説明

通報装置、通報システム、通報装置のデータ処理方法、およびそのプログラム

【課題】現場作業者に確実かつ迅速に緊急通報に気付かせることができる通報装置、通報システム、通報装置のデータ処理方法、およびそのプログラムを提供する。
【解決手段】通報システム1の管理装置100は、一つの作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される店舗端末300および、IP通話に利用されるIP電話端末400と通信するインターフェース部120と、現場作業者への緊急通報を受け付ける受付部102と、受け付けた緊急通報をインターフェース部120を介して店舗端末300に表示出力させる表示制御部104と、緊急通報を現場作業者に認識させるためにインターフェース部120を介してIP電話端末400を発呼させる発呼部106と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報装置、通報システム、通報装置のデータ処理方法、およびそのプログラムに関し、特に、作業現場に設けられた端末に緊急通報する通報装置、通報システム、通報装置のデータ処理方法、およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
緊急度の高いメッセージの通知を宛先の送信したとき、開封確認をすることが、たとえば、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2000−341431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たとえば、複数の店舗に緊急通報の必要が発生したとき、緊急通報メッセージを店舗のPOS端末の画面上にポップアップ表示させるシステムでは、メッセージの開封確認をシステムで管理することができるが、そもそもメッセージに店舗側が気付かず、緊急を要するメッセージの開封が遅れてしまう危険性があった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、現場作業者に確実かつ迅速に緊急通報に気付かせることができる通報装置、通報システム、通報装置のデータ処理方法、およびそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の通報装置は、一つの作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末および、IP通話に利用されるIP電話端末と通信する端末通信手段と、
前記現場作業者への緊急通報を受け付ける受付手段と、
受け付けた前記緊急通報を前記端末通信手段を介して前記情報処理端末に表示出力させる緊急表示手段と、
前記緊急通報を前記現場作業者に認識させるために前記端末通信手段を介して前記IP電話端末を発呼させる緊急発呼手段と、を備える。
【0006】
本発明の通報システムは、作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末と、
前記作業現場に設けられた、IP通話に利用されるIP電話端末と、
前記情報処理端末および前記IP電話端末にネットワークを介して接続される管理装置と、を備えた通報システムであって、
前記情報処理端末は、
前記管理装置と前記ネットワークを介して通信する通信手段と、
前記管理装置から前記通信手段を介して表示処理制御される表示手段と、を有し、
前記IP電話端末は、
前記管理装置と前記ネットワークを介して通信する通信手段と、
前記管理装置から前記通信手段を介して発呼されたとき、着呼して着信音を鳴動する鳴動手段と、を有し、
前記管理装置は、
前記情報処理端末および前記IP電話端末と前記ネットワークを介して通信する通信手段と、
前記現場作業者への緊急通報を受け付ける受付手段と、
前記通信手段を介して前記情報処理端末と通信して、前記受付手段が受け付けた前記緊急通報を前記情報処理端末の前記表示手段に表示出力させる緊急表示手段と、
前記通信手段を介して前記情報処理端末と通信して、前記受付手段が前記緊急通報を前記現場作業者に認識させるために前記IP電話端末を発呼させる緊急発呼手段と、を備える。
【0007】
本発明の通報装置のデータ処理方法は、一つの作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末および、IP通話に利用されるIP電話端末と通信する通報装置のデータ処理方法であって、
前記通報装置が、前記現場作業者への緊急通報を受け付ける受付手順と、
前記通報装置が、受け付けた前記緊急通報を前記情報処理端末に表示出力させる緊急表示手順と、
前記通報装置が、前記緊急通報を前記現場作業者に認識させるために前記IP電話端末を発呼させる緊急発呼手順と、を含む。
【0008】
