説明

通信装置、通信制御方法、およびプログラム

【課題】通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことが可能な、通信装置、通信制御方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】通信特性を調整可能な通信部と、通信に係るアプリケーションごとに設定されている、調整が可能な通信特性のパラメータのうちの、処理対象のアプリケーションに対応するパラメータに基づいて、通信部の通信特性の調整に用いる調整値を設定する設定部と、調整値に基づいて、通信部に通信特性を調整させる調整制御部と、を備える通信装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、非接触式IC(Integrated Circuit)カードや、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、非接触式ICチップを搭載した携帯電話など、リーダ/ライタ(または、リーダ/ライタ機能を有する通信装置。以下、同様とする。)と非接触式に通信可能な通信装置が普及している。
【0003】
リーダ/ライタと、ICカード、携帯電話などの通信装置とは、例えば13.56MHzなど特定の周波数の磁界(搬送波)を通信に使用している。具体的には、リーダ/ライタが送信信号をのせた搬送波を送信し、搬送波をアンテナで受信した通信装置が負荷変調によって受信した送信信号に対する応答信号を返信することにより、リーダ/ライタと通信装置とは通信を行っている。
【0004】
また、上記のようなリーダ/ライタと通信装置との通信は、例えばISO18092規格(NFC(Near Field Communication)規格)として国際標準規格化がなされており、世界各国において上記のような非接触通信を用いたサービスが提供されている。
【0005】
このような中、通信の安定化を図る技術が開発されている。非接触通信が可能な距離内において生じうる通信が正常に行えない点(いわゆる、「ヌルポイント」)によって、通信が正常に行えない現象の発生を防止する技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−17012号公報
【特許文献2】特開2009−272697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、リーダ/ライタと通信装置との非接触通信は、例えばISO18092規格として国際標準規格化がなされており、世界各国において非接触通信を用いたサービスが提供されている。ここで、既に提供されている上記サービスでは、例えば通信距離やヌルポイントの許容量がサービスごとに異なることがあり、この場合、リーダ/ライタと通信装置との間の非接触通信では、例えばサービスごとに通信を行うための通信特性が異なることとなる。そのため、例えばリーダ/ライタのように、既にサービスを提供している提供側の装置(以下、「インフラ側装置」と示す場合がある。)がISO規格を満足していたとしても、通信装置が、様々なサービスを提供する、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことができるとは限らない。
【0008】
ここで、例えば特許文献1に示す従来の技術(以下、「従来の技術1」と示す場合がある。)は、リーダ/ライタが通信の誤りを検出し、共振周波数などを変更して通信特性を変化させる。そのため、従来の技術1を用いる場合には、既に提供されているサービスに係るリーダ/ライタなどの既存のインフラ側装置を置き換えることが必要となる。よって、“通信装置が、様々なサービスを提供する、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことを可能とすること”を実現するために、従来の技術1を適用することは、困難である。
【0009】
また、例えば特許文献2に示す従来の技術(以下、「従来の技術2」と示す場合がある。)は、通信装置が、受信電圧が事前に設定した閾値を超えたか否かによってQ値を変更して通信特性を変化させる。よって、従来の技術2は、特定のリーダ/ライタと特定の通信装置との間において有効な技術であるので、従来の技術2を用いる場合には、インフラ側装置および通信装置の双方の置き換えが必要となる。したがって、“通信装置が、様々なサービスを提供する、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことを可能とすること”を実現するために、従来の技術2を適用することは、困難である。
【0010】
上記のように、従来の技術1や従来の技術2のような通信の安定化を図る従来の技術(以下、総称して「従来の技術」と示す場合がある。)を用いたとしても、“通信装置が、様々なサービスを提供する、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことを可能とすること”を実現することは、困難である。よって、ユーザは、1つの通信装置を用いて、通信特性が異なるインフラ側装置が提供する様々なサービスを享受することができるとは限らない。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことが可能な、新規かつ改良された通信装置、通信制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、通信特性を調整可能な通信部と、通信に係るアプリケーションごとに設定されている、調整が可能な通信特性のパラメータのうちの、処理対象のアプリケーションに対応する上記パラメータに基づいて、上記通信部の通信特性の調整に用いる調整値を設定する設定部と、上記調整値に基づいて、上記通信部に通信特性を調整させる調整制御部と、を備える通信装置が提供される。
【0013】
かかる構成によって、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことが可能となる。
【0014】
また、上記設定部は、処理対象の上記アプリケーションが複数ある場合には、上記アプリケーションごとの上記パラメータに基づいて、複数の処理対象の上記アプリケーションが通信を行うために調整が可能な、重複する通信特性のパラメータを判定し、重複する上記通信特性のパラメータに対応する上記調整値を設定してもよい。
【0015】
また、上記設定部は、重複する上記通信特性のパラメータがない場合には、処理対象の上記アプリケーションを再設定し、再設定された処理対象の上記アプリケーションごとの上記パラメータに基づいて、上記調整値を設定してもよい。
【0016】
また、上記設定部は、現在の上記通信装置の位置を示す位置情報、および/または、現在の時間を示す時間情報を用いて使用可能なアプリケーションを推定し、推定されたアプリケーションを処理対象のアプリケーションとして再設定してもよい。
【0017】
また、上記設定部は、処理対象となっていたアプリケーションそれぞれに設定されている優先度に基づいて優先度が低い1または2以上のアプリケーションを処理対象から除外して、処理対象のアプリケーションを再設定してもよい。
【0018】
また、上記設定部は、アプリケーションごとの、アプリケーションの使用履歴を示す履歴情報に基づいて、使用頻度に応じた上記優先度を設定してもよい。
【0019】
また、上記履歴情報には、アプリケーションが使用された位置を示す位置履歴情報、および/または、アプリケーションが使用された時間を示す時間履歴情報が含まれ、上記設定部は、現在の上記通信装置の位置を示す位置情報と上記位置履歴情報、および/または、現在の時間を示す時間情報と上記時間履歴情報に基づいて、上記履歴情報のうちの、現在の上記通信装置の位置および/または現在の時間に対応する上記履歴情報に基づく上記優先度を設定してもよい。
【0020】
また、上記設定部は、上記通信部が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合には、処理対象となっているアプリケーションそれぞれに設定されている優先度のうち、優先度が高い1または2以上のアプリケーションの優先度を下げてもよい。
【0021】
また、上記設定部は、上記通信部が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合には、処理対象となっているアプリケーションそれぞれに設定されている優先度のうち、優先度が高い1または2以上のアプリケーションの優先度を下げて、上記調整値を再設定してもよい。
【0022】
また、上記設定部は、上記通信部が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合には、ユーザにより選択されたアプリケーションに対応するパラメータに基づいて、上記調整値を再設定してもよい。
【0023】
また、上記設定部は、重複する上記通信特性のパラメータがない場合には、1または2以上の処理対象のアプリケーションに対応する上記パラメータを調整し、調整された上記パラメータに基づいて、複数の上記アプリケーションが通信を行うために調整が可能な、重複する通信特性のパラメータを判定してもよい。
【0024】
また、上記通信部は、搬送波の送受信を行う通信アンテナと、伝達される調整信号に基づいて、上記通信特性を調整する調整部と、上記調整制御部から伝達される調整命令に基づいて、上記調整信号を上記調整部に伝達する処理部とを備えてもよい。
【0025】
また、上記通信アンテナは、所定のインダクタンスを有するコイルと所定の静電容量を有するキャパシタとを備える共振回路を有し、上記調整部は、上記通信特性として、上記通信アンテナの共振周波数、および/または、上記通信アンテナのQ値を調整してもよい。
【0026】
また、上記通信部が、所定周波数の搬送波を用いた非接触通信により通信対象の外部装置と通信を行う場合、上記調整部は、上記通信特性として、負荷変調の強度、および/または、上記通信アンテナが受信した、上記外部装置から送信された送信信号に基づく信号の減衰量を調整してもよい。
【0027】
また、上記通信部は、所定のインダクタンスを有するコイルと所定の静電容量を有するキャパシタとを備え、共振周波数が相異なる共振回路をそれぞれ有する、複数の上記通信アンテナを備え、上記調整部は、複数の上記通信アンテナのうちの一の通信アンテナを選択して、上記通信特性として、通信に用いられる上記通信アンテナの共振周波数を調整してもよい。
【0028】
また、1または2以上の上記アプリケーションと、上記アプリケーションに対応する上記パラメータとを記憶する記憶部をさらに備えていてもよい。
【0029】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、通信に係るアプリケーションごとに設定されている、調整が可能な通信特性のパラメータのうちの、処理対象のアプリケーションに対応する上記パラメータに基づいて、通信特性を調整可能な通信部の通信特性の調整に用いる調整値を設定するステップと、上記調整値に基づいて、上記通信部に通信特性を調整させるステップと、を有する通信制御方法が提供される。
【0030】
かかる方法を用いることにより、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことが可能となる。
【0031】
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、通信に係るアプリケーションごとに設定されている、調整が可能な通信特性のパラメータのうちの、処理対象のアプリケーションに対応する上記パラメータに基づいて、通信特性を調整可能な通信部の通信特性の調整に用いる調整値を設定するステップ、上記調整値に基づいて、上記通信部に通信特性を調整させるステップ、をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0032】
