説明

透明導電性フィルムおよびタッチパネル

【課題】透明導電層形成面同士が対向配置されたタッチパネルに用いた場合においても、キズが生じ難い透明導電性フィルムを提供する。
【解決手段】透明導電性フィルム100は、透明フィルム基材1、透明フィルム基材の第1の主面上に形成された少なくとも1層の誘電体層2、および誘電体層上に形成された透明導電層3を有する透明導電性を有する。透明導電層3はパターン化されており、透明導電層が形成されていないパターン開口部において、透明導電性フィルムの第1の主面側の表面は、算術平均粗さRaが22nm以上であり、かつ高さ250nm以上の突起を140個/mm以上有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基材上に誘電体層を介してパターン化された透明導電層が設けられた透明導電性フィルムに関する。また、本発明は、該透明導電性フィルムを備えるタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。抵抗膜方式のタッチパネルは、上部電極の透明導電性フィルムと下部電極の透明導電層付ガラスあるいは透明導電性フィルムとがスペーサを介して対向配置されており、上部電極に電流を流して下部電極に於ける電位を計測するような構造が一般に採用されている。静電容量方式のタッチパネルは、基材上にパターン化された透明導電層を有するものを基本的構成としており、高耐久性、高透過率を有するため、車載用途等において適用されている。
【0003】
同時多点入力(マルチタッチ)が可能であり、操作性に優れることから、静電容量方式のタッチパネルの需要が急速に高まりつつある。一方、1つの平板電極を使用する抵抗膜方式のタッチパネルに2ヶ所以上のマルチタッチが発生すると、その平均電位が検出され、タッチされた2ヶ所間の中間地点がタッチ地点として認識される。そのため、従来抵抗膜方式のタッチパネルはマルチタッチには不向きであると考えられていた。
【0004】
一方で、近年、上部電極および下部電極の両者に、短冊状にパターン化された透明導電層を用い、これらのパターン方向が直交するようにマトリクス状に配置したマトリクス型の抵抗膜方式タッチパネルにより、多点入力を行い得ることが提案されている(例えば特許文献1)。このようなマトリクス型の抵抗膜方式タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルに比して、透明導電性フィルムやICの必要数が少なく安価に製造し得る点から注目されている。
【0005】
静電容量方式のタッチパネルおよびマトリクス型の抵抗膜方式タッチパネルのいずれにおいても、電極を構成する透明導電性フィルムは、基材上に透明導電層が形成されているパターン部と透明導電層が形成されていないパターン開口部とを有する。このように透明導電層がパターン化された透明導電性フィルムに関して、例えば、特許文献2においては、透明導電性フィルムのパターン部とパターン開口部との視認性の差を抑制するために、基板の透明導電層を形成する側の面にコーティング層を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−250801号公報
【特許文献2】WO2006/126604号国際公開パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に静電容量方式のタッチパネルに用いられる透明導電性フィルムは、透明導電層同士が接触することはないが、抵抗膜方式のタッチパネルでは、透明導電層形成面同士が対向するように配置され、さらにはペン等による押圧入力が行われる。そのため、抵抗膜方式のタッチパネルに用いられる透明導電性フィルムは、入力時に上下の電極間で、透明導電層形成部(パターン部)同士、透明導電層非形成部(パターン開口部)同士、および透明導電層形成部と透明導電層非形成部との間の接触および摺動が生じ得る。
【0008】
本発明者らの検討によれば、透明導電層がパターン化されている抵抗膜方式のタッチパネルでは、従来の抵抗膜方式のタッチパネルに比して、透明導電性フィルムにキズが生じやすいことが判明した。さらに検討したところ、このようなキズは、透明導電層が形成されていないパターン開口部において発生し易く、特にパターン開口部において有機物の誘電体層が露出している構成の透明導電性フィルムにおいて、キズが発生し易いことを見出した。かかる観点に鑑み、本発明は、透明導電層形成面同士が対向配置された場合であっても、摺動時のキズの発生が抑制された透明導電性フィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、透明導電性フィルムのパタ開口部が所定の表面形状を有する場合に、摺動時のキズの発生が抑制されることを見出し本発明に至った。
【0010】
本発明は、透明フィルム基材、および透明フィルム基材の第1の主面上に少なくとも1層の誘電体層を介して形成された透明導電層を有する透明導電性フィルムに関する。前記透明導電層はパターン化されており、透明導電層が形成されていないパターン開口部において、第1の主面側の表面(誘電体層の露出面)は、算術平均粗さRaが22nm以上であり、かつ高さ250nm以上の突起を140個/mm以上有することが好ましい。
【0011】
透明導電性フィルムの透明導電層が形成されたパターン部において、第1の主面側の表面(透明導電層の表面)は、算術平均粗さRaが22nm以上であり、かつ高さ250nm以上の突起を140個/mm以上有することが好ましい。パターン開口部における透明導電性フィルムのヘイズ値が2.0%以下であることが好ましい。パターン部における透明導電性フィルムのヘイズ値が2.0%以下であることが好ましい。また、透明導電層の厚みは50nm以下であることが好ましい。
【0012】
一実施形態において、透明フィルム基材は粒子を含む。一実施形態において、少なくとも1層の誘電体層は粒子を含む。また、一実施形態において、透明導電性フィルムのパターン開口部において露出している誘電体層は、有機物による誘電体層である。
【0013】
一実施形態において、透明導電性フィルムは、透明導電層がストライプ状にパターン化されている。本発明の透明導電性フィルムは、抵抗膜方式タッチパネル用として、特に好適に用いられる。
【0014】
