説明

通信装置

【課題】 災害発生時に容易に懐中電灯代わりに使用することが可能な通信装置を提供する。
【解決手段】 緊急地震速報を受信すると(S01ステップのY)、所定時間の計時を開始し(S02ステップ)、この所定時間以内にキー操作があると(S03ステップのY)、点灯部を点灯させると共に(S06ステップ)、所定時間の計時を停止する(S07ステップ)。続いて点灯解除操作があると(S12ステップのY)、点灯部の点灯を中止する(S15ステップ)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害に関する情報、例えば気象庁等が配信する緊急地震速報等を受信し報知を行う、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気象庁が緊急地震速報なるサービスの提供を開始した。この緊急地震速報を具体的に説明すると、気象庁が複数の地点に地震計を配置し、地震が発生した際にこの地震計からのデータを収集し、収集したデータから震源地の経度、緯度、震源の深さ、地震の規模(マグニチュード)を計算し、計算したデータを特定の端末や事業者等に報知する。
【0003】
更に具体的に、気象庁から事業者を介して端末にデータを送信する場合について説明する。この場合、気象庁と事業者と端末が接続された構成となっており、地震が発生すると、地震に関するデータを気象庁から事業者、端末へと順に送信されるようになっている。
具体的な動作としては、気象庁から事業者に、震源地の経度、緯度、震源の深さ、地震の規模(マグニチュード)のデータが送信されると、事業者のサーバ側で、事業者のサービスに加入している端末の位置情報に基づいて、端末の存在する位置での震度や揺れが到達するまでの時間を即座に計算し、これらのデータを端末へ送信している。
【0004】
尚、事業者側から端末へ気象庁から送られてきた震源地の情報をそのまま送信し、端末側で予測震度を計算するシステムも存在する。この場合、端末は、端末に予め記録されている地域情報、例えば端末が設置されている場所の緯度・経度情報等を用いて、予測震度や主要動(=地震動のうち、人体に最も強く感じられる部分。通常はS波)が到達する予測時刻等を算出する。
算出結果は、例えば液晶パネルによる画像表示や、スピーカによる音声出力により、ユーザに報知される。これによりユーザは、震源地から主要動が到達するまでの間に、机の下に隠れたり火の元を消したりする等の避難行動をとることができる。
【0005】
また、災害対策に関連する特許出願も数多くなされており、例えば特許文献1には、災害情報を受信すると発光装置を発光させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2007−227105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実際には、災害情報(例えば緊急地震速報)を受信しても震度が小さい場合や、誤報である可能性もある。この為、特許文献1に記載の技術では、震度の小さい場合や誤報である場合でも発光装置を発光させることとなり、その結果、発光による無駄な電力消費を引き起こすこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、請求項1に記載の発明は、災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、入力部と、発光を行う発光部と、を有し、前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記入力部から入力操作があると、前記発光部が発光することを特徴とする。
請求項2記載の通信装置は、請求項1に記載の通信装置であり、前記入力部は通信装置の全てのキーであり、前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに、前記入力部のいずれかのキーから入力操作があると、前記発光部が発光することを特徴とする。
請求項3記載の通信装置は、請求項2に記載の通信装置であり、待受け状態において、前記入力部の全てのキー夫々に異なる指示入力が対応付けられており、前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに、前記入力部のいずれかのキーから入力操作があると、前記発光部が発光し、且つ、前記入力部のキーに対応する指示入力の実行を禁止することを特徴とする。
請求項4記載の通信装置は、災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、入力部と、発光を行う発光部と、前記入力部からの入力操作を無効にするキーロック制御部と、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を無効にしている状態で、前記受信部が災害情報を受信すると、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を有効な状態にし、且つ、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記入力部から入力操作があると、前記発光部が発光することを特徴とする。
請求項5記載の通信装置は、災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、入力部と、発光を行う発光部と、前記入力部からの入力操作を無効にするキーロック制御部と、格納部と、を有し、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を無効にしている状態で、前記受信部が災害情報を受信すると、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を有効な状態にし、且つ、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を無効にしている状態であったことを示すキーロック情報を前記格納部に格納し、且つ、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記入力部から入力操作があると、前記発光部が発光し、前記発光部が発光した状態で、前記入力部から前記発光部を消灯させる指示操作があった際に、前記格納部に、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を無効にしている状態であったことを示すキーロック情報が格納されていれば、前記発光部が消灯すると共に、前記キーロック制御部が、前記入力部からの入力操作が無効な状態にすることを特徴とする。
