説明

通信端末装置

【課題】 IPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有する通信端末装置であって、IPネットワーク上の特定のサーバにアクセスするときには、前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスがIPネットワークとの通信に用いられるようにすることができる通信端末装置を提供する。
【解決手段】無線LAN送受信部15と無線公衆送受信部16の2つのインターフェイスを有し、ゲームサーバ2にアクセスして動作するゲームAを実行可能な無線LAN電話装置1において、IPネットワークにアクセスする際の通信経路を示すルーティングテーブルを記憶するメモリ14と、ゲームAを実行するための制御を行うとともに、ゲームAの実行にともなうゲームサーバ2へのアクセスを行うときには無線公衆送受信部16が前記IPネットワークとの通信に用いられるように前記ルーティングテーブルを編集する制御回路11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワークと通信可能な通信端末装置に関するものであり、特に、IPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有するとともに、IPネットワーク上のサーバにアクセスして動作するアプリケーションを実行可能な通信端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報ネットワーク技術の飛躍的な進歩にともなって、インターネットやイントラネットのようなIPネットワークと通信可能な、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話装置、パーソナルコンピュータ、これらの周辺機器、または、デジタル音響機器等の情報通信装置や情報家電装置というような通信端末装置を用いて、IPネットワーク上のサーバ等にアクセスし各種サービスの提供を受けるということが多くなってきている。
【0003】
例えば、インターネット上で囲碁や将棋等の対戦ゲームやロールプレイングゲーム等を行うことが可能なオンラインゲームサービスがある。このオンラインゲームサービスは、インターネット上の所定のゲームサーバにログインしているユーザが、自分のパーソナルコンピュータや携帯電話装置上で、同じゲームサーバにログインしている他のユーザを相手として対戦ゲームやロールプレイングゲーム等を楽しむことができるものである。
【0004】
また、例えば、リアルタイムに変化する株価情報をインターネット上の所定のサーバからインターネットを介して定期的にダウンロードし、自分のパーソナルコンピュータやPDA上で株価の推移をグラフにして見られるようにした株取引等に関するサービスもある。
【0005】
このようなサービスの提供を受ける場合、ユーザは、自分の使用する通信端末装置にそのサービスを受けるために必要なオンラインゲーム等のアプリケーションをインストールする必要がある。そして、インストールされたアプリケーションを起動すると、通信端末装置はそのアプリケーションの内容に基づいてIPネットワーク上の所定のサーバ等にアクセスして必要な情報をやり取りすることにより、ユーザにサービスを提供する。
【0006】
また、このような、IPネットワークと通信可能な通信端末装置において、最近、2.4GHz帯を使用するIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers;電気電子学会)802.11bに準拠した無線LANが広く普及してきたことにも関係して、IPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有する通信端末装置が多くなってきている。
【0007】
例えば、携帯電話回線(無線公衆網)を介してIPネットワークと通信する携帯電話(無線公衆)インターフェイスと無線LANアクセスポイントと無線通信を行う無線LANインターフェイスの2つのインターフェイスを有する無線LAN電話装置がある。この無線LAN電話装置は、例えば、携帯電話回線を通じてIPネットワークに接続されたゲームサーバにアクセスすることができるとともに、無線LANを用いてIPネットワークに接続された無線LANアクセスポイントを介して前記ゲームサーバにアクセスすることもできる。即ち、いずれの通信経路で通信を行っても、前記ゲームサーバによるオンラインゲームサービスの提供を受けることができる。
【0008】
また、携帯端末装置、携帯電話装置、パーソナルコンピュータ、デジタル音響機器等のデバイス間の無線接続を認証する通信認証装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003―179609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、IPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有する従来の通信端末装置を使用してIPネットワーク上のサーバ等にアクセスする場合、前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスを用いてIPネットワークと通信を行うようにしなければ問題が生じる場合がある。
