説明

通信装置、制御プログラム

【課題】留守番機能によって受信される相手からのメッセージを、簡易な制御でもって、複数の子機が同時に聞くことが可能な通信装置等を提供する。
【解決手段】本願の通信装置1は、自動応答処理機能を備えた親機10と、当該親機10に接続される複数の子機20と、を具備する通信装置1であって、親機端末10は、各子機端末20に対して回線を通じて受信した音声データを放送し、一方、各子機端末20は、当該受信した音声データを放音するようになっている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、留守番機能を備えた親機と、複数の子機と、を備えるコードレス電話機としての通信装置、及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、留守番機能を備えた親機と、少なくとも一つの子機と、を備えるコードレス電話機が普及しており、一般にこのようなコードレス電話機は、留守番機能が設定されている状態では、親機が相手のメッセージを録音可能になっている。その際、相手のメッセージは、親機からのみ出力されるようになっている。
【0003】
近年は、親機のみでなく、子機も親機にて録音している相手のメッセージを出力するコードレス電話機が存在する(特許文献1参照)。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている電話機は、親機が、発呼側からの着信信号に基づいて予め指定された子機との間でリンクを張り、当該リンクが張られた子機に対して親機が受信した相手のメッセージを送信し、当該子機がそのメッセージを拡声可能になっている。
【0005】
【特許文献1】特許第3213993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、親機が受信したメッセージを子機が拡声可能な従来のコードレス電話機は、留守番機能を機能させた後に、子機と親機との間でリンクを張ることによって行われるため、親機の制御部等の性能によってリンクを張れる子機の台数が限られてしまうものであった。
【0007】
このようなコードレス電話機は、それぞれの子機に対してリンクを張るための部品や制御プログラムが必要となり、部品コストの増加や制御プログラムの複雑化等につながっていた。
【0008】
また、子機の増加により、親機の制御部等の性能を超えた台数になった場合には、リンクを張れない子機が存在し、当該子機は、相手からのメッセージを聞くことができないという不具合が発生する。
【0009】
そこで、このような課題の一例を解消するために、本願は、留守番機能によって受信される相手からのメッセージを、簡易な制御でもって、複数の子機が同時に聞くことが可能な通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本願請求項1に記載の通信装置(1)は、回線を介して入力される着信信号に対して前記回線を閉結し、前記回線を通じて送られてくる音声情報を記憶する自動応答処理機能を備えた親機(10)と、当該親機に接続される複数の子機(20)と、を具備する通信装置であって、前記親機は、前記子機の各々に対して前記音声情報を放送する放送手段(17)を備え、前記子機は、前記親機から放送される音声情報を受信する受信手段(22)と、前記受信した音声情報を放音する放音手段(23)と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本願請求項4に記載の通信装置における子機は、回線を介して入力される着信信号に対して前記回線を閉結し、前記回線を通じて送られてくる音声情報を記憶する自動応答処理機能を備えた親機と、当該親機に接続される複数の子機と、を具備する通信装置であって、前記親機が、前記子機の各々に対して前記音声情報を放送する放送手段を備える通信装置における前記子機であって、前記親機から放送される音声情報を受信する受信手段と、前記受信した音声情報を放音する放音手段と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
また、本願請求項5に記載の制御プログラムは、回線を介して入力される着信信号に基づいて前記回線を閉結し、前記回線を通じて送られてくる音声情報を記憶する自動応答処理機能を備えた親機と、当該親機に接続される複数の子機と、を具備する通信装置に含まれる前記親機のコンピュータを、前記親機から前記子機の各々に対して前記音声情報を放送するによう機能させることを特徴とする。
【0013】
