説明

透明導電膜および光電変換素子

【課題】透明性、導電性および耐食性を有する透明導電膜および光電変換素子を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る透明導電膜11は、第1の導体層111と、酸化チタンを含み第1の導体層よりも高抵抗の第2の導体層112との積層膜で形成される。第2の導体層を1×10Ω・cm以下の比抵抗とすることで、膜全体のシート抵抗の上昇が抑制され、第1の導体層単体でのシート抵抗と同程度のシート抵抗とすることも可能となる。また、透明性の低下も抑制される。さらに、酸化チタンは酸に対する耐久性に優れるため、当該酸化チタンを含む第2の導体層で第1の導体層を被覆することで、第1の導体層を酸から効果的に保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐食性を有する透明導電膜およびこれを備えた光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換素子のひとつである色素増感型の太陽電池の開発が進められている。色素増感型の太陽電池は、色素を担持する半導体層と、半導体層と接触する負極と、電解質と、電解質を挟んで半導体層と対向する正極とを有する。色素は半導体層に入射した光によって電子を放出し、放出された電子は半導体層を介して負極へ輸送される。負極と正極は外部回路に接続されており、外部回路を通って正極へ到達した電子は、電解質によって色素へ戻される。このようなサイクルが繰り返されることで、外部回路において電気エネルギーを取り出すことができる。
【0003】
色素増感型太陽電池においては、典型的には、負極を透明導電膜で形成し、負極側から半導体層へ太陽光を入射させる方式が採用されている(例えば下記特許文献1、2参照)。この場合、色素から放出された電子を効率よく取り出すために、半導体層と接触する負極は、光の透過率が高く、電気抵抗が低いことが要求される。一方、経時的な変換効率の低下を抑制するために、負極の構成材料は電解液に対して耐久性を有することが必要である。このため、負極を構成する透明導電膜には、フッ素がドープされた酸化錫(FTO)が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−19205号公報
【特許文献2】特開2006−66278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、FTO膜は、酸化亜鉛(ZnO)やITO(Indium Tin Oxide)等の他の透明導電酸化物に比べて抵抗率が高く、光電変換効率の向上には限界があった。一方、ITO膜や酸化亜鉛系の透明導電膜は耐酸性に乏しいため、腐食性の強い電解質を用いる太陽電池への適用には問題があった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、透明性、導電性および耐食性を有する透明導電膜および光電変換素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る透明導電膜は、第1の導体層と、第2の導体層とを具備する。
上記第1の導体層は、第1の比抵抗を有する第1の透明導電酸化物で形成される。
上記第2の導体層は、上記第1の導体層の上に積層され、上記第1の比抵抗以上であり、1×10Ω・cm以下の第2の比抵抗を有し、チタンを含む第2の透明導電酸化物で形成される。
【0008】
上記透明導電膜は、第1の導体層と、第1の導体層よりも高抵抗の第2の導体層との積層膜で形成される。第2の導体層を1×10Ω・cm以下の比抵抗とすることで、膜全体のシート抵抗の上昇が抑制され、第1の導体層単体でのシート抵抗と同程度のシート抵抗とすることも可能となる。また、透明性の低下も抑制される。さらに、酸化チタンは酸に対する耐久性に優れるため、当該酸化チタンを含む第2の導体層で第1の導体層を被覆することで、第1の導体層を酸から効果的に保護することができる。
【0009】
上記第1の導体層単体のシート抵抗に対する、上記第2の導体層の積層後のシート抵抗の上昇は、10Ω/□以下とされる。これにより、低抵抗特性を損なうことなく当該第1の導体層の保護効果を得ることができる。
【0010】
上記第1の導電酸化物は、インジウムを含む錫酸化物(ITO)とすることができる。これにより、第1の導体層の低抵抗化を容易に図ることができる。
【0011】
