説明

通話録音機能付きゲートウェイ装置

【課題】 ハードディスクなどの録音用のストレージを搭載することなく、通話音声信号をLANインタフェースに接続されたパーソナルコンピュータ(PC)へリアルタイムで転送し、PCのハードディスクに通話音声信号を録音できるゲートウェイ装置を提供する。
【解決手段】 外線に接続されるとともに内線に接続されるゲートウェイ装置1と、ゲートウェイ装置1に接続されるボタン電話主装置3または構内交換機と、ボタン電話主装置3または構内交換機に接続される複数の内線電話機5と、ゲートウェイ装置に接続される複数のPC7とからなり、内線電話機5とPC7は位置的に対応して配置される電話機システムであって、ゲートウェイ装置1は、内線電話機5とPC7を関連付けて記憶する関連付けデータベースを有し、PC7から通話録音要求があるとPC7と内線電話機が対応しているかを判断して、対応しているときに当該内線電話の通話音声信号をPC7に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話音声の録音を可能とするゲートウェイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機に通話中の音声信号を録音する機能を付加した電話機は既に市販されている。装置内にハードディスクやメモリーカード等の記録装置を録音用に備えた装置では、記録装置の空き容量がなくなる前に任意のタイミングで、録音内容をパーソナルコンピュータに転送する方法が多い(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−201237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の装置では、比較的高価な録音用の記録装置を備えることが必要であり、さらに、記録装置の空き容量を監視してパーソナルコンピュータへ転送することが必要となり扱いが煩雑なものであった。
【0004】
本発明は、ハードディスクなどの録音用のストレージを搭載することなく、通話音声信号をLANインタフェースに接続されたパーソナルコンピュータへリアルタイムで転送することができるゲートウェイ装置を提供するとともに、パーソナルコンピュータのハードディスクに通話音声信号を録音できる電話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、ゲートウェイ装置が、パーソナルコンピュータからの操作により、ゲートウェイ装置とパーソナルコンピュータの間にVoIP(Voice over IP:IP上の音声通信)の通話パスを確立する機能、外線、内線間の通話音声信号を加算し、上記通話パス上へパーソナルコンピュータに向けて送出し、パーソナルコンピュータが、通話終了時に、自動的にパーソナルコンピュータのハードディスク上に録音データのファイルを生成することを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明は、ゲートウェイ装置が、パーソナルコンピュータと内線電話機を関連付ける関連付データベースを備え、内線電話機からの発信の後、関連付けられたパーソナルコンピュータに自動的に録音を開始することを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明は、外線に接続されるとともに内線に接続されるゲートウェイ装置と、ゲートウェイ装置に接続されるボタン電話主装置または構内交換機と、ボタン電話主装置または構内交換機に接続される複数の内線電話機と、ゲートウェイ装置に接続される複数のパーソナルコンピュータとからなり、内線電話機とパーソナルコンピュータは位置的に対応して配置される電話システムであって、ゲートウェイ装置は、内線電話機とパーソナルコンピュータを関連付けて記憶する関連付けデータベースを有し、パーソナルコンピュータから通話録音要求があるとパーソナルコンピュータと内線電話機が対応しているかを判断して、対応しているときに当該内線電話の通話音声信号をパーソナルコンピュータに転送するようにした。
【0008】
本発明は、上記電話システムにおいて、前記関連付けデータベースが、パーソナルコンピュータのアドレスと、内線電話機のサブアドレスを含む電話機番号とを関連付けて記憶するものとした。さらに、ゲートウェイ装置が、内線電話機からの通話音声信号と外線からの通話音声信号を加算する手段を具備した。
【0009】
また、本発明は、外線に接続されるとともに内線に接続されるゲートウェイ装置と、ゲートウェイ装置に接続されるボタン電話主装置または構内交換機と、ボタン電話主装置または構内交換機に接続される複数の内線電話機と、ゲートウェイ装置に接続される複数のパーソナルコンピュータとからなり、内線電話機とパーソナルコンピュータは位置的に対応して配置される電話システムを構成するゲートウェイ装置であって、内線電話機とパーソナルコンピュータを関連付けて記憶する関連付けデータベースと、