本発明の通報装置を実現させるためのプログラムは、コンピュータに、一つの作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末および、IP通話に利用されるIP電話端末と通信する通報装置を実現させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記通報装置が、前記現場作業者への緊急通報を受け付ける受付手順と、
前記通報装置が、受け付けた前記緊急通報を前記情報処理端末に表示出力させる緊急表示手順と、
前記通報装置が、前記緊急通報を前記現場作業者に認識させるために前記IP電話端末を発呼させる緊急発呼手順と、を実行させるためのプログラム。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0010】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0011】
また、本発明のデータ処理方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明のデータ処理方法およびコンピュータプログラムを実施するときには、その複数の手順の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0012】
さらに、本発明のデータ処理方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現場作業者に確実かつ迅速に緊急通報に気付かせることができる通報装置、通報システム、通報装置のデータ処理方法、およびそのプログラムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る通報システム1の構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
本実施形態の通報システム1は、作業現場(店舗S)に設けられた、現場作業者(店員)による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末(店舗端末300)と、作業現場(店舗S)に設けられた、IP通話に利用されるIP電話端末400と、店舗端末300およびIP電話端末400にネットワーク3を介して接続される管理装置100と、を備えた通報システム1であって、店舗端末300は、管理装置100とネットワーク3を介して通信する通信部(図2のIP通信ユニット301)と、管理装置100からIP通信ユニット301(図2)を介して表示処理制御される表示部(図2のタッチパネル307)と、を有し、IP電話端末400は、管理装置100とネットワーク3を介して通信する通信部(図3のIP通信ユニット401)と、管理装置100からIP通信ユニット401(図3)を介して発呼されたとき、着呼して着信音を鳴動する鳴動部(図3の報知スピーカ405)と、を有し、管理装置100は、店舗端末300およびIP電話端末400とネットワーク3を介して通信するインタフェース部120と、現場作業者(店員)への緊急通報を受け付ける受付部102と、インタフェース部120を介して店舗端末300と通信して、受付部102が受け付けた緊急通報を店舗端末300のタッチパネル307(図2)に表示出力させる表示制御部104と、インタフェース部120を介して店舗端末300と通信して、受付部102が緊急通報を現場作業者(店員)に認識させるためにIP電話端末400を発呼させる緊急発呼部106と、を備える。
【0017】
具体的には、通報システム1は、管理装置100と、インターネットやWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などのネットワーク3を介して管理装置100に接続され、管理装置100によって管理される複数の店舗Sa、店舗Sb(図では2店舗のみ記載されている。以後、「店舗S」と略す。)にそれぞれ設けられた複数の店舗サーバ200を備える。さらに、各店舗Sにおいて、店舗サーバ200は、管理装置100とネットワーク3を介して通信するインタフェース部(I/F)202を含み、さらに、LANなどのネットワーク204を介して、少なくとも一の店舗端末300と、少なくとも一のIP電話端末400と接続されている。
【0018】
管理装置100および店舗サーバ200は、サーバコンピュータである。管理装置100や店舗サーバ200は、いわゆるSIP(Session Initiation Protocol)サーバであり、メモリ(不図示)上に実装されているコンピュータプログラムCP(図4)に対応して管理装置100や店舗サーバ200に各種機能を提供する。
【0019】
このコンピュータプログラムCPは、図4に示すように、各店舗Sなどに特化していない汎用的なオペレーティングシステムOSと、各店舗Sに対応したアプリケーションソフトASからなる。