【0010】
例えば、上述した従来の無線LAN電話装置で携帯電話会社が運営するオンラインゲームサービスの提供を受ける場合を考える。この携帯電話会社は、この携帯電話会社と電話契約しているユーザが、そのユーザが使用する携帯端末から携帯電話回線を介してIPネットワーク上に接続されたゲームサーバにアクセスすることを期待してこのオンラインゲームサービスを無料で提供しているとする。オンラインゲームサービスを無料で提供しても、携帯電話回線の回線使用料という収入が見込めるからである。ところが、前記無線LAN電話装置は、無線LANアクセスポイントを介して無線LANで前記ゲームサーバにアクセスすることもできるので、ユーザは携帯電話回線を使用せずに前記ゲームサーバによるオンラインゲームサービスの提供を受けることもできてしまう。従って、この場合、前記携帯電話会社には携帯電話回線の回線使用料が入らず、この携帯電話会社は期待した収入を得ることができないという問題が生じる。
【0011】
そこで、このような場合、前記携帯電話会社としては、前記無線LAN電話装置が必ず携帯電話回線を通じて前記ゲームサーバにアクセスするようにできれば良いということになる。そのようにできれば、期待している携帯電話回線の回線使用料を得られることができるからである。
【0012】
また、特許文献1に記載の従来技術は、デバイス間の通信を可/不可とすることはできるが、デバイス間の通信経路を選択できるものではない。即ち、上述のような問題の解決に適用できるものではない。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑み、IPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有する通信端末装置であって、IPネットワーク上の特定のサーバにアクセスするときには、前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスがIPネットワークとの通信に用いられるようにすることができる通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、IPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有し、前記IPネットワーク上のサーバにアクセスして動作するアプリケーションを実行可能な通信端末装置であって、前記IPネットワークにアクセスする際の通信経路を示す経路情報を記憶する記憶手段と、前記アプリケーションを実行するための制御を行うとともに、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスを行うときには前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスが前記IPネットワークとの通信に用いられるように前記経路情報を編集する制御手段とを備える通信端末装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、前記通信端末装置は、前記IPネットワークにアクセスするときには前記記憶手段に記憶されている経路情報に基づく通信経路で通信を行う。その経路情報は、前記制御手段により、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスを行うときには前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスが前記IPネットワークとの通信に用いられるように編集されている。従って、前記通信端末装置は、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスを行うときには前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスを前記IPネットワークとの通信に用いることになる。
【0016】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記経路情報はルーティングテーブルであり、前記制御手段は前記ルーティングテーブルに、宛先として前記サーバのIPアドレスと、前記IPアドレスへの通信に用いるインターフェイスとして前記特定の1つのインターフェイスを示すインターフェイス情報と、前記IPアドレス及び前記インターフェイス情報が有効となるアプリケーションを示す有効アプリケーションとして前記アプリケーションを示すアプリケーション情報とを書き込むようにしている。
【0017】