さらに、本発明は、上記透明導電性フィルムを備えるタッチパネルに関する。本発明の一実施形態にかかるタッチパネルは、スペーサを介して上部電極基板と下部電極基板とが配置されている。上部電極基板と下部電極基板のいずれか一方は、上記の透明導電性フィルムを備える。上部電極基板と下部電極基板は、それぞれの透明導電層形成面側同士が対向するように配置されている。上部電極基板の透明導電層と下部電極基板の透明導電層は、いずれもストライプ状にパターン化されており、そのパターン化方向が直交するように配置される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の透明導電性フィルム100は、透明導電層が形成されているパターン部および透明導電層が形成されていないパターン開口部の両者が所定の表面形状を有する。そのため、パターン部同士が接触する部分、パターン開口部同士が接触する部分、パターン部とパターン開口部とが接触する部分のいずれにおいても、摺動時の摩擦による傷付きが抑止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るタッチパネルの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の透明導電性フィルム100の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1において、透明フィルム基材1の一方の主面である第1の主面上には、誘電体層2を介して透明導電層3が形成されている。図1においては、誘電体層2として透明フィルム基材1側から第1の誘電体層21と第2の誘電体層22の2層が図示されているが、誘電体層は1層のみかなるものであってもよいし、3層以上が形成されていてもよい。透明導電性フィルム100は、誘電体層2上に透明導電層3が形成されているパターン部Pと、透明導電層3が形成されていないパターン開口部Oとを有する。
【0018】
図2は、本発明の透明導電性フィルム100の他の実施形態を模式的に表す断面図である。図2の形態では、誘電体層2は2層以上の誘電体層から形成されており、透明フィルム基材1から最も離れた第2の誘電体層22は、透明導電層3と同様にパターン化されている。一方、透明フィルム基材1の第1の主面上に形成される第1の誘電体層21は、パターン化されていない。図2においては、誘電体層2として、第1の誘電体層21、および第2の誘電体層22が図示されているが、これらの間に1層または2層以上の誘電体層を有していてもよい。また、2層の誘電体層21、22の間に形成される誘電体層は、第2の誘電体層22と同様にパターン化されているものであってもよく、第1の誘電体層21と同様にパターン化されていないものであってもよい。
【0019】
透明フィルム基材の誘電体層2が形成されるのと反対側の主面である第2の主面上には、ハードコート層、防眩処理層、反射防止層等の表面コート層7を設けてもよい。また、図3に示すように、透明フィルム基材の第2の主面側には、適宜の粘着剤層4を介して、透明基体5が貼り合わされていてもよい。
【0020】
(透明フィルム基材)
透明フィルム基材1としては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。例えば、その材料として、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。
【0021】
透明フィルム基材1の厚みは、2〜200μmの範囲内であることが好ましく、2〜100μmの範囲内であることがより好ましい。透明フィルム基材1の厚みが2μm未満であると、透明フィルム基材1の機械的強度が不足し、フィルム基材をロール状にして誘電体層2、透明導電層3を連続的に形成する操作が困難になる場合がある。一方、厚みが200μmを超えると、透明導電層3の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上が図れない場合がある。
【0022】
透明フィルム基材1の第1の主面には、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、フィルム基材上に形成される誘電体層2との密着性を向上させるようにしてもよい。また、誘電体層を形成する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより、フィルム基材表面を除塵、清浄化してもよい。
【0023】
(誘電体層)
透明フィルム基材1の第1の主面上には、少なくとも1層の誘電体層が形成されることが好ましい。誘電体層は、導電層としての機能を有しないものである。即ち、誘電体層2は、パターン化された透明導電層3のパターン部P、P間が絶縁されるように設けられる。従って、誘電体層2は、通常、表面抵抗が、1×106Ω/□以上であり、好ましくは1×107Ω/□以上、さらに好ましくは1×108Ω/□以上である。なお、誘電体層2の表面抵抗の上限は特にない。一般的には、誘電体層2の表面抵抗の上限は測定限界である、1×1013Ω/□程度であるが、1×1013Ω/□を超えるものであってもよい。
【0024】
後に詳述するように、誘電体層2上にはパターン化された透明導電層3が形成される。透明導電層が形成されているパターン部Pと透明導電層が形成されていないパターン開口部Oとの視認性の差を抑制する観点において、誘電体層2としては、透明導電層3の屈折率と誘電体層の屈折率の差が、0.1以上となる材料が好適に用いられる。透明導電層3の屈折率と誘電体層の屈折率の差は、0.1以上0.9以下、さらには0.1以上0.6以下であるのが好ましい。なお、誘電体層2の屈折率は、通常、1.3〜2.5、さらには1.38〜2.3、さらには1.4〜2.3であるのが好ましい。
【0025】
誘電体層2は、無機物、有機物または無機物と有機物との混合物により形成することができる。例えば、無機物として、NaF(1.3)、Na3AlF6(1.35)、LiF(1.36)、MgF2(1.38)、CaF2(1.4)、BaF2(1.3)、SiO2(1.46)、LaF3(1.55)、CeF3(1.63)、Al23(1.63)などの無機物〔上記各材料の()内の数値は光の屈折率である〕があげられる。これらのなかでも、SiO2、MgF2、A123などが好ましく用いられる。特に、SiO2が好適である。上記の他、酸化インジウムに対して、酸化セリウムを10〜40重量部程度、酸化錫を0〜20重量部程度含む複合酸化物を用いることができる。
【0026】
また有機物としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー、有機シラン縮合物などがあげられる。これら有機物は、少なくとも1種が用いられる。特に、有機物としては、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用するのが望ましい。
【0027】
透明フィルム基材1の第1の主面上に形成される誘電体層は、有機物により形成されていることが、透明導電層3をエッチングによりパターン化する上で好ましい。従って、誘電体層2が1層からなる場合には、誘電体層2は、有機物により形成するのが好ましい。
【0028】
また誘電体層2が2層または2層以上からなる場合には、少なくとも、透明フィルム基材1から最も離れた第2の誘電体層22は、無機物により形成されていることが好ましい。誘電体層2が3層以上ある場合には、透明なフィルム基材1から第2層目より上の誘電体層についても無機物により形成されていることが好ましい。第2の誘電体層が無機物により形成されていれば、透明フィルム基材上に形成された第1の誘電体層をエッチングすることなく、第2の誘電体層のみをエッチングによりパターン化し得るために、図2に示すような透明導電性フィルムを容易に作製することができる。
【0029】