【0020】
このアプリケーションソフトASは、たとえば、各々特有の機能に特化されて事前に用意されている複数種類のウィジェット等のモジュールソフトMS、これらのモジュールソフトMSを各店舗Sの要望に対応して統合するAPI(Application Programming Interface)等のカスタマイズソフトCS、等からなる。
【0021】
図1に戻り、本実施形態において、店舗端末300は、たとえば、いわゆるPOS(Point Of Sales)端末であり、店舗の複数のキャッシャ部(不図示)毎に設置されている。IP電話端末400は、店舗端末300と同じ作業現場に設置されたIP電話機である。なお、図1において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。
【0022】
また、通報システム1の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0023】
管理装置100は、受付部102と、表示制御部104と、発呼部106と、音声出力制御部108と、検知部110と、記録部112と、履歴記憶部(図中、「履歴」と示す)114と、インタフェース部(I/F)120と、を備える。
【0024】
インタフェース部120は、ネットワーク3を介して、各店舗Sの店舗サーバ200と通信する。受付部102は、図示されない操作部などへの操作入力により、店舗Sへの緊急通報を受け付ける。たとえば、緊急通報を発行すべき店舗やグループの指定、緊急レベルの設定、通報の具体的な内容(対象商品、内容、回収の要否など)の入力、認証情報の入力等、各種情報の入力を受け付ける。受付部102が受け付けた緊急通報情報は、履歴記憶部114に記録部112により記録される。
【0025】
なお、図示していないが、管理装置100は、管理すべき複数の店舗Sの店舗サーバ200の情報を記憶するデータベースを備えている。
【0026】
表示制御部104は、受付部102が受け付けた緊急通報を、インタフェース部120を介して各店舗Sの店舗サーバ200に送信して、後述する店舗端末300のタッチパネル307(図2)に表示出力させる。ここで、表示制御部104は店舗サーバ200のみを管理し、店舗サーバ200に緊急通報の表示出力を指示し、店舗サーバ200から店舗サーバ200の管理下の複数の店舗端末300に表示出力を指示してもよいし、あるいは、表示制御部104が各店舗Sの複数の店舗端末300を管理し、表示出力を制御してもよい。
【0027】
図5に示すように、本実施形態において、緊急通報画面500は、たとえば、緊急通報マーク502と、内容表示欄504と、確認ボタン506と、を含む。緊急通報マーク502は、本画面が緊急通報であることが店舗Sの店員に直ぐに認識されるように、目立つように表示される。点滅表示や動画であってもよい。内容表示欄504には、緊急通報の内容が記載される。確認ボタン506は、緊急通報画面500を店舗の店員が確認した後、操作する。確認ボタン506の押下により、緊急通報画面500は、確認画面を経て閉じるようにすることができる。また、店舗サーバ200を介して管理装置100に緊急通報を確認したことを通知してもよい。
【0028】
図1に戻り、発呼部106は、受付部102が受け付けた緊急通報を、インタフェース部120を介して各店舗Sの店舗サーバ200に送信して、店舗サーバ200を介して後述するIP電話端末400を発呼させる。ここで、発呼部106は店舗サーバ200のみを管理し、店舗サーバ200から店舗サーバ200の管理下の複数のIP電話端末400を発呼するよう店舗サーバ200に指示してもよいし、あるいは、発呼部106が各店舗Sの複数のIP電話端末400を管理し、直接発呼させてもよい。IP電話端末400では、後述するように、発呼されたとき、着呼して着信音を鳴動させて店員に通報することができる。
【0029】
音声出力制御部108は、発呼部106が発呼した各IP電話端末400に店舗Sの店員などが出て応答したとき、音声メッセージをIP電話端末400に音声出力させる。たとえば、音声出力制御部108は、緊急通報が発行されたことを通知する通知メッセージ「緊急通報です。」、緊急通報が発行されたので画面を見るよう促す指示メッセージ「緊急通報です。画面を見てください。」、あるいは、緊急通報の内容そのものを伝達する通報メッセージ「緊急通報です。商品Aを至急回収してください。」などを音声出力させることができる。
【0030】
検知部110は、IP電話端末400への緊急通報の発呼に対し現場作業者(店員)が応じたか否かを検知する。検知部110は、インタフェース部120を介して各店舗Sの店舗サーバ200に対して、問い合わせてもよいし、各店舗Sの店舗サーバ200から通知を受信してもよい。
【0031】