パーソナルコンピュータからの通話録音要求があったときにパーソナルコンピュータと内線電話機が関連付けられているかを関連付けデータベースを用いて比較・判定して通話録音要求のあったパーソナルコンピュータに関連付けられた内線電話機があるときに通話録音要求に記述されたパーソナルコンピュータに当該内線電話の通話音声信号を転送する機能を具備した。
【0010】
本発明は、上記ゲートウェイ装置であって、パーソナルコンピュータからの通話録音要求から対応する内線電話機を検索する機能と、通話録音要求を発したパーソナルコンピュータに対応する内線電話機があり通話中であることを判断する機能と、通話中の内線電話機がパーソナルコンピュータに関連付けられているときに内線電話機からの通話音声信号と外線からの通話音声信号を加算してパーソナルコンピュータに送出する機能とを具備した。
【0011】
本発明は、外線に接続されるとともに内線に接続されるゲートウェイ装置と、ゲートウェイ装置に接続されるボタン電話主装置または構内交換機と、ボタン電話主装置または構内交換機に接続される複数の内線電話機と、ゲートウェイ装置に接続される複数のパーソナルコンピュータとからなり、内線電話機とパーソナルコンピュータは位置的に対応して配置される電話システムを構成するパーソナルコンピュータであって、ゲートウェイ装置からの通話音声信号を記録装置に記録する機能を具備した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ゲートウェイ装置に前述の様なストレージを搭載しないので装置の経済化が図れるとともに、録音の内容は、それぞれ、必要とするパーソナルコンピュータに記録管理することができる。
【0013】
本発明のゲートウェイ装置は、ISDN回線を利用している小規模事務所構内交換機/ボタン電話を導入しているユーザに対して、概設の構内交換機(以下、PBXということがある)もしくはボタン電話装置の設備を変更することなく、VoIPサービスの利用を可能とすることができる。
【0014】
本発明のゲートウェイ装置は、ブロードバンド回線へのアクセスルータとして利用でき、かつ、内線電話機とパーソナルコンピュータを連帯する簡易なCTI機能を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にかかるゲートウェイ装置を用いた電話システムの構成の概要を、図1を用いて説明する。
【0016】
本発明にかかる電話システムは、ゲートウェイ装置1と、ボタン電話主装置またはPBX3と、内線電話機3−1〜1−nと、パーソナルコンピュータ(以下、PCということがある)7−1〜7−nとを具備して構成される。ゲートウェイ装置1は、外線インタフェースを介して公衆網(ISDN回線・アナログ回線)専用線等(以下、単に公衆網ということがある)91に、WANインタフェースを介してIP網95に接続され、また、ISDN内線インタフェースを介してボタン電話主装置3の外線側インタフェースに接続され、また、LANインタフェースを介してLAN8に接続される。
【0017】
ゲートウェイ装置1は、内線電話機5−1〜5−nからIP網95に接続するVoIP機能、PC7−1〜7−nからIP網(インターネット)95にアクセスするアクセスルータ機能を有している。
【0018】
さらに、ゲートウェイ装置1は、ISDNサブアドレスを利用して内線電話機を特定し、内線電話機5−1〜5−nと対応するPC7−1〜7−nを連動する簡易なCTI機能を有している。
【0019】
ゲートウェイ装置1のISDN内線インタフェースとボタン電話主装置3の外線側インタフェースを接続する内線側ISDN2は、アドレスおよびサブアドレスが付された呼接続データや音声データなどを送受信する。
【0020】
ボタン電話主装置3は、外線側インタフェースを介してゲートウェイ装置1との間で通話音声信号を送受信する働きと、内線電話機5−1〜5−nからの発信をゲートウェイ装置1へ接続する働きと、ゲートウェイ装置1からの外線側インタフェースへの着呼を呼接続データに記述されたアドレスおよびサブアドレスを用いて内線電話機5−1〜5−nに接続する働きを有している。
【0021】
内線電話機5−1〜5−nは、内線回線4−1〜4−nを介してボタン電話主装置3に接続されるとともに、PC7−1〜7−nに対応して配置される。
【0022】
PC7−1〜7−nは、内線電話機5−1〜5−nと対応して配置されるとともに、LAN8を介してゲートウェイ装置1のLANインタフェースに接続されており、ボタン操作により、ゲートウェイ装置1からの通話録音開始を指示し、ゲートウェイ装置1との間にVoIPルートを確立して内線電話機と外線との間または内線電話機相互間の通話音声信号を録音する機能を有しており、そのための専用アプリケーションを搭載している。
【0023】
図2を用いてゲートウェイ装置1の機能構成を説明する。ゲートウェイ装置1は、主制御部11と、通話路スイッチ12と、外線インタフェース制御回路13と、WANインタフェース制御回路14と、内線インタフェース制御回路15と、LANインタフェース制御回路16と、データベース部17と、通話音声加算部18とを有して構成される。
