説明

逆流防止弁及びこれを用いた軟水化システム

【課題】 二次側から衝撃的な内圧変動が作用するような使用環境であっても、ダイヤフラムに破れ破損が発生することを確実に回避し得る逆流防止弁及び軟水化システムする。
【解決手段】 ダイヤフラム91とダイヤフラムプレート92とで弁体9を構成する。ダイヤフラムプレートの外周フランジ部924の最外周側位置からダイヤフラム側に突出する侵入抑止部925を形成する。ダイヤフラムの折返し部912が二次側圧力P2を受けて上向きにはらみ出しても侵入抑止部に当接させてそれ以上のはらみ出しと、隙間Sへの侵入噛み込みの発生とを抑止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラムを用いた弁体の一側に一次側圧力を、他側に二次側圧力をそれぞれ作用させ、一次側と二次側との圧力差に基づき開閉可能とすることにより、常時は閉状態に維持する一方、二次側から一次側への逆流を防止するために用いられる逆流防止弁及びこれを用いた用いた軟水化システムに関し、特にダイヤフラムの破れ破損等の発生を確実に防止し得る技術を適用したものに係る。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の逆流防止弁として、弁体にダイヤフラムを用い、正常時にはこの弁体の一側に作用させた一次側の圧力が大となって弁体を閉弁状態に維持させる一方、弁体の他側に作用させた二次側の圧力が一次側よりも大となる異常時には開弁して二次側からの湯水を排出させることにより二次側から一次側への逆流を防止するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。このものでは、ダイヤフラムとしてゴム材により周囲に上向きに湾曲した可撓部を有する略円板状に形成し、このダイヤフラムの一次側の圧力が作用する側にダイヤフラムプレートを被せるように組み合わせて弁体を構成しており、ダイヤフラムプレートに一次側の圧力を作用させてダイヤフラムを二次側の弁座に押し付けて閉弁状態を維持するようにしている。
【0003】
又、ダイヤフラムを利用した圧力制御弁の分野では、所定曲率に湾曲した状態にセットしたダイヤフラムが略平板状になるまで変形してしまうことを抑制するために、予め所定曲率に湾曲させた変形抑制プレートを配設することが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−324666号公報
【特許文献2】特開2000−193347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の逆流防止弁の如く弁体をダイヤフラムとダイヤフラムプレートとを組み合わせることにより弁体を構成したものにおいては、例えば二次側からウォータハンマー等の衝撃的な圧力が伝搬するような使用環境の場合にはダイヤフラム自体に破れ等の破損が生じてしまうおそれがある。
【0006】
すなわち、図7に例示するようなゴム製のダイヤフラム91と、硬質合成樹脂製のダイヤフラムプレート900とからなる弁体90の場合を例に挙げると、ダイヤフラム91はその外周側位置に比較的薄肉で上方に湾曲する折返し部912が形成され、その上方位置にその折返し部912を覆うようにダイヤフラムプレート900の外周フランジ部901が形成されている。通常は一次側の圧力P1の方が二次側の圧力P2よりも高いため、一次側圧力P1により弁体90を構成するダイヤフラム91が弁座76に押し付けられて閉弁状態に維持される一方、万一、二次側の圧力P2が一次側よりも高くなるような非常事態が発生した場合には、その二次側圧力P2を受けて弁体90が図7の上方に移動して排水口75bを開弁させ、二次側接続口71と排水接続口73とを連通させて排水可能に変換するようになっている。
【0007】
このような逆流防止弁は一次側に上流から例えば給水圧が作用する一方、二次側の下流端は例えば大気に開放されているような使用環境において使用されるため、通常の状態であれば一次側の圧力P1の方が二次側の圧力P2よりも高い状態に維持されることになる。しかしながら、上記の二次側の下流端に開閉弁(例えば出水用カラン)が接続されているような使用環境において上記の逆流防止弁が使用される場合には、上記の開閉弁の例えば開状態から閉状態への変換に伴いウォータハンマーが発生し、これに伴い弁体90の二次側に衝撃的な圧力が作用するおそれがある。