かかるプログラムを用いることにより、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係る通信装置における通信特性の調整手段の一例を説明するための説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る調整部の構成の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る調整部の構成の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る調整部の構成の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の一例を示す流れ図である。
【図6】本発明の実施形態に係る調整情報の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る調整情報の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る調整値設定処理の一例を示す流れ図である。
【図9】本発明の実施形態に係る調整値設定処理における調整情報に基づく論理積の結果の一例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る調整値設定処理の他の例を示す流れ図である。
【図11】本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の他の例を示す流れ図である。
【図12】本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の他の例を示す流れ図である。
【図13】本発明の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施形態に係る通信装置のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本発明の実施形態に係る通信制御方法
2.本発明の実施形態に係る通信装置
3.本発明の実施形態に係るプログラム
【0037】
(本発明の実施形態に係る通信制御方法)
[本発明の実施形態に係る通信制御方法の概要]
本発明の実施形態に係る通信装置(以下、「通信装置100」と示す場合がある。)の構成について説明する前に、本発明の実施形態に係る通信制御方法の概要について説明する。以下では、通信装置100が、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を行うものとして説明する。
【0038】
また、以下では、通信装置100とインフラ側装置とが、例えば13.56MHzなど特定の周波数の搬送波を通信に用いる、NFCに係る非接触通信を行う場合を主に例に挙げて説明する。なお、本発明の実施形態に係る通信装置100とインフラ側装置との間の通信は、上記NFCに係る非接触通信に限られない。例えば後述する本発明の実施形態に係る通信制御方法は、例えば、接触型の非接触通信、近傍型の非接触通信、UHF(Ultra High Frequency)帯などの遠方型の非接触通信など、通信特性を調整することが可能な様々な通信方式に適用することができる。
【0039】
ここで、本発明の実施形態に係る通信特性とは、例えば、通信に係る物理的な特性や、通信に係る論理的な特性など、通信に関する特性である。本発明の実施形態に係る通信に係る物理的な特性としては、例えば、通信アンテナの共振周波数や、通信アンテナのQ値、負荷変調の強度などが挙げられる。また、本発明の実施形態に係る通信に係る論理的な特性としては、例えば、NFC規格におけるTypeA、TypeB、TypeCなどが挙げられる。なお、本発明の実施形態に係る物理的な特性や論理的な特性が、上記に限られないことは、言うまでもない。
【0040】
上述したように、例えば既に提供されているサービスに係るインフラ側装置を置き換えることによって、“通信装置が、様々なサービスを提供する、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことを可能とすること”は、困難である。そこで、本発明の実施形態では、通信装置100が、通信に係るアプリケーション(アプリケーション・ソフトウェア)ごとのパラメータに基づいて、処理対象のアプリケーションの全てが通信を行うことが可能な、通信特性の調整に用いる調整値を設定する。そして、通信装置100は、設定された上記調整値を用いて通信特性を調整して通信を行う。
【0041】
上記のように、通信特性を調整することによって、通信装置100は、処理対象のアプリケーションに対応するサービスを提供する1、または2以上のインフラ側装置それぞれの通信特性が異なっていたとしても、インフラ側装置それぞれと通信を行うことが可能となる。したがって、通信装置100は、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことができるので、通信装置100のユーザ(以下、単に「ユーザ」と示す場合がある。)は、通信装置100を用いて、通信特性が異なるインフラ側装置が提供する様々なサービスを享受することができる。
【0042】
ここで、本発明の実施形態に係るパラメータとは、例えば、調整が可能な通信特性のパラメータであり、パラメータは、上記のように、インフラ側装置との通信に係るサービスを享受するために用いられる。以下では、本発明の実施形態に係る通信装置100が、パラメータを示すデータである調整情報を用いて処理を行う場合を例に挙げて説明する。また、本発明の実施形態に係るパラメータの一例、調整情報の一例については、後述する。なお、以下では、複数のパラメータ(すなわち、パラメータ群)を総称して「パラメータ」と示す場合がある。
【0043】
また、本発明の実施形態に係る通信に係るアプリケーションとしては、例えば、オペレーティングシステム(Operating System:OS)上で実行される、サービスごとのソフトウェアが挙げられる。ここで、本発明の実施形態に係る通信に係るアプリケーションとしては、例えば、通信装置100の製造時などにおいて予めインストールされているアプリケーションや、ユーザが追加的にインストールしたアプリケーションが挙げられる。なお、本発明の実施形態に係る通信に係るアプリケーションは、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る通信に係るアプリケーションは、オペレーティングシステムを構成するソフトウェアであってもよい。つまり、本発明の実施形態に係る通信に係るアプリケーションは、1のソフトウェアが複数のサービスに対応するものであってもよいし、サービスごとのものであってもよい。以下では、1のソフトウェアが複数のサービスに対応する場合を含めて、本発明の実施形態に係る通信に係るアプリケーションが、サービスごとのソフトウェアであるとして説明する。
【0044】
また、本発明の実施形態に係る処理対象のアプリケーションとしては、通信装置100が対応している全てのサービスそれぞれに対応する全てのアプリケーションが挙げられるが、本発明の実施形態に係る処理対象のアプリケーションは、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る処理対象のアプリケーションは、上記全てのアプリケーションの中から選択された、一部のアプリケーションであってもよい。本発明の実施形態に係る処理対象のアプリケーションの設定(または、再設定)に係る処理の一例については、後述する。
【0045】
[本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の一例]
次に、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の一例について説明する。上記のように、本発明の実施形態に係る通信制御方法を用いる通信装置100は、処理対象のアプリケーションの全てが通信を行うことが可能な調整値を設定し、設定された調整値を用いて通信特性を調整して通信を行う。ここで、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理について説明する前に、まず、本発明の実施形態に係る通信特性の調整手段の一例について説明する。
【0046】
〔本発明の実施形態に係る通信特性の調整手段の一例〕
図1は、本発明の実施形態に係る通信装置100における通信特性の調整手段の一例を説明するための説明図である。ここで、図1は、通信装置100が、例えば13.56MHzなど特定の周波数の搬送波を通信に用いる、NFCに係る非接触通信を行う場合における、通信装置100の構成の一部を示している。より具体的には、図1は、例えばインフラ側装置などの外部装置と通信を行う通信部102の構成の一例を示している。また、図1では、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす制御部106(後述する)を併せて示している。
【0047】
図1を参照すると、通信部102は、例えば、搬送波を受信可能な通信アンテナ110と、受信された搬送波に基づいて外部装置から送信された送信信号を復調して処理し、負荷変調により応答信号を通信アンテナ110に送信させることが可能なICチップ112と、通信特性を調整する調整部114とを備える。また、ICチップ112は、調整部114に通信特性を調整させる役目、すなわち、通信部102において通信特性の調整を制御する役目を果たす。なお、本発明の実施形態に係る通信部102の構成は、図1に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る通信装置100は、図1に示すICチップ112を、ICチップの形態で備えていなくてもよい。また、通信装置100は、例えば、図1に示す調整部114を構成する回路のうちの負荷変調強度制御回路134をICチップ112内に備えるなど、様々な構成をとることが可能である。
【0048】
通信アンテナ110は、例えば、所定のインダクタンスをもつコイル(インダクタ)L1と、所定の静電容量をもつキャパシタC1とから構成される共振回路を有する。通信アンテナ110は、搬送波の受信に応じて電磁誘導により誘起電圧を生じさせる。そして、通信アンテナ110は、所定の共振周波数で誘起電圧を共振させた受信電圧を、調整部114を構成する減衰量制御回路136(後述する)を介してICチップ112へ出力する。ここで、通信アンテナ110における共振周波数は、例えば、13.56MHzなど搬送波の周波数に合わせて設定される。
【0049】
通信アンテナ110は、例えば図1に示す構成により、搬送波を受信し、また、調整部114が備える負荷変調強度制御回路134(後述する)において行われる負荷変調によって応答信号の送信を行う。
【0050】
なお、本発明の実施形態に係る通信部102を構成する通信アンテナの構成は、図1に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る通信部102は、共振周波数が相異なる共振回路を有する複数の通信アンテナを備えていてもよい。上記の場合、通信部102では、例えば調整部114により複数の通信アンテナのうちの一の通信アンテナが選択され、選択された通信アンテナを用いて外部装置との通信が行われる。上記のように、共振周波数が相異なる複数の通信アンテナのうちの一の通信アンテナを選択的に用いて通信を行うことによって、通信アンテナの共振周波数を調整することができる。よって、通信装置100は、上記の場合においても通信部102における通信特性を調整することが可能である。
【0051】
