説明

通信装置及び通信方法

【課題】2つの通信装置間で通信を行うときに、その利用者が表示を参照しやすいように、表示の向きを整えることができるようにする。
【解決手段】無線もしくは有線による通信を制御する通信制御手段と、文字もしくは画像を表示するための表示手段と、前記表示手段に表示する内容を制御するための表示制御手段とを備え、表示制御手段は、前記通信制御手段によって他の装置との通信が確立している間に、前記表示手段による表示内容を回転して表示するようにして、通信装置の表示内容を違和感なく参照できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置及び通信方法に関し、特に、表示手段を備えた通信装置、もしくは通信相手が表示手段を備えている通信装置に用いて好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の通信装置間で行なわれる通信において、各々が備えた表示装置を連携させる技術が公開されている。例えば、特許文献1では、通信接続された複数端末に対して同一の画像回転や画像反転を行い各々に表示することが開示されている。
【0003】
また、近年実用化されている近接無線技術においては、装置間で通信を行うために、双方の装置をある決められた配置条件内に保持することが求められている。例えば、特許文献2に示されている通信端末間の赤外線通信においては、端末の先端部に配置された赤外線発光部および受光部を双方が付き合わせて通信を行う構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−21163号公報
【特許文献2】特開2001−237953号公報
【特許文献3】特開平5−197349号公報
【特許文献4】特開2005−24979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の画像表示制御方法は、複数端末に同じ情報を表示することを目的としており、複数端末の表示を同時に閲覧することは考慮されていなかった。また、特許文献2に記載の携帯情報端末装置では、2台の端末の画面を同時に閲覧可能な物理的構成であるにもかかわらず、2台の表示を連携させて情報を豊かにするような工夫はされていなかった。特に、一方の端末の利用者にとっては、通信相手の端末の画面は天地が逆に見えるため、視界には入るものの、参照しやすいものではなかった。
【0006】
本発明は前述の問題点に鑑み、2つの通信装置間で通信を行うときに、その利用者が表示を参照しやすいように、表示の向きを整えることができるようにすることを目的とする。
もしくは、2つの通信装置間で通信を行うときに、各々が備えた表示装置の連携による効果をその利用者が享受しやすいように、表示の向きを揃えることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信装置は、無線もしくは有線による通信を制御する通信制御手段と、文字もしくは画像を表示するための表示手段と、前記表示手段に表示する内容を制御するための表示制御手段とを備え、表示制御手段は、前記通信制御手段によって他の装置との通信が確立している間に、前記表示手段による表示内容を回転して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、他の通信装置と通信を行うときに表示を回転させることができるので、利用者は一方の通信装置の方向から他方の通信装置の表示内容を違和感なく参照できる。また、双方の通信装置がともに表示手段を備えている場合は、双方で連携した表示を行うことが容易になる。
また、本発明の他の特徴によれば、通信装置および通信装置の間の通信においては、通信装置の表示の向きを揃えるための指示を通信装置によって行うことができる。これによって、利用者は一方の通信装置の方向から他方の通信装置の表示内容を違和感なく参照できる。また、双方の通信装置がともに表示手段を備えている場合は、双方で連携した表示を行うことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るビデオカメラの配置例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るビデオカメラの動作を示すフローチャートである。
【図4】フレームバッファの読み出し方向の関係を示す図である。
【図5】第1の実施形態で静止画像を通信転送するときの画面効果を示す図である。
【図6】第1の実施形態で転送する動画像を選択するときの画面効果を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係るビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態に係るビデオカメラの動作を示すフローチャートである。
【図9】図5の表示制御を表すフローチャートである。
【図10】図6の表示制御を表すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態に係るビデオカメラの配置例を示す図である。
【図12】第3の実施形態に係るビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