記録部112は、上述したように受付部102が受け付けた緊急通報情報を履歴記憶部114に記録するとともに、検知部110が検知した各店舗Sの緊急通報の発呼に応じたか否かの検知結果を履歴記憶部114に記録する。
【0032】
履歴記憶部114は、受付部102が受け付けた緊急通報情報として、たとえば、受付日時、通報対象店舗やグループコード、緊急レベル、内容、認証の成否、店舗毎の通報確認状況、再通報日時などが格納される。
【0033】
本実施の形態の管理装置100は、前述のように実装されているコンピュータプログラムに対応して各種の処理動作を実行することにより、前述のような各種手段102〜120が各種機能として実現されている。
【0034】
本実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、一つの作業現場に設けられた、現場作業者(店員)による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末(店舗端末300)および、IP通話に利用されるIP電話端末(IP電話端末400)と通信する通報装置(管理装置100)を実現させるためのプログラムであって、コンピュータに、管理装置100が、現場作業者(店員)への緊急通報を受け付ける受付手順と、管理装置100が、受け付けた緊急通報を店舗端末300に表示出力させる緊急表示手順と、管理装置100が、緊急通報を現場作業者(店員)に認識させるためにIP電話端末400を発呼させる緊急発呼手順と、を実行させるように記述されている。
【0035】
図2に示すように、本実施形態において、店舗端末300は、IP通信ユニット301と、レジスタユニット302、入力ユニット304と、報知スピーカ305と、タッチパネル307と、を含む。
【0036】
IP通信ユニット301は、マイクロコンピュータが内蔵されており、実装されているメモリ(不図示)上のコンピュータプログラムに対応してレジスタユニット302、入力ユニット304、報知スピーカ305、およびタッチパネル307などの各部を統合制御する。
【0037】
レジスタユニット302は、商品販売時に入力ユニット304により読み取られた商品のバーコードから商品情報を取得して集計し、決済処理などを行うユニットであるが、本発明の本質には関わらないので詳細な説明は省略する。
【0038】
入力ユニット304は、特に限定されないが、商品に添付されているバーコードやRFIDタグなどから商品情報を読み取る読取部や、店員の操作を受け付ける操作キー、キーボード、操作ボタン、スイッチ、ジョグダイヤル、タッチパッドなどの操作受付部を含み、読取部や操作受付部が取得した商品情報や入力操作を受け付け、IP通信ユニット301に伝達する。
【0039】
タッチパネル307は、表示機能としては、特に限定されないが、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどであり、操作受付機能としては、特に限定されないが、ユーザの指による操作またはタッチペンによる操作、これらの組み合わせを受け付けてもよい。
【0040】
本実施形態において、店舗端末300のタッチパネル307には、管理装置100から緊急通報が発行されたとき、緊急通報画面500がポップアップ表示される。このポップアップ表示は、どの画面よりも最優先して表示されるようになっており、複数の画面が表示されている場合は、最上面に表示されるようになっている。
【0041】
図3に示すように、本実施形態において、IP電話端末400は、IP通信ユニット401と、送受器ユニット410と、操作ユニット404と、報知スピーカ405と、タッチパネル406と、を備える。
【0042】
IP通信ユニット401は、マイクロコンピュータが内蔵されており、実装されているメモリ(不図示)上のコンピュータプログラムに対応して送受器ユニット410、操作ユニット404、報知スピーカ405、およびタッチパネル406などの各部を統合制御する。
【0043】
送受器ユニット410は、送受器スピーカ411および送受器マイク412を有する。たとえば、送受器ユニット410は、IP電話端末400と無線通信可能な構成としてIP電話端末400本体から取り外し可能なユニットとしてもよい。ユーザ、本実施形態では店舗の店員などの現場作業者は、送受器ユニット410の送受器スピーカ411および送受器マイク412を用いてIP電話端末400にて通話を行うことができる。
【0044】
操作ユニット404は、特に限定されないが、電話番号の入力操作やその他の操作を受け付ける操作キー、操作ボタン、スイッチ、ジョグダイヤル、タッチパッドなどを含み、これらの操作を受け付け、IP通信ユニット401に伝達する。報知スピーカ405は、たとえば、着信時の呼出音を出力したり、受話音声を出力したりする。本実施形態において、管理装置100からの発呼を着呼したとき、報知スピーカ405から着信音が鳴動される。
