説明

通信端末装置

【課題】 接続先との通信可能な通信チャネルを、探索の開始から一定時間を経過しても探索できないとき、無線LANモジュールの電力消費を大幅に低減させるようにした通信端末装置を提供する。
【解決手段】 複数の通信チャネルの中の接続可能な1つの通信チャネルをチャネルスキャンによって探索し、探索した通信チャネルとの間で無線LANを通して無線通信を行う無線LANモジュールを備えたものであって、無線LANモジュールは、チャネルスキャンによって通信可能な通信チャネルを探索する際に、通信可能な通信チャネルの探索を開始してから一定時間を経過しても、通信可能な通信チャネルを探索できない場合、通信チャネルの探索を停止し、無線LANモジュールの動作モードを省電力動作モードに移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANモジュールを備えた通信端末装置に係り、特に、通信可能な通信チャネルの探索を開始してから予め決められた時間を経過しても当該通信チャネルを探索できなかった場合、無線LANモジュールの動作モードを省電力動作モードに移行させるようにした通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線LANモジュールを備えた通信端末装置としては、パソコンに無線LANモジュールを装着した構成のものが知られており、特に、携帯に適したものとして携帯用ノートパソコンに無線LANモジュールを装着した構成のものも知られている。このような構成を有する通信端末装置は、通信時に、携帯用ノートパソコンの制御によって無線LANモジュールが接続先との通信可能な通信チャネルをチャネルスキャンによって探索し、その探索の結果、接続先との通信可能な通信チャネルが探索できたときは、探索した通信チャネルを用いて接続先との通信が行われ、一方、その探索の結果、接続先との通信可能な通信チャネルが探索できなかったときは、接続先との通信可能な通信チャネルの探索を繰り返し実行し、接続先との通信可能な通信チャネルが探索されるまでその探索動作が続行される。
【0003】
この場合、携帯用ノートパソコンは、その駆動電源に内蔵電池を使用していることが多いため、接続先との通信可能な通信チャネルの探索を長い時間にわたって行っていると、その通信チャネルの探索の実行期間中に、内蔵電池が順次消耗して行くことになる。そして、比較的長い時間を経過した後で、無線LANモジュールが接続先との通信可能な通信チャネルを探索できたとしても、比較的長い時間にわたる探索を行ったことにより、内蔵電池の電力が大幅に消費され、接続先との通信可能時間に影響を与えるようになり、内蔵電池の充電または交換を行わないと、接続先との通信を充分にできないという事態を生じることになる。
【特許文献1】採用する特許文献なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、接続先との通信可能な通信チャネルを、探索の開始から予め決められた時間を経過しても探索できなかったとき、無線LANモジュールの電力消費を大幅に低減させるようにした通信端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明による通信端末装置は、複数の通信チャネルの中から接続可能な1つの通信チャネルをチャネルスキャンによって探索し、探索した通信チャネルとの間で無線LANを通して無線通信が行われる無線LANモジュールを備えた通信端末装置であって、無線LANモジュールは、チャネルスキャンによって通信可能な通信チャネルを探索する際に、通信可能な通信チャネルの探索を開始してから予め決められた時間が経過しても、通信可能な通信チャネルを探索できなかった場合、当該通信チャネルの探索を停止し、無線LANモジュールの動作モードを通常動作モードから省電力動作モードに移行させる手段を具備する。
【0006】
前記手段において、無線LANモジュールにおける省電力動作モードは、その高周波ユニット部の電源供給を停止させるモードである第1の構成手段を具備する。
【0007】
また、前記手段において、無線LANモジュールにおける省電力動作モードは、その高周波ユニット部を含む各種のユニット部の電源供給を停止させるモードである第2の構成手段を具備する。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明による通信端末装置によれば、無線LANモジュールがチャネルスキャンによって通信可能な通信チャネルを探索する際に、通信可能な通信チャネルの探索を開始してから予め決められた時間が経過しても、通信可能な通信チャネルを探索できなかった場合、当該通信チャネルの探索を停止し、その動作モードを通常動作モードから省電力動作モードに移行させるようにしたので、通信チャネルの探索に伴う電力消費を必要最小限に抑えることができ、駆動電源が内蔵電池であったとしても、その内蔵電池の消耗を大幅に低減させ、内蔵電池の使用寿命を長くできるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明による通信端末装置の実施の形態に係わるもので、その要部を示す構成図である。