無機物により形成された誘電体層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセス、またはファンテン、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、ファンテンメタリング、グラビア等のコーティング法によるウェットプロセスにより形成し得る。誘電体層を形成する無機物としては、前述の通り、SiOが好ましい。ウェットプロセスでは、シリカゾル等を塗工することによりSiO2膜を形成することができる。有機物により形成された誘電体層は、ウェットプロセスにより形成することが好ましい。特に、誘電体層の表面形状を制御する等の目的で、誘電体層に微粒子を含有させる場合は、ウェットプロセスにより製膜することが好ましい。
【0030】
誘電体層2の厚さは、特に制限されるものではないが、光学設計、前記フィルム基材1から発生するオリゴマーの封止や、パターン部Pとパターン開口部Oとの間の視認性の差を抑制する観点から、通常、1〜300nm程度である。一般に、透明フィルム基材は、搬送性や取り扱い性向上のためにフィルム中に粒子を含有しているが、この基材固有の表面形状を維持して、所定の表面形状を有する透明導電性フィルムを得る観点から、誘電体層2の厚さは50nm以下であることが好ましく、4nm〜45nmであることがより好ましく、5nm〜40nmであることがさらに好ましい。なお、誘電体層2が2層以上の誘電体層からなる場合は、各層の厚みの合計が上記範囲であることが好ましい。
【0031】
(誘電体層の表面形状)
誘電体層2の表面は、算術平均粗さRaが22nm以上であることが好ましく、かつ、高さ250nm以上の突起を140個/mm以上有することが好ましい。表面の算術平均粗さRaは24nm〜50nmであることがより好ましく、24nm〜40nmであることがさらに好ましく、24〜35nmであることが特に好ましい。誘電体層の表面における高さ250nm以上の突起数は140個/mm〜550個/mmであることがより好ましく、200個/mm〜500個/mmであることがさらに好ましい。なお、突起の高さの上限は、光散乱が大きくなりヘイズが高くなることを防止する観点から、1500nm以下であることが好ましい。
【0032】
図1に示すような、誘電体層2がパターン化されていない実施形態において、パターン開口部Oでは、誘電体層2の表面が透明導電性フィルムの露出面となる。また、誘電体層2上に透明導電層3がスパッタリング法等のドライプロセスにより形成される場合、透明導電層3は、誘電体層2の表面形状をほぼ維持した表面形状を有する。そのため、誘電体層2の表面が上記のような表面形状を有していれば、パターン部Pおよびパターン開口部Oも同様の表面形状を有する透明導電性フィルムが得られうる。
【0033】
さらに、図2に示すように、誘電体層2の透明フィルム基材1から最も離れた第2の誘電体層22がパターン化されている形態においては、誘電体層2の表面(第2の誘電体層22の表面)が上記のような表面形状を有していることに加えて、パターン開口部Oにおいて露出面となる誘電体層21の表面も同様の表面形状を有していることが好ましい。
【0034】
上記のような表面形状を有する誘電体層を形成する方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、誘電体層の表面を、サンドブラストやエンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗面化処理して、表面に微細凹凸を付与する方法や、上記のような方法で表面が粗面化処理された透明フィルム基材1を用い、粗面化処理された表面上に、誘電体層を形成する方法が挙げられる。また、微粒子を含有し、所定の表面形状を有する透明フィルム基材上に誘電体層を形成する方法や、誘電体層2が微粒子を含有することによっても、所期の表面形状を有する誘電体層を形成し得る。中でも所望の表面形状を容易に形成し得る観点からは、透明フィルム基材および/または誘電体層が微粒子を含有することが好ましい。
【0035】
透明フィルム基材および/または誘電体層に含有させる微粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子やシリコーン系微粒子などがあげられる。前記微粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。
【0036】
透明フィルム基材が微粒子を含有する場合、その微粒子としては、基材の透明性を維持しながら搬送性や易滑性を付与する観点から、シリコーン系微粒子が好適に用いられる。また透明フィルム基材に含まれる微粒子の平均粒径は、0.005μm〜5μm程度であることが好ましく、0.01〜3μm程度であることがより好ましい。また、微粒子は異なる粒径のものを組み合わせて用いることができる。
【0037】
誘電体層が微粒子を含有する場合、その微粒子としては、透明性を維持しながら搬送性や易滑性を付与する観点から、シリコーン系微粒子が好適に用いられる。また、誘電体層の屈折率を制御して、透明導電性フィルムの視認性を向上させる観点からは、酸化ジルコニウム粒子等が好適に用いられる。誘電体層に含まれる微粒子の平均粒径は、0.005μm〜5μm程度であることが好ましく、0.01〜3μm程度であることがより好ましい。
【0038】
誘電体層2が2層以上からなる場合には、少なくとも1層の微粒子を含有する誘電体層と、微粒子を含有しない誘電体層とを形成してもよい。例えば、透明フィルム基材1上に、ウェットプロセスにより微粒子を含有する第1の誘電体層21を形成し、その上にドライプロセスにより微粒子を含まない無機物による第2の誘電体層を形成してもよい。
【0039】
(透明導電層)
透明導電層3の構成材料としては特に限定されず、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えば酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)などが好ましく用いられる。
【0040】
透明導電層3の厚さは特に制限されないが、その表面抵抗を1×103Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするには、厚さ10nm以上とするのが好ましい。膜厚が、厚くなりすぎると透明性の低下などをきたすため、膜厚は15〜35nmであることが好ましく、より好ましくは20〜30nmの範囲内である。透明導電層の膜厚が小さすぎると、表面抵抗が高くなり、かつ連続被膜になり難くなる。透明導電層の膜厚が大きすぎると、透明性の低下などをきたす場合がある。また、透明導電層の膜厚が大きいと、その表面が下地層である誘電体層の表面の凹凸を緩和した形状となる傾向がある。そのため、透明導電層表面の算術平均粗さRaや突起数が所期の範囲より小さくなり、タッチパネルを形成した場合にキズを生じ易くなる場合がある。
【0041】
透明導電層3の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を例示できる。また、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。なお、透明導電層3を形成した後、必要に応じて、100〜150℃の範囲内でアニール処理を施して結晶化することができる。このため、フィルム基材1は、100℃以上、更には150℃以上の耐熱性を有することが好ましい。本発明では、透明導電層3は、エッチングしてパターン化される。透明導電層3を結晶化するとエッチングが困難になる場合があるため、透明導電層3のアニール化処理は、透明導電層3をパターン化した後に行うことが好ましい。さらには誘電体層2をエッチングする場合には、誘電体層2のエッチングの後に透明導電層3のアニール化処理を行うことが好ましい。