【図13】第3の実施形態に係るビデオカメラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態によるデジタルビデオカメラについて説明する。
図1は、デジタルビデオカメラにおいて、本発明に係る表示を行ったときのカメラの配置の一例を示す図である。
【0011】
図1に示す2台のビデオカメラ(101、111)は、文字もしくは画像を表示する表示手段であるLCDパネル部(102、112)の上辺付近に通信手段である近接無線用のアンテナ(103、113)をそれぞれ内蔵している。この場合、図1のように、ビデオカメラ同士を向かい合わせに置いて、LCDパネル部(102、112)がそれぞれ上を向くようにヒンジ部(104、114)を調節することによって、アンテナ(103、113)を互いに接近させることができる。さらに、このとき双方のLCDパネル部(102、112)を両方同時に覗き込むことができるような配置となる。
【0012】
ただし、図1の装置レイアウトは一例であり、双方の表示装置の同じ方向の辺、すなわち、上辺同士もしくは下辺同士もしくは左辺同士もしくは右辺同士が互いに接近したときに通信できるような構成であれば、本発明は図1には限定されない。通信方式は、例えばNFCやTransfer Jet(登録商標)が適用できる。あるいは、アンテナが必要な通信方式、すなわち電波による無線でなくとも、光や磁気によるものであってもよいし、有線通信であっても構わない。アンテナや、それに相当する発光部、受光部、磁気コイル、接続端子等の通信手段は、ビデオカメラに内蔵する形態でも、本体内部や外装に外部装置を装着するような形態でも構わない。いずれの場合も、後述するCPU206が通信制御部208を介してこれらの通信手段を制御する。ビデオカメラの操作には、ジョイスティック(105、115)を用いる。
【0013】
本実施形態では、2台のビデオカメラのうち1台(第1のビデオカメラ101)が状況に応じてLCDパネル102の表示を180度回転して表示する。これによって、利用者は第2のビデオカメラ111の側から2台のビデオカメラ双方のLCDパネル部(102、112)の表示内容を容易に視認できる。この効果の具体的な利用方法は後述する。
【0014】
図2は、第1のビデオカメラ101の内部のデータパスを示すブロック図である。
図2において、201はアナログ映像信号を入力するためのカメラ部、202はカメラ部201のアナログ映像信号をデジタルの動画データにし、適切に補正するための映像処理部である。
【0015】
カメラ部201は、被写体からの光を結像させるためのレンズ、レンズによって結像された被写体像を光電変換する撮像素子、撮像素子を駆動する回路等も含む。204は映像処理部202による動画データを符号化するためのエンコーダ・デコーダ部である。エンコーダ・デコーダ部204によって符号化された動画データは、一次記憶部203にいったん記憶された後、付随する管理データとともに動画記憶部205に記憶される。206は装置全体の動作を制御するためのCPUである。
【0016】
動画の再生時は逆に、動画記憶部205から読み出された符号化された動画データが一次記憶部203を介してエンコーダ・デコーダ部204で復号化され、再び一次記憶部203内の動画用フレームバッファに展開される。また、動画記憶部205から読み出された管理データは、CPU206によるOSD生成に利用され、一次記憶部203内のOSD用フレームバッファに描画される。動画用フレームバッファとOSD用フレームバッファの内容は表示制御部209で重畳されてLCDパネル102に表示されるか、もしくは映像出力端子210から映像出力される。
【0017】
CPU206は、プログラム・データ記憶部207からプログラムを読み込んで前述した動作を制御する。一次記憶部203は、CPU206のワーク領域としても機能する。105はユーザによる動作指示を受け付けるためのジョイスティックである。他の装置との通信は、通信制御部208およびアンテナ103を経由して行われる。CPU206はジョイスティック105および通信制御部208の挙動に従って装置全体の動作状態を遷移させる。
【0018】
図3は、第1のビデオカメラ101において、他装置との通信の確立から終了するまでの動作を表すフローチャートである。図3のフローチャートの動作は、CPU206が、各部の動作を制御することにより実現される。
他装置である第2のビデオカメラ111との通信が確立したら(S301)、表示の回転を行うかどうかを判定する(S302)。この条件は、具体的には例えば下記のいずれかとなることが考えられる。
【0019】
(イ)接続が確立したとき(直ちに真となる)。(ロ)通信によって特定のデータ送受信が開始されたとき。(ハ)ジョイスティック105によって特定の操作がなされたとき。(ニ)通信によって第2のビデオカメラ111から特定の指示を受けたとき。前述した(イ)〜(ニ)の条件が満たされずに通信が終了したとき(S303)は、そのまま処理を終了する。
【0020】
S302の条件を満たしたときは、LCDパネル102の表示を180度回転する(S304)。このとき、第2のビデオカメラ111のLCDパネル112は回転していないので、利用者が第2のビデオカメラ111の側から両ビデオカメラのLCDパネル102および112を覗きこんだ場合、双方の表示を自然な方向で閲覧することができる。