請求項6記載の通信装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して開閉可能に接続された通信装置であり、災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、筐体の開閉を検出する開閉検出部と、発光を行う発光部と、を有し、前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記開閉検出部が筐体の開閉を検出すると、前記発光部が発光することを特徴とする。
請求項7記載の通信装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して開閉可能に接続された通信装置であり、災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、筐体の開閉を検出する開閉検出部と、発光を行う発光部と、を有し、前記受信部が災害情報を受信した際に装置がキーロック状態であると、自動的にキーロック状態を解除し、且つ前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記開閉検出部が筐体の開閉を検出すると、前記発光部が発光することを特徴とする。
請求項8記載の通信装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して開閉可能に接続された通信装置であり、災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、筐体を閉じた状態で露出するキーと、発光を行う発光部と、を有し、前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記キーが操作されると、前記発光部が発光することを特徴とする。
請求項9記載の通信装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して開閉可能に接続された通信装置であり、災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、筐体を閉じた状態で露出するキーと、発光を行う発光部と、を有し、前記受信部が災害情報を受信した際に装置がキーロック状態であると、自動的にキーロック状態を解除し、且つ前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記キーが操作されると、前記発光部が発光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、災害情報を受信してから所定時間の間にキー操作があれば、発光部を発光させるため、地震等で停電になっても簡単に装置を懐中電灯代わりに使用することが可能である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、災害情報を受信してから所定時間の間にキー操作があれば、発光部を発光させるため、地震等で停電になっても簡単に装置を懐中電灯代わりに使用することが可能である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、災害情報を受信してから所定時間の間にいずれかのキー操作があれば、発光部を発光させるため、地震等で停電になっても手探りでキーを操作し簡単に装置を懐中電灯代わりに使用することが可能である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、災害情報を受信してから所定時間の間にいずれかのキー操作があれば、発光部を発光させ、且つ、キーに対応する機能を実行しないため、地震等の発生時にユーザにとって不所望な機能が実行されることを回避できる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、キーロック状態であっても、災害情報を受信してから所定時間の間にキー操作があれば、発光部を発光させるため、地震等で停電になっても簡単に装置を懐中電灯代わりに使用することが可能である。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、キーロック状態で発光部を発光させ、発光部を消灯させた後には自動的にキーロック状態にするため、ユーザが一々キーロック状態にする操作を行う必要がない。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、災害情報を受信した際には筐体の開閉という簡単な操作で容易に発光部を発光させることが可能である。



請求項7に記載の発明によれば、例えキーロック状態であっても災害情報を受信した際には筐体の開閉という簡単な操作で容易に発光部を発光させることが可能である。
【0016】
請求項8に記載の発明によれば、災害情報を受信した際に筐体が閉じた状態であっても、キー操作により容易に発光部を発光させることが可能である。
【0017】
請求項9に記載の発明によれば、例えキーロック状態であっても災害情報を受信した際に筐体が閉じた状態であっても、キー操作により容易に発光部を発光させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】は、本発明の通信装置を含んだ電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明の通信装置の外観図である。
【図3】は、本発明の通信装置の親機の構成を示すブロック図である。
【図4】は、本発明の通信装置の子機の構成を示すブロック図である。
【図5】は、本実施例装置の親機1の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。本実施例では、IP(Internet Protocol)電話について実施しているが、災害情報を受信可能であれば、アナログコードレス電話、デジタルコードレス電話、携帯電話等にも実施可能である。
【実施例】
【0020】