ICチップ112は、例えばインフラ側装置としてのリーダ/ライタ(外部装置の一例)との搬送波を用いた非接触通信に係る様々な機能を集積回路で実現したものである。ICチップ112は、例えば、検波・復調回路116と、MPU118(処理部)と、RAM120と、内部メモリ122と、制御部106との間の通信に係るバッファ124(通信用バッファ)と、調整部114への負荷変調信号や調整信号などの各種信号の伝達に用いられるバッファ126とを備える。また、検波・復調回路116と、MPU118と、RAM120と、内部メモリ122と、バッファ124と、バッファ126とは、例えば、データの伝送路としてのバス128によって接続される。
【0052】
検波・復調回路116は、通信アンテナ110から出力される受信電圧(図1の例では、減衰量制御回路136を介して伝達される受信電圧)を整流する。ここで、検波・復調回路116は、例えば、ダイオードと、キャパシタで構成された検波回路を備えることによって、上記整流を行う。また、検波・復調回路116は、受信電圧に基づいて送信信号を復調し、搬送波に含まれる送信信号に対応するデータ(例えば、ハイレベルとローレベルとの2値化されたデジタルデータ信号)を出力する。
【0053】
MPU118は、例えばMPU(Micro Processing Unit)や、制御機能などの各種機能を実現するための各種回路が集積された集積回路などで構成され、通信部102における通信の制御や、通信部102における通信特性の調整を制御するための処理を主導的に行う。より具体的には、MPU118は、例えば、検波・復調回路116において復調されたデータ(データ信号)を処理し、応答を行う場合には、負荷変調を制御する負荷変調信号を生成する。そして、MPU118は、バッファ126を介して、負荷変調を行う負荷変調強度制御部134へ負荷変調信号を伝達する。
【0054】
また、MPU118は、制御部106(より厳密には、後述する調整制御部)から伝達される調整命令がバッファ124を介して伝達された場合には、調整部114に通信特性を調整させるための調整信号を生成して、バッファ126を介して調整部114に伝達する。ここで、MPU118は、調整する通信特性として、負荷変調強度を調整する場合には、例えば、負荷変調信号に調整信号の役目をもたせることも可能である。
【0055】
なお、MPU118は、通信に係る論理的な特性を切り替えることも可能である。上記の場合には、MPU118は、本発明の実施形態に係る調整部の一部として機能することとなる。
【0056】
調整部114は、MPU118から(バッファ126)を介して伝達される調整信号に基づいて、通信特性を調整する。ここで、図1では、調整部114が、通信アンテナ110の共振周波数を調整する共振周波数制御回路130と、通信アンテナ110のQ値を調整するQ値制御回路132と、負荷変調強度制御回路134と、送信信号に基づく信号の減衰量を調整する減衰量制御回路136とを備える構成を示している。
【0057】
なお、本発明の実施形態に係る調整部114の構成は、図1に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る調整部114は、複数の通信アンテナの中から通信に使用する通信アンテナを有効化する(選択する)アンテナ選択回路や、通信アンテナ110を構成するインダクタに設けられたタップを選択することによりインダクタンスを調整するインダクタ調整回路などを備えることが可能である。上記の場合には、調整部114は、通信特性として通信アンテナ110の共振周波数を調整することが可能である。また、本発明の実施形態に係る調整部114は、例えば、図1に示す各種回路や、上記回路のうちの少なくとも1つを備える構成であってもよい。つまり、本発明の実施形態に係る調整部114は、通信に係る物理的な特性を調整可能な任意の構成をとることができる。
【0058】
<調整部114の構成の一例>
ここで、調整部114の構成の一例として、図1に示す共振周波数制御回路130、Q値制御回路132、負荷変調強度制御回路134、および減衰量制御回路136それぞれの構成例について説明する。
【0059】
(1)共振周波数制御回路130の構成例
図2は、本発明の実施形態に係る調整部114の構成の一例を示す説明図であり、共振周波数制御回路130の一例を示している。また、図2では、通信アンテナ110と、ICチップ112を構成するバッファ126とを併せて示している。
【0060】
共振周波数制御回路130は、静電容量調整部138a、138b、138cを備える。静電容量調整部138a、138b、138cそれぞれは、例えば、静電容量が相異なるキャパシタ(キャパシタC2〜C4)と、各キャパシタを選択的に有効化するためのスイッチング素子(スイッチング素子SW1〜SW3)とで構成される。スイッチング素子SW1〜SW3それぞれは、ICチップ112から伝達される調整信号に基づいて、選択的にオンする。スイッチング素子SW1〜SW3としては、例えば、pチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)やnチャネル型のMOSFETが挙げられるが、スイッチング素子SW1〜SW3は、上記に限られない。
【0061】
通信装置100は、通信部102を構成する調整部114として、図2に示す共振周波数制御回路130を備えることによって、通信特性としての通信アンテナ110の共振周波数を調整することができる。なお、本発明の実施形態に係る共振周波数制御回路130の構成は、図2に示す構成に限られない。例えば図2では、共振周波数制御回路130が3つの静電容量調整部を備える構成を示しているが、共振周波数制御回路130は、1つの静電容量調整部、または、2つの静電容量調整部、あるいは、4以上の静電容量調整部を備える構成であってもよい。
【0062】
(2)Q値制御回路132の構成例
図3は、本発明の実施形態に係る調整部114の構成の一例を示す説明図であり、Q値制御回路132の一例を示している。また、図3では、通信アンテナ110と、ICチップ112を構成するバッファ126とを併せて示している。
【0063】
Q値制御回路132は、Q値調整部140a、140b、140cを備える。Q値調整部140a、140b、140cそれぞれは、例えば、抵抗値が相異なる抵抗(抵抗R1〜R3)と、各抵抗を選択的に有効化するためのスイッチング素子(スイッチング素子SW4〜SW6)とで構成される。スイッチング素子SW4〜SW6それぞれは、ICチップ112から伝達される調整信号に基づいて、選択的にオンする。スイッチング素子SW4〜SW6としては、例えば、pチャネル型のMOSFETやnチャネル型のMOSFETが挙げられるが、スイッチング素子SW4〜SW6は、上記に限られない。
【0064】
通信装置100は、通信部102を構成する調整部114として、図3に示すQ値制御回路132を備えることによって、通信特性としての通信アンテナ110のQ値を調整することができる。なお、本発明の実施形態に係るQ値制御回路132の構成は、図3に示す構成に限られない。例えば図3では、Q値制御回路132が3つのQ値調整部を備える構成を示しているが、Q値制御回路132は、1つのQ値調整部、または、2つのQ値調整部、あるいは、4以上のQ値調整部を備える構成であってもよい。
【0065】
(3)負荷変調強度制御回路134
図4は、本発明の実施形態に係る調整部114の構成の一例を示す説明図であり、負荷変調強度制御回路134の一例を示している。また、図4では、通信アンテナ110と、ICチップ112を構成するバッファ126とを併せて示している。
【0066】
負荷変調強度制御回路134は、負荷変調部142a、142b、142cを備える。負荷変調部142a、142b、142cそれぞれは、例えば、抵抗値が相異なる抵抗(抵抗R4〜R6)と、各抵抗を選択的に有効化するためのスイッチング素子(スイッチング素子SW7〜SW9)とで構成される。スイッチング素子SW7〜SW9それぞれは、ICチップ112から伝達される負荷変調信号に基づいて、選択的にオンする。スイッチング素子SW7〜SW9としては、例えば、pチャネル型のMOSFETやnチャネル型のMOSFETが挙げられるが、スイッチング素子SW7〜SW9は、上記に限られない。
【0067】
通信装置100は、通信部102を構成する調整部114として、図4に示す負荷変調強度制御回路134を備えることによって、通信特性としての負荷変調強度を調整することができる。なお、本発明の実施形態に係る負荷変調強度制御回路134の構成は、図4に示す構成に限られない。例えば図4では、負荷変調強度制御回路134が3つの負荷変調部を備える構成を示しているが、負荷変調強度制御回路134は、1つの負荷変調部、または、2つの負荷変調部、あるいは、4以上の負荷変調部を備える構成であってもよい。
【0068】
(4)減衰量制御回路136
減衰量制御回路136は、例えば、ICチップ112から伝達される調整信号に基づいて利得が調整されるAGC(Automatic Gain Control)回路で構成される。通信装置100は、通信部102を構成する調整部114として、例えばAGC回路を備えることによって、通信特性として、通信アンテナ110が受信した、外部装置から送信された送信信号に基づく信号の減衰量を調整することができる。よって、通信装置100は、通信部102を構成する調整部114として、例えばAGC回路を備えることによって、受信した送信信号に基づく信号によってICチップ112が破壊されることを防止することができる。
【0069】
なお、本発明の実施形態に係る減衰量制御回路136は、上記AGC回路で構成されることに限られない。例えば、減衰量制御回路136は、1または2以上のダイオードなどで構成されたクランプ回路と、当該クランプ回路それぞれを選択的に有効化するスイッチング素子を備える構成であってもよい。
【0070】
通信装置100は、例えば上記のような共振周波数制御回路130、Q値制御回路132、負荷変調強度制御回路134、および減衰量制御回路136を備える調整部114によって、通信特性を調整する。
【0071】
〔本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の具体例〕
次に、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の一例について、より具体的に説明する。以下では、通信装置100が、図1に示す構成の通信部102を備える構成を例に挙げて説明する。
【0072】
図5は、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の一例を示す流れ図である。
【0073】
通信装置100は、処理対象のアプリケーションを設定する(S100)。ここで、通信装置100は、例えば、通信装置100が対応している全てのサービスそれぞれに対応する全てのアプリケーションを、処理対象のアプリケーションとして設定する。なお、ステップS100の処理は、上記に限られない。例えば、通信装置100は、ユーザにより選択されたアプリケーションなど、対応する全てのアプリケーションのうちの一部のアプリケーションを、処理対象のアプリケーションとして設定することも可能である。
【0074】
ステップS100において処理対象のアプリケーションが設定されると、通信装置100は、処理対象のアプリケーションそれぞれに対応する調整情報に基づいて、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値を設定する(S102。調整値設定処理)。
【0075】
図6、図7それぞれは、本発明の実施形態に係る調整情報の一例を示す説明図である。ここで、図6、図7は、共振周波数制御回路130における調整に係る共振周波数、Q値制御回路132における調整に係るQ値、負荷変調強度制御回路134における調整に係る負荷変調強度、および減衰量制御回路136における調整に係る入力調整値が、調整可能な通信特性として設定されている例を示している。また、図6、図7は、調整可能な各通信特性の値(または、通信特性の値の範囲。以下、同様とする。)が、5段階に分けて設定されている例、すなわち、調整情報に1〜5の番号で表された5つの調整値が設定されている例を示している。また、図6、図7は、アプリケーションが調整可能な通信特性と通信特性の値との組合せを示しており、図6、図7における組合せされた部分(図6、図7において“使用可能”となっている部分)の通信特性の値が、アプリケーションに対応する通信特性のパラメータに該当する。なお、本発明の実施形態に係る調整情報は、図6、図7に示す例に限られない。例えば、調整情報の各通信特性のパラメータ間には、依存関係があってもよい。依存関係の一例としては、例えば、共振周波数の調整値が1であるときは、負荷変調強度において設定可能な調整値は1と2であり、共振周波数の調整値が3であるときは、負荷変調強度において設定可能な調整値は3と4とすることが挙げられる。
