説明

進入規制装置

【課題】電力を必要としない進入規制装置であって、運転者に対する注意喚起を安全に行うことが可能な進入規制装置を提供する。
【解決手段】空頭制限区域に至る通路Rを遮断する通路遮断手段Bと、その手前において通路Rの上空を横断する線状部材Cとを備える進入規制装置であって、通路遮断手段Bは、通路Rの外側に立設された支柱3と、支柱3から張り出すブラケット4と、支柱3とブラケット4とを連結する連結軸と、ブラケット4に立設された遮断棒6とを有し、ブラケット4は、連結軸を中心にして回動可能であり、線状部材Cは、通路遮断手段Bまで延設されており、線状部材Cによってブラケット4の回動が阻止されており、線状部材Cに引っ掛かった車両によって線状部材Cが破断したときにブラケット4が回動し、遮断棒6が通路Rに横設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ制限を超えた車両の進入を規制するための進入規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車高が高さ制限を超えている場合(積荷の上端が高さ制限を超えている場合、荷台をダンプアップした状態で走行する場合、クレーンアームを立てた状態で走行する場合なども含む)に、運転手に対して注意を喚起し、空頭制限区域への進入を規制する装置が特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
特許文献1,2の進入規制装置は、センサや警告灯などの電気・電子機器を利用しているので、停電時には作動せず、電力線の通じていない区域においては発電機や蓄電池を必要とする。
【0004】
特許文献3には、電力を必要としない進入規制装置として、第一ゲートに横架された木製の上部バーと、第二ゲートに横架された可動バーと、上部バーから可動バーに至る複数の線状部材とを備えるものが開示されている。この高さ制限装置では、上部バーの破損を契機として線状部材に緩みが生じ、線状部材に吊持されていた可動バーが降下することにより、運転手に対して注意を喚起している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3039909号公報
【特許文献2】特開2002−30623号公報
【特許文献3】特開2007−132019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3の進入規制装置では、破損した上部バーが周囲に飛散する虞があるので、十分な安全対策を講じる必要がある。
【0007】
このような観点から、本発明は、電力を必要としない進入規制装置であって、運転者に対する注意喚起を安全に行うことが可能な進入規制装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る進入規制装置は、空頭制限区域に至る通路を遮断する通路遮断手段と、前記通路遮断手段の手前において前記通路の上空を横断する線状部材と、を備える進入規制装置であって、前記通路遮断手段は、支持構造体と、前記支持構造体から張り出すブラケットと、前記支持構造体と前記ブラケットとを連結する連結軸と、前記ブラケットに立設された遮断棒とを有し、前記ブラケットは、前記連結軸を中心にして回動可能であり、前記線状部材は、前記通路遮断手段まで延設されており、前記線状部材によって前記ブラケットの回動が阻止されており、前記線状部材に引っ掛かった車両によって前記線状部材が破断したときに前記ブラケットが回動し、前記遮断棒が前記通路に横設される、ことを特徴とする。
【0009】
片持ち状に張り出すブラケットには、自身を回転させようとする力(自重に起因したモーメント)が作用しているので、線状部材が破断すると、ブラケットの回動(すなわち、遮断棒の回動)が速やかに進行するようになる。而して、車高が線状部材の高さを超えている場合には、線状部材の破断を契機として遮断棒が自然に回動を開始し、遮断棒が通路に横設されるので、運転手に対して注意を喚起することができる。また、本発明では、電気・電子機器(例えば、線状部材の破断を検知するセンサ、遮断棒を回動させるためのモータ、注意を喚起するための警告灯など)を必要としないので、設置作業およびメンテナンスが容易になるとともに、電力線の通じていない区域や停電時においても空頭制限区域への進入を規制することができる。また、本発明によれば、線状部材だけが破断するので、上部バーの破片が周囲に飛散する虞のある従来の装置に比べて、安全性を高めることができる。しかも、本発明によれば、線状部材を交換あるいは修復するだけで元の状態に復旧することができ、したがって、何度でも繰り返して使用することができる。なお、線状部材の破断には、線状部材そのものが何れかの箇所で断裂する場合のほか、線状部材に設けた弱部において断裂する場合も含まれる。