この場合、図7に部分拡大図で示すようにダイヤフラム91の折返し部912がダイヤフラムプレート900の外周フランジ部901とハウジング壁面との間の隙間Sに入り込んだり出たりを繰り返す結果、外周フランジ部901のエッジに擦られるなどして折返し部912に破れが発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二次側から衝撃的な内圧変動が作用するような使用環境であっても、ダイヤフラムに破れ等の破損が発生することを確実に回避し得る逆流防止弁及びこれを用いた軟水化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、逆流防止弁に係る第1の発明では、通水回路の一次側の流体の流体圧が導圧される受圧室と、上記通水回路の二次側の流体が流入されて二次側の内圧が導圧される流入室と、流入室から流体を外部に排水する排水口と、この排水口を一次側と二次側との圧力差によって開閉する弁体とを備えた逆流防止弁を対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記弁体として、上記流入室側に位置して排水口を開閉するダイヤフラムと、上記受圧室側に位置して上記ダイヤフラムに結合されたダイヤフラムプレートとを備えるものとする。そして、上記ダイヤフラムプレートにダイヤフラムの外周側部位に相対向して当接可能な外周縁部を備え、上記外周縁部に、その最外周位置からダイヤフラムの外周側部位の側に突出して上記外周縁部と受圧室内面との間の隙間に上記ダイヤフラムの外周側部位が侵入することを抑止する侵入抑止部を形成することとした(請求項1)。
【0010】
この第1の発明の場合、通水回路の二次側からウォータハンマー等の衝撃的な内圧変動が流入室を通してダイヤフラムに繰り返し作用して、ダイヤフラムの外周側部位が上記の隙間の側にはらみ出したとしても、侵入抑止部に当接してそれ以上のはらみ出しと、上記隙間への噛み込みとが確実に阻止されることになる。これにより、ダイヤフラムの外周側部位が上記隙間に侵入して噛み込んでしまう等の不具合に起因するダイヤフラム破れの発生を確実に阻止して回避させ得ることになる。加えて、ダイヤフラムの破れ防止を確実に担保し得るため、二次側の上記の如き内圧変動に対し弁体の移動に基づき減圧機能を発揮させ得るようになる。
【0011】
上記の第1の発明の逆流防止弁において、ダイヤフラムプレートの外周縁部を上記受圧室内面に対しほぼ接するように位置付けるようにすることができる(請求項2)。このようにすることにより、上記の隙間の間隔が可及的に小さく微小量になり、上記のダイヤフラムの外周側部位の噛み込み抑止をより確実に実現させ得ることになる。
【0012】
又、上記の第1の発明の逆流防止弁において、上記ダイヤフラムの外周側部位として上記ダイヤフラムプレート側に凸状に湾曲された折返し部を備える一方、ダイヤフラムプレートの外周縁部として上記折返し部に相対向する外周フランジ部を備えるようにし、上記外周フランジ部の上記折返し部に相対向する面を、折返し部の凸状の湾曲形状に対応して凹状の湾曲形状が上記侵入抑止部の突出端まで滑らかに連続するように設定することができる(請求項3)。このようにすることにより、上記の請求項1等に基づく作用をより一層具体的かつ確実に得られるようになる。
【0013】
軟水化システムに係る第2の発明では、上流側から供給される入水を軟水化して下流側に出水させる軟水化回路を備えた軟水化システムを対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の逆流防止弁を、通水回路としての上記軟水化回路に対しその一次側から入水の流体圧が導圧される一方、上記軟水化回路の二次側から内圧が導圧されるように付設することとした(請求項4)。
【0014】
この第2の発明の場合、軟水化回路の下流側に開閉弁等が介装されて開から閉への切換えに伴い逆流防止弁の二次側に衝撃的な内圧変動が作用したとしても、上述の如く侵入抑止部によりダイヤフラムの外周側部位の噛み込み等の発生が確実に阻止されて破れ破損等の発生が確実に回避されることになる。しかも、下流側からの上記の内圧変動が逆流防止弁の弁体移動により減圧し得ることになり、軟水化システムの信頼性、安定性をより一層高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、請求項1〜請求項3のいずれかの逆流防止弁によれば、通水回路の二次側からウォータハンマー等の衝撃的な内圧変動が流入室を通してダイヤフラムに繰り返し作用して、ダイヤフラムの外周側部位が上記の隙間の側にはらみ出したとしても、侵入抑止部に当接してそれ以上のはらみ出しと、上記隙間への噛み込みとを確実に阻止することができるようになる。これにより、ダイヤフラムの外周側部位が上記隙間に侵入して噛み込んでしまう等の不具合に起因するダイヤフラム破れの発生を確実に阻止して回避することができるようになる。加えて、ダイヤフラムの破れ防止を確実に担保することができるため、二次側の上記の如き内圧変動に対し弁体の移動に基づき減圧機能を発揮させることができるようになる。
