説明

連続的シラザン分解法

本発明は、連続的シラザン分解法、特に非酸化物系の無機セラミックのための分子状の前駆体を製造するための連続的方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的シラザン分解法、特に非酸化物系の無機セラミック用の分子状の前駆体を製造するための連続的シラザン分解法に関する。
【0002】
バッチ式で実施されるシラザンの分解のための反応は、先行技術において既に記載されている(Metalloorganicheskaya Khimiya (1989), 2(3), 701-2, Kalikhman, I.D. et al.著; Journal of Organometallic Chemistry (1989), 361(2), 147-55, Kalikhman, I.D. et al.著; Zhumal Obshchei Khimii (1981), 51(8), 1824-9, Sheludyakov. V.D. et al.著)。
【0003】
アニオン性成分のC及びN並びにカチオン性機能の形の2〜4の他の元素、例えばB、Al、Ga、In、Si、Ge、P、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe又はZnからなるセラミックが特に重要である。このようなセラミック、例えばSi、B、N及びCからなるセラミックは、優れた熱的、機械的及び化学的耐性を特徴とし、適用において重要な全ての特性、例えば熱機関における使用のための特性の組合せにおいて競合する材料よりも明らかに優れている。この有利な特性の前提条件は、特に、1〜2nmを超える領域にわたり均質に分布する形でアニオン性機能及びカチオン性機能を有する元素の規則的な交互性を有する網状構造を実現することにある。
【0004】
この前提条件は、カチオン性成分のそれぞれ所望の組合せを、窒素を介して互いに架橋して含有する分子状の単一成分前駆体の合成及び準備によって実現可能である。この分子状の前駆体を引き続き重合させ、最終的に熱分解によりセラミック化する。このポリマーの中間体はポリマー技術のあらゆる方法により加工することができるため、繊維、フィルム、含浸物、被覆及び成形品のような使用形状に関して通常ではない領域が開拓される。特に重要なのは、繊維強化セラミック複合材料を製造するための新規の種類の材料の潜在能力である。空気中で高温及び同時の機械的負荷の下での傑出した良好な特性のために、この適用潜在能力は保証されている。金属系及び従来のセラミック系の材料が占有していた分野へ踏み込むことは、多くの技術的利点のために望ましいが、安価な製造方法を提供できる場合にだけ可能である。
【0005】
サブシステムSi/B/N/Cのために、概観文献「Amorphous Multinary Ceramics in the Si-B-N-C System」(M. Jansen et al., Struct. Bond. 2002, 101, 137)並びにDE 41 07 108 A1, DE 100 45 427 A1, DE 100 45 428 A1及び101 04 536 A1において、式(1)
xHal3-xSiNR1−BRyHal2-y
[式中、Rはそれぞれ無関係に1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表し、Halはそれぞれ無関係にCl、Br又はIを表し、R1はそれぞれ無関係に1〜20個のC原子を有する炭化水素基又は水素を表し、x=0、1又は2、及びy=0又は1である]の単一成分前駆体を誘導する構造のバリエーションのための合成が記載されている。
【0006】
前記の方法は、Me3Si−NR1SiMe3から出発し、まずSiHal4-xxを用い、次いでBHal3-yyを用いる2つの連続するシラザン分解によって、それぞれの目的分子をバッチ方式で二段階液相プロセスで合成することが共通している。
【0007】
【化1】

【0008】
これは実験室合成であり、環境的及び経済的に最適化された生産として工業的規模で実施することは容易にできない。
【0009】
特に次のような問題がある:
1. 第1のシラザン分解のための反応時間は、バッチ当たり20〜48時間であり、第2のシラザン分解のための反応時間は、バッチ当たり約12時間である。従って、この方法では、十分な空時収率を達成することができない。
【0010】
2. 反応温度を高める場合には、選択性が失われ、不所望な副生成物、例えばRxHal3-xSi−NR1−SiHal3-xx又はMe3Si−NR1−SiHal2-xx−NR1−SiMe3が生じてしまう。
【0011】
3. 今まで、大過剰量の高価な供給物質を必要とし、このコストがこの方法の経済性を損なっている。
【0012】
4. 「バッチ」法での合成は比較的不経済である、それというのもそれぞれ反応を開始する前に、時間及びコストがかかる反応装置の不活性化を行うためである。
【0013】
5. 合成の間に必要な冷却により、並びに生成物の蒸留プロセスによる単離及び精製により、比較的高いコスト上昇が生じる。
【0014】
DE 100 45 428 A1には、前記の単一成分前駆体を得るための他の製造経路が記載されていて、この場合、アミン成分のR1NH2をシラン成分SiHal4-xx及びボラン成分BHal3-yyと順番に反応させる:
【化2】

【0015】
2つの順番に行われるアミノ分解の結果として、両方の工程で必然的に生じる、分離するのが困難な塩状のヒドロクロリドの生成が欠点であり、さらにこのヒドロクロリドは使用された材料に対する生成物収率を著しく低下させる。それにもかかわらず、この経路について、反応器を製造期と再生期(ヒドロクロリドのストリッピング)とに周期的に切り替える連続的製造方法の実現がなされた(DE 102 28 990 A1)。
