説明

造粒粒子の製造方法および製造装置

【課題】廃棄物燃料に含まれる有害重金属を球状固化粒子中に封じ込めて無害化することが可能な造粒粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】フライアッシュを灰造粒機1により所定範囲の粒径の粒子に造粒する造粒工程と、前記造粒工程で造粒された造粒粒子及び有害重金属を含む廃棄物燃料をキルン焼成炉3に導入して1050〜1200℃の焼成温度によって焼成する焼成工程と、前記焼成工程から排出される燃焼排ガス、造粒粒子及び廃棄物燃焼灰を下流の後燃焼炉5に導入し、該後燃焼炉5の前段で1300〜1500℃の温度で前記造粒粒子の表面に付着した廃棄物燃焼灰を溶融し、前記後燃焼炉5の後段で冷却用空気を導入して、前記表面に前記廃棄物燃焼灰が溶融状態で存在する造粒粒子を含む造粒粒子を冷却して実質的に球状形状の固化物を生成する後燃焼工程とを有することを特徴とする造粒粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造粒粒子の製造方法および製造装置に関し、詳しくは土砂代替品やコンクリート骨材などに使用できる造粒粒子の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、汚泥焼却灰から球状粉末スラグを製造するための溶融炉が提案されている。図4には特許文献1に記載の球状粉末スラグ製造処理フローが示されており、同図に基づいて従来の製造法を説明すると、50は下水汚泥焼却設備から排出された下水汚泥焼却灰を貯留するホッパ、51は定量フィーダであり、ホッパ50内の焼却灰は定量フィーダ51で切出されたのち図示しないブロワにより、球状粉末スラグ製造用溶融炉53に配管52を介して輸送される。
【0003】
溶融炉53は、図5に示すように、炉内断面積が下方に行くにつれて段階的に大きくなっており、炉内壁の各段差部54には冷却空気供給手段としてのノズル55が円周方向に数10個ずつ取り付けられており、冷却空気を下方に噴出して、炉壁の温度を下げることにより炉壁へのクリンカの付着を防止している。
【0004】
溶融炉53の頂部にはバーナ56が取り付けられ、バーナ56は焼却灰供給管、燃料供給路、燃焼用気体供給路を備えた3重管構造を成している。燃料供給路および燃焼用気体供給路から供給される燃料と燃焼用気体とにより形成される高温の燃焼火炎S中に、焼却灰供給管から前記焼却灰が燃焼用気体(空気)の一部とともに供給され、前記燃焼火炎S中で加熱され、焼却灰は浮遊状態で溶融して球状化する。この球状化溶融粒子はやがて前記燃焼火炎Sの外へ搬出され、ノズル55からの冷却空気で溶融温度以下に保持された炉内で急冷されることにより凝固して球状粉末スラグとなる。
【0005】
前記球状粉末スラグのうち粒径の大きな球状粉末スラグは炉底部に落下し、排出口57から取り出され、一方、粒径の小さな球状粉末スラグは排ガス排出口58から排ガスとともに熱交換器59を通って電気集塵機60に至り、排ガスから分離される。これにより、球状粉末スラグを炉床に設けた球状粉末スラグ排出口57および電気集塵機60から得る。
【0006】
上記の技術で使用されている溶融炉は、火炎中で粉体を溶融して球状化するものであり、フレーム溶融炉と称されており、非特許文献1にも同様のフレーム溶融炉が開示されている。
【特許文献1】特開平11−337042号公報
【非特許文献1】下水道協会誌 Vol.36 No.444 1999/10「下水汚泥焼却灰球状化法による溶融パウダーの製造技術」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、エネルギー発電の推進において、廃棄物発電分野の核となる廃棄物燃焼からの高効率発電を可能とする循環流動層ボイラが注目されている。
【0008】
従来の技術の問題点において、かかる循環流動層ボイラにおいて、フレーム溶融方式では、主燃料はオイルであり、固形廃棄物を燃料に出来ない。そのため、運転コストが高くなり、CO排出削減に寄与することが出来ないという欠点がある。
【0009】