【0011】
図1に示されるように、この実施の形態による通信端末装置は、携帯用ノートパソコン本体部(ノートPC)とそのカードスロット等に装着された無線LANモジュールとからなっている。この場合、携帯用ノートパソコン本体部は、制御部(CPU)1と、ROM2と、RAM3と、ハードディスクドライブ(HDD)4と、CD−ROMドライブ(CD−ROM)5と、キー操作部(KB)6と、画像形成部(Graphic)7と、液晶表示部(LCD)8と、内部インターフェイス(I/F)9と、バスライン10とを備えている。また、無線LANモジュールは、ベースバンド処理部(MAC/BB)11と、高周波送受信部(RF)12と、低雑音増幅器(LNA)13と、アンテナスイッチ(ANT−SW)14と、メモリ(EEPROM)15と、第1アンテナ(ANT1)16と、第2アンテナ(ANT2)17とを備えている。なお、携帯用ノートパソコン本体部と無線LANモジュールとの接続は、無線LANモジュールのベースバンド処理部11を携帯用ノートパソコン本体部の内部インターフェイス9に結合することによって行われる。
【0012】
そして、携帯用ノートパソコン本体部において、制御部1、ROM2、RAM3、ハードディスクドライブ4、CD−ROMドライブ5、キー操作部6、画像形成部7、内部インターフェイス9のそれぞれがバスライン10を介して相互接続されており、液晶表示部8が画像形成部7に直接結合されている。また、無線LANモジュールにおいて、ベースバンド処理部11は、メモリ15に結合され、高周波送受信部12のベースバンド信号入出力端に接続される。高周波送受信部12は、高周波信号出力端が送信用第1アンテナ16に接続され、高周波信号入力端が低雑音増幅器13の信号出力端に接続される。低雑音増幅器13は、信号入力端が受信用第2アンテナ17に接続される。
【0013】
次に、図2は、図1に図示された通信端末装置で実行される通信可能な通信チャネルを探索するときの動作経緯を示すフローチャートである。
【0014】
ここで、図2に図示されたフローチャートを参照し、図1に図示された通信端末装置で実行される通信可能な通信チャネルを探索する時の動作経緯について説明する。
【0015】
始めに、ステップS1において、携帯用ノートパソコン本体部の制御部1は、無線LANモジュールに電源が供給され、そのモジュール用のドライバ及びユーテリティが起動し、制御を開始するか、ユーザーから接続先との通信可能な通信チャネルの探索する旨の指示を受けると、無線LANモジュールを、通信チャネルのチャネルスキャンによる探索するのに適した状態に初期設定する。
【0016】
次に、ステップS2において、制御部1は、無線LANモジュールで通信チャネルのチャネルスキャンを行うのに先だっで内蔵されたタイマー(図1に図示なし)を一定時間に設定し、タイマーのカウント動作を開始させる。
【0017】
次いで、ステップS3において、制御部1は、無線LANモジュールに、接続先との通信可能な通信チャネルのチャネルスキャンを実行させる。
【0018】
続いて、ステップS4において、制御部1は、無線LANモジュールに接続先との通信可能な通信チャネルのチャネルスキャンを実行させた際に、接続先が探索できたか否かを判断する。そして、接続先が未だ探索できないと判断した(N)ときは次のステップS5に移行し、一方、接続先を既に探索できたと判断した(Y)ときは他のステップS8に移行する。
【0019】
続く、ステップS5において、制御部1は、タイマーのカウント動作により、そのカウント値が設定した一定時間に達したか否かを判断する。そして、カウント値が設定した一定時間に未だ達していないと判断した(N)ときは次のステップS6に移行し、一方、カウント値が設定した一定時間に既に達していると判断した(Y)ときは他のステップS9に移行する。この場合、ここで設定される一定時間は、通信対象となる無線LANの状態や携帯用ノートパソコン本体部の構成等に依存するものであって、一義的に決まるものではないが、一般的に見て、一定時間の好ましい範囲としては、例えば10秒乃至30秒に選ぶことができる。
【0020】
次いで、ステップS6において、制御部1は、接続先との通信可能な次の通信チャネルが存在するか否かを判断する。そして、次の通信チャネルが存在しないと判断した(N)ときは次のステップS7に移行し、一方、次の通信チャネルが存在すると判断した(Y)ときは前のステップS3に戻り、再びステップS3以降の動作を実行する。
【0021】
続いて、ステップS7において、制御部1は、無線LANモジュールに対して接続先との通信可能な通信チャネルのチャネルスキャンを実行させる際のパラメータを再設定する。そして、この再設定が行われると、前のステップS3に戻り、再びステップS3以降の動作を実行する。
【0022】