【0016】
記載された方法は既に良好な結果を提供するが、工業的及び経済的観点からなお次の欠点を有する:
1. この空時収率は断続的運転方法により敏感に低下される。並列反応器の設置によってのみ(投資コストを高めることで)対処することができるだけである。
【0017】
2. 出発成分のアミン並びに中間生成物のシリルアミンはそれぞれ半分だけヒドロクロリドとして結合され、再生サイクルから排出される。このことは、高価な使用物質に対する最終生成物の収率を著しく低下させる。
【0018】
3. この目的生成物は手間をかけて単離及び精製しなければならない。
【0019】
4. 中間生成物及び最終生成物の残りは、熱的なストリッピングの際に重合されるため、長時間運転の場合に反応器中でのスケール形成が生じる。
【0020】
シラザン分解により、多くの重要な化合物及び特に非酸化物系セラミック用の分子状の単一成分前駆体を製造することができる。今まで公知のこのバッチ法は、しかしながら前記の議論された欠点を有する。従って、本発明の課題は、先行技術の欠点を少なくとも部分的に解消したシラザン化合物の分解方法を提供することであった。
【0021】
本発明の更なる課題は、特に次の基準を満たす、非酸化物系セラミック用の単一成分前駆体の一般的に適用可能な効率のよい製造方法を提供することである:
− この製造方法は、中間体を別々に単離又は貯蔵することなしに連続的に実施可能であることが好ましい。
【0022】
− この生成物の収率は、使用物質をできる限り完全に生成物に変換する意味で最適であるべきである。
【0023】
本発明は、連続的に実施することを特徴とするシラザン化合物を分解する方法に関する。意外にも、シラザン分解を連続的に実施することができかつそれにより悪い空時収率に関する前記の欠点を克服できることが確認された。
【0024】
シラザンは、Si−N結合を有するケイ素−窒素化合物である。シラザン分解によって、元素−N化合物を構成することができる。
【0025】
本発明の場合に、更に、シラザン分解のために使用される出発材料の少なくとも1つをガス状で使用する場合に、連続的な方法実施が特に有利でかつ可能であることが確認された。この場合、シラザン又は分解試薬又はその両方をガス状で使用することができる。有利な実施態様の場合に、全ての出発材料はガス状で使用され、この反応は気相で実施される。他の有利な実施態様の場合に、少なくとも1つの出発材料はガス状で使用され、かつ少なくとも1つの他方の出発材料は液状で使用される。この手順の場合には、この方法は有利に向流で実施され、それにより、ほぼ定量的、それどころか定量的な反応を達成することができる。このような反応を実施する場合に、少なくとも1つの反応工程は有利に気液反応器として、例えば気泡塔、スプレー塔、充填塔、流下膜型反応器又は外部撹拌機を備えた反応器として構成される。
【0026】
本発明による連続的方法の更なる改善は、目的生成物及び/又は不所望な副生成物を反応混合物から取り出す、従って平衡から取り出すことにより達成することができる。この目的生成物は、例えば晶出、凝縮及び/又は溶剤の使用により反応混合物の残りの成分から単離することができる。副生成物、特に揮発性副生成物は、有利に分縮、蒸留、パーベーパレーション、気体分離又は吸着により反応混合物から除去される。凝縮相と気相との間の相分離は、有利に衝突式分離器又はサイクロン中で行われる。本発明による連続的な方法の実施により、所望な目的生成物に関する高い選択性を維持することが特に可能である。この選択性は、更に、出発材料の一方を過剰量で、特に少なくとも1.5倍、更に有利に少なくとも2倍の過剰量で反応を実施することにより保証することができる。
【0027】
全体として、本発明による連続的な方法を用いて使用物質はほぼ定量的に所望の目的化合物に変換することができる。本発明の有利な実施態様の場合に、構造式N−Yを有する化合物を製造するために、ここで記載されたシラザン分解を使用する。従って、本発明は、上記のように、構造式N−Y
[式中、Yはそれぞれ無関係に、B、Al、Ga、In、Si、Ge、P、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe又はZnから選択される]を有する化合物を製造するための、シラザン分解を有する連続的方法にも関し、その際、シラザン化合物を、
BHal3-xx、AlHal3-xx、GaHal3-xx、InHal3-xx、SiHal4-yy、GeHal4-yy、PHal3-zz、PHal5-zz、TiHal4-yy、ZrHal4-yy、VHal3-xx、VHal4-yy、NbHal5-zz、TaHal5-zz、CrHal3-xx、MoHal4-yy、MoHal5-zz、WHal6-zz、FeHal3-xx又はZnCl2(その際、x=0又は1、y=0、1又は2及びz=0、1、2又は3、HalはF、Cl、Br及びIから選択され、Rは水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す)から選択される式(2)の化合物と反応させる。
【0028】
特に有利な実施態様は、次の工程
シラザン化合物を、特に式(3)R23SiNR1SiR33
[式中、R2及びR3はそれぞれ互いに無関係で1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、R1は水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す]の化合物を、順番に任意の順序で、