また、本願請求項6に記載の制御プログラムは、回線を介して入力される着信信号に基づいて前記回線を閉結し、前記回線を通じて送られてくる音声情報を記憶する自動応答処理機能を備えた親機と、当該親機に接続される複数の子機と、を具備する通信装置に含まれる前記子機のコンピュータを、前記親機から放送される音声情報を受信し、前記受信した音声情報を放音するように機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本願を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。以下に説明する実施の形態は、いわゆる、親機端末と複数の子機端末とを含んで構成される留守番機能付きの家庭用コードレス親子電話機(以下、単に「コードレス親子電話機1」と称する。)に本願を適用したものである。
【0015】
−通信装置の構成等−
まず、コードレス親子電話機の概略構成について説明する。図1はコードレス親子電話機の内部の概略構成図である。
【0016】
コードレス親子電話機1は、図1に示すように、自動応答処理の機能を有する親機端末10と、無線回線を用いて前記親機端末10と通信を行う子機端末20と、を含んで構成される。なお、図1に示すコードレス親子電話機1は、一例として2つの子機端末20a、20bが親機端末10と接続されている構成を示すが、当該子機端末20の台数が限定されるものではない。
【0017】
図示しないが、親機端末10は、数字キーなどを含みユーザの操作を受け付ける各種操作ボタン、各種情報を表示するための表示パネル、着脱可能に設けられる送受話器、子機端末20と無線回線を用いて通信するためのアンテナ、所定の音を出力するスピーカ等が設けられている。
【0018】
一方、子機端末20は、例えば、子機本体と、当該子機本体を着脱可能に載置する載置台と、を含んで構成され、当該子機本体は、載置台に載せることで充電可能になっている。
【0019】
子機本体は、着信した音声などが再生される受話部、所定の情報を表示する表示パネル、数字キーなどを含み利用者が操作する操作ボタン、利用者の音声を受信するためのマイクを含む通話部、所定の音を出力するスピーカ等が設けられている。
【0020】
当該親機端末10と子機端末20とは、一般的に家庭で使用される場合には、それぞれが各部屋に設置されて使用されるものであり、電話回線(以下、単に「回線」と称する。)を通じて入力される着信信号に基づいて親機端末10又は子機端末20が呼出音を鳴動するようになっており、いずれかの端末の受話器を取ることによって、発呼側との回線が閉結されて通話可能な状態となる。また、当該親機端末10は、親機端末10又は子機端末20が受話器を取らない場合には、所定の条件(着信時間等)に基づいて自動応答処理を実行するようになっており、発呼側が所定の要件を音声データ(メッセージ)として入力することによって親機端末10は当該音声データを録音(記憶)し、且つ当該音声データを再生可能になっている。また、親機端末10は子機端末20のそれぞれに対して当該発呼側から入力された音声データを放送するようになっており、各子機端末20のそれぞれは当該音声データを受信し、当該音声データを再生可能になっている。
【0021】
ここで、放送とは、一定の範囲に、同時且つ一方的に所定の音声データを送信することをいうものである(以下、同じ)。
【0022】
なお、本願の通信装置は、本実施形態のコードレス親子電話機1として機能し、本願の親機は、本実施形態の親機端末10として機能し、本願の子機は、本実施形態の子機端末20として機能する。
【0023】
次に、図1を参照して、親機端末の内部構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、親機端末10は、ユーザからの指示を受け付け当該指示に応じた指示信号を主制御部18に対して与える操作部12と、各種データを記憶保存(格納)するためのメモリ13と、回線を使った接続を行う際に、当該回線と親機端末10又は子機端末20と接続して通信を確立する回線制御部14と、アンテナ10aに接続され子機端末20との間で音声信号を含めた各種信号を無線通信(電波)により送受信する無線部15と、スピーカから音を出力させるための音声処理部16と、各部12〜16を制御するCPU等からなる主制御部17と、を含んで構成され、各部12〜17はバスを介して相互に接続されている。
【0025】
メモリ13には、予め自動応答処理する際の留守応答メッセージ(音声データ)が記憶され、回線を介して入力される着信信号から所定の時間経過後、前記主制御部17の指示によって当該音声データが読み出されるようになっている。また、メモリ13には、自動応答処理によって発呼側から回線を通じて送られてくる音声データが記憶されるようになっている。
【0026】
なお、自動応答処理とは、親機端末10の主制御部17が、回線を介して入力される着信信号に対し、所定の条件に基づいて、自動的に当該回線を閉結するとともに、当該閉結された回線に留守応答メッセージ(音声データ)を出力する一方で、当該回線を通じて送られてくる音声情報をメモリ13に記憶する留守応答処理をいうものである。
【0027】