これによれば、前記通信端末装置は、前記IPネットワークにアクセスするときには前記記憶手段に記憶されているルーティングテーブルに基づく通信経路で通信を行う。そのルーティングテーブルには、前記制御手段により、宛先として前記サーバのIPアドレスと、前記IPアドレスへの通信に用いるインターフェイスとして前記特定の1つのインターフェイスを示すインターフェイス情報と、前記IPアドレス及び前記インターフェイス情報が有効となるアプリケーションを示す有効アプリケーションとして前記アプリケーションを示すアプリケーション情報とが書き込まれている。従って、前記通信端末装置は、前記ルーティングテーブルに書き込まれているアプリケーション情報が示す前記アプリケーションの実行にともなって宛先として書き込まれているIPアドレスへのアクセスを行うときには、インターフェイスとして書き込まれているインターフェイス情報が示す前記特定の1つのインターフェイスを前記IPネットワークとの通信に用いることになる。
【0018】
また、請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記制御手段は前記ルーティングテーブルに、前記IPアドレス、前記インターフェイス情報、前記アプリケーション情報のいずれか、または全てを編集するために該ルーティングテーブルにアクセスすることが可能なユーザまたはアプリケーションを示すアクセス制御情報とを書き込むようにしている。
【0019】
これによれば、前記ルーティングテーブルにアクセス制御情報が書き込まれていることにより、ウイルスやハッキングツール、または悪意を持ったユーザ等が前記ルーティングテーブルの内容を変更することができなくなる。
【0020】
また、請求項4の発明では、請求項1の発明において、前記経路情報はアドレス変換テーブルであり、前記制御手段は前記アドレス変換テーブルに、宛先として前記サーバのIPアドレスと、前記IPアドレスへの通信に用いるインターフェイスとして前記特定の1つのインターフェイスを示すインターフェイス情報と、前記IPアドレス及び前記インターフェイス情報が有効となるアプリケーションを示す有効アプリケーションとして前記アプリケーションを示すアプリケーション情報とを書き込むようにしている。
【0021】
これによれば、前記通信端末装置は、前記IPネットワークにアクセスするときには前記記憶手段に記憶されているアドレス変換テーブルに基づく通信経路で通信を行う。そのアドレス変換テーブルには、前記制御手段により、宛先として前記サーバのIPアドレスと、前記IPアドレスへの通信に用いるインターフェイスとして前記特定の1つのインターフェイスを示すインターフェイス情報と、前記IPアドレス及び前記インターフェイス情報が有効となるアプリケーションを示す有効アプリケーションとして前記アプリケーションを示すアプリケーション情報とが書き込まれている。従って、前記通信端末装置は、前記アドレス変換テーブルに書き込まれているアプリケーション情報が示す前記アプリケーションの実行にともなって宛先として書き込まれているIPアドレスへのアクセスを行うときには、インターフェイスとして書き込まれているインターフェイス情報が示す前記特定の1つのインターフェイスを前記IPネットワークとの通信に用いることになる。
【0022】
また、請求項5の発明では、請求項4の発明において、前記制御手段は前記アドレス変換テーブルに、前記IPアドレス、前記インターフェイス情報、前記アプリケーション情報のいずれか、または全てを編集するために該アドレス変換テーブルにアクセスすることが可能なユーザまたはアプリケーションを示すアクセス制御情報とを書き込むようにしている。
【0023】
これによれば、前記アドレス変換テーブルにアクセス制御情報が書き込まれていることにより、ウイルスやハッキングツール、または悪意を持ったユーザ等が前記アドレス変換テーブルの内容を変更することができなくなる。
【0024】
また、請求項6の発明では、請求項1〜請求項5の発明において、前記制御手段は、前記アプリケーションの起動時に前記経路情報を編集するようにしている。
【0025】
これによれば、前記経路情報は、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスが行われる前に編集されるので、前記通信端末装置は、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスを行うときには前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスを前記IPネットワークとの通信に用いることになる。
【0026】
また、請求項7の発明は、請求項1〜請求項6の発明において、前記特定の1つのインターフェイスが無線公衆網を介して通信を行うための無線公衆インターフェイスであることを特徴とするものである。
【0027】
