説明

逆止弁

【課題】逆止弁20は、流出口21bを開閉する弁プレート30の閉止部31が開き過ぎるのを防止する手段を簡単な構成で実現し、開弁時における流路抵抗を減少する。
【解決手段】逆止弁20は、通路形成部材21と、弾性を有する薄板を切断および折曲することにより形成された弁プレート30とを備えている。通路形成部材21は、弁プレート30を取り付けるための取付部24を備えている。弁プレート30は、閉止部31、被取付部34、弾性変形部36を備えている。取付部24の開度規制部28は、規制面28aを有する。規制面28aは、閉止部31が通路21aを流れる流体で押されたときに、弾性変形部36と被取付部34との連結部位を支点として、角度屈曲した状態をほぼ維持しつつ弾性変形するスペースを形成し、弾性変形部36が当たることで閉止部31が流出口21bに対して開く角度を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃料タンクに燃料を導入するための給油管などに装着される逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の燃料タンクには、給油のストップ時に、上昇したタンク内圧により燃料が戻されて外部に流出するのを防止するための逆止弁を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、逆止弁は、通路から燃料を流出する流出口を備えた通路形成部材と、該通路形成部材に取り付けられ流出口を開閉する弁プレートとを備えている。弁プレートは、閉止部の一端部に被取付部を折曲形成し、この被取付部を通路形成部材の外周部に形成された取付部に取り付けることにより、閉止部で流出口を開閉している。
【0003】
上記逆止弁において、弁プレートの閉止部が通路の燃料の流れを受けて開き過ぎると、閉止部と被取付部との折曲部分が塑性変形して、閉止体が流出口を完全に閉じない可能性がある。こうした閉止体の開き過ぎを防止するための手段として、弁プレートの一部に開度規制部を設けている。しかし、開度規制部は、形状が複雑であり、成形が面倒であるという課題があった。また、弁プレートを弾性変形させて大きく開弁するのに、流路抵抗が増大し、スムーズな燃料の供給をし難いという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−202836
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題を解決するものであり、流出口を開閉する弁プレートの閉止部が開き過ぎるのを防止する手段を簡単な構成で実現するとともに、開弁時における流路抵抗を減少した逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
適用例1は、通路および該通路を流れる流体を流出する流出口を備えた通路形成部材と、弾性を有する薄板を切断および折曲することにより形成され上記流出口を開閉する弁プレートとを備えた逆止弁において、
上記通路形成部材は、該通路形成部材の外周部に形成され上記弁プレートを取り付けるための取付部を備え、
上記弁プレートは、上記流出口を開閉する閉止部と、上記弁プレートを上記取付部に取り付けるための被取付部と、上記閉止部の外周の一端部と上記被取付部とを連結するとともに上記閉止部に対して所定角度で折曲した弾性変形部とを備え、
上記取付部は、上記流出口の開口端側に形成された開度規制部を有し、該開度規制部は、上記閉止部が上記通路を流れる流体で押されたときに、上記弾性変形部と上記被取付部との連結部位を支点として、上記所定角度屈曲した状態をほぼ維持しつつ上記閉止部が開くように弾性変形するスペースを形成するとともに、上記弾性変形部が当たることで上記閉止部が上記流出口に対して開く角度を規制する規制面を有すること、
を特徴とする。
【0008】
