説明

通信モジュールおよび車載機器

【構成】車載機器100は、2G用帯のデュプレクサ(54)およびそのデュプレクサ(54)から出力された受信信号の周波数を変換するRF回路(40)などを含む、通信モジュール10を備える。Low Pass Filter(以下、LPFと記述する。)(56)は、デュプレクサ(54)とRF回路(40)との間に設けられている。また、車載機100のアンテナ12は、電話信号とETC信号とが含まれる信号を受信して、トリプレクサ(50)を介してデュプレクサ(54)に出力する。そして、LPF(56)は受信信号に含まれるETC信号帯の周波数成分を減衰させる。
【効果】LPF(56)をRF回路(40)の手前に設けることで、所定周波数帯(たとえばETC信号帯)の周波数成分に起因する、受信感度の劣化を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信モジュールおよび車載機器に関し、特に自動車などの車両に搭載され、たとえば携帯電話の信号を送受信する、通信モジュールおよび車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の通信モジュールを備えた車載機器では、ETC(Electronic Toll Collection:電子料金収受)の信号(以下、「ETC信号」という。)の影響を排除する必要がある。
【0003】
他方、特許文献1にデュアルモードセルラー電話システムが開示されている。このシステムの移動局は、狭帯域信号を、比較的大きなレベルの狭帯域妨害波として受信してしまう。そのため、この移動局ではノッチフィルターを設けることで、狭帯域妨害波を有効に抑制するようにしている。
【特許文献1】特開平9−326713号公報[H04B 1/10, H04J 13/04]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の移動局が、CDMA信号および狭帯域信号より周波数が高いETC信号を受信した場合、そのETC信号を減衰しきれず、受信感度が劣化してしまう問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、通信モジュールおよび車載機器を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、所定周波数帯の周波数成分による受信感度の劣化を抑えることができる、通信モジュールおよび車載機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、この発明の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、受信された信号を出力するデュプレクサおよびデュプレクサから出力された信号の周波数を変換するRF回路を備える、通信モジュールにおいて、デュプレクサとRF回路との間に、デュプレクサの出力信号に含まれる所定周波数帯の周波数成分を減衰させるフィルタを設けたことを特徴とする、通信モジュールである。
【0009】
第1の発明では、通信モジュール(10:実施例において対応する部分を例示する参照符号。以下、同じ。)は、たとえば携帯電話の電話信号(一例として、送信帯:1.920〜1.980GHz、受信帯:2.110〜2.170GHz)に対応するので、2GHz帯用のデュプレクサ(54)と、そのデュプレクサから出力された信号の周波数を変換するRF回路(40)とを備える。また、デュプレクサとRF回路との間にはフィルタ(56,60)が設けられており、そのフィルタによってデュプレクサの出力信号に含まれる、所定周波数帯(たとえば、5.83GHzのETC信号帯(一例として、5.770〜5.890GHz))の周波数成分が減衰される。たとえば、ETC信号は、通信モジュールのシールドや、GNDなどと空間結合して、アンテナ(12)からRF回路に直接飛びこむことがある。フィルタは、このようにRF回路に直接飛びこむ所定周波数帯(たとえばETC信号帯)の周波数成分を減衰させる。
【0010】
第1の発明によれば、RF回路の手前に設けたフィルタで所定周波数帯の周波数成分を減衰させるため、受信感度が劣化しないようにできる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に従属し、RF回路には、デュプレクサから出力される受信信号を増幅するアンプが含まれ、RF回路の外に設けられ、アンプの出力に含まれる電話信号を抽出する抽出部をさらに備え、抽出部によって抽出された電話信号は再びRF回路に入力され、フィルタは、アンプの手前に設けられる第1フィルタおよび抽出部の手前に設けられる第2フィルタを含む。
【0012】
