説明

通信装置、位置検出装置及び路車間通信システム

【課題】光ビーコンの通信装置に過度の負担をかけずにアップリンクを行う通信装置及び路車間通信システムを提供すること。
【解決手段】路側のビーコンヘッド2と通信する車両1の通信装置3において、アップリンクの失敗位置と成功位置を特定するアップリンク成功位置特定手段13aと、アップリンク成功位置特定手段により特定された失敗位置又は成功位置の少なくとも一方を記憶するアップリンク位置記憶手段13cと、成功位置におけるアップリンクを失敗位置よりも多くしてアップリンクするアップリンク位置制御手段13bと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、位置検出装置及び路車間通信システムに関し、特に、ビーコンにより通信する通信装置、位置検出装置及び路車間通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路車間通信システムでは、路側に設置された装置と車載された通信装置とが通信して、車両に渋滞情報や現在位置情報等を提供する。路車間通信システムの一種のVICS(Vehicle Information and Communication System)では、路側装置が光ビーコン、電波ビーコン及びFM多重放送などを媒体に車両に情報を送信するが、光ビーコンでは更に車両から路側装置に情報を送信するアップリンクが可能になっている。アップリンクでは、例えば、車両のID番号が路側装置に送信され、路側装置は車両IDに基づき所定区間の通過時間を算出し各車両に提供する。
【0003】
ところで、インフラ協調システムではさらに路車間通信システムを高度に活用して、赤信号の交差点の手前で運転者が回避操作を取らない場合には自動的に制動を加える等、VICS等から取得した道路固有の交通規制情報等に応じた介入制御が検討されている。このような高度なインフラ協調システムを実現するためアップリンクにより送信される車両の情報を有効に利用することが考えられるが、一方で、光ビーコンの通信可能範囲は、路側装置の手前、数mであるため、この短い距離を走行する間に多くの情報を送信する必要が生じてしまう。
【0004】
多くの情報を送信する1つの手法としてアップリンクの周期を短くすればよいが、光ビーコンによるアップリンクは、通信装置が発光ダイオード(LED)の点灯と消灯を繰り返して路側装置に情報を送信するものであるため、LEDの発光周期を短くすると、LEDの発熱により光量が低減したり、焼き付きにより寿命が短くなってしまうという不都合がある。
【0005】
LEDへの負担を軽減するため、通信可能範囲への侵入速度に応じてアップリンクの送信手順を制御する光ビーコンの送信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された光ビーコンの送信装置は、侵入速度が速い場合にはアップリンクの送信間隔を短くし、侵入速度が遅い場合にはアップリンクの送信間隔を長くすることで、LEDへの負担を軽減している。
【特許文献1】特開平10−332803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の光ビーコン装置は、侵入速度が速い場合にはアップリンクの送信間隔を短くするため、依然としてLEDに負担をかけてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、光ビーコンの通信装置に過度の負担をかけずにアップリンクを行う通信装置及び路車間通信システムを提供することを目的とする。また、アップリンクによりインフラ協調システムから取得した情報から車両の位置を検出する位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、路側のビーコンヘッドと通信する車両の通信装置において、アップリンクの失敗位置と成功位置を特定するアップリンク成功位置特定手段と、アップリンク成功位置特定手段により特定された失敗位置又は成功位置の少なくとも一方を記憶するアップリンク位置記憶手段と、成功位置におけるアップリンクを失敗位置よりも多くしてアップリンクするアップリンク位置制御手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、常に短い周期によりアップリンクすることが不要であるので光ビーコンの光学素子の耐久性が低下することがない。