【0042】
図1,2等に示すように、透明導電層3は、誘電体層2上に透明導電層が形成されているパターン部Pと透明導電層が形成されていないパターン開口部Oとにパターン化されている。パターン形状としては、例えば、各パターン部Pが短冊状に形成され、パターン部Pとパターン開口部Oとがストライプ状に配置された形態が挙げられる。特に、透明導電性フィルムがマトリクス型の抵抗膜方式タッチパネルに用いられる場合には、透明導電層はストライプ状にパターン化されていることが好ましい。図4は、本発明の透明導電性フィルム100の模式的平面図であり、各パターン部Pにおいて、透明導電層31〜36は短冊状に形成され、ストライプ状にパターン化された形態の一例である。なお、図4では、パターン部Pの幅がパターン開口部Oの幅より大きく図示されているが、本発明は、かかる形態に制限されるものではない。
【0043】
(パターン化方法)
本発明の透明導電性フィルムは、透明フィルム基材1上に、上記のような誘電体層2および透明導電層3が形成されていれば、その製造方法は特に制限されない。例えば、常法に従って、透明なフィルム基材上に、少なくとも1層の誘電体層を介して、透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製した後に、前記透明導電層を、エッチングしてパターン化することにより製造することができる。エッチングに際しては、パターンを形成するためのマスクにより透明導電層を覆って、エッチング液により、透明導電層をエッチングする。
【0044】
前述のように、透明導電層3の材料としては、酸化スズを含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化スズが好適に用いられるため、エッチング液としては、酸が好適に用いられる。酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、およびこれらの混合物、ならびにそれらの水溶液があげられる。
【0045】
誘電体層2が少なくとも2層からなる場合には、図1に示すように透明導電層3のみをエッチングしてパターン化することができる他、図2に示すように透明導電層3を酸によりエッチングしてパターン化した後に、少なくとも、透明なフィルム基材から最も離れた第2の誘電体層22を透明導電層3と同様にエッチングしてパターン化することができる。誘電体層が3層以上からなる場合は、透明なフィルム基材上の第1の誘電体層以外の透明導電層を透明導電層3と同様にエッチングしてパターン化することが好ましい。
【0046】
誘電体層のエッチングに際しては、透明導電層3をエッチングした場合と同様のパターンを形成するためのマスクにより誘電体層2表面を覆って、エッチング液により、誘電体層をエッチングする。前述通り、第2の誘電体層22としては、SiO等の無機物が好適に用いられるため、エッチング液としては、アルカリが好適に用いられる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水溶液、およびこれらの混合物があげられる。なお、かかる実施形態において、透明フィルム基材1上の第1の誘電体層は、前述のように酸またはアルカリによってエッチングされないような有機物により形成するのが好ましい。
【0047】
(透明導電性フィルムの表面形状)
透明導電性フィルム100のパターン開口部Oにおける第1の主面側表面、すなわち誘電体層2の露出面の表面は、算術平均粗さRaが22nm以上であることが好ましく、かつ、高さ250nm以上の突起を140個/mm以上有することが好ましい。算術平均粗さRaは、24nm〜50nmであることがより好ましく、24nm〜40nmであることがさらに好ましく、24〜35nmであることが特に好ましい。誘電体層の表面における高さ250nm以上の突起数は140個/mm〜550個/mmであることがより好ましく、200個/mm〜500個/mmであることがさらに好ましい。透明導電性フィルムのパターン開口部がこのような表面形状を有する場合、他の透明導電層付き基板(例えば他の透明導電性フィルムや透明導電層付きガラス)と透明導電層同士が対向するように配置されてタッチパネルが形成される場合においても、パターン開口部における誘電体層表面でのキズの発生が抑止される。なお、突起の高さの上限は、光散乱が大きくなりヘイズが高くなることを防止する観点から、1500nm以下であることが好ましい。
【0048】
本発明者らの検討によれば、透明導電層がパターン化されている抵抗膜方式のタッチパネルにおいて、パターン部の透明導電層とパターン開口部の誘電体層との接触部分、およびパターン開口部の誘電体層同士の接触部分の、特にパターン開口部、すなわち誘電体層の露出面にキズが生じやすいことが確認された。特に、パターン開口部Oにおいて有機物による誘電体層が露出している場合、例えば、誘電体層2が有機物による1層の誘電体層からなる場合や、誘電体層2が図2のように2層以上の誘電体層からなり、パターン化されていない第1の誘電体層21が有機物による誘電体層である場合においては、パターン開口部の有機物誘電体層にキズが発生し易くなる傾向がある。
【0049】
このように透明導電性フィルムのパターン開口部にキズが発生し易いのは、一般に誘電体層の硬度が透明導電層に比して小さいことに起因するためであると考えられる。これに対して、透明導電性フィルムが上記のような表面形状を有する場合には、パターン部とパターン開口部との間の動摩擦係数およびパターン開口部同士の動摩擦係数が小さくなり、透明導電性フィルムが摺動された場合でも、フィルム同士が擦れることによるキズが生じにくくなることを見出した。そして、本発明では、パターン開口部の両者が上記のような表面形状を有するために、動摩擦係数が低減され、摺動時のキズの発生が抑止されるものと考えられる。
【0050】
表面の算術平均粗さRaが小さすぎる場合や、高さ250nmを超える突起数が少なすぎる場合は、上部電極と下部電極との接触あるいは摺動の際に、透明導電性フィルムの表面、特に透明導電層が形成されていないパターン開口部においてキズが発生しやすくなる傾向がある。一方、表面の算術平均粗さRaが大きすぎる場合や、高さ250nmを超える突起数が多すぎる場合は、電極表面での光の散乱が大きくなるために、視認性を悪化させたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなる傾向がある。
【0051】
なお、一般にRaが大きくなると、突起数も大きくなる傾向があるが、例えば基材フィルムや誘電体層に含有させる微粒子の平均粒径を0.3〜3μm程度とすれば、上記のような所定の算術平均粗さRaおよび突起数を有する表面形状とすることができる。その他、基材もしくは誘電体層に、粒度分布範囲の広い粒子、あるいは異なる粒径(粒度分布)や特性を有する粒子を混合して用いることにより、Raと突起数を独立に所望の範囲に制御することも可能である。なお、表面の算術平均粗さRaおよび高さ250nmを超える突起数は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0052】