プラズマ溶融方式や誘導加熱方式などの方式では、大量の電力を消費するため、運転コストが高く経済的な方式ではない。
【0010】
従来、下水汚泥燃焼灰から人工軽量骨材を製造するために、灰焼成用ロータリーキルンが用いられているが、燃料は全て化石燃料である。
【0011】
本発明者は、灰焼成用ロータリーキルンの燃料として、廃棄物を利用する技術の開発を試み、以下のような課題があることがわかった。
【0012】
すなわち、従来の灰焼成用ロータリーキルンによる焼成方法において、廃棄物燃料を用いる廃棄物燃焼灰は10〜40ミクロンの細かいフライアッシュとなって、灰焼成用ロータリーキルンによる燃焼ガスに同伴され、短時間で灰焼成用ロータリーキルンを通過する。このため廃棄物燃焼灰は十分に焼成されない。有害重金属を含む廃棄物燃焼灰が十分焼成されないと、有害重金属は廃棄物燃焼灰に含まれた状態となるので、その燃焼灰を排出後捕集した後に、薬品などを添加して無害化する必要があり、処理コストが高くなるという問題があった。
【0013】
また、灰焼成用ロータリーキルンで造粒する造粒粒子に廃棄物燃焼灰が付着し、造粒品自体の有害重金属濃度が上昇するため、製品の品質が確保できないという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、廃棄物燃料に含まれる有害重金属を球状固化粒子中に封じ込めて無害化することが可能な造粒粒子の製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。
【0015】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0017】
(請求項1)
フライアッシュを灰造粒機により所定範囲の粒径の粒子に造粒する造粒工程と、
前記造粒工程で造粒された造粒粒子及び有害重金属を含む廃棄物燃料をキルン焼成炉に導入して1050〜1200℃の焼成温度によって焼成する焼成工程と、
前記焼成工程から排出される燃焼排ガス、造粒粒子及び廃棄物燃焼灰を下流の後燃焼炉に導入し、該後燃焼炉の前段で1300〜1500℃の温度で前記造粒粒子の表面に付着した廃棄物燃焼灰を溶融し、前記後燃焼炉の後段で冷却用空気を導入して、前記表面に前記廃棄物燃焼灰が溶融状態で存在する造粒粒子を含む造粒粒子を冷却して実質的に球状形状の固化物を生成する後燃焼工程とを有することを特徴とする造粒粒子の製造方法。
【0018】
(請求項2)
前記造粒工程が、バイオマス、各種産業廃棄物及び化石燃料から選ばれる燃料を燃焼した燃焼熱により高温高圧の蒸気を発生する循環流動層ボイラにおける燃焼後に捕集される10〜50ミクロンのフライアッシュと水とセメントからなる原料を攪拌・混練して、所定サイズの粒子に造粒することを特徴とする請求項1記載の造粒粒子の製造方法。
【0019】
(請求項3)
前記焼成工程で使用される前記有害重金属を含む廃棄物燃料が、廃棄プラスチック、PRF及び建築廃材などの廃棄物であることを特徴とする請求項1又は2記載の造粒粒子の製造方法。
【0020】
(請求項4)
前記焼成工程は、前記造粒工程で造粒された造粒物を1050〜1200℃の焼成温度で0.5〜2時間保持して焼成することを特徴とする請求項1、2又は3記載の造粒粒子の製造方法。
【0021】
(請求項5)
キルン焼成炉出口での燃焼空気比を、1.0以上とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の造粒粒子の製造方法。
【0022】
(請求項6)
後燃焼炉の入り口で化石燃料を吹き込んだ後の理論空気比を0.9〜1.1に保持することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の造粒粒子の製造方法。
【0023】
(請求項7)
フライアッシュを所定範囲の粒径の粒子に造粒する造粒機と、
前記造粒機で造粒された造粒粒子及び有害重金属を含む廃棄物を導入して1050〜1200℃の焼成温度によって焼成するキルン焼成炉と、
