説明

遊技機及び球位置検出装置

【課題】
経路等に束縛されることなく自由に動く遊技球の動きを非接触で検出し、その遊技球の位置座標を取得してこれに基づく多様な演出を可能とし、遊技者の満足度を向上させる。
【解決手段】
遊技球の遊技部での移動を許容した後、該遊技球の入賞口への入賞を許容する遊技機に、前記遊技部を移動している遊技球を撮像する撮像手段と、該撮像手段による撮像画像から遊技球の位置を判別する位置判別手段と、判別した位置に基づいて演出を行う演出手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば遊技球による遊技を許容するような遊技機や該遊技機に搭載する球位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機は、液晶ディスプレイの周辺に、遊技球を通す複数の経路(通路)を設け、その各経路に遊技球を検出するセンサを配置し、どの経路にいくつの遊技球が通ったかで大当たり予告を変更するなどの演出を行い、遊技者の新規性と期待感間を持たせるものが提案されている。(特許文献1参照)。
【0003】
上記遊技機は、図21の(Y)の正面図、及び(Z)の正面断面図に示すように、上部の球入口201から入った遊技球は、ワープ球経路と呼ばれる経路203を通って、下部の球出口204から排出される。
【0004】
経路203は左右に別れており、どちらの経路を遊技球が何個通ったかを示す表示器として、LEDを左右に5個ずつ並べ、遊技球の通過個数を表示している。
【0005】
このような左右の経路を遊技球が通過した個数によって、液晶ディスプレイ205に表示する大当たり予告のパターンを変更して、遊技者のゲームに対する興味を高めることができるように構成されている。
【0006】
しかし、上記構成では、遊技球が通る経路にしかセンサが配置されておらず、遊技球の動きも経路内に限定されるため、ゲームの多様性に欠き、遊技者に飽きられる可能性が高かった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−95813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、経路等に束縛されることなく自由に動く遊技球の動きを非接触で検出し、その遊技球の位置座標を取得してこれに基づく多様な演出を可能とし、遊技者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、遊技球の遊技部での移動を許容した後、該遊技球の入賞口への入賞を許容する遊技機であって、前記遊技部を移動している遊技球を撮像する撮像手段と、該撮像手段による撮像画像から遊技球の位置を判別する位置判別手段と、判別した位置に基づいて演出を行う演出手段とを備えた遊技機であることを特徴とする。
【0010】
前記遊技部は、Vチャッカ等の入賞口へ遊技球が至る前段階に備えて遊技球の転動を許容するステージ、遊技球の移動を許容する遊技盤、又はこの両方で構成することを含む。
【0011】
前記演出手段は、画像表示を行なう液晶ディスプレイ等の表示装置、点灯/消灯を行うランプやLED等の電飾装置、音を発音するスピーカ等の発音装置、又はこれらの組み合わせ等、演出を行う装置で構成することを含む。
【0012】
前記構成により、遊技球の位置を判別し、これに対応した演出を行って遊技のアミューズメント性を向上することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記撮像手段による撮像と前記位置判別手段による位置判別とを複数回実行し、判別した位置を時系列で取得して遊技球の動作を取得する動作取得手段を備え、前記演出手段で実行する演出を、前記動作取得手段で取得した遊技球の動作に基づいて決定する設定とすることができる。
これにより、遊技球の動作に対応した複雑な演出を行うことが可能となる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記撮像手段を、上記遊技部の前記遊技球との反対側に配設し、前記遊技部を、光が透過する透過部材で形成することができる。
前記透明部材は、透明又は半透明の樹脂部材やガラス部材等、光を透過する部材で形成することを含む。
【0015】
