(RN)は、前記羽根車の吸込口側から前記ボス部側へ向けて徐々に大きくなるよう設定されており、
前記ノーズ部と前記羽根車との間のノーズギャップ(GN)は、前記羽根車の吸込口側から前記ボス部側へ向けて徐々に大きくなるよう設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の送風機。
【請求項5】
前記スクロールケーシング(14)は、前記ノーズ部から螺旋状に延びる外周壁(5a)を有し、
前記外周壁(5a)は、前記ノーズ部から所定角度範囲にわたって延びる曲線断面部分(5d)と、前記曲線断面部分の下流に延びる直線断面部分(5e)とを有し、
前記曲線断面部分(5d)が吸込口側において延在する範囲RSTは、
110°≦RST≦130°であり、
前記曲線断面部分(5d)が前記ボス部側において延在する範囲RSBは、
120°≦RSB≦140°であることを特徴とする請求項4に記載の送風機。
【請求項6】
前記羽根の前記回転軸の方向の中央における直径をDとして、
前記ノーズ部の吸込口側におけるノーズ半径RNTは、
0.04D≦RNT≦0.06Dであり、
前記ノーズ部の前記ボス部側におけるノーズ半径RNBは、
0.045D≦RNB≦0.08Dであり、
前記ノーズ部の吸込口側におけるノーズギャップGNTは、
0.05D≦GNT≦0.08Dであり、
前記ノーズ部の前記ボス部側におけるノーズギャップGNBは、
0.18D≦GNB≦0.24Dであり、
前記スクロールケーシング(14)は、前記第1流路および前記第2流路の巻きの開始点と終了点において、螺旋関数に対応する始点流路面積と終点流路面積とを提供するとともに、前記開始点と前記終了点との間において、前記始点流路面積と前記終点流路面積とを直線補間した流路面積を提供することを特徴とする請求項4または5に記載の送風機。
【請求項7】
前記ラビリンス構造の前記回転環状面(21)は、前記ボス部の外周面に設けられた円柱面(24)と、この円柱面から突出して設けられた環状の凸部(25)とを備え、
前記ラビリンス構造の前記固定環状面(22)は、前記凸部を収容する環状の凹部(26)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の送風機。
【請求項8】
前記ラビリンス構造の前記回転環状面(21)は、前記ボス部の外周面に設けられた円柱面(24)と、この円柱面から突出して設けられた環状の凸部(25)とを備え、
前記ラビリンス構造の前記固定環状面(22)は、前記環状の凸部と対向する環状のL字型断面を有するL字部(226)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の送風機。
【請求項9】
前記スクロールケーシング(14)は、前記羽根車の径方向外側では、前記第1流路と前記第2流路とを、前記羽根車の回転軸(L1)の方向に並べて位置づけており、さらに
前記羽根車から離れた出口では、前記第1流路と前記第2流路とを、前記羽根車の回転軸(L1)と交差する方向に並べて位置づけていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の送風機。
【請求項10】
ボス部(13)の回転軸(L1)の方向の両側に複数の羽根が円筒状に配列されることによって、前記ボス部の両側に第1ファン(31)と第2ファン(51)とが形成された羽根車(12)と、
前記第1ファンの周囲において渦巻き状をなす第1流路(33)を区画形成するとともに、前記第2ファンの周囲において渦巻き状をなす第2流路(53)を区画形成するスクロールケーシング(14)とを備え、
前記スクロールケーシング(14)は、前記羽根車の径方向外側では、前記第1流路と前記第2流路とを、前記羽根車の回転軸(L1)の方向に並べて位置づけており、さらに
前記羽根車から離れた出口では、前記第1流路と前記第2流路とを、前記羽根車の回転軸(L1)と交差する方向に並べて位置づけていることを特徴とする送風機。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の送風機と、
前記第1流路の下流に設けられた第1温度調節装置(71)、および前記第2流路の下流に設けられた第2温度調節装置(72)を有する温度調節装置(70)と、
前記第1ファンに車内の内気を導入し、前記第2ファンに車外の外気を導入する導入装置(80)と、
前記第1温度調節装置から車室内の下部に空調空気を供給し、前記第2温度調節装置から車室内の上部へ空調空気を供給する吹出装置(90)と
を備えることを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−100108(P2010−100108A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271322(P2008−271322)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】