BHal3-xx、AlHal3-xx、GaHal3-xx、InHal3-xx、SiHal4-yy、GeHal4-yy、PHal3-xx、PHal5-zz、TiHal4-yy、ZrHal4-yy、VHal3-xx、VHal4-yy、NbHal5-zz、TaHal5-zz、CrHal3-xx、MoHal4-yy、MoHal5-zz、WHal6-zz、FeHal3-xx又はZnCl2
[式中、x=0又は1、y=0、1又は2及びz=0、1、2又は3、HalはF、Cl、Br及びIから選択され、Rは水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す]から選択される式(2)の化合物、
及び
BHal3-xx、AlHal3-xx、GaHal3-xx、InHal3-xx、SiHal4-yy、GeHal4-yy、PHal3-xx、PHal5-zz、TiHal4-yy、ZrHal4-yy、VHal3-xx、VHal4-yy、NbHal5-zz、TaHal5-zz、CrHal3-xx、MoHal4-yy、MoHal5-zz、WHal6-zz、FeHal3-xx又はZnCl2
[式中、x=0又は1、y=0、1又は2及びz=0、1、2又は3、HalはF、Cl、Br及びIから選択され、Rは水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す]から選択される式(4)の化合物と反応させることを有する、構造式X−N−Y[式中、X及びYはそれぞれ無関係にB、Al、Ga、In、Si、Ge、P、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe又はZnから選択される]を有する化合物の連続的製造方法である。この実施態様の場合に2つのシラザン分解が実施される。この両方の反応の場合に、式(3)及び(4)の化合物は有利にガス状で存在する。
【0029】
意外にも、非酸化物系セラミックのための分子状の単一成分前駆体の製造方法は連続的に実施できることが確認された。シラザン化合物と式(2)の化合物との反応は、有利に気相で行われる。これとは別に、両方の反応体の一方を液体の形で使用することもできる。有利に、この場合、式(3)の化合物を液相で、式(2)の化合物を気相で存在させる。このシラザン分解の生成物は液体の形で生じ、それにより所望の生成物は安価でかつ大規模に製造することができる。本発明による、構造式X−N−Yの化合物、特に式(1)RxHal3-xSi−NR1BRyHal2-yを有する化合物の製造方法は、R23SiNR1SiR33(3)の2重のシラザン分解を介して進行する。
【0030】
式(3)中で、R2及びR3は、有利にそれぞれ無関係に1〜7個のC原子を有するアルキル基及び/又はアリール基、有利にメチル基を表すことができる。
【0031】
本発明によるシラザン分解及び特に式(3)の化合物と式(2)の化合物との反応は、有利に−100℃〜300℃の温度で、更に有利に>25℃〜<100℃の温度で、更に有利に≧50℃〜<70℃の温度で、最も有利に≧55℃〜≦65℃の温度で行われる。更に、式(3)の化合物が、必要に応じて液状又はガス状であり、式(2)及び(4)の化合物がガス状であるために適当な圧力が調節され、その際、一般に、0.1mbar〜2bar、特に1mbar〜1barの圧力が適用される。第1のシラザン分解の分解生成物もしくは第2のシラザン分解により得られる最終生成物は、この条件下でそれぞれ液状で生じる。
【0032】
所望の生成物へのできる限り定量的な反応を達成するために、シラザン化合物、特に式(3)の化合物は、有利に過剰量の式(2)の化合物及び/又は過剰量の式(4)の化合物と反応させる。有利に、シラザン化合物に対して、少なくとも1.1倍、更に有利に少なくとも1.2倍、更に有利に少なくとも1.5倍、最も有利に少なくとも2倍の式(2)の化合物及び/又は式(4)の化合物を使用する。
【0033】
本発明による方法の有利な実施態様の場合に、出発材料(2)及び(4)がガス状で、出発材料(3)、中間生成物及び最終生成物が液状で存在するように圧力及び温度を調節する。このように方法を実施する場合に、中間生成物及び最終生成物を凝縮した形で簡単に方法から分離することができる。この分離は、例えば晶出、凝縮及び/又は溶剤の使用により行うことができる。有利に、前記生成物は凝縮により平衡から分離及び獲得される。
【0034】
この方法の実施は、更に有利に、副生成物が一般に生成される場合に、前記副生成物を反応混合物から除去されるように行われる。反応の際にしばしば生成される副生成物はR3SiHal、例えばMe3SiHalである。圧力及び温度は、従って、反応の間に生成される副生成物のR3SiHalの分圧がその飽和蒸気圧よりも低く、それにより副生成物がガス状で存在するように、適切に調節される。このようなガス状の副生成物は、例えば分縮、蒸留、パーベーパレーション、気体分離又は吸着により簡単に分離することができる。
【0035】
反応生成物の単離もしくは副生成物の分離は、有利に縮合相と気相との相分離によって、例えば衝突式分離器中で又はサイクロン中で行うことができる。
【0036】
有利な実施態様の場合には、本発明による方法は、反応蒸留として実施される。
【0037】
更に、液相の形の出発材料を向流で定量的に気相の形の第2の出発材料と反応させるのが有利である。有利に、一方又は両方の反応工程を気液反応として実施し、その際、適当な反応器は例えば気泡塔、スプレー塔、充填塔、流下液膜式反応器又は外部撹拌機を有する反応器であることができる。
【0038】
式(2)及び(4)を有する化合物は、有利にガス状で反応される。更に、前記合成を2工程の反応プロセスで実施し、両方の反応工程を気相で行うのが有利である。
【0039】
目的生成物への使用物質のできる限り定量的な反応を達成するために、有利に未反応の使用物質又は出発材料をプロセスに返送する。