適用例1に記載の逆止弁を燃料タンクに使用した場合において、通路形成部材の流出口は、弁プレートにより開閉される。弁プレートは、弾性を有する薄板を用いて、閉止部および閉止部の外周の一部から所定角度で折曲した弾性変形部および被取付部を一体的に形成し、被取付部で通路形成部材の取付部に取り付けられている。弾性変形部は、閉止部をシート部に着座させる方向へ付勢力を与えるばねとして作用し、閉止部に流体の力が加わったときに、被取付部との連結部位を支点として、所定角度屈曲した状態を維持しつつ、開度規制部が形成するスペースにて、閉止部が開くように弾性変形する。そして、閉止部の開き動作により、燃料が燃料タンクに流出する。このとき、閉止部の開き角度が所定角度になると、取付部に形成された開度規制部により閉止部の開き動作が規制される。すなわち、開度規制部の規制面に、弾性変形部が当たることで閉止部の開き角度を規制する。よって、弾性変形部や弾性変形部と被取付部との連結部位で塑性変形することがなく、耐久性に優れており、閉止部の閉じ動作を確実に行なえる。また、開度規制部は、取付部と一体に形成されているから、部品点数が増加することもなく、構成が簡単である。
【0009】
[適用例2]
適用例2の弾性変形部は、平行に配置したアームを備えている構成をとることができる。この構成により、閉止部に捻れる力が加わっても、捻れを解消する方向へ反力を生じ、よって、閉止部を元の位置に速やかに戻す。よって、閉止部のバタツキを抑制することができる。
【0010】
[適用例3]
適用例3において、上記弾性変形部は、上記閉止部と上記被取付部との角度に屈曲するために湾曲した湾曲部を有し、上記通路形成部材の外周面と上記湾曲部との間に間隙を形成する段部を有している構成をとることができる。この構成において、被取付部は、閉止部となす角度が所定の角度にならない場合に、湾曲部がさらに弾性変形して角度を微調整することで、閉止部をシート面に密着させることができる。すなわち、湾曲部は、上記間隙により、通路形成部材の外周面に直接当たって所定の角度から外れるような曲げる力を受けることがなく、自力で微調整することができる。
【0011】
[適用例4]
適用例4の規制面は、上記弾性変形部の弾性変形に倣った湾曲した面である構成をとることができる。この構成により、逆止弁の開弁時に、弁プレートの弾性変形部は、規制面に沿って均一に曲がるために、被取付部との連結部位に過大な応力が加わることがなく、この部分で塑性変形を生じることがない。
【0012】
[適用例5]
適用例5は、上記通路形成部材の流出口側は、該通路形成部材の軸線に対して傾斜した傾斜部を備え、上記流出口は、長円形に形成されている構成である。また、上記通路形成部材の流出口側は、弁プレートの開閉を妨げない構成であれば、該通路形成部材の軸線に対して直角に形成してもよい。
【0013】
[他の適用例]
他の適用例にかかる通路形成部材は、上記流出口の開口周縁部に形成された係止部を備え、上記弁プレートは、上記閉止部の外周部から突設され、上記係止部に当たることで、上記閉止部が上記傾斜部に沿った動きを規制する被係止部を備えている構成である。この構成により、閉止部は、燃料タンク内から、逆止弁に向かう方向への流れにより、位置ズレを生じる方向の力を受けても、被係止部が係止部に当たって、位置ズレが規制される。よって、閉止部の位置ズレに起因するシール性の低下を防止することができる。このような適用例として、係止部が、傾斜部に対して所定角度をなして張り出した受圧面であり、上記被係止部が、上記閉止部の外周部と上記弾性変形部との間に設けられ、上記弾性変形部に対して折曲して形成されかつ上記係止部に当たる押圧面とすることができる。また、他の適用例にかかる係止部は、上記通路形成部材の外周部であって上記取付部と反対側に設けられた外周端であり、上記被係止部は、上記閉止部の外周部から屈曲して形成され、上記係止部に当たる突出片とした構成である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】自動車の燃料タンクに燃料を供給するための給油装置を示す概略図である。
【図2】燃料タンクの燃料タンク用管接続体および逆止弁を拡大した断面図である。
【図3】燃料タンク用管接続体および逆止弁を分解した斜視図である。
【図4】図2の逆止弁を拡大した断面図である。
【図5】逆止弁の開弁状態を示す説明図である。
【図6】通路形成部材の取付部に弁プレートを組み付ける前の状態を説明する説明図である。
【図7】通路形成部材の取付部に弁プレートを組み付けた状態を説明する説明図である。
【図8】他の実施例にかかる逆止弁を示す断面図である。
【図9】さらに他の実施例にかかる逆止弁を分解した斜視図である。
【図10】逆止弁を示す断面図である。
【図11】別の実施例にかかる逆止弁を示す断面図である。
【図12】さらに別の実施例にかかる逆止弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1) 給油装置FSの概略構成