この構成によれば、前記通信端末装置は、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスを行うときには前記無線公衆インターフェイスを用いて前記IPネットワークと通信することになる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、IPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有し、IPネットワーク上のサーバにアクセスして動作するアプリケーションを実行可能な通信端末装置であって、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスを行うときには、前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスをIPネットワークとの通信に用いる通信端末装置が実現できる。
【0029】
また、本発明によると、無線公衆インターフェイスを含むIPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有し、IPネットワーク上のサーバにアクセスして動作するアプリケーションを実行可能な通信端末装置であって、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスを行うときには、無線公衆インターフェイスを用いてIPネットワークと通信する通信端末装置が実現できる。
【0030】
また、本発明によると、前記IPネットワークにアクセスする際の通信経路を示すルーティングテーブルまたはアドレス変換テーブルに、該ルーティングテーブルまたはアドレス変換テーブルにアクセスすることが可能なユーザまたはアプリケーションを示すアクセス制御情報が書き込まれているので、ウイルスやハッキングツール、または悪意を持ったユーザ等が該ルーティングテーブルまたはアドレス変換テーブルの内容を変更して通信経路を変更することができなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態の無線LAN電話装置(通信端末装置)が用いられるネットワークシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すネットワークシステムは、無線LAN電話装置1、ゲームサーバ(サーバ)2、無線LANアクセスポイント3、ルータ4a、4b、インターネット網5、ゲートウェイ6a、6b、公衆回線網7a、無線公衆網7b、加入者電話装置8、公衆基地局9、有線LAN10から構成されている。
【0032】
図1に示すように、無線LANを構築するための無線LANアクセスポイント3と、ルータ4aと、ゲートウェイ6a、6bとが有線LAN10に接続されている。また、有線LAN10は、ルータ4a、インターネット網5、ルータ4bを介してゲームサーバ2に接続され、ゲートウェイ6a、公衆回線網7aを介して加入者電話装置8に接続され、ゲートウェイ6b、無線公衆網7bを介して公衆基地局9に接続されている。
【0033】
無線LAN電話装置1は、無線LANアクセスポイント3に無線LANで接続されると、有線LAN10やインターネット網5などのIP(Internet Protocol)ネットワーク上の各装置にアクセス可能となる。例えば、無線LANアクセスポイント3、有線LAN10、ルータ4a、インターネット網5、ルータ4bを通じてゲームサーバ2にアクセス可能である。また、IPネットワーク上に音声を伝送するVoIP(Voice Over IP)と呼ばれる技術を用いてIPネットワークに接続されている他のVoIP電話装置(不図示)と通話を行ったり、公衆回線網7aとIPネットワークとを接続するための中継機能を備えるゲートウェイ6aを介して加入者電話装置8と通話を行ったりするVoIP電話機能を有している。
【0034】
また、無線LAN電話装置1は、公衆基地局9との間で無線信号を送受信し、無線公衆網7bを介して他の携帯電話装置(不図示)と通話を行ったり、無線公衆網7bからさらに図示しない交換器や公衆回線網7aを介して加入者電話装置8と通話を行ったりする携帯電話機能を有している。
【0035】
さらに、無線LAN電話装置1は、公衆基地局9との間で無線信号を送受信し、無線公衆網7b、及び無線公衆網7bとIPネットワークとを接続するための中継機能を備えるゲートウェイ6bを介してIPネットワーク上の各装置にアクセスすることもできる。例えば、公衆基地局9、無線公衆網7b、ゲートウェイ6b、有線LAN10、ルータ4a、インターネット網5、ルータ4bを通じてゲームサーバ2にアクセス可能である。
【0036】
ゲームサーバ2は、無線LAN電話装置1のユーザが電話契約している携帯電話会社によって運営されているオンラインゲームサービスを提供するサーバであり、オンラインゲームに参加している複数のプレーヤのコミュニケーションを中継するものである。
【0037】