【0010】
前記通路遮断手段は、前記通路の片側のみに設置してもよいが、前記通路の両側に設置してもよい。通路の両側に通路遮断手段を設置する場合には、一方の前記通路遮断手段まで延設した前記線状部材を、一方の前記通路遮断手段を介して他方の前記通路遮断手段まで延設するか、あるいは、前記線状部材の一端を一方の前記通路遮断手段まで延設し、前記線状部材の他端を他方の前記通路遮断手段まで延設するとよい。通路の両側に通路遮断手段を設置しておけば、一方の通路遮断手段に予期せぬ不具合が生じた場合であっても、運転者に対して注意を喚起することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る進入規制装置によれば、電力線の通じていない区域や停電時においても、運転者に対する注意喚起を安全に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る進入規制装置を示す斜視図である。
【図2】入口門柱を示す側面図である。
【図3】通路遮断手段を示す拡大斜視図である。
【図4】(a)は通路遮断手段の正面図、(b)は同じく側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る進入規制装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る進入規制装置は、図1に示すように、空頭制限区域(図示略)に至る通路Rに設けられた入口ゲートAと、通路Rを遮断する一対の通路遮断手段B,Bと、通路遮断手段B,Bの手前において通路Rの上空を横断する線状部材Cとを備えている。
【0014】
空頭制限区域は、トンネル坑内、高架下、電力線下など、高さ制限が設定された区域であり、通路遮断手段B,Bの前方(図1において左側)に設けられている。なお、本明細書における「前」「後」は、空頭制限区域へ向かう車両の進行方向を基準とし、空頭制限区域に向かう方向を「前」とする。
【0015】
入口ゲートAは、正面視門型を呈する構造体であって、通路Rを挟んで対向する一対の入口門柱1,1と、入口門柱1,1の上端同士を繋ぐ上梁2aとを備えている。
【0016】
入口門柱1は、通路Rの外側(通路Rの側方)に立設されている。図2に示すように、入口門柱1は、H形鋼からなり、前後方向に間隔をあけて配置された一対のフランジと、通路Rに面するウェブとを備えている。入口門柱1のウェブには、線状部材Cの屈折点となる貫通孔1aが形成されている。貫通孔1aは、高さ制限と同じ高さか、高さ制限よりも若干低いところに形成されている。入口門柱1の前面(空頭制限区域側のフランジ)には、線状部材Cの屈折点となるリング1bが固着されている。リング1bは、貫通孔1aよりも低いところに配置されている。なお、図示は省略するが、貫通孔1aに代えて、入口門柱1の前面または後面にリングを固着してもよい。また、リング1bに代えて、入口門柱1のフランジに貫通孔を形成してもよい。
【0017】
入口門柱1の形状や材質に制限はない。本実施形態では、H形鋼で入口門柱1を形成しているが、溝形鋼や鋼管等で入口門柱1を形成してもよいし、鉄筋コンクリートや木材で入口門柱1を形成してもよい。なお、入口門柱1の倒れが懸念される場合には、入口門柱1の前後に斜材を配置すればよい。
【0018】
図1に示す上梁2aは、高さ制限を超える車両に接触しないよう、線状部材Cよりも高い位置に配置されている。上梁2aの形状や材質に制限はないが、本実施形態では、山形鋼で上梁2を形成している。
【0019】
通路遮断手段B,Bは、入口ゲートAの前方に設置されており、通路Rを挟んで対向している。なお、左右の通路遮断手段B,Bは、同じ構成である。
【0020】
図3に示すように、通路遮断手段Bは、支持構造体としての支柱3と、支柱3から張り出すブラケット4と、支柱3とブラケット4とを連結する連結軸5(図4参照)と、ブラケット4に立設された遮断棒6とを備えている。ブラケット4は、連結軸5を中心にして回動し、遮断棒6は、ブラケット4の回動に伴って回動する。
【0021】
支柱3は、通路Rの外側(通路Rの側方)に立設されている。本実施形態の支柱3は、H形鋼からなり、前後方向に間隔をあけて配置された一対のフランジと、通路Rに面するウェブとを備えている。支柱3の後面(後側のフランジ)には、線状部材Cの屈折点となるリング3aが固着されている。リング3aは、ブラケット4よりも高いところに配置されている。なお、図示は省略するが、リング3aに代えて、支柱3の後側のフランジに貫通孔を形成してもよい。
【0022】