図1は自動車の燃料タンクFTに燃料を供給するための給油装置FSを示す概略図である。図1に示すように、給油装置FSは、燃料タンクFTに接続され、給油ガン(図示省略)から供給される燃料を燃料タンクFTに送るものであり、燃料キャップFCにより開閉される注入口を有するフィラーネックFNと、フィラーネックFNの一端に接続され金属製または樹脂製のインレットパイプIPと、インレットパイプIPに接続されたゴム製のインレットホースHと、インレットホースHの一端に接続されかつ燃料タンクFTに溶着された燃料タンク用管接続体10と、燃料タンク用管接続体10と一体に組み付けられた逆止弁20とを備えている。インレットホースHは、燃料タンク用管接続体10に圧入されるとともにクランプCPにより締結されている。上記給油装置FSの構成により、給油時に燃料キャップFCを外して、給油ガンから燃料をフィラーネックFNに注入すると、燃料は、インレットパイプIP、インレットホースH、燃料タンク用管接続体10を流れて、さらに 逆止弁20を開いて燃料タンクFT内に供給される。一方、給油ストップ時では、逆止弁20は、閉弁状態にあるから、上昇したタンク内圧により燃料が押し戻されて外部へ流出するのを防止する。
【0016】
(2) 各部の構成および作用
以下、各部の構成について説明する。
(2)−1 燃料タンクFT
燃料タンクFTは、耐燃料透過性に優れたエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)から形成されたバリア層と、ポリエチレン(PE)で形成された外層とを含む複数の樹脂層から形成されている。燃料タンクFTの側壁の上部には、タンク開口FTaが形成されており、このタンク開口FTaを囲むように燃料タンク用管接続体10が溶着されている。
【0017】
(2)−2 燃料タンク用管接続体10
図2は燃料タンクFTの燃料タンク用管接続体10および逆止弁20を拡大した断面図、図3は燃料タンク用管接続体10および逆止弁20を分解した斜視図である。図2において、燃料タンク用管接続体10は、通路形成部12と、通路形成部12に2色成形された接続用溶着部14と、金属製の補強管16とを備えている。通路形成部12は、インレットホースHに接続される通路を形成する通路部12aを備えている。通路部12aの一端は、該通路部12aの外周端から拡張されることでインレットホースH(図1)を抜止するための抜止拡張部12bになっている。通路部12aの他端には、フランジ12cが形成されている。フランジ12cの一方の面は、接続用溶着部14の内壁に溶着される面になっている。通路形成部12は、例えば、ナイロン−12などのポリアミド(PA)から形成されている。接続用溶着部14は、外筒部14aと、外筒部14aの一端外周から拡張されたフランジ14bと、フランジ14bの一端面に環状に突設された溶着端14cとを備えている。接続用溶着部14は、燃料タンクFTに熱溶着可能である変性ポリエチレンから形成されている。変性ポリエチレンは、ポリエチレン(PE)に極性官能基、例えばマレイン酸変性された官能基を付加した樹脂材料であり、PAと射出成型時の熱により反応接着する材料である。よって、接続用溶着部14は、2色成形により通路形成部12と反応接着により溶着一体化している。補強管16は、金属製の管体であり、管本体16aと、管本体16aの一端に全周にわたって形成された抜止部16bと、他端にその一部を折曲した3箇所の抜止片16cとを備え、通路形成部12の内壁に装着されることで、通路形成部12を補強している。抜止片16cは、図3に示すように、管本体16aの端部からストレートに形成し、図2に示すように通路形成部12の端部にかしめることで、通路形成部12の内壁に装着することができる。
【0018】
(2)−3 逆止弁20の構成
逆止弁20は、通路形成部12と一体に形成され通路21aを有する通路形成部材21と、通路形成部材21の一端に装着されかつ流出口21bを開閉する弁プレート30とを備えている。通路形成部材21は、通路形成部12と同じPAから形成された管状であり、インレットホースH側が流入口21cになっている。
【0019】
