説明

通信端末

【課題】他の通信端末の状態に関する情報のユーザへの報知(通知)を制御および管理することで、ユーザが必要とする他の通信端末の状態に関する情報のみを受信側通信端末のユーザに報知し得る通信端末を提供する。
【解決手段】本発明の通信端末120;端末A、130;端末X,140;端末Y,150;端末Zは、アドホック通信制御部170と、アドホック通信制御部170で受信される信号の受信品質を判定する受信品質判定部(電波強度測定部180,制御部220)と、アドホック通信制御部170で受信される他の通信端末の状態に関する情報に基づいて、当該他の通信端末の状態を報知(通知)する通知メッセージ管理部200とを備え、通知メッセージ管理部200は、前記受信品質判定部により判定される前記他の通信端末の状態に関する情報の受信品質に基づいて、当該他の通信端末の状態を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドホック通信等の近距離無線通信を使用して情報の報知を行うことができる通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、Bluetooth 等の近距離無線通信機能を内蔵した携帯電話(端末A;通信端末300)は、自端末への着信(図示例では基地局からの音声着信)等の情報を近距離無線通信によって他の通信端末へ報知(ブロードキャスト)することが可能である。携帯電話等の通信端末から近距離無線通信によって着信等の情報の報知(通知)を受信可能な通信端末は既に販売されており、図8にはそのような通信端末として腕時計301およびヘッドセット302が例示されている。図8に示す従来例では、携帯電話(端末A)300は、着信があったときに、着信したこと(イベント)を近距離無線通信を使って他の通信端末である通信端末301,302に報知(通知)し、その報知(通知)を端末Aとの近距離無線通信可能エリア内の通信端末301,302が受信すると、指定された方法で上記着信がユーザに報知(通知)される。
【0003】
また、特許文献1に記載の従来例では、着信があったときに、電話装置がユーザの有無をユーザに携行されたRFIDタグによって検知し、検知結果に基づいて着信音の音量を制御するようにしている。これにより、電話装置の近傍にユーザがいないときに着信音の音量を大きくして電話装置から離れているユーザが着信音が聞きと取れるようにするとともに、電話装置の近傍にユーザがいるときに着信音の音量を小さくすることによって、ユーザに快適な着信音を提供するようにしている。
【特許文献1】特開2006−109068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8に示す従来例では、近距離無線通信機能を内蔵した通信端末である携帯電話(端末A)300において着信を近距離無線通信によって他の通信端末301,302に報知(通知)した場合、端末Aの近距離無線通信可能エリア内(図8に点線で示す円の内部)に近距離無線通信機能を内蔵した通信端末があれば、当該通信端末のユーザへの報知(通知)の要・不要に拘わらず、指定された方法で、常に当該通信端末のユーザに着信が報知(通知)されることになる。その結果、着信中の携帯電話がユーザの目の前にあるときなど着信の報知(通知)が不要な場合にも着信の報知(通知)が行われてしまい、当該通信端末のユーザの報知(通知)の要・不要の希望が反映されない。また、ユーザが携帯電話等の通信端末を複数台保有している場合に、ユーザが常に複数台の通信端末の状態を確認するということが少ないため、気付いたらバッテリが減っている等のシステムの状態を見逃すことも多々ある。
また、特許文献1に記載の従来例では、RFIDタグを用いてユーザの有無を検知し、その検知結果に基づいて着信音の音量を制御するようにしているので、ユーザは常にRFIDタグを持ち歩く必要があり、ユーザがRFIDタグを持っていなければ所望の音量制御効果が得られない。
【0005】
本発明は、他の通信端末の状態に関する情報を受信した通信端末の報知部によって、当該他の通信端末の状態に関する情報のユーザへの報知を制御および管理することにより、ユーザが必要とする他の通信端末の状態に関する情報のみをユーザに報知することができる通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る通信端末は、近距離無線通信部と、前記近距離無線通信部で受信される信号の受信品質を判定する受信品質判定部と、前記近距離無線通信部で受信される他の通信端末の状態に関する情報に基づいて、当該他の通信端末の状態を報知する報知部と、を備え、前記報知部は、前記受信品質判定部により判定される前記他の通信端末の状態に関する情報の受信品質に基づいて、当該他の通信端末の状態を報知することを特徴とする。
