説明

通信端末位置判定装置

【課題】通信端末の位置をより精度よく検出することができる通信端末位置判定装置を提供する。
【解決手段】磁界強度算出部20は、運転席アンテナ11からの電波を電子キー2が受信したときの運転席側磁界強度と、助手席アンテナ13からの電波を電子キー2が受信したときの助手席側磁界強度とを算出し、これらを車両1に通知する。係数乗算部23は、運転席側磁界強度に係数を乗算するとともに、助手席側磁界強度にも係数を乗算する。位置判定部24は、係数乗算を経た後のこれら磁界強度の差を算出し、この磁界強度差を基に、電子キー2の位置を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末(通信機)の位置を判定する通信端末位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両キーとしての電子キーから無線によりIDコードを車両に送信してID照合を実行する電子キーシステムが広く使用されている。この電子キーシステムには、車両からIDコード返信要求としてリクエストを送信し、このリクエストに応答して電子キーが返信してきたIDコードによりID照合を行うキー操作スマートシステムがある。キー操作フリーシステムには、車外でID照合が成立すると、ドアロック施解錠が許可又は実行されるスマートエントリーシステムと、車内でID照合が成立すると、車内のエンジンスイッチの単なる押し操作のみでエンジン始動が可能となるワンプッシュエンジンスタートシステムとがある。
【0003】
この電子キーシステムの一種には、図10に示すように、車両80の運転席ドア81側(車体右側)にアンテナ83を配置し、助手席ドア82側(車体左側)にアンテナ84を設置し、これらアンテナ83,84からの送信電波に対して電子キー85が返してきた応答の論理判定によってキー位置を判定する技術(特許文献1,2等)が考案されている。この論理判定キー位置検出方式は、車体右側に設置された運転席アンテナ83と、車体左側に設置された助手席アンテナ84とから順にリクエストを送信して、運転席アンテナエリア86と助手席アンテナエリア87とを順に形成し、これらリクエストに対して電子キー85が返信するIDコード、即ち応答の論理判定によってキー位置を判定する。
【0004】
例えば、運転席アンテナ83のリクエストに対して電子キー85からの応答があり、助手席アンテナ84のリクエストに対して電子キー85から応答がないと、電子キー85が車外に位置すると判定する。また、運転席アンテナ83のリクエストに対して電子キー85からの応答がなく、助手席アンテナ84からのリクエストに対して電子キー85の応答があれば、電子キー85が車外に位置すると判定する。さらに、運転席アンテナ83のリクエストと助手席アンテナ84のリクエストとに対して両方とも応答があれば、電子キー85が車内に位置していると判定する。
【0005】
図10に示す論理判定キー位置検出方式は、車体右側と車体左側とに設けた一対のアンテナで車外と車内との両方の位置を見ることができる。よって、論理判定キー位置検出方式は、例えば車外アンテナとして各ドアにアンテナを設置しつつ、更に車内アンテナとして車内に複数のアンテナを設置して電子キーの位置を検出する場合に比べて、アンテナを車体の左右にのみ設置すればよい分だけ、アンテナ本数を少なく抑えることができる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−84406号公報
【特許文献2】特開2005−76329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、論理判定キー位置検出方式は、少ないアンテナで車外又は車内を判定するため、アンテナエリア86,87を極力広くとらなければならない現状がある。しかし、アンテナエリア86,87を広くとると、図11に示すように、アンテナ搭載側に対して反対側に電波が漏れて、漏れ通信エリア88が形成されることがある。この場合、電子キー2が漏れ通信エリア88に位置すると、電子キー2がアンテナ反対側に位置するにも拘らず、通信が成立してしまうので、電子キー2の位置が誤検出される。よって、これがドアロック施解錠の誤動作に繋がっていた。
【0008】
なお、この問題は、電子キーシステムに限るものではなく、2者が無線により通信を行う種々のシステムでも同様に言えることである。
本発明の目的は、通信端末の位置をより精度よく検出することができる通信端末位置判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明では、通信マスタからの問い合せに通信端末が応答して、これらが双方向通信する無線システムに使用される通信端末位置判定装置において、前記通信マスタの一アンテナ及び他アンテナから交互に電波が送信された際、前記一アンテナからの電波を前記通信端末が受信した際の第1受信強度と、前記他アンテナからの電波を前記通信端末が受信した際の第2受信強度とを算出する受信強度算出手段と、2つの前記受信強度の少なくとも一方に、位置誤判定をキャンセルできる係数を乗算し、該乗算の後、2つの当該受信強度の差を算出し、この強度差を基に前記通信端末の位置を判定する位置判定手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、一アンテナからの電波を通信端末が受信したときの受信強度と、他アンテナからの電波を通信端末が受信したときの受信強度との強度差を算出する際、受信強度に計数を乗算してから強度差を算出し、係数乗算を経た後の強度差に基づき、通信マスタに対する通信端末の位置を判定する。ところで、もし2つの受信強度を単にそのまま引いて強度差を算出し、この強度差で以て通信端末を位置判定しただけでは、正しく位置を判定できないエリア(誤判定エリア)が生じてしまい、位置を正確に判定できない可能性が生じ得る。しかし、本構成のように、係数乗算を経てから強度差を算出するようにすれば、誤判定エリアがキャンセルされるので、より正確に通信端末の位置を判定することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記通信マスタのアンテナは、少なくとも3つ以上設けられ、前記位置判定手段は、少なくとも3つ以上設けた前記アンテナにおいて、各々の2つずつを組みとして該組み同士の前記強度差を算出し、当該強度差から前記通信端末の位置を細分して判定することを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、例えば通信マスタに3つのアンテナが設置された場合、これらアンテナを第1アンテナ、第2アンテナ、第3アンテナとすると、第1アンテナ及び第2アンテナを組みとして、通信端末がどちら側にあるのかを判定し、また第1アンテナ及び第3アンテナを組みとして、通信端末がどちら側にあるのかを判定し、さらに第2アンテナ及び第3アンテナを組として、通信端末がどちら側にあるのかを判定することが可能となる。よって、通信端末の位置をより細分化して見ることが可能となるので、より精度よく通信端末の位置を判定することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記通信端末は、電子キーであり、前記無線システムは、前記通信マスタが前記電子キーとID照合する電子キーシステムであり、前記位置判定手段は、前記電子キーの位置を判定することを要旨とする。
この構成によれば、電子キーの位置を精度よく判定することが可能となる。
【0014】
本発明では、前記通信端末は、車両の各タイヤに取り付けられたタイヤ通信機であり、前記無線システムは、前記タイヤ通信機からタイヤ空気圧を無線により取得するタイヤ空気圧監視システムであり、前記位置判定手段は、前記タイヤ通信機の位置を判定することにより、タイヤの位置を特定することを要旨とする。