【0076】
通信装置100は、例えば、調整情報に設定されている調整値の中から調整可能な通信特性ごとに1つの調整値を選択し、選択された調整値を通信部102の通信特性の調整に用いる調整値として設定する。ここで、本発明の実施形態に係る通信部102の通信特性の調整に用いる調整値の設定とは、例えば、上記のように調整情報に設定されている1または2以上の調整値の中から選択された調整値を、上記調整信号の生成(または、上記調整信号を生成させるための調整命令の生成)に用いることが可能な状態とすることをいう。通信装置100は、例えば、通信装置100が備えるRAM(Random Access Memory。図示せず)などの記録媒体に選択された調整値を記録することによって、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値を設定する。なお、本発明の実施形態に係る通信装置100における通信部102の通信特性の調整に用いる調整値の設定方法が、上記に限られないことは、言うまでもない。以下、より具体的に、本発明の実施形態に係る通信装置100における調整値設定処理の一例について説明する。
【0077】
<調整値設定処理の一例>
(i)第1の例
図8は、本発明の実施形態に係る調整値設定処理の一例を示す流れ図である。
【0078】
通信装置100は、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができるか否かを判定する(S200)。ここで、本発明の実施形態に係る調整情報に基づく論理積を判定する処理は、処理対象のアプリケーションの全てが通信を行うために調整が可能な、重複する通信特性のパラメータを判定する処理に該当する。また、処理対象のアプリケーションが1つしかない場合には、通信装置100は、当該アプリケーションに対応する調整情報を用いて調整値を設定することが可能である。よって、上記の場合には、通信装置100は、ステップS200において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定する。なお、処理対象のアプリケーションが1つしかない場合には、通信装置100は、ステップS200の処理を行わずに、後述するステップS204の処理を行ってもよい。
【0079】
図9は、本発明の実施形態に係る調整値設定処理における調整情報に基づく論理積の結果の一例を示す説明図である。ここで、図9は、図6に示す調整情報と図7に示す調整情報とに基づく論理積をとった場合の結果を示している。
【0080】
図9に示す例では、共振周波数、Q値、負荷変調強度、および入力調整値の全てにおいて、調整可能な通信特性が存在する。よって、図9に示すような論理積の結果が得られた場合には、通信装置100は、ステップS200において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定する。
【0081】
ここで、通信装置100は、例えば、いずれの通信特性においても論理積の結果が得られない場合に、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができないと判定する。つまり、通信装置100は、例えば、いずれかの通信特性において少なくとも一つの論理積が得られれば、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定する。
【0082】
なお、本発明の実施形態に係る重複する通信特性のパラメータの判定方法は、上述した調整情報に基づく論理積をとることに限られない。例えば、調整情報として離散的な調整値でなく上限と下限によって規定される調整可能な範囲を用意し、調整情報の範囲に含まれる数値を重複する通信特性パラメータと判定してもよい。また、調整情報として、離散的な調整値と上限と下限によって規定される調整可能な範囲を併用し、一方の離散値の調整情報が、他方の調整可能な範囲に含まれるか否かにより重複する通信特性パラメータを判定してもよい。
【0083】
再度図8を参照して、本発明の実施形態に係る調整値設定処理の一例について説明する。ステップS200において処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定されない場合には、通信装置100は、処理対象のアプリケーションを再設定する(S202)。
【0084】
ここで、ステップS202における処理対象のアプリケーションを再設定する方法としては、例えば、使用可能なアプリケーションを推定し、推定されたアプリケーションを処理対象のアプリケーションに設定することが挙げられる。より具体的には、通信装置100は、例えば、通信装置100の現在の位置を示す位置情報、および/または、現在の時間を示す時間情報を取得する。そして、通信装置100は、取得された位置情報が示す通信装置100の現在の位置、および/または、時間情報が示す現在の時間において、享受可能なサービスに対応するアプリケーションを、使用可能なアプリケーションとして推定する。
【0085】
上記のように、取得された位置情報が示す通信装置100の現在の位置、および/または、時間情報が示す現在の時間に基づいて処理対象のアプリケーションを再設定することによって、通信装置100は、現在の位置、および/または、現在の時間において使用
することができないサービスに対応するアプリケーションを、処理対象のアプリケーションとして再設定することが可能となる。したがって、通信装置100は、ステップS200の処理を再度行う場合において、論理積をとることができる可能性をより高めることができる。また、上記の処理により処理対象のアプリケーションから除外されたアプリケーションは、使用することができないサービスに対応するアプリケーションであるので、当該サービスに係る通信が正常に行えなくなる可能性が高まっても、特段の問題が生じる恐れはない。
【0086】
ここで、通信装置100は、例えば、通信装置100が備えるGPS(Global Positioning System)デバイスを用いて位置情報を取得するが、本発明の実施形態に係る通信装置100における位置情報の取得方法は、上記に限られない。例えば、通信装置100が、基地局を介した外部装置との通信を行う機能を有している場合には、サーバ(外部装置の一例)から基地局の位置を示す情報を位置情報として取得することも可能である。上記に場合であっても、通信装置100は、通信装置100のおおよその現在位置を特定することが可能であるので、取得された位置情報が示す通信装置100の現在の位置において享受可能なサービスに対応するアプリケーションを、使用可能なアプリケーションとして推定することができる。
【0087】
また、通信装置100は、例えば、通信装置100が備える時計を用いて時間情報を取得するが、本発明の実施形態に係る通信装置100における時間情報の取得方法は、上記に限られない。例えば、通信装置100が、サーバなどの外部装置と通信を行う機能を有している場合には、当該外部装置から時間情報を取得することも可能である。
【0088】
通信装置100は、例えば上記のように、取得された位置情報が示す通信装置100の現在の位置、および/または、時間情報が示す現在の時間に基づいて処理対象のアプリケーションを再設定する。
【0089】
なお、ステップS202における処理対象のアプリケーションを再設定する方法は、上記に限られない。例えば、通信装置100は、ステップS200の処理において処理対象となっていたアプリケーションそれぞれに設定されている優先度に基づいて、優先度が低い1または2以上のアプリケーションを処理対象から除外して、処理対象のアプリケーションを再設定することも可能である。
【0090】
ここで、アプリケーションの優先度は、例えば、操作部(後述する)から伝達されるユーザ操作に応じた操作信号、または、リモート・コントローラなどの外部操作デバイスから送信されたユーザ操作に応じた外部操作信号に基づいて、設定される。なお、本発明の実施形態に係るアプリケーションの優先度の設定方法は、上記に限られない。例えば、通信装置100は、アプリケーションの使用履歴を示す履歴情報に基づいて、使用頻度に応じた優先度を設定することも可能である。
【0091】
より具体的には、通信装置100は、例えば、履歴情報に記録されたアプリケーションの実行回数と、優先度ごとに予め規定された回数の範囲とに基づいて、実行回数がより多いアプリケーションの優先度がより高くなるように、優先度を設定する。
【0092】
また、アプリケーションが使用された位置を示す位置履歴情報、および/または、アプリケーションが使用された時間を示す時間履歴情報が、履歴情報に含まれている場合には、通信装置100は、さらに、位置情報と位置履歴情報、および/または、時間情報と時間履歴情報とに基づいて優先度を設定することも可能である。上記の場合には、通信装置100は、履歴情報のうちの、現在の位置および/または現在の時間に対応する履歴情報を用いて、優先度を設定することとなる。使用頻度に加え、現在の位置および/または現在の時間に基づいて優先度を設定することによって、通信装置100は、享受可能なサービスに対応するアプリケーションの優先度がより高くなるように、優先度を設定することができる。
【0093】
通信装置100は、ステップS202において、例えば上記のように処理対象のアプリケーションを再設定する。なお、本発明の実施形態に係るステップS202の処理は、上記に限られない。例えば、通信装置100は、ユーザにより選択されたアプリケーションを処理対象のアプリケーションとする、または、ユーザにより選択されたアプリケーションを処理対象のアプリケーションから除外することによって、処理対象のアプリケーションを再設定することも可能である。より具体的には、通信装置100は、ステップS200において処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定されない場合には、例えば、処理対象のアプリケーションをユーザに選択させることが可能な選択画面を、表示画面に表示させる。そして、通信装置100は、上記選択画面に対するユーザ操作に基づいて、処理対象のアプリケーションを再設定する。ここで、通信装置100は、例えば、通信装置100が備える表示部(後述する)の表示画面に上記選択画面を表示させるが、通信装置100における処理は、上記に限られない。例えば、通信装置100は、表示部(後述する)を備えているか否かによらず、外部表示デバイスの表示画面に上記選択画面を表示させることも可能である。
【0094】
ステップS202において処理対象のアプリケーションが再設定されると、通信装置100は、ステップS200の処理を再度行う。上記のように、ステップS202の処理によって、処理対象のアプリケーションの数は、より絞られる。よって、ステップS202の処理が行われることによって、再度行われるステップS200の処理において、論理積がとることができる可能性をより高めることが可能となる。また、通信装置100は、上記のように、例えば、通信装置100の現在の位置および/または現在の時間や、優先度に基づいて処理対象のアプリケーションの数を絞るので、処理対象のアプリケーションの数を絞ったとしても、処理対象のアプリケーションの数が絞られたことに起因する問題が生じる可能性は低減される。
【0095】