さらに、透明導電性フィルム100のパターン部Pにおける第1の主面側表面、すなわち透明導電層3の表面は、算術平均粗さRaが22nm以上であることが好ましく、かつ、高さ250nm以上の突起を140個/mm以上有することが好ましい。算術平均粗さRaは、24nm〜50nmであることがより好ましく、24nm〜40nmであることがさらに好ましく、24〜35nmであることが特に好ましい。誘電体層の表面における高さ250nm以上の突起数は140個/mm〜550個/mmであることがより好ましく、200個/mm〜500個/mmであることがさらに好ましい。なお、突起の高さの上限は、光散乱が大きくなりヘイズが高くなることを防止する観点から、1500nm以下であることが好ましい。
【0053】
タッチパネルが形成された場合、透明導電性フィルムパターン開口部Oは、対向する基板の透明導電層が形成されたパターン部との接触面にキズが生じ易い傾向がある。パターン部Pがこのような表面形状を有する場合、対向する基板のパターン開口部Oでのキズの発生が抑止される。これは、一方の電極のパターン部Pが上記のような表面形状を有することで、対向する他方の電極のパターン開口部Oとの間の動摩擦係数が小さくなり、透明導電性フィルムが摺動された場合でも、フィルム同士が擦れることによるパターン開口部Oでのキズの発生が抑制されるためであると考えられる。
【0054】
透明導電性フィルム100のパターン開口部Oにおけるヘイズ値は、2.0%以下であることが好ましく、0.1%〜1.5%であることがより好ましい。前記ヘイズ値とは、JIS K 7136(2000年版)に準じたパターン開口部における透明導電性フィルムの全体のヘイズ値(曇度)である。ヘイズ値が上記範囲を超えると、光散乱の発生が大きくなり透明導電性フィルムの視認性を損なう場合がある。
【0055】
透明導電性フィルム100のパターン部Pにおけるヘイズ値は、2.0%以下であることが好ましく、0.1%〜1.5%であることがより好ましい。前記ヘイズ値とは、JIS K 7136(2000年版)に準じたパターン部における透明導電性フィルムの全体のヘイズ値(曇度)である。ヘイズ値が上記範囲を超えると、光散乱の発生が大きくなり透明導電性フィルムの視認性を損なう場合がある。
【0056】
(表面コート層)
透明導電性フィルム100の表面コート層7としては、表面硬度の向上を目的としたハードコート層や、視認性の向上を目的とした防眩処理層や反射防止層を設けることができる。特に、透明導電性フィルムを抵抗膜方式タッチパネルの上部電極に用いる場合には、透明フィルム基材1の第2の主面上にこのような表面コート層が形成されていることが好ましい。
【0057】
ハードコート層としては、例えば、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などの硬化型樹脂からなる硬化被膜が好ましく用いられる。ハードコート層の厚みは、0.1〜30μmが好ましい。厚みが0.1μm未満であると、硬度が不足する場合がある。また、厚みが30μmを超えると、ハードコート層にクラックが発生したり、透明導電性フィルム全体にカールが発生する場合がある。
【0058】
防眩処理層の構成材料としては特に限定されず、例えば電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。防眩処理層の厚みは0.1〜30μmが好ましい。
【0059】
反射防止層としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等が用いられる。反射防止機能をより大きく発現させる為には、酸化チタン層と酸化ケイ素層との積層体を用いることが好ましい。このような積層体は、ハードコート層上に屈折率の高い酸化チタン層(屈折率:約1.8)が形成され、該酸化チタン層上に屈折率の低い酸化ケイ素層(屈折率:約1.45)が形成された2層積層体、更に、この2層積層体上に、酸化チタン層及び酸化ケイ素層がこの順序で形成された4層積層体が好ましい。この様な2層積層体又は4層積層体の反射防止層を設けることにより、可視光線の波長領域(380〜780nm)の反射を均一に低減させることが可能である。
【0060】
<図3の実施形態の説明>
本発明の透明導電性フィルムは、図3に示すように、透明フィルム基材1の第2の主面側に、透明な粘着剤層4を介して透明基体5を貼り合わせた形態とすることもできる。透明基体5は、1枚の基体フィルムからなっていてもよく、2枚以上の基体フィルムの積層体(例えば透明な粘着剤層を介して積層したもの)であってもよい。また、図3に示すように、透明基体5の外表面にハードコート層(樹脂層)、防眩処理層、反射防止層等の表面コート層7を設けてもよい。なお、図3は、図1の透明導電性フィルム100に透明基体5が貼り合わされた形態が例示されているが、図1の構成に代えて、図2の構成を有する透明導電性フィルムを適用してもよい。
【0061】
(透明基体)
透明基体5の厚みは、通常、90〜300μmであることが好ましく、100〜250μmであることがより好ましい。また、透明基体5を複数の基体フィルムにより形成する場合、各基体フィルムの厚みは10〜200μm、更には20〜150μmであることが好ましく、これら基体フィルムに透明な粘着剤層を含めた透明基体5としての総厚みが前記範囲に入るように制御されることが好ましい。基体フィルムとしては、前記した透明フィルム基材1と同様の材料が好適に用いられる。
【0062】
透明導電性フィルム100と透明基体5との貼り合わせは、透明基体5側に粘着剤層4を設けておき、これに透明導電性フィルムの透明フィルム基材1を貼り合わせるようにしてもよいし、逆に透明導電性フィルムの透明フィルム基材1側に粘着剤層4を設けておき、これに透明基体5を貼り合わせるようにしてもよい。後者の方法では、透明フィルム基材1をロール状にして粘着剤層4を連続的に形成し得るため、生産性の面でより有利である。また、透明フィルム基材1に、順次に複数の基体フィルムを粘着剤層を介して貼り合せることにより、透明導電性フィルム100と透明基体5とを積層することもできる。なお、透明基体5の積層に用いる透明な粘着剤層には、下記の透明な粘着剤層4と同様のものを用いることができる。また、透明導電性フィルム同士の貼り合わせに際しても、適宜に粘着剤層4を積層する透明導電性フィルムの積層面を選択して、透明導電性フィルム同士を貼り合せることができる。
【0063】
(粘着剤層)
粘着剤層4としては、透明性を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性及び接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0064】
粘着剤層4の構成材料である粘着剤の種類によっては、適当な粘着用下塗り剤を用いることで投錨力を向上させることが可能なものがある。従って、そのような粘着剤を用いる場合には、粘着用下塗り剤を用いることが好ましい。
【0065】