〈1−1.電話システムの構成について〉
図1は、本発明の通信装置(例えば災害情報を受信可能なコードレス電話装置)を含んだシステム図を示している。本システムは少なくとも、親機1(=主通信装置)、子機2(=副通信装置)、有線LAN41、無線通信網42、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置71を含むように構成されている。
【0021】
本発明のコードレス電話装置は、IP通信網に接続可能なコードレス電話装置であり、図中の親機1及び複数の子機2(子機A2a〜子機C2c)がこれに該当する。親機1は、有線LAN41に接続されることにより、電話網を介した音声通信が可能であるIP電話装置である。また親機1は、有線LAN41と無線通信網42との通信を中継する中継機能を持っている。これにより後述する子機2は、親機1を中継してIP電話網61やPSTN網63を介した通話を行うことが可能である。また親機1は、インターネット62を介して、気象庁が配信する緊急自身速報を受信する機能を持つ。なお、親機1の内部構造の詳細については後述する。又、親機1は図示しないが、一般の電話回線(アナログコードレス電話やデジタルコードレス電話で使用する回線)とも接続可能である。
【0022】
子機2は、後述する無線通信網42に接続されて親機1と通信を行うことにより、IP電話網61やPSTN網63を介して他の電話装置と音声通信を行うことが可能な無線通話装置である。なお、子機2の内部構成の詳細については後述する。
【0023】
有線LAN41は、親機1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及びゲートウェイ53等が有線接続されたローカルのネットワークである。前記の各装置は有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0024】
無線通信網42は、親機1と、複数の子機2とが無線接続された小規模の通信網である。具体的には例えば、2.4GHz(ギガヘルツ)の周波数帯の電波を利用したFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等を用いて相互に通信を行う。
【0025】
IP電話ルータ51、及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。本実施形態では、IP電話ルータ51は有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0026】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0027】
IP電話網61は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0028】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0029】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に電話装置を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて他の加入者電話装置やIP電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
【0030】
図2は、本実施例装置の親機1と子機2の外観図である。図2において親機1は、図示していないが、表示部13と入力部14を有し、更に緊急地震速報を報知する為のスピーカ18を搭載している。表示部13等は筐体を開けることにより可視可能な状態になる。
一方、子機2は、通常のコードレス電話の子機と同様な機能と緊急地震速報を報知する機能を有しており、充電器に載置することによりバッテリ部31を充電可能であり、表示部23、入力部24、発光部34等を有している。
〈1−2.親機の内部構成について〉
図3は、本発明の第一の実施形態に係る親機1の内部を示すブロック図である。親機1は少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、入力部14、通信制御部15、アンテナ装置16、音声信号処理部17、スピーカ18、マイク19、及びフラッシュメモリ20を含むように構成されている。
【0031】
制御部11は、親機1の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、速報受信部11a、地震検知送信部11b、地震速報報知部11cを備えている。
【0032】
速報受信部11aは、通信制御部15を用いてインターネット62から緊急地震速報を受信することにより、地震発生を検知したと判断する。地震発生を検知した場合、次の地震検知送信部11b及び地震速報報知部11cに対して、緊急地震速報を与える。
【0033】
地震検知送信部11bは、速報受信部11aから緊急地震速報を与えられた際に、通信制御部15を用いて緊急地震速報を子機2へ送信する。地震速報報知部11cは、緊急地震速報を与えられた際に、フラッシュメモリ20に記録されている緊急地震速報の報知画像及び緊急地震速報の音声メッセージを読み出す。そして読み出したデータを表示部13及びスピーカ18を用いて出力することにより、地震報知を行う。
【0034】
メモリ12は、親機1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ12は制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0035】
表示部13は、親機1が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)や、予測震度や主要動到達までの時間等をユーザに対して表示する。表示部13は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。入力部14は、ユーザが親機1を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部14は、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0036】