ステップS200において処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定された場合には、通信装置100は、論理積の結果に基づいて調整値を設定する(S204)。
【0096】
ここで、通信装置100は、例えば、調整可能な通信特性の数がより多い調整値を、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値として設定する。例えば論理積の結果が図9に示す結果であった場合には、通信装置100は、図9に示す3番目の調整値を、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値として設定する。なお、調整可能な通信特性の数が最大の調整値が複数存在する場合には、通信装置100は、例えば、より番号が小さい調整値を、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値として設定するが、上記の場合における調整値の設定方法は、上記に限られない。例えば、通信装置100は、調整可能な通信特性の数が最大の調整値の中からランダムに選択された調整値を、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値として設定することも可能である。
【0097】
なお、本発明の実施形態に係る調整値の設定方法は、上記に限られない。例えば、通信装置100は、“共振周波数の調整値として1を設定し、Q値の調整値として5を設定する”など、通信特性ごと(調整項目ごと)に異なる調整値を設定してもよい。
【0098】
通信装置100は、例えば図8に示す処理を行うことによって、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値として設定することができる。なお、本発明の実施形態に係る調整値設定処理は、図8に示す処理に限られない。例えば、通信装置100は、使用可能なサービスの推定結果に基づく処理対象のアプリケーションの再設定方法と、優先度に基づく処理対象のアプリケーションの再設定方法とを組み合わせて、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値を設定することも可能である。
【0099】
(ii)第2の例
図10は、本発明の実施形態に係る調整値設定処理の他の例を示す流れ図である。ここで、図10は、通信装置100が、使用可能なサービスの推定結果に基づく処理対象のアプリケーションの再設定方法と、優先度に基づく処理対象のアプリケーションの再設定方法とを組み合わせて、調整値を設定する処理の一例を示している。
【0100】
通信装置100は、図8に示すステップS200と同様に、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができるか否かを判定する(S300)。ステップS300において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定された場合には、通信装置100は、図8に示すステップS204と同様に、論理積の結果に基づいて調整値を設定する(S314)。
【0101】
また、ステップS300において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定されない場合には、通信装置100は、使用可能なサービスを推定する(S302)。そして、通信装置100は、推定結果に基づいて処理対象のアプリケーションを再設定する(S304)。ここで、通信装置100は、例えば、上述したように、取得された位置情報が示す通信装置100の現在の位置、および/または、時間情報が示す現在の時間に基づいて処理対象のアプリケーションを再設定する。
【0102】
ステップS304において処理対象のアプリケーションが再設定されると、通信装置100は、図8に示すステップS200と同様に、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができるか否かを判定する(S306)。ステップS306において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定された場合には、通信装置100は、図8に示すステップS204と同様に、論理積の結果に基づいて調整値を設定する(S314)。
【0103】
また、ステップS306において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定されない場合には、通信装置100は、アプリケーションごとに優先度を設定する(S308)。ここで、通信装置100は、例えば、上述したように、履歴情報に基づいて優先度を設定する。なお、アプリケーションごとの優先度が既に設定されている場合には、通信装置100は、例えば、ステップS308の処理を行わないことも可能である。
【0104】
ステップS308の処理が行われると、通信装置100は、優先度が最も低いアプリケーションを、処理対象のアプリケーションから除外する(S310)。そして、通信装置100は、図8に示すステップS200と同様に、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができるか否かを判定する(S312)。
【0105】
ステップS312において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定されない場合には、通信装置100は、ステップS310からの処理を繰り返す。また、ステップS312において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定された場合には、通信装置100は、図8に示すステップS204と同様に、論理積の結果に基づいて調整値を設定する(S314)。
【0106】
通信装置100は、例えば図10に示す処理を行うことによって、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値として設定することができる。なお、本発明の実施形態に係る調整値設定処理は、図10に示す処理に限られない。例えば、図10では、使用可能なサービスの推定結果に基づく処理対象のアプリケーションの再設定を行った後に、優先度に基づく処理対象のアプリケーションの再設定を繰り返し行う処理を行う例を示したが、通信装置100は、これらの再設定方法を任意の順番で繰り返し行うことも可能である。
【0107】
(iii)第1の例外処理
図8、図10に示すように、通信装置100は、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報の論理積をとることによって、調整値を設定する。ここで、通信装置100にインストールされるアプリケーションは、上述したように、ユーザによりインストールされたものである可能性がある。そのため、インストールされたアプリケーションが対応する調整情報における通信特性のパラメータが、通信装置100の通信部102が調整可能な通信特性の調整範囲内に含まれないことも起こりうる。
【0108】
そこで、本発明の実施形態に係る調整値設定処理における第1の例外処理として、共振周波数(通信特性の一例)を例に挙げて、上記の場合における通信装置100における処理の一例について説明する。
【0109】
通信装置100における調整可能な共振周波数の範囲が、例えば図6に示すように5段階で表される場合、通信装置100では、調整値1が選択されると調整可能な最低の共振周波数が設定され、調整値の番号が大きくなる程、共振周波数が高くなる。そして、通信装置100では、調整値5が選択されるときに、調整可能な最高の振周波数が設定される。
【0110】
上記の場合において、追加的にインストールされたアプリケーションにおいて使用可能な共振周波数(通信特性のパラメータの一例)が、例えば下記の場合には、通信装置100がいずれの調整値を用いたとしても、当該アプリケーションにおいて所望される要件を満たす通信性能が得られないことも想定される。
・上記アプリケーションにおいて使用可能な共振周波数が、調整値1で得られる共振周波数以下である場合
・上記アプリケーションにおいて使用可能な共振周波数が、調整値5で得られる共振周波数以上である場合
・上記アプリケーションにおいて使用可能な共振周波数が、各調整値の番号の狭間のみで得られる共振周波数である場合(例えば、調整値1と調整値2の間で得られる共振周波数のみで使用可能な場合)
【0111】
上記の場合には、通信装置100は、例えば、上記アプリケーションに対応する調整情報における通信特性のパラメータを調整し、選択的に調整されたアプリケーションごとの調整情報に基づいて、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値を設定する。より具体的には、通信装置100は、上記の場合には、例えば、通信装置100が調整可能な通信特性の調整範囲のうち、上記アプリケーションにおいて使用可能な共振周波数に最も近い共振周波数を、上記アプリケーションが対応する通信特性のパラメータとする。ここで、通信装置100は、例えば、調整情報において、“使用可能”な通信特性と通信特性の値との組合せ部分を増やすことによって、通信特性のパラメータを調整するが、通信特性のパラメータの調整方法は、上記に限られない。
【0112】
例えば上記のように調整情報における通信特性のパラメータを調整することによって、上記アプリケーションにおいて所望される要件を満たす通信性能を最大限に得られなくとも、正常に通信を行うことが可能な最低限の通信性能を得ることができる可能性が高まる。よって、上記第1の例外処理を行うことによって、通信装置100は、たとえインストールされたアプリケーションが対応する調整情報における通信特性のパラメータが、通信装置100の通信部102が調整可能な通信特性の調整範囲内に含まれない場合であっても、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことができる可能性をより高めることができる。
【0113】
(iv)第2の例外処理
また、例えば図8、図10では、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報が存在することを前提として説明したが、例えば、何らかの事情により、追加的にインストールされたアプリケーションに対応する調整情報が存在していない場合も想定される。そこで、次に、本発明の実施形態に係る調整値設定処理における第2の例外処理として、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報が存在していない場合における処理の一例について説明する。
【0114】
上記のように処理対象のアプリケーションに対応する調整情報が存在していない場合には、通信装置100は、例えば、調整情報が存在していないアプリケーションを配信しているサーバなどの外部装置と通信を行い、当該外部装置から調整情報を取得する。なお、通信装置100は、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報が存在している場合であっても、上記と同様に、サーバなどの外部装置から最新の調整情報を取得することが可能であることは、言うまでもない。
【0115】
また、サーバなどの外部装置から調整情報を取得することができない場合には、通信装置100は、調整情報が存在していないアプリケーションを、処理対象のアプリケーションから除外する。
【0116】
例えば上記のような第2の例外処理を行うことによって、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報が存在しないことを回避することが可能となる。
【0117】
通信装置100は、調整値設定処理として、例えば上記(i)の処理〜(iv)の処理を行う。なお、本発明の実施形態に係る調整値設定処理が、上記(i)の処理〜(iv)の処理に限られないことは、言うまでもない。
