説明

通信中継システムおよび案内装置

【課題】オペレータの処理負担が軽減されると共に、接続可否の判断の精度を高め、着信者および発信者の満足度を向上する。
【解決手段】案内装置130の取得案内部328は、発信側通信機110からの発呼に基づく、発信側通信機と案内装置との接続に応じ、発信側通信機を通じて、発信側通信機の発信者の情報を含む発信情報を取得するための案内を行う。情報生成部330は、発信者が発した音声を録音し発信情報を生成する。案内接続部332は、発信側通信機と案内装置との接続を維持しつつ、案内装置と着信側通信機140とを接続する。情報転送部334は、発信情報を着信側通信機に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発信側通信機と着信側通信機とを中継する通信中継システムおよび案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電話機における機能も拡充され、例えば、発信側電話機が特定できない(電話番号非通知)発呼に関しては、着信音を鳴らすまでもなく着信拒否が可能なサービスが提供されている。また、発信側電話機が特定できる発呼であっても、個別に発信側電話機からの着信を拒否したい場合には、その発信側電話機の電話番号を登録しておき、登録した電話番号と、特定された発信側電話機の電話番号とを比較して電話番号が一致する着信を拒否する技術がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、通話における発信者の音声を文字列に変換し、その文字列が予め登録されたキーワード(「コウザバンゴウ」等)と一致する数が多いと、その通話を詐欺師からの通話と判断し、通話中に、予め登録してある通報先電話機と通話を確立し、通報先電話機を加えた三者通話を行う技術が開示されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、詐欺の手法は日々変化しているため、新手の手法で詐欺行為が実行された場合には、通話中のキーワードから詐欺行為を一意に特定するのは難しくなる。
【0004】
そこで、発信側電話機からの転送を許可する条件と、転送を拒否する条件とを通信制御装置に予め登録しておき、発信側電話機からの発呼を通信制御装置で受信した際、転送許可条件に合致した場合にのみ、着信側電話機との接続を行い、さらに、発信側電話機が登録した条件に合致しなかった場合には、通信制御装置におけるオペレータが発信者と対話し、発信側電話機と着信側電話機とを接続するか否かを判断する技術が開示されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−235979号公報
【特許文献2】特許第4310748号
【特許文献3】特開2007−221668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3の技術を用いて、オペレータが詐欺行為であるか否かを判断するのは極めて困難であり、未登録の発呼全てにオペレータが対応しようとすると、オペレータの処理負担が大きくなってしまう。また、発信側電話機との接続可否がオペレータ個々の判断に委ねられることから、接続すべきではない発呼を接続してしまったり、あるいは接続すべき発呼を接続しなかったりするおそれがある。
【0007】
また、着信側電話機に発呼が接続されたということは、オペレータが発信者を詐欺師ではないと判断したということになるので、誤って詐欺行為に該当する発呼が着信側電話機に接続された場合に、着信者は、安心しきってしまい、却って騙されて易くなるといった問題もある。さらに、接続すべき発呼を誤って接続しなかった場合には、発信者がオペレータに不快感を抱くのみならず、着信者の信頼も失いかねない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、オペレータの処理負担が軽減されると共に、接続可否の判断の精度を高め、着信者および発信者の満足度を向上することが可能な通信中継システムおよび案内装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、発信側通信機と着信側通信機とを中継する中継サーバと、中継サーバを通じて発信側通信機および着信側通信機と接続可能な案内装置とを含む、本発明の通信中継システムは、中継サーバが、発信側通信機から、予め登録された着信側通信機への通信要求を受けて、発信側通信機と案内装置とを接続する要求転送部を備え、案内装置が、発信側通信機と案内装置との接続に応じ、発信側通信機を通じて、発信側通信機の発信者の情報を含む発信情報を取得するための案内を行う取得案内部と、発信者が発した音声を録音し発信情報を取得する情報生成部と、発信側通信機と案内装置との接続を維持しつつ、案内装置と着信側通信機とを接続する案内接続部と、発信情報を着信側通信機に転送する情報転送部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、発信側通信機と着信側通信機とを中継する中継サーバを通じて発信側通信機および着信側通信機と接続可能な、本発明の案内装置は、発信側通信機からの発呼に基づく、発信側通信機と案内装置との接続に応じ、発信側通信機を通じて、発信側通信機の発信者の情報を含む発信情報を取得するための案内を行う取得案内部と、発信者が発した音声を録音し発信情報を取得する情報生成部と、発信情報が取得できれば、発信側通信機と案内装置との接続を維持しつつ、案内装置と着信側通信機とを接続する案内接続部と、発信情報を着信側通信機に転送する情報転送部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
着信側通信機からの接続操作に応じ、接続操作が接続許可を示していれば、少なくとも発信側通信機と着信側通信機とを接続する接続制御部をさらに備えてもよい。
【0012】