通信制御部15は、親機1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。また通信制御部15は、アンテナ装置16による無線通信網42を介した無線通信の制御を行う。
【0037】
アンテナ装置16は、子機2との間で無線通信電波の送受信を行うための無線通信装置である。アンテナ装置16は、所定の通信規格、例えばFHSS−WDCT(Frequency Hopping Spread Spectrum - Worldwide Digital Cordless Telephone)準拠の通信方式等に則って、無線通信を行う。これにより、子機2との間で音声通信やデータ通信等を行うことが可能である。
【0038】
音声信号処理部17は、通信制御部15により入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に与える。また音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施して音声データを作成し、通信制御部15に与える。これにより音声データは有線LAN41、無線通信網42、或いはIP電話網61等を通じて接続される他の電話装置へ送信される。尚、スピーカ18は、予測震度や主要動到達までの時間等を音声で出力する機能も有する。
【0039】
フラッシュメモリ20は、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性半導体メモリである。フラッシュメモリ20はEEPROMの一種であるが、EEPROMとは異なり1バイト単位の書き換えはできず、予めブロック単位で消去してから書き込みを行う。又、フラッシュメモリ20には、地震報知を行う際にスピーカ18から出力する音声メッセージや表示部13に表示するメッセージデータも格納されている。
〈1−3.子機の内部構成について〉
図4は、本発明の第一の実施形態に係る子機2の内部を示すブロック図である。子機2は少なくとも、制御部21、メモリ22、表示部23、入力部24、通信制御部25、アンテナ装置26、音声信号処理部27、スピーカ28、マイク29、フラッシュメモリ30、バッテリ部31、CCDカメラ32、SDカードスロット33、発光部34を含むように構成されている。
【0040】
制御部21は、子機2の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部21は、制御部21が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、地震検知受信部21a、地震速報報知部21bを備えている。
【0041】
地震検知受信部21aは、親機1から受信する各種情報の中に、緊急地震速報が含まれているかどうかの判定を行う。そして緊急地震速報が含まれていると判定された場合に、地震検知を示す電文を地震速報報知部21bに与える。
【0042】
地震速報報知部21bは、地震検知受信部21aから地震検知を示す電文を与えられた際に、フラッシュメモリ30に記録されている地震速報用データを読み出す。そして読み出したデータを表示部23及びスピーカ28を用いて出力することにより、地震速報を行う。
【0043】
又、フラッシュメモリ30には、子機2がキーロック状態(キーロック解除の為の暗証番号の入力以外はキー操作を受け付けない状態)であることを示すフラグAと、子機2がキーロック状態であったか否かを示すキーロック情報(フラグB)とが格納されている。
【0044】
尚、キーロック機能としては、例えば特定のキーを長押しすることによりキーロック状態のオンオフを行う簡易的なキーロック機能でも良い。
【0045】
メモリ22は、子機2が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。メモリ22は制御部21によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0046】
表示部23は、子機2が保持する各種情報(例えば着信時における発信側電話番号等)をユーザに対して表示する。表示部23は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。入力部24は、ユーザが子機2を用いて通信を行うための各種操作(例えば通話を行う相手の電話番号の入力等)を行うためのものである。入力部24は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0047】
通信制御部25は、アンテナ装置26による無線通信の制御を行う。これにより子機2は、無線通信網42に接続された親機1との通信を行うことが可能である。また、親機1を中継して、PSTN網63を介した着信処理や発信処理等を実施することが可能である。
【0048】
アンテナ装置26〜マイク29ついては、親機1のアンテナ装置16〜マイク19と同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。バッテリ部31は、外部電源(不図示)より電力の供給を受け、電力を一時的に備蓄しておく。例えば充電式アルカリ電池やリチウムイオンバッテリ等が用いられる。
【0049】
CCDカメラ32は、画像撮像素子としてCCDを用いた撮影部である。CCDは撮影レンズユニット(不図示)により結像された被写体の光像(光学情報)をR(赤)・G(緑)・B(青)の色成分の画像データに光電変換して出力する。なおCCDは、タイミングジェネレーター(不図示)により駆動されることにより、例えば絞りや露光時間の制御等が行われる。CCDカメラ32により得られた画像データは、フラッシュメモリ30に記録される。
【0050】
SDカードスロット33は、外部記録媒体であるSDカードメモリ99を接続して情報の伝送を行うインタフェースである。SDカードメモリ99には例えば、デジタルカメラで撮影した静止画や動画が記録されている。SDカードスロット33は避難指示登録部21cからの指示により、これらのデータをフラッシュメモリ30にコピーする。これにより避難指示登録部21cは、外部から入力した画像や音声を避難指示用データとして登録することができる。
【0051】
発光部34は、例えば白色のLED(Light Emitting Diode)からなり、発光を行う。
〈1−4.本実施例装置の動作の説明〉
続いて、本発明を適用してなる実施例装置の動作について図5のフロー図を用いながら説明する。
【0052】