第2の発明では、デュプレクサから出力された信号はアンプ(58)によって増幅される。このアンプは、LNA(Low Noise Amplifier)であり、RF回路に含まれる。また、アンプの出力はRF回路の外に設けられた抽出部(62)で、電話信号が抽出された後に、再びRF回路に入力される。したがって、第1フィルタ(46,56)および第2フィルタ(60)は、RF回路の手前に設けられていることになる。
【0013】
第2の発明によれば、複数のフィルタを設けることで、より効果的に所定周波数帯(たとえばETC信号帯)の周波数成分を減衰させることができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明の通信モジュールを備える、車載機器である。
【0015】
第3の発明によれば、車載機器が上記第1の発明または第2の発明の通信モジュールを備えることで、所定周波数帯(たとえばETC信号)への対策が、より効果的に発揮される。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、RF回路の手前にフィルタを設けることで、ETC信号帯の周波数成分に起因する受信感度の劣化を抑えることができる。
【0017】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1はこの発明の一実施例の車載機器の電気的な構成を示す図解図である。
【図2】図2は図1に示す無線通信回路の構成およびその周辺の一例を示す図解図である。
【図3】図3は図2に示す各Low Pass Filter(以下、LPFと記述する。)の構成の一例を示す図解図である。
【図4】図4は図3に示すLPFの周波数特性の一例を示す図解図である。
【図5】図5は他の実施例において図2に示すLPFに代えて設けられるノッチフィルタの構成の一例を示す図解図である。
【図6】図6は図5に示すLPFの周波数特性の一例を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、この発明の一実施例の車載機器100は、たとえばナビゲーションシステムとして実現される携帯通信端末の一種であり、通信モジュール10、アンテナ12およびユーザインターフェース部14を含む。通信モジュール10は、無線通信回路16、プロセッサ18、フラッシュメモリ20、RAM22および電源回路24を含む。また、CPUと呼ばれるプロセッサ18には、無線通信回路16、フラッシュメモリ20、RAM22および電源回路24が接続される。また、通信モジュール10に接続されたアンテナ12は、通信モジュール内で無線通信回路16と接続される。
【0020】
ユーザインターフェース部14は、マイク30、スピーカ32、キー入力装置34、表示ドライバ36およびディスプレイ38を含む。また、表示ドライバ36にはディスプレイ38が接続される。
【0021】
そして、通信モジュール10のプロセッサ18には、ユーザインターフェース部14に含まれる、マイク30、スピーカ32、キー入力装置34および表示ドライバ36が接続される。
【0022】
プロセッサ18は車載機器100の全体制御を司る。RAM22は、プロセッサ18の作業領域(描画領域を含む)ないしバッファ領域として用いられる。フラッシュメモリ20には、アプリケーションのデータが記録される。
【0023】
電源回路24は、電源管理用のICであり、外部電源が接続され、その外部電源に基づく電源を、無線通信回路16、プロセッサ18、フラッシュメモリ20およびRAM22に供給する。ここで、電源回路24が電源をシステム全体に供給している場合には、電源オン状態と言うことにする。一方、電源回路24が電源をシステム全体に供給していない場合には、電源オフ状態と言うことにする。なお、外部電源とは、たとえば車両のシガーソケットから供給される12V電源のことである。
【0024】
また、プロセッサ18は、A/D変換器およびD/A変換器(共に図示せず)を含んでいる。そのため、プロセッサ18は、マイク30を通して入力される音声ないし音についてのアナログ音声信号を、内蔵されるA/D変換器によってデジタル音声信号に変換する。さらに、プロセッサ18はデジタル音声信号を、内蔵されるD/A変換器によってアナログ音声信号に変換(復号)して、図示しないアンプを介してスピーカ32に与える。したがって、アナログ音声信号に対応する音声ないし音がスピーカ32から出力される。なお、プロセッサ18は、アンプの増幅率を制御することで、スピーカ32から出力される音声の音量を調整することができる。
【0025】
キー入力装置34は操作部として機能する。そして、使用者が操作したキーの情報(キーデータ)はプロセッサ18に入力される。
【0026】