接続制御部は、接続操作が接続許可を示していれば、発信側通信機と着信側通信機と案内装置とが三者通話できるように接続してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発信側通信機からの発呼に対する処理を自動化することで案内者(オペレータ)の処理負担が軽減される。また、接続可否の判断を着信者が自ら実行することで、接続可否の判断精度を高めることができ、着信者および発信者の満足度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】通信中継システムの概略的な関係を示した説明図である。
【図2】中継サーバの電気的構成を示した機能ブロック図である。
【図3】着信許可テーブルを説明するための説明図である。
【図4】案内装置の電気的構成を示した機能ブロック図である。
【図5】通信中継方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図6】通信中継方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図7】通信中継方法の代表的な例を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
(通信中継システム100)
図1は、通信中継システム100の概略的な関係を示した説明図である。通信中継システム100は、通信網102と、発信側通信機110と、中継サーバ120と、案内装置130と、着信側通信機140を含んで構成される。
【0017】
通信網102は、電話回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線等で構成され、発信側通信機110、中継サーバ120、案内装置130、着信側通信機140それぞれを接続する。
【0018】
発信側通信機110は、本実施形態において通話を開始する側の電話機(通信機)であり、任意の発信者112が着信者142の有する着信側通信機140を発呼するために用いられる。ここで、発信側通信機110は、固定電話回線に接続される固定電話や携帯電話網に接続される携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)の他、VoIP(Voice over Internet Protocol)を用いて通話を行うPDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等の機器で構成され、発信者112の音声を入力する音声入力部110aと、着信者142または案内者132の音声を出力する音声出力部110bと、音声通信を実現する通信部(図示せず)とを有しているとする。
【0019】
中継サーバ120は、例えば、固定電話網等の交換器に接続され、発信側通信機110から着信側通信機140への発呼を中継する。ここで、中継サーバ120は、少なくとも、発信側通信機110から着信側通信機140への発呼に対して、特定装置(ここでは案内装置130)にその発呼を転送する機能を有す。また、中継サーバ120は、発信側通信機110、案内装置130および着信側通信機140から選択されたいずれか2つを接続した二者通話ならびに全てを接続した三者通話を実現でき、案内装置130の切換指令に応じて三者通話と任意の装置同士の二者通話とを切り換えることもできる。
【0020】
案内装置130は、発信側通信機110同様の通信機を含んで構成され、中継サーバ120を通じて発信側通信機110や着信側通信機140と接続可能に設けられる。案内装置130では、例えば、発信側通信機110から着信側通信機140への発呼をトリガに、種々の処理を行う。また、案内装置130には、案内者(案内装置130の利用者となるオペレータ)132が待機しており、適宜、発信側通信機110や着信側通信機140と接続して、発信者112や着信者142に応対する。
【0021】
着信側通信機140は、本実施形態において通話を受ける側の電話機(通信機)であり、発信側通信機110同様、固定電話網に接続される固定電話や携帯電話網に接続される携帯電話、PHSの他、VoIPを用いて通話を行うPDA、パーソナルコンピュータ等の機器で構成され、着信者142の音声を入力する音声入力部140aと、発信者112または案内者132の音声を出力する音声出力部140bと、音声通信を実現する通信部(図示せず)とを有している。
【0022】
本実施形態では、このような発信側通信機110から着信側通信機140への通話を通じた詐欺行為を未然に防止することを目的としている。ここで、詐欺行為には、訴訟関係費用名目等架空の事実を口実として現金を振り込ませる架空請求詐欺、架空の融資を持ちかけて、その融資を申し込んだ者に保証金を振り込ませる融資保証詐欺、年金や税金の還付金手続きであるかのように装って、ATMを操作させ現金を振り込ませる還付金等詐欺、知人を装い交通事故の示談金名目等で現金を振り込ませる振込め詐欺等がある。特に、近日、振込め詐欺の件数および被害額が急増している。また、詐欺師自体も、複数人のグループで警察官、弁護士、銀行員等になりすますといったように、その手口が巧妙かつ悪質になっている。
【0023】
当該通信中継システム100では、発信者112による発信側通信機110から着信側通信機140への発呼において(図1(1))、発信側通信機110が既知ではない場合、その発呼に案内装置130が介在する。例えば、悪意を持った発信者112が、着信者142を騙すため、発信側通信機110から着信側通信機140へ発呼した場合、中継サーバ120は、即座に両者の接続を行わず、まず、案内装置130を発呼して、発信側通信機110と案内装置130とを接続する(図1(2))。そして、案内装置130において、発信側通信機110における発信者112の音声を録音し、録音した情報を、着信側通信機140の着信者142に伝達し(図1(3))、ようやく発信側通信機110と着信側通信機140との直接的な通話が開始される(図1(4))。ここでは、着信側通信機140からの発呼を案内装置130が受け付け、案内装置130で録音した情報に基づいて接続可否の判断を着信者142が自ら実行する。
【0024】
また、発信側通信機110と着信側通信機140との直接的な通話がなされる際、着信側通信機140の着信者142が望めば、案内装置130における案内者132は、両者の通話を監視(ここでは、電子データおよび音声を視聴によって見張る(傍聴する)ことを監視という。)する。例えば、案内装置130は、発信側通信機110と着信側通信機140と三者通話(三者通信に相当)を行い、案内者132は、発信者112と着信者142との会話をリアルタイムで聴いて、発信者112の信憑性を判断する。