この構成によれば、通信成立したタイヤ通信機がどのタイヤに設置されたものなのかを、精度よく判定することが可能となる。
【0015】
本発明では、前記通信端末としての電子キーとID照合する前記無線システムとしての電子キーシステムと、前記通信端末としてのタイヤ通信機から無線によりタイヤ空気圧を取得する前記無線システムとしてのタイヤ空気圧監視システムとは、1つの前記通信マスタを共用することを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、共通の部品を電子キーシステムとタイヤ空気圧監視システムとの両方で使用することが可能となるので、部品点数を削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通信端末の位置をより精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態におけるキー操作フリーシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】車両のアンテナエリアのイメージを示す概念図。
【図3】(a)は電子キーが運転席側車外に位置する状態を示す概念図、(b)は電子キーが助手席側車外に位置する状態を示す概念図、(c)は電子キーが車内に位置する状態を示す概念図。
【図4】磁界強度差から求まるキー位置判定のための見かけ上の判定エリアを示す概念図。
【図5】(a)は判定エリアに誤判定エリアが含まれた状態を示す磁界強度のマップ図、(b)は判定エリアから誤判定エリアがキャンセルされた状態を示す磁界強度マップ図。
【図6】スマート通信の通信シーケンスを示すタイミングチャート。
【図7】第2実施形態における判定エリアの形成分布を示す概念図。
【図8】第3実施形態におけるタイヤ空気圧監視システムの概念図。
【図9】タイヤ空気圧監視システムの具体的動作を示す表。
【図10】従来における電子キーシステムの概略構成を示す模式図。
【図11】車両にアンテナの漏れエリアが形成された状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した通信端末位置判定装置の第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、車両1には、無線によりキー照合を行う電子キーシステムの一種として、電子キー2が車両1に近づくと自動でID(Identification)照合を実行するキー操作フリーシステム3が設けられている。このキー操作フリーシステム3には、実際のキー操作を行うことなくドア開閉の一連の操作過程の中でドアロックの施解錠が実行されるスマートエントリーシステムと、車内に設置されたプッシュ式のエンジンスイッチ4を押し操作するのみでエンジンを始動することが可能なワンプッシュエンジンスタートシステムとがある。なお、電子キー2が通信端末を構成し、キー操作フリーシステム3が無線システム及び電子キーシステムを構成する。
【0021】
この場合、車両1には、電子キー2との間でID照合を実行するキー照合装置5と、ドアロック動作を管理するドアロック装置6と、エンジンの動作を管理するエンジン始動装置7とが設けられ、これらが車内バス8によって接続されている。キー照合装置5には、同装置5のコントロールユニットとして照合ECU(Electronic Control Unit)9が設
けられている。照合ECU9のメモリ(図示略)には、車両1と組みをなす電子キー2のIDコードが登録されている。
【0022】
照合ECU9には、運転席ドア10(図2参照)の周囲にLF(Low Frequency)帯の電波を発信する運転席側車外発信機(以降、運転席アンテナ11と記す)と、助手席ドア12(図2参照)の周囲にLF帯の電波を発信する助手席側車外発信機(以降、助手席アンテナ13と記す)と、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信する車両チューナ14とが接続されている。これらアンテナ11,13は、例えば車体左右のピラーにそれぞれ設けられ、電子キー2に対するID返信要求としてリクエスト信号Srqを送信可能となっている。なお、照合ECU9が通信マスタに相当する。
【0023】
図2に示すように、運転席アンテナ11は、運転席側車外及び車内に通信エリア(運転席アンテナエリアKd)を形成する送信強度で電波送信する。助手席アンテナ13は、助手席側車外及び車内に通信エリア(助手席アンテナエリアKp)を形成する送信強度で電波送信する。本例の場合、電子キー2の基本的な位置判定として、運転席アンテナ11からの電波を電子キー2が強く受信する際、電子キー2の位置が運転席側車外と判定され、助手席アンテナ13からの電波を電子キー2が強く受信する際、電子キー2の位置が運転席側車外と判定される。また、運転席アンテナ11からの電波と、助手席アンテナ13からの電波とを、同程度の強さで受信する際、電子キー2の位置が車内と判定される。なお、アンテナ11,13が一アンテナ及び他アンテナを構成する。
【0024】
図1に示すように、電子キー2には、電子キー2の動作を統括制御する通信制御部15が設けられている。通信制御部15のメモリ(図示略)には、キー固有のIDとしてIDコードが登録されている。通信制御部15には、LF帯の電波を受信可能なLF受信機16と、UHF帯の電波を送信可能なUHF送信機17とが接続されている。LF受信機16は、X軸アンテナとY軸アンテナとZ軸アンテナとを備えた3軸受信アンテナであって、各アンテナがコイルアンテナにより形成されている。電子キー2は、LF受信機16でリクエスト信号Srqを受信すると、IDコードを含むID信号SidをUHF送信機17によりUHF帯の電波で送信する。
【0025】
照合ECU9は、リクエスト信号Srqに対する応答として電子キー2からID信号Sidを受信すると、ID照合としてスマート照合を実行する。照合ECU9は、車外の電子キー2とスマート照合、即ち車外照合が成立することを確認すると、ドアロック装置6によるドアロック施解錠を実行又は許可する。また、照合ECU9は、車内の電子キー2とスマート照合、即ち車内照合が成立することを確認すると、エンジンスイッチ4のプッシュ操作によるエンジン始動及び電源遷移を許可する。
【0026】
図1に示すように、本例のキー操作フリーシステム3には、運転席アンテナ11からの電波を電子キー2が受信したときと、助手席アンテナ13からの電波を電子キー2が受信したときとの磁界強度差Hdpを算出し、この磁界強度差Hdpから電子キー2の位置を判定する位置判定装置18が設けられている。位置判定装置18は、運転席アンテナ11からのリクエスト信号Srqを電子キー2が受信したときの磁界強度(運転席側磁界強度Hd)と、助手席アンテナ13からのリクエスト信号Srqを電子キー2が受信したときの磁界強度(助手席側磁界強度Hp)との磁界強度差(磁界強度差Hdp)を算出し、この磁界強度差Hdpからキー位置を判定する。また、本例の位置判定装置18は、これら磁界強度Hd,Hpに、キー位置の誤判定をキャンセルできる係数α,βを乗算して、その乗算後の磁界強度Hd,Hpから磁界強度差Hdpを算出する。なお、運転席側磁界強度Hd及び助手席側磁界強度Hpが第1受信強度及び第2受信強度を構成する。
【0027】
この場合、照合ECU9には、一対の運転席アンテナ11及び助手席アンテナ13を交互に電波送信させる交互送信動作部19が設けられている。交互送信動作部19は、例えば車両1が終車状態の際や、車外ドアハンドルノブのロックボタンが押されて施錠操作された際、これらアンテナ11,13からリクエスト信号Srqを交互送信して車外通信を開始する。また、交互送信動作部19は、例えばカーテシスイッチ等により運転者の乗車を確認すると、このときもアンテナ11,13からリクエスト信号Srqを交互送信して車内通信を開始する。