【0007】
上記本発明の請求項1に係る通信端末の好適例としては、前記報知部は、前記受信品質判定部により、前記他の通信端末の状態に関する情報の受信品質が所定値以上であると判定された場合に、当該他の通信端末の状態を報知しないこと、および、前記報知部は、前記受信品質判定部により、前記他の通信端末の状態に関する情報の受信品質が所定値未満であると判定された場合に、当該他の通信端末の状態を報知しないこと、がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、報知部は、受信品質判定部により判定される他の通信端末の状態に関する情報の受信品質に基づいて、当該他の通信端末の状態を報知するから、他の通信端末の状態に関する情報を受信した通信端末の報知部によって、当該他の通信端末の状態に関する情報のユーザへの報知が制御および管理されることになる。したがって、ユーザが必要とする他の通信端末の状態に関する情報のみをユーザに報知することができる通信端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の通信端末を含む無線通信システムの概略構成を示す図である。本発明の無線通信システムは、近距離無線通信としてアドホック通信を用いる場合の、所定の通信端末(この場合、端末A)とのアドホック通信の受信可能エリア(以下、アドホックエリアという)100の外部にある基地局110と、アドホックエリア100の内部にある通信端末(端末A)120、通信端末(端末X)130、通信端末(端末Y)140、通信端末(端末Z)150等から成る。アドホックエリア100は、無線LANを利用したアドホック通信の場合、一般的に、直径200m〜300m程度の範囲(見通し距離の場合)を有している。近距離無線通信としてアドホック通信を用いる代わりに、Bluetooth を用いてもよい。以下においては、通信端末(端末A)120および通信端末(端末Z)150が携帯電話であり、通信端末(端末X)130が近距離無線通信機能を有するパーソナルコンピュータ(PC)であり、通信端末(端末Y)140が近距離無線通信機能を有するPDAであり、全ての通信端末がアドホック通信可能な状態になっている場合を例に挙げて説明を展開する。なお、ある端末が他の端末に着信等の自端末の状態に関する情報を近距離無線通信によって伝達する場合、当該近距離無線通信の受信可能エリア内の全ての端末に情報が伝達されるので「情報の報知」であるが、以下においては、「情報の報知」を「情報の通知」ともいうことにする。
【0010】
図2は本発明の無線通信システムに用いる通信端末(通信端末120、通信端末130、通信端末140、通信端末150)の機能ブロック図である。本発明の通信端末(端末A、端末X、端末Y、端末Z)は、図2に示すように、アンテナ160と、アドホック通信制御部170と、電波強度測定部180と、イベント検出部190と、通知メッセージ管理部200と、表示部210と、制御部220と、記憶部230と、入力部240とを具備して成る。
【0011】
アドホック通信制御部170は、近距離無線通信の一例であるアドホック通信の送受信を制御する近距離無線通信部として機能するものである。
電波強度測定部180は、アドホック通信制御部170で受信される信号の電波強度を測定するものである。
イベント検出部190は、着信や電池の消耗(ローバッテリ)等の他の通信端末の状態(以下、イベントという)を検出するものである。
通知メッセージ管理部200は、アドホック通信制御部170で受信される他の通信端末の状態に関する情報(以下、イベント情報という)に基づいて、当該他の通信端末の状態を報知する報知部として機能するものである。
表示部210は、各種情報を表示するものである。
制御部220は、アドホック通信制御部170、電波強度測定部180、イベント検出部190、通知メッセージ管理部200、表示部210、記憶部230および入力部240の動作を制御するものであるとともに、電波強度測定部180で測定されたアドホック通信制御部170で受信される信号の受信品質を判定する受信品質判定部として機能するものである。
記憶部230は、各種情報を記憶するものである。
入力部240は、各種情報やコマンド等を入力するものである。
【0012】
図3は本発明の通信端末(端末A)がアドホック通信が可能な他の通信端末に対して報知する端末Aの状態(イベント)の設定例を示す図である。
イベント1は、『音声着信が発生したときに、「電話です」というメッセージを通知する』というように設定されている。
イベント2は、『メールを受信したときに、「メールを受信しました」というメッセージを通知する』というように設定されている。
イベント3は、『ローバッテリを検出したときに、「充電してください」というメッセージを通知する』というように設定されている。