前記構成により、遊技者が遊技部を移動する遊技球を視認する際の妨げとならないように、遊技者から見て遊技部の向こう側へ撮像手段を備えることが可能となる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記位置判別手段を、円形のテンプレートを使用して遊技球を検知する設定とすることができる。
これにより、撮像画像に円形に表れる遊技球を適格に検知することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記位置判別手段を、ライン処理にて遊技球の存在を検知し、遊技球を複数回検知した際に、検知した各位置の距離が一定距離以下であれば1つの遊技球として扱う設定とすることができる。
【0018】
前記ライン処理は、2次元画像である撮像画像を例えば上から下や左から右等、ライン毎に遊技球の存在を検知する処理とすることができる。
前記一定距離は、遊技球の直径以下や半径以下等、適宜の距離で構成することを含む。
前記構成により、移動している遊技球の位置を高速かつ適格に検知することができる。
【0019】
またこの発明は、遊技機の遊技部を移動している遊技球を撮像する撮像手段と、該撮像手段による撮像画像から前記遊技球の位置を判別する位置判別手段とを備えた球位置検出装置とすることができる。
これにより、通常の遊技機に球位置検出装置を組み込み、遊技球の位置に基づく演出が可能な遊技機とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明により、遊技球の自由な移動の位置を取得し、これに基づく多様な演出が可能となる。
撮像手段にて遊技球を撮像して位置を取得するため、遊技球の移動を許容する遊技部の形状に対する自由度が高く、該遊技部の形状を変更しても使用することができ、種々のバリエーションの提供やバージョンアップを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
まず、図1に示す正面図と共に、遊技機1の外観構成について説明する。
【0022】
遊技機1はパチンコ機であり、遊技盤3上に、複数の通常入賞口11、特別入賞口(Vチャッカ)12、液晶ディスプレイ14、ステージ空間20、センターケース21、遊技球投入及び払い出し用の上皿4、排出された遊技球を保持する下皿5、及び遊技者が操作するハンドル6を備えている。
【0023】
ステージ空間20は、センターケース21で囲われた内側部分でステージ22(後述)の上方部分を指し、特別入賞口12へ遊技球を誘導する前段部分として、遊技球が転動し得る空間を指す。
【0024】
センターケース21は、透明、半透明、又は不透明のプラスチック部材で形成し、液晶ディスプレイ14の周りを飾るように、中央をくり抜いた枠状に形成している。
【0025】
該ステージ22は、遊技球の転動を許容する手前下がりの斜面であり、その上で遊技球が転動可能なように十分な前後左右の幅を有し、遊技盤3の中央近辺に備えた液晶ディスプレイ14の下部手前側に位置するように近接させて設けている。
【0026】
これにより、遊技者がステージ空間20上での遊技球の動作を見ると共に、液晶ディスプレイ14の画像表示を見ることができるようにしている。
【0027】
ステージ22の右横には、該転動用ガイドへ向かって遊技球を送り出すステージ入場通路15を備えている。該ステージ入場通路15は、その入口部にステージ入場口15aを備えている。これにより、遊技盤3に存在する遊技球の一部がステージ入場口15aに入ると、その遊技球をステージ入場通路15からステージ空間20へ誘導するようにしている。
【0028】
以上の構成により、遊技者は、上皿4から遊技球を投入し、ハンドル6を操作して遊技球を遊技盤3上に射出し、通常入賞口11や特別入賞口12に遊技球を入賞させることが可能となる。
【0029】
特別入賞口12には、通常に入賞する場合だけでなく、ステージ入場通路15に入った遊技球が、ステージ22上で転動した後に入賞することもある。
【0030】
通常入賞口11に入賞した場合は、上皿4へ所定数の遊技球を払い出し、特別入賞口12に入賞した場合は、通常より多くの遊技球を上皿4へ払い出す。
【0031】