【0025】
以下、上述した処理を実現する中継サーバ120および案内装置130の具体的な構成を述べ、それらを用いた通信中継方法の処理の流れを詳述する。
【0026】
(中継サーバ120)
図2は、中継サーバ120の電気的構成を示した機能ブロック図である。中継サーバ120は、サーバメモリ210と、サーバ通信部212と、サーバ制御部214とを含んで構成される。
【0027】
サーバメモリ210は、HDD、フラッシュメモリ、RAM等の記憶媒体で構成され、後述するサーバ制御部214で利用されるプログラムや、着信許可テーブル250を保持する。図3は、着信許可テーブル250を説明するための説明図である。着信許可テーブル250は、着信側通信機140の識別子(例えば電話番号)252と、その着信側通信機140が着信を許可する1または複数の電話番号254と、暗証番号256とが関連付けられている。
【0028】
サーバ通信部212は、通信網102を通じて発信側通信機110、案内装置130、着信側通信機140のいずれか2つの装置または全てを接続する。サーバ制御部214は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、サーバメモリ210や他の電子回路と協働して中継サーバ120全体を管理および制御する。また、サーバ制御部214は、要求転送部230、通信切換部232としても機能する。要求転送部230は、発信側通信機110からの発呼(通信要求)が上記着信許可テーブル250に登録されている着信側通信機140への発呼であれば、発信側通信機110の発呼状態に応じて、種々の処理を実行する。
【0029】
例えば、本実施形態では、電話番号を非通知とした発呼は受け付けないこととしている。したがって、要求転送部230は、発信側通信機110が電話番号を非通知で発呼している場合、「電話番号を通知してお掛け直し下さい。」等の音声メッセージを出力して、電話番号通知による再発呼を促す。
【0030】
また、発信側通信機110が自己の電話番号を通知した発呼を行い、かつ、その電話番号が、上記着信許可テーブル250において当該発呼先の着信側通信機140に関連付けられた電話番号254である場合、要求転送部230は、発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続する。着信者142は、信頼できる知人や家族の利用する発信側通信機110を当該着信許可テーブル250に事前登録することで、従前の通話同様、安心して着信を直接受けることができ、三者通話によって第三者に会話を聴かれることもない。
【0031】
ここでは、中継サーバ120において着信許可テーブル250を参照し、直接接続するか否か判断されているが、例えば、電話番号が通知された全ての発呼を一旦案内装置130に転送し、案内装置130に準備された着信許可テーブル250に基づいて直接接続できるか否かを判断するとしてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、発信側通信機110が電話番号を通知した発呼を行った場合であっても、その電話番号が上記着信許可テーブル250において当該発呼先の着信側通信機140に関連付けられていない場合、要求転送部230は、発信側通信機110と着信側通信機140とを接続せず、発信側通信機110と案内装置130とを接続する。
【0033】
このとき、案内装置130は、発信側通信機110に、「電話取次ぎサービスに接続します。」等の音声メッセージを出力する。仮に、発信者112が詐欺師であった場合、このような音声メッセージによって、万が一でも身元が特定されないかと警戒して、その通話を終了する場合がある。こうして、少なくとも着信者142を詐欺行為から保護することができる。
【0034】
ただし、上記「電話取次ぎサービスに接続します。」等の音声メッセージが出力されている間に、発信側通信機110のトーン信号(DTMF:Dual-Tone Multi-Frequency)を通じ発信者112によって番号列が入力され、その番号列が、着信許可テーブル250において着信側通信機140に関連付けられた暗証番号256と一致した場合、案内装置130に転送されることなく、電話番号が関連付けられているのと同様、直接、着信側通信機140に接続される。
【0035】
これは、信頼できる知人や家族が、着信許可テーブル250に未登録の発信側通信機110から発呼している場合に、無駄な案内装置130への転送を回避するためであり、この場合、着信者142は、安心して直接着信を受けることができる。ここでは、暗証番号256を確認する処理を中継サーバ120に設けているが、案内装置130に設けてもよい。
【0036】
通信切換部232は、発信側通信機110、案内装置130および着信側通信機140から選択されたいずれか2つを接続した二者通話および全てを接続した三者通話を実行する。また、通信切換部232は、案内装置130からの切換指令に応じて、三者通話と任意の装置同士の二者通話とを切り換える。
【0037】
(案内装置130)
図4は、案内装置130の電気的構成を示した機能ブロック図である。案内装置130は、操作部310と、表示部312と、音声入力部314と、音声出力部316と、案内メモリ318と、案内通信部320と、案内制御部322と含んで構成される。
【0038】
操作部310は、キーボード、ポインティングデバイス、十字キー、ジョイスティック、タッチパネル等で構成され、案内者132の操作入力を受け付ける。表示部312は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、当該案内装置130と接続された発信側通信機110の電話番号等の情報を表示する。
【0039】
音声入力部314は、マイク等で構成され、A/D変換、エンコーダ等を通じて案内者132の音声を音声信号として取り込む。音声出力部316は、スピーカ等で構成され、音声信号を音声に変換して出力する。また、本実施形態においては、音声入力部314と音声出力部316とが一体的に形成されたヘッドセットが用いられている。