【0016】
特に、請求項2によれば、上記の隙間の間隔を可及的に小さく微小量にすることができ、ダイヤフラムの外周側部位の噛み込み抑止をより確実に実現させることができるようになる。
【0017】
請求項3によれば、上記のダイヤフラムの噛み込み阻止及び破れ発生の回避等の作用効果をより一層具体的かつ確実に得ることができるようになる。
【0018】
又、請求項4の軟水化システムによれば、軟水化回路の下流側に開閉弁等が介装されて開から閉への切換えに伴い逆流防止弁の二次側に衝撃的な内圧変動が作用したとしても、ダイヤフラムプレートの侵入抑止部によりダイヤフラムの外周側部位の噛み込み等の発生を確実に阻止して破れ破損等の発生を確実に回避することができることになる。しかも、下流側からの上記の内圧変動を逆流防止弁の弁体移動により減圧することができるため、軟水化システムの信頼性、安定性をより一層高めることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る逆流防止弁7を示す。以下の説明では、図面の上下方向を上下方向として、あるいは、図面の左右方向を左右方向として説明するが、逆流防止弁7の実際の用い方は図面に示した状態に限らず横倒しに倒した状態や上下逆転等の様々な姿勢で設置してもよいことはいうまでもない。
【0021】
この逆流防止弁7は、その二次側接続口71が図示省略の通水回路の二次側部位に連通され、一次側接続口72が導圧路等を介して上記の通水回路の一次側部位に連通され、二次側の圧力P2と、一次側の圧力P1とがそれぞれ導入・作用するようにされている。ここで、一次側の圧力P1とは通水回路の上流端側である一次側に作用している給水圧等であり、二次側の圧力P2とは通水回路の下流端側である二次側に作用している内圧である。そして、上記の二次側接続口71が連通接続される通水回路の二次側部位としては、通水回路に介装された例えば一対の逆止弁の中間位置の部位とされる。又、排水接続口73が外部まで排水し得るように排水路73aに接続されている。なお、上記の導圧路や排水路73a等は延長接続のためのものであり、逆流防止弁7の設置位置等の状況に応じてこれらを省略して直接に接続することも可能である。
【0022】
逆流防止弁7は、ハウジング8と、ダイヤフラム91及びダイヤフラムプレート92からなる弁体9と、弁体9を開側に付勢するバネ(例えばコイルスプリング)10と、このバネ10の一端を支持してその付勢力を弁体9に伝達するバネ受け部材11とを備えたものである。
【0023】
上記ハウジング8は、本実施形態では2つの分割ハウジング部81,82を互いに結合させて形成したものであるが、分割数等については適宜選択し得る。ハウジング8には、二次側接続口71から延びる二次側通路74と、排水接続口73から上記二次側通路74の下流端の流入室80に対し上向きに延びて筒部75aになって突出しその開口端により排水口75bが構成される排水通路75と、この排水通路75の開口端面により構成された弁座76に臨むように拡がりかつ一次側接続口72と一次側の内圧を導入可能に連通された受圧室77とが形成されている。そして、受圧室77と、上記排水口75bの開口端面に形成された弁座76との間を仕切るように弁体9が設置され、弁座76に弁体9が押し付けられて当接し閉弁することで排水口75bが閉状態(図1又は図2に示す状態)にされて二次側通路74と排水通路75との間が遮断される一方、弁体9が弁座76から図面上方に離反して開弁することで排水口75bが開状態にされて二次側通路74と排水通路75とが連通されることになる。
【0024】
上記受圧室77を区画形成するハウジング8の周壁部分には、図2に示すようにダイヤフラム91の外周止着縁911が気密状態に内嵌・保持される周溝78と、バネ受け部材11の後述の外周角部112が当止してそれ以上の弁体9の下降を阻止・規制する受け部79とが形成されている。又、上記受圧室77を区画するハウジングの8の内面には、開弁状態(図3に示す状態)の弁体9のダイヤフラムプレート92の外周フランジ部923と当接してそれ以上の離反側(開弁方向;図面の上方)への移動を規制する当止部771が形成されている。
【0025】