【0028】
通信制御部15には、電子キー2で受信した電波の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を、磁界強度Hxとして算出する磁界強度算出部20が設けられている。磁界強度算出部20は、運転席アンテナ11からのリクエスト信号Srqを電子キー2で受信した際、このときの磁界強度Hxを運転席側磁界強度Hdとして算出し、助手席アンテナ13からのリクエスト信号Srqを電子キー2で受信した際、このときの磁界強度Hxを助手席側磁界強度Hpとして算出する。また、磁界強度算出部20は、LF受信機16(3軸アンテナ)の3軸の受信強度のベクトル合成値を使用して、これら磁界強度Hd,Hpを算出する。なお、磁界強度算出部20が受信強度算出手段を構成する。
【0029】
通信制御部15には、電子キー2で受信した磁界強度Hd,Hpをスマート通信の過程で車両1に通知する磁界強度通知部21が設けられている。磁界強度通知部21は、電子キー2がリクエスト信号Srqに応答してID信号Sidを車両1に送信する際、このID信号Sidに磁界強度Hxのデータを含ませて送信する。即ち、ID信号Sidには、電子キー2のIDコードと、磁界強度Hxのデータ(デジタル値)とが含まれている。磁界強度通知部21は、運転席アンテナ11からのリクエスト信号Srqに応答してID信号Sidを返信する際、このID信号Sidに運転席側磁界強度Hdを乗せて車両1に通知し、助手席アンテナ13からのリクエスト信号Srqに応答してID信号Sidを返信する際、このID信号Sidに助手席側磁界強度Hpを乗せて車両1に通知する。なお、磁界強度通知部21が受信強度算出手段を構成する。
【0030】
照合ECU9には、スマート通信の際に電子キー2から磁界強度Hxを取得する磁界強
度取得部22が設けられている。磁界強度取得部22は、スマート通信の際、ID信号Sidに含まれる磁界強度Hxを参照して、磁界強度Hxを取得する。磁界強度取得部22は、運転席アンテナ11を車両送信アンテナとして使用したときの運転席側磁界強度Hdと、助手席アンテナ13を車両送信アンテナとして使用したときの助手席側磁界強度Hpとを取得する。なお、磁界強度取得部22が受信強度算出手段を構成する。
【0031】
ところで、図3(a)に示すように、電子キー2が運転席側車外に位置したり、或いは図3(b)に示すように、電子キー2が助手席側車外に位置したりする場合、電子キー2は、運転席アンテナ11及び助手席アンテナ13のうち、一方側に極端に近づく。このため、結果として、運転席側磁界強度Hd及び助手席側磁界強度Hpは、一方が他方に対して極端に高い値をとるので、運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpとの磁界強度差Hdpは、高い値をとるはずである。よって、車内外判定の基準値である判定閾値Hkより磁界強度差Hdpが高くなることが確認できれば、電子キー2が車外に位置することが分かる。
【0032】
一方、図3(c)に示すように、電子キー2が車内に位置する場合、電子キー2は、運転席アンテナ11と助手席アンテナ13とに対して、ほぼ均等に近づく。このため、結果として、運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpは、互いに似た様な値に落ち着くので、磁界強度差Hdpは低い値をとるはずである。よって、磁界強度差Hdpが判定閾値Hkよりも低くなることが確認できれば、電子キー2が車内に位置することが分かる。
【0033】
ここで、磁界強度差Hdpが判定閾値Hkよりも高くなる点をプロットしていくと、このプロット点の集まりは、図4に示すように、電子キー2が車外に位置すると割り出すことが可能な見かけ上の判定エリアEとして表すことができる。この判定エリアEは、磁界強度差Hdpの正負を考慮に入れずに見ると、運転席側及び助手席側の両側に一対形成される。よって、磁界強度差Hdpが判定閾値Hkよりも高い場合、電子キー2が判定エリアEの中のいずれかの場所に位置し、結果として電子キー2が車両1の近くに存在すること分かる。
【0034】
さらに、磁界強度差Hdpを正負で区分けして見れば、これら一対の判定エリアE,Eのうち、どちらに位置しているのかも分かる。ところで、磁界強度差Hdpは、運転席側判定エリアEdと、助手席側判定エリアEpとで正負が逆転する値として割り出される。よって、磁界強度差Hdpを正負まで考慮に入れて見れば、それは即ち、電子キー2が運転席側に位置するのか、或いは助手席側に位置するのかが分かることになる。よって、例えば判定閾値Hkを正値(+Hk)として、磁界強度差Hdpが+Hkよりも高い値をとっていれば、電子キー2が運転席側判定エリアEd、即ち運転席側車外に位置することが分かる。また、逆に、判定閾値Hkを負値(−Hk)として、磁界強度差Hdpが−Hkよりも低い値をとっていれば、電子キー2が助手席側判定エリアEp、即ち助手席側車外に位置することが分かる。
【0035】
ところで、例えば単に運転席側磁界強度Hdから助手席側磁界強度Hpを引いて算出した磁界強度差Hdpで、判定閾値Hkとの比較判定を行うと、場合によっては、図5(a)に示すように、アンテナ搭載側と反対側にも判定エリア(誤判定エリアEer)が形成されてしまう可能性がある。これは、各アンテナ11,13の通信エリアを細かく設定しようとしても、設定には限界があり、どうしても電波漏れが発生してしまうためである。この場合、もし仮に電子キー2が誤判定エリアEerに位置してしまうと、電子キー2が運転席側車外に無いにも拘らず、運転席側車外に位置すると誤判定される問題に繋がる。
【0036】
ここで、磁界強度Hd,Hpに係数を乗算してから磁界強度差Hdpを算出し、この磁界強度差Hdpと判定閾値Hkとを比較する判定形式を採用すると、図5(b)に示すように、係数の分だけ判定エリアEが縮小し、結果として誤判定エリアEerをキャンセルできることが分かる。これは、磁界強度Hd,Hpに係数を乗算することによって、見かけ上、判定エリアEが小さくなるからである。よって、本例の位置判定装置18は、磁界強度Hd,Hpに係数を乗算してから算出した磁界強度差Hdpで判定閾値Hkとの比較判定を行うと、誤判定エリアEerをキャンセルできることを利用して、電子キー2の位置判定を行う。
【0037】
本例の場合、図1に示すように、照合ECU9には、運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpとに係数α,βを乗算する係数乗算部23が設けられている。係数乗算部23は、運転席側磁界強度Hdに係数αを乗算するとともに、助手席側磁界強度Hpに係数βを乗算する。係数α,βは、本例の位置判定装置18が搭載される車両1に応じて、適宜設定される値である。なお、係数乗算部23が位置判定手段を構成する。
【0038】
照合ECU9には、係数乗算を経て算出された磁界強度差Hdpと判定閾値Hkとの比較結果を基に、電子キー2の位置を判定する位置判定部24が設けられている。本例の位置判定部24は、係数乗算後の運転席側磁界強度Hdと、係数除算後の助手席側磁界強度Hpとの差(α×Hd−β×Hp)を磁界強度差Hdpとして算出する。そして、位置判定部24は、この磁界強度差Hdpと判定閾値Hkとを比較して、電子キー2が車外及び車内のどちらに位置しているのかを判定する。判定閾値Hkは、電子キー2を車内外判定する際の基準になる値であって、例えば実測により定義付けられる。なお、位置判定部24が位置判定手段を構成する。