【0040】
本発明は、閉鎖された流動装置の回路中で、中間生成物の中間的な単離又は貯蔵なしで、2回以上の連続して行われるシラザン分解の連続的運転方法に関する。唯一の副生成物として、R23SiClもしくはR33SiClが生じ、これはR1NH2との反応により出発材料のR23SiNR1SiR33に戻すことができる。本発明による方法の特に有利な観点として、副生成物として塩が生じない。
【0041】
本発明の有利な実施態様の場合に、第1の工程では、式(2)の化合物、有利にSiHal4-xxを、シラザン化合物、特に式(3)の化合物、有利にMe3SiNR1SiMe3と、気相もしくは気相−液相反応で、−100℃〜300℃、特に25〜100℃、有利に≧55℃〜≦65℃の温度で、反応容量中で0.1mbar〜2barの圧力で、更にそれぞれ式(2)の化合物がガス状でありかつ式(3)の化合物がガス状又は液状であるが、それぞれの反応生成物の飽和蒸気圧を上回らず、従って前記反応生成物は液体として凝縮するp/T−条件下で反応させ、均質な平衡から取り出し、相分離器により分離し、次の工程に供給する。
【0042】
第2の工程では、次いで前記中間生成物を式(4)の化合物と、有利に式(4)の化合物がガス状であり、中間生成物が液状であるp/T条件で反応させる。この第2の工程は有利に−100℃〜+30℃の温度で実施される。
【0043】
本発明は、上記の反応タイプが意外にも高温の場合でさえも高い選択性で実施されるという観察に基づいている。このことは、本発明の場合に有利に次の2つの手段により達成される:
1. 反応容量中で、常に式(2)の化合物、有利にSiHal4-xRxの過剰量が存在するため、例えばMe3Si−NR1−SiHal2-xx−NR1−SiMe3(x=0、1)への2重のアミン化が抑制される。
【0044】
2. 所望な中間生成物、例えばHal3-xxSiNR1SiMe3は、有効に液相として引き出されるか、又は気相から凝縮により取り出され、かつこのようにHal3-xxSiNR1SiRxHal3-xへの不所望な後続反応が抑制される。
【0045】
式(2)、例えばSiHal4-xxの使用物質の沸点と、相応する副生成物、例えばMe3SiHalの沸点との差異が十分に大きい場合には、反応容量の頂部に凝縮器を存在させ、前記凝縮器で過剰量で添加された式(2)、例えばSiHal4-xxの使用物質を分離し、かつ副生成物、例えばMe3SiHalをガス状で通過させる。相の分離により回収された出発材料、例えばSiHal4-xxは、反応器中へ戻される。定常運転の場合には、式(3)、例えばMe3SiNR1SiMe3及び式(2)、例えばSiHal4-xxの新たな化合物を、時間単位当たり、副生成物、例えばMe3SiHalが反応器から取り出されるのと同量で反応器に供給する。
【0046】
式(2)、例えばSiHal4-xxの使用物質の沸点と、副生成物、例えばMe3SiHalの沸点とが互いに極めて近い場合には、これらの成分の分離のために、その著しく異なる分子量(例えばSiCl4の分子量:169.9 Me3SiClの分子量:108.6)を合理的に利用することができる。このために適当な方法は、多孔成膜を用いた膜分離法又はモレキュラーシーブへの吸着である。この場合、反応器の頂部にまずこの種の適当な分離段を接続し、その後で出発材料、例えばSiHal4-xxの濃度が高い部分流を凝縮させ、このプロセスに返送する。新規の出発材料、例えばSiHal4-xxは、このプロセスに時間単位当たり、搬出された出発材料、例えばSiHal4-xxと、副生成物、例えばMe3SiHalとの累積された物質量に相当する物質量で供給され、一方で新規の式(3)の化合物、例えばMe3SiNR1SiMe3は時間単位当たり、副生成物、例えばMe3SiHalが反応器から除去されるのと同じ量で、反応器に供給される。
【0047】
中間生成物、例えばHal3-xxSiNR1SiMe3は、ガス状又は液状で第2の反応工程に導入され、かつ過剰量の式(4)の化合物、例えばBCl3と反応される。反応器中での圧力及び温度は、副生成物、例えばMe3SiHalの分圧がその飽和蒸気圧よりも低く保たれるように適切に調節される。特に−100℃〜300℃の温度及び0.1mbar〜2barの圧力は、p/T条件の課せられた要求を満たす。副生成物、例えばMe3SiHal及び過剰量の式(4)の化合物、例えばBCl3は、反応器の頂部を介して引き出される。この副生成物、例えばMe3SiHalは凝縮され、式(3)の出発材料、例えばMe3SiNR1SiMe3の製造のために再び使用される。式(4)の出発材料、例えばBCl3は、反応器に返送される。最終生成物は液状で生じ、反応器の底部から取り出すことができ、必要な場合に、分縮、蒸留又はパーベーパレーションにより精製することができる。
【0048】
本発明による方法は、特に、構造式X−N−Yを有する化合物(その際、X及びYは、それぞれ無関係にB、Al、Ga、In、Si、Ge、P、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe又はZnであることができる)の製造のために使用することができる。特に有利に、式(1)RxHal3-xSi−NR1−BRyHal2-yを有する化合物(その際、Halは、それぞれ無関係にCl、Br又はIを表し、Rはそれぞれ無関係に1〜20個のC原子を有する炭化水素基又は水素を表し、R1は1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基又は水素を表し、x=0、1又は2であり、y=0又は1である)の製造のために使用される。
【0049】