【0021】
この後、回転表示を終了する条件(S305)も次のような場合が考えられる。
(a)接続を終了する。(b)通信による特定のデータ送受信が終了したとき。(c)ジョイスティック105によって特定の操作がなされたとき。(d)通信によって第2のビデオカメラ111から特定の指示を受けたとき。前述した(a)〜(d)の条件が満たされたら、LCDパネル102の表示を元の状態に戻す(S306)。表示を元に戻した状態は、180度回転した表示を基準に考えれば、さらに180度回転した状態と捉えることもできる。最後に通信を終了する(S307)。
【0022】
ところで、本発明における回転表示はどのような手段で行っても構わないが、ここでは例として3つの方法を挙げる。
一つ目の方法は、一次記憶部203内のフレームバッファへ描画する際に座標変換を行う方法である。任意の図形を回転させた図形を得る方法として、アフィン変換が知られている。ある座標(x1、y1)について、原点(x0、y0)を中心にθラジアンだけ回転させた座標(x2、y2)を得るためのアフィン変換は式1で表される。この方法を用いた場合は、表示を任意の角度で回転させることが可能であり、また、画面内の表示要素の一部分だけを回転させて表示することも可能である。
【0023】
【数1】

【0024】
二つ目の方法は、フレームバッファの読み出し順を変更する方法である。
図4は、フレームバッファと読み出し方向の関係を示す図である。フレームバッファは401aのような2次元平面で表され、動画データであれば一般的には左上端のピクセル402aから右方向に向かって順に描画され、右端までたどり着いたら一ライン下の左端へ描画位置を移動する。この繰り返しによる走査で右下端のピクセル403aまでたどり着いたら一画面分のフレームバッファの描画完了となる。これを描画と同じ順序で読み出し走査してLCDパネル102へ表示すれば、回転を行わない通常の表示401bとなる。
【0025】
一方、読み出し走査を描画とは全く逆に、右下端のピクセル403aから左上端のピクセル402aに向かって読み出せば、LCDパネル102には画面全体を180度回転した画面401cを表示することができる。あるいは、読み出しを縦方向に行えば、90度もしくは270度の回転も可能である。
【0026】
三つ目の方法は、LCDドライバの駆動方法によるものである。これについては、特許文献3もしくは特許文献4に開示されている。
【0027】
本実施形態によって、例えば図5もしくは図6のような効果を実現することができる。図5および図6はいずれも2台のビデオカメラを図1と同様に配置して通信を開始し、一方のビデオカメラを180度回転表示させた状態を示している。
【0028】
図5は、第2のビデオカメラ111から第1のビデオカメラ101へ静止画像を通信転送するときの画面効果を示している。LCDパネル112は、転送開始前は転送される画像全体が画面いっぱいに表示されるが、転送が開始されると画像が徐々に画面上方へ向かってスクロールしていくため、画像の上部から順に画面上に見えなくなる。
【0029】
一方、LCDパネル102は、転送開始前は転送される画像は表示されていないが、ジョイスティック115の操作によって転送が開始されると画面の下方から画像がスクロールしながら徐々に表示される。ただし、このときLCDパネル102は180度回転表示されているため、仮にこれを本来の方向から見ると、画面の上方から天地反転した画像が徐々に降りてくるような表示となっている。LCDパネル102と112を同時に閲覧すると、あたかも画像がLCDパネル112から102へ移動するようなアニメーション表示に見えるため、利用者は画像が転送されていることをより視覚的に認知することができる。
【0030】
図9は、図5の表示制御を表すフローチャートである。図9のフローチャートの動作は、第1のビデオカメラ101および第2のビデオカメラ111において、それぞれのCPU706が装置の各部の動作を制御することにより実現される。なお、受信側である第1のビデオカメラ101のLCDパネル102は、あらかじめ180度回転表示されているものとして説明する。
S901以降のチャートは、送信側である第2のビデオカメラ111が行うステップである。
【0031】
通信を開始したら(S901)、まず、画像送信前を表す画面表示用静止画をLCDパネル112に表示する(S902)。この画像は、送信すべき本画像であっても、データ量の小さい簡易画像であってもよい。
次に、画面表示用静止画を第1のビデオカメラ101へ送信する(S903)。この画像は、迅速に送信するために、データ量の小さい簡易画像であるほうが望ましい。
その後、本画像を送信開始する(S904)。第2のビデオカメラ111の通信制御部208から通信の進捗状況を逐次取得し、それに応じて図5のとおりのスクロール表示を行う(S905)。送信を完了した時点で、LCDパネル112は画像が表示されていない状態になる。
送信が完了したら(S906)、一連の処理を終了する。
【0032】
S907以降のチャートは、受信側である第1のビデオカメラ101が行うステップである。