次に、図2に示す正面少し上方から見た斜視図、及び図3に示す側面断面図と共に、ステージ22及び2次元撮像装置30を備えたステージ空間20の構成について説明する。
【0032】
ステージ22は平面視四角形に形成し、その上面には、意匠造形物として平面視三角形で遊技球(パチンコ球)100が乗り越えない程度の厚みに形成した障害物22aを複数備えている。
【0033】
ステージ22は、図3に示すように手前側が下方へ下がるように角度θだけ傾斜させて液晶ディスプレイ14の手前に配設している。これにより、遊技球100がステージ22上で手前に向かって転動するようにしている。
【0034】
ステージ22の上方位置であるステージ空間20の天井部には、中央にCCD又はCMOSセンサ等のデジタルカメラ等で構成する2次元撮像装置30を、撮像方向を下方に向けて備えている。
該2次元撮像装置30は、撮像範囲内にステージ22全体が入るように高さを調整して備えている。
【0035】
以上の構成により、ステージ22上に乗った遊技球100は、複雑に転動して経路[1]〜[8](図2)のいずれかの経路を通過することとなり、遊技球が通過した経路を判別してこれに基づく演出を行うことが可能となる。
【0036】
すなわち、図4の正面上方から見たステージ22の斜視図に示すように、遊技球はエリアA,Bのいずれかを通過し、エリアC,D,Eのいずれかを通過し、さらにエリアF,G,H,Iのいずれかを通過することとなるため、これらのいずれを通過したかの判定により経路[1]〜[8]のいずれの経路を通過したか判別することができる。
【0037】
いずれかの経路に遊技球が通過すると、図5の正面図に示すように、液晶ディスプレイ14に表示する経路[1]〜[8]に対応した棒グラフ[1]〜[8]に対して、通過した経路が対応する部分の棒グラフを延長表示する。これにより、液晶ディスプレイ14を経路通過個数表示器として使用する。
【0038】
なお、全ての経路に5個ずつの遊技球が通った場合は、液晶ディスプレイ14に、通常は見ることができないプレミアム画像を映し出す。これにより、遊技者に対し、出球だけに興味を持たせるのではなく、技量によってプレミアム画像が見られる演出を行うことにより、遊技に対する興味を持ちつづけさせることができる。
【0039】
次に、図6に示すブロック図と共に、遊技機1の内部構成について説明する。
遊技機1には、遊技球位置検出装置40、遊技機演出制御部80、液晶ユニット82、ランプユニット84、及び音響ユニット86を備えている。
【0040】
遊技球位置検出装置40は、2次元撮像装置30と球検出部50と照明部70を備えており、2次元撮像装置30での撮像によって得られた画像データを球検出部50に送信し、球検出部50で得た球位置座標を遊技機演出制御部80に送信する。照明部70は、ステージ空間20(図1)周辺の適宜の位置に配設しており、ステージ22(図2)を明るく照明する。
【0041】
遊技機演出制御部80は、球検出部50から球位置座標を受信し、これに基づいて液晶ユニット82、ランプユニット84、及び音響ユニット86に制御信号を送信し、表示、電飾、及び音響による演出を行う。
液晶ユニット82は、液晶ディスプレイ14(図1)を備えたユニットであり、遊技機演出制御部80の制御に従ってカラー画像の表示による演出を行う。
【0042】
ランプユニット84は、遊技機演出制御部80の制御に従ってランプの点灯/消灯を行い、これによる演出を行う。
音響ユニット86は、遊技機演出制御部80の制御に従って効果音や音楽等の音を発し、これによる演出を行う。
【0043】
以上の構成により、ステージ22上の遊技球100の位置を検出し、これに対応した演出を行うことができる。この演出は、上述したように通過した経路[1]〜[8]の回数を棒グラフ[1]〜[8]に表示するといったように行うことができる。
【0044】
次に、図7〜図9、図11、図13に示すブロック図と共に、球検出部50の詳細な構成と、遊技球を検出する検出処理の動作について説明する。
まず、図7に示すブロック図と共に、球検出部50の全体構成と動作について説明する。
【0045】
球検出部50は、2値化回路51、第1ラインメモリ52、解像度変換&ノイズカット回路53、第2ラインメモリ54、テンプレートマッチング回路55、第3ラインメモリ56、及び座標値統合回路57で構成している。
【0046】