所望の生成物は、有利に2工程のプロセスで製造される。式(1)による化合物は、例えば、ヘキサメチルジシラザン成分(HMDS)Me3SiNR1SiMe3をシラン成分SiHal4-xx及びボラン成分BHal3-yyと任意の順序で反応させることにより製造される。有利に、第1の工程で、ガス状の状態で使用されるシラン成分を、液状又はガス状の凝集体の状態で使用されるヘキサメチルジシラザン成分と、連続的に又は少しずつ、キャリアガスを用いて又はキャリアガスなしで、気相反応器もしくは気相液相反応器中で反応させる。生成された中間生成物を、また有利に第2工程でボラン成分と、過剰量で、不活性溶剤中で、有利に気相中で又はより有利に純粋な凝縮された相中で更に反応させる。これとは別に、中間生成物を液状の凝集体の状態で、ガス状の状態で存在するボラン成分と反応させることもできる。目的生成物は、p/T条件に応じて、純粋な形で生じるか、又は副生成物のMe3SiCl及び過剰量のボラン成分と混合されて生じかつ相分離で単離することができる。この反応経路では、特に化合物MeCl2SiNHBCl2(MADB)(1a)、Cl3SiNHBCl2(TADB)(1b)、(CH32ClSiNHBCl2(DADB)、Cl3SiNCH3BCl2(DMTA)又はCH3Cl2SiNCH3BCl2(DDMA)を純粋な形で製造することができる。MADBのために、この場合にまず、ガス状の状態で使用されるメチルトリクロロシラン及びガス状又は液状の凝集体の状態で使用されるヘキサメチルジシラザンを、気相反応でもしくは気相液相反応で反応させる。TADBのために、同様の反応を実施する場合、テトラクロロシランを、メチルトリクロロシランの代わりに使用する。中間生成物としてMeCl2SiNHSiMe3もしくはCl3SiNHSiMe3が生じ、これをそれぞれ気相で又は有利に凝縮した形でガス状のトリクロロボランと反応させる。
【0050】
式RxHal3-xSi−NR1−BRyHal2-y(1)中で、基R及びR1はそれぞれ無関係に水素又は1〜20個のC原子を有する、有利に1〜10個のC原子を有する炭化水素基を表す。
【0051】
炭化水素基は、この場合に、炭素及び水素の元素から形成された基である。本発明の場合に、炭化水素基は分枝又は非分枝、飽和又は不飽和であることができる。この炭化水素基は、芳香族基を含有することもでき、前記芳香族基はまた炭化水素基で置換されていてもよい。有利な炭化水素基の例は、例えば非分枝の飽和炭化水素基、例えばC1〜C20−アルキル、特にメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル及びn−デシルである。基R及び/又はR1は、分枝された飽和炭化水素基、特に分枝されたC3〜C20−アルキル、例えばi−プロピル、i−ブチル、t−ブチル並びに他の分枝されたアルキル基であることもできる。一実施態様の場合に、基R及び/又はR1は1個又は数個のオレフィン性不飽和基を有する。このような基の例は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ペンタジエニル、ヘプタジエニル、オクタジエニル、ノナジエニル及びデカジエニルである。基R及び/又はR1は、アルキン基、つまりC≡C結合を有することもできる。他の実施態様の場合に、少なくとも1個の基R及び/又はR1、有利に全ての基R及び/又はR1は、芳香族基、特に5〜10個のC原子を有する、殊に5又は6個のC原子を有する芳香族基、例えばフェニル基又は1個の炭化水素基、特にC1〜C10−炭化水素で置換された芳香族基、特にフェニル基、例えばメチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル又はプロピルフェニルを有する。置換基を含めて、前記芳香族基は有利に5〜20個、特に10個までのC原子を有する。炭化水素基R及びR1は、この場合それぞれ互いに無関係に変更することができる。
【0052】
有利に、少なくとも1個の基R及び/又はR1、及び特に全ての基R及び/又はR1は、水素、C1〜C20−アルキル基、特にC1〜C6−アルキル基、フェニル基、ビニル基又はアリル基又は1〜3個のC原子を有する炭化水素基、特にメチル、エチル又はプロピル、特に有利にメチルを有する。
【0053】
基Halはハロゲン原子を表し、特にCl、Br又はIを表し、その際、少なくとも1個の基Hal、特に全ての基HalがClを表すのが有利である。
【0054】
本発明は、添付された図面1〜4及び次の実施例により更に説明される。図1〜4は、本発明による2工程の方法のための製造装置の図示されたバリエーションを示す。
【0055】
実施例
実施例1:MADB(1a)の合成
図1は、本発明の一実施態様によるプロセスフローシートを示す。反応工程I及びIIにおける進行は互いに独立していてかつ順番に記載されている。
MeSiCl3はサーモスタット制御された貯蔵容器1から、HMDSはサーモスタット制御された貯蔵容器2から、純粋な形で又は不活性キャリアガス流、例えばN2、He、Ar;CO2中で、反応器3に供給される。これらの使用物質は、両方とも共通して一点で、又は両方とも位置的に分配されて、又は一方は一点でかつ他方は位置的に分配されて第1の反応段階の反応器3内へ導入される。供給及び流動の種類によって、共通の反応室中で、少なくとも2:1のHMDSと比べたMeSiCl3の化学量論的過剰量が保証される。
【0056】