図4および図5は図2の逆止弁20を拡大した断面図であり、図4が逆止弁20の閉弁状態、図5が逆止弁20の開弁状態を示す。図4において、通路形成部材21の流出口21b側は、該通路形成部材21の中心線CL(軸線)に対して傾斜した傾斜部23になっている。傾斜部23は、中心線CLに対して角度θで傾斜している。傾斜部23の流出口21bの開口周縁部に沿って、弁プレート30が着離するシート面23aが長円形状に形成されている。また、通路形成部材21の流出口21bの上部の外周部には、弁プレート30を取り付けるための取付部24が形成されている。なお、取付部24の構成については、後述する。
【0020】
図3において、弁プレート30は、金属製の薄板をプレス切断して折曲することにより、閉止部31、被取付部34および弾性変形部36を一体的に板ばねとして形成したものである。閉止部31は、シート面23aの外形とほぼ同一の形状で、通路形成部材21の流出口21bを開閉するものであり、つまりシート面23aに着離するように形成されている。被取付部34は、通路形成部材21の取付部24に装着されることにより、閉止部31を開閉可能に支持する部位であり、抜止片34aを備えている。抜止片34aは、被取付部34の一部をプレス成形などで切り起こされることにより形成されている。弾性変形部36は、閉止部31の外周の一端部と上記被取付部34とを連結する部位であり、閉止部31に対する角度をαとなるように折曲されている。弾性変形部36は、平行に配置したアーム36aを備え、このアーム36aにより閉止部31の外周の一端と被取付部34とを連結している。アーム36aの端部と閉止部31の外周一端とは、僅かに湾曲した湾曲部36bになっている。
【0021】
図6は通路形成部材21の取付部24に弁プレート30を組み付ける前の状態を説明する説明図、図7は通路形成部材21の取付部24に弁プレート30を組み付けた状態を説明する説明図であり、それぞれ一部を破断して示している。取付部24は、側壁部25と、ブリッジ部26と、取付溝27と、開度規制部28とを備えている。側壁部25は、通路形成部材21の外周部からほぼ平行に立設された両側の規制壁25aと、規制壁25aを連結した奥壁25bとを備え、これらの壁で弁プレート30の被取付部34を位置決めしている。ブリッジ部26は、側壁部25の規制壁25aに掛け渡されている。取付溝27は、被取付部34および弾性変形部36を位置決めおよびガイドするための溝であり、段部27a、挿通孔27b、係合部27cを備えている。段部27aは、弾性変形部36の湾曲部36bと間隙を隔てて配置され、湾曲部36bの変形を許容している。挿通孔27bは、ブリッジ部26と通路形成部材21の外周面との間に形成されており、被取付部34を挿入可能になっている。係合部27cは、挿通孔27bの底から凹所に形成されており、抜止片34aに係合することにより被取付部34を抜止している。
【0022】
図5および図6において、開度規制部28は、流出口21bの開口端側であって、ブリッジ部26に一体に形成されており、中心線CLに対して所定角度β(180゜−α)だけ傾斜した規制面28aを有している。規制面28aは、閉止部31が通路21aを流れる流体で押されたときに、弾性変形部36と被取付部34との連結部位を支点として、所定角度αだけ屈曲した状態をほぼ維持しつつ閉止部31が開くように弾性変形するスペースを形成するとともに、弾性変形部36が当たることで閉止部31が流出口21bに対して開く角度βに規制している。
【0023】
図6および図7に示すように、弁プレート30の被取付部34を通路形成部材21の取付部24に取り付けるには、被取付部34を取付溝27の挿通孔27bへ挿入する。このとき、抜止片34aがブリッジ部26と取付溝27の溝底との間で圧縮されつつ、被取付部34が取付溝27の奥側へ挿入される。抜止片34aが係合部27cに達して弾性力により係合部27cに挿入されることで被取付部34が取付部24に固定される。ここで、被取付部34は、閉止部31に対して、図3の湾曲部36bの角度αが、段部27aの付近の角度γ(180−θ)と一致しない場合には、湾曲部36bを段部27aとの間隙で弾性変形することで、閉止部31をシート面23aに密着させることができる。
【0024】
(2)−4 逆止弁の動作
次に、逆止弁20の動作について説明する。図1および図4に示すように、給油時に、通路形成部材21の流入口21cから入った燃料は、通路21aを通って流出口21bに達し、弁プレート30の閉止部31を押す。図5に示すように、弁プレート30は、被取付部34で通路形成部材21の取付部24に取り付けられているから、被取付部34と弾性変形部36の連結部位を支点として開弁する。すなわち、燃料により閉止部31が押されると、閉止部31は、弾性変形部36を中心に傾斜して、弾性変形部36に対して屈曲した角度αを維持しつつ流出口21bとの間に間隙を形成し、燃料が流出する。このとき、閉止部31の開き角度が所定角度βになると、閉止部31が開度規制部28の規制面28aに当たることで閉止部31の開き角度が規制される。