前記粘着剤層4には、ベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また、粘着剤層4には必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また透明微粒子を含有させて光拡散性が付与された粘着剤層4とすることもできる。
【0066】
前記粘着剤層4は、通常、ベースポリマー又はその組成物を溶剤に溶解又は分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の粘着剤溶液として用いられる。前記溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の粘着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
【0067】
この粘着剤層4は、例えば、透明基体5の接着後に於いては、そのクッション効果により、透明フィルム基材の一方の面に設けられた透明導電層3の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性、いわゆるペン入力耐久性および面圧耐久性を向上させる機能を有し得る。そのため、特に抵抗膜方式のタッチパネルの上部電極(入力面側電極)に用いる場合においては、図3に示すような積層形態が好適に採用される。このクッション効果をより良く発揮させる観点からは、粘着剤層4の弾性係数を1〜100N/cmの範囲、厚みを1μm以上、通常5〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。粘着剤層の厚みが上記範囲であると、クッション効果が十分発揮され、かつ透明基体5と透明フィルム基材1との密着力も十分となり得る。粘着剤層4の厚みが上記範囲よりも薄いと上記耐久性や密着性が十分確保できず、また上記範囲よりも厚いと透明性などの外観に不具合が発生する場合がある。
【0068】
この様な粘着剤層4を介して貼り合わされる透明基体5は、透明フィルム基材1に対して良好な機械的強度を付与し、ペン入力耐久性および面圧耐久性の他に、カール等の発生防止に寄与し得る。
【0069】
(タッチパネル)
本発明の透明導電性フィルムは、例えば、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネルに好適に適用できる。特に、摺動時のパターン開口部のキズ付きが抑制されることから、抵抗膜方式のタッチパネルに好適に用いられ、中でも多点入力が可能な抵抗膜方式のタッチパネルに好適に用いられる。
【0070】
図5は、本発明のタッチパネル200の実施形態を模式的に表す断面図である。図5のタッチパネルは、入力面側の上部電極基板51と、表示部側の下部電極基板52とを有する抵抗膜方式のタッチパネルである。上部電極基板51と下部電極基板52との間には、適宜のスペーサ53が配置されている。上部電極基板および下部電極基板のそれぞれは、基板上に形成された透明導電層を有している。それぞれの透明導電層は図4の平面図にて模式的に示されるようにストライプ状にパターン化されており、両者のパターン化方向は、直交している。
【0071】
上部電極基板51の基材1aが可撓性の透明フィルムからなる。スペーサ53としては、例えば、アクリルやウレタンなどの絶縁性材料から構成されたドットスペーサが使用できる。このタッチパネル200は、上部電極基板51側より、入力ペン60にてスペーサ53の弾性力に抗して押圧打点したとき、透明導電層3a、3b同士が接触して、電気回路のON状態となり、上記押圧を解除すると、元のOFF状態に戻る、透明スイッチ構体として機能する。タッチパネル200の上部電極基板51または下部電極基板52のいずれか一方または両方は、上記本発明の透明導電性フィルムを備える。
【0072】
上部電極基板51が本発明の透明導電性フィルムを備える場合、下部電極基板52は、本発明の透明導電性フィルムであってもよく、その他の透明導電性フィルムであってもよい。また、下部電極基板の基材1bは、可撓性である必要はなく、例えばガラス基板等が用いられたものであってもよい。
【0073】
下部電極基板52が本発明の透明導電性フィルムを備える場合、上部電極基板51は、本発明の透明導電性フィルムであってもよく、その他の透明導電性フィルムであってもよいが、少なくとも基材1aは可撓性基材であることが好ましい。
【0074】
なお、図5においては、上部電極基板51および下部電極基板52のそれぞれが1枚の基材1a、1bを備える形態が図示されているが、例えば図3に示すように、透明導電性フィルムに粘着剤層を介して透明基体が貼り合わせられたものを用いてもよい。また、下部電極基板には、透明導電性フィルムにガラス等の基材を貼り合わせて用いることもできる。また、一方の電極基板が本発明の透明導電性フィルムを備えていれば、他方の透明電極基板は誘電体層2a、2bを有していなくともよい。また、誘電体層2a、2bは、図1に示すようにパターン化されていないもののほか、図2に示すように、その一部の層が透明導電層と同様にパターン化されていてもよい。
【0075】
本発明のタッチパネルにおいて、上部電極基板51のパターン開口部(透明導電層非形成部)と前記下部電極基板52のパターン開口部との動摩擦係数は0.45以下であることが好ましい。また、上部電極基板51のパターン開口部と前記下部電極基板のパターン部(透明導電層形成部)との動摩擦係数、および上部電極基板のパターン部と前記下部電極基板のパターン開口部との動摩擦係数は、いずれも0.45以下であることが好ましい。上部電極と下部電極との間の動摩擦係数を前記範囲とすれば、フィルム同士が擦れることによるパターン開口部の傷の発生を抑止することができる。パターン部の動摩擦係数は、0.36以下であることがより好ましく、0.33以下であることがさらに好ましい。パターン部とパターン開口部の動摩擦係数は、0.45以下であることがより好ましく、0.40以下であることがさらに好ましい。
【0076】
上部電極基板と下部電極基板の一方のみに本発明の透明導電性フィルムが用いられる場合、例えば、他方の電極基板のパターン部およびパターン開口部の表面形状を、本発明の透明導電性フィルムに関して前記したような好ましい範囲内に調整することによって、動摩擦係数を前記範囲とすることができる。また、上部電極基板と下部電極基板の両者に本発明の透明導電性フィルムが用いられる場合は、上部電極と下部電極の両者が所定の表面形状を有するため、動摩擦係数を前記範囲とすることができる。
【0077】
本発明のタッチパネルは、ペンによる押圧、摺動によっても透明導電性フィルムのパターン開口部にキズが発生し難いため、視認性に優れており、各種表示装置のタッチパネルとして好適に用いることができる。特に、図2に示すように、誘電体層2の一部の層が透明導電層3と同様にパターン化された形態の透明導電性フィルムを用いた場合、パターン部とパターン開口部との視認性の差が抑制されるとともに、パターン開口部において有機物の誘電体層が露出していても、キズの発生による視認性の低下も抑制されたタッチパネルとすることができる。
【実施例】
【0078】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0079】
<透明導電性フィルムの作製>