この反応温度は、外部熱媒体3aを用いて−100℃〜300℃の温度で、特に25℃〜100℃の温度に調節される。反応器3中の全圧は0.1mbar〜2barである。圧力及び温度は、この場合、使用化合物MeSiCl3及びHMDSの分圧が、それぞれの飽和蒸気圧とは異なり、中間生成物MeCl2SiNHSiMe3の分圧はその飽和圧力を上回ることように、それぞれ互いに調節される。この条件下で中間生成物は凝縮し、相分離器4を介して反応容量から取り出され、直接第2の反応工程に供給されるか、それとは別に緩衝容器5中に中間貯蔵することができる。反応器3の頂部で、揮発性の成分から使用物質MeSiCl3を熱交換器6で凝縮させ、相分離器7を介して副生成物Me3SiClから分離される。熱交換器6の温度は、所定の圧力でMeSiCl3がその飽和蒸気圧を上回り、Me3SiClがその飽和蒸気圧を下回るように調節される。MeSiCl3は反応器に戻される。定常運転の場合には、MeSiCl3及びHMDSは、時間単位当たりMe3SiClが反応器から除去される量と同じ物質量を貯蔵容器1及び2から後供給される。
【0057】
第1の反応工程からの中間生成物を、第2の反応工程で、サーモスタット制御された貯蔵容器8から供給される過剰量のBCl3と反応させる。第2の反応工程は、第1の工程と同様の構造であることができ、この場合、反応器温度は−100〜+30℃に調節され、圧力は少なくともBCl3がガス状で存在するように調節されるか、又は先行技術(DE 4 107 108, DE 10 045 428, DE 10 104 536)に従って実施される。この最終生成物は相分離により精製される。
【0058】
相分離器4及び7は、原則として機械的分離を行うことができ、例えば衝突式分離器(Prallabscheider)又はサイクロンである。しかしながら、熱的又は物理化学的分離方法も使用することができる。特に、蒸留/精留又はパーベーパレーションが考えられる。
MADBの製造収率は、両方の工程を介して、使用されたHMDSに対して少なくとも76%である。生成物の特性決定は、質量スペクトル分析及び核磁気共鳴スペクトル分析により行う。MS(70eV):m/z=196(M+−CH3)、174(M+−HCl)、158(M+−HCl−CH3)、138(M+−2HCl)、1H−NMR:δ=0.47;0.49;13C−NMR:δ=6.3;9.3;128.4;11B−NMR:δ=36.4;41.8。
【0059】
実施例2:MADB(1a)の合成
出発材料、中間生成物、副生成物及び最終生成物の沸点は、互いに好ましい関係にあるため、反応蒸留によるMADBの合成が可能である。図2はこの方法バリエーションの図を表す。このプロセスは真空塔4中で進行する。第1の反応工程の出発材料は濃縮部中に一緒に又は異なる位置1及び2に導入される。易揮発性副生成物のMeSiCl3は塔頂部に向かって濃縮され、中間生成物Cl3SiNHSiMe3は塔の回収部に向かって濃縮される。BCl3は供給管3を通して別個に塔内へ導入される。この生成物は塔底部に集められる。
【0060】
実施例3:TADB(1b)の合成
化合物(1b)の製造は、実施例1の化合物(1a)の製造と同様に行われるが、出発材料としてMeSiCl3及びHMDSの代わりにSiCl4及びHMDSを使用する。反応器3の頂部で、未反応のSiCl4及び副生成物のMe3SiClがガス状で一緒に反応室から取り出される、それというのもこれらは同じ蒸発温度を有するためである。SiCl4/Me3SiCl混合物は、従って適当な分離段7を介して分離され(多孔性膜を用いる膜分離法又はモレュラーシーブでの吸着)、SiCl4が濃縮された部分流は全縮器6を介して凝縮され、第1の反応工程に戻される。定常運転の場合に、SiCl4及びHMDSを、時間単位当たり、Me3SiClと搬出されたSiCl4との累積された物質量に相当する物質量で、貯蔵容器1及び2からプロセスに後供給される。
【0061】
TADBの製造収率は、両方の工程を介して、使用されたHMDSに対して少なくとも85%である。生成物の特性決定は、質量スペクトル分析及び核磁気共鳴スペクトル分析により行う。MS(70eV):m/z=231(M+)、196(M+−Cl)、160(M+−Cl−HCl);1H−NMR:δ=4.41;11B−NMR:δ=35.7;29Si−NMR:δ=−23.7。
【0062】
図3は、本発明の前記された実施態様による変更されたプロセスフローシートを示す。
【0063】
実施例4:TADB(1b)の合成
化合物(1b)の製造は、実施例2(図2)の化合物(1a)の製造と同様に行われるが、出発材料としてMeSiCl3及びHMDSの代わりにSiCl4及びHMDSを使用する。更に、第1の反応工程の出発材料は濃縮部中で有利に異なる位置1及び2に導入される。使用物質のHMDSは、その比較的高い沸点のために、使用物質のSiCl4の上方で濃縮部に供給される。
【0064】
実施例5:TADB(1b)の合成
図4は、本発明の一実施態様によるプロセスフローシートを示す。反応工程(I)及び(II)における進行は互いに独立していてかつ順番に記載されている。
【0065】
SiCl4は、サーモスタット制御された貯蔵容器1から純粋な形で又は不活性キャリアガス流、例えばN2、He、Ar、CO2中で、第1の反応工程2の反応器(例えば流下膜型反応器)の下部にガス状で供給される。HMDSは容器3から液状で反応器の頂部に供給され、ガス状のSiCl4と向流で反応される。この両方の反応体の物質流量は、反応室中でHMDSと比べてSiCl4の化学量論的過剰量が1.2〜1.5に維持されるように調節される。
【0066】
この反応温度は、外部熱媒体2aを用いて−50℃〜200℃に調節される。反応器2中の全圧は1mbar〜1barである。圧力及び温度は、この場合、使用化合物SiCl4及び副生成物MeSiCl3の分圧が、それぞれの飽和蒸気圧を下回り、HMDS及び中間生成物Cl3SiNHSiMe3は液状で存在するように、それぞれ互いに調節される。これは、例えば60℃/300mbarの組合せの場合に該当する。この中間生成物は、流下膜型反応器の脚部で液状で取り出され、直接第2の反応工程に供給される。これとは別に、中間生成物を緩衝容器5中に中間貯蔵することができる。反応器2の頂部で、未反応のSiCl4及び副生成物のMe3SiClがガス状で一緒に反応室から取り出される、それというのもこれらはほぼ同じ蒸発温度を有するためである。この他の処理は、実施例3に記載されているように行われる。