【0045】
タッチパネル406は、表示機能としては、特に限定されないが、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどであり、操作受付機能としては、特に限定されないが、ユーザの指による操作またはタッチペンによる操作、これらの組み合わせを受け付けてもよい。
【0046】
このように構成された本実施形態の通報システム1における通報装置のデータ処理方法を以下に説明する。図6は、本実施形態の通報システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0047】
本実施形態のデータ処理方法は、一つの作業現場(店舗S)に設けられた、現場作業者(店員)による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末(店舗端末300)および、IP通話に利用されるIP電話端末400と通信する通報装置(管理装置100)のデータ処理方法であって、管理装置100が、現場作業者(店員)への緊急通報を受け付ける受付手順(S101のYES)と、管理装置100が、受け付けた緊急通報を店舗端末300に表示出力させる緊急表示手順(S103)と、管理装置100が、緊急通報を現場作業者(店員)に認識させるためにIP電話端末400を発呼させる緊急発呼手順(S105)と、を含む。
【0048】
具体的には、管理装置100において、受付部102が、緊急通報を受け付ける(S101のYES)。受付部102は、緊急通報情報を記録部112に履歴記憶部114に記録させるとともに、表示制御部104および発呼部106に通報を指示する。
【0049】
管理装置100において、表示制御部104が、ネットワーク3を介して通報対象店舗の店舗サーバ200に緊急通報を表示出力させる(S103)。店舗サーバ200では、管理装置100から緊急通報を受信し、店舗端末300のタッチパネル307に緊急通報の緊急通報画面500をポップアップ表示させる(S201)。
【0050】
さらに、管理装置100において、発呼部106が、ネットワーク3を介して通報対象店舗の店舗サーバ200にIP電話端末400への発呼を指示する(S105)。店舗サーバ200では、管理装置100からの緊急通報の発呼指示を受信し、IP電話端末400を発呼し、IP電話端末400は、着呼して報知スピーカ405から着信音を鳴動する(S203)。これにより、店舗Sの店員は、直ぐに着信音に気付き、IP電話端末400に出る行動をとることができる。
【0051】
IP電話端末400の電話に出た店員は、たとえば、IP電話端末400の報知スピーカ405から通知メッセージを聞いて、同じ作業現場に設置されている店舗端末300のタッチパネル307を見て、緊急通報画面500(図5)を確認することとなる。IP電話端末400に店員が出たとき、管理装置100において、検知部110がIP電話端末400が緊急通報の発呼に応じたことを検知し(S107のYES)、記録部112が履歴記憶部114に確認日時などを記録する(S109)。
なお、図示していないが、IP電話端末400の緊急通報による発呼に、所定時間以上、応答がなかった場合は、発呼部106による発呼を停止し、履歴記憶部114に応答がなかったことを記録する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の通報システム1によれば、店舗の店員が利用している店舗端末300に緊急通報のメッセージをポップアップ表示出力させるとともに、店舗端末300の側で使用されるIP電話端末400を発呼し、着信音を鳴動させることで、店員に緊急通報を確実かつ迅速に気付かせることができる。ポップアップ表示のみの場合に比較して格段に通報に気付きやすくなる。
【0053】
また、店舗端末300でアラーム音を出力することも考えられるが、店舗に設置された店舗端末300の場合、そのスピーカの音量を店舗側で調整して下げてしまっている可能性があり、店員がアラーム音に気付かない恐れがある。
また、IP電話端末400を使用することで、着信音を鳴らすだけでなく、店員が電話に出たとき、緊急通報のメッセージの有無を伝える音声メッセージや、緊急通報のメッセージの内容そのものを音声で出力し、店員に伝えることができる。
【0054】
本実施形態の通報システム1は、既存のPOS端末を用いた店舗システムに、新たにIP電話端末400を導入することで、簡単に構成することが可能である。図4に示したように、本通報システム1を構成するモジュールソフトMSまたはカスタマイズソフトCSとしてアプリケーションソフトASに組み込むことで、簡単に実現することが可能である。
【0055】