【0118】
再度図5を参照して、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の一例について説明する。ステップS102において通信部102の通信特性の調整に用いる調整値が設定されると、通信装置100は、設定された調整値に基づく調整信号を通信部102へ伝達することによって、通信特性を調整する(S104)。より具体的には、通信装置100(より厳密には、例えば後述する調整制御部)は、例えば、RAMなどの記録媒体に記録された調整値(設定された調整値の一例)を当該記録媒体から読み出し、読み出した調整値に基づく調整命令をMPU118(処理部)へ伝達する。そして、例えばMPU118が調整命令に対応する調整信号をバッファ126を介して調整部114に伝達することによって、通信装置100は、通信部102の通信特性を調整する。
【0119】
通信装置100は、例えば図5に示す処理を行うことによって、処理対象のアプリケーションの全てが通信を行うことが可能な調整値を設定し、設定された調整値を用いて通信特性を調整して通信を行うことができる。したがって、通信装置100は、処理対象のアプリケーションに対応するサービスを提供する1、または2以上のインフラ側装置それぞれの通信特性が異なっていたとしても、インフラ側装置それぞれと通信を行うことができる。また、通信装置100のユーザは、通信装置100を用いて、通信特性が異なるインフラ側装置が提供する様々なサービスを享受することができる。
【0120】
なお、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理は、図5に示す処理に限られない。例えば、一旦通信特性が調整されたとしても、調整された通信特性を用いて通信が行われた結果、所望の通信性能が得られない可能性もゼロではない。そこで、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の他の例として、通信部102が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合において、通信特性を再度調整することが可能な処理の一例について説明する。
【0121】
図11は、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の他の例を示す流れ図である。
【0122】
通信装置100は、継続して外部磁界(搬送波の一例)が検知されているか否かを判定する(S400)。ここで、ステップS400の判定は、例えば、通信部102を構成するICチップ112のMPU118が行うが、制御部106が行ってもよい。
【0123】
ステップS400において継続して外部磁界が検知されていると判定されない場合には、通信装置100は、調整処理を行う(S402)。ここで、ステップS402における調整処理としては、例えば、図5に示す処理が挙げられる。そして、通信装置100は、図11に示す処理を終了する。なお、図11に示す処理は、一度終了すれば再度行われない類の処理ではなく、定期的にまたは非定期的に行われる。
【0124】
また、ステップS400において継続して外部磁界が検知されていると判定された場合には、通信装置100は、検知されてから一定時間が経過したか否かを判定する(S404)。ここで、ステップS404の判定は、例えば、通信部102を構成するICチップ112のMPU118が行うが、制御部106が行ってもよい。また、ステップS404に係る一定時間は、例えば、予め規定された固定の時間であってもよいし、ユーザが適宜調整可能な時間であってもよい。
【0125】
ステップS404において検知されてから一定時間が経過したと判定されない場合には、通信装置100は、一定時間が経過したと判定されるまで処理を進めない。
【0126】
また、ステップS404において検知されてから一定時間が経過したと判定された場合には、通信装置100は、通信が行われたか否かを判定する(S406)。ここで、ステップS406の判定は、例えば、通信部102を構成するICチップ112から伝達される通信を行っている旨の通知に基づいて制御部106が行うが、通信装置100における処理は、上記に限られない。
【0127】
ステップS406において通信が行われたと判定された場合には、通信装置100は、通信特性を調整せずに、図11に示す処理を終了する。
【0128】
また、ステップS406において通信が行われたと判定されない場合には、通信装置100は、処理対象のアプリケーションのうちの、優先度が最高のアプリケーションの優先度を、最低に変更する(S408)。例えば上記のように、処理対象となっているアプリケーションそれぞれに設定されている優先度のうち、優先度が高い1または2以上のアプリケーションの優先度を下げることによって、通信装置100は、後述するステップS410、S412の処理において、変更前に優先度が高かった1または2以上のアプリケーションが除外される可能性が高くなる。よって、通信装置100は、通信特性の再調整後に通信が行える可能性をより高めることができる。なお、ステップS406において通信が行われたと判定されない場合における処理が、優先度が最高のアプリケーションの優先度を最低に変更することに限られないことは、言うまでもない。
【0129】
ステップS408の処理が行われると、通信装置100は、図10に示すステップS310と同様に、優先度が最も低いアプリケーションを、処理対象のアプリケーションから除外する(S410)。そして、通信装置100は、図8に示すステップS200と同様に、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができるか否かを判定する(S412)。
【0130】
ステップS410において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定されない場合には、通信装置100は、ステップS410からの処理を繰り返す。
【0131】
また、ステップS412において、処理対象のアプリケーションに対応する調整情報に基づく論理積をとることができると判定された場合には、通信装置100は、図8に示すステップS204と同様に、論理積の結果に基づいて調整値を設定する(S414)。そして、通信装置100は、図5に示すステップS104と同様に、設定された調整値に基づく調整信号を通信部102へ伝達することによって、通信特性を調整する(S416)。
【0132】
また、通信装置100は、ステップS412の処理において除外されたアプリケーションを、処理対象のアプリケーションに再度加え(S418)、図11に示す処理を終了する。
【0133】
通信装置100は、通信部102が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合には、例えば図11に示す処理を行うことによって、通信特性の調整を再度行う。よって、通信装置100は、図11に示す処理によって、受信している搬送波を送信した外部装置との間で通信が行える可能性をより高めることができる。
【0134】
なお、通信部102が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合における処理は、図11に示す処理に限られない。例えば、通信装置100のユーザは、自己が利用しようとするサービスを把握している可能性が高い。よって、ユーザに利用しようとするサービスを選択させ、選択されたサービスに対応するアプリケーションの調整情報に基づいて通信特性を調整すれば、受信している搬送波を送信した外部装置との間で通信が行える可能性をより高めることが可能となる。
【0135】
図12は、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理の他の例を示す流れ図である。ここで、図12は、通信部102が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合において、通信装置100が、ユーザにより選択されたサービスに対応するアプリケーションの調整情報に基づいて通信特性を再調整する場合の処理の一例を示している。
【0136】
通信装置100は、図11に示すステップS400と同様に、継続して外部磁界(搬送波の一例)が検知されているか否かを判定する(S500)。ステップS500において継続して外部磁界が検知されていると判定されない場合には、通信装置100は、図11に示すステップS402と同様に、調整処理を行う(S502)。そして、通信装置100は、図12に示す処理を終了する。なお、図12に示す処理は、一度終了すれば再度行われない類の処理ではなく、定期的にまたは非定期的に行われる。
【0137】
また、ステップS500において継続して外部磁界が検知されていると判定された場合には、通信装置100は、図11に示すステップS404と同様に、検知されてから一定時間が経過したか否かを判定する(S504)。ステップS504において検知されてから一定時間が経過したと判定されない場合には、通信装置100は、一定時間が経過したと判定されるまで処理を進めない。
【0138】
また、ステップS504において検知されてから一定時間が経過したと判定された場合には、通信装置100は、図11に示すステップS406と同様に、通信が行われたか否かを判定する(S506)。ステップS506において通信が行われたと判定された場合には、通信装置100は、通信特性を調整せずに、図12に示す処理を終了する。
【0139】
また、ステップS506において通信が行われたと判定されない場合には、通信装置100は、サービスをユーザに選択させるためのサービス選択画面を表示画面に表示する(S508)。
【0140】
ここで、通信装置100は、アプリケーションに優先度が設定されている場合には、当該優先度に基づいて上記サービス選択画面を表示させることも可能である。優先度に基づくサービス選択画面としては、例えば、対応するアプリケーションの優先度が高い順にサービスの選択肢が並べられたサービス選択画面や、優先度が高いアプリケーションに対応するサービスの選択アイコンが大きく表示されたサービス選択画面などが挙げられる。また、通信装置100は、例えば、通信装置100が備える表示部(後述する)の表示画面に上記サービス選択画面を表示させるが、通信装置100における処理は、上記に限られない。例えば、通信装置100は、表示部(後述する)を備えているか否かによらず、外部表示デバイスの表示画面に上記サービス選択画面を表示させることも可能である。また、図12では、通信装置100が、サービス選択画面を表示画面に表示する例をしめしたが、通信装置100がステップS508において表示させる画面は、上記サービス選択画面に限られない。例えば、通信装置100は、アプリケーションを選択する選択画面をステップS508において表示させてもよい。
【0141】
ステップS508においてサービス選択画面を表示画面に表示すると、通信装置100は、サービスが選択されたか否かを判定する(S510)。ステップS510において、サービスが選択されたと判定されない場合には、通信装置100は、サービスが選択されたと判定されるまで処理を進めない。なお、図12では示していないが、例えば予め規定された所定の時間が経過してもサービスが選択されたと判定されない場合には、エラー画面を表示して図12に示す処理を終了してもよい(いわゆる、タイムアウト)。
【0142】
また、ステップS510において、サービスが選択されたと判定された場合には、通信装置100は、選択されたサービスに対応するアプリケーションの調整情報に基づいて、調整値を設定する(S512)。そして、通信装置100は、図5に示すステップS104と同様に、設定された調整値に基づく調整信号を通信部102へ伝達することによって、通信特性を調整する(S514)。
【0143】