【0039】
ここで、電子キー2が運転席側車外にあるか否かを見る式を第1判定式とし、電子キー2が助手席側車外にあるか否かを見る式を第2判定式とすると、これら判定式は、次式により表される。
第1判定式:(α×Hd−β×Hp)>+Hk
第2判定式:(α×Hd−β×Hp)<−Hk
【0040】
位置判定部24は、運転席側の車外照合の際、第1判定式を使用してキー位置を判定し、同式が成立することを確認すると、電子キー2が運転席側車外に位置すると判定する。位置判定部24は、助手席側の車外照合の際、第2判定式を使用してキー位置を判定し、同式が成立することを確認すると、電子キー2が助手席側車外に位置すると判定する。また、位置判定部24は、車内照合の際、第1判定式及び第2判定式の両方を使用してキー位置を判定し、第1判定式及び第2判定式ともに成立しないことを確認すると、電子キー2が車内に位置すると判定する。
【0041】
次に、本例の位置判定装置18の動作を図6に従って説明する。
ここで、最初に、車両1が駐車状態(ドアロック施錠、エンジン停止)の際、運転者が運転席ドア10から乗車する場合を想定する。このとき、交互送信動作部19は、運転席ドアの車外ドアハンドルノブが運転者によってタッチ操作されたことを確認すると、待機状態をとる電子キー2を起動状態に切り換えるために、運転席アンテナ11及び助手席アンテナ13からウェイク信号26を交互送信する。このとき、交互送信動作部19は、まずは最初に運転席アンテナ11から第1ウェイク信号26aを送信する。
【0042】
電子キー2は、運転席アンテナエリアKd内に入っているので、第1ウェイク信号26aを受信可能である。電子キー2は、第1ウェイク信号26aを受信すると、この第1ウェイク信号26aによって起動状態に切り換わる。このとき、磁界強度算出部20は、第1ウェイク信号26aの受信強度、即ち運転席側磁界強度Hdを算出する。また、電子キー2は、起動状態に切り換わると、第1アック信号27を車両1に送信する。
【0043】
照合ECU9は、第1ウェイク信号26aを送信した際、制限時間内にアック応答を受信すると、車両周囲に電子キー2が存在すると認識し、運転席アンテナ11を送信アンテナとする動作を継続する。照合ECU9は、車両周囲に電子キー2が存在することを確認すると、運転席アンテナ11からビークルID28を送信する。ビークルID28は、車両1の固有IDである。電子キー2は、ビークルID28を受信すると、ビークルID照合を実行し、このときの通信相手の車両1が正規通信相手か否かを確認する。電子キー2は、ビークルID照合が成立することを確認すると、第2アック信号29を車両1に送信する。
【0044】
照合ECU9は、ビークルID28の送信後の制限時間内に第2アック信号29を受信すると、続いてチャレンジ30を運転席アンテナ11から送信する。チャレンジ30には、電子キー2が何番目の登録キーかを問い合せるためのキー番号と、チャレンジレスポンス認証用のチャレンジコードとが含まれている。電子キー2は、チャレンジ30を受信すると、チャレンジ30内のキー番号で番号照合を実行し、番号照合が成立することを確認すると、チャレンジコードを自身の暗号鍵に通してレスポンスコードを演算する。電子キー2は、レスポンスコードの演算が完了すると、レスポンス31を車両1に送信する。レスポンス31には、電子キー2のIDコードと、演算したレスポンスコードとが含まれている。電子キー2は、レスポンス31の送信が完了すると、元の待機状態に戻る。
【0045】
また、電子キー2がレスポンス31を車両1に送信する際、磁界強度通知部21は、レスポンス31にIDコード及びレスポンスコードとともに、運転席側磁界強度Hdのデータを含ませて送信させる。即ち、レスポンス31として、IDコードとレスポンスコードと運転席側磁界強度Hdとが電子キー2から車両に送信される。
【0046】
照合ECU9は、チャレンジ30の送信の際、自身もチャレンジコードを自らの暗号鍵に通してレスポンスコードを演算する。そして、照合ECU9は、電子キー2からレスポンス31を受信すると、レスポンス31に含まれるレスポンスコードでレスポンス照合を行い、この照合が成立することを確認すると、レスポンス31に含まれるIDコードでIDコード照合を実行する。照合ECU9は、両照合がともに成立することを確認すると、スマート照合を成立として処理する。
【0047】
さらに、磁界強度取得部22は、スマート照合が成立することを確認すると、レスポンス31に含まれる運転席側磁界強度Hdを取得し、この運転席側磁界強度Hdを位置判定部24に出力する。即ち、磁界強度取得部22は、このときに受信したレスポンス31が、運転席アンテナ11からの問い合せに対する電子キー2の応答であると把握しているので、このレスポンス31に含まれる受信強度データを運転席側磁界強度Hdとして取り込み、これを位置判定部24に通知する。
【0048】
交互送信動作部19は、運転席アンテナ11によるスマート照合が完了することを確認すると、今度は助手席アンテナ13から第2ウェイク信号26bの送信を開始して、助手席アンテナ13を車両送信アンテナとして電子キー2とスマート通信する。電子キー2は、第2ウェイク信号26bを受信すると、この第2ウェイク信号26bによって再度起動状態に入る。このとき、磁界強度算出部20は、第2ウェイク信号26bの受信強度、即ち助手席側磁界強度Hpを算出する。
【0049】
また、電子キー2は、第2ウェイク信号26bにより起動状態に切り換わると、第3アック信号32を車両1に送信する。照合ECU9は、第2ウェイク信号26bを送信した際、制限時間内にアック応答を受信すると、助手席アンテナ13を車両送信アンテナとしたスマート通信を継続する。
【0050】
以降のスマート通信は、運転席アンテナ11を車両送信アンテナとしたときと同様の通信シーケンスにより実行される。即ち、第3アック信号32が車両1に届くと、助手席アンテナ13からビークルID33が送信され、ビークルID照合が実行される。そして、ビークルID照合成立通知として第4アック信号34が電子キー2から車両1に届くと、助手席アンテナ13からチャレンジ35が送信される。
【0051】
電子キー2は、チャレンジ35を受信すると、同チャレンジ35でキー番号照合と、レスポンスコード演算とを実行する。電子キー2は、レスポンスコード演算が完了すると、レスポンス36を車両1に送信する。このレスポンス36には、電子キー2のIDコードと、演算したレスポンスコードと、助手席側磁界強度Hpのデータとが含まれている。
【0052】
照合ECU9は、レスポンス36を受信すると、レスポンス認証とIDコード照合とを行い、これら両照合が成立することを確認すると、スマート照合を成立として処理する。また、磁界強度取得部22は、スマート照合が成立することを確認すると、このレスポンス36から助手席側磁界強度Hpを取得し、助手席側磁界強度Hpを位置判定部24に出力する。即ち、磁界強度取得部22は、このときに受信したレスポンス36が、助手席アンテナ13からの問い合せに対する電子キー2の応答であると把握しているので、このレスポンス36に含まれる受信強度を助手席側磁界強度Hpとして取り込み、これを位置判定部24に出力する。
【0053】
係数乗算部23は、磁界強度取得部22から運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpと取得すると、運転席側磁界強度Hdに係数αを乗算し、助手席側磁界強度Hpに係数βを乗算し、これら磁界強度Hd,Hpを位置判定部24に出力する。位置判定部24は、係数乗算部23から係数乗算後の磁界強度Hd,Hpを取得すると、これら磁界強度Hd,Hpの磁界強度差Hdpを算出する。そして、位置判定部24は、磁界強度差Hdpと判定閾値Hkとを比較することにより、電子キー2の位置を判定する。