通信を開始したら(S907)、第2のビデオカメラ111から送信される画面表示用静止画を受信する(S908)。
続いて本画像の受信を開始する(S909)。第1のビデオカメラ101の通信制御部208から通信の進捗状況を逐次取得し、それに応じて図5のとおりのスクロール表示を行う(S910)。受信を完了した時点で、LCDパネル102は画像が画面全体に表示された状態になる。
受信が完了したら(S911)、一連の処理を終了する。
【0033】
図6は、第2のビデオカメラ111が持っている動画像データのうち、第1のビデオカメラ101へ通信転送するデータを選択するときの画面効果を示している。LCDパネル112には第2のビデオカメラ111が持っている動画像データのサムネイル画像が一覧表示されている。
【0034】
この中でジョイスティック115によってフォーカスされたサムネイルの動画像データが、LCDパネル102にプレビュー再生される。このとき、第2のビデオカメラ111が再生状態であることを示すアイコン611および601は、LCDパネル112および102の双方に表示される。
【0035】
利用者がプレビュー再生を確認しながらジョイスティック115でサムネイルを選択した後、転送を指示すると、選択された動画像データが第2のビデオカメラ111から第1のビデオカメラ101へ順次転送される。このように、2画面でインデックス表示とプレビュー再生を同時に行うことによって、利用者は転送すべき動画像をより簡便に選択することができる。
【0036】
図10は、図6の表示制御を表すフローチャートである。図10のフローチャートの動作は、第1のビデオカメラ101および第2のビデオカメラ111において、それぞれのCPU706が装置の各部の動作を制御することにより実現される。なお、受信側である第1のビデオカメラ101のLCDパネル102は、あらかじめ180度回転表示されているものとして説明する。
S1001以降のチャートは、送信側である第2のビデオカメラ111が行うステップである。
【0037】
通信を開始したら(S1001)、まず、サムネイル一覧を表示する(S1002)。初期フォーカス位置が決定した時点、あるいはジョイスティック115の操作によってフォーカスが変更された時に(S1003)、フォーカス位置のサムネイルが示す映像データを第1のビデオカメラ101へ送信開始する(S1004)。
ジョイスティック115によってサムネイルが選択決定されたら(S1005)、選択決定情報を第1のビデオカメラ101へ送信し、そのとき送信している映像データ(すなわち選択した映像データ)の送信が完了するまで待つ(S1006)。
送信が完了したら、一連の処理を終了する。
【0038】
S1007以降のチャートは、受信側である第1のビデオカメラ101が行うステップである。
通信を開始したら(S1007)、第2のビデオカメラ111から映像データが送信されてくるのを待つ。映像データが送信されてきたら映像の受信を開始する(S1008)。次に、その映像データを受信しながらストリーム再生を開始する(S1009)。第2のビデオカメラ111においてフォーカスしているサムネイルが変更されたら、その都度受信する映像データ、すなわちストリーム再生する映像を切り替える。また、映像の最後まで再生が終わったら(S1011)、S1009に戻りその映像の先頭から再度再生する。
第2のビデオカメラ111から選択決定情報を受信したら(S1010)、そのとき受信している映像データ(すなわち、選択された映像データ)の受信が完了するまで待つ(S1012)。
送信が完了したら、一連の処理を終了する。
【0039】
なお、サムネイルを一覧表示するカメラとプレビュー再生を行うカメラは、逆でも構わない。この場合は、あらかじめ複数のサムネイル画像が第2のビデオカメラ111から第1のビデオカメラ101へ転送され、LCDパネル102に一覧表示される。ジョイスティック105もしくはジョイスティック115でサムネイルを選択すると、選択された動画像データが第2のビデオカメラ111から読みだされ、通信を介すことなくLCDパネル112で表示される。選択操作をジョイスティック115で行った場合は、操作情報が第2のビデオカメラ111から第1のビデオカメラ101へ送信され、LCDパネル102上のサムネイルフォーカス表示が更新される。
【0040】
なお、本実施形態では表示の回転角を180度としたが、図5もしくは図6のように、2つの表示装置の表示を連携させることによる効果が得られるのであれば、回転角を90度や270度、あるいは任意の角度としても構わない。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態によるデジタルビデオカメラについて説明する。
カメラの配置を示す図は、前述した第1の実施形態で示した図1と同一の図であるが、第1の実施形態に係るビデオカメラが第1のビデオカメラ101であったのに対して、本実施形態に係るビデオカメラは第2のビデオカメラ111である。また、図1にはLCDパネル112とヒンジ114が図示されているが、これらはなくても構わない。ただし、周辺のアンテナ113、ジョイスティック115はいずれかの位置に備えている必要がある。その他の要素については第1の実施形態での説明に等しい。
【0042】