図1に示すように、支柱3は、他の通路遮断手段Bの支柱3と通路Rを挟んで対向している。各支柱3に左右方向への倒れが生じないよう、支柱3,3の上端同士は、上梁2bによって繋がれている。なお、支柱3の前後方向への倒れが懸念される場合には、支柱3の前後に斜材を配置すればよい。
【0023】
支柱3の形状や材質に制限はない。本実施形態では、H形鋼で支柱3を形成しているが、溝形鋼や鋼管等で支柱3を形成してもよいし、鉄筋コンクリートや木材で支柱3を形成してもよい。
【0024】
ブラケット4は、通路Rの延長方向(縦断方向)に沿う軸(図4に示す連結軸5)を中心にして回動し得るように構成されている。ブラケット4は、支柱3から略水平に張り出した状態となる待機位置と、支柱3に沿う状態(ブラケット4の先端部が連結軸5の下方に位置する状態)となる遮断位置との間で回動可能である(図4の(a)参照)。
【0025】
図3に示すように、ブラケット4は、支柱3に連結された回動アーム4a,4bと、ブラケット4の回動範囲を規制するストッパ4c,4dとを備えている。
【0026】
回動アーム4a,4bは、前後に間隔を空けて並設されている。前側の回動アーム4aの基端部は、支柱3の前側に位置しており、後側の回動アーム4bの基端部は、支柱3の後側に位置している。回動アーム4a,4bは、山形鋼からなる。なお、溝形鋼や角形鋼管などを利用して回動アーム4a,4bを形成しても勿論差し支えない。
【0027】
ストッパ4c,4dは、左右(回動アーム4a,4bの長手方向)に間隔をあけて並設されており、回動アーム4a,4bを繋いでいる。ストッパ4c,4dは、いずれも山形鋼からなり、回動アーム4a,4bの上面に固着されている。なお、溝形鋼や角形鋼管などをストッパ4c,4dとしても差し支えない。
【0028】
一方のストッパ4cは、図4の(a)に示すように、回動アーム4bの基端部(連結軸5の近傍)に配置されていて、遮断棒6の台座を兼ねている。ストッパ4cは、回動アーム4bの上面から立ち上がる起立部と、回動アーム4bの上面に平行な台座部とを備えている。ストッパ4cの起立部は、ブラケット4が待機位置にあるときには支柱3の通路R側の側面に対峙する。ストッパ4cの台座部は、起立部から他方のストッパ4dに向かって延出していて、ブラケット4が遮断位置にあるときには支柱3の通路R側の側面に対峙する。
【0029】
他方のストッパ4dは、回動アーム4bの先端部に配置されている。ストッパ4dは、回動アーム4bから立ち上がる起立部と、この起立部から一方のストッパ4cに向かって延出する平板部とを備えている。ストッパ4dの平板部は、ブラケット4が遮断位置にあるときに支柱3の通路R側の側面に対峙する。
【0030】
連結軸5は、図4の(b)に示すように、支柱3のウェブよりも通路R側において前後方向に延在する水平軸であり、支柱3の両フランジおよびブラケット4の基端部(回動アーム4a,4bの基端部)に貫設されている。
【0031】
遮断棒6は、図4の(a)に示すように、ブラケット4が待機位置にあるときには通路Rの側方で起立しているが、ブラケット4が遮断位置にあるときには横倒れ状態となる。
【0032】
図3に示すように、遮断棒6は、支柱3の通路R側に配置されている。遮断棒6の構成に制限はないが、本実施形態の遮断棒6は、ストッパ4cの台座部に固着された基部6aと、基部6aに接続された棒本体6bとを備えている。基部6aは鋼材からなり、棒本体6bはプラスチック製の管材からなる。
【0033】
線状部材Cは、図1に示すように、入口ゲートAに配索されるとともに、入口ゲートAと通路遮断手段B,Bとの間に配索されている。線状部材Cの中間部は、入口門柱1,1に張設されている。線状部材Cの一端は、一方の入口門柱1から一方の通路遮断手段Bまで延設されており、線状部材Cの他端は、他方の入口門柱1から他方の通路遮断手段Bまで延設されている。
【0034】
入口門柱1,1に張設された線状部材Cは、各入口門柱1において屈折して下方に向かい、当該屈折点の下方において屈折して支柱3に向かう。本実施形態の線状部材Cは、図2に示すように、入口門柱1の貫通孔1aに挿通されるとともに、貫通孔1aにおいて屈折して下方に向かい、さらに、リング1bに挿通されるとともに、リング1bにおいて屈折して支柱3(図1参照)に向かう。通路Rの上空を横断する区間以外の区間において高度を下げておけば、目視による点検やメンテナンスを行い易くなる。
【0035】
通路遮断手段Bに至った線状部材Cは、図3に示すように、ブラケット4よりも高い位置において屈折し、屈折点の斜め下方に位置するブラケット4の先端部に至る。本実施形態の線状部材Cは、リング3aに挿通されるとともにリング3aにおいて屈折していて、かつ、ブラケット4のストッパ4d(図3参照)に接続されている。而して、線状部材Cは、待機状態のブラケット4に作用する回転力(ブラケット4の自重に起因したモーメント)に対抗し、車両に引っ掛かって破断するまで、ブラケット4の回動(遮断棒6による通路Rの遮断)を阻止する。