【0054】
ここで、位置判定部24は、車外ドアハンドルノブのタッチ操作をトリガとして開始されたスマート通信であることを以て、このときのスマート通信が車外通信であることを認識している。また、位置判定部24は、タッチ操作された車外ドアハンドルが、運転席側であることを把握しているので、運転席側に電子キー2が位置すべきであることも認識している。
【0055】
よって、位置判定部24は、運転席側の車外ドアハンドルノブのタッチ操作により開始されたスマート通信であることを認識すると、第1判定式が成立するか否かを確認する。即ち、Hdp>+Hkが成立するか否かを確認する。このとき、位置判定部24は、Hdp>+Hkが成立することを確認すると、電子キー2が運転席側車外に位置すると認識し、車外照合を成立として処理する。照合ECU9は、電子キー2との間のスマート照合が成立し、かつ車外位置判定も正しいということを確認すると、ドアロック装置6にドアロックの解錠を実行させる。
【0056】
続いて、ドアロックの解錠後、運転者が車内に乗車した場合を想定する。照合ECU9は、運転者が車内に乗車したことを例えばカーテシスイッチ等により確認すると、ドアロックを解錠したときと同じ通信シーケンスで、同様のスマート通信を実行する。よって、この場合も、運転席アンテナ11を車両送信アンテナとして電子キー2とスマート通信を行ったときの電子キー2の受信強度を運転席側磁界強度Hdとして取得し、助手席アンテナ13を車両送信アンテナとして電子キー2とスマート通信を行ったときの電子キー2の受信強度を助手席側磁界強度Hpとして取得し、前述した係数乗算を経た磁界強度差Hdpを算出する。
【0057】
位置判定部24は、車内照合時に磁界強度差Hdpを取得すると、電子キー2が車内に位置するか否かを確認するために、第1判定式及び第2判定式の両式成立可否を確認する。kのとき、位置判定部24は、Hdp>+Hkが成立せず、さらにHdp<−Hkも成立しないことを確認すると、電子キー2が車内にあると認識して、車内照合を成立として処理する。照合ECU9は、電子キー2との間のスマート通信が成立し、かつ車内位置判定も成立することを確認すると、エンジン始動装置7による電源遷移操作及びエンジン始動操作を許可する。
【0058】
続いて、降車した運転者がドアロックを施錠する場合を想定する。照合ECU9は、車両1が停車状態(ドアロック解錠、エンジン停止)の際、運転席ドア10の車外ドアハンドルノブのロックボタン(図示略)が押し操作されたことを検出すると、前述した通信シーケンスと同様のスマート照合を実行する。このときも、運転席アンテナ11及び助手席アンテナ13により交互にスマート通信を実行して、運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpとを取得し、前述した係数乗算を経た磁界強度差Hdpを算出する。
【0059】
位置判定部24は、車外照合時に磁界強度差Hdpを取得すると、運転席ドア10側から乗車したときと同様に、第1判定式が成立するか否かを確認する。このとき、位置判定部24は、Hdp>+Hkが成立することを確認すると、電子キー2が運転席側車外に位置すると認識し、車外照合を成立として処理する。照合ECU9は、電子キー2との間のスマート照合が成立し、かつ車外位置判定も正しいということを確認すると、ドアロック装置6にドアロックの施錠を実行させる。
【0060】
なお、以上は、運転席ドア10から車両1に乗車する例を説明したが、助手席ドア12や後部右側ドアや左側ドアから乗降車する場合の動作も、基本的な動作は運転席ドア10から乗降車する場合と同様であるので、これらの具体例については詳細を省略する。
【0061】
以上により、本例においては、係数αを乗算した運転席側磁界強度Hdと、係数βを乗算した助手席側磁界強度Hpとの磁界強度差Hdpを算出し、磁界強度差Hdpと判定閾値Hkとを比較することにより、電子キー2の位置を判定する。ところで、ただ単に運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpとをそのまま引いて求める磁界強度差Hdpでは、図5(a)に示すような誤判定エリアEerが生じてしまうが、係数α,βを磁界強度Hd,Hpに乗算して磁界強度差Hdpを割り出せば、図5(a)に示す誤判定エリアEerがキャンセルされる。よって、電子キー2の位置を誤判定してしまう要因を無くせるので、より精度よく電子キー2の位置を判定することが可能となる。
【0062】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)測定した磁界強度Hd,Hpに係数α,βを乗算し、係数乗算を経た後の磁界強度Hd,Hpの磁界強度差Hdpと判定閾値Hkとを比較することにより、電子キー2の位置を判定する。よって、ただ単に磁界強度Hd,Hpの磁界強度差Hdpを判定することでキー位置を判定していた場合に発生していた図5(a)に示すような誤判定エリアEerがキャンセルされるので、より精度よくキー位置を検出することができる。
【0063】
(2)磁界強度差Hdpと判定閾値Hkとの大小関係を見ることによりキー位置を判定するので、磁界強度差Hdpと判定閾値Hkとの大小を単に比較するという簡素な処理によって、電子キー2の位置を判定することができる。
【0064】
(3)運転席側に運転席アンテナ11を設置し、助手席側に助手席アンテナ13を設置して、これらアンテナ11,13からの電波を電子キー2が受信したときの磁界強度差Hdpを基に、電子キー2が車外及び車外のどちらに位置するのかを判定する。よって、電子キー2が車外及び車内のどちらに位置するのかを、より精度よく判定することができる。
【0065】
(4)磁界強度差Hdpを絶対値ではなく正負を持った値で算出し、磁界強度差Hdpが正をとる場合、判定閾値としての+Hkと磁界強度差Hdpとの大小比較により、電子キー2が運転席側車外に位置するか否かを判定する。また、磁界強度差Hdpが負をとる場合、判定閾値としての−Hkと磁界強度差Hdpとの大小比較により、電子キー2が助手席側車外に位置するか否かを判定する。このため、電子キー2が車外に位置する際に、運転席側及び助手席側のどちらに位置するのかまで、細かく判定することができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図7に従って説明する。なお、本例は、車両1の送信アンテナを3つとして電子キー2の位置を細分検出可能とした例であり、第1実施形態と基本的な構成部分は同じである。よって、同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0067】
図7に示すように、ラッゲージドア41には、車両1の一送信アンテナとしてラッゲージドアアンテナ42が設けられている。ラッゲージドアアンテナ42は、例えばラッゲージドア41の内面等に取り付けられ、運転席アンテナ11や助手席アンテナ13と同様に、スマート通信の際にリクエスト信号Srqを電子キー2に送信する。なお、ラッゲージドアアンテナ42が一アンテナ及び他アンテナを構成する。
【0068】
交互送信動作部19は、スマート通信時、運転席アンテナ11と助手席アンテナ13とラッゲージドアアンテナ42とから順にリクエスト信号Srqを送信する。このとき、磁界強度算出部20は、運転席側磁界強度Hd及び助手席側磁界強度Hpの他に、ラッゲージドア41からのリクエスト信号Srqを受信した際の磁界強度(ラッゲージドア側磁界強度Hr)も算出する。そして、磁界強度通知部21は、それぞれのアンテナ11,13,42ごとのスマート通信の折り返しで、運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpとラッゲージドア側磁界強度Hrとを車両1に通知する。なお、ラッゲージドア側磁界強度Hrが第1受信強度及び第2受信強度を構成する。