[実施例1]
(基材)
基材として、厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)を用いた。このPETフィルムは、シリコーン系微粒子を含有しており、基材表面の算術平均粗さRaは30.5nm、高さ250nm以上の突起数は425個/mmであった。
【0080】
(誘電体層の形成)
PET基材上に、メラミン樹脂:アルキド樹脂:有機シラン縮合物の重量比が2:2:1の熱硬化型樹脂組成物を塗布し、乾燥・硬化させて、膜厚10nmの第1の誘電体層を形成した。第1の誘電体層の上に、シリカゾル(コルコート(株)製 コルコートPX)を、固形分濃度が2重量%となるようにエタノールで希釈したものを塗布し、その後、乾燥・硬化させて膜厚25nmの第2の誘電体層を形成した。
【0081】
(ITO膜の形成)
次に、第2の誘電体層上に、アルゴンガス98%と酸素ガス2%とからなる0.4Paの雰囲気中で、酸化インジウム97重量%、酸化スズ3重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚み23nmのITO膜を形成した。
【0082】
(ITO膜および第2の誘電体層のパターン化)
透明導電性フィルムの透明導電層に、ストライプ状にパターン化されているフォトレジストを塗布し、乾燥硬化した後、25℃、5重量%の塩酸(塩化水素水溶液)に、1分間浸漬して、ITO膜のエッチングを行った。フォトレジストを積層したまま、45℃、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液に、3分間浸漬して、第2の誘電体層のエッチングを行い、その後、フォトレジストを除去した。
【0083】
(ITO膜の結晶化)
パターン化後の透明導電性フィルムを、140℃で90分間加熱処理して、ITO膜を結晶化した。
【0084】
このようにして得られた透明導電性フィルムは、図2に示すような積層形態を有しており、PETフィルム基材1上に有機物の誘電体層21、無機物のパターン化された誘電体層21および結晶性ITO膜からなるパターン化された透明導電層3が形成されている。実施例1で得られた透明導電性フィルムを「透明導電性フィルムA」とする。
【0085】
[実施例2]
前記実施例1の誘電体層の形成において、第1の誘電体層と第2の誘電体層を形成する代わりに、第1の誘電体層のみを膜厚35nmで形成した。その他は実施例1と同様にして、ITO膜の形成、パターン化および結晶化を行った(誘電体層はパターン化せず)。
【0086】
このようにして得られた透明導電性フィルムは、PETフィルム基材上に有機物の誘電体層および結晶性ITO膜からなるパターン化された透明導電層が形成されている。実施例2で得られた透明導電性フィルムを「透明導電性フィルムB」とする。
【0087】
[比較例1]
前記実施例1の誘電体層の形成において、第1の誘電体層と第2の誘電体層の膜厚を、それぞれ180nm、33nmとした。それ以外は実施例1と同様にして、ITO膜の形成、ITO膜および第2の誘電体層のパターン化、およびITO膜の結晶化を行った。比較例2で得られた透明導電性フィルムを「透明導電性フィルムC」とする。
【0088】
<表面形状の評価>
実施例1,2および比較例1で得られた透明導電性フィルムA,B,およびCの、パターン部およびパターン開口部の表面形状を、原子間力顕微鏡(AFMDigital Instruments製 商品名「Nanscope IIIa+D3000」)を用いて、600μm×450μmの範囲で測定した。得られた表面形状から算術平均粗さRaを求め、測定範囲(0.27mm)におけるRaの平均線(Raが0nmとなる線)からの高さが250nm以上1500nm以下の突起数から、1mmあたりの突起数を計算した。
【0089】
<ヘイズ値の測定>
実施例1,2および比較例1で得られた透明導電性フィルムA,B,およびCの、パターン部およびパターン開口部におけるヘイズ値を測定した。ヘイズ値の測定方法は、JIS K 7136(2000年版)のヘイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーター((株)村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定した。ただし、パターン部とパターン開口部とが混在した状態でヘイズ値を測定すると、一方の部分が他方からの影響を受けてしまい、各部分単独でのヘイズ値を反映しなくなることから、ヘイズ値の測定は、パターン部におけるヘイズ値についてはITO膜を全て残した透明導電性フィルム(すなわち、ITO膜のパターン化を行っていない透明導電性フィルム)、パターン開口部におけるヘイズ値についてはITO膜をエッチングで全て除去した透明導電性フィルムを対象にそれぞれ行った。
【0090】
【表1】

【0091】
<動摩擦係数の測定>
2枚の透明導電性フィルムA同士を、透明導電性同士が対向するように配置した場合において、パターン部同士、パターン部とパターン開口部、パターン開口部同士のそれぞれの動摩擦係数を測定した。動摩擦係数の測定は、JIS K7125に従い、オートグラフ(島津製作所製 AG−1S)を用いて実施した。
【0092】
同様に、2枚の透明導電性フィルムC同士の組合せ、および透明導電性フィルムAと透明導電性フィルムCとの組み合わせのそれぞれについて、動摩擦係数を測定した。測定結果を表2に示す。なお、表2の透明導電性フィルムA,Cの組合せにおけるパターン部とパターン開口部との間の動摩擦係数は、上段が透明導電性フィルムAのパターン開口部と透明導電性フィルムCのパターン部の組合せ、下段が透明導電性フィルムAのパターン部と透明導電性フィルムCのパターン開口部の組合せの動摩擦係数を表している。
【0093】
【表2】

【0094】
<タッチパネルの作製および摺動試験>
[実施例3]
上部電極および下部電極の両者に、20mm×20mmの大きさに切り出した透明導電性フィルムAを用い、その両端部に厚み180μmのスペーサを配置して2枚の透明導電性フィルムの形成面同士が対向するように配置された、図5に模式的に示されるタッチパネル(ただし、球状のスペーサ53を有していない)を作製した。タッチパネルの形成に際しては、上部電極の透明導電性フィルムと下部電極の透明導電性フィルムとを、両者の透明導電層形成面側同士が対向し、かつパターン方向が直交するように配置した。
【0095】
タッチパネルの上部電極基板51側から、ポリアセタールからなるペン60(ペン先R=0.8mm)を用いて、荷重1kgで50000回(25000往復)の摺動を行った。摺動試験後、タッチパネルを分解して、上部電極基板および下部電極基板のそれぞれについて、蛍光灯の反射光下で、パターン部およびパターン開口部におけるキズの発生レベルを目視にて確認した。
【0096】
[実施例4]
上部電極および下部電極の両者に、透明導電性フィルムBを用いた以外は、上記実施例3と同様にして、タッチパネルを作製した。
【0097】
[実施例5]
上部電極に透明導電性フィルムCを用い、下部電極に透明導電性フィルムAを用いた以外は、上記実施例3と同様にして、タッチパネルを作製した。
【0098】
[実施例6]