図7は、第2のビデオカメラ111の内部のデータパスを示すブロック図である。第1の実施形態で説明した第1のビデオカメラ101のブロック図と同一の構造であるため、詳細な説明は省略する。ただし、前述したようにLCDパネル112はなくても構わないし、カメラ部701と映像処理部702も構成から除外することができる。この場合は111はビデオカメラではなくビデオプレーヤもしくはクレードルであるとみなすことができる。
【0043】
図8は、第2のビデオカメラ111において、他装置との通信の確立から終了までの動作を表すフローチャートである。図8のフローチャートの動作は、CPU706が装置の各部の動作を制御することにより実現される。ただし、このときの第1のビデオカメラ101は、第1の実施形態の構成で説明したように、通信相手である第2のビデオカメラ111からの表示回転指示を受けてLCDパネル102の表示を180度回転することができる必要がある。
【0044】
第1のビデオカメラ101との通信が確立したら(S801)、第1のビデオカメラ101の表示を回転させるかどうかを判定する(S802)。この条件は、具体的には例えば下記のいずれかとなることが考えられる。
【0045】
(イ)接続が確立したとき(直ちに真となる)。(ロ)通信によって特定のデータ送受信が開始されたとき。(ハ)ジョイスティック105によって特定の操作がなされたとき。
この条件が満たされずに通信が終了したとき(S803)は、そのまま処理を終了する。
【0046】
S802の条件を満たしたときは、第1のビデオカメラ101に対してLCDパネル102の表示を180度回転するよう指示する(S804)。このとき、第2のビデオカメラ111がLCDパネル112を持っていれば、これは回転していない。これにより、利用者が第2のビデオカメラ111の側から両ビデオカメラのLCDパネル102および112を覗きこんだ場合、双方の表示を自然な方向で閲覧することができる。また、第2のビデオカメラ111がLCDパネル112を持っていない場合も、利用者は第2のビデオカメラ111の側からLCDパネル102を自然な方向で閲覧することができる。
【0047】
この後、回転表示を終了するよう指示するための条件(S805)も次のような場合が考えられる。(a)接続を終了する。(b)通信による特定のデータ送受信が終了したとき。(c)ジョイスティック115によって特定の操作がなされたとき。この条件が満たされたら、第1のビデオカメラ101に対してLCDパネル102の表示を元の状態に戻すよう指示する(S806)。最後に、通信を終了する(S807)。
【0048】
本実施形態によっても、第1の実施形態の図5もしくは図6と同一の効果を実現することができる。また、第2のビデオカメラ111(もしくはビデオプレーヤもしくはクレードル)がLCDパネル112を持っていなかったとしても、利用者は第1のビデオカメラ101のLCDパネル102を自然な方向で閲覧することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0049】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態によるスマートフォンについて説明する。なお、本実施例の構成は折り畳み式の携帯電話やデジタルスチルカメラ、またはそれらに類似する小型通信機器においても適用可能である。
【0050】
図11は、スマートフォンにおいて、本発明に係る表示を行ったときの機器の配置の一例を示す図である。
図11(A)に示す2台のスマートフォン(第1のスマートフォン1101、第2のスマートフォン1111)は、いずれも本発明に係るスマートフォンである。文字もしくは画像を表示する表示手段であるLCDパネル部(1104、1114)を備え、その右辺やや上方に通信手段である近接無線用のアンテナ(1103、1113)をそれぞれ内蔵している。この場合、図11(A)のように、スマートフォン同士を一方が天地逆になるように保持することによって、アンテナ(1103、1113)を互いに接近させることができ、NFCによる通信が可能である。さらに、このとき双方のLCDパネル部(1104、1114)は一方向から両方同時に閲覧できるような配置となる。
【0051】
第1のスマートフォン1101、第2のスマートフォン1111は第1のスマートフォン1101がデータ送信、第2のスマートフォン1111がデータ受信を行っており、それぞれの送受信状態がLCDパネル内に表示(1105、1115)されている。
第1のスマートフォン1101、第2のスマートフォン1111はいずれも機器内に後述する重力センサ1201を備えており、どの向きに保持されているかを検出することができる。
【0052】
これによって、天地逆に保持されていると検出された側のスマートフォンの表示内容を180度回転して表示する。すなわち、図11(A)においては送信側のスマートフォン1101が回転表示しており、図11(B)においては受信側のスマートフォン1111が回転表示している。
【0053】
ただしこの重力センサ1201は、方位センサで代替してもよい。その場合、第1のスマートフォン1101、第2のスマートフォン1111の間で方位センサによる情報を通信し、互いに反対方向を向いていると判定した場合に、いずれか一方(例えばデータ受信側)の表示内容を180度回転して表示する。この場合は、双方のスマートフォンのLCDパネルが上を向いた状態(平地に置いたような状態)で、本発明を適用できる。