また、ステップS8において、制御部1は、無線LANモジュールで接続先との通信可能な通信チャネルのチャネルスキャンを実行した際に、接続先の通信チャネルを探索できたので、その通信チャネルを用いて接続先との接続処理を行い、当該通信チャネルを接続先と接続する。
【0023】
さらに、ステップS9において、制御部1は、通信可能な通信チャネルのチャネルスキャンを開始してから一定時間が経過しても、接続先と通信可能な通信チャネルを探索できなかったので、無線LANモジュールの高周波送受信部12の電源供給を停止させ、無線LANモジュールを省電力動作モードに移行させる。この省電力動作モードへの移行時には、無線LANモジュールの高周波送受信部12の電源供給を停止させる代わりに、無線LANモジュール全体の電源供給を停止させるようにしてもよい。
【0024】
このように、この実施の形態による通信端末装置によれば、通信可能な通信チャネルのチャネルスキャンを開始してから一定時間が経過する以前に、接続先と通信可能な通信チャネルを探索できた場合には、その通信チャネルを接続先と接続するようにし、一方、通信可能な通信チャネルのチャネルスキャンを開始してから一定時間が経過しても、接続先と通信可能な通信チャネルを探索できなかった場合には、通信可能な通信チャネルのチャネルスキャンを停止させるとともに、無線LANモジュールを省電力動作モードに移行させるようにしたので、通信端末装置の電源、特に内蔵電源の電力消費を最小限に抑えることができ、内蔵電池の使用寿命を長くして、接続先との通信が充分にできなくなるという事態の発生を未然に防ぐことができる。
【0025】
なお、前記実施の形態による通信端末装置においては、無線LANモジュールを装着する機器として携帯用ノートパソコンを用いた例を挙げて説明したが、本発明に使用される当該機器は携帯用ノートパソコンである場合に限られるものではなく、据置き型のノートパソコンであってもよく、ディスクトップタイプのパソコンであってもよく、ノートパソコンに類似した他の機器であってもよい。
【0026】
ところで、図1に図示された通信端末装置の動作説明については、主として、通信端末装置で実行される通信可能な通信チャネルを探索する時の動作経緯について説明したが、通信可能な通信チャネルを探索する時の動作以外の動作は、よく知られたこの種の通信端末装置で行われる動作と殆ど同じ動作になるので、ここでは通信可能な通信チャネルを探索する時の動作以外の動作についての説明は省略している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による通信端末装置の実施の形態に係わるもので、その要部を示す構成図である。
【図2】図1に図示された通信端末装置で実行される通信可能な通信チャネルを探索するときの動作経緯を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 制御部(CPU)
2 ROM
3 RAM
4 ハードディスクドライブ(HDD)
5 CD−ROMドライブ(CD−ROM)
6 キー操作部(KB)
7 画像形成部(Graphic)
8 液晶表示部(LCD)
9 内部インターフェイス(I/F)
10 バスライン
11 ベースバンド処理部(MAC/BB)
12 高周波送受信部(RF)
13 低雑音増幅器(LNA)
14 アンテナスイッチ(ANT−SW)
15 メモリ(EEPROM)
16 第1アンテナ(ANT1)
17 第2アンテナ(ANT2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信チャネルの中から接続可能な1つの通信チャネルをチャネルスキャンによって探索し、探索した通信チャネルとの間で無線LANを通して無線通信が行われる無線LANモジュールを備えた通信端末装置であって、前記無線LANモジュールは、チャネルスキャンによって通信可能な通信チャネルを探索する際に、通信可能な通信チャネルの探索を開始してから予め決められた時間が経過しても、通信可能な通信チャネルを探索できなかった場合、当該通信チャネルの探索を停止し、無線LANモジュールの動作モードを通常動作モードから省電力動作モードに移行させることを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記省電力動作モードは、無線LANモジュールにおける高周波ユニット部の電源供給を停止する動作モードであることを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記省電力動作モードは、無線LANモジュールにおける高周波ユニット部を含む各種のユニット部の電源供給を停止する動作モードであることを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−5774(P2006−5774A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181594(P2004−181594)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】