また、本実施形態の通報システム1は、たとえば、お総菜などの加工食品工場から様々な種類の弁当を製造し、コンビニエンスストアや店舗などで販売しているような食品流通現場に適用することができる。たとえば、食品の原材料に何かの問題が発見され、緊急に回収する必要が生じたような場合に、本実施形態の通報システム1によれば、回収対象となる商品の回収指令を各店舗に確実かつ迅速に通報することが可能となる。
【0056】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0057】
たとえば、他の実施形態において、IP電話端末400が、ユーザ認証用媒体のユーザ(店員)の認証情報を読み取る読取装置(不図示)を備え、緊急通報の発呼に応じた現場作業者(店員)のユーザ認証用媒体の認証情報を読み取り、管理装置100に店舗サーバ200を介して送信する。管理装置100が、IP電話端末400への発呼に応じた現場作業者(店員)の認証情報をIP電話端末400からインタフェース部120を介して受信する受信部(不図示)と、現場作業者(店員)の認証情報に基づいて現場作業者(店員)のを認証する認証部(不図示)と、を備えてもよい。
【0058】
さらに、管理装置100の記録部112は、認証部によって現場作業者(店員)が認証されなかった場合、その作業現場では緊急通報の発呼に対して現場作業者(店員)による応答がなかったものとして、応答がなかったことを履歴記憶部114に記録するとともに、認証部によって現場作業者(店員)が認証された場合、その作業現場では緊急通報の発呼に応じた現場作業者(店員)として、認証された現場作業者(店員)を履歴記憶部114に記録する。
【0059】
ユーザ認証用媒体は、たとえば、磁気カード、IDカード、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどとすることができる。あるいは、生体認証でもよく、指紋、静脈、虹彩、顔など様々な態様が考えられる。
【0060】
この構成により、IP電話端末400に出て、緊急通報を認識した現場作業者(店員)を特定することが可能となり、緊急通報を確認する現場作業者(店員)は責任を持って緊急通報の内容を確認するようになる可能性がある。また、責任者以外や部外者が緊急通報を確認した場合には、責任者が確認するまで、緊急通報の出力を継続させることができ、確実に緊急通報を責任者に伝達することができる。
【0061】
さらに、管理装置100は、履歴記憶部114に記録された履歴情報を参照して、緊急通報に対して現場作業者(店員)による応答がないと記録されている作業現場に対して、緊急発呼部106にIP電話端末400を発呼させる制御部(不図示)をさらに備えてもよい。
この構成によれば、店舗S毎に緊急通報の発呼に応じなかった店舗Sに対して繰り返し、発呼部106にIP電話端末400を発呼させることができる。
【0062】
また、管理装置100において、上記制御部は、表示制御部104に、店舗Sの店舗端末300に緊急通報を再度表示出力させてもよい。
【0063】
さらに、検知部110は、IP電話端末400の応答のみでなく、店舗端末300のタッチパネル307に表示された緊急通報画面500の確認ボタン506の操作による緊急通報の確認通知を受信し、記録部112に履歴記憶部114に記録させてもよい。
【0064】
なお、上記実施形態では、情報処理端末(店舗端末300)の表示部(タッチパネル307)に緊急通報のメッセージをポップアップさせる構成としたが、これに限定されない。たとえば、IP電話端末400が、メッセージを表示可能な画面サイズを有する表示部(タッチパネル406)を有し、管理装置100の表示制御部104が、IP電話端末400のタッチパネル406に緊急通報のメッセージを表示出力させてもよい。あるいは、管理装置100の表示制御部104が、店舗サーバ200の表示部(不図示)に緊急通報のメッセージを表示出力させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る通報システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の通報システムの店舗端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の通報システムのIP電話端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図1の通報システムのコンピュータプログラムの論理構造を示す模式図である。
【図5】図1の通報システムの店舗端末のタッチパネルに表示される緊急通報画面の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の通報システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 通報システム