上記透明導電膜は、第3の導体層をさらに具備してもよい。上記第3の導体層は、上記第1の導体層の内部に設けられ、上記第1の比抵抗よりも低い第3の比抵抗を有し、格子状に形成される。第3の抵抗層には、金属層を用いることができる。これにより、透明導電膜全体のシート抵抗をさらに低減することができる。
【0012】
本発明の一形態に係る光電変換素子は、第1の電極と、酸化物半導体層と、第2の電極と、電解質層とを具備する。
上記第1の電極は、第1の導体層と、第2の導体層とを有する。上記第1の導体層は、第1の比抵抗を有する第1の透明導電酸化物で形成される。上記第2の導体層は、上記第1の導体層の上に積層され、上記第1の比抵抗以上であり、1×10Ω・cm以下の第2の比抵抗を有し、チタンを含む第2の透明導電酸化物で形成される。
上記酸化物半導体層は、上記第2の導体層と接触し、光増感色素を担持する。
上記第2の電極は、上記半導体層と対向する。
上記電解質層は、上記半導体層と上記第2の電極との間に設けられる。
【0013】
上記光電変換素子において、第1の電極は、透明性と、導電性と、酸化性の強い電解質に対して十分な耐久性を有している。したがって、上記変換素子によれば、負極の低抵抗化により光電変換効率の向上を図ることができるとともに、負極の腐食防止による光電変換効率の経時的な低下を阻止することができる。
【0014】
上記酸化物半導体層は、多孔質酸化チタンで形成することができる。これにより、酸化物半導体層と第2の導体層とを同種の材料で形成されるため、酸化物半導体層から第1の電極への電子の輸送効率が高められ、光電変換効率の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透明性、導電性および耐食性に優れた透明導電膜を得ることができる。また、光電変換効率の向上を図ることができる光電変換素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光電変換素子の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る透明導電膜の耐食性を説明するサンプル図および実験結果を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る光電変換素子の概略断面図である。
【図4】本発明の変形例に係るプリント配線基板の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
[光電変換素子]
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換素子を示す概略断面図である。以下、本実施形態の光電変換素子1について説明する。
【0019】
本実施形態の光電変換素子1は、色素増感型太陽電池で構成されている。光電変換素子1は、集電極としての負極11と、対極としての正極12と、酸化物半導体層13と、電解質層14とを有する。負極11および正極12は、それぞれ図示しない外部回路(負荷)の負極および正極に接続される。酸化物半導体層13は、負極11と接触し、多孔質チタン酸化物で形成される。酸化物半導体層13は、例えば可視光の照射を受けることで電子が励起される色素を担持する。電解質層14は、酸化物半導体層13と正極12との間に挟持され、例えば金属ヨウ化物とヨウ素との組み合わせよりなる酸化還元性物質で形成される。
【0020】
負極11は透明基材10の上に形成されており、後述するように第1の導体層111と第2の導体層112との積層膜で構成された透明導電膜で形成されている。正極12は透明基材20の上に形成されており、例えば銀などの金属膜で形成されるが、透明導電膜で形成されてもよい。透明基材10、20は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)等の光透過性を有する樹脂フィルム、あるいはガラス基板等で形成される。
【0021】
[透明導電膜]
次に、負極11を構成する透明導電膜の詳細について説明する。
【0022】
第1の電極11は、第1の導体層111および第2の導体層112の積層膜で構成される。第1の導体層111および第2の導体層112は、透明基材10の上にその順序で形成される。
【0023】
第1の導体層111は、透明導電酸化物で形成され、本実施形態ではITOで形成される。ITO以外にも、SnO、ZnOなどの他の透明導電酸化物が適用可能である。これにより、負極11の低抵抗化を容易に図ることができる。さらに、ZnO系の透明導電酸化物として、アルミニウムやガリウム、インジウム等がドープされたAZO、GZO、IZO、IGZO等が用いられてもよい。