前記キルン焼成炉の下流に配置され、該キルン焼成炉から排出される燃焼排ガス、造粒粒子及び廃棄物燃焼灰を導入し、前段で1300〜1500℃の温度で前記造粒粒子の表面に付着した廃棄物燃焼灰を溶融し、後段で冷却用空気を導入して、表面に前記廃棄物燃焼灰が溶融状態で存在する造粒粒子を含む造粒粒子を冷却して実質的に球状形状の固化物を生成する後燃焼炉とを有することを特徴とする造粒粒子の製造装置。
【0024】
(請求項8)
後燃焼炉が、フレーム溶融炉であることを特徴とする請求項7記載の造粒粒子の製造装置。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明によれば、廃棄物燃料に含まれる有害重金属を球状固化粒子中に封じ込めて無害化することが可能となる。また得られた造粒粒子は、循環流動層ボイラの珪砂代替品、土壌改良材などの土砂代替品及びコンクリート骨材として使用することが可能である。製造された造粒焼成品内に含まれる有害重金属の溶出量は、土壌環境基準値内を満たしており、バグフィルターによる捕集灰の有害重金属の溶出に対しても土壌環境基準値も満たしている。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、循環流動層ボイラから発生するフライアッシュを有効利用できる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、燃料単価が化石燃料に比べ1/5〜1/10に低減できる。
【0028】
請求項4記載の発明によれば、有害重金属を粒子内に封じ込めて無害化するとともに、強固な固化物を生成することができる。
【0029】
請求項5記載の発明によれば、キルン焼成炉で廃棄物燃料の完全燃焼を図ることができる。
【0030】
請求項6記載の発明によれば、後燃焼炉での火炎温度の上昇を図ることができる。
【0031】
請求項7、8記載の発明によれば、廃棄物燃料に含まれる有害重金属を球状固化粒子中に封じ込めて無害化することが可能となる。また得られた造粒粒子は、循環流動層ボイラの珪砂代替品、土壌改良材などの土砂代替品及びコンクリート骨材として使用することが可能である。製造された造粒焼成品内に含まれる有害重金属の溶出量は、土壌環境基準値内を満たしており、バグフィルターによる捕集灰の有害重金属の溶出に対しても土壌環境基準値も満たしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は本発明の造粒粒子の製造方法を実施する装置の好ましい態様を示すフロー図であり、同図において、1は灰造粒機であり、たとえば混合攪拌造粒機、パン型造粒機などを使用できる。
【0034】
本実施の形態では、造粒タンク100と攪拌機101を備えた攪拌造粒機を採用した例について説明する。
【0035】
造粒タンク100に飛灰(フライアッシュ)を導入し、フライアッシュに対して水10%程度添加した後、攪拌機101を作動させ、攪拌造粒して所定範囲の粒径の造粒粒子を得る。なお必要によりバインダーを使用することもできる。攪拌機101の回転数は、60〜120rpm程度が所定範囲の粒径の造粒粒子を得る上で好ましい。
【0036】
造粒タンク100に導入されるフライアッシュとしては、特に限定されないが、例えば図示しない循環流動層ボイラから排出される燃焼灰(バグ灰)などが挙げられ、フライアッシュの粒径は通常10〜50ミクロン(平均20〜40ミクロン)の範囲である。循環流動層ボイラは、バイオマス、各種産業廃棄物及び化石燃料から選ばれる燃料を燃焼した燃焼熱により高温高圧の蒸気を発生する。
【0037】
得られた造粒粒子の粒径は、本発明により得られる製品が土砂代替品ならば100〜500ミクロン、コンクリート骨材(砂や小石など)ならば5〜20mmのように、製品目的により変化させることが好ましい。
【0038】
造粒後に12〜48時間程度、建て屋内等で自然養生させることが好ましい。
【0039】
攪拌造粒機1で造粒された粒子は、切出し部2を介してキルン焼成炉3に搬送されるが、かかる搬送系について図2および図3に基づいて説明する。
【0040】