3 ネットワーク
100 管理装置
102 受付部
104 表示制御部
106 緊急発呼部
108 音声出力制御部
110 検知部
112 記録部
114 履歴記憶部
120 インタフェース部
200 店舗サーバ
202 インタフェース部
204 ネットワーク
300 店舗端末
301 IP通信ユニット
302 レジスタユニット
304 入力ユニット
305 報知スピーカ
307 タッチパネル
400 IP電話端末
401 IP通信ユニット
404 操作ユニット
405 報知スピーカ
406 タッチパネル
410 送受器ユニット
411 送受器スピーカ
412 送受器マイク
500 緊急通報画面
502 緊急通報マーク
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末および、IP(Internet Protocol)通話に利用されるIP電話端末と通信する端末通信手段と、
前記現場作業者への緊急通報を受け付ける受付手段と、
受け付けた前記緊急通報を前記端末通信手段を介して前記情報処理端末に表示出力させる緊急表示手段と、
前記緊急通報を前記現場作業者に認識させるために前記端末通信手段を介して前記IP電話端末を発呼させる緊急発呼手段と、を備える通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通報装置において、
前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に対し前記現場作業者が応じたか否かを検知する検知手段を備える通報装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通報装置において、
前記緊急発呼手段は、前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に前記現場作業者が応じたとき、前記IP電話端末に対して、前記現場作業者に前記緊急通報を通知する通知メッセージを音声出力させる通報装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の通報装置において、
前記緊急発呼手段は、前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に前記現場作業者が応じたとき、前記IP電話端末に対して、前記現場作業者に前記緊急通報の内容を前記現場作業者に伝達する通報メッセージを音声出力させる通報装置。
【請求項5】
請求項4に記載の通報装置において、
前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に応じた前記現場作業者の認証情報を受信する受信手段と、
前記現場作業者の前記認証情報に基づいて前記現場作業者を認証する認証手段と、を備える通報装置。
【請求項6】
請求項5に記載の通報装置において、
前記検知手段における前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に前記現場作業者が応じたか否かの検知結果を前記作業現場毎に記録する記録手段を備える通報装置。
【請求項7】
請求項6に記載の通報装置において、
前記記録手段は、
前記認証手段によって前記現場作業者が認証されなかった場合、その作業現場では前記緊急通報の発呼に対して前記現場作業者による応答がなかったものとして記録するとともに、
前記認証手段によって前記現場作業者が認証された場合、その作業現場では前記緊急通報の発呼に応じた現場作業者として、認証された前記現場作業者を記録する通報装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の通報装置において、
前記記録手段を参照して、前記緊急通報に対して前記現場作業者による応答がないと記録されている作業現場に対して、前記緊急発呼手段に前記端末通信手段を介して前記IP電話端末を発呼させる制御手段をさらに備える通報装置。
【請求項9】
作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末と、
前記作業現場に設けられた、IP通話に利用されるIP電話端末と、
前記情報処理端末および前記IP電話端末にネットワークを介して接続される管理装置と、を備えた通報システムであって、
前記情報処理端末は、
前記管理装置と前記ネットワークを介して通信する通信手段と、
前記管理装置から前記通信手段を介して表示処理制御される表示手段と、を有し、
前記IP電話端末は、
前記管理装置と前記ネットワークを介して通信する通信手段と、
前記管理装置から前記通信手段を介して発呼されたとき、着呼して着信音を鳴動する鳴動手段と、を有し、
前記管理装置は、
前記情報処理端末および前記IP電話端末と前記ネットワークを介して通信する通信手段と、