イベント4は、『スケジューラ設定時刻の5分前になったら、「5分前です」というメッセージを通知する』というように設定されている。
【0013】
図4は本発明の通信端末(端末Y)で受信したイベント情報の受信履歴を例示する図である。このイベント情報受信履歴は、イベント内容およびイベント通知日時を表示しており、以下のことを意味している。なお、ここでは端末Aから報知(通知)されたイベント情報のみを例示しているが、端末X、端末Y、端末Zがイベント通知メッセージの通知元端末になる場合もある(後述する図6を参照のこと)。
図4におけるイベント内容1の「[端末A]電話です→端末Zでイベント通知確認済」は、「端末Aに音声着信があり、着信通知のイベント通知メッセージを端末Zで確認したこと」を示している。
図4におけるイベント内容2の「[端末A]メールを受信しました→未確認」は、「端末Aがメールを受信し、メール受信通知のイベント通知メッセージは未確認であること」を示している。
図4におけるイベント内容3の「[端末A]充電して下さい→端末Aでイベント確認済」は、「端末Aがローバッテリを検出し、ローバッテリ通知のイベント通知メッセージを端末A自身で確認したこと」を示している。
【0014】
[第1実施形態]
第1実施形態は、受信品質判定部(制御部220および電波強度測定部180)により端末Aのイベント情報の受信品質が所定値(閾値)以上である(端末Aとのアドホック通信の受信レベル≧閾値)と判定された場合に、各端末の通知メッセージ管理部200が当該端末Aのイベントを報知(通知)しない設定例に対応するものである。以下、図1および図3〜図5を用いて、端末Aに対する音声着信時の動作例を説明する。なお、「端末Aとのアドホック通信の受信レベル≧閾値と判定された場合に、通知メッセージ管理部200が当該端末Aのイベントを報知(通知)しない設定」は、全ての受信側の通信端末において設定してあるものとする。
まず、図1のaおよび図5に示すように、基地局110から端末Aに音声着信がなされると(メール着信がなされた場合も同様である)、端末Aは、図3のイベント設定を確認する。このとき、音声着信には「イベント通知」が設定されているので、図5に例示するイベント通知メッセージ250を作成する。次に、端末Aは、図1のbおよび図5に示すように、アドホック通信を利用してイベント通知メッセージ250を他の端末(端末X、端末Y、端末Z)に報知(ブロードキャスト)する。この場合、イベント通知メッセージの通知元端末は端末Aであり、イベント通知メッセージの通知先端末は端末X、端末Y、端末Zである。
【0015】
端末Aからのイベント通知メッセージ250を受信した他の端末である端末X、端末Y、端末Zはそれぞれ、端末Aとのアドホック通信の受信レベルを測定する。このとき、端末Xは、端末Aとのアドホック通信の受信レベルが予め設定された閾値よりも高いエリア101内にあるので、何もせずに通知メッセージ250を破棄する。一方、端末Yおよび端末Zは、エリア101に入っておらず端末Aとのアドホック通信の受信レベルが予め設定された閾値よりも低いので、図1のcに示すように、ユーザに指定された方法でイベント通知メッセージ250の通知(メッセージ表示による通知、音やLEDによる通知、バイブレータ等による通知の内の、指定された少なくとも1つの通知)を行った後、図4に例示するイベント受信履歴への登録を行う。
【0016】
このイベント通知メッセージ250の通知に対し、図1のdおよび図5に示すように、ユーザによるイベント通知の確認が行われると、図5に例示するイベント確認通知メッセージ251を、図1のeおよび図5に示すようにして、イベント送信元の端末Aにアドホック通信を利用して送信する。端末Aは、イベント確認通知メッセージ251を受信すると、図5に例示するイベント確認済通知メッセージ252を、図1のfおよび図5に示すようにして、他の端末(端末X、端末Y、端末Z)に対してアドホック通信を利用して報知(ブロードキャスト)する。端末Aからのイベント確認済通知メッセージ252を受信した端末Xは、先に受信したイベント通知メッセージ250が破棄されたためイベント受信履歴に登録されておらず、イベント通知メッセージ250に対して何もしていないので、イベント確認済通知メッセージ252を破棄する。一方、端末Aからのイベント確認済通知メッセージ252を受信した端末Yおよび端末Zは、ユーザへのイベント通知メッセージ250の通知を終了させて画面表示等をイベント通知メッセージ250の受信前の状態に戻した後、図1のgおよび図4に例示するように、イベント受信履歴のイベント内容を「イベント確認済」にするイベント受信履歴の更新を行う。
【0017】
[第1実施形態の他の動作例]