表示ドライバ36は、プロセッサ18の指示の下、ディスプレイ38の表示を制御する。また、表示ドライバ36は表示する画像データを一時的に記憶するビデオメモリ(図示せず)を含む。
【0027】
また、車載機器100は、携帯電話基地局200から発信された800MHz帯(一例として、受信帯:875〜885MHz)および2GHz帯(一例として、受信帯:2.110〜2.170GHz)の電話信号をアンテナ12によって受信する。一方、車載機器100は、携帯電話基地局200に向けて、800MHz帯(一例として、送信帯:830〜840MHz)および2GHz帯(一例として、送信帯:1.920〜1.980GHz)の電話信号をアンテナ12から送信する。また、GPS衛星300から送信される1575.42MHzのGPS信号もアンテナ12によって受信される。また、プロセッサ18は、図示しないがGPS通信回路を含んでおり、受信したGPS信号を復調することで経緯度を求めることができる。このように、本実施例のアンテナ12は、電話信号を送信または受信するとともにGPS信号を受信する。なお、アンテナ12は、ETC基地局400から発信される5.83GHzのETC信号を受信することもある。
【0028】
図2は、無線通信回路16の構成とその周辺を示す図解図である。無線通信回路16には、信号を送受信するために、アンテナ12、800MHz帯、2GHz帯およびGPSの信号を分離するトリプレクサ42および送受信する信号の周波数を変換するRF回路40などが含まれる。
【0029】
トリプレクサ42は分波器として機能するため、800MHz帯用のデュプレクサ44、2GHz帯用のデュプレクサ54およびGPS−SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ68のそれぞれと接続される。
【0030】
たとえば、電話信号およびGPS信号などがアンテナ12によって受信されると、トリプレクサ42は、800MHz帯用のデュプレクサ44、2GHz帯用のデュプレクサ54およびGPS−SAWフィルタ68のそれぞれに、受信した信号(受信信号)を出力する。
【0031】
800MHz帯の電話信号を含む受信信号は、800MHz帯用のデュプレクサ44から、LPF46を介して、800MHz帯用のバルンコイル48に出力される。このとき、LPF46は後に図4を参照して詳しく説明する周波数特性を有し、したがってこのLPF46によって、受信信号に含まれるETC信号帯の周波数成分が減衰される。また、バルンコイル48では、受信信号に含まれる800MHz帯の電話信号が抽出され、その電話信号をRF回路40に出力する。
【0032】
RF回路40内では、800MHz帯の電話信号はLNA50で増幅された後に、ダウンコンバータ52に出力される。ダウンコンバータ52は、800MHz帯の電話信号の周波数を所定の周波数まで下げてベースバンド信号とした後に、プロセッサ18に出力する。プロセッサ18は、ベースバンド信号に対して、デジタル復調処理、誤り訂正符号化処理および音声符号化処理を行う。そして、プロセッサ18は、音声符号化処理が行われたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換して、スピーカ32に出力する。
【0033】
また、2GHz帯の電話信号を含む受信信号は、2GHz帯用のデュプレクサ54から、先のLPF46と同じ周波数特性を有するLPF56を介して、RF回路40の初段LNA58に出力される。また、受信信号は、初段LNA58で増幅された後、RF回路40の外に設けられた、先のLPF46と同じ周波数特性を有するLPF60を介して2GHz帯用の段間SAWフィルタ62に出力される。つまり、2GHz帯用のデュプレクサ54から出力された受信信号は、LPF56でETC信号帯の周波数成分が減衰された後に、初段LNA58で増幅され、再度LPF60でETC信号帯の周波数成分が減衰される。
【0034】
さらに、2GHz帯用の段間SAWフィルタ62は、BPF(Band Pass Filter)として機能し、受信信号から2GHz帯の電話信号を抽出する。抽出された2GHz帯の電話信号は再びRF回路40に入力され、2段目LNA64で増幅された後に、ダウンコンバータ66に出力される。ダウンコンバータ66は、2GHz帯の電話信号の周波数を所定の周波数まで下げてベースバンド信号とした後に、プロセッサ18に出力する。プロセッサ18は、ベースバンド信号に対して先述した処理を同様に行い、アナログ音声信号をスピーカ32に出力する。
【0035】
なお、図2を参照して、上で説明した各LPF46,56,60はRF回路40の手前に設けられている。
【0036】