【0010】
また、成功位置において失敗位置よりも多くアップリンクするとは、例えば、成功位置において従来よりも短い周期でアップリンクし、失敗位置におけるアップリンクを禁止し、また、成功位置でのみアップリンクする、ことである。
【0011】
また、本発明は、路側のビーコンヘッドにアップリンクするアップリンク手段と、アップリンクの失敗位置と成功位置を特定するアップリンク成功位置特定手段と、アップリンク成功位置特定手段により特定された失敗位置又は成功位置の少なくとも一方を記憶するアップリンク位置記憶手段と、成功位置におけるアップリンクを失敗位置よりも多くしてアップリンクするアップリンク位置制御手段と、アップリンクの後にビーコンヘッドから送信されたダウンリンクが受信された地点で移動体の位置を検出する位置評定手段と、を有することを特徴とする位置検出装置を提供する。
【0012】
本発明によれば、確実にアップリンクが成功する地点で位置を評定するため、路車間通信により得られる情報に基づき自車両の位置を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
光ビーコンの通信装置に過度の負担をかけずにアップリンクを行う通信装置及び路車間通信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の路車間通信システムは、光ビーコンを媒体とした通信におけるアップリンク位置を、インフラ協調システムにおける車両の位置情報として利用することを可能とするものである。
【0015】
インフラ協調システムでは、事故の低減効果を考慮して発生事故の90%程度を救済可能な車速を比較的高い車速(例えば、90km/h)に設定しているため、このような速度においても車両の位置が所定以下の誤差に収まるようにアップリンク位置を評定する必要がある。なお、評定とは、路車間通信システムで取得した地物等の位置情報に基づき車両の位置を決定することを言う。
【0016】
図1は光ビーコンを媒体とした通信における路側装置と車両の通信の一例を示す図である。図1では、路側装置から車両1の方向の矢印がダウンリンクの通信を、車両1から路側装置の方向の矢印がアップリンクの通信をそれぞれ示す。路側装置の路側光ビーコンヘッド2から路上に対し所定の俯角で見込む空間が、通信装置3と路側光ビーコンヘッド2とが通信可能な空間となる。図1では、走行してくる車両1に近い側(DWと記した領域)がダウンリンクが可能な領域を、路側光ビーコンヘッド2に近い側(UP&DWと記した領域)がダウンリンク及びアップリンクが可能な領域となっている(以下、両者を単に光ビーコン領域といい、その始点を光ビーコン領域開始位置という)。
【0017】
路側光ビーコンヘッド2は、常に渋滞情報などの交通情報を光ビーコン領域に送信しており、通信装置3は光ビーコン領域に侵入すると自動的に交通情報を受信する。そして、通信装置3がダウンリンクによる交通情報の受信により光ビーコン領域に侵入したことを検知した場合であって、路側光ビーコンヘッド2に車両IDを送信したり付加的な情報を要求する場合、通信装置3は路側光ビーコンヘッド2にアップリンクする。
【0018】
ここで、インフラ協調システムでは、路側光ビーコンヘッド2からその先の信号の色などの情報(以下、信号の状態という)を送信することが想定されており、車両1が赤信号であるにも関わらず減速しないで交差点に突入しそうな場合、車両1の車載装置が運転者に介入して自動停止等することが期待されている。
【0019】
そこで、本実施形態では、路側光ビーコンヘッド2からダウンリンクを受信した直後にアップリンクの成功位置を車両1の位置と決定することで、路側装置などの地物を基準にして車両1の位置を精度よく評定する。
【0020】
例えば、図1ではa〜cのアップリンクの矢印が記載されているが、aで成功すればアップリンクaの位置が車両1の位置となる。すなわち、車両1はアップリンク成功位置から○○m先に信号機が存在するものとして、必要であれば停止線の手前で自動停止することができる。
【0021】