【0040】
案内メモリ318は、HDD、フラッシュメモリ、RAM等の記憶媒体で構成され、後述する案内制御部322で利用されるプログラムを保持する。案内通信部320は、中継サーバ120を通じて発信側通信機110や着信側通信機140との通信接続を確立する。ここで、案内装置130は、パーソナルコンピュータで構成しているが、一般的な電話機能も有し、案内者132の操作に応じて、オンフックやオフフックに準じる動作が実行される。
【0041】
案内制御部322は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、案内メモリ318や他の電子回路と協働して案内装置130全体を管理および制御する。また、案内制御部322は、取得案内部328、情報生成部330、案内接続部332、情報転送部334、接続制御部336、接続報知部338としても機能する。
【0042】
取得案内部328は、発信側通信機110と案内装置130との接続に応じ、発信側通信機110を通じて、発信側通信機110の発信者の情報を含む発信情報を取得するための案内を行う。ここで、発信側通信機110の発信者112の情報は、発信者112の氏名や所属先名称、用件、性別、年齢等である。また、案内は、例えば、「電話番号をもう一度プッシュして下さい。」、「お名前をお話し下さい。」、「用件をお話し下さい。」等の音声メッセージを発信側通信機110に出力することで実現できる。また、発信者112からの音声をテキストデータに変換する手段を用い、そのテキストデータの内容に応じて、音声メッセージを追加または変更してもよい。例えば、発信者112が公共施設の職員と称している場合、その公共施設の識別番号や本人の登録番号を問う音声メッセージを追加するとしてもよい。仮に、発信者112が詐欺師であった場合、このような音声メッセージに対する返答により、身元や声が特定されないかと警戒し、その通話を終了する場合がある。こうして、少なくとも着信者142を詐欺行為から保護することができる。
【0043】
情報生成部330は、発信者112が発した音声を録音し、録音した音声データを発信情報として取得する。また、発信側通信機110の電話番号、発信時刻、発信位置(住所)等、発信側通信機110の情報も取得できる場合、情報生成部330は、電子データとして、発信情報に加えることもできる。
【0044】
情報生成部330による録音が完了し、発信情報が生成されると、案内接続部332は、発信側通信機110と案内装置130との接続を維持した状態で、案内装置130と着信側通信機140とを接続する。このとき案内接続部332は、発信側通信機110に対して保留状態とすると共に、「お掛けになった電話番号にお取り次ぎ致します。」等の音声メッセージを発信側通信機110に出力する。
【0045】
情報転送部334は、発信情報を着信側通信機140に転送する。具体的に、情報転送部334は、発呼があり発信情報を取得した旨の音声メッセージを着信側通信機140に出力し、引き続き、発信情報を、録音された状態のまま出力する。このとき、着信側通信機140に表示器が設けられている場合、情報転送部334は、発信側通信機110の情報を着信側通信機140の表示器に表示させることもできる。
【0046】
ここでは、発信者112の肉声をそのまま着信者142に転送し、接続可否の判断を着信者142自身が行うことで、接続可否の判断精度を高めることができる。また、着信者142が発信者112と直接対話している間は、発信者112のペースで会話が進み、発信者112や会話の内容について十分に確認できないことが多いが、本実施形態では、録音された音声を冷静かつ客観的に判断できるので、接続可否の判断精度をより高めることができる。さらに、発信者112が身内を装っている場合であっても、その音声を繰り返し聴くことができるので、その声が本人の声であるか否か特定できる可能性が高まることとなる。
【0047】
そして、発信情報が着信側通信機140に転送されると、案内装置130は、着信者142による接続操作の待ち状態に移行する。ここで、接続操作とは、発信側通信機110と着信側通信機140との接続状態をどのようにするか選択する着信者142の操作である。例えば、接続状態の選択肢として、発信側通信機110の接続拒否(着信拒否)、発信側通信機110と着信側通信機140との接続許可(着信許可)がある。また、発信側通信機110と着信側通信機140との接続許可に関しては、発信側通信機110と着信側通信機140とのみが接続する二者通話と、発信側通信機110と着信側通信機140に、さらに案内装置130を加えた三者通話を選択することができる。着信側通信機140では、例えば、「*」スイッチを押止することで接続拒否を選択、「#」スイッチを押止することで二者通話による接続許可を選択でき、さらに「#」スイッチを複数回連続して押止することで三者通話による接続許可を選択できる。また、このとき、着信側通信機140にて、予め指定されたダイアルスイッチの押止があると、案内装置130は再度発信情報の繰り返し出力を行う。
【0048】
接続制御部336は、着信側通信機140からの接続操作に応じ、接続操作が接続拒否を示していれば、発信側通信機110を通じて「転送することができません。」等の音声メッセージを出力し、接続操作が接続許可を示していれば、中継サーバ120に切換指令を発し、少なくとも発信側通信機110と着信側通信機140とを接続して二者通話を実行する。また、接続操作が接続許可を示し、かつ、着信者142が望む場合(例えば、「#」スイッチを複数回検出した場合)、接続制御部336は、発信側通信機110と着信側通信機140と案内装置130とが三者通話できるように接続する。このとき、接続制御部336は、発信側通信機110および着信側通信機140に「三者通話を開始します。」等の音声メッセージを出力して、三者通話が実行されることを予め報知するとしてもよい。
【0049】
三者通話を行うのは以下の理由による。即ち、上述したように、詐欺行為の手口は日々変化しているので、その注意喚起を全ての人に随時行うのは困難であり、ましてや、詐欺対象となる一般の人がその手口を全て把握して対応するのは無理である。ここでは、着信者142が望む場合、そのような手口をある程度把握した案内者132が、三者通話を通じて発信者112と着信者142との会話を監視することで、当該発信者112が詐欺行為を実行しようとしているか否かを客観的に判断することが可能となるからである。