さらに、GPS信号を含む受信信号が、GPS−SAWフィルタ68に出力されると、受信信号から電話信号などの不要な信号が除去される。また、GPS−SAWフィルタ68から出力された信号は初段LNA70で増幅される。さらに、増幅された受信信号は、GPS−SAWフィルタ72でGPS信号が抽出され、RF回路40に出力される。RF回路40では、2段目LNA74でGPS信号が増幅され、ダウンコンバータ76でGPS信号の周波数が下げされる。そして、プロセッサ18は、周波数が下げられたGPS信号に対して復調処理および復号処理を行った後に、現在位置の経緯度を求める。このとき、車載機器100で、地図機能が実行されている場合、現在位置を示すアイコンが付された地図画像が、ディスプレイ38に表示される。
【0037】
一方、マイク30によって取り込まれた音声信号は、プロセッサ18によって音声符号化処理、誤り訂正符号化処理およびデジタル変調処理が行われて、ベースバンド信号にされる。その後、ベースバンド信号は、RF回路40の2GHz帯用のアップコンバータ80または800MHz帯用のアップコンバータ90のいずれかに出力される。
【0038】
ベースバンド信号が2GHz帯用のアップコンバータ80に出力された場合、ベースバンド信号の周波数は、アップコンバータ80で2GHzの送信帯まで上げられ、アンプ82で増幅された後に、RF回路40からSAWフィルタ84に出力される。SAWフィルタ84は、増幅された2GHz帯の電話信号から雑音(ノイズ)を除去して、PA86(Power Amplifer)に出力する。PA86は、ノイズが除去された2GHz帯の電話信号を増幅して、アイソレータ88を介して、2GHz帯用のデュプレクサ54に出力する。デュプレクサ54は、送信用の2GHz帯の電話信号をトリプレクサ42に出力する。そして、トリプレクサ42は2GHz帯の電話信号をアンテナ12に与える。これにより、2GHz帯の電話信号がアンテナ12から送信される。
【0039】
また、ベースバンド信号が800MHz帯用のアップコンバータ90に出力された場合、ベースバンド信号の周波数は、アップコンバータ90で800MHzの送信帯まで上げられる。その後は、2GHz帯の電話信号と同様、800MHz帯の電話信号は、アンプ92で増幅され、SAW94で雑音が除去され、PA96で再び増幅される。増幅された800MHz帯の電話信号は、アイソレータ98を介して、800MHz帯用のデュプレクサ44に出力され、さらにトリプレクサ42に出力される。そして、トリプレクサ42は800MHz帯の電話信号をアンテナ12に与える。これにより、800MHz帯の電話信号がアンテナ12から送信される。
【0040】
なお、アイソレータ88およびアイソレータ98は一方向の信号だけを通過させる素子であり、アンテナ12側からの反射波およびアンテナ12のインピーダンスの変化が、PA86およびPA96に伝わらないようにしている。
【0041】
図3はLPF46の構成を示す図解図である。LPFはコイルL1、コイルL2およびコンデンサC1を含む。コイルL1とコイルL2とは直列に繋がっており、コイルL1の一方端がデュプレクサ44と接続されており、コイルL2の一方端がバルンコイル48と接続される。また、コイルL1とコイルL2との間には、一方端が接地されたコンデンサC1の他方端が接続される。そして、図4にLPF46のフィルタ特性を示す。
【0042】
図4を参照して、LPF46は、800MHz帯および2GHz帯の電話信号や、GPS信号(1575.42MHz)を殆ど減衰させずに通過させているが、ETC信号帯の周波数である5.83GHzを約29dB減衰している。LPF56,60は、LPF46と同じ構成である。したがって、これらのLPF46、56および60によってETC信号帯の周波数成分を効果的に除去できる。
【0043】
ここで、アンテナ12から入ってくる妨害波は、トリプレクサ42の近くで対策するのが一般的である。そのため、従来は、ノッチフィルタ46などは、アンテナ12とトリプレクサ42との間や、トリプレクサ42と各デュプレクサ44,54との間に設けられていた。ところが、ETC信号などの高い周波数の妨害波は、妨害波がトリプレクサ42や、各デュプレクサ44,54を通る経路とは別に、通信モジュール16内のシールドや、GNDなどと空間結合して、アンテナ12からRF回路40に直接飛びこむことがある。
【0044】
そこで、本実施例では、上述したように、LPF46,56,60を、RF回路40の手前に設けている。これにより、ETC信号帯の周波数成分を、LNA50および初段LNA58までで大幅に減少できるようになる。さらに、LPF46およびLPF56をRF回路40の手前に設けることで、送信する電話信号や、GPS信号に対しては、余計なフィルタを設けなくても済むようになる。