主制御部17は、コンピュータとして、演算機能を有するCPU、作業用RAM、不揮発性メモリ、及び各種処理プログラムやデータを記憶するROM等を備えて構成されている。そして、CPUが、例えばROM等に記憶された制御プログラムを実行(制御アプリケーションを起動)することにより、コンピュータが本願の通信装置として機能するようになっている。この制御プログラムは、発呼側からの着信信号に基づいて親機端末10の主制御部17が行う処理プログラムである。
【0028】
また、当該主制御部17は、回線を介して入力される着信信号に対し前記回線を閉結し、相手から送られてくる音声データを記憶する記憶手段、各子機に対して音声データを放送する放送手段等として機能するようになっている。
【0029】
そして、主制御部40は、例えば、回線制御部14を制御し、回線を閉結させ、着信信号に対して自動応答処理を機能させ、発呼側から音声データ(メッセージ)が入力されると、子機端末20が受信するか否かに係わらず、無線部15によって各子機端末20a、20bに対して前記音声データを放送する。また、主制御部17は、メモリ13に発呼側から入力される音声データを記憶する。また、主制御部17は、音声処理部16によって前記発呼側から入力される音声データをスピーカから出力させる。
【0030】
次に、図1を参照して、子機端末の内部構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、子機端末20は、アンテナ21に接続され親機10との間で音声信号を含めた各種信号を無線通信により送受信する無線部22と、スピーカから音を出力させるための音声処理部23と、ユーザからの指示を受け付け当該指示に応じた指示信号を主制御部25に対して与える操作部24と、各部22〜24を制御するCPU等からなる主制御部25と、を含んで構成され、各部22〜25はバスを介して相互に接続されている。
【0032】
主制御部25は、コンピュータとして、演算機能を有するCPU、作業用RAM、不揮発性メモリ、及び各種処理プログラムやデータを記憶するROM等を備えて構成されている。そして、CPUが、例えばROM等に記憶された制御プログラムを実行(制御アプリケーションを起動)することにより、コンピュータが本願の通信装置として機能するようになっている。この制御プログラムは、発呼側からの着信信号に基づいて子機端末20の主制御部25が行う処理プログラムである。
【0033】
当該主制御部25は、親機端末10から放送される音声データを受信する受信手段、受信した音声データをスピーカなどから放音(出力)させる放音手段等として機能するようになっている。
【0034】
そして、主制御部25は、例えば、親機端末10から放送される音声データを受信し、音声処理部23によって当該音声データをスピーカから放音させるようになっている。
【0035】
−通信装置の動作−
次に、図1、及び図2を参照して、コードレス親子電話機の動作例について説明する。図2はコードレス親子電話機の動作例を示すシーケンス図である。
【0036】
はじめに、以下に示すコードレス親子電話機は、自動応答処理の機能(留守番機能)が設定されており、着信信号(ベル信号)を親機端末が受信し、当該親機端末が子機端末に対して当該着信信号(ベル信号)を送信した後、すぐに当該自動応答処理が機能するものとして説明を行う。
【0037】
まず、発呼側から通信回線を介して入力される着信信号(ベル信号)を親機端末10の回線制御部14が受信すると、主制御部17は、無線部15を介して各子機端末20に当該着信信号を送信する。
【0038】
次いで、主制御部17は、自動応答処理を機能させる。具体的には、回線制御部14により回線を閉結し、メモリ13から留守応答メッセージを読み出して相手側に当該メッセージを送信する。また、主制御部17は、各子機端末20に対して居留守モニターの起動要求を送信する。当該居留守モニターの起動要求とは、各子機端末20が発呼側から入力される音声データを受信するために行う準備のための処理の要求をいう。
【0039】
次いで、親機端末の主制御部17は、発呼側から回線を通じて音声データが入力されると、音声処理部16によって当該音声データをスピーカから出力するとともに、無線部15を介して各子機20に対して当該音声データを放送する。また、主制御部17は、音声データをメモリ13に記憶する。
【0040】
一方、子機端末20の主制御部25は、無線部22を介して当該親機端末10から放送される音声データを受信し、音声処理部23によって当該音声データをスピーカから出力する。
【0041】
このように構成されたコードレス親子電話機1において、親機端末10は各子機端末20に対して回線を通じて受信した音声データを放送し、一方、子機端末20は、当該受信した音声データを放音するようになっているので、子機端末20は、複雑な回路などを必要とすることなく、同時に親機端末10に入力される発呼側の音声データをモニターすることが可能である。
【0042】