通信装置100は、通信部102が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合には、例えば図12に示す処理を行うことによって、通信特性の調整を再度行う。よって、通信装置100は、図12に示す処理によって、ユーザにより選択されたサービスに対応するように通信特性を調整することができるので、受信している搬送波を送信した外部装置との間で通信が行える可能性をより高めることができる。
【0144】
通信装置100は、例えば、図5、図11、図12に示す処理を、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理として行う。なお、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理が、図5、図11、図12に示す処理に限られないことは、言うまでもない。
【0145】
(本発明の実施形態に係る通信装置)
次に、上述した本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を行うことが可能な、本発明の実施形態に係る通信装置100の構成について説明する。
【0146】
図13は、本発明の実施形態に係る通信装置100の構成の一例を示すブロック図である。通信装置100は、例えば、通信部102と、記憶部104と、制御部106とを備える。
【0147】
また、通信装置100は、例えば、ROM(Read Only Memory。図示せず)や、RAM(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、各種画面を表示画面に表示する表示部(図示せず)などを備えていてもよい。通信装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続する。
【0148】
ROM(図示せず)は、制御部106が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、制御部106により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
【0149】
操作部(図示せず)としては、例えば、ボタンや、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、表示部(図示せず)としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)や有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)ともよばれる。)などが挙げられる。表示部(図示せず)は、例えばタッチスクリーンなど、表示とユーザ操作とが可能なデバイスであってもよい。また、通信装置100は、通信装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や、外部表示デバイスと接続することもできる。
【0150】
〔通信装置100のハードウェア構成例〕
図14は、本発明の実施形態に係る通信装置100のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図14を参照すると、通信装置100は、例えば、MPU150と、ROM152と、RAM154と、記録媒体156と、入出力インタフェース158と、操作入力デバイス160と、表示デバイス162と、非接触通信回路164と、通信インタフェース166と、GPSデバイス168とを備える。また、通信装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス170で各構成要素間を接続する。
【0151】
MPU150は、MPUや、制御機能を実現するための各種回路が集積された集積回路などで構成され、通信装置100全体を制御する制御部106として機能する。また、MPU150は、通信装置100において、後述する設定部144、および調整制御部146としての役目を果たすこともできる。
【0152】
ROM152は、例えばMPU150が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶し、また、RAM154は、例えばMPU150により実行されるプログラムなどを一次的に記憶する。
【0153】
記録媒体156は、通信装置100における記憶手段であり、記憶部104として機能する。記録媒体156には、例えば、アプリケーションや、調整情報などが記憶される。ここで、記録媒体156としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、フラッシュメモリ(flash memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられる。また、記録媒体156は、通信装置100から着脱可能であってもよい。
【0154】
入出力インタフェース158は、例えば、操作入力デバイス160や、表示デバイス162を接続する。操作入力デバイス160は、操作部(図示せず)として機能し、また、表示デバイス162は、表示部(図示せず)として機能する。ここで、入出力インタフェース160としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子や、DVI(Digital Visual Interface)端子、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子、各種処理回路などが挙げられる。また、操作入力デバイス160は、例えば、通信装置100上に備えられ、通信装置100の内部で入出力インタフェース158と接続される。操作入力デバイス160としては、例えば、ボタン、方向キー、ジョグダイヤルなどの回転型セレクター、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられる。また、表示デバイス162は、例えば、通信装置100上に備えられ、通信装置100の内部で入出力インタフェース158と接続される。表示デバイス162としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどが挙げられる。なお、入出力インタフェース158が、通信装置100の外部装置としての操作入力デバイス(例えば、キーボードやマウスなど)や表示デバイス(例えば、外部ディスプレイなど)と接続することも可能であることは、言うまでもない。また、表示デバイス162は、例えばタッチスクリーンなどのように、表示とユーザ操作とが可能なデバイスであってもよい。
【0155】
非接触通信回路164は、通信装置100が備える通信手段であり、外部装置との間においてNFCに係る非接触通信を行う役目を果たす。ここで、非接触通信回路164は、例えば図1に示す構成をとるが、非接触通信回路164の構成は、図1に示す構成に限られない。
【0156】
通信インタフェース166は、通信装置100が備える他の通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)外部装置と無線/有線で通信を行う役目を果たす。ここで、通信インタフェース166としては、例えば、通信アンテナおよびRF(Radio Frequency)回路(無線通信)や、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)、IEEE802.11bポートおよび送受信回路(無線通信)、あるいはLAN(Local Area Network)端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。また、本発明の実施形態に係るネットワークとしては、例えば、LANやWAN(Wide Area Network)などの有線ネットワーク、基地局を介した無線WAN(WWAN;Wireless Wide Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられる。
【0157】
GPSデバイス168は、通信装置100が備える位置情報取得手段である。
【0158】
通信装置100は、例えば図14に示す構成によって、上述した通信制御方法に係る処理を行う。なお、本発明の実施形態に係る通信装置100のハードウェア構成は、図14に示す構成に限られない。例えば、通信装置100は、図14に示す操作デバイス160や表示デバイス162、GPSデバイス168を備えない構成であってもよい。また、通信装置100は、図14に示す非接触通信回路164、または、通信インタフェース166のいずれか一方を備えない構成をとることも可能である。また、通信装置100は、時間情報取得手段としての時計を備えていてもよい。
【0159】
再度図13を参照して通信装置100の構成の一例について説明する。通信部102は、通信装置100が備える通信手段であり、ネットワークを介して(あるいは、直接的に)、例えば、リーダ/ライタなどのインフラ側装置や、サーバなどの外部装置と無線/有線で通信を行う役目を果たす。また、通信部102は、通信特性を調整可能な構成を有する。
【0160】
ここで、通信部102としては、例えば図1に示す構成(NFCに係る非接触通信を行うための構成)が挙げられるが、本発明の実施形態に係る通信部102の構成は、図1に示す構成に限られない。例えば、通信部102は、接触型の非接触通信、近傍型の非接触通信、UHF帯などの遠方型の非接触通信など、通信特性を調整することが可能な様々な通信方式に対応する構成をとることができる。なお、図13では、通信装置100が1つの通信部を備える構成を示しているが、本発明の実施形態に係る通信装置100は、例えば、複数の通信部を備えていてもよい。
【0161】
記憶部104は、通信装置100が備える記憶手段である。ここで、記憶部104としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。
【0162】
また、記憶部104は、例えば、通信に係るアプリケーションなどの各種アプリケーションや、調整情報などを記憶する。ここで、図13では、アプリケーションA180、アプリケーションB182、…と、アプリケーションA180に対応する調整情報A、アプリケーションB182に対応する調整情報B、…とが、記憶部104に記憶されている例を示している。
【0163】
制御部106は、例えば、MPUなどで構成され、通信装置100全体を制御する役目を果たす。また、制御部106は、設定部144と、調整制御部146とを備え、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。
【0164】
設定部144は、処理対象として設定されているアプリケーション(処理対象のアプリケーション)に対応する調整情報に基づいて、通信部102の通信特性の調整に用いる調整値を設定する。より具体的には、設定部144は、例えば、図5に示すステップS102の処理を主導的に行う。
【0165】
調整制御部146は、設定部144において設定された調整値に基づいて、通信部102に通信特性を調整させる。より具体的には、調整制御部146は、例えば、図5に示すステップS104の処理を主導的に行う。
【0166】
制御部106は、例えば、設定部144、および調整制御部146を備えることによって、例えば図5に示すような本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を主導的に行う。なお、本発明の実施形態に係る制御部106の構成は、図13に示す構成に限られない。例えば、制御部106は、図5に示すステップS100の処理を行うアプリケーション設定部や、上述した例外処理を行う例外処理部など、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理をより細かに制御する機能ブロックを備えていてもよい。
【0167】