このゲームサーバ2は、Webサーバとしての機能も備えており、インターネット網5上でワールド・ワイド・ウェブ(WWW)に対応したホームページを開設している。オンラインゲームに参加しようとする各プレーヤは、自分が使用する通信端末装置からゲームサーバ2が開設しているサイトのホームページのURL(Uniform Resource Locator)を指定することにより、そのサイトが提供するホームページにアクセスすることができ、そこで自己のユーザIDやパスワードを入力すると、そのホームページからゲームサーバ2が提供するオンラインゲームを行うためのアプリケーションをダウンロードすることができる。そして、そのアプリケーションを起動するとゲームサーバ2が提供するオンラインゲームにログインしてそのオンラインゲームを行うことができる。
【0038】
尚、無線LAN電話装置1、ゲームサーバ2などのIPネットワーク上にある各装置には、IPアドレスなどのIPネットワーク上の識別情報が予め付与されている。
【0039】
図2は、図1に示す無線LAN電話装置1の要部構成を示すブロック図である。図2に示す無線LAN電話装置1は、制御回路(制御手段)11、表示部12、入力部13、メモリ(記憶手段)14、無線LAN送受信部(無線LANインターフェイス)15、無線公衆送受信部(無線公衆インターフェイス)16、音声変換部17、スピーカ18、マイクロホン19から構成されている。
【0040】
表示部12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)から成り、このLCDには制御回路11の制御に基づく表示が行われる。また、入力部13は、テンキーやカーソルキーなどの操作キーから成り、制御回路11は、無線LAN電話装置1のユーザが入力部13のいずれの操作キーをどのように操作したかを認識し、そのキー操作に応じた処理をメモリ14に記憶されたプログラムに従って実行する。
【0041】
メモリ14は、ROMやRAMなどの記憶素子から成り、無線LAN電話装置1が実行する実行プログラムなどが記憶されている。また、メモリ14は、各種の実行プログラムを実行するうえでのワーキングメモリとして使用されるとともに、後述するアプリケーションやルーティングテーブル(経路情報)、アドレス変換テーブル(経路情報)なども記憶される。
【0042】
無線LAN送受信部15は、無線LANアクセスポイント3から送られてくる電波を受信し、受信した電波信号に含まれるIPパケット(IPネットワーク上を伝送するためのデータ形式)を制御回路11に与え、制御回路11からのIPパケットを電波信号に変換して無線LANアクセスポイント3に送出する。
【0043】
無線公衆送受信部16は、公衆基地局9から送られてくる無線信号を受信し、その受信した無線信号が音声信号の場合はその音声信号を音声変換部17に与え、IPパケットの場合はそのIPパケットを制御回路11に与える。また、音声変換部17からの音声信号を無線信号に変換して公衆基地局9に送出し、制御回路11からのIPパケットを無線信号に変換して公衆基地局9に送出する。
【0044】
制御回路11は、無線LAN送受信部15や無線公衆送受信部16から与えられるIPパケットを分解して制御データや音声データを得るとともに、送信する制御データや音声データをパケット化したIPパケットを生成して無線LAN送受信部15や無線公衆送受信部16に与える。また、メモリ14に記憶されているルーティングテーブルやアドレス変換テーブルなどの編集も行う。
【0045】
音声変換部17は、制御回路11によりパケット分解して得られた音声データ及び/または無線公衆送受信部16で受信した公衆基地局9からの無線信号が変換された音声信号をアナログ信号に変換してスピーカ18に供給する。また、マイクロホン19から入力されるアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換して制御回路11に供給したり、マイクロホン19から入力されるアナログ音声信号を無線信号に変換して無線公衆送受信部16に供給したりする。
【0046】
図3は、図1に示すゲームサーバ2の要部構成を示すブロック図である。図3に示すゲームサーバ2は、例えば、パーソナルコンピュータにより構成されるもので、制御回路21、表示部22、入力部23、メモリ24、有線LANI/F(インターフェイス)25から構成されている。
【0047】
表示部22は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイから成り、このCRTディスプレイには制御回路21の制御に基づく表示が行われる。また、入力部23は、例えば、テンキー、カーソルキー、文字キーなどを有するキーボードから成り、制御回路21は、ゲームサーバ2の操作者が入力部23のキーボードをどのように操作したかを認識し、その操作に応じた処理をメモリ24に記憶されたプログラムに従って実行する。
【0048】
メモリ24は、ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶素子から成り、ゲームサーバ2が提供するオンラインゲームや、それを行うためのアプリケーションや、様々なコンテンツ情報などが記憶されている。