【0025】
(3) 上記実施例による逆止弁によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
(3)−1 弁プレート30の弾性変形部36は、閉止部31に流体の力が加わったときに、被取付部34との連結部位を支点として、所定角度αだけ屈曲した状態を維持しつつ、弾性変形することで、閉止部31をシート部に着座させる方向へ付勢力を与えるスプリングとして作用するから、別途、コイルスプリングなどを必要とせず、構成を簡単にできる。
【0026】
(3)−2 弁プレート30は、閉止部31の開き角度が所定角度βになると、閉止部31の弾性変形部36が開度規制部28の規制面28aに当たることで、閉止部31の開き角度が規制される。よって、閉止部31が開き過ぎることがなく、閉止部31と被取付部34との連結部位で塑性変形することがなく、耐久性に優れており、閉止部31の閉じ動作を確実に行なえる。ここで、角度βは、上述の作用効果、つまり、流体の流量および耐塑性変形性を考慮して、30〜60°が好ましい。
【0027】
(3)−3 開度規制部28は、取付部24に一体形成されているので、部品点数が増加することもなく、構成が簡単である。
【0028】
(3)−4 弁プレート30の弾性変形部36は、弾性変形の際に、被取付部34の連結部位からの長さの分だけ、流出口21bと閉止部31との距離を長くするから、流出口21bから液体の流れるスペースが広くなる。よって、弾性変形部36は、小さな荷重で弾性変形させて開弁することができ、圧力損失が小さく、スムーズな燃料の供給をすることができる。
【0029】
(3)−5 通路形成部材21は、通路21aに対して所定角度傾斜した傾斜部23を備え、流出口21bの面積を大きくしているから、閉止部31の開度が小さくても、大きな流路面積を確保することができ、圧力損失が小さく、スムーズな燃料の供給をすることができる。
【0030】
(3)−6 弾性変形部36は、平行に配置した2本のアーム36aにより構成されているから、閉止部31に捻れる力が加わっても、捻れを解消する方向へ反力を生じ、よって、閉止部31を元の位置に速やかに戻す。よって、閉止部31のバタツキを抑制することができる。
【0031】
(3)−7 弁プレート30は、閉止部31と被取付部34との間に弾性変形部36を設け、弾性変形部36の被取付部34側の連結部位から弾性変形させており、閉止部31がシート面23aに当たった箇所を支点にして開弁していない。よって、閉止部31の端部と弾性変形部36との連結した部位で引っ掛かることがなく、スムーズな開弁動作を得ることができる。
【0032】
(3)−8 被取付部34は、閉止部31に対して、図3の湾曲部36bの角度αが、段部27aの付近の角度γと一致しない場合には、湾曲部36bを段部27aとの間隙で弾性変形することで、閉止部31をシート面23aに密着させることができる。すなわち、湾曲部36bは、段部27aとの間隙により、通路形成部材21の外周面に直接当たって所定の角度から外れるような曲げる力を受けることがなく、自力で微調整することができる。
【0033】
(3)−9 取付部24は、被取付部34の両辺を側壁部25の規制壁25aで規制しているから、被取付部34のガタツキを防止することができる。
【0034】
(4) 他の実施例
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0035】
(4)−1 上記実施例では、弾性変形部36は、平行の2本のアーム36aで構成したが、これに限らず、弾性変形しやすい形状であれば、1本、または3本以上のアームで構成してもよい。
【0036】
(4)−2 図8は他の実施例にかかる逆止弁を示す断面図である。本実施例は、開度規制部28Bの規制面28Baの形状に特徴を有する。すなわち、規制面28Baは、下部から湾曲した湾曲面に形成されている。逆止弁20Bの開弁時に、弁プレート30Bの弾性変形部36Bは、規制面28Baに沿って均一に曲がるために、被取付部34Bとの連結部位に過大な応力が加わることがなく、この部分で塑性変形が生じることがない。
【0037】