前記現場作業者への緊急通報を受け付ける受付手段と、
前記通信手段を介して前記情報処理端末と通信して、前記受付手段が受け付けた前記緊急通報を前記情報処理端末の前記表示手段に表示出力させる緊急表示手段と、
前記通信手段を介して前記情報処理端末と通信して、前記受付手段が前記緊急通報を前記現場作業者に認識させるために前記IP電話端末を発呼させる緊急発呼手段と、を備える通報システム。
【請求項10】
請求項9に記載の通報システムにおいて、
前記管理装置は、前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に対し前記現場作業者が応じたか否かを検知する検知手段を備える通報システム。
【請求項11】
請求項10に記載の通報システムにおいて、
前記管理装置の前記緊急発呼手段は、前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に前記現場作業者が応じたとき、前記IP電話端末に対して、前記現場作業者に前記緊急通報を通知する通知メッセージを音声出力させる通報システム。
【請求項12】
請求項10または11に記載の通報システムにおいて、
前記管理装置の前記緊急発呼手段は、前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に前記現場作業者が応じたとき、前記IP電話端末に対して、前記現場作業者に前記緊急通報の内容を前記現場作業者に伝達する通報メッセージを音声出力させる通報システム。
【請求項13】
請求項12に記載の通報システムにおいて、
前記IP電話端末は、
前記緊急通報の発呼に応じた前記現場作業者の認証情報を読み取る読取手段と、
前記通信手段を介して前記管理装置に前記認証情報を送信する認証送信手段と、を有し、
前記管理装置は、
前記IP電話端末への発呼に応じた前記現場作業者の前記認証情報を前記IP電話端末から前記通信手段を介して受信する受信手段と、
前記現場作業者の前記認証情報に基づいて前記現場作業者を認証する認証手段と、を備える通報システム。
【請求項14】
請求項13に記載の通報システムにおいて、
前記管理装置は、前記検知手段における前記IP電話端末への前記緊急通報の発呼に前記現場作業者が応じたか否かの検知結果を前記作業現場毎に記録する記録手段を備える通報システム。
【請求項15】
請求項14に記載の通報システムにおいて、
前記管理装置の前記記録手段は、
前記認証手段によって前記現場作業者が認証されなかった場合、その作業現場では前記緊急通報の発呼に対して前記現場作業者による応答がなかったものとして記録するとともに、
前記認証手段によって前記現場作業者が認証された場合、その作業現場では前記緊急通報の発呼に応じた現場作業者として、認証された前記現場作業者を記録する通報システム。
【請求項16】
請求項14または15に記載の通報システムにおいて、
前記管理装置は、前記記録手段を参照して、前記緊急通報に対して前記現場作業者による応答がないと記録されている作業現場に対して、前記緊急発呼手段に前記IP電話端末を発呼させる制御手段をさらに備える通報システム。
【請求項17】
一つの作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末および、IP通話に利用されるIP電話端末と通信する通報装置のデータ処理方法であって、
前記通報装置が、前記現場作業者への緊急通報を受け付ける受付手順と、
前記通報装置が、受け付けた前記緊急通報を前記情報処理端末に表示出力させる緊急表示手順と、
前記通報装置が、前記緊急通報を前記現場作業者に認識させるために前記IP電話端末を発呼させる緊急発呼手順と、を含む通報装置のデータ処理方法。
【請求項18】
コンピュータに、一つの作業現場に設けられた、現場作業者による所定の現場作業処理に利用される情報処理端末および、IP通話に利用されるIP電話端末と通信する通報装置を実現させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記通報装置が、前記現場作業者への緊急通報を受け付ける受付手順と、
前記通報装置が、受け付けた前記緊急通報を前記情報処理端末に表示出力させる緊急表示手順と、
前記通報装置が、前記緊急通報を前記現場作業者に認識させるために前記IP電話端末を発呼させる緊急発呼手順と、を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−21821(P2010−21821A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181028(P2008−181028)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】