ところで、通信装置3が行うアップリンクは必ずしもすべて成功するものでなく、フロントガラスの透過率(路側光ビーコンヘッド2の俯角に対するフロントガラスの角度)や受信装置の感度などにより失敗する場合がある。このため、通信装置3は所定の周期でアップリンクを繰り返すように設定されていて、例えば図1のアップリンクaが失敗した場合であってアップリンクbが確立した場合にはアップリンクbの位置を車両1の位置とし、アップリンクbが失敗した場合であってアップリンクcが確立した場合にはアップリンクcの位置を車両1の位置とすることになる。
【0022】
しかしながら、ダウンリンクで送信される交差点や停止線の位置情報(例えば、路側光ビーコンヘッド2から○○m先、位置座標等)は固定された情報であるのに対し、アップリンクが成功する位置が不定であると、評定される車両1の位置の誤差が大きくなってしまう。
【0023】
ここで、アップリンクが失敗することが予定されてもアップリンクの周期が短ければ、次々とアップリンクされるため早期にアップリンクが成功し、評定される位置の誤差を小さくすることができる。アップリンクの周期と誤差の大きさについて説明する。
【0024】
図2(a)はアップリンクの周期が長い従来の通信の一例を、図2(b)はアップリンクの周期が短い場合の通信の一例をそれぞれ示す。例えば、図2(a)に示す従来の周期が60ミリ秒であった場合に車両1が90km/hで走行すると、1回のアップリンクの間に車両は1.5m走行することになるため、評定される車両1の位置にも1.5mの誤差が生じる。
【0025】
介入制御に要求される位置の精度を例えば約2.5mの誤差以内と想定した場合、アップリンクにより評定される位置が1.5mの誤差を含んでしまうと、その他の誤差(例えば、車速など)によっては介入制御に要求される精度を満たさないおそれがある。
【0026】
そこで、アップリンクの周期を短く(例えば、半分程度=30ミリ秒)することが考えられる。図2(b)に示すように、アップリンクの周期がk倍になれば、評定される位置の誤差は1/kになることが期待できる。しかしながら、上述したように、周期を早くすると光ビーコンの光学素子の温度が上昇し通信装置3の寿命が短くなると予想されため好ましくない。すなわち、単にアップリンクの周期を短くするだけでは、評定される車両の位置の精度を向上させることは困難である。
【0027】
ところで、上述したフロントガラスの透過率など、通信装置3がアップリンクに失敗する原因は各車両に固有のものである。また一方で、光ビーコン領域はいずれの道路の路側光ビーコンヘッド2であってもほぼ一定である。したがって、光ビーコン領域において通信装置3がアップリンクに失敗する位置は車両毎に特定することができる。
【0028】
以上から本実施形態では、光ビーコン領域におけるアップリンクの成否を予め記録しておき、アップリンクが成立する位置において効率的にアップリンクすることで、光学素子の劣化を低減しかつ精度よい位置の評定を可能とする。
【0029】
図3(a)は記録されたアップリンクの成否の一例を示す図である。図3(a)では所定の周期でなされたアップリンクa〜dが交互に成功と失敗を繰り返している。このような記録が得られた場合、通信装置3は、失敗したa、cの位置ではアップリンクせずに、アップリンクb及びdの位置でアップリンクして位置を評定する。図3(b)では、実際には行わないアップリンクを点線で示した。
【0030】
図3(b)に示すように、光ビーコン領域に侵入してもアップリンクの回数が少ないので光学素子の寿命が短くなるおそれがなく、また、確実にアップリンクできるため次のアップリンクまでの周期が長くても精度よく位置を評定することができる。
【0031】
路車間通信システムの構成について説明する。図4は、光ビーコンを媒体にした路車間通信システムの概略構成図の一例を示す。光ビーコンの路車間通信システムでは、道路上に設けられた路側光ビーコンヘッド2から遠赤外線を使ってビーコンを媒体にデータを送受信する。
【0032】
車両1が光ビーコン領域に侵入すると、路側光ビーコンヘッド2から光ビーコン領域への侵入を伝えるためのダウンリンクが通信装置3に送信される。
【0033】