【0049】
有線LANI/F25は、ルータ4bを通じて送られてくるIPパケットを取り込んで制御回路21に与え、また、制御回路21からのIPパケットをルータ4bに送出する。
【0050】
制御回路21は、有線LANI/F25により取り込んだIPパケットを分解して制御データを得るとともに、送信する制御データをパケット化したIPパケットを生成して有線LANI/F25に与える。このようなIPパケットの送受信は、例えば、オンラインゲームを行っている場合であれば、ゲーム空間でプレーヤキャラクタにゲーム行動を行わせるためのゲーム入力情報を、各通信端末装置からIPネットワークを介して受信し、前記ゲーム入力情報に基づき対応するプレーヤキャラクタのゲーム行動を決定するとともに、これらに基づき生成されたゲーム画像情報を各通信端末装置にIPネットワークを介して送信するというような場合に行われる。
【0051】
次に、このような構成のネットワークシステムにおいて、無線LAN電話装置1を用いてオンラインゲームを行うときの動作を図4を参照して説明する。図4は、図1に示すネットワークシステムにおいて、無線LAN電話装置1を用いてオンラインゲームを行うときの動作を示すフローチャートである。
【0052】
ここで、無線LAN電話装置1には、上述したような手順で既にゲームサーバ2からゲームサーバ2が提供するオンラインゲームを行うためのアプリケーション(ゲームA)がダウンロードされ、メモリ14に記憶(インストール)されているものとする。尚、このようなアプリケーションは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記憶媒体に記憶されている場合もあり、そのような記憶媒体からインストールすることもできる。
【0053】
先ず、ユーザが、ゲームサーバ2が提供するオンラインゲームを行うために入力部13を所定操作すると(ステップS1)、制御回路11はメモリ14に記憶されているゲームAを起動する(ステップS2)。そして、ゲームAに記述されているプログラムの内容に基づいてメモリ14に記憶されているルーティングテーブルの編集を行う(ステップS3)。
【0054】
この編集内容を図5を参照して説明する。図5は、ルーティングテーブルの内容を説明するための図である。ルーティングテーブルとは、周知のように、IPパケットの中継装置(ルータ)やTCP/IPで通信を行う端末などが有する、次にIPパケットを送るべき相手、及びIPパケットを送る自己のインターフェイスなどを指定するテーブルである。中継装置や端末は、IPパケットを送る時は必ずこのルーティングテーブルを参照してIPパケットを送るべき相手及びインターフェイスを決定する。
【0055】
図5において、宛先欄に記されている0.0.0.0/0はデフォルトルートを示しており、自ら宛先を判断できないIPパケットを転送すべきデフォルトゲートウェイを指定するものである。この場合、他の宛先欄に記されたIPアドレス以外へ送信されるIPパケットであって、宛先を判別できないIPパケットは、デフォルトルートのゲートウェイ欄に記載されたIPアドレスのデフォルトゲートウェイへ送信される。尚、本図では、ゲートウェイ欄の記載は省略している。
【0056】
また、インターフェイス欄は、IPパケットを転送するゲートウェイが接続されている自己のインターフェイスを指定するものである。例えば、デフォルトルート(0.0.0.0/0)で送信されるIPパケットは、インターフェイス欄に無線LANと記されているので、無線LAN送受信部15を介して送信される。尚、インターフェイス欄には、インターフェイス用に割り当てられたIPアドレスが記載されるのであるが、本図においては無線LAN送受信部15用に割り当てられたIPアドレスを示すという意味で無線LANと記している。尚、デフォルトルートは、ユーザ等によって予め設定されている。
【0057】
そして、宛先欄に192.168.1.1/32と記されている行が、ステップS3で制御回路11が行った編集で書き込まれた内容である。先ず、宛先欄の192.168.1.1/32はゲームサーバ2のIPアドレスである。また、その行のインターフェイス欄には無線公衆と書き込まれている。これは、192.168.1.1/32へ送信するIPパケットは、無線公衆送受信部16を介して送信するという意味であり、本来は無線公衆送受信部16用に割り当てられたIPアドレス(インターフェイス情報)が記されるが、本図においては、無線公衆と記している。
【0058】
さらに、その行のコメント欄には、宛先欄に記載されたサーバの名前等が書き込まれている。また、その行の有効アプリケーション欄には、ステップS2で起動したアプリケーションに対応する名前等の情報(アプリケーション情報、ここでは、ゲームAと記している)が書き込まれている。そして、その行のアクセス制御欄には、同じく、ステップS2で起動したアプリケーションに対応するオンラインゲームの名前等の情報(アクセス制御情報、ここではゲームAと記している)が書き込まれている。