2値化回路51は、2次元撮像装置から入力されたRGB多値画像を、2値化(白黒画像化)して第1ラインメモリ52に送る。
第1ラインメモリ52は、2値化された画像(2値画像)を6ライン分蓄える。
【0047】
解像度変換&ノイズカット回路53は、第1ラインメモリ52の画像データを使って解像度変換(低解像度化)とノイズ除去を行う。これにより、例えば3画素/mmの解像度を0.5画素/mm程度の解像度まで低解像度化を行うといったことができ、これと同時に細かなノイズ成分を除去することができる。
【0048】
第2ラインメモリ54は、解像度変換とノイズカットされた画像を6ライン分蓄える。
【0049】
テンプレートマッチング回路55は、第2ラインメモリ54に蓄えられた画像を使って、遊技球の有無を検出する。
【0050】
第3ラインメモリ56は、テンプレートマッチング回路55の出力(ヒット点)を3ライン分蓄える。
【0051】
座標値統合回路57は、1つの遊技球から複数のヒット点が出力された場合にこれを統合して1つの球位置座標を出力する。これにより、低解像度の画像を使ってテンプレートマッチングを行っていることにより、1つの遊技球から複数のヒット点が出力され得ることに対応している。
【0052】
具体的には、第3ラインメモリ56で蓄えられた複数の遊技球位置を順次見ていき、ヒット点とヒット点との距離が、予め定めた距離未満の場合は、球位置座標の出力を行わないようにしている。
これにより、複数の球位置座標を遊技機演出制御部80に送信して余分な時間をかけることを防止し、リアルタイムな処理を可能にしている。
【0053】
次に、図8に示すブロック図と共に、2値化回路51の構成と動作について説明する。
2値化回路51は、R成分コンパレータ51r、G成分コンパレータ51g、B成分コンパレータ51b、及びAND回路51aで構成する。
この構成により、R成分、G成分、B成分が、予め定めた下限閾値から上限閾値の間に入っていれば、「1」を出力するようにしている。
【0054】
この実施形態では、R成分、G成分、B成分は、0〜255の8ビットの階調をもっており、0を暗、255を明と定義している。R成分、G成分、B成分の各下限閾値を200、各上限閾値を255と設定して、白い画素は「1」、その他の色の画素は「0」を出力する。遊技球100は銀色であるから白く見え、このような閾値設定をすることにより、遊技球を撮像した画素だけ「1」を出力することができる。
【0055】
なお、上記実施形態ではR成分、G成分、B成分の各閾値を一定にしたが、照明の色や背景の色によっては、各成分にて適宜変更を加えると良い。
また、上記2値化回路51の説明は、RGB入力の場合を記載したが、YUVなど他の画像フォーマットでの入力に対応した成分構成としても良い。
また輝度信号のみを使っても良く、エッジ強調などの処理を加えても良い。
【0056】
次に、図9に示すブロック図と共に、解像度変換&ノイズカット回路53の構成と動作について説明する。
解像度変換&ノイズカット回路53は、記憶素子53a、画素計数回路53b、及びコンパレータ53cで構成している。
【0057】
フリップフロップ等で構成する記憶素子53aは、第1ラインメモリ52から6×6画素分の画像を切り出して一旦記憶する。
【0058】
画素計数回路53bは、上記記憶素子53aに記憶した6×6画素の中に「1」の画素(図10では黒で表現)がいくつあるか計数する。
【0059】
比較器であるコンパレータ53cは、「1」の画素数が予め定めた閾値(例えば20個)以上であるか否かを比較し、閾値以上であれば「1」を出力し、閾値以下であれば「0」を出力する。
【0060】
ここで、図10の(A)〜(D)は画素の例を示しており、(A)の場合は、「1」画素が4個であるから閾値の20個以下であり、出力は(B)に示すように「0」となる。
【0061】
(C)の場合は、「1」画素が23個であるから、閾値の20個以上であり、出力は(D)に示すように「1」となる。
【0062】
これにより、6×6画素のエリアのデータが1画素分のデータになるので、解像度は6分の1、データ量は36分の1に変換される。また、(A)に示したゴミやキズ等によるノイズをカットするノイズカットの役割も果たしている。
【0063】