【0050】
ここで、三者通話は時限的であり、所定時間(例えば3分)経過するまでに何らかの追加操作がなければ、接続制御部336は、三者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換える。このように三者通話を時限的とすることで、着信者142を詐欺行為から保護すると共に、プライバシーの問題を最小限に抑えることができる。また、三者通話中において、案内装置130の案内者132は、発信側通信機110や着信側通信機140の音声を監視するのみであり、案内者132の音声は発信側通信機110や着信側通信機140に出力されない。ただし、三者通話を維持しつつ、案内装置130から着信側通信機140にのみに音声を出力するとしてもよい。また、案内者132は、会話の内容に問題がなければ、上記所定時間の経過により三者通話を終えるが、不審な場合、その所定時間を延長して、三者通話を継続することもできる。
【0051】
接続報知部338は、三者通話に案内者132の音声を出力しない代わりに、三者通話を実行している間、機械音、例えば、「プップップッ…」といった音を発信側通信機110と着信側通信機140との通話に重畳し、発信側通信機110および着信側通信機140を通じて、三者通話が実行されていることを発信者112および着信者142に報知する。
【0052】
このように、三者通話が実行されている間、その旨、着信者142に報知することで、着信者142は、第三者(案内者132)が当該会話を傍聴していることを常に意識することができ、プライバシーの保護を図ることができる。また、三者通話が実行されていることを発信者112にも報知することで、発信者112は、第三者により監視されていることを意識して、詐欺行為を実行することができなくなり、詐欺行為の抑止力を向上することが可能となる。
【0053】
また、接続報知部338は、案内者132が三者通話を延長しない限り、三者通話が維持される所定時間の経過をもって三者通話が実行されている旨の機械音の出力を停止する。このように三者通話が実行されている旨の機械音が正常に終了したことは、案内者132が、発信者112が詐欺師ではないという見解を示したことに相当し、着信者142は、安心して発信者112との会話を継続することができる。また、機械音の出力が停止された後は、第三者(案内者132)に会話が聴かれている心配もないので、着信者142は、自由に会話を楽しむことができる。
【0054】
また、接続制御部336は、三者通話を実行している間に、案内者132の操作入力を受けると、それに応じて、三者通話を、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換えることができる。このとき、接続報知部338は、発信側通信機110にその旨報知する。ただし、着信者142には、当該三者通話に案内者132が割り込む可能性があることを予め伝達しておくとよい。
【0055】
例えば、案内者132が、発信者112と着信者142との会話を聴いて、発信者112が「オレオレ」、「ジダン」、「ギンコウ」、「フリコミ」、「コウザバンゴウ」等の不審キーワードを発しており、発信者112が詐欺師である疑いがあると判断すると、三者通話に割り込んで、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換え、着信者142にその旨伝達する。このとき、案内者132は、着信者142に、発信者112が詐欺師であるかどうかを判断するためのアドバイスを行ってもよい。例えば、発信者112が身内と称している場合、身内しか知らない情報を正しく答えることができるか確認させたり、発信者112が公共施設の職員と称している場合、客観的に調べたその公共施設の電話番号等に電話して確認させる等の指示を行ってもよい。
【0056】
また、案内装置130と着信側通信機140との二者通話の間、発信側通信機110には、二者通話が実行されていることを示す機械音または「監視者に接続しています。」等の音声メッセージが出力される。接続制御部336は、案内者132が着信者142に情報を伝達し終わると、案内者132の操作に基づいて三者通話に戻すか、または、案内装置130と発信側通信機110との接続を行い、案内者132と発信者112とを再度会話させる。
【0057】
このような機械音や音声メッセージによって、発信者112は、自分が疑われていることを認識する。したがって、発信者112が詐欺師だった場合、身元が特定されるのを警戒して、その通話を終了する場合がある。こうして、少なくとも着信者142を詐欺行為から保護することができる。
【0058】
ただし、三者通話は、一般の着信者142のみでは、その発呼が善意の発呼か悪意の発呼かは単純に判断することができない場合に、客観的な判断を行うものであり、着信者142が、発信者112を知っている場合等、明らかに詐欺師ではない場合においてまで、所定時間実行する必要はなく、また、プライバシーの保護にも欠ける。
【0059】
そこで、接続制御部336は、三者通話を実行している間に着信側通信機140からの案内切断要求(切断要求に相当)を受けると、三者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換える。かかる構成により、着信者142は、自己の判断において、発信者112が正当であることを確信した場合、三者通話中に着信側通信機140の任意のスイッチ(例えば、「*」スイッチ)を押止することで、強制的に三者通話を終了し、その後、第三者(案内者132)の存在を意識することなく、安心して発信者112との会話を継続することができる。また、接続報知部338は、接続制御部336が三者通話を終了させたときに、三者通話であることを示す機械音の出力を停止させ、三者通話が終了したことを報知する。
【0060】
また、接続制御部336は、三者通話の開始から所定時間の経過により、三者通話が二者通話に切り換わった後であっても、着信者142が望めば、着信側通信機140からの切換要求を受けて、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話を、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換える。