【0069】
磁界強度取得部22は、各アンテナ11,13,42のスマート通信で、それぞれ運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpとラッゲージドア側磁界強度Hrとを取得する。そして、係数乗算部23は、運転席側磁界強度Hdに係数αを乗算し、助手席側磁界強度Hpに係数βを乗算し、ラッゲージドア側磁界強度Hrに係数γを乗算する。そして、係数乗算部23は、係数乗算を経た3つの磁界強度Hd,Hp,Hrを位置判定部24に出力する。
【0070】
位置判定部24は、係数乗算を経た3つの磁界強度Hd,Hp,Hrにおいて、2つずつをそれぞれ組みとして、組みごとに磁界強度差を算出し、キー位置を判定する。即ち、位置判定部24は、運転席側磁界強度Hd及び助手席側磁界強度Hpの磁界強度差Hdpと、運転席側磁界強度Hd及びラッゲージドア側磁界強度Hrの磁界強度差Hdrと、助手席側磁界強度Hp及びラッゲージドア側磁界強度Hrの磁界強度差Hprとを算出し、これら磁界強度差Hdp,Hdr,Hprをそれぞれの判定閾値と比較することにより、キー位置を判定する。
【0071】
このとき、位置判定部24は、磁界強度差Hdrの閾値判定により、一対の判定エリアEr1,Er2のうち電子キー2が判定エリアEr2に位置すること、又は磁界強度差Hprの閾値判定により、一対の判定エリアEr3,Er4のうち電子キー2が判定エリアEr4に位置することの何れかを確認すると、電子キー2がラッゲージドア側車外に位置すると判定する。よって、照合ECU9は、この状況下でラッゲージドア開ボタン(図示略)が操作されたことを検出すると、ラッゲージドアの電気錠を解錠して、ラッゲージドアを開状態にする。
【0072】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(5)運転席アンテナ11、助手席アンテナ13、ラッゲージドアアンテナ42を車両1に搭載し、運転席アンテナ11及び助手席アンテナ13を組みとし、運転席アンテナ11とラッゲージドアアンテナ42とを組みとし、助手席アンテナ13とラッゲージドアアンテナ42とを組みとする。そして、アンテナ11,13の組みから電子キー2が運転席及び助手席のどちら側に位置するのか、アンテナ11,42の組みから電子キー2が運転席及びラッゲージのどちら側に位置するのか、アンテナ13,42の組みから電子キー2が助手席及びラッゲージのどちら側に位置するのかを確認可能とした。このため、電子キー2がラッゲージドア側車外に位置することも検出可能となるので、車外における電子キー2の位置を、より細分して検出することができる。
【0073】
(6)例えば電子キー2が運転席車外に位置する場合、運転席アンテナ11及び助手席アンテナ13を組みとした判定と、運転席アンテナ11とラッゲージドアアンテナ42とを組みとした判定との2判定で、電子キー2が運転席側に位置することが判定可能となる。よって、両方の判定で電子キー2が運転席側車外に位置していれば、それは確実に電子キー2が運転席側車外に位置していると見なせるので、電子キー2が運転席側車外に位置していることを、より正確に検出することができる。なお、これは、電子キー2が助手席車外、ラッゲージドア側車外、車内に位置しているときも同様に言えることである。
【0074】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図8及び図9に従って説明する。なお、本例は、本願発明の技術思想をタイヤ空気圧監視システム50に応用した実施例であって、本例も前記実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0075】
図8に示すように、車両1には、各タイヤ51に無線式のバルブ(タイヤセンサ)52を取り付けて各タイヤ51の空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム50が搭載されている。タイヤ空気圧監視システム50は、タイヤ空気圧が閾値よりも低いタイヤを検出すると、そのタイヤを例えば車内インストルメントパネル等で運転者に通知する。タイヤ51には、右前タイヤ51a、左前タイヤ51b、右後タイヤ51c、左後タイヤ51dがある。なお、タイヤ空気圧監視システム50が無線システムを構成する。
【0076】
各タイヤ51a〜51dには、タイヤ空気圧情報Stpを無線により送信可能なバルブ52が取り付けられている。本例のバルブ52には、LF電波を受信可能なLF受信機、UHF電波を送信可能なUHF送信機、タイヤ空気圧を検出する圧力センサ、タイヤ温度を検出する温度センサ、タイヤに加わる加速度を検出する加速度センサ、以上の部品を制御するマイクロコンピュータ等が搭載されている。また、各バルブ52のマイクロコンピュータには、前述したような磁界強度算出部20や磁界強度通知部21も設けられている。なお、バルブ52が通信端末及びタイヤ通信機を構成する。
【0077】
バルブ52は、車体のアンテナ(アンテナ11,13等)からトリガ信号Strを受信したとき、タイヤ空気圧情報StpをUHF電波により送信する。タイヤ空気圧情報Stpには、例えばバルブ固有の識別ID、タイヤ空気圧、タイヤ温度、タイヤに付与されている加速度等の情報が含まれている。また、トリガ信号Strは、LF電波であって、バルブ52に電波送信を要求する動作実行要求が含まれている。トリガ信号Strは、車両走行中において車体のアンテナ(アンテナ11,13等)が電子キー2と通信を実行しない所定タイミングで送信される。
【0078】
車両1の車体後部には、車両後部一帯においてLF電波の通信エリアを形成可能なリヤアンテナ53が設けられている。リヤアンテナ53は、車両後部一帯にトリガ信号Strの通信エリアを形成可能である。また、リヤアンテナ53は、もちろんスマート通信も実行可能である。
【0079】
次に、本例のタイヤ空気圧監視システム50の動作を説明する。
照合ECU9は、例えば運転席アンテナ11、助手席アンテナ13、そしてリヤアンテナ53から、それぞれ異なるタイミングでトリガ信号Strを送信する。まず、運転席アンテナ11がトリガ信号Strを送信したとき、運転席アンテナ11に最も近い右前タイヤ51aのバルブ52aは確実にトリガ信号Strを受信する。よって、バルブ52aは、このトリガ信号Strに応答してタイヤ空気圧情報Stpを車両チューナ14に送信する。また、バルブ52aは、トリガ信号Strを受信したときの磁界強度Hdを算出し、これをタイヤ空気圧情報Stpに含めて送信する。つまり、バルブ52aのタイヤ空気圧情報Stpには、現状のタイヤ空気圧の他に、磁界強度Hdや、バルブ52aの固有IDとして識別ID1が含まれている。
【0080】
なお、他タイヤ51b〜51dのバルブ52b〜52dは、運転席アンテナ11から遠いので、基本的には運転席アンテナ11のトリガ信号Strを受信できない。但し、仮にトリガ信号Strを受信できても、極めて値の低い磁界強度Hdを車両1に通知する。
【0081】
続いて、助手席アンテナ13がトリガ信号Strを送信したとき、助手席アンテナ13に最も近い左前タイヤ51bのバルブ52bは確実にトリガ信号Strを受信する。よって、バルブ52bは、このトリガ信号Strを受信したとき、磁界強度Hpを算出し、この磁界強度Hpを含むタイヤ空気圧情報Stpを車両チューナ14に送信する。つまり、バルブ52bのタイヤ空気圧情報Stpには、現状のタイヤ空気圧の他に、磁界強度Hpや、バルブ52bの固有IDとして識別ID2が含まれている。