【0036】
本実施形態の線状部材Cは、化学繊維を撚り合わせて形成した化繊ロープ7と、鋼線を撚り合わせて形成したワイヤーロープ8と、化繊ロープ7とワイヤーロープ8とを連結するターンバックル9とを備えている。化繊ロープ7の引張強度は、ワイヤーロープ8よりも小さい。本実施形態では、線状部材Cのうち、通路Rを横断する部分、入口門柱1に沿う部分および入口門柱1から支柱3に向かう部分の一部を化繊ロープ7にて形成し、残りの部分をワイヤーロープ8にて形成している。なお、化繊ロープ7やワイヤーロープ8に代えて、他の材質のロープを使用してもよい。
【0037】
また、線状部材Cに局所的な弱部を設け、当該弱部において破断するように構成してもよい。弱部は、通路Rを横断する区間の中央部(高さ制限を超える車両が接触する位置)に設けるとよい。このようにすると、車両が引っ掛かった際に生じる張力に加えて、車両が線状部材Cに接触した際の衝撃が弱部に作用するようになるので、弱部の破断が確実なものとなる。なお、このような弱部を形成するには、例えば、線状部材Cを構成する二つのロープの繋ぎ目に当該ロープよりも破断強度の弱い部材を介在させるか、あるいは、所定値以上の張力あるいは車両衝突時の衝撃によって外れるジョイント手段を介在させればよい。
【0038】
本実施形態に係る進入規制装置は、図1の状態で設置する。すなわち、入口ゲートAおよび通路遮断手段B,Bを設置した後、遮断棒6を起立させた状態で線状部材Cを張設する。なお、線状部材Cに弛みが生じないよう、ターンバックル9を利用して線状部材Cに引張力を導入する。線状部材Cに付与した引張力によってブラケット4が上向きに回転しようとしたときには、一方のストッパ4c(図4の(a)参照)の起立部が支柱3に当接することによって、ブラケット4の上向きの回転が阻止される。
【0039】
ブラケット4には、自身を下向きに回転させようとする力(自重に起因したモーメント)が常に作用するものの、ブラケット4よりも高い位置を経由した線状部材Cがブラケット4の先端に接続されており、線状部材Cによってブラケット4の回動(ブラケット4の下方向への回転)が阻止されているので、線状部材Cが破断しない限り、遮断棒6が横倒状態になることはない。すなわち、車高が線状部材Cの高さ(通路Rを横断する区間の高さ)を超えていない場合、そのまま通路遮断手段3,3の間を通過することができる。
【0040】
一方、車高が線状部材Cの高さを超えている場合には、車両が線状部材Cに引っ掛かり、線状部材C(本実施形態では化繊ロープ7)が破断する。ブラケット4には、自身を下向きに回転させようとする力が作用しているので、線状部材Cが破断すると、図4の(a)に示すように、ブラケット4が自身の重みによって連結軸5を中心にして自発的に回動し、ブラケット4に連動して遮断棒6が回動する。ブラケット4が90度回転すると、ストッパ4cの台座部およびストッパ4dの平板部が支柱3に当接することによって、ブラケット4が遮断位置に位置決めされ、それ以上の回転(支柱3を通り越すような動き)が阻止される。
【0041】
このように、車高が線状部材Cの高さを超えている場合には、線状部材Cの破断を契機としてブラケット4の回動(遮断棒6の回動)が速やかに開始され、遮断棒6が通路Rに横設される結果、運転手に対して注意が喚起される。なお、進入規制装置を再び待機状態に設定する場合には、化繊ロープ7を新たなものに交換するか、あるいは破断部分を結び直せばよい。
【0042】
本実施形態に係る進入規制装置によれば、電気・電子機器(例えば、線状部材Cの破断を検知するセンサ、遮断棒6を回動させるためのモータ、注意を喚起するための警告灯など)を必要としないので、設置作業およびメンテナンスが容易になるとともに、電力線の通じていない区域や停電時においても空頭制限区域への進入を規制することができる。また、本実施形態に係る進入規制装置によれば、柔軟な線状部材Cだけが破断するので、上部バーの破片が周囲に飛散する虞のある従来の装置に比べて、安全性を高めることができる。なお、進入規制装置が作動した後は、線状部材Cを交換あるいは修復するだけで復旧することができるので、繰り返して使用する場合であっても、費用が嵩むことはない。
【0043】
本実施形態に係る進入規制装置によれば、通路Rの両側に通路遮断手段B,Bを設置しているので、一方の通路遮断手段Bに予期せぬ不具合が生じた場合であっても、運転者に対して注意を喚起することができる。なお、図示は省略するが、通路Rの片側のみに通路遮断手段Bを設置してもよい。