上記弁体9(図2参照)は、ダイヤフラム91と、このダイヤフラム91の上側(一次側接続口72からの一次側圧力が作用する側)に重ね合わされた合成樹脂製のダイヤフラムプレート92とで構成されている。ダイヤフラム91は、外周縁位置に形成された外周止着縁911と、その内周側位置に比較的薄肉にされてダイヤフラムプレート92側に凸状に湾曲された折返し部(外周側部位)912と、中央寄り位置にその下面が弁座76に当接するように弁座76よりも十分に大径でかつ比較的厚肉で平板状に形成された弁部913とからなるものである。ダイヤフラムプレート92は、平板状に形成されて上記弁部913に密着する底壁921と、底壁921の中央位置から垂下する係合凸部922と、底壁921の周囲から立ち上がる周壁923と、周壁923の上端から外周側に張り出した外周縁部としての外周フランジ部924と、この外周フランジ部924の最外周縁位置から下側(ダイヤフラム91の折返し部912の最外周部位の側)に突出して外周フランジ部924とハウジング8(受圧室7の内面)との間の隙間Sに対する折返し部912の侵入を防止する侵入抑止部925とを備え、平底皿状に形成されている。このようなダイヤフラムプレート92は、少なくともダイヤフラム91よりも剛性のある硬質素材(例えば合成樹脂)により形成されている。
【0026】
ダイヤフラム91とダイヤフラムプレート92とは、上記の係合凸部922が上記弁部913の中央位置の貫通孔に対し圧入気味に押し込まれることにより、互いに脱落しないように一体に組み付けられて結合されており、ダイヤフラムプレート92の底壁921が弁部913に重ね合わされた状態で当接して弁部913を平坦な状態に維持するようになっている。
【0027】
又、図4に詳細を示すように、上記侵入抑止部925の突出端に続く外周フランジ部924の下向き面(折返し部912に相対向する面)926は、折返し部912の上向きに凸の湾曲形状に対応した凹の湾曲形状に設定され、上記侵入抑止部925の突出端に至るまで滑らかに連続する曲面が形成されている。しかも、外周フランジ部924の外周端はハウジング8の内面(受圧室77の内面)にほぼ接する程度になるように位置付けられて、ハウジング8の内面との間の隙間Sの幅が可及的に小さく(例えば0.3mm幅程度)なるように、ダイヤフラムプレート92の外径が設定されている。加えて、侵入抑止部924の突出寸法dは外周フランジ部924の厚みtに対しその半分程度(例えばt=1.1mmに対しd=0.5mm程度)になるように設定されている。
【0028】
以上の逆流防止弁7においては、通水回路側が正常であれば、一次側接続口72を通して受圧室77内に一次側圧力として通水回路の最上流から給水圧等が導入され、弁体9に対してはその給水圧が常時作用することになる。一方、通水回路の二次側の圧力は一次側圧力よりも小となるため、弁体9は、弁体9を挟んで受圧室77からの一次側圧力P1と、二次側通路74から流入室80に導入される二次側圧力P2との差圧に基づき、弁座76に押し付けられて、閉弁状態となって二次側通路74と排水通路75との間が遮断された状態になる(図1又は図2参照)。
【0029】
一方、通水回路の一次側が何らかの原因により負圧傾向に陥る事態が生じた場合には、受圧室77に導入される一次側圧力P1も同様に低下したり負圧傾向となる。この場合には、二次側通路74を通して導入されている二次側圧力P2の方が一次側圧力P1よりも高くなって、弁体9は開弁して排水口75bが開くことにより二次側通路74と排水通路75とが互いに連通した状態になる(図3参照)。弁体9の開弁によりダイヤフラム91は上側に移動し、これに伴い折返し部912が上向きにはらみ出すことになるものの、侵入抑止部925に折返し部912が当接してそれ以上のはらみ出しが阻止されることになる。そして、通水回路の二次側部位から逆流が生じたとしても、その逆流は二次側通路74、流入室80、排水口75b及び排水通路75を通して排水され、逆流が通水回路の一次側へ到達することを確実に防止することができる一方、その排水と同時に排水口75bを通して排水通路75から二次側通路74に外気を吸気して通水回路内の湯水との置換により一次側の負圧を破壊して解消させることができることになる。これにより、逆流防止機能を十分にかつ確実に発揮させることができるようになる。
【0030】
又、通水回路の一次側が負圧傾向に陥る他に、通水回路の二次側の下流端からウォータハンマー等の衝撃的な内圧変動が生じ、それが二次側通路74を通して弁体9に作用することも考えられる。この場合、弁体9は瞬間的に閉弁状態から開弁状態に変換し、これに伴いダイヤフラム91の折返し部912も上側にはらみ出すことになるものの、そのはらみ出しはダイヤフラムプレート92の侵入抑止部925に当接することよりそれ以上のはらみ出しが抑止されることになる。しかも、上記の内圧変動が脈動状態で作用したとしても、隙間Sのより小さい幅間隔への設定と共に、侵入折返し部925の突出端に阻止されて、折返し部912自体が隙間Sに侵入して噛み込みを生じるような事態の発生を確実に阻止して破れ等の発生を確実に回避することができるようになる(図3参照)。さらに、ダイヤフラム91の破れ防止を確実に担保することができるため、二次側の内圧変動に対し弁体9の移動に基づく減圧機能を発揮させることができるようにもなる。