上部電極に実施例1で得られた透明導電性フィルムを用い、下部電極に比較例1で得られた透明導電性フィルムを用いた以外は、上記実施例3と同様にして、タッチパネルを作製した。
【0099】
[比較例4]
上部電極および下部電極の両者に、透明導電性フィルムCを用いた以外は、上記実施例3と同様にして、タッチパネルを作製した。
【0100】
摺動試験後のキズの評価結果を表3に示す。なお、評価は下記の3段階で行った。
1:目視にてキズが確認されない。
2:目視にて小さなキズが確認されるが、実用上問題ないレベルである。
3:目視にて白く見える大きなキズが確認される。
【0101】
【表3】

【0102】
表3によれば、上部電極、下部電極のいずれにも本発明の透明導電性フィルムが用いられていない比較例1では、上部電極、下部電極のいずれも、パターン開口部に評価「3」の部分が存在しており、視認性が低下していることが分かる。これに対して、上部電極基板および下部電極基板の両者に本発明の透明導電性フィルムが用いられている実施例3,4においては、上部電極、下部電極のいずれにおいても評価が「3」の部分が存在せず、摺動試験後も良好な視認性が保持されている。
【0103】
上部電極、下部電極の一方に本発明の透明導電性フィルムが用いられている実施例5、6においては、本発明の透明導電性フィルムが用いられていない側の電極のパターン開口部において、対向する電極のパターン部(ITO膜)との摺動部分に大きなキズが確認された。しかしながら、本発明の透明導電性フィルムが用いられた電極には、評価「3」の部分が存在せず、摺動試験後も良好な視認性を保持していることが分かる。
【0104】
また、表3によれば、一方の電極のパターン部Pと他方の電極のパターン開口部Oとが摺動された場合にキズが発生し易い傾向があるが、表2に示すように、実施例の透明導電性フィルムを用いた場合は、比較例に比して、パターン部とパターン開口部との動摩擦係数が小さいために、キズの発生が抑制されていることがわかる。
【符号の説明】
【0105】
1 透明フィルム基材
1a、1b 基材
2 誘電体層
21 誘電体層
22 誘電体層
2a、2b 誘電体層
3 透明導電層
3a、3b 透明導電層
4 粘着剤層
5 透明基体
7 表面コート層
P パターン部
O パターン開口部
51 上部電極基板
52 下部電極基板
53 スペーサ
100 透明導電性フィルム
200 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルム基材、透明フィルム基材の第1の主面上に形成された少なくとも1層の誘電体層、および誘電体層上に形成された透明導電層を有する透明導電性フィルムであって、
前記透明導電層はパターン化されており、
透明導電層が形成されていないパターン開口部において、透明導電性フィルムの第1の主面側の表面は、算術平均粗さRaが22nm以上であり、かつ高さ250nm以上の突起を140個/mm以上有する、透明導電性フィルム。
【請求項2】
透明導電層が形成されているパターン部において、透明導電性フィルムの第1の主面側の表面は、算術平均粗さRaが22nm以上であり、かつ高さ250nm以上の突起を140個/mm以上有する、請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記パターン開口部におけるヘイズ値が2.0%以下である、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記パターン部におけるヘイズ値が2.0%以下である、請求項2に記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記透明フィルム基材が粒子を含んでいる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項6】
前記少なくとも1層の誘電体層が粒子を含んでいる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項7】
前記誘電体層の厚みが50nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項8】
前記パターン開口部において露出している誘電体層が、有機物による誘電体層である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項9】
前記透明導電層が、ストライプ状にパターン化されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項10】
抵抗膜方式タッチパネル用である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項11】
上部電極基板、下部電極基板、および上部電極基板と下部電極基板との間に配置されたスペーサを備えるタッチパネルであって、
前記上部電極基板は、請求項9に記載の透明導電性フィルムを有し、
前記下部電極基板は、透明導電層が形成されているパターン部と透明導電層が形成されていないパターン開口部とを有するパターン化された透明導電層を有し、該透明導電層はストライプ状にパターン化されており、
前記上部電極基板および下部電極基板は、両者の透明導電層同士が対向し、かつパターン化方向が直交するように配置されている、タッチパネル。
【請求項12】
上部電極基板、下部電極基板、および上部電極と下部電極との間に配置されたスペーサを備えるタッチパネルであって、
前記上部電極基板は、透明導電層が形成されているパターン部と透明導電層が形成されていないパターン開口部とを有するパターン化された透明導電層を有し、該透明導電層は
ストライプ状にパターン化されており、
前記下部電極基板は、請求項9に記載の透明導電性フィルムを有し、
前記上部電極基板および下部電極基板は、両者の透明導電層同士が対向し、かつパターン化方向が直交するように配置されている、タッチパネル。
【請求項13】
上部電極基板、下部電極基板、および上部電極基板と下部電極基板との間に配置されたスペーサを備えるタッチパネルであって、
前記上部電極基板および前記下部電極のそれぞれは、請求項9に記載の透明導電性フィルムを有し、
前記上部電極基板の透明導電性フィルムおよび前記下部電極基板の透明導電性フィルムは、両者の透明導電層同士が対抗し、かつ透明導電層のパターン化方向が直交するように配置されている、タッチパネル。
【請求項14】
前記上部電極基板のパターン開口部と前記下部電極基板のパターン開口部との動摩擦係数が0.45以下であり、
前記上部電極基板のパターン開口部と前記下部電極基板のパターン部との動摩擦係数、および 前記上部電極基板のパターン部と前記下部電極基板のパターン開口部との動摩擦係数が、いずれも0.45以下である、請求項10〜12のいずれか1項に記載のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−133771(P2012−133771A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263547(P2011−263547)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】