【0024】
主制御部11は、装置全体の制御、外線や内線やVoIP等の呼制御等を行う手段であり、転送先アドレステーブルを有している。さらに、主制御部11は、外線とISDN内線間の通話音声信号を加算した音声データをIPパケット化する機能を有している。
【0025】
通話路スイッチ12は、音声データ交換用のスイッチである。
【0026】
外線インタフェース制御回路13は、公衆網91とのインタフェースを制御する回路である。
【0027】
WANインタフェース制御回路14は、10/100BASE等の外線(IP網)95とのインタフェースであるWANインタフェース等を制御する回路である。
【0028】
内線インタフェース制御回路15は、内線側のISDNインタフェースを制御する回路である。
【0029】
LANインタフェース制御回路16は、例えば10/100BASEのLANとのインタフェースであるLANインタフェースを制御する回路等である。
【0030】
データベース部17は、CTI機能を達成するためのデータを格納する手段であり、データベース制御部171と、関連付けデータベース172を有している。関連付けデータベース172は、PC7のアドレスと内線電話機5の関連付けを管理するデータベースであり、PCアドレスと、内線電話機番号と、パーソナルコンピュータに対応するIDである区別IDと、アクティブフラグを関連付けて記述して構成される。
【0031】
通話音声加算部18は、外線とISDN内線間の通話音声信号を加算する手段である。
【0032】
図3を用いて、本発明に用いるPC7が備える特徴的な機能構成を説明する。PC7は、LAN送受信部71と、オペレーティングシステム72と、ファイルシステム73と、通話保存メモリ74と、通話状態監視部75とを有して構成される。LAN送受信部71は、LANを介して例えばイーサネット(登録商標)データの送受信を行う処理部である。オペレーティングシステム72は、ソフトウェアを制御する。ファイルシステム73は、通話録音のファイルを作成し閉じる処理を行うシステムである。通話保存メモリ74は、通話録音したメモリを格納するエリアである。通話状態監視部75は、ゲートウェイ装置1から通話開始および通話終了を受信する手段である。
【0033】
PC7における動作を説明する。ゲートウェイ装置1から録音開始をLAN送受信部71で受信したオペレーティングシステム72は、通話状態監視部75へ通知する。オペレーティングシステム72は、ファイルシステム73を使用して、通話保存メモリ74にファイルを作成した後、ゲートウェイ装置1から受信した通話音声信号を、ファイルシステム73を使用して、通話保存メモリ74のファイルへ保存する。ゲートウェイ装置1から録音終了をLAN送受信部71で受信すると、オペレーティングシステム72は、通話状態監視部75へ通知し、ファイルシステム73を使用して、通話保存メモリ74のファイルを閉じ、録音を終了する。
【0034】
図4を用いて、本発明の通話録音の処理の流れを説明する。内線電話機5が相手電話機99にボタン電話主装置3およびゲートウェイ装置1を経由して発呼して(S1)、相手電話機99が応答し(S2)、双方向で通話中となる(通話2:S3,通話1:S4)。通話中に利用者がPC7から録音要求を送出する(S5)と、ゲートウェイ装置1はPC7に対し発呼処理を行う(S6)。PC7は応答を返す(S7)とともに関連付けデータベースを用いて比較・判定してPC7に対応する内線電話機が通話中であるか否かを判定する(S8)。一方、ゲートウェイ装置1から応答を受けたPC7は、ファイルを開いて録音に備える(S9)。ステップS8でPC7に対応する内線電話機5が通話中であるときには、PC7との間にVoIP通話パスを確立し(S10)、通話1と通話2の音声信号を加算して、VoIP通話パスを通じてPC7へ送信を開始する(S11)。PC7は音声をファイルに録音する(S11)。通話を終了して電話機99が切断する(S12)と、内線電話機5が応答(解放)して(S13)、通話1および通話2が終了する。ゲートウェイ装置1は、録音終了をPC7に通知し(S14)、PC7は録音を終了してファイルを閉じる(S15)。そして、PC7は、切断をゲートウェイ装置1へ通知する(S15)。ゲートウェイ装置1は応答(解放)を送出して、VoIP通話パスを解放する(S17)。応答(解放)を受けたPC7は録音終了完了をゲートウェイ装置1へ通知して(S19)、PC7での通話録音を終了する。
【0035】
このようにしてゲートウェイ装置に関連付けデータベースを設け、パーソナルコンピュータからの通話録音要求があったときにパーソナルコンピュータと内線電話機が関連付けられているかを関連付けデータベースを用いて比較・判定して当該パーソナルコンピュータと内線電話機の対応がある場合に、外線と内線電話機との間の通話音声信号を、パーソナルコンピュータに転送して録音することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明にかかる電話システムの構成の概要を説明する図