攪拌造粒機1で造粒された粒子は、図2で示すように、ホッパー102に受け入れ、切出し部2の投入部200を介してスクリューフィーダ201で所定量ずつ切出す。切出された造粒粒子は、コンベア202によってキルン焼成炉3の入り口に設けられた投入部300に投入され、シール用ロータリーバルブ301の開閉により、キルン焼成炉3に導入される。
【0041】
搬送系の態様は、図3に示す態様であってもよい。すなわち、切出し部2をキルン焼成炉3の入り口近傍に配置し、攪拌造粒機1で造粒された粒子をホッパー102で受け入れ、該ホッパー102から供給される粒子をコンベア202により切出し部2の投入部200を介してスクリューフィーダ201で所定量ずつ切出す。切出された造粒粒子は、キルン焼成炉3の入り口に設けられた投入部300に投入され、シール用ロータリーバルブ301の開閉により、キルン焼成炉3に導入される。
【0042】
キルン焼成炉3としては、例えば起動用バーナーを有する内燃並流式焼成用ロータリーキルンを使用できる。
【0043】
キルン焼成炉3の燃料としては有害重金属を含む廃棄物燃料が使用される。廃棄物燃料は、廃棄物燃料切出し部4から所定量ずつ切出される。廃棄物燃料切出し部4は、投入部400とスクリューフィーダ401を備えている。
【0044】
廃棄物燃料としては、廃棄プラスチック、RPF(Refuse Paper&Plastic Fuel)、RDF(廃棄物固形化燃料)、建築廃材などの廃棄物燃料が挙げられる。かかる廃棄物燃料を使用することにより、燃料単価が化石燃料に比べ、1/5〜1/10に低減できる。
【0045】
キルン焼成炉3では、有害重金属を含む廃棄物燃料を用いて、前記造粒粒子を1050〜1200℃の焼成温度で0.5〜2時間保持して焼成することが有害重金属を粒子内に封じ込める上で好ましい。
【0046】
焼成温度が1050〜1200℃の温度で0.5時間未満の保持では、有害重金属を粒子内に封じ込めることができず、また焼成むらが生じ、2時間を越えても効果の更なる上昇は見込めない。
【0047】
キルン焼成炉3内で造粒粒子と空気の流れ方向は、本発明の効果を良好に奏する上では並流方式が好ましい。
【0048】
キルン焼成炉3の出口での燃焼空気比は、1.0以上とすることが完全燃焼を実現するために好ましく、より好ましくは1.3〜1.5の範囲である。
【0049】
次に、図1において、5は後燃焼炉である。後燃焼炉5には、前記キルン焼成炉3から排出される燃焼排ガス、造粒粒子及び10〜40ミクロンの廃棄物燃焼灰を導入する。この導入の際に、廃棄物燃焼灰の一部は造粒粒子の表面に付着している。
【0050】
後燃焼炉5の形状は特に限定されるわけではないが、本実施の形態では円筒型フレーム溶融炉を好ましく採用している。
【0051】
後燃焼炉5の入口部500には、キルン焼成炉3から燃焼排ガス、造粒粒子及び10〜40ミクロンの廃棄物燃焼灰が導入され、プロパンガス、都市ガス、オイルなどの化石燃料が供給され、燃焼を起こさせる。
【0052】
後燃焼炉5の入口部500は、外側外周上からプロパンや都市ガスなどの燃料が内側に向けて吹き込まれるシンプルな構造となっており、入口部500先端から1300〜1500℃の火炎が形成される。この火炎中で10〜40ミクロンの廃棄物燃焼灰は、溶融、球状化される。
【0053】
また前記火炎が形成され、1300〜1500℃の温度で前記造粒粒子の表面に付着した廃棄物燃焼灰を溶融する。
【0054】
火炎を出た後の後燃焼炉5の後段では、冷却空気と混合され、溶融炉出口で800℃程度まで冷却固化される。
【0055】
フレーム溶融炉5の後段は、図示しないが、多段分割されており、各段毎にファン501から配管502を介して冷却空気が導入される構造になっている。またフレーム溶融炉5底部にも配管504を介して空気が導入される空気導入部503が形成されている。505は球状粒子排出部である。排出された球状粒子は、粒子冷却部6に送られる。
【0056】
粒子冷却部6は、たとえば回転ドラム型を採用でき、直接冷却または間接冷却のいずれでもよい。粒子冷却部6には冷却用の空気配管600が接続されている。
【0057】
粒子冷却部6の内部は、空気(温度150℃程度)がB方向、粒子(入口で800℃程度)がA方向に移動し、互いに向流になるように構成されることが冷却効果を上昇させる上で好ましい。