【0031】
なお、以上の実施形態では、侵入抑止部925の下向き面926と折返し部912との間に弁体9の閉弁状態において互いの間隔kとして微小寸法を有するように設定しているが、例えば図5に示すように間隔kをゼロに設定して弁体9が閉弁状態において下向き面926を折返し部912に対し接触した状態に設定するようにしてもよい。
【0032】
<第2実施形態>
図6は、第1実施形態の逆流防止弁7を適用した軟水化システム1に係る第2実施形態を示す。この軟水化システム1は、イオン交換樹脂Eを用いた通水回路としての軟水化回路2と、イオン交換樹脂Eを再生する再生回路3と、洗浄回路4となどを備えたものであり、後述の開閉制御弁225,233,241,321,331等の作動制御により複数種類の運転モード(例えば軟水化運転モード、再生運転モード、洗浄運転モード等)での運転が可能となっている。 なお、上記逆流防止弁7の構成は第1実施形態のものと同様構成であるため、同一構成要素には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0033】
軟水化回路2は、イオン交換樹脂E(例えば粒子状イオン交換樹脂)が充填された軟水化槽21と、この軟水化槽21に水道水等を入水接続口221から入水させる入水路22と、軟水化槽21での軟水化後の軟水を出水接続口231を介して出水カラン232等に出水させる出水路23とを備えている。入水路21には上流側の入水接続口221側から下流側に対し順に流量センサ222、一対の逆止弁223,224、入水弁225が介装され、下流端が軟水化槽21の流入ヘッド211に連通接続されている。そして、入水接続口221側の入水路22から分岐させた導圧路226により一次側圧力P1が逆流防止弁7の一次側接続口72に導圧され、一対の逆止弁223,224の中間位置の入水路22から分岐させて導圧路227により二次側圧力P2が逆流防止弁7の二次側接続口71に導圧されるようになっている。
【0034】
軟水化槽21は内部にイオン交換樹脂Eが充填され入力ヘッド211から流入された入水をイオン交換樹脂Eと接触させて軟水化した後にカラム212を通して出水ヘッド213に導き、軟水を出水路23に出水させるようになっている。又、出水路23は下流端の出水接続口231に向かい順にストレーナ232と、出水のための採水弁233とが介装されている。下流側の逆止弁224と入水弁225との間の入水路22と、採水弁233の下流側の出水路23とがバイパス路24により互いに連通され、このバイパス路24にはバイパス弁241が介装されている。
【0035】
再生回路3はイオン交換樹脂Eの再生のための塩水を生成して供給する塩水タンク31と、この塩水タンク31に入水接続口221からの入水を補水・供給して塩水を塩水タンク31から押し出す補水路32と、塩水タンク31から押し出された塩水を軟水化槽21の出水ヘッド213に導入する塩水導入路33とを備えている。補水路32には補水弁321が介装され、塩水導入路33には塩水弁331が介装されている。
【0036】
又、洗浄回路4として、入水弁225と軟水化槽21との間の入水路22から分岐して排水接続口411に至る逆洗排水路41と、塩水導入路33の塩水弁331と軟水化槽21の間の塩水導入路33から分岐して上記排水接続口411に至る順洗排水路42とを備えている。上記逆洗排水路41には逆洗排水弁412が介装され、上記順洗排水路42には順洗排水弁421が介装されている。
【0037】
この軟水化システム1では、図示省略のコントローラによる作動制御により軟水化運転モード等の各種の運転モードが切換・実行されるようになっている。例えば入水弁225及び採水弁233を開作動させることにより軟水化運転モードが実行され、入水路22を通して水道水等が軟水化槽21に入水され、イオン交換樹脂Eによるイオン交換によって軟水化され、軟水化後の軟水が出水路23を通して出水されることになる。軟水化運転モードが終了すれば入水弁225及び採水弁233が閉作動される。そしてバイパス弁241が開作動されると、入水接続口221から入水された水道水等が軟水化されることなくそのまま出水接続口231から出水カランの側に流れることが可能になる。さらに、補水弁321及び塩水弁331を開作動させて再生運転モードに入ると、補水路32からの入水により塩水タンク31から塩水が押し出されて塩水導入路33を通して軟水化槽21に供給されることになる。この供給された塩水によりイオン交換樹脂Eが再生され、開作動させた逆洗排水弁412及び逆洗排水路41を通して再生後の逆洗流が排水接続口411から排水されることになる。