【図2】本発明にかかる電話システムを構成するゲートウェイ装置の構成の概要を説明する図
【図3】本発明にかかる電話システムを構成するパーソナルコンピュータの機能構成を説明する図
【図4】本発明による通話録音の処理を説明するシーケンス図
【符号の説明】
【0037】
1:ゲートウェイ装置
11:主制御部
12:通話路スイッチ
13:外線インタフェース制御回路
14:WANインタフェース制御回路
15:内線インタフェース制御回路
16:LANインタフェース制御回路
17:データベース部
171:データベース制御部
172:関連付けデータベース
18:通話音声信号加算部
2:内線側ISDN
3:ボタン電話主装置または構内交換機(PBX)
4:内線回線
5:内線電話機
7:PC(パーソナルコンピュータ)
71:LAN送受信部
72:オペレーティングシステム
73:ファイルシステム
74:通話保存メモリ
75:通話状態監視部
8:LAN
91:公衆網(ISDN回線・アナログ回線)専用線等
95:IP網
99:相手電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線に接続されるとともに内線に接続されるゲートウェイ装置と、ゲートウェイ装置に接続されるボタン電話主装置または構内交換機と、ボタン電話主装置または構内交換機に接続される複数の内線電話機と、ゲートウェイ装置に接続される複数のパーソナルコンピュータとからなり、内線電話機とパーソナルコンピュータは位置的に対応して配置される電話システムであって、
ゲートウェイ装置は、内線電話機とパーソナルコンピュータを関連付けて記憶する関連付けデータベースを有し、パーソナルコンピュータから通話録音要求があると内線電話機が対応しているかを判断して、対応しているときに当該内線電話の通話音声信号をパーソナルコンピュータに転送することを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1記載の電話システムにおいて、前記関連付けデータベースは、パーソナルコンピュータのアドレスと、内線電話機のサブアドレスを含む電話機番号とが関連付けられて記憶されており、ゲートウェイ装置が、内線電話機からの通話音声信号と外線からの通話音声信号を加算する手段を有することを特徴とする電話システム。
【請求項3】
外線に接続されるとともに内線に接続されるゲートウェイ装置と、ゲートウェイ装置に接続されるボタン電話主装置または構内交換機と、ボタン電話主装置または構内交換機に接続される複数の内線電話機と、ゲートウェイ装置に接続される複数のパーソナルコンピュータとからなり、内線電話機とパーソナルコンピュータは位置的に対応して配置される電話システムを構成するゲートウェイ装置であって、
内線電話機とパーソナルコンピュータを関連付けて記憶する関連付けデータベースと、
パーソナルコンピュータからの通話録音要求があったときに関連付けデータベースを用いて比較・判断して通話録音要求のあったパーソナルコンピュータに関連付けられた内線電話機があるときに通話録音要求に記述されたパーソナルコンピュータに当該内線電話の通話音声信号を転送する機能と
を有することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項4】
請求項3記載のゲートウェイ装置であって、
パーソナルコンピュータからの通話録音要求から対応する内線電話機を検索する機能と、
通話録音要求を発したパーソナルコンピュータに対応する内線電話機があり通話中であることを判断する機能と、
通話中の内線電話機がパーソナルコンピュータに関連付けられているときに内線電話機からの通話音声信号と外線からの通話音声信号を加算してパーソナルコンピュータに送出する機能と
を有することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項5】
外線に接続されるとともに内線に接続されるゲートウェイ装置と、ゲートウェイに接続されるボタン電話主装置または構内交換機と、ボタン電話主装置または構内交換機に接続される複数の内線電話機と、ゲートウェイ装置に接続される複数のパーソナルコンピュータとからなり、内線電話機とパーソナルコンピュータは位置的に対応して配置される電話システムを構成するパーソナルコンピュータであって、
ゲートウェイ装置からの通話音声信号を記録装置に記録する機能を有することを特徴とするパーソナルコンピュータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−166385(P2006−166385A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375176(P2004−375176)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】