1106および1116はそれぞれのスマートフォンにおいてアンテナ(1103、1113)がどの位置にあるかを指し示す表示要素である。表示内容を回転しているか否かを問わず、アンテナの位置を正しく指示する。
各スマートフォンの操作には、操作部(1102、1112)のほか、LCDパネルと一体化したタッチパネル1002を用いる。
【0054】
図12は、第1のスマートフォン1101の内部のデータパスを示すブロック図である。図11と同一のブロックには同一の番号を符っている。本発明に関係しないブロックは省略してあるが、ほかに通話モジュールやカメラ等を備えていてもよい。また、通信方式の異なる第2、第3の通信制御部およびアンテナを備えていてもよい。
【0055】
1201はスマートフォン1101が保持された向きを検出するための重力センサである。
1202はタッチパネルであり、操作部1102とともに利用者から入力を受け付けるためのブロックである。
1203は、装置全体を制御するためのCPUである。
1204はCPU1203が他の機器との通信を行うための通信制御部である。
1205は一次記憶部であり、CPU1203のワーク領域として用いられたり、表示制御部1207のためのフレームバッファとして用いられたりする。
1206はプログラム・データ記憶部であり、CPU1203はここからプログラムおよびデータを読み込んで各種の制御を行う。
1207は表示制御部であり、一時記憶部1205内のフレームバッファの内容を読みだしてLCDパネル1104へ出力する。
【0056】
図13は、第1のスマートフォン1101において、第2のスマートフォン1111との通信における一連の動作を表すフローチャートである。図13のフローチャートの動作は、CPU1203が、各部の動作を制御することにより実現される。
【0057】
まず、アンテナ1103の位置をLCDパネル1104上に表示する(S1301)。
続いて、第2のスマートフォン1111との通信を確立する(S1302)。スマートフォンが複数の通信手段を備えている場合は、その中からNFCによる通信を選択する処理も、このステップにおいて行う。また、このステップにおける初期通信で、互いの通信設定データを送受信し、NFCによって目的のデータ通信が行えることを確認する。
【0058】
通信が確立したら、第1のスマートフォン1101が天地逆に保持されているかを重力センサ1201の検出結果によって判断する(S1303)。重力センサを方位センサで代替している場合は、このステップで第2のスマートフォン1111の方位を受信し、互いに逆方向を向いているか否かを判定する方向検出を行う。
【0059】
S1303が真であれば、LCDパネル1104の表示を180度回転する(S1304)。さらに、アンテナ1103の位置をLCDパネル1104上に再表示する(S1305)。このステップを実現するためには、あらかじめ通常の表示状態においてアンテナ1103の位置を指し示す制御方法と、180度回転表示状態において指し示す制御方法の両方を記憶しておき、ステップS1303の判定結果によって制御方法を切り替えればよい。これにより、180度回転する前後のいずれの場合においても、LCDパネル1104に表示することが可能となり、通信手段である近接無線用のアンテナ、もしくは通信手段に相当する外部装置を装着するための装着手段の位置を指し示す表示行うことができる。
【0060】
保持姿勢の検出(S1303)と表示の回転(S1304)とアンテナ1103の位置再表示(S1305)は、可能であれば通信確立(S1302)より前に行ってもよい。
その後、通信を終了するまで、送受信状態表示を逐次更新する(S1306)。通信が終了したら(S1307)、LCDパネル1104の表示が180度回転した状態であるかを確認し(S1308)、真であれば表示を元の状態に戻して(S1309)、処理を終了する。
【0061】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0062】
101 第1のビデオカメラ本体、102 LCDパネル、103 アンテナ、104 ヒンジ、105 ジョイスティック、111 第2のビデオカメラ本体、112 第2のビデオカメラ本体のLCDパネル、113 第2のビデオカメラ本体のアンテナ、114 第2のビデオカメラ本体のヒンジ、115 ビデオカメラ102のジョイスティック1101 第1のスマートフォン本体、1102 操作部、1103 アンテナ、1104 LCDパネル、1105 送受信状態表示、1106 アンテナの位置を示す表示、1111 第2のスマートフォン本体、1112 第2のスマートフォンの操作部、1113 第2のスマートフォンのアンテナ、1114 第2のスマートフォンのLCDパネル、1115 第2のスマートフォンの送受信状態表示、1116 第2のスマートフォンのアンテナの位置を示す表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線もしくは有線による通信を制御する通信制御手段と、
文字もしくは画像を表示するための表示手段と、