(4)−3 図9はさらに他の実施例にかかる逆止弁20Cを示す斜視図、図10は逆止弁20Cを示す断面図である。本実施例は、弁プレート30Cの位置ズレに起因するシール性の低下を防止するストッパ機構に特徴を有する。通路形成部材21Cの流出口21Cb側は、通路形成部材21Cの軸線に対して傾斜した傾斜部23Cになっており、この傾斜部23Cに対応して流出口21Cbは、長円形になっている。ストッパ機構は、通路形成部材21Cの流出口21Cbの開口周縁部に形成された係止部29Caと、弁プレート30Cの閉止部31Cの外周部から突設された被係止部37Caとを備えている。係止部29Caは、傾斜部23Cに対して所定角度をなして張り出した受圧面で形成されている。また、被係止部37Caは、閉止部31Cの外周部と弾性変形部36Cとの間に設けられ係止部29Caに当たることで、閉止部31Cが傾斜部23Cに沿った動きを規制するように構成されている。
【0038】
図10に示すように逆止弁20Cの構成において、燃料タンク内から、逆止弁20Cに向かう方向d1への流れが生じて弁プレート30Cの閉止部31Cに当たると、閉止部31Cは、傾斜部23Cのシート面23Ca上に沿って位置ズレを生じる方向d2の力を受ける。このような力を受けた閉止部31Cは、被係止部37Caが係止部29Caに当たって、位置ズレが規制される。よって、閉止部31Cの位置ズレに起因するシール性の低下を防止することができる。
【0039】
また、図9に示すように、弁プレート30Cの被係止部37Caは、弁プレート30Cの取付の際に取付部24Cに挿入する方向d3に対して直角面で形成されているから、被係止部37Caを押せば、弁プレート30Cを、取付部24Cへ容易に組み付けることができる。
【0040】
(4)−4 図11は別の実施例にかかる逆止弁20Dを示す断面図である。本実施例は、図9および図10のストッパ機構の変形例である。すなわち、ストッパ機構において、被係止部37Daは、弁プレート30Dの閉止部31Dの外周部から屈曲した突出片から形成されている。つまり、被係止部37Daは、閉止部31Dが傾斜部23Dに沿った方向の力を受けた場合に、通路形成部材21Dの取付部24Dと反対側に設けられた外周端の係止部29Daに係合することにより、閉止部31Dへの位置ズレを防止することができる。
【0041】
(4)−5 図12はさらに別の実施例にかかる逆止弁20Eを示す断面図である。図1などに示す実施例にかかる通路形成部材は、流出口側を傾斜部とした構成としたが、図12に示すように、通路形成部材21Eの流出口21Eb側は、通路形成部材21Eの軸線に対して直角に形成した流出口21Ebを開閉する弁プレート30Eであってもよい。本実施例における通路形成部材21Eの形状であっても、弁プレート30Eの弾性変形部36Eを小さな荷重で弾性変形して開弁させることができるなどの作用・効果を奏する。
【符号の説明】
【0042】
10…燃料タンク用管接続体
12…通路形成部
12a…通路部
12b…抜止拡張部
12c…フランジ
14…接続用溶着部
14a…外筒部
14b…フランジ
14c…溶着端
16…補強管
16a…管本体
16b…抜止部
16c…抜止片
20…逆止弁
20B…逆止弁
20C…逆止弁
20D…逆止弁
20E…逆止弁
21…通路形成部材
21C…通路形成部材
21D…通路形成部材
21E…通路形成部材
21a…通路
21b…流出口
21c…流入口
21Cb…流出口
21Eb…流出口
23…傾斜部
23C…傾斜部
23D…傾斜部
23a…シート面
23Ca…シート面
24…取付部
24C…取付部
24D…取付部
25…側壁部
25a…規制壁
25b…奥壁
26…ブリッジ部
27…取付溝
27a…段部
27b…挿通孔
27c…係合部
28…開度規制部
28B…開度規制部
28a…規制面
28Ba…規制面
29Ca…係止部
29Da…係止部
30…弁プレート
30B…弁プレート
30C…弁プレート
30D…弁プレート
30E…弁プレート
31…閉止部
31C…閉止部
31D…閉止部
34…被取付部
34B…被取付部
34a…抜止片
36…弾性変形部
36B…弾性変形部
36C…弾性変形部
36E…弾性変形部
36a…アーム
36b…湾曲部
37Ca…被係止部
37Da…被係止部
CP…クランプ
FC…燃料キャップ
FN…フィラーネック
FS…給油装置
FT…燃料タンク
FTa…タンク開口
H…インレットホース