【0061】
例えば、案内者132は、発信者112と着信者142との会話に不審な点がないと判断し三者通話を終了したとする。このとき、発信者112が、まず、着信者142や案内者132を安心させて、三者通話の機械音が出力されなくなった後に詐欺行為を実行する場合がある。しかし、所定時間が経過している場合、自動的に三者通話が解除されているため、案内者132は、最早、その会話を聴くことができない。そこで、着信者142が、少しでも不審に思った場合、その旨、案内者132に伝達することで、少なくとも案内者132の客観的な見解を仰ぐことができる。
【0062】
また、着信者142の切換要求に応じて、案内装置130と着信側通信機140との二者通話が実行されている間、接続報知部338は、発信側通信機110に、二者の通話が実行されていることを示す機械音や「監視者に接続しています。」等の音声メッセージを報知する。このような機械音や音声メッセージによって、発信者112は、自分が疑われていることを認識する。したがって、発信者112が詐欺師だった場合、身元が特定されるのを警戒して、その通話を終了する場合がある。こうして、少なくとも着信者142を詐欺行為から保護することができる。
【0063】
以上説明した中継サーバ120、案内装置130により、発信側通信機110からの発呼に対する処理を自動化することで、正当な発呼にまで案内者132が対応する必要もなくなる。また、着信者142が発信者112を不審に思い、三者通話を望む場合にのみ、案内者132は、発信者112の信憑性を判断すれば済む。したがって、案内者132の処理負担を軽減しつつ、効率的に詐欺行為を防止することが可能となる。
【0064】
また、発信情報に基づいて接続可否の判断を着信者142が自ら実行することで、接続可否の判断精度を高めることができ、着信者142および発信者112の満足度を向上することが可能となる。発信者112は、発信情報に基づいて、発信者112との二者通話と、案内者132を含めた三者通話とを自由に選択でき、少しでも発信者112を不審に思ったら三者通話を選択することで、詐欺行為を未然に防止することができる。
【0065】
さらに、詐欺行為防止のため三者通話が実行されている間、その旨着信者142に報知することでプライバシーの保護を図ると共に、三者通話が実行されていることを発信者112にも報知することで詐欺行為の抑止力を向上することができる。
【0066】
(通信中継方法)
図5および図6は、通信中継方法の全体的な流れを示したフローチャートであり、図7は、通信中継方法の代表的な例を示したシーケンス図である。特に、図5では、中継サーバ120における通信中継処理を示し、図6では、案内装置130における通信中継処理を示している。
【0067】
図5を参照すると、任意の発信側通信機110から、予め中継サーバ120に登録された着信側通信機140に発呼があった場合(S400におけるYES)、中継サーバ120の要求転送部230は、その発呼が電話番号の通知を伴うものか否か判定する(S402)。電話番号の通知がない場合(S402におけるNO)、要求転送部230は、電話番号を通知してかけ直すよう音声メッセージを出力し(S404)、当該通信中継処理を終了する。
【0068】
電話番号が通知されている場合(S402におけるYES)、要求転送部230は、その電話番号が、着信許可テーブル250において当該発呼先の着信側通信機140に関連付けられた電話番号254であるか否か判定する(S406)。当該発呼先の着信側通信機140に関連付けられた(登録された)電話番号254であれば(S406におけるYES)、要求転送部230は、発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続して(S408)、当該通信中継処理を終了する。このように、事前登録された発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続することで、安全な通話のみを着信者142に提供することができる。
【0069】
当該発呼先の着信側通信機140に関連付けられた電話番号254でなければ(S406におけるNO)、発信側通信機110に、「電話取次ぎサービスに接続します。」等の音声メッセージを出力する(S410)。そして、要求転送部230は、所定の暗証番号入力期間が経過していない間に(S412におけるNO)、発信側通信機110から暗証番号に相当するトーン信号が入力され、かつ、その暗証番号が着信許可テーブル250に登録された暗証番号256に合致しているか否か判定し(S414)、暗証番号が合致していれば(S414におけるYES)、発信側通信機110と着信側通信機140とを直接接続して当該通信中継処理を終了し(S408)、入力がないまま、または、暗証番号が合致しないまま暗証番号入力期間が経過すると(S412におけるYES)、発信側通信機110と案内装置130とを接続する(S416)。
【0070】
このようにして案内装置130に通信中継処理が移行した後であっても、接続が解除されるまでは(S418におけるNO)、案内装置130からの切換指令を受け付けると(S420)、通信切換部232は、発信側通信機110、案内装置130および着信側通信機140から選択されたいずれか2つを接続した二者通話、ならびに、全てを接続した三者通話とを切り換える(S422)。接続が解除されると(S418におけるYES)、当該通信中継処理を終了する。
【0071】