【0067】
第1の反応工程からの中間生成物を、第2の反応工程で、サーモスタット制御された貯蔵容器8から供給される過剰量のBCl3(1.1〜1.5倍)と反応させる。第2の反応工程は、まず同様に構成することができるが、段塔としても構成することができ、その際、温度条件及び圧力条件は、使用物質BCl3がガス状で存在し、副生成物Me3SiClがガス状又は液状で存在し、中間体のCl3SiNHSiMe3及び最終生成物Cl3SiNHBCl2(TADB)は液状で存在するように調節される。過剰量のBCl3と副生成物Me3SiClをガス状で反応器の頂部で取り出し、相分離器で分離する。回収されたBCl3を、例えば貯蔵容器8に供給し、他方でMe3SiClを使用物質HMDSの製造に返送する。最終生成物は、相分離により精製され、場合により副生成物Me3SiClを分離する。
【0068】
相分離器4及び9は、原則として機械的分離を行うことができ、例えば衝突式分離器又はサイクロンである。しかしながら、熱的又は物理化学的分離方法も使用することができる。特に、蒸留/精留又はパーベーパレーションが考えられる。
【0069】
TADBの製造収率は、両方の工程を介して、使用されたHMDSに対して少なくとも84%である。生成物の特性決定は、質量スペクトル分析及び核磁気共鳴スペクトル分析により行う(実施例3参照)。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による2工程の方法のための製造装置の図示されたバリエーションを示す図。
【図2】本発明による2工程の方法のための製造装置の図示されたバリエーションを示す図。
【図3】本発明による2工程の方法のための製造装置の図示されたバリエーションを示す図。
【図4】本発明による2工程の方法のための製造装置の図示されたバリエーションを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に実施することを特徴とする、シラザン分解法。
【請求項2】
出発材料の少なくとも1つをガス状で使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
液相の形の出発材料を、気相の形の第2の出発材料と反応させることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
全ての出発材料をガス状で使用することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
シラザン化合物を、
BHal3-xx、AlHal3-xx、GaHal3-xx、InHal3-xx、SiHal4-yy、GeHal4-yy、PHal3-xx、PHal5-zz、TiHal4-yy、ZrHal4-yy、VHal3-xx、VHal4-yy、NbHal5-zz、TaHal5-zz、CrHal3-xx、MoHal4-yy、MoHal5-zz、WHal6-zz、FeHal3-xx又はZnCl2
[式中、x=0又は1、y=0、1又は2及びz=0、1、2又は3、HalはF、Cl、Br及びIから選択され、Rは水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素を表す]から選択される式(2)の少なくとも1つの化合物と反応させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
反応の目的生成物を反応混合物から除去することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
出発材料の一方を過剰量で使用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
シラザン化合物を、
BHal3-xx、AlHal3-xx、GaHal3-xx、InHal3-xx、SiHal4-yy、GeHal4-yy、PHal3-zz、PHal5-zz、TiHal4-yy、ZrHal4-yy、VHal3-xx、VHal4-yy、NbHal5-zz、TaHal5-zz、CrHal3-xx、MoHal4-yy、MoHal5-zz、WHal6-zz、FeHal3-xx又はZnCl2[式中、x=0又は1、y=0、1又は2及びz=0、1、2又は3、HalはF、Cl、Br及びIから選択され、Rは水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す]から選択される式(2)の化合物と反応させる、構造式N−Y
[式中、Yはそれぞれ無関係に、B、Al、Ga、In、Si、Ge、P、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe又はZnから選択される]を有する化合物を製造するための、請求項1から7までのいずれか1項記載のシラザン分解を有する連続的方法。
【請求項9】
次の工程
式(3)R23SiNR1SiR33
[式中、R2及びR3はそれぞれ互いに無関係で1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、R1は水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す]の化合物を、順番に任意の順序で、