【0045】
また、2段目LNA64の手前にも、第2フィルタとしてLPF60を設けることで、より効果的にETC信号を減衰させているが、他の実施例では、第1フィルタであるLPF46,56を設け、LPF60は省かれてもよい。
【0046】
さらに、本実施例の通信モジュール10は車載機器100が備えているため、ETC信号への対策が、より効果的に発揮される。
【0047】
なお、第2実施例では各LPF46,56,60がノッチフィルタに置き換えられてもよい。つまり、第1実施例では、電話信号やGPS信号の周波数帯のみを通過させるためにLPF46,56,60を利用したが、第2実施例ではノッチフィルタによってETC信号を減衰させるようにしてもよい。
【0048】
たとえば、図5はLPF46に代えて設けることができるノッチフィルタの構成を示す図解図である。ノッチフィルタはコイルL3およびコンデンサC2を含む。コイルL3とコンデンサC2とは直列に繋がっており、コンデンサC2の一方端は接地されている。また、コイルL3は、デュプレクサ44とバルンコイル48とを繋ぐ経路の間に接続される。そして、図6にノッチフィルタ46のフィルタ特性を示す。
【0049】
図6を参照して、ノッチフィルタは、800MHz帯および2GHz帯の電話信号や、GPS信号を殆ど減衰しないが、ETC信号帯の周波数である5.83GHzを約25dB減衰している。また、LPF56,60もノッチフィルタと置き換えることができる。このように、第2実施例でも、ノッチフィルタによってETC信号帯の周波数成分を効果的に除去できる。
【0050】
また、各実施例は、車載機器100のみに限らず、携帯電話機、いわゆるスマートフォンおよびPDA(Personal Digital Assistant)に適用されてもよい。また、車載機器100としても、ナビゲーションシステム以外のその他の適宜な機器であってもよい。
【0051】
そして、上で説明した第1実施例では、第1フィルタを構成する2つのLPF46および56、ならびに第2フィルタを構成するLPF60は同じ回路構成で同じ周波数特性を持つものとして説明した。しかしながら、これらのLPF46,56,60の回路構成や周波数特性はETC信号帯の周波数成分を除去する目的であれば、同じである必要はない。また、同じような考えが、第2実施例のノッチフィルタについても適用できる。さらに、他の実施例では、第1実施例のLPFと第2実施例のノッチフィルタとが混在して無線通信回路16に設けられてもよい。たとえば、800MHz帯用のデュプレクサ44とバルンコイル48との間のフィルタをLPFとし、2GHz帯用のデュプレクサ54と初段LNA58との間のフィルタをノッチフィルタとしてもよい。
【0052】
また、800MHz帯の電話信号の受信経路が必要ないなら、この経路に設けたLPF46は当然省略することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 … 通信モジュール
12 … アンテナ
16 … 無線通信回路
18 … プロセッサ
40 … RF回路
42 … トリプレクサ
44,54 … デュプレクサ
46,56,60 … LPF
100 … 車載機器
200 … 携帯電話基地局
300 … GPS衛星
400 … ETC基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された信号を出力するデュプレクサおよび前記デュプレクサから出力された信号の周波数を変換するRF回路を備える、通信モジュールにおいて、
前記デュプレクサと前記RF回路との間に、前記デュプレクサの出力信号に含まれる所定周波数帯の周波数成分を減衰させるフィルタを設けたことを特徴とする、通信モジュール。
【請求項2】
前記RF回路には、前記デュプレクサから出力される受信信号を増幅するアンプが含まれ、
前記RF回路の外に設けられ、前記アンプの出力に含まれる電話信号を抽出する抽出部をさらに備え、
前記抽出部によって抽出された電話信号は再びRF回路に入力され、
前記フィルタは、前記アンプの手前に設けられる第1フィルタおよび前記抽出部の手前に設けられる第2フィルタを含む、請求項1記載の通信モジュール。
【請求項3】
上記請求項1または請求項2に記載の通信モジュールを備える、車載機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175590(P2012−175590A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37769(P2011−37769)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】