図6を参照すると、案内装置130の取得案内部328は、発信側通信機110と案内装置130とが接続されると(S450におけるYES)、発信側通信機110を通じて、発信側通信機110の発信者112の情報を含む発信情報を取得するための案内を行う(S452)、そして、情報生成部330は、その案内に応じて発信者112が発した音声を録音し、発信情報を取得する(S454)。このとき、所定の待機時間を以っても発信者112の音声が録音できず発信情報が取得できなければ、着信側通信機140と接続できない旨の音声ガイダンスを出力し、発信側通信機110との接続を解除してよい。発信情報が取得できれば、続いて、案内接続部332は、発信側通信機110と案内装置130との接続を維持したまま、案内装置130と着信側通信機140とを接続し(S456)、情報転送部334は、発信情報を着信側通信機140に転送して(S458)、着信者142による接続操作の待ち状態に移行する。このように、発信側通信機110からの発呼に対する処理を自動化することで案内者132の処理負担が軽減される。また、転送された発信情報に基づいて、接続可否の判断を着信者142が自ら実行することで、接続可否の判断精度を高めることができ、着信者142および発信者112の満足度を向上することが可能となる。
【0072】
着信者142による接続操作を受け付けると(S460におけるYES)、接続制御部336は、接続操作が接続拒否を示しているか否か判定し(S462)、接続拒否を示していれば(S462におけるYES)、発信側通信機110を通じて「転送することができません。」等の音声メッセージを出力し(S464)、当該通信中継処理を終了する。
【0073】
接続操作が接続拒否を示していなければ(S462におけるNO)、接続制御部336は、接続操作が接続許可、かつ、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通信を示しているか否か判定し(S466)、接続許可かつ二者通信を示していれば(S466におけるYES)、中継サーバ120に発信側通信機110と着信側通信機140とを接続する旨の切換指令を発し二者通話を実行する(S468)。
【0074】
接続操作が接続許可であるが二者通信を示していなければ(S466におけるNO)、接続制御部336は、接続操作が接続許可かつ三者通信を示しているか否か判定し(S470)、接続許可かつ三者通信を示していれば(S470におけるYES)、中継サーバ120に発信側通信機110と案内装置130と着信側通信機140とを接続する旨の切換指令を発して、発信側通信機110と案内装置130との二者通話、および、案内装置130と着信側通信機140との二者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140と案内装置130の三者通話に切り換える(S472)。接続操作が接続許可かつ三者通信を示していなければ(S470におけるNO)、その接続操作は他のスイッチの押止等、無効な接続操作であると判断して、ステップS460の接続操作判定処理に戻る。
【0075】
上記ステップS472の三者通話が実行されると、接続制御部336は、発信側通信機110および着信側通信機140に「三者通話を開始します。」等の音声メッセージを出力し(S474)、接続報知部338は、三者通話を実行している間、着信側通信機140および発信側通信機110を通じて三者通話が実行されていることを報知する(S476)。こうして、着信者142は、第三者(案内者132)が当該会話を傍聴していることを常に意識することができ、プライバシーの保護を図ることができる。また、三者通話が実行されていることを発信者112にも報知することで、発信者112は、第三者により監視されていることを意識して、詐欺行為を実行することができなくなり、詐欺行為の抑止力を向上することが可能となる。
【0076】
かかる三者通話が実行されている間、案内者132が発信者112と着信者142との会話に基づいて、発信者112が不審者の可能性があると判断し、二者通話の割込操作を行うと(S478におけるYES)、接続制御部336は、三者通話を、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換え(S480)、接続報知部338は、三者通話が実行されていることの報知出力を終了し、発信側通信機110に二者通話である旨報知する(S482)。そして、案内者132によるアドバイスが終了し、案内者132によって、三者通話の割込操作があると(S484におけるYES)、接続制御部336は、二者通話を三者通話に切り換え(S486)、接続報知部338は、三者通話を実行している間、三者通話が実行されていることを報知する(S488)。
【0077】
また、三者通話が実行されている間に、着信側通信機140からの接続切断要求(通話終了)があると(S490におけるYES)、当該通信中継処理を終了する。また、三者通話が実行されている間に、着信側通信機140の案内切断要求(案内装置130排除)があると(S492におけるYES)、接続制御部336は、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換える(S468)。そして三者通話が実行されていることの報知が終了する。こうして、着信者142は自らの意志とタイミングで三者通話を発信者112との二者通話に切り換えることができ、プライバシーの問題を回避することが可能となる。
【0078】
三者通話が実行されている間に、着信側通信機140の案内切断要求がないと(S492におけるNO)、三者通話の経過時間が所定時間を超えたか否か判定される(S494)。三者通話の経過時間が所定時間に至っていない間(S494におけるNO)、ステップS478における二者通話割込操作判定処理からを繰り返す。そして、所定時間に達すると(S494におけるYES)、三者通話を、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換え、三者通話が実行されていることの報知も終了する(S468)。このように三者通話が実行されている旨の機械音が正常に終了したことは、案内者132が、発信者112が詐欺師ではないという見解を示したことに相当し、着信者142は安心して発信者112との会話を継続することができる。
【0079】
上記ステップS466において二者通話の接続操作があったか、三者通話が二者通話に切り換えられ、ステップS468の二者通話が実行されている間に、着信者142が発信者112を不審に思い、着信側通信機140を通じて切換要求を行うと(S496におけるYES)、接続制御部336は、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話を、案内装置130と着信側通信機140との二者通話に切り換え(S498)、接続報知部338は、発信側通信機110にその旨報知する(S500)。そして、着信者142は、案内者132からアドバイスを受け、その後、着信側通信機140からの接続要求があると(S502におけるYES)、接続制御部336は、再度、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に戻す(S504)。