次に、基地局110、端末A、端末X、端末Y、端末Zが図1と同一の位置関係になっているときの端末Zに対する音声着信時の動作例を図6および図3〜び図5に基づいて説明する。この場合、イベント通知メッセージの通知元端末は端末Zであり、イベント通知メッセージの通知先端末は端末A、端末X、端末Yであるため、端末Aのアドホックエリア100、端末Zのアドホックエリア100および端末Zとのアドホック通信の受信レベルが予め設定された閾値よりも高いエリア101は、図6に示す位置関係になる。
まず、図6において、aに示すように、基地局110から端末Zに音声着信がなされると、端末Zは、図3のイベント設定を確認する。このとき、音声着信には「イベント通知」が設定されているので、図5に例示するイベント通知メッセージ250を作成する。次に、端末Zは、図6のbに示すように、アドホック通信を利用してイベント通知メッセージ250を他の端末(端末A、端末X、端末Y)に報知(ブロードキャスト)する。このとき、端末Xおよび端末Yは、端末Zのアドホックエリア100の圏外にあって端末Zからの電波を受信できないので、何もしない。
【0018】
端末Aからのイベント通知メッセージ250を受信した端末Aは、端末Zとのアドホック通信の受信レベルを測定する。このとき、端末Aは、端末Zとのアドホック通信の受信レベルが予め設定された閾値よりも高いエリア101に入っておらず端末Aとのアドホック通信の受信レベルが予め設定された閾値よりも低いので、図6のcに示すように、ユーザに指定された方法でイベント通知メッセージ250の通知(メッセージ表示による通知、音やLEDによる通知、バイブレータ等による通知の内の、少なくとも1つの指定された通知)を行った後、図4に例示するイベント受信履歴への登録を行う。以下の動作は図1と同様であるため、説明を省略する。
【0019】
第1実施形態では、近距離無線通信(アドホック通信)を使用して、携帯電話である端末Aへの着信等のイベント情報を他の近距離無線通信が可能な通信端末に対して報知(通知)する際に、イベント情報の受信側の通信端末である端末X、端末Y、端末Zで電波の状態(受信レベル)を監視して、端末Aとのアドホック通信の受信レベルが閾値未満であるイベント情報のみをユーザへ報知(通知)するようにしている。これにより、従来例では、ブロードキャストによって報知されたイベント情報の全てが予め指定された方法によってユーザに報知(通知)されていたが、第1実施形態では、イベント情報の受信側(通知先)の通信端末である端末X、端末Y、端末Zで、通知メッセージ管理部200がユーザへのイベント情報の報知(通知)を、端末Aとのアドホック通信の受信レベルが閾値未満であるイベント情報のみに制限するので、ユーザが必要とする他の通信端末の状態に関する情報のみをユーザに報知(通知)することができるようになる。
例えば、自宅等において、携帯電話を充電している部屋とは異なる部屋で着信を知りたい場合に、他の通信端末において着信表示を行う場合には、受信レベルが所定値未満のイベント情報(携帯電話とのアドホック通信の受信レベルが閾値未満であるイベント情報)のみによって着信表示を行うこと(言い換えれば、携帯電話を充電している部屋から離れた場所にある通信端末のみに対して着信表示を行うこと)が可能になる。
【0020】
また、特許文献1に記載の従来例では、ユーザが常にRFIDタグを持ち歩く必要があったが、第1実施形態では、イベント情報の受信側の通信端末がユーザへ通知するかどうかを判断するので、ユーザが常にRFIDタグを持ち歩く必要もない。
【0021】
また、第1実施形態では、他の通信端末に報知(通知)する「自端末の状態に関する情報(イベント情報)」を「着信」に限定せず、「メール受信」や「ローバッテリ」等のイベント情報も報知(通知)できるようにすることにより、携帯電話や携帯端末等の通信端末を複数台保有している場合であっても、何れか1つの通信端末で受信したイベント情報を確認するだけで、他の近距離無線通信が可能な通信端末(イベント情報の通知元の通信端末)の状態を把握することが可能になる。
【0022】
さらに、第1実施形態では、報知(通知)されたイベント情報を受信可能な通信端末の何れか1つで内容が確認された場合には、確認した通信端末からイベント情報の通知元の通信端末を含む他の近距離無線通信が可能な全ての通信端末にイベント確認済通知メッセージが送信されて、確認した通信端末および他の近距離無線通信が可能な全ての通信端末のイベント情報受信履歴に「イベント確認済」という情報が残るようにするので、複数の通信端末にイベント情報の報知(通知)を行ったため異なる通信端末で同じイベント情報を何度も確認するということを防止することができる。つまり、「イベント情報(イベント通知メッセージ)」を近距離無線通信エリア内の通信端末で共有化し、「確認結果に関する情報(イベント確認済通知メッセージ)」も他の通信端末と同期を取って共有化することが可能になる。
【0023】
[第2実施形態]