なお、上述した解像度変換&ノイズカット回路53による画像処理では、6×6画素分の記憶素子53aに入力するエリアを、縦横に6画素毎に移動する。すなわち、6×6画素分のウィンドウ内の画素を記憶素子53aに入力し、次に該ウィンドウの隣の6×6画素分のウィンドウ内の画素を記憶素子53aに入力するといったように、6×6画素のウィンドウ単位で処理範囲を移動して画像処理を順次行う。
【0064】
第1ラインメモリ52から記憶素子53aにデータを入力するには、図示省略するカウンタ回路でアクセスすべきラインメモリのアドレスを生成することによって行う。
【0065】
なお、この実施形態では、2次元撮像装置30に10万画素の撮像素子のものを使用し、10cm角のエリア(ステージ22)を読み込むため、3画素/mmの解像度の撮像画像が取得されている。
【0066】
この解像度のまま後段の画像処理を施すことも可能ではあるが、解像度が高いとデータ量が大きく、処理速度やコスト面で不利であることから、上述した解像度変換&ノイズカット回路53にて遊技球を検出するのに相応しい解像度、例えば0.5画素/mmに変換する。なお、検出精度(位置や他の造形物との区別)を高める場合は、解像度を高めても良い。
【0067】
次に、図11に示すブロック図と共に、テンプレートマッチング回路55の構成と動作について説明する。
テンプレートマッチング回路55は、前述の解像度変換&ノイズカット回路53で解像度を落とした画像データの中に、遊技球である円形の画像があるか否かを判定する回路である。
【0068】
このテンプレートマッチング回路55は、6×6画素分の記憶素子55a、周辺画素計数回路55b、コンパレータ55c、中央画素計数回路55d、コンパレータ55e、及びAND回路55fで構成する。
【0069】
フリップフロップ等で構成する記憶素子55aは、第2ラインメモリ54から6×6画素分の画像を切り出して一旦記憶する。
【0070】
周辺画素計数回路55bは、記憶された6×6画素の周辺部55y(図12の(F)に示すハッチング部分)である四隅部に「0」の画素がいくつあるか計数する。
【0071】
なお、図12の(F)、(G)は、円形テンプレート55xを示しており、該円形テンプレート55xは、円形の中央部55zとその周辺の周辺部55yとで構成している。
【0072】
コンパレータ55cは、周辺画素計数回路55bで計数した画素数が予め定めた閾値以上であるか否かを比較する。
【0073】
中央画素計数回路55dは、記憶された6×6画素の中央部55z(図12の(G)に示すハッチング部分)に「1」の画素がいくつあるか計数する。
【0074】
コンパレータ55eは、中央画素計数回路55dで計数した画素数が予め定めた閾値以上であるか否かを比較する。
【0075】
AND回路55fは、双方のコンパレータ55c,55eの出力が「1」場合は、遊技球があった(ヒットした)として後段の回路に出力する。
【0076】
これにより、ノイズやデジタル誤差を許容して、理想的な数値である周辺画素の「0」の数は0、中央画素の「1」の数は24個でなくとも遊技球を検出できるように調整している。
【0077】
なお、6×6画素分の記憶素子55aに入力されるエリアは、縦横1画素毎に移動する。すなわち、6×6画素分のウィンドウ内の画素を記憶素子55aに入力し、次に該ウィンドウと一部重なるように横へ1画素(若しくは縦へ1画素)移動した6×6画素分のウィンドウ内の画素を記憶素子55aに入力するといったように、6×6画素のウィンドウを処理範囲として画素単位で該処理範囲を移動し、画像処理を順次行う。
【0078】
第2ラインメモリ54から記憶素子にデータ55aを入力するには、図示省略するカウンタ回路でアクセスすべきラインメモリのアドレスを生成することによって可能行う。
【0079】
また、この実施形態では遊技球である円形の検出をテンプレートマッチングによって行ったが、ハフ変換等を用いて検出しても良い。
【0080】
次に、図13に示すブロック図と共に、座標値統合回路57の構成と動作について説明する。
座標値統合回路57は、ヒット位置記憶素子57a、自画素ヒット検出回路57b、自以外画素ヒット検出回路57c、AND回路57e、自画素座標値作成カウンタ回路57f、及びスイッチ57gで構成する。
【0081】