【0080】
二者通話が実行されている間に、着信側通信機140からの接続切断要求(通話終了)があると(S506おけるYES)、当該通信中継処理を終了し、接続切断要求がないと(S506におけるNO)、ステップS496の切換要求判定処理からを繰り返す。
【0081】
続いて、図7を参照しつつ、通信中継方法の代表的な例を示すと、任意の発信側通信機110が着信側通信機140の発呼を実行すると(S600)、まず、中継サーバ120でその発呼が確認される。仮に、発信側通信機110の電話番号は着信許可テーブル250に登録されていないが、電話番号を通知しているとすると、中継サーバ120の要求転送部230は、その発呼に応じて、発信側通信機110と案内装置130とを接続する(S602)。案内装置130側では、情報生成部330を通じて発信情報が生成され(S604)、案内接続部332が、案内装置130と着信側通信機140とを接続し(S606)、情報転送部334を通じて発信情報が着信側通信機140に転送される(S608)。
【0082】
ここで、着信者142が接続操作を通じて三者通話を選択すると、接続制御部336によって、発信側通信機110と着信側通信機140と案内装置130との三者通話が実行され(S610)、接続報知部338によって、着信側通信機140および発信側通信機110に三者通話が実行されていることが報知される(S612)。そして、所定時間が経過すると、三者通話は、発信側通信機110と着信側通信機140との二者通話に切り換わり(S614)、着信者142は、第三者(案内者132)の存在を意識せず、発信者112と会話を継続することができる。
【0083】
このように、発信側通信機110からの発呼に対する処理を自動化することで案内者132の処理負担が軽減される。また、接続可否の判断を着信者が自ら実行することで、接続可否の判断精度を高めることができ、着信者142および発信者112の満足度を向上することが可能となる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0085】
例えば、上述した実施形態では、通信として特に「通話」を挙げて説明したが、既存の様々な通信形式を採用することもでき、そのような場合においても上記実施形態の三者通話や二者通話を三者通信や二者通信と置換することで、本実施形態同様の効果を得ることが可能となる。
【0086】
なお、本明細書の通信中継方法における各工程は、必ずしもフローチャートおよびシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、発信側通信機と着信側通信機とを中継する通信中継システムおよび案内装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
100 …通信中継システム
110 …発信側通信機
112 …発信者
120 …中継サーバ
130 …案内装置
132 …案内者
140 …着信側通信機
142 …着信者
230 …要求転送部
232 …通信切換部
330 …情報生成部
332 …案内接続部
334 …情報転送部
336 …接続制御部
338 …接続報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信側通信機と着信側通信機とを中継する中継サーバと、該中継サーバを通じて該発信側通信機および該着信側通信機と接続可能な案内装置とを含む通信中継システムであって、
前記中継サーバは、
前記発信側通信機から、予め登録された前記着信側通信機への通信要求を受けて、該発信側通信機と前記案内装置とを接続する要求転送部を備え、
前記案内装置は、
前記発信側通信機と前記案内装置との接続に応じ、前記発信側通信機を通じて、該発信側通信機の発信者の情報を含む発信情報を取得するための案内を行う取得案内部と、
前記発信者が発した音声を録音し前記発信情報を取得する情報生成部と、
前記発信側通信機と前記案内装置との接続を維持しつつ、前記案内装置と前記着信側通信機とを接続する案内接続部と、
前記発信情報を前記着信側通信機に転送する情報転送部と、
を備えることを特徴とする通信中継システム。
【請求項2】
発信側通信機と着信側通信機とを中継する中継サーバを通じて該発信側通信機および該着信側通信機と接続可能な案内装置であって、
前記発信側通信機からの発呼に基づく、該発信側通信機と当該案内装置との接続に応じ、前記発信側通信機を通じて、該発信側通信機の発信者の情報を含む発信情報を取得するための案内を行う取得案内部と、
前記発信者が発した音声を録音し前記発信情報を取得する情報生成部と、
前記発信情報が取得できれば、前記発信側通信機と前記案内装置との接続を維持しつつ、前記案内装置と前記着信側通信機とを接続する案内接続部と、
前記発信情報を前記着信側通信機に転送する情報転送部と、
を備えることを特徴とする案内装置。
【請求項3】
前記着信側通信機からの接続操作に応じ、該接続操作が接続許可を示していれば、少なくとも前記発信側通信機と該着信側通信機とを接続する接続制御部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記接続制御部は、前記接続操作が接続許可を示していれば、前記発信側通信機と前記着信側通信機と前記案内装置とが三者通話できるように接続することを特徴とする請求項3に記載の案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−235252(P2012−235252A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101497(P2011−101497)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】