【0059】
この有効アプリケーション欄というのは、その欄に記載されたアプリケーションの実行にともなって、その行の宛先欄に記載されたIPアドレスへのIPパケットの送信が生じた時のみ、その行のルーティングテーブルが有効になるというアプリケーションを示すものである。本例であれば、ゲームAの実行にともなってゲームサーバ2(192.168.1.1/32)にアクセスするときには、無線公衆送受信部16を介してIPパケットがゲームサーバ2(192.168.1.1/32)に送信されることになり、ゲームサーバ2(192.168.1.1/32)へのアクセスがゲームAの実行にともなうものではないときには、デフォルトルートである無線LAN送受信部15を介してIPパケットがゲームサーバ2(192.168.1.1/32)に送信されることになる。
【0060】
また、アクセス制御欄というのは、その行の内容を変更、削除するなどの編集のために、このルーティングテーブルにアクセスができるユーザまたはアプリケーションを示すものである。本例であれば、ゲームAのみが、例えば、この行を削除することが可能となる。このアクセス制御欄を設けていることにより、ウイルスやハッキングツール、または悪意を持ったユーザがルーティングテーブルの内容を変更することができなくなる。即ち、IPネットワークへのアクセスの通信経路の変更をすることができなくなる。
【0061】
そして、ゲームAが開始されると(ステップS4)、次に、制御回路11はゲームAの実行にともなうIPネットワークへの通信要求が生じているか否かを確認し(ステップS5)、生じていなければ、次に、ゲームAの終了操作がされていないかを確認し(ステップS6)、終了操作がされれば終了し、されていなければステップS5に戻る。
【0062】
一方、ステップS5において、通信要求が生じている場合は、ルーティングテーブルを参照し(ステップS7)、その通信要求がゲームサーバ2(192.168.1.1/32)への通信要求である場合は(ステップS7でYES)、無線公衆送受信部16を介して通信を行い(ステップS9)、その後、ステップS5に戻る。一方、その通信要求がゲームサーバ2(192.168.1.1/32)への通信要求でない場合は(ステップS7でNO)、無線LAN送受信部15を介して通信を行い(ステップS8)、その後、ステップS5に戻る。
【0063】
このように、本実施形態の無線LAN電話装置1は、ゲームAの実行のためにゲームサーバ2にアクセスするときには無線公衆送受信部16を介して、即ち、公衆基地局9、無線公衆網7bなどから成る携帯電話回線を介して通信を行う。これにより、ゲームサーバ2を運営してオンラインゲームサービスを行っている携帯電話会社は、ゲームAが利用されることにより期待される携帯電話回線の回線使用料を得ることができる。
【0064】
また、ゲームAの利用によるこの回線使用料を支払わなくて済むように、悪意をもったユーザが、無線LAN電話装置1のルーティングテーブルを変更して、ゲームサーバ2へのアクセスを無線LANの経路に変更しようとしても、上述したように、ルーティングテーブルのゲームサーバ2への通信に関する内容は、アクセス制御欄に記載された特定のユーザまたはアプリケーションしか変更できないようになっているので、通信経路を変更することができない。従って、オンラインゲームサービスを行っている携帯電話会社は、ゲームAが利用されることにより必ず携帯電話回線の回線使用料を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態では、ルーティングテーブルを編集することにより、ゲームサーバ2への通信経路、即ち、インターフェイスを決定するようにしているが、IPネットワークと通信を行う通信端末装置は、組織内でのみ通用するIPアドレス(ローカルアドレス)と、インターネット上のアドレス(グローバルアドレス)とを透過的に相互変換するためのアドレス変換テーブルを有しており、このアドレス変換テーブルをルーティングテーブルの代わりに、上述したルーティングテーブルの編集と同様に編集することによって、ゲームサーバ2への通信経路、即ち、インターフェイスを決定するようにすることも可能である。
【0066】
また、本実施形態の無線LAN電話装置1は、IPネットワークとの通信のための複数のインターフェイスとして、無線LAN送受信部15と無線公衆送受信部16とを有するものであったが、インターフェイスはこれらに限定されるものではなく、また、無線LAN電話装置1の有する通信用インターフェイスの個数は2つに限定されるものではない。
【0067】