【0024】
光電変換素子1の光電変換効率の観点から、第1の導体層111の比抵抗は低いほどよい。本実施形態において、第1の導体層111は、例えば5×10−3Ω・cm以下の比抵抗を有する。第1の導体層111の厚みは特に限定されず、例えば、150nm〜400nmである。
【0025】
第2の導体層112は、透明導電酸化物で形成され、第1の導体層111の上に形成されている。第2の導体層112は、電解質層14との接触による腐食から第1の導体層111を保護する保護層としての機能を有する。したがって、第2の導体層112は、耐酸性を有する透明導電酸化物で形成され、本実施形態では、酸化チタン(TiOx)を含む透明導電酸化物で形成される。第2の導体層112は、酸化物半導体層13よりも緻密な膜で形成される。
【0026】
ここで、酸化チタンを含む透明導電酸化物には、酸化チタン以外の他の金属酸化物が含まれてもよい。他の金属酸化物には、例えば、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、セリウム(Ce)、タングステン(W)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ビスマス(Bi)、マンガン(Mn)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)などの酸化物が挙げられる。
【0027】
第2の導体層112は、第1の導体層111が有する比抵抗(第1の比抵抗)以上の比抵抗(第2の比抵抗)を有する。このように、第2の導体層112は、第1の導体層111に比べて高抵抗な透明導電酸化物で形成されているが、第2の導体層112の比抵抗は1×10Ω・cm以下とされる。これにより、負極11の高抵抗化を抑制することができる。
【0028】
第2の導体層112の厚みは、例えば5nm以上500nm以下である。5nm未満の厚みでは、第2の導体層112の耐酸性を確保することが困難になる。また、50nmを超える厚みでは、透明導電膜(負極11)の光透過率の低下が懸念される。
【0029】
一般に、酸化チタン等の透明導電酸化物は、酸素の価数(酸化度)によって比抵抗が変化する。したがって、酸素の価数を調整することで、第2の導体層112の比抵抗を制御することができる。
【0030】
本実施形態では、第1の導体層111単体のシート抵抗に対する、第2の導体層112の積層後のシート抵抗の上昇が、10Ω/□以下となるように、第2の導体層112の比抵抗および厚みが決定される。これにより、第1の導体層111の低抵抗特性を損なうことなく、第2の導体層112による第1の導体層111の保護効果を得ることができる。
【0031】
光電変換素子1の光電変換効率の観点から、透明導電膜(負極11)は、可視光に対する透過率が高いほどよい。本実施形態では、透明導電膜(負極11)は、70%以上の可視光透過率を有する。第1の導体層111および第2の導体層112の各々の厚みは、上記高透過率特性が得られるように適宜設定される。
【0032】
第1の導体層111および第2の導体層112はスパッタリング法で形成されるが、勿論これに限られず、真空蒸着法、イオンプレーティング法などの他の薄膜形成法が適用可能である。
【0033】
[光電変換素子の動作]
本実施形態の光電変換素子1は、負極11側から酸化物半導体層13へ太陽光、人工光などの光が入射される。酸化物半導体層13に光が照射されると、色素内の電子が基底状態から励起状態へ遷移させられて色素から放出される。酸化物半導体層13は、色素から放出された電子を負極11へ輸送し、当該電子は負極から外部回路へ供給される。外部回路を通過した電子は正極へ送られ、電解質層14との酸化還元反応を経て酸化物半導体層13上の色素へ戻される。このようなサイクルが繰り返されることで、外部回路において電気エネルギーが取り出される。
【0034】
本実施形態において、負極11は、第1の導体層111と第2の導体層112との積層膜で形成されている。第2の導体層112は、第1の導体層111よりも高抵抗の透明導電酸化物で形成されているが、第2の導体層112の比抵抗を1×10Ω・cm以下とすることで、膜全体のシート抵抗の上昇を抑制でき、第1の導体層111単体でのシート抵抗と同程度のシート抵抗にすることも可能となる。これにより、負極11の透明性を維持しつつ、低抵抗特性を確保できるので、光電変換効率の低下を回避することができる。
【0035】