第2実施形態は、受信品質判定部(制御部220および電波強度測定部180)により端末Aのイベント情報の受信品質が所定値(閾値)未満である(端末Aとのアドホック通信の受信レベル<閾値)と判定された場合に、通知メッセージ管理部200が当該端末Aのイベントを報知(通知)しない設定例に対応するものである。以下、図7および図3〜図5を用いて、端末Aに対する音声着信時の動作例を説明する。なお、「端末Aとのアドホック通信の受信レベル<閾値と判定された場合に、通知メッセージ管理部200が当該端末Aのイベントを報知(通知)しない設定」は、全ての受信側の通信端末において設定してあるものとする。
まず、図7のaに示すように、基地局110から端末Aに音声着信がなされると(メール着信がなされた場合も同様である)、端末Aは、図3のイベント設定を確認する。このとき、音声着信には「イベント通知」が設定されているので、図5に例示するイベント通知メッセージ250を作成する。次に、端末Aは、図7のbおよび図5に示すように、アドホック通信を利用してイベント通知メッセージ250を他の端末(端末Y、端末Z)に報知(ブロードキャスト)する。この場合、イベント通知メッセージの通知元端末は端末Aであり、イベント通知メッセージの通知先端末は端末Y、端末Zである。
【0024】
端末Aからのイベント通知メッセージ250を受信した他の端末である端末Y、端末Zはそれぞれ、端末Aとのアドホック通信の受信レベルを測定する。このとき、端末Yは、端末Aとのアドホック通信の受信レベルが予め設定された閾値よりも高いエリア101内にあるので、図7のcに示すように、ユーザに指定された方法でイベント通知メッセージ250の通知(メッセージ表示による通知、音やLEDによる通知、バイブレータ等による通知の内の、指定された少なくとも1つの通知)を行った後、図4に例示するイベント受信履歴への登録を行う。一方、端末Zは、エリア101に入っておらず端末Aとのアドホック通信の受信レベルが予め設定された閾値よりも低いので、何もせずに通知メッセージ250を破棄し、着信表示を行わない。
【0025】
このイベント通知メッセージ250の通知に対し、図7のdに示すように、ユーザによるイベント通知の確認が行われると、図5に例示するイベント確認通知メッセージ251を、図7のeに示すようにして、イベント送信元の端末Aにアドホック通信を利用して送信する。端末Aは、イベント確認通知メッセージ251を受信すると、図5に例示するイベント確認済通知メッセージ252を、図7のfおよび図5に示すようにして、他の端末(端末Y、端末Z)に対してアドホック通信を利用して報知(ブロードキャスト)する。端末Aからのイベント確認済通知メッセージ252を受信した端末Yは、ユーザへのイベント通知メッセージ250の通知を終了させて画面表示等をイベント通知メッセージ250の受信前の状態に戻した後、図7のgおよび図4に例示するように、イベント受信履歴のイベント内容を「イベント確認済」にするイベント受信履歴の更新を行う。一方、端末Aからのイベント確認済通知メッセージ252を受信した端末Zは、先に受信したイベント通知メッセージ250が破棄されたためイベント受信履歴に登録されておらず、イベント通知メッセージ250に対して何もしていないので、イベント確認済通知メッセージ252を破棄する。
【0026】
第2実施形態では、近距離無線通信(アドホック通信)を使用して、携帯電話である端末Aへの着信等のイベント情報を他の近距離無線通信が可能な通信端末に対して報知(通知)する際に、イベント情報の受信側の通信端末である端末Y、端末Zで電波の状態(受信レベル)を監視して、端末Aとのアドホック通信の受信レベルが閾値以上であるイベント情報のみをユーザへ報知(通知)するようにしている。これにより、従来例では、ブロードキャストによって報知されたイベント情報の全てが予め指定された方法によってユーザに報知(通知)されていたが、第2実施形態では、イベント情報の受信側(通知先)の通信端末である端末Y、端末Zで、通知メッセージ管理部200がユーザへのイベント情報の報知(通知)を、端末Aとのアドホック通信の受信レベルが閾値以上であるイベント情報のみに制限するので、ユーザが必要とする他の通信端末の状態に関する情報のみをユーザに報知(通知)することができるようになる。
例えば、例えば、出先等において、携帯電話等の通信端末を鞄などに入れておき、その通信端末から身につけている他の通信端末に着信通知を送ることを想定して、他の通信端末において着信表示を行うために、受信レベルが所定値未満のイベント情報(携帯電話とのアドホック通信の受信レベルが閾値以上であるイベント情報)のみによって着信表示を行うこと(言い換えれば、携帯電話を入れた鞄の近くにある通信端末のみに対して着信表示を行うこと)が可能になる。
【0027】