ヒット位置記憶素子57aは、第3ラインメモリ56(図7)に蓄えられている前述のテンプレートマッチング回路55で遊技球があった座標(ヒット点)の中から、3×6画素分(上下方向であるY軸方向に3画素、左右方向であるX軸方向に6画素)のデータを一旦記憶する。
【0082】
自画素ヒット検出回路57b、自以外画素ヒット検出回路57c、及びAND回路57eは、図14の画素イメージ図に示す自画素57x(ハッチング部)が「1」であり(ヒット点あり)、かつ、自以外画素57y(ドット部)が「0」である(ヒット点なし)場合は、ヒット点の座標を出力する。
【0083】
自画素xが「1」であって図14の画素イメージ図に示す自画素57x(ハッチング部)が「1」であり(ヒット点あり)、かつ、自以外画素57yも、自以外画素yが「1」の場合は、ヒット点の座標を出力しない。
【0084】
ここで、自以外画素57yは、自画素57x以外の画素であって、かつ未参照の画素であり、さらに自画素xから所定範囲内の近傍にある画素を指す。
この実施形態では、上記所定範囲として、左右方向は自画素57xの左右2画素の範囲内(すなわち自画素57xを中心として5列)で、上下方向は自画素57xの行から下方2画素の範囲内(すなわち自画素57xの行とその下方2行の計3行)であり、かつ自画素57xの同一行にある左側2画素を除いた範囲を採用している。
【0085】
自画素座標値作成カウンタ回路57fは、最終的に出力する座標を生成し、自画素xが「1」であり、かつ、自以外画素yが「0」の条件が揃えば、スイッチ57gを入れて座標値を出力する。
【0086】
これにより、ヒット点が固まって存在する場合、右下座標の1ポイントしか座標を出力しないこととして、同一の遊技球を複数回検出している場合に複数回出力することを防止している。
【0087】
なお、3×6画素分の記憶素子57aに入力されるエリアは、縦横に1画素毎に移動する。すなわち、6×6画素分のウィンドウ内の画素を記憶素子57aに入力し、次に該ウィンドウと一部重なるように横へ1画素(若しくは縦へ1画素)移動した6×6画素分のウィンドウ内の画素を記憶素子57aに入力するといったように、6×6画素のウィンドウを処理範囲として画素単位で該処理範囲を移動し、画像処理を順次行う。
【0088】
第3ラインメモリ56から記憶素子57aにデータを入力するには、図示省略するカウンタ回路でアクセスすべきラインメモリのアドレスを生成することによって行う。
【0089】
次に、図15に示す遊技機演出制御部80の動作を示す処理フロー図と共に、座標入力から領域確定までの処理、すなわち遊技球が所定の領域に存在するか判定する処理について説明する。
【0090】
まず、座標が入力されると(ステップs1)、入力された座標のX座標、Y座標が、判定する領域(例えば領域A)の規定内にそれぞれ入っているかを判定する(ステップs2,s3)。
【0091】
X座標とY座標の何れもが規定内(±20画素以内)であれば、その領域(例えば領域A)に遊技球が存在すると判定する(ステップs4)。
【0092】
X座標とY座標のいずれか一方でも座標値が規定内に入っていない場合は(ステップs2,s3)、一定時間待機した後(ステップs5)、ステップs1にリターンして再度座標入力を行う。
【0093】
以上の動作により、判定したい領域に遊技球が存在するか否かを判定することができる。この判定処理を、各領域(A〜I)のすべてで実行することで、全領域について遊技球が存在するか否か判定することができる。
【0094】
次に、図16〜図18に示す遊技機演出制御部80の動作を示す処理フロー図と共に、遊技機演出制御部80の動作について説明する。
遊技機演出制御部80は、遊技球100の検出があるまで待機する(ステップn1)。
【0095】
領域A(図4)に遊技球100が存在すれば(ステップn1)、領域C,Dに遊技球100が検出できるまで待機する(ステップn2)。
【0096】
領域Cに遊技球100が存在すれば(ステップn2)、領域F,Gに遊技球100が検出できるまで待機する(ステップn3)。
【0097】
領域Fに遊技球100が存在すれば(ステップn3)、経路[1](図2)の通過個数を1個追加し(ステップn8)、経路[1]に対応する液晶ディスプレイ14の棒グラフ[1]の表示(図5)を1個追加する(ステップn9)。
【0098】