IP…インレットパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路(21a)および該通路(21a)を流れる流体を流出する流出口(21b)を備えた通路形成部材(21)と、弾性を有する薄板を切断および折曲することにより形成され上記流出口(21b)を開閉する弁プレート(30)とを備えた逆止弁において、
上記通路形成部材(21)は、該通路形成部材(21)の外周部に形成され上記弁プレート(30)を取り付けるための取付部(24)を備え、
上記弁プレート(30)は、上記流出口(21b)を開閉する閉止部(31)と、上記弁プレート(30)を上記取付部(24)に取り付けるための被取付部(34)と、上記閉止部(31)の外周の一端部と上記被取付部(34)とを連結するとともに上記閉止部(31)に対して所定角度で折曲した弾性変形部(36)とを備え、
上記取付部(24)は、上記流出口(21b)の開口端側に形成された開度規制部(28)を有し、該開度規制部(28)は、上記閉止部(31)が上記通路(21a)を流れる流体で押されたときに、上記弾性変形部(36)と上記被取付部(34)との連結部位を支点として、上記所定角度屈曲した状態をほぼ維持しつつ上記閉止部(31)が開くように弾性変形するスペースを形成するとともに、上記弾性変形部(36)が当たることで上記閉止部(31)が上記流出口(21b)に対して開く角度を規制する規制面(28a)を有すること、
を特徴とする逆止弁。
【請求項2】
請求項1に記載の逆止弁において、
上記弾性変形部(36)は、平行に配置したアーム(36a)を備えている逆止弁。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の逆止弁において、
上記弾性変形部(36)は、上記閉止部(31)と上記被取付部(34)との角度に屈曲するために湾曲した湾曲部(36b)を有し、上記通路形成部材(21)は、上記閉止部(31)の閉弁状態にて、該通路形成部材(21)の外周面と上記湾曲部(36b)との間に間隙を形成する段部(27a)を有している逆止弁。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の逆止弁において、
上記規制面(28Ba)は、上記弾性変形部36Bの弾性変形に倣った湾曲した面である逆止弁。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の逆止弁において、
上記通路形成部材(21C)の流出口(21Cb)側は、該通路形成部材(21C)の軸線に対して傾斜した傾斜部(23C)を備え、上記流出口(21Cb)は、長円形に形成されている逆止弁。
【請求項6】
請求項5に記載の逆止弁において、
上記通路形成部材(21C)は、上記流出口(21Cb)の開口周縁部に形成された係止部(29Ca)を備え、
上記弁プレート(30C)は、上記閉止部(31C)の外周部から突設され、上記係止部(29Ca)に当たることで、上記閉止部(31C)が上記傾斜部(23C)に沿った動きを規制する被係止部(37Ca)を備えている逆止弁。
【請求項7】
請求項6に記載の逆止弁において、
上記係止部(29Ca)は、傾斜部(23C)に対して所定角度をなして張り出した受圧面であり、
上記被係止部(37Ca)は、上記閉止部(31C)の外周部と上記弾性変形部(36C)との間に設けられ、上記弾性変形部(36C)に対して折曲して形成されかつ上記係止部(29Ca)に当たる押圧面である逆止弁。
【請求項8】
請求項6に記載の逆止弁において、
上記係止部(29Da)は、上記通路形成部材(21D)の外周部であって上記取付部(24D)と反対側に設けられた外周端であり、
上記被係止部(37Da)は、上記閉止部(31D)の外周部から屈曲して形成され、上記係止部(29Da)に当たる突出片である逆止弁。
【請求項9】
請求項4に記載の逆止弁において、
上記通路形成部材(21E)の流出口(21Eb)側は、該通路形成部材(21E)の軸線に対して直角に形成されている逆止弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−174606(P2011−174606A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239192(P2010−239192)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】