通信装置3はダウンリンクをフォトダイオード16で受光し、アンプ15で低雑音増幅する。増幅された信号はコンパレータ14で方形波に変換され、制御部13に入力される。制御部13は、プログラムを実行するCPU、プログラム実行の作業領域となり又は一時的にデータを記憶するRAM、イグニションオフしてもデータを保持するNV(不揮発性)−RAM、データを入出力するための入出力インターフェイス、及び、プログラムを記憶するROM等がバスにより接続されたマイコンである。
【0034】
CPUがプログラムを実行することで、アップリンク成功位置特定手段13a及びアップリンク位置制御手段13bが実現される。また、アップリンク位置記憶手段13cは、例えばNV−RAMが相当し、アップリンク成功位置特定手段13aにより特定されたアップリンクの失敗位置及び成功位置を記憶する。
【0035】
制御部13は、方形波に変換されたダウンリンクが予め定められたフレームパターンであるか及びエラーチェックに整合性があるか等を検査し、ダウンリンクであると認めた場合には光ビーコン領域のエリア内であることを認識する。
【0036】
ダウンリンクを受信した制御部13は、車両IDなどのアップリンクデータを駆動回路12に出力する。駆動回路12はアップリンクデータに応じて光学素子11を点灯する。これにより、光ビーコンが通信装置3から路側ビーコンヘッド2に到達し、同様の手順で路側ビーコンヘッド2に受信される。
【0037】
アップリンクが成功し路側光ビーコンヘッド2が車両ID等を受信すると、路側光ビーコンヘッド2は車両IDと共に、各車両の状況に基づいた交通情報を再度ダウンリンクにより車両1に送信する。再度、送信される交通情報は、例えば、上述した交差点や停止線の位置情報、信号機の状態、交通規制、リンク間旅行時間等である。
【0038】
通信装置3は、この車両IDを含むダウンリンクを受信し、車両IDが含まれている場合にアップリンクが確立したことを確認する。制御部13はCAN(Contoller Area Network)など車内LANに接続されており、車両IDと共に送信された交通情報等をナビゲーションシステム18やブレーキECU19等に送出する。
【0039】
ナビゲーションシステム18は、GPS(Global Positioning System)や自律航法により車両1の位置を検出している。そして、位置評定手段18aはダウンリンクで取得した交通情報に基づき、交差点(停止線)から所定の距離に自車両が存在するとして位置を補正する。また、車速センサ17によりアップリンク位置からの走行距離を計測して、必要であればブレーキECU19に自動的な減速・停止を依頼する。
【0040】
なお、交通情報は路側装置4により編集・配信される。路側装置4はコンピュータとして構成され、車両1の進行方向にある信号機や渋滞情報を集計するセンタと接続されており、信号機の状態、渋滞情報等の交通情報を所定のフレームパターンに形成し、路側光ビーコンヘッド2に送出する。
【0041】
以上のような構成において、アップリンク成功位置特定手段13aはアップリンクの失敗位置と成功位置を特定する。アップリンク成功位置特定手段13aは、上記のように従来よりも短い周期(例えば、従来の周期Bの半分。以下、周期Aという。)でアップリンクを繰り返す。例えば、路側光ビーコンヘッド2を通過する度に周期Aでアップリンクを繰り返し、路側光ビーコンヘッド2をN回通過するまでアップリンクの成否を記録する。路側光ビーコンヘッド2を通過する際の車速は一定とは限らないので、例えば、最初のダウンリンク位置からの距離に対応づけてアップリンクの成否を記録する。アップリンク成功位置特定手段13aは、N回の通過結果からアップリンクが成功しやすい位置及び失敗しやすい位置を特定し、アップリンク位置記憶手段13cに記憶する。
【0042】
図5(a)は記憶されたアップリンクの成否の一例を示す図である。図5(a)によれば、ダウンリンク位置Sからa及びcの距離でアップリンクが成功しやすいことが分かる。アップリンク位置制御手段13bは、図5(a)のような成否の記録を参照して、最初のダウンリンク位置Sに最も近い成功のアップリンク位置aからアップリンクを開始するようにアップリンクのタイミングを制御する。
【0043】