図5は子機2の動作を示すフロー図である。制御部21は、通信制御部25がアンテナ装置26を介して親機1から災害情報(緊急地震速報)を受信したと判定すると、S02ステップへ処理を進める。尚、緊急地震速報を受信すると、地震が発生することの報知を音声メッセージや文字メッセージの表示等でユーザに報知する。
【0053】
S02ステップでは、制御部21は、図示せぬタイマが所定時間(例えば30分)のカウントを開始する。続くS03ステップでは、制御部21は、入力部24からキー操作があると判定すると、S05ステップへ処理を進め、そうでなければS04ステップへ処理を進める。尚、ここでいうキー操作とは、子機2の入力部にあるいずれかのキーの操作を言い、例えば、通話キーの押下、切キーの押下、テンキーの押下等である。
【0054】
S04ステップでは、制御部21は、前記S02ステップで開始した所定時間の計時が終了したと判定すると、処理を終了し、一方、そうでなければS01ステップへ処理を戻す。
【0055】
S05ステップでは、制御部21は、装置がキーロック状態であるか否かを判定する。具体的には、制御部21は、フラッシュメモリ20に格納されているフラグA(装置がキーロック状態であるか否かを示すフラグ)がオンされていると判定すると、キーロック状態であると判定し、S08ステップへ処理を進める。一方、そうでなければ、S06ステップへ処理を進める。
【0056】
S06ステップでは、制御部21は発光部34を発光させ、続いて、S07ステップにおいて、前記S02ステップで開始した計時を終了し、その計時した値をクリアし、S11ステップへ処理を進める。
【0057】
一方、S05ステップのYESの後にはS08ステップにおいて、制御部21は、フラッシュメモリ30に格納されているフラグAをオフとすると共に、キーロック状態を解除する。更に、制御部21は、発光部34を発光させる。
【0058】
S09ステップでは、制御部21は、S07ステップと同様にS02ステップで開始した所定時間の計時を終了し、S10ステップへ処理を進める。
【0059】
S10ステップでは、制御部21は、フラッシュメモリ20に、キー操作の前にキーロック状態であったことを示す情報である、キーロック情報を格納する。即ち、フラッシュメモリ20に格納されているフラグBをオンにする。
【0060】
S11ステップでは、制御部21は、入力部24から発光部34の発光動作の終了を指示する入力(例えば電源キーの長押し)があると判定すると、S12ステップへ処理を進める。
【0061】
S12ステップでは、制御部21は、フラッシュメモリ20にフラグBがオンの状態で格納されていると判定すると、キーロック情報有りと判定し、S14ステップへ処理を進め、一方、フラッシュメモリ20にフラグBがオフの状態で格納されていると判定すると、キーロック情報無と判定し、S13ステップへ処理を進める。
【0062】
S13ステップでは、制御部21は、発光部34の発光を解除し、処理を終了する。
【0063】
S14ステップでは、制御部21は、フラッシュメモリ20のフラグAをオンにすると共に装置をキーロック状態にし、更に、フラッシュメモリ20のフラグBをオフとする。
【0064】
続くS15ステップでは、制御部21は、発光部34の発光を解除し、処理を終了する。
【0065】
尚、本実施例装置では、通常の待ちうけ状態では、子機の入力部の各キーは、各キーに対応する機能(例えば、通話キーであれば通話開始の指示、ダイヤルキーであればダイヤル番号の入力指示)を実行し、緊急地震速報を受信してから所定時間の間は、キーの操作があればキーに対応する機能を実行せずに発光部34の発光指示を行う構成とした。そこで、以下のような構成としても良い。
【0066】
(1) 緊急地震速報を受信してから所定時間の間に、初めにキー操作があればキーに対応する機能を実行せずに発光部34の発光指示を行い、続いてキー操作があれば、キーに対応する機能を実行するようにしてもよい。このような構成とすることにより、初めのキー操作に基づいて発光部34を発光し、続く2回目以降の操作では通常の待ちうけ時の操作を実行することが可能である。
【0067】
(2) 緊急地震速報を受信してから所定時間の間に、初めにキー操作があればキーに対応する機能を実行せずに発光部34の発光指示を行い、続いてキー操作があれば、所定時間が経過するまではそのキーに対応する機能を実行できないようにしてもよい。このような構成とすることにより、初めのキー操作だけで容易に発光部34を発光することが可能であり、又、不所望な機能の実行を回避することが可能である。
(3) 更に、発光部34が消灯した後には、そのキーに対応する機能を実行可能とさせる。このような構成とすることにより、発光部34が消灯後には非緊急時の通常の子機として使用することが可能である。
【0068】
又、本実施例装置では、IP電話装置について実施したが、例えば折畳式の携帯電話装置等にも実施可能である。この場合、以下のような構成にするとユーザにとって使い勝手の良い携帯電話装置を提供することが可能となる。
【0069】
(1) 筐体の開閉を検出する開閉検出部を設けることにより、緊急地震速報を受信してから所定時間の間に、開閉検出部が筐体の開閉を検出すると、発光部を発光させる構成にしても良い。
【0070】
(2) 緊急地震速報を受信した際にキーロック状態であれば、キーロック状態を解除し、緊急地震速報を受信してから所定時間の間に、開閉検出部が筐体の開閉を検出すると、発光部を発光させる構成にしても良い。

(3) 緊急地震速報を受信してから所定時間の間に、筐体を閉じた状態でも露出するキーが操作されると、発光部を発光させる構成にしても良い。
【0071】
(4) 緊急地震速報を受信した際にキーロック状態であれば、キーロック状態を解除し、緊急地震速報を受信してから所定時間の間に、筐体を閉じた状態でも露出するキーが操作されると、発光部を発光させる構成にしても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 親機
11a 速報受信部
11b 地震検知送信部
11c 地震速報報知部
13 表示部
15 通信制御部
16 アンテナ装置
18 スピーカ
20 フラッシュメモリ
2 子機
21a 地震検知受信部
21b 地震速報報知部
23 表示部
25 通信制御部
26 アンテナ装置
28 スピーカ
30 フラッシュメモリ