本発明者らは、厚み125μmのPEN基板の上に、ITO層とTiOx層とをスパッタ法によって順次形成し、形成された積層膜のシート抵抗と全光線透過率とをそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
実験例1では、ITO層の厚みは200nm、TiOx層の厚みは50nmとした。ITO層単体でのシート抵抗は14.02Ω/□、積層膜のシート抵抗は15.06Ω/□、積層膜の全光線透過率は72.6%であった。また、実験例2では、ITO層の厚みは200nm、TiOx層の厚みは100nmとした。ITO層単体でのシート抵抗は15.33Ω/□、積層膜のシート抵抗は13.93Ω/□、積層膜の全光線透過率は70.5%であった。なお、シート抵抗の測定には、四探針法を採用した。
【0038】
ITOの比抵抗は3×10−4Ω・cmであった。TiOx層単体のシート抵抗は、厚み50nmにおいて10Ω/□と高く、比抵抗は5×10Ω・cmであった。実験例1によれば、積層膜のシート抵抗は、ITO単層でのシート抵抗に対して1Ω/□程度の増加に留まり、光透過率も70%以上に維持できた。また、実験例2によれば、実験例1と比較して、TiOx層の厚みが増加した分、透過率の若干の低下は認められたものの、積層膜のシート抵抗は、ITO単層と比較して低く、誤差分を考慮してもITO単層のシート抵抗と同程度の値を得られることが確認された。
【0039】
一方、本実施形態によれば、第1の導体層111は、耐酸性を有する第2の導体層112によって被覆されているので、耐酸性に乏しいITO等の透明導電酸化物で形成された第1の導体層111と、酸化性の強い電解質層14との接触を回避することができる。これにより、第1の導体層111を腐食から保護でき、第1の導体層111の腐食による光電変換効率の低下を防止することができる。
【0040】
室温で塩酸70%水溶液(pH0.7)の強塩酸に導電膜サンプルを浸漬したときの抵抗値の変化を測定した。導電膜サンプルには、図2(A)に示すようにシリコン基板上に形成した厚み100nmのITO単層膜と、図2(B)に示すようにシリコン基板上に形成した厚み100nmのITO層と厚み50nmTiOx層との積層膜とを用いた。実験の結果を図2(C)に示す。図2(C)において、横軸は浸漬時間を示し、縦軸は導電膜サンプルの初期の抵抗値に対する浸漬後の抵抗値の相対比を示している。図2(C)から明らかなように、ITO単層膜は、強塩酸との接触により急速に腐食され、抵抗値が急激に増加する。これに対して、ITO層をTiOx層で被覆した積層膜は、腐食による抵抗値の上昇は非常に緩やかであり、強塩酸に対する耐久性を有することが確認できる。したがって、本実施形態の透明導電膜で形成された負極11を有する光電変換素子1によれば、電解質層14に対する耐久性を高めて、安定した光電変換特性を確保することができる。
【0041】
さらに、本実施形態によれば、酸化物半導体層13と接触する負極11の界面が、チタン酸化物を含む第2の導体層112で形成されている。これにより、酸化物半導体層13と負極11との接触界面が同種の半導体材料で形成されることになる結果、層間における電子伝導帯が近似し、酸化物半導体層13から負極11への電子の輸送効率が促進されて、光電変換効率の向上が図られる。
【0042】
そして、本実施形態において、第2の導体層112は、第1の導体層よりも高抵抗であり、酸化物半導体層13よりも緻密な膜で形成されている。したがって、第2の導体層112が第1の導体層111と酸化物半導体層13との間に介在することで、負極11から酸化物半導体層13へ電子が逆流する、いわゆる逆電子反応を効果的に阻止し、さらに局部電池の形成を防止することができる。これにより、光電変換効率の向上に大きく貢献することができる。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、第1および第2の導体層111、112を比較的低温で形成することができるので、透明基材10として耐熱性の比較的低い樹脂フィルム等を用いることができる。
【0044】
<第2の実施形態>
図3は、本発明の第3の実施形態に係る光電変換素子を示す概略断面図である。図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
本実施形態の光電変換素子2において、負極21は、第1の実施形態と異なり、第1の導体層111と、第2の導体層112と、第3の導体層113との積層構造を有する。第3の導体層113は、第1の導体層111の内部に設けられ、第1の導体層の比抵抗よりも低い比抵抗(第3の比抵抗)を有する。具体的に、第3の導体層113は、銀(Ag)やその合金などの金属配線で形成されるが、金属の種類はこれに限定されない。また、第3の導体層113には、金属以外の他の導電材料が用いられてもよい。