また、特許文献1に記載の従来例では、ユーザが常にRFIDタグを持ち歩く必要があったが、第2実施形態では、イベント情報の受信側の通信端末がユーザへ通知するかどうかを判断するので、ユーザが常にRFIDタグを持ち歩く必要もない。
【0028】
また、第2実施形態では、他の通信端末に報知(通知)する「自端末の状態に関する情報(イベント情報)」を「着信」に限定せず、「メール受信」や「ローバッテリ」等のイベント情報も報知(通知)できるようにすることにより、携帯電話や携帯端末等の通信端末を複数台保有している場合であっても、何れか1つの通信端末で受信したイベント情報を確認するだけで、他の近距離無線通信が可能な通信端末(イベント情報の通知元の通信端末)の状態を把握することが可能になる。
【0029】
さらに、第2実施形態では、報知(通知)されたイベント情報を受信可能な通信端末の何れか1つで内容が確認された場合には、確認した通信端末からイベント情報の通知元の通信端末を含む他の近距離無線通信が可能な全ての通信端末にイベント確認済通知メッセージが送信されて、確認した通信端末および他の近距離無線通信が可能な全ての通信端末のイベント情報受信履歴に「イベント確認済」という情報が残るようにするので、複数の通信端末にイベント情報の報知(通知)を行ったため異なる通信端末で同じイベント情報を何度も確認するということを防止することができる。つまり、「イベント情報(イベント通知メッセージ)」を近距離無線通信エリア内の通信端末で共有化し、「確認結果に関する情報(イベント確認済通知メッセージ)」も他の通信端末と同期を取って共有化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の通信端末を含む無線通信システムの概略構成および第1実施形態における音声着信時の各端末の動作例を示す図である。
【図2】本発明の無線通信システムに用いる通信端末の機能ブロック図である。
【図3】本発明の通信端末がアドホック通信が可能な他の通信端末に対して報知する当該端末のイベントの設定例を示す図である。
【図4】本発明の通信端末で受信したイベント情報の受信履歴を例示する図である。
【図5】本発明の各通信端末間で送受信するメッセージを例示するシーケンス図である。
【図6】本発明の第1実施形態における音声着信時の各端末の他の動作例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における音声着信時の各端末の動作例を示す図である。
【図8】従来例の無線通信システムにおける音声着信時の各端末の動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
100 通信端末(端末A)のアドホックエリア
101 端末Aとのアドホック通信の受信レベルが閾値以上のエリア
110 基地局
120 通信端末(端末A)
130 通信端末(端末X)
140 通信端末(端末Y)
150 通信端末(端末Z)
160 アンテナ
170 アドホック通信制御部
180 電波強度測定部
190 イベント検出部
200 通知メッセージ管理部
210 表示部
220 制御部
230 記憶部
240 入力部
250 イベント通知メッセージ
251 イベント確認通知メッセージ
252 イベント確認済通知メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信部と、
前記近距離無線通信部で受信される信号の受信品質を判定する受信品質判定部と、
前記近距離無線通信部で受信される他の通信端末の状態に関する情報に基づいて、当該他の通信端末の状態を報知する報知部と、
を備え、
前記報知部は、前記受信品質判定部により判定される前記他の通信端末の状態に関する情報の受信品質に基づいて、当該他の通信端末の状態を報知することを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記報知部は、前記受信品質判定部により、前記他の通信端末の状態に関する情報の受信品質が所定値以上であると判定された場合に、当該他の通信端末の状態を報知しないことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記報知部は、前記受信品質判定部により、前記他の通信端末の状態に関する情報の受信品質が所定値未満であると判定された場合に、当該他の通信端末の状態を報知しないことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−206711(P2009−206711A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45841(P2008−45841)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】