【0082】
なお、他タイヤ51a、51c,51dのバルブ52a、52c,52dは、助手席アンテナ13から遠いので、基本的には助手席アンテナ13のトリガ信号Strを受信できない。但し、仮にトリガ信号Strを受信できても、極めて低い値の磁界強度Hpを車両1に通知する。
【0083】
続いて、リヤアンテナ53がトリガ信号Strを送信したとき、リヤアンテナ53に近い後側のタイヤ51c,51dのバルブ52c,52dは確実にトリガ信号Strを受信する。よって、バルブ52c,52dは、このトリガ信号Strを受信したとき、磁界強度Hsを算出し、この磁界強度Hsを含むタイヤ空気圧情報Stpを車両チューナ14に送信する。本例の場合、バルブ52cからのタイヤ空気圧情報Stpには、現状のタイヤ空気圧の他に、磁界強度Hsや、バルブ52cの固有IDとして識別ID3が含まれている。また、バルブ52dのタイヤ空気圧情報Stpには、現状のタイヤ空気圧の他に、磁界強度Hsや、バルブ52dの固有IDとして識別ID4が含まれている。
【0084】
なお、他タイヤ51a,51bのバルブ52a,52bは、リヤアンテナ53から遠いので、基本的にはリヤアンテナ53のトリガ信号Strを受信できない。但し、仮にトリガ信号Strを受信できても、極めて低いイ値の磁界強度Hsを車両1に通知する。
【0085】
照合ECU9は、車両チューナ14でタイヤ空気圧情報Stpを受信すると、タイヤ位置を特定する。このとき、位置判定部24は、それぞれの識別ID1〜ID4において、係数αを乗算した磁界強度Hdと、係数γを乗算した磁界強度Hsとの磁界強度差Hdsを算出し、Hds>Hk1が成立するバルブ52がどれなのかを確認する(図9参照)。なお、Hk1は、タイヤが車体前部側にあるのか否かを見るための閾値である。ここで、Hds>Hk1が成立すれば、その識別IDのバルブ52は、図8に示す判定エリアEr1に位置していると見なせる。よって、本例では、識別ID1がこの条件を満たすため、バルブ52aが右前タイヤ51aに取り付いていると判定される。
【0086】
また、位置判定部24は、左後タイヤ51dがどれなのかを確認するために、Hds<Hk2が成立するバルブ52がどれなのかを確認する。なお、Hk2は、タイヤが車体後部側にあるのか否かを見るための閾値である。ここで、Hds<Hk2が成立すれば、その識別IDのバルブ52は、図8に示す判定エリアEr2に位置していると見なせる。よって、本例では、識別ID4がこの条件を満たすため、バルブ52dが左後タイヤ51dに取り付いていると判定される。
【0087】
さらに、位置判定部24は、左前タイヤ51bがどれなのかを確認するために、係数βを乗算した磁界強度Hpと、係数γを乗算した磁界強度Hsとの磁界強度差Hpsを算出し、Hps>Hk1が成立するバルブ52がどれなのかを確認する。ここで、Hps>Hk1が成立すれば、その識別IDのバルブ52は、図8に示す判定エリアEr3に位置していると見なせる。よって、本例では、識別ID3がこの条件を満たすため、バルブ52bが左前タイヤ51bに取り付いていると判定される。
【0088】
また、位置判定部24は、右後タイヤ51cがどれなのかを確認するために、Hps<Hk2が成立するバルブ52がどれなのかを確認する。ここで、Hps<Hk2が成立すれば、その識別IDのバルブ52は、図8に示す判定エリアEr4に位置していると見なせる。よって、本例では、識別ID3がこの条件を満たすため、バルブ52cが右後タイヤ51cに取り付いていると判定される。
【0089】
なお、スペアタイヤ(図示略)の位置特定は、例えばリヤアンテナ53の単独送信においてその送信強度を抑えたり、後輪タイヤ(右後タイヤ51cや左後タイヤ51d)とスペアタイヤとが受信する電波の磁界強度差を確認したりすることにより特定可能である。また、磁界強度差Hdsの比較結果と、磁界強度差Hpsの比較結果とのANDをとることによって特定することも可能である。
【0090】
本実施形態の構成によれば、前記実施形態に記載の(1)〜(6)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(7)各タイヤハウスにイニシエータを配置しなくてもタイヤ51a〜51dの位置を特定することが可能となるので、タイヤ空気圧監視システム50に必要な部品点数を少なく抑えることができる。また、タイヤ特定も精度よく行うことができる。
【0091】
(8)キー操作フリーシステム3における車体側の通信インフラ(主に照合ECU9、アンテナ11,13、車両チューナ14等)をタイヤ空気圧監視システム50にも共用するので、車両1に搭載される部品点数を削減することができる。
【0092】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第1及び第2実施形態において、係数は、運転席側磁界強度Hdと助手席側磁界強度Hpとの両方に乗算することに限定されず、磁界強度Hd,Hpの一方のみに乗算されるものでもよい。なお、これは第3実施形態の場合でも同様に言える。
【0093】
・第1〜第3実施形態において、係数α,β,γの値は、車両1の種類に応じて適宜変更可能としてもよい。
・第1〜第3実施形態において、係数α,βは、互いに異なる値をとることに限定されず、同じ値であってもよい。
【0094】
・第1〜第3実施形態において、電子キー2の車外位置は、運転席側及び助手席側のどちらにあるのかを細分して見ることに限らず、例えば車内外判定のみとしてもよい。
・第1及び第2実施形態において、アンテナは、運転席アンテナ11と助手席アンテナ13とラッゲージドアアンテナ42の3つに限定されない。例えば、通信エリアのヌル点を埋める他のアンテナ設けて、車両アンテナを4本以上としてもよい。なお、これは第3実施形態にも応用可能である。
【0095】
・第1〜第3実施形態において、キー位置判定は、車内外又は車外位置を見ることに限定されない。即ち、電子キー2の位置を見るものであれば、位置判定の対象位置は特に限定しないものとする。
【0096】
・第1〜第3実施形態において、キー位置判定は、車内外及び車外位置の両方を見ることに限らず、どちらか一方でもよい。
・第1〜第3実施形態において、ウェイク信号26は、運転者の所定操作をトリガとして送信が開始されることに限定されない。例えば、車両1が駐車状態の際、車両1に近づく電子キー2を常に監視するために、常時送信としてもよい。
【0097】
・第1〜第3実施形態において、磁界強度Hd,Hpは、3軸のベクトル合成値を使用して算出されることに限らず、例えば3軸の中の最大値を使用してもよい。
・第1〜第3実施形態において、電子キー2やバルブ52の受信アンテナは、3軸アンテナに限定されず、例えば1軸アンテナでもよい。
【0098】
・第1及び第2実施形態において、磁界強度Hxの算出は、ウェイク信号26a,26bで行うことに限らず、例えばビークルID28,33やチャレンジ30,35により算出してもよい。また、第3実施形態においては、トリガ信号Strで磁界強度を求めることに限らず、他の信号でもよい。
【0099】
・第1及び第2実施形態において、キー位置判定は、電子キー2から磁界強度Hxのデータを車両1が受け付けて、車両1側で行う形式に限定されない。例えば、キー位置判定までを全て電子キー2側で行い、その判定結果を車両1に通知する形式でもよい。なお、これは第3実施形態でも応用可能である。
【0100】
・第1〜第3実施形態において、受信強度は、受信電波の磁界強度Hxに限定されず、電界強度としてもよい。
・第1〜第3実施形態において、スマート照合は、運転席アンテナ11及び助手席アンテナ13の両方で成立を条件とすることに限らず、どちらか一方のみとしてもよい。
【0101】