また、親機端末10、子機端末20には、着信音や音声データの音量を調整する音量調整機能や当該音を消音する消音機能などを備えており、ユーザの設定によって当該機能を自由に設定することができるようになっている。
【0043】
また、子機端末20には、親機端末10から送信される音声情報を受信するか否かをユーザが設定な設定部を備えていてもよい。この場合には、子機端末20の主制御部25は、当該設定状態に基づいて親機端末10から放送される音声情報を受信するか否かを判断するようになっている。このようにすれば、音声情報をモニターするか否かを子機端末側で設定することができ、必要に応じて当該親機端末10から放送される音声情報を受信することが可能になる。
【0044】
なお、本実施形態は一形態であって、この形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、発呼側から入力される情報は音声データであるが、当該音声データの代わりに文字などから構成される文字データなどであれば、子機端末20には当該文字データが表示されるようになっている。
【0045】
また、本実施形態は、本願の通信装置を電話機能のみを備えたコードレス親子電話機に適用したものを例示しているが、ファクシミリ機能が付いているコードレス親子電話機やスキャナ機能などを含んで構成される複合通信端末装置に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係るコードレス親子電話機の内部の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るコードレス親子電話機の動作例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0047】
1 コードレス親子電話機
10 親機端末
20 子機端末
15、22 無線部
17 主制御部
23 音声処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線を介して入力される着信信号に対して前記回線を閉結し、前記回線を通じて送られてくる音声情報を記憶する自動応答処理機能を備えた親機と、当該親機に接続される複数の子機と、を具備する通信装置であって、
前記親機は、
前記子機の各々に対して前記音声情報を放送する放送手段を備え、
前記子機は、
前記親機から放送される音声情報を受信する受信手段と、
前記受信した音声情報を放音する放音手段と、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記子機は、前記親機から放送される音声情報を受信するか否かを設定する設定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記親機は、前記子機が受信するか否かに係わらず、前記子機の各々に対して前記音声情報を無線を介して一方的に放送することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
回線を介して入力される着信信号に対して前記回線を閉結し、前記回線を通じて送られてくる音声情報を記憶する自動応答処理機能を備えた親機と、当該親機に接続される複数の子機と、を具備する通信装置であって、前記親機が、前記子機の各々に対して前記音声情報を放送する放送手段を備える通信装置における前記子機であって、
前記親機から放送される音声情報を受信する受信手段と、
前記受信した音声情報を放音する放音手段と、
を備えていることを特徴とする子機。
【請求項5】
回線を介して入力される着信信号に基づいて前記回線を閉結し、前記回線を通じて送られてくる音声情報を記憶する自動応答処理機能を備えた親機と、当該親機に接続される複数の子機と、を具備する通信装置に含まれる前記親機のコンピュータを、
前記親機から前記子機の各々に対して前記音声情報を放送するによう機能させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項6】
回線を介して入力される着信信号に基づいて前記回線を閉結し、前記回線を通じて送られてくる音声情報を記憶する自動応答処理機能を備えた親機と、当該親機に接続される複数の子機と、を具備する通信装置に含まれる前記子機のコンピュータを、
前記親機から放送される音声情報を受信し、前記受信した音声情報を放音するように機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−294715(P2008−294715A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137723(P2007−137723)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000111878)パイオニアコミュニケーションズ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】