通信装置100は、例えば図13に示す構成を有することによって、上述した本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を実現することができる。したがって、通信装置100は、例えば図13に示す構成によって、処理対象のアプリケーションに対応するサービスを提供する1、または2以上のインフラ側装置それぞれの通信特性が異なっていたとしても、インフラ側装置それぞれと通信を行うことができる。
【0168】
なお、本発明の実施形態に係る通信装置100の構成は、図13に示す構成に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る通信装置100は、図1に示す通信部102で構成されることも可能である。上記の場合には、例えば、図1に示すICチップ112のMPU118(処理部)が、制御部106の役目を果たし、ICチップ112の内部メモリ122が記憶部104の役目を果たす。上記の構成であっても、通信装置100は、上述した本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を実現することが可能である。
【0169】
また、本発明の実施形態に係る通信装置100は、例えば、記憶部104を備えず、有線/無線で接続された外部装置が備える記憶媒体(外部記憶部)に記憶された、通信に係るアプリケーションと調整情報とを、当該外部装置から適宜取得して処理する構成であってもよい。上記の構成であっても、通信装置100は、上述した本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を実現することが可能である。
【0170】
以上のように、本発明の実施形態に係る通信装置100は、通信に係るアプリケーションごとの調整情報に基づいて、処理対象のアプリケーションの全てが通信を行うことが可能な、通信特性の調整に用いる調整値を設定する。そして、通信装置100は、設定された上記調整値を用いて通信特性を調整して通信を行う。したがって、通信装置100は、処理対象のアプリケーションに対応するサービスを提供する1、または2以上のインフラ側装置それぞれの通信特性が異なっていたとしても、インフラ側装置それぞれと通信を行うことができる。また、通信装置100のユーザは、通信装置100を用いて、通信特性が異なるインフラ側装置が提供する様々なサービスを享受することができる。
【0171】
また、通信装置100は、一旦通信特性を調整した後であっても、自動的に、または、ユーザにより選択されたサービス(または、アプリケーション)に応じて、再度通信特性の調整を行うことができる。よって、仮に、一旦通信特性を調整した後に通信が正常に行えないことが生じたとしても、通信装置100は、再度通信特性の調整を行うことによって、通信を正常に行うことが可能である。また、例えば、製品出荷後や、ユーザにより通信装置100の使用が開始された後に、新たなサービスが提供される場合であっても、通信装置100は、当該サービスに対応するアプリケーションと調整情報とを用いることによって、当該サービスに事後的に対応することができる。
【0172】
以上、本発明の実施形態として通信装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。本発明の実施形態は、例えば、携帯電話などの携帯型通信装置、ICカード、RFIDタグ、PC(Personal Computer)などのコンピュータ、映像/音楽再生装置(または映像/音楽記録再生装置)、携帯型ゲーム機など、通信機能を有する様々な機器に適用することができる。
【0173】
(本発明の実施形態に係るプログラム)
コンピュータを、本発明の実施形態に係る通信装置として機能させるためのプログラム(例えば、本発明の実施形態に係る通信制御方法に係る処理を実現するためのプログラム)によって、通信特性が異なるインフラ側装置それぞれと通信を行うことが可能となる。また、上記プログラムを実行することが可能なコンピュータを用いることによって、ユーザは、通信特性が異なるインフラ側装置が提供する様々なサービスを享受することができる。
【0174】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0175】
例えば、上記では、コンピュータを、本発明の実施形態に係る通信装置として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本発明の実施形態は、さらに、上記プログラムをそれぞれ記憶させた記録媒体も併せて提供することができる。
【0176】
上述した構成は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、当然に、本発明の技術的範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0177】
100 通信装置
102 通信部
104 記憶部
106 制御部
110 通信アンテナ
114 調整部
144 設定部
146 調整制御部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信特性を調整可能な通信部と、
通信に係るアプリケーションごとに設定されている、調整が可能な通信特性のパラメータのうちの、処理対象のアプリケーションに対応する前記パラメータに基づいて、前記通信部の通信特性の調整に用いる調整値を設定する設定部と、
前記調整値に基づいて、前記通信部に通信特性を調整させる調整制御部と、
を備える、通信装置。
【請求項2】
前記設定部は、処理対象の前記アプリケーションが複数ある場合には、
前記アプリケーションごとの前記パラメータに基づいて、複数の処理対象の前記アプリケーションが通信を行うために調整が可能な、重複する通信特性のパラメータを判定し、
重複する前記通信特性のパラメータに対応する前記調整値を設定する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記設定部は、
重複する前記通信特性のパラメータがない場合には、処理対象の前記アプリケーションを再設定し、
再設定された処理対象の前記アプリケーションごとの前記パラメータに基づいて、前記調整値を設定する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記設定部は、現在の前記通信装置の位置を示す位置情報、および/または、現在の時間を示す時間情報を用いて使用可能なアプリケーションを推定し、推定されたアプリケーションを処理対象のアプリケーションとして再設定する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記設定部は、処理対象となっていたアプリケーションそれぞれに設定されている優先度に基づいて優先度が低い1または2以上のアプリケーションを処理対象から除外して、処理対象のアプリケーションを再設定する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記設定部は、アプリケーションごとの、アプリケーションの使用履歴を示す履歴情報に基づいて、使用頻度に応じた前記優先度を設定する、請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記履歴情報には、アプリケーションが使用された位置を示す位置履歴情報、および/または、アプリケーションが使用された時間を示す時間履歴情報が含まれ、
前記設定部は、現在の前記通信装置の位置を示す位置情報と前記位置履歴情報、および/または、現在の時間を示す時間情報と前記時間履歴情報に基づいて、前記履歴情報のうちの、現在の前記通信装置の位置および/または現在の時間に対応する前記履歴情報に基づく前記優先度を設定する、請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記通信部が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合には、処理対象となっているアプリケーションそれぞれに設定されている優先度のうち、優先度が高い1または2以上のアプリケーションの優先度を下げて、前記調整値を再設定する、請求項5に記載の通信装置。
【請求項9】
前記設定部は、前記通信部が通信対象の外部装置から送信された搬送波を受信しているときに所定の時間通信が行えない場合には、ユーザにより選択されたアプリケーションに対応するパラメータに基づいて、前記調整値を再設定する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
前記設定部は、
重複する前記通信特性のパラメータがない場合には、1または2以上の処理対象のアプリケーションに対応する前記パラメータを調整し、
調整された前記パラメータに基づいて、複数の前記アプリケーションが通信を行うために調整が可能な、重複する通信特性のパラメータを判定する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記通信部は、
搬送波の送受信を行う通信アンテナと、
伝達される調整信号に基づいて、前記通信特性を調整する調整部と、
前記調整制御部から伝達される調整命令に基づいて、前記調整信号を前記調整部に伝達する処理部と、
を備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記通信アンテナは、所定のインダクタンスを有するコイルと所定の静電容量を有するキャパシタとを備える共振回路を有し、
前記調整部は、前記通信特性として、前記通信アンテナの共振周波数、および/または、前記通信アンテナのQ値を調整する、請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信部が、所定周波数の搬送波を用いた非接触通信により通信対象の外部装置と通信を行う場合、
前記調整部は、前記通信特性として、負荷変調の強度、および/または、前記通信アンテナが受信した、前記外部装置から送信された送信信号に基づく信号の減衰量を調整する、請求項11または12に記載の通信装置。
【請求項14】
前記通信部は、所定のインダクタンスを有するコイルと所定の静電容量を有するキャパシタとを備え、共振周波数が相異なる共振回路をそれぞれ有する、複数の前記通信アンテナを備え、
前記調整部は、複数の前記通信アンテナのうちの一の通信アンテナを選択して、前記通信特性として、通信に用いられる前記通信アンテナの共振周波数を調整する、請求項11に記載の通信装置。
【請求項15】
1または2以上の前記アプリケーションと、前記アプリケーションに対応する前記パラメータとを記憶する記憶部をさらに備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項16】
通信に係るアプリケーションごとに設定されている、調整が可能な通信特性のパラメータのうちの、処理対象のアプリケーションに対応する前記パラメータに基づいて、通信特性を調整可能な通信部の通信特性の調整に用いる調整値を設定するステップと、
前記調整値に基づいて、前記通信部に通信特性を調整させるステップと、
を有する、通信制御方法。
【請求項17】
通信に係るアプリケーションごとに設定されている、調整が可能な通信特性のパラメータのうちの、処理対象のアプリケーションに対応する前記パラメータに基づいて、通信特性を調整可能な通信部の通信特性の調整に用いる調整値を設定するステップ、
前記調整値に基づいて、前記通信部に通信特性を調整させるステップ、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−205216(P2012−205216A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70006(P2011−70006)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(504134520)フェリカネットワークス株式会社 (129)
【Fターム(参考)】