・第1〜第3実施形態において、リクエスト信号Srqは、ID返信要求に限らず、電子キー2に応答を求める信号であればよい。
・第1〜第3実施形態において、電子キー2は、車両キーに限定されず、種々の端末(携帯電話、ICカード等)が使用可能である。また、電子キー2は、必ずしもキー機能を持つものに限らず、広義として認証行為が必要な通信端末(認証端末)を広く含むものとする。
【0102】
・第1〜第3実施形態において、キー操作フリーシステム3は、相互通信の往路と復路とで周波数が異なることに限定されず、同じ周波数としてもよい。また、キー操作フリーシステム3の通信周波数は、LFやUHFに限らず、例えばHF(High Frequency)等の他の周波数を使用してもよい。
【0103】
・第1〜第3実施形態において、無線システムや問い合せは、実施形態に述べた例に限定されず、本願思想の適用先に応じて適宜変更可能である。
・第1〜第3実施形態において、スマート通信の過程で車両1から電子キー2の電力電波を送信し、この電力電波により電子キー2を駆動させることで、電子キー2を電池レスとしてもよい。
【0104】
・第1〜第3実施形態において、電子キーシステムは、キー操作フリーシステム3に限定されず、車両1と電子キー2とが相互無線通信によりID照合を行うものであればよい。
【0105】
・各実施形態に記載の各種閾値、設定値、パラメータ、判定値等は、適宜変更可能である。
・第3実施形態において、車両チューナ14は、タイヤ位置特定に際して同じバルブ52から何度も同様の信号を得ることになるが、タイヤ空気圧の判定は、その中の特定の1つを採用すればよいし、平均値をとってもよい。
【0106】
・第3実施形態において、タイヤ空気圧監視システム50のコントロールユニットは、照合ECU9が兼ねることに限定されず、専用のECUを設けてもよい。
・第1〜第3実施形態において、キー操作フリーシステム3及びタイヤ空気圧監視システム50は、車体側の通信インフラが共用されることに限定されず、各システムで機能が独立していてもよい。また、本例の技術思想は、車両1に搭載されることに限らず、他の機器や装置に採用可能である。
【0107】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記位置判定手段は、係数乗算後の前記強度差とその判定閾値とを比較することにより、前記通信端末の位置を判定する。この構成によれば、係数乗算後の強度差と判定閾値とを比較するという簡素な処理によって、電子キーの位置を判定することが可能となる。
【0108】
(ロ)請求項1〜5、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記位置判定手段は、第1受信強度及び前記第2受信強度の両方前記係数を乗算し、係数乗算を経た後の前記第1受信強度及び前記第2受信強度により前記強度差を算出する。
【0109】
(ハ)請求項1〜5、前記技術的思想(イ),(ロ)のいずれかにおいて、前記位置判定手段は、前記通信端末が前記通信マスタの室外及び室内のどちらに位置するのかを判定する。この構成によれば、通信端末が通信マスタの室内及び室外のどちらに位置するのかを、より正確に判定することが可能となる。
【0110】
(二)請求項1〜5、前記技術的思想(イ)〜(ハ)のいずれかにおいて、前記位置判定手段は、2つの前記受信強度の前記強度差を、正負を持つ値で算出し、当該強度差を基に前記通信端末の位置を判定する。この構成によれば、通信端末が一アンテナ及び他アンテナのどちら側に位置するのかまで見ることが可能となるので、より精度よく通信端末の位置を判定することが可能となる。
【符号の説明】
【0111】
1…車両、2…通信端末を構成する電子キー、3…無線システム及び電子キーシステムを構成するキー操作フリーシステム、9…通信マスタとしての照合ECU、11…一アンテナ及び他アンテナを構成する運転席アンテナ、13…一アンテナ及び他アンテナを構成する助手席アンテナ、18…位置判定装置、20…受信強度算出手段を構成する磁界強度算出部、21…受信強度算出手段を構成する磁界強度通知部、22…受信強度算出手段を構成する磁界強度取得部、23…位置判定手段を構成する係数乗算部、24…位置判定手段を構成する位置判定部、42…一アンテナ及び他アンテナを構成するラッゲージドアアンテナ、50…無線システムを構成するタイヤ空気圧監視システム、51(51a〜51d)…タイヤ、52…通信端末及びタイヤ通信機を構成するバルブ、53…一アンテナ及び他アンテナを構成するリヤアンテナ、Hd…第1受信強度及び第2受信強度を構成する運転席側磁界強度、Hp…第1受信強度及び第2受信強度を構成する助手席側磁界強度、Hr…第1受信強度及び第2受信強度を構成するラッゲージドア側磁界強度、Hdp,Hdr,Hpr…強度差としての磁界強度差、α,β,γ…係数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信マスタからの問い合せに通信端末が応答して、これらが双方向通信する無線システムに使用される通信端末位置判定装置において、
前記通信マスタの一アンテナ及び他アンテナから交互に電波が送信された際、前記一アンテナからの電波を前記通信端末が受信した際の第1受信強度と、前記他アンテナからの電波を前記通信端末が受信した際の第2受信強度とを算出する受信強度算出手段と、
2つの前記受信強度の少なくとも一方に、位置誤判定をキャンセルできる係数を乗算し、該乗算の後、2つの当該受信強度の差を算出し、この強度差を基に前記通信端末の位置を判定する位置判定手段と
を備えたことを特徴とする通信端末位置判定装置。
【請求項2】
前記通信マスタのアンテナは、少なくとも3つ以上設けられ、前記位置判定手段は、少なくとも3つ以上設けた前記アンテナにおいて、各々の2つずつを組みとして該組み同士の前記強度差を算出し、当該強度差から前記通信端末の位置を細分して判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末位置判定装置。
【請求項3】
前記通信端末は、電子キーであり、
前記無線システムは、前記通信マスタが前記電子キーとID照合する電子キーシステムであり、
前記位置判定手段は、前記電子キーの位置を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信端末位置判定装置。
【請求項4】
前記通信端末は、車両の各タイヤに取り付けられたタイヤ通信機であり、
前記無線システムは、前記タイヤ通信機からタイヤ空気圧を無線により取得するタイヤ空気圧監視システムであり、
前記位置判定手段は、前記タイヤ通信機の位置を判定することにより、タイヤの位置を特定する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の通信端末位置判定装置。
【請求項5】
前記通信端末としての電子キーとID照合する前記無線システムとしての電子キーシステムと、前記通信端末としてのタイヤ通信機から無線によりタイヤ空気圧を取得する前記無線システムとしてのタイヤ空気圧監視システムとは、1つの前記通信マスタを共用する
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の通信端末位置判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−144624(P2011−144624A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214427(P2010−214427)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】