【0058】
粒子冷却部6で冷却された球状粒子は、50〜150℃程度まで冷却され、製品7として外部に排出され、貯留される。
【0059】
粒子冷却部6で冷却に寄与して温度上昇した空気は、前記キルン焼成炉3に送られ、燃焼空気として使用できる。この際、温度が上昇しているので、起動用オイルの使用量が少なくて済む効果がある。
【0060】
本発明の好ましい態様では、後燃焼炉5で化石燃料を使用しているが、キルン焼成炉3で1050〜1200℃の温度に昇温しているので、300℃程度の温度上昇に相当する熱量分だけでよく、経済性に優れる効果がある。
【0061】
キルン焼成炉3に引き続いて、後燃焼炉で、好ましくは0.2〜0.4秒の短時間、高温火炎内を通過させることにより、造粒粒子の表面部分の一部溶融を行った後冷却するため、焼成むらを解消できるばかりでなく、球状固化物の強度増大を図ることができる。
【0062】
また、本発明の好ましい態様によれば、キルン焼成炉3では、有害重金属を含む廃棄物燃料を用いて、前記造粒粒子を1050〜1200℃の焼成温度で0.5〜2時間保持して焼成することにより有害重金属を粒子内に封じ込める。さらに粒子表面に付着した廃棄物燃焼灰も後燃焼炉で溶融されるため、冷却固化された球状粒子中に有害重金属を封じ込めて、無害化できる。
【0063】
さらに、本発明の好ましい態様によれば、キルン焼成炉3での燃焼空気比は、1.0以上として廃棄物燃料の完全燃焼が図られ、その後、後燃焼炉5の入口部でプロパンなどを吹き込み、火炎の温度をアップするため、燃焼空気比は0.9〜1.1程度に保持される。その下流で段階的に冷却用空気を導入して排ガスを800〜1000℃程度まで冷却するので、空気比も1.3以上で完全燃焼が図られる。
【0064】
なお、本発明では、得られた球状固化物は、完全に球状であることまで要求されず、実質的に球状であればよい。実質的にというのは、直交する直径の比が±10%以内の変動を許容する意味である。
【0065】
吸引ファン10によって吸引された約800℃程度の廃棄物燃焼灰および燃焼排ガスは、たとえば半乾式タイプの反応冷却塔8において、消石灰または炭酸ナトリウムなどのアルカリスプレーを使用し、排ガス温度を150〜200℃に冷却し、排ガス中の腐食成分であるHClやSOを除去する。
【0066】
反応冷却塔8で処理された廃棄物燃焼灰および燃焼排ガスは、バグフィルター9を通過させ、廃棄物燃焼灰を捕集する。捕集した燃焼灰は有効利用したりまたは埋め立て処理される。また、燃焼排ガスは外部に放出される。
【実施例】
【0067】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
【0068】
実施例1
本発明により製造した造粒焼成品の有害重金属の溶出試験を環境庁告示46号の方法に従って分析し、土壌環境基準との比較を行った。
【0069】
造粒焼成品の有害重金属の溶出試験結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1より、造粒焼成品の有害重金属の溶出値は、土壌環境基準値を満たしていることがわかる。
【0072】
実施例2
本発明により製造した造粒品の物性を計測し、その結果を表2に示す。
【0073】
圧壊強度:粒子1個を圧縮試験機上にのせ、物質に荷重をかけ破壊強度を調べる。
【0074】
【表2】

【0075】
表2より、造粒粒子は上記のような物性を示すので、循環流動層ボイラの珪砂代替粒子として使用可能であり、また、埋め立てだけでなく、土砂代替品、砂利代替品及び土壌代替品などとしても有効利用できることがわかる。
【0076】
実施例3
バグフィルター捕集灰の有害重金属溶出試験を環境庁告示46号の方法に従って行い、土壌環境基準値との比較を行った。
【0077】
その結果を表3に示す。
【0078】
【表3】

【0079】
表3より、バグフィルター捕集灰の有害重金属溶出値は土壌環境基準を満たしていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の好ましい態様を示すフロー図