尚、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各部の構成等を適宜に変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態の無線LAN電話装置(通信端末装置)が用いられるネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す無線LAN電話装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すゲームサーバの要部構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すネットワークシステムにおいて、無線LAN電話装置1を用いてオンラインゲームを行うときの動作を示すフローチャートである。
【図5】ルーティングテーブルの内容を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
1 無線LAN電話装置(通信端末装置)
2 ゲームサーバ(サーバ)
3 無線LANアクセスポイント
4a、4b ルータ
5 インターネット網
6a、6b ゲートウェイ
7a 公衆回線網
7b 無線公衆網
8 加入者電話装置
9 公衆基地局
10 有線LAN
11 制御回路(制御手段)
12 表示部
13 入力部
14 メモリ(記憶手段)
15 無線LAN送受信部(無線LANインターフェイス)
16 無線公衆送受信部(無線公衆インターフェイス)
17 音声変換部
18 スピーカ
19 マイクロホン
21 制御回路
22 表示部
23 入力部
24 メモリ
25 有線LANI/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPネットワークと通信するための複数のインターフェイスを有し、前記IPネットワーク上のサーバにアクセスして動作するアプリケーションを実行可能な通信端末装置であって、
前記IPネットワークにアクセスする際の通信経路を示す経路情報を記憶する記憶手段と、
前記アプリケーションを実行するための制御を行うとともに、前記アプリケーションの実行にともなう前記サーバへのアクセスを行うときには前記複数のインターフェイスのうちの特定の1つのインターフェイスが前記IPネットワークとの通信に用いられるように前記経路情報を編集する制御手段と、
を備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記経路情報はルーティングテーブルであり、
前記制御手段は前記ルーティングテーブルに、
宛先として前記サーバのIPアドレスと、
前記IPアドレスへの通信に用いるインターフェイスとして前記特定の1つのインターフェイスを示すインターフェイス情報と、
前記IPアドレス及び前記インターフェイス情報が有効となるアプリケーションを示す有効アプリケーションとして前記アプリケーションを示すアプリケーション情報と、
を書き込むことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記制御手段は前記ルーティングテーブルに、前記IPアドレス、前記インターフェイス情報、前記アプリケーション情報のいずれか、または全てを編集するために該ルーティングテーブルにアクセスすることが可能なユーザまたはアプリケーションを示すアクセス制御情報を書き込むことを特徴とする請求項2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記経路情報はアドレス変換テーブルであり、
前記制御手段は前記アドレス変換テーブルに、
宛先として前記サーバのIPアドレスと、
前記IPアドレスへの通信に用いるインターフェイスとして前記特定の1つのインターフェイスを示すインターフェイス情報と、
前記IPアドレス及び前記インターフェイス情報が有効となるアプリケーションを示す有効アプリケーションとして前記アプリケーションを示すアプリケーション情報と、
を書き込むことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は前記アドレス変換テーブルに、前記IPアドレス、前記インターフェイス情報、前記アプリケーション情報のいずれか、または全てを編集するために該アドレス変換テーブルにアクセスすることが可能なユーザまたはアプリケーションを示すアクセス制御情報を書き込むことを特徴とする請求項4に記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記アプリケーションの起動時に前記経路情報を編集することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の通信端末装置。
【請求項7】
前記特定の1つのインターフェイスが無線公衆網を介して通信を行うための無線公衆インターフェイスであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−67105(P2006−67105A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245431(P2004−245431)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】