【0038】
以上の軟水化システム1の場合、二次側圧力P2が導圧される部位の入水路22の下流側に各種の開閉弁225,241,233や出水カラン232が存在するため、これらの開から閉への切換時にウォータハンマー等の衝撃的な内圧変動が逆流防止弁7の二次側接続口71に作用するおそれがある。しかしながら、第1実施形態において説明したように、ダイヤフラム91(特に図3参照)の折返し部912に対し二次側から繰り返しの内圧変動が作用したとしても、折返し部912が隙間Sに噛み込む等の不具合に起因する破れ発生を確実に阻止して回避させることができる。加えて、ダイヤフラム91の破れ防止を確実に担保することができるため、二次側の上記の如き内圧変動に対し弁体9の移動に基づき減圧機能を発揮させることができるようになる。従って、下流側に開閉切換される開閉制御弁等が設置された軟水化システム1等に対し第1実施形態の逆流防止弁7を好適に適用して軟水化システム1の安定かつ確実な運転を担保させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面説明図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】開弁状態の図2対応図である。
【図4】図2をさらに拡大した部分拡大図である。
【図5】第1実施形態の他の形態例を示す図4対応図である。
【図6】第2実施形態の軟水化システムを示す模式図である。
【図7】本発明の課題を説明するための従来構造例を示す図1対応図である。
【符号の説明】
【0040】
1 軟水化システム
2 軟水化回路(通水回路)
7 逆流防止弁
9 弁体
77 受圧室
80 流入室
91 ダイヤフラム
92 ダイヤフラムプレート
912 折返し部(ダイヤフラムの外周側部位)
924 外周フランジ部(ダイヤフラムプレートの外周縁部)
925 侵入抑止部
926 下向き面
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水回路の一次側の流体の流体圧が導圧される受圧室と、上記通水回路の二次側の流体が流入されて二次側の内圧が導圧される流入室と、流入室から流体を外部に排水する排水口と、この排水口を一次側と二次側との圧力差によって開閉する弁体とを備えた逆流防止弁であって、
上記弁体は、上記流入室側に位置して排水口を開閉するダイヤフラムと、上記受圧室側に位置して上記ダイヤフラムに結合されたダイヤフラムプレートとを備え、
上記ダイヤフラムプレートはダイヤフラムの外周側部位に相対向して当接可能な外周縁部を備え、上記外周縁部にはその最外周位置からダイヤフラムの外周側部位の側に突出して上記外周縁部と受圧室内面との間の隙間に上記ダイヤフラムの外周側部位が侵入することを抑止する侵入抑止部が形成されている
ことを特徴とする逆流防止弁。
【請求項2】
請求項1に記載の逆流防止弁であって、
ダイヤフラムプレートの外周縁部は上記受圧室内面に対しほぼ接するように位置付けられている、逆流防止弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の逆流防止弁であって、
上記ダイヤフラムは外周側部位として上記ダイヤフラムプレート側に凸状に湾曲された折返し部を備える一方、ダイヤフラムプレートは外周縁部として上記折返し部に相対向する外周フランジ部を備え、
上記外周フランジ部の上記折返し部に相対向する面は、折返し部の凸状の湾曲形状に対応して凹状の湾曲形状が上記侵入抑止部の突出端まで滑らかに連続するように設定されている、逆流防止弁。
【請求項4】
上流側から供給される入水を軟水化して下流側に出水させる軟水化回路を備えた軟水化システムであって、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の逆流防止弁が、通水回路としての上記軟水化回路に対しその一次側から入水の流体圧が導圧される一方、上記軟水化回路の二次側から内圧が導圧されるように付設されている
ことを特徴とする軟水化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−101474(P2010−101474A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276155(P2008−276155)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】