34 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、入力部と、発光を行う発光部と、を有し、
前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記入力部から入力操作があると、前記発光部が発光することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であり、
前記入力部は通信装置の全てのキーであり、
前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに、前記入力部のいずれかのキーから入力操作があると、前記発光部が発光することを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置であり、
待受け状態において、前記入力部の全てのキー夫々に異なる指示入力が対応付けられており、
前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに、前記入力部のいずれかのキーから入力操作があると、前記発光部が発光し、且つ、前記入力部のキーに対応する指示入力の実行を禁止することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、入力部と、発光を行う発光部と、前記入力部からの入力操作を無効にするキーロック制御部と、
前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を無効にしている状態で、前記受信部が災害情報を受信すると、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を有効な状態にし、且つ、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記入力部から入力操作があると、前記発光部が発光することを特徴とする通信装置。
【請求項5】
災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、入力部と、発光を行う発光部と、前記入力部からの入力操作を無効にするキーロック制御部と、格納部と、を有し、
前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を無効にしている状態で、前記受信部が災害情報を受信すると、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を有効な状態にし、且つ、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を無効にしている状態であったことを示すキーロック情報を前記格納部に格納し、且つ、前記タイマが所定時間の計時を開始し、
前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記入力部から入力操作があると、前記発光部が発光し、
前記発光部が発光した状態で、前記入力部から前記発光部を消灯させる指示操作があった際に、前記格納部に、前記キーロック制御部が前記入力部からの入力操作を無効にしている状態であったことを示すキーロック情報が格納されていれば、前記発光部が消灯すると共に、前記キーロック制御部が、前記入力部からの入力操作が無効な状態にすることを特徴とする通信装置。
【請求項6】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して開閉可能に接続された通信装置であり、
災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、筐体の開閉を検出する開閉検出部と、発光を行う発光部と、を有し、
前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記開閉検出部が筐体の開閉を検出すると、前記発光部が発光することを特徴とする通信装置。
【請求項7】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して開閉可能に接続された通信装置であり、
災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、筐体の開閉を検出する開閉検出部と、発光を行う発光部と、を有し、
前記受信部が災害情報を受信した際に装置がキーロック状態であると、自動的にキーロック状態を解除し、且つ前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記開閉検出部が筐体の開閉を検出すると、前記発光部が発光することを特徴とする通信装置。
【請求項8】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して開閉可能に接続された通信装置であり、
災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、筐体を閉じた状態で露出するキーと、発光を行う発光部と、を有し、
前記受信部が災害情報を受信すると、前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記キーが操作されると、前記発光部が発光することを特徴とする通信装置。
【請求項9】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して開閉可能に接続された通信装置であり、
災害情報を受信する受信部と、所定時間の計時を行うタイマと、筐体を閉じた状態で露出するキーと、発光を行う発光部と、を有し、
前記受信部が災害情報を受信した際に装置がキーロック状態であると、自動的にキーロック状態を解除し、且つ前記タイマが所定時間の計時を開始し、前記タイマが所定時間の計時を終了するまでに前記キーが操作されると、前記発光部が発光することを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−178154(P2010−178154A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19914(P2009−19914)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】