図5(b)は、図5(a)の成否の記録が得られた場合に、アップリンク位置制御手段13bがアップリンクする位置の一例を示す図である。アップリンクは、通常、周期的に行われるので、周期Aよりも遅い周期(例えば、従来の周期B)によりアップリンク位置制御手段13bはアップリンクを行う。アップリンク位置aから周期Bでアップリンクを開始するので、確実に成功する位置でアップリンクすることができる。したがって、アップリンクの周期を上げる必要がなく光学素子の劣化を低減でき、精度よく位置を評定できる。
【0044】
図5(c)は、記憶されたアップリンクの成否の別の一例を示す図である。図5(c)によれば、ダウンリンク位置Sからc及びdの距離でアップリンクが成功しやすいことが分かる。アップリンク位置制御手段13bは、図5(c)のような成否の記録を参照して、最初のダウンリンク位置Sに最も近い成功したアップリンク位置cからアップリンクを開始するようにアップリンクのタイミングを制御する。
【0045】
図5(d)は、図5(c)の成否の記録が得られた場合に、アップリンク位置制御手段13bがアップリンクする位置の一例を示す図である。図5(c)では、アップリンクの成功位置が近接しているので、複数回のアップリンクを実行するためには周期Bよりも早い周期(例えば、周期A)でアップリンクする。周期は従来より早くてもアップリンクの回数は同程度であるので、光学素子の劣化を抑制することができ、確実に成功する位置でアップリンクするので精度よく位置を評定できる。なお、アップリンク位置cで成功することが分かっているので、アップリンク位置cでのみアップリンクしてもよい。
【0046】
図5(e)は、記憶されたアップリンクの成否の別の一例を示す図である。図5(e)によれば、ダウンリンク位置Sからbの距離でアップリンクが成功しやすいことが分かる。アップリンク位置制御手段13bは、図5(e)のような成否の記録を参照して、アップリンク位置bでアップリンクを開始するようにアップリンクのタイミングを制御する。
【0047】
図5(f)は、図5(e)の成否の記録が得られた場合に、アップリンク位置制御手段13bがアップリンクする位置の一例を示す図である。図5(e)のように、アップリンクの成功位置が少ない場合、アップリンク位置bで確実にアップリンクするため、アップリンク位置bの前後で周期A以上の周期(例えば周期C)でアップリンクする。図5(f)の場合、アップリンクの位置が限定され回数も少ないので、光学素子の劣化を低減でき、確実に成功する位置でアップリンクするので精度よく位置を評定できる。なお、アップリンク位置bで成功することが分かっているので、アップリンク位置bでのみアップリンクしてもよい。
【0048】
アップリンクによる位置評定について説明する。図6は、車両1が交差点の手前にある路側光ビーコンヘッド2にアップリンクして位置評定する様子を示す図である。通信装置3は光ビーコン領域に侵入して最初のダウンリンクを受信すると、アップリンク位置制御手段13bが制御する位置でアップリンクする。このアップリンク位置は確実に成功する位置であるので、通信装置3は路側光ビーコンヘッドから停止線20までの距離(L〔m〕)、信号機の状態などをダウンリンクにより受信することができる。
【0049】
通信装置3はダウンリンクで受信した交通情報をナビゲーションシステム18に送出するので、位置評定手段18aは、アップリンクに対するダウンリンクが受信された位置から距離Lに交差点(停止線20)があることを検出する。この停止線までの距離Lは、車両に固有のアップリンク位置に基づき補正される。なお、位置を評定する地点は、アップリンクした地点でも、アップリンクに対しダウンリンクを受信した地点であってもよい。
【0050】
交差点の位置座標は地図データベースから取得可能であるので、位置評定手段18aは交差点から距離Lの位置を走行しているとして、GPS等により検出された位置を補正する。すなわち、路側光ビーコンヘッド2を通過するたびに車両1の位置を高精度に補正することができる。
【0051】
また、位置評定手段18aは、ダウンリンクが受信された位置から走行した距離を車速センサ17により計測する。車両1が距離L走行すると停止線20に到達するため、停止線20まで所定距離に達しても減速しないような場合は、ブレーキECU19等、他のECUに注意喚起や減速を依頼する。すなわち、インフラ協調システムにおいて精度よく検出した車両1の位置に基づく介入制御が可能となる。なお、位置評定手段18aは制御部13が有していてもよい。