前記表示手段に表示する内容を制御するための表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記通信制御手段によって他の装置との通信が確立している間に、前記表示手段による表示内容を回転して表示することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、他の装置との通信が確立したときに、表示内容を回転して表示することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、他の装置との通信が確立し、さらに特定のデータ送受信が開始されたときに、表示内容を回転して表示することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置を操作するための操作手段を備え、
前記表示制御手段は、他の装置との通信が確立し、さらに前記操作手段によって特定の操作がなされたときに、表示内容を回転して表示することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、他の装置との通信が確立し、さらに前記他の装置からの指示を受けたときに、表示内容を回転して表示することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
無線もしくは有線による通信を制御する通信制御手段と、
他の装置の表示内容を指示する指示手段とを備え、
前記指示手段は、前記通信制御手段によって他の装置との通信が確立している間に、前記他の装置に対して表示内容を回転して表示するよう指示することを特徴とする通信装置。
【請求項7】
前記指示手段は、他の装置との通信が確立したときに、前記他の装置に対して表示内容を回転して表示するよう指示することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記指示手段は、前記通信制御手段によって他の装置との通信が確立し、さらに特定のデータ送受信が開始されたときに、前記他の装置に対して表示内容を回転して表示するよう指示することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信装置を操作するための操作手段を備え、
前記指示手段は、前記通信制御手段によって他の装置との通信が確立し、さらに前記操作手段によって特定の操作がなされたときに、前記他の装置に対して表示内容を回転して表示するよう指示することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項10】
無線もしくは有線による通信を制御する通信制御工程と、
文字もしくは画像を表示するための表示手段に表示する内容を制御するための表示制御工程とを備え、
前記表示制御工程は、前記通信制御工程において他の装置との通信が確立している間に、前記表示手段による表示内容を回転して表示することを特徴とする通信方法。
【請求項11】
無線もしくは有線による通信を制御する通信制御工程、
他の装置の表示内容を指示する指示工程とを備え、
前記指示工程は、前記通信制御工程において他の装置との通信が確立している間に、前記他の装置に対して表示内容を回転して表示するよう指示することを特徴とする通信方法。
【請求項12】
無線もしくは有線による通信を制御する通信制御工程と、
文字もしくは画像を表示するための表示手段に表示する内容を制御するための表示制御工程とを備え、
前記表示制御工程は、前記通信制御工程において他の装置との通信が確立している間に、前記表示手段による表示内容を回転して表示する通信方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
無線もしくは有線による通信を制御する通信制御工程、
他の装置の表示内容を指示する指示工程とを備え、
前記指示工程は、前記通信制御工程において他の装置との通信が確立している間に、前記他の装置に対して表示内容を回転して表示するよう指示する通信方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項12または13に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
該装置がどの向きに保持されているかを検出する方向検出手段を備え、
前記方向検出手段によって該装置が前記他の装置と逆の方向に保持されていることを検出したときに、表示内容を回転して表示することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項16】
通信手段もしくは通信手段に相当する外部装置を装着するための装着手段を備え、
表示内容を回転表示する前後のいずれの場合においても、前記通信手段もしくは前記装着手段の位置を指し示す表示を前記表示制御手段によって行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−76892(P2013−76892A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217362(P2011−217362)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】