BHal3-xx、AlHal3-xx、GaHal3-xx、InHal3-xx、SiHal4-yy、GeHal4-yy、PHal3-xx、PHal5-zz、TiHal4-yy、ZrHal4-yy、VHal3-xx、VHal4-yy、NbHal5-zz、TaHal5-zz、CrHal3-xx、MoHal4-yy、MoHal5-zz、WHal6-zz、FeHal3-xx又はZnCl2
[式中、x=0又は1、y=0、1又は2及びz=0、1、2又は3、HalはF、Cl、Br及びIから選択され、Rは水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す]から選択される式(2)の化合物、
及び
BHal3-xx、AlHal3-xx、GaHal3-xx、InHal3-xx、SiHal4-yy、GeHal4-yy、PHal3-xx、PHal5-zz、TiHal4-yy、ZrHal4-yy、VHal3-xx、VHal4-yy、NbHal5-zz、TaHal5-zz、CrHal3-xx、MoHal4-yy、MoHal5-zz、WHal6-zz、FeHal3-xx又はZnCl2
[式中、x=0又は1、y=0、1又は2及びz=0、1、2又は3、HalはF、Cl、Br及びIから選択され、Rは水素又は1〜20個のC原子を有する炭化水素基を表す]から選択される式(4)の化合物と反応させることを有する、構造式X−N−Y[式中、X及びYはそれぞれ無関係にB、Al、Ga、In、Si、Ge、P、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe又はZnから選択される]を有する化合物を製造するための、請求項1から7までのいずれか1項記載の2つのシラザン分解を有する連続的方法。
【請求項10】
生成物として、非酸化物系セラミック用の分子状の単一成分前駆体が形成されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
式(1)RxHal3-xSi−NR1−BRyHal2-yの化合物を製造し、その際、式(2)の化合物としてSiHal4-yyを使用し、式(4)の化合物としてBHal3-xxを使用することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
反応を−100℃〜300℃の温度で、及び/又は0.1mbar〜2barの圧力で実施することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
出発材料がガス状で存在し、中間生成物及び最終生成物は液状で存在するように、圧力及び温度を調節することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
式(2)の化合物との反応を>25℃、特に≧50℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
シラザン化合物を、過剰量の式(2)の化合物と反応させることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
副生成物としてR3SiHalを方法から分離することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
反応の間に生成される式(5)の副生成物R3SiHal[式中、Halはそれぞれ無関係にCl、Br又はIを表し、Rはそれぞれ無関係に1〜20個のC原子を有する炭化水素基又は水素を表し、x=0、1又は2であり、y=0又は1である]の分圧がその飽和蒸気圧よりも低くなるように、温度及び圧力を調節することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
式(3)の化合物をまず式(2)の化合物と反応させ、その後で次の工程で式(4)の化合物と反応させることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
式(3)の化合物と式(2)の化合物との反応を、出発材料がガス状で存在しかつ生成される中間生成物が液体として凝縮される圧力及び温度条件で実施し、その際、前記中間生成物は液状の形で分離されることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項20】
式(3)の化合物と式(2)の化合物との反応を、式(3)の出発材料がガス状で存在し、式(2)の出発材料及び生成される中間生成物が液体として存在する圧力及び温度条件で実施することを特徴とする、請求項19記載の方法。
【請求項21】
化合物CH3Cl2SiNHBCl2(MADB)、Cl3SiNHBCl2(TADB)、(CH32ClSiNHBCl2(DADB)、Cl3SiNCH3BCl2(DMTA)又はCH3Cl2SiNCH3BCl2(DDMA)を製造することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−522947(P2008−522947A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545933(P2007−545933)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013384
【国際公開番号】WO2006/063798
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(390040420)マックス−プランク−ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エー・ファオ (54)
【氏名又は名称原語表記】Max−Planck−Gesellschaft zur Foerderung der Wissenschaften e.V.
【Fターム(参考)】