【0046】
第3の導体層113は、透明基材10の上に格子状に形成されている。格子状には、ストライプ状のほか、網状あるいはメッシュ状が含まれる。第1の導体層111は、第3の導体層113を被覆するように透明基材10の上に形成され、第2の導体層112は、第1の導体層111の上に積層される。
【0047】
本実施形態によれば、第1の導体層111よりも低抵抗の第3の導体層113が第1の導体層111の内部に設けられることで、負極21の低抵抗化を図ることができる。これにより、光電変換効率の更なる向上を図ることができる。
【0048】
また、第3の導体層113が格子状に形成されているので、負極21の光透過性を維持できる。第3の導体層113を形成する配線の線幅、ピッチ、厚み等は、特に制限されない。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0050】
例えば以上の実施形態では、光電変換素子1、2の負極11、21に本発明を適用した例について説明したが、これに限られず、抵抗膜式タッチパネルにおける電極層、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの各種配線層などにも本発明は適用可能である。
【0051】
また、プリント配線基板上に形成される配線にも、本発明は適用可能である。図4は、プリント配線基板の概略構成図である。図示するプリント配線基板3は、基材30と、第1の導体層31と、第2の導体層32とを有し、第1の導体層31および第2の導体層32の積層膜は、プリント配線基板3における配線層を形成する。第1の導体層31は、例えばITOで形成され、第2の導体層32は、例えば酸化チタンを含む透明導電酸化物で形成される。
【0052】
上記構成のプリント配線板3によれば、透明性、導電性および耐食性を有する配線層を形成することができる。また、ウェットエッチングやレーザエッチング等によって所望とする形状の配線パターンを容易に形成することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、2…光電変換素子
3…プリント配線基板
10、20…透明基材
11、21…負極
12…正極
13…酸化物半導体層
14…電解質層
31、111…第1の導体層
32、112…第2の導体層
113…第3の導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の比抵抗を有する第1の透明導電酸化物で形成された第1の導体層と、
前記第1の導体層の上に積層され、前記第1の比抵抗以上であり、1×10Ω・cm以下の第2の比抵抗を有し、チタンを含む第2の透明導電酸化物で形成された第2の導体層と
を具備する透明導電膜。
【請求項2】
請求項1に記載の透明導電膜であって、
前記第1の導体層単体のシート抵抗に対する、前記第2の導体層の積層後のシート抵抗の上昇は、10Ω/□以下である透明導電膜。
【請求項3】
請求項2に記載の透明導電膜であって、
前記第1の透明導電酸化物は、インジウムを含む錫酸化物である透明導電膜。
【請求項4】
請求項1に記載の透明導電膜であって、
前記第1の導体層の内部に設けられ、前記第1の比抵抗よりも低い第3の比抵抗を有する格子状に形成された第3の導体層をさらに具備する透明導電膜。
【請求項5】
第1の比抵抗を有する第1の透明導電酸化物で形成された第1の導体層と、前記第1の導体層の上に積層され、前記第1の比抵抗以上であり、1×10Ω・cm以下の第2の比抵抗を有し、チタンを含む第2の透明導電酸化物で形成された第2の導体層とを有する第1の電極と、
前記第2の導体層と接触し、光増感色素を担持する酸化物半導体層と、
前記半導体層と対向する第2の電極と、
前記半導体層と前記第2の電極との間に設けられた電界質層と
を具備する光電変換素子。
【請求項6】
請求項5に記載の光電変換素子であって、
前記酸化物半導体層は、多孔質酸化チタンである光電変換素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−222167(P2011−222167A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87549(P2010−87549)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】