【0044】
本実施形態では、通路遮断手段Bの支持構造体が支柱3である場合を例示したが、支持構造体の構造形式を限定する趣旨ではない。図示は省略するが、壁や梁を支持構造体としてもよい。
【0045】
本実施形態では、壁体や線状部材Cをブラケット4に接続した場合を例示したが、遮断棒6に線状部材Cを接続してもよい。また、ブラケット4を確実かつ速やかに回動させるために、ブラケット4に錘を付加してもよい。
【0046】
本実施形態では、線状部材Cの一端を一方の通路遮断手段Bまで延設し、線状部材Cの他端を他方の通路遮断手段Bまで延設した場合を例示したが、入口ゲートAと通路遮断手段B,Bとの間を往復する分だけ線状部材Cの長さが増大し、取り回しに手間を要する虞がある。このような場合には、図5に示すように、一方の通路遮断手段Bまで延設した線状部材Cを、一方の通路遮断手段Bを介して他方の通路遮断手段B(図示略)まで延設してもよい。このようにすると、図1の形態のよりも線状部材Cの長さを小さくすることが可能となる。
【0047】
図5の線状部材Cは、図示せぬ他方の入口門柱1(他方の通路遮断手段Bと同じ側の入口門柱1)を始端とし、通路Rの上空を横断して図示せぬ一方の入口門柱1(一方の通路遮断手段Bと同じ側の入口門柱1)に向かうとともに、一方の入口門柱1で屈折して一方の通路遮断手段Bの支柱3に向かい、支柱3で屈折してブラケット4の先端部に至る。ブラケット4の先端部まで延設された線状部材Cは、ブラケット4の先端部から斜め下方に向かい、支柱3に設けたリング3bにおいて屈折し、支柱3の前面(前側のフランジ)に沿って上方に向かう。なお、リング3bは、ブラケット4よりも低い位置において支柱3の前面(前側のフランジ)に固着されている。図示は省略するが、支柱3の上部に達した線状部材Cは、通路Rを横断して他方の通路遮断手段Bの支柱3に至り、この支柱3において屈折して下方に向かい、ブラケット4よりも高い位置において屈折し、ブラケット4の先端部に至る。他方の通路遮断手段Bのブラケット4には、自身を下向きに回転させようとする力(自重に起因したモーメント)が常に作用するものの、このブラケット4よりも高い位置を経由した線状部材Cがブラケット4の先端部に接続され、線状部材Cによってブラケット4の回動(ブラケット4の下方向への回転)が阻止されているので、線状部材Cが破断しない限り、遮断棒6が横倒状態になることはない。
【0048】
而して、車両が線状部材Cに引っ掛かり、他方の入口門柱1から一方の通路遮断手段Bに至る区間において線状部材Cが破断すると、左右の通路遮断手段B,Bにおいてブラケット4,4が回動し、ブラケット4,4に連動して遮断棒6,6が回動するようになる。
【符号の説明】
【0049】
A 入口ゲート
1 入口門柱
B 通路遮断手段
3 支柱(支持構造体)
4 ブラケット
5 連結軸
6 遮断棒
C 線状部材
R 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空頭制限区域に至る通路を遮断する通路遮断手段と、
前記通路遮断手段の手前において前記通路の上空を横断する線状部材と、を備える進入規制装置であって、
前記通路遮断手段は、支持構造体と、前記支持構造体から張り出すブラケットと、前記支持構造体と前記ブラケットとを連結する連結軸と、前記ブラケットに立設された遮断棒とを有し、
前記ブラケットは、前記連結軸を中心にして回動可能であり、
前記線状部材は、前記通路遮断手段まで延設されており、
前記線状部材によって前記ブラケットの回動が阻止されており、前記線状部材に引っ掛かった車両によって前記線状部材が破断したときに前記ブラケットが回動し、前記遮断棒が前記通路に横設される、ことを特徴とする進入規制装置。
【請求項2】
前記通路の両側に前記通路遮断手段が設置されており、
前記線状部材は、一方の前記通路遮断手段を介して他方の前記通路遮断手段まで延設されている、ことを特徴とする請求項1に記載の進入規制装置。
【請求項3】
前記通路の両側に前記通路遮断手段が設置されており、
前記線状部材の一端は、一方の前記通路遮断手段まで延設されており、前記線状部材の他端は、他方の前記通路遮断手段まで延設されている、ことを特徴とする請求項1に記載の進入規制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−91917(P2013−91917A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232979(P2011−232979)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】