【0052】
本実施形態によれば、アップリンクにより車両1の位置を精度よく評定することができ、インフラ協調システムに要求される位置精度を実現できる。位置の精度が向上してもアップリンクの周期は従来と同程度かそれ以下であるので光学素子に過度の負荷がかかることも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】光ビーコンを媒体とした通信における路側装置と車両の通信の一例を示す図である。
【図2】アップリンクの周期の一例を示す図である。
【図3】アップリンクの成否及びアップリンク位置の一例を示す図である。
【図4】光ビーコンを媒体にした路車間通信システムの概略構成図の一例である。
【図5】アップリンクの成否及びアップリンク位置の一例を示す図である。
【図6】車両が交差点の手前にある路側光ビーコンヘッドにアップリンクして位置評定する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
2 路側光ビーコンヘッド
3 通信装置
4 路側装置
11 光学素子
12 駆動回路
13 制御部
14 コンパレータ
15 アンプ
16 フォトダイオード
17 車速センサ
18 ナビゲーションシステム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側のビーコンヘッドと通信する車両の通信装置において、
アップリンクの失敗位置と成功位置を特定するアップリンク成功位置特定手段と、
前記アップリンク成功位置特定手段により特定された前記失敗位置又は前記成功位置の少なくとも一方を記憶するアップリンク位置記憶手段と、
前記成功位置におけるアップリンクを前記失敗位置よりも多くしてアップリンクするアップリンク位置制御手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記アップリンク位置特定手段は、所定の周期でアップリンクを行い前記失敗位置と前記成功位置を特定し、
前記アップリンク位置制御手段は、前記成功位置において前記周期よりも短い周期でアップリンクする、
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記アップリンク位置制御手段は、前記失敗位置におけるアップリンクを禁止する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。
【請求項4】
前記アップリンク位置制御手段は、前記成功位置でのみアップリンクする、ことを特徴とする請求項1又は2記載の通信装置。
【請求項5】
路側のビーコンヘッドにアップリンクするアップリンク手段と、
アップリンクの失敗位置と成功位置を特定するアップリンク成功位置特定手段と、
前記アップリンク成功位置特定手段により特定された前記失敗位置又は前記成功位置の少なくとも一方を記憶するアップリンク位置記憶手段と、
前記成功位置におけるアップリンクを前記失敗位置よりも多くしてアップリンクするアップリンク位置制御手段と、
アップリンクの後に前記ビーコンヘッドから送信されたダウンリンクが受信された地点で移動体の位置を検出する位置評定手段と、
を有することを特徴とする位置検出装置。
【請求項6】
路側と車両とで路車間通信する路車間通信システムにおいて、
前記路側は、前記車両とビーコンにより通信するビーコンヘッドを備え、
前記車両は、前記ビーコンヘッドにアップリンクした場合の失敗位置と成功位置を特定するアップリンク成功位置特定手段と、
前記アップリンク成功位置特定手段により特定された前記失敗位置又は前記成功位置の少なくとも一方を記憶するアップリンク位置記憶手段と、
前記成功位置におけるアップリンクを前記失敗位置よりも多くしてアップリンクするアップリンク位置制御手段と、
を有することを特徴とする路車間通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−79031(P2008−79031A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256159(P2006−256159)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】