【図2】本発明に係る切出し部の一例を示す図
【図3】本発明に係る切出し部の他の例を示す図
【図4】従来例を示すフロー図
【図5】従来のフレーム溶融炉の断面図
【符号の説明】
【0081】
1:灰造粒機、攪拌造粒機
100:造粒タンク
101:攪拌機
102:ホッパー
2:切出し部
200:投入部
201:スクリューフィーダ
202:コンベア
3:キルン焼成炉
300:投入部
301:ロータリーバルブ
4:廃棄物燃料切出し部
400:投入部
401:スクリューフィーダ
5:後燃焼炉
500:入口部
501:ファン
502:配管
503:空気導入部
504:配管
505:球状粒子排出部
6:粒子冷却部
600:空気配管
7:製品
8:反応冷却塔
9:バグフィルター
10:吸引ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライアッシュを灰造粒機により所定範囲の粒径の粒子に造粒する造粒工程と、
前記造粒工程で造粒された造粒粒子及び有害重金属を含む廃棄物燃料をキルン焼成炉に導入して1050〜1200℃の焼成温度によって焼成する焼成工程と、
前記焼成工程から排出される燃焼排ガス、造粒粒子及び廃棄物燃焼灰を下流の後燃焼炉に導入し、該後燃焼炉の前段で1300〜1500℃の温度で前記造粒粒子の表面に付着した廃棄物燃焼灰を溶融し、前記後燃焼炉の後段で冷却用空気を導入して、前記表面に前記廃棄物燃焼灰が溶融状態で存在する造粒粒子を含む造粒粒子を冷却して実質的に球状形状の固化物を生成する後燃焼工程とを有することを特徴とする造粒粒子の製造方法。
【請求項2】
前記造粒工程が、バイオマス、各種産業廃棄物及び化石燃料から選ばれる燃料を燃焼した燃焼熱により高温高圧の蒸気を発生する循環流動層ボイラにおける燃焼後に捕集される10〜50ミクロンのフライアッシュと水とセメントからなる原料を攪拌・混練して、所定サイズの粒子に造粒することを特徴とする請求項1記載の造粒粒子の製造方法。
【請求項3】
前記焼成工程で使用される前記有害重金属を含む廃棄物燃料が、廃棄プラスチック、PRF及び建築廃材などの廃棄物であることを特徴とする請求項1又は2記載の造粒粒子の製造方法。
【請求項4】
前記焼成工程は、前記造粒工程で造粒された造粒物を1050〜1200℃の焼成温度で0.5〜2時間保持して焼成することを特徴とする請求項1、2又は3記載の造粒粒子の製造方法。
【請求項5】
キルン焼成炉出口での燃焼空気比を、1.0以上とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の造粒粒子の製造方法。
【請求項6】
後燃焼炉の入り口で化石燃料を吹き込んだ後の理論空気比を0.9〜1.1に保持することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の造粒粒子の製造方法。
【請求項7】
フライアッシュを所定範囲の粒径の粒子に造粒する造粒機と、
前記造粒機で造粒された造粒粒子及び有害重金属を含む廃棄物を導入して1050〜1200℃の焼成温度によって焼成するキルン焼成炉と、
前記キルン焼成炉の下流に配置され、該キルン焼成炉から排出される燃焼排ガス、造粒粒子及び廃棄物燃焼灰を導入し、前段で1300〜1500℃の温度で前記造粒粒子の表面に付着した廃棄物燃焼灰を溶融し、後段で冷却用空気を導入して、表面に前記廃棄物燃焼灰が溶融状態で存在する造粒粒子を含む造粒粒子を冷却して実質的に球状形状の固化物を生成する後燃焼炉とを有することを特徴とする造粒粒子の製造装置。
【請求項8】
後燃焼炉が、フレーム溶融炉であることを特徴とする請求項7記載の造粒粒子の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−297331(P2006−297331A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125798(P2005−125798)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】