経路通過個数表示器である液晶ディスプレイ14に表示している全ての経路に対応する棒グラフ1〜8の表示が全て最大なるまでステップn1にリターンする(ステップn24)。
【0099】
最大になった場合には(ステップn24)、液晶ディスプレイ14にプレミアム画像を表示し(ステップn25)、処理を終了する。
【0100】
同様にして、他の経路[2]〜[8]についても検出し、対応する棒グラフ[2]〜[8]の追加表示を実行する(ステップn4〜n7,n10〜n25)。
【0101】
以上の動作により、ステージ22の上で転動する遊技球100を一定時間間隔で検出し、遊技球100がどの経路を通過したかを判断し、各経路を通過した遊技球の個数を計数することができる。
これにより、遊技球100が通過した経路に対応した演出を行うことができるため、アミューズメント性を向上して遊技者の満足度を向上させることができる。
【0102】
2次元撮像装置30は、遊技球100および遊技球100が転動するステージ22から離れた位置から撮像することで、非接触で遊技球100を検出するため、遊技球の動きに制限を加えることなく、自由に転動する遊技球100を検出できる。
【0103】
また、ステージ22の形状が変更になっても、遊技球位置検出装置40に変更を加えることなく、遊技球100の位置を検出することができる。
従って、検知可能な遊技球の経路は8通りに限られず、遊技球位置検出装置40を用いることで、センサの個数を増やすことなく無限の経路パターンを設定することが可能である。
【0104】
これらの動作による遊技球100の位置検出を連続して繰返し実行することで、球検出部50が遊技球の位置の変化を時系列で出力する事ができ、遊技機演出制御部80が遊技球100の動作を取得することができる。
【0105】
なお、2次元撮像装置30は、図19の(A)に示すように、2次元撮像装置30の下方位置に広角レンズ38を備える構成としても良い。これは、例えば検出面であるステージ22から2次元撮像装置30の2次元撮像素子までの距離が10cmで、ステージ22(検出面)の大きさが20cm×20cmの場合であって、2次元撮像装置30に求められる画角が90度となって2次元撮像装置30の画角を超えるような場合に有効である。
【0106】
また、(B)に示すように、2次元撮像装置30を撮像方向が正面側となるように設置し、その撮像方向の先で、かつステージ22の上方となる位置に、傾斜させた鏡39を備えて、該鏡39により反射したステージ22の画像を2次元撮像装置30で撮像する構成としても良い。このように鏡39を用いて光路を屈曲すれば、検出面から2次元撮像素子までの距離を長く延ばしても、コンパクトな撮像装置を実現することができる。
【0107】
これらの方法により、ステージ22の上方の空間を狭く構成しても、遊技球の動作を明確に取得することができる。
【0108】
また、図20の側面断面図に示すように、2次元撮像装置30をステージ22の下方位置で、遊技機1内部に埋設しても良い。この場合は、ステージ22を透明のプラスチック部材等、透明部材で形成する。
これにより、遊技者に2次元撮像装置30の存在を意識させることなく、ステージ22上の遊技球100を検出することができる。
【0109】
また、最終段の領域である領域F,G,H,Iのいずれかを遊技球100が通過した後に棒グラフ表示を行なうだけに限らず、途中の領域の検出での演出を行うように構成しても良い。
【0110】
具体的には、例えば領域A(図4)で遊技球100を検出すれば、その後に通過し得る経路である経路[1]〜[4](図2)に対応する棒グラフ[1]〜[4](図5)を点滅表示することができる。
【0111】
さらに、次に領域Cで遊技球100を検出すれば、その後に通過し得る経路[1]〜[2]に対応する棒グラフ[1]〜[2]をより早く点滅表示するといったことができ、最終的に例えば領域Fで検出した際に、経路[1]に対応する棒グラフ[1]を1つ追加して点灯表示することができる。
これにより、遊技球100が点動する動作に対応した複雑な演出を行うことができる。
【0112】
また、棒グラフ表示による演出を行う経路通過個数表示器として液晶ディスプレイ14を使用する構成としたが、液晶ディスプレイ14とは別個にLEDを横8個、縦5個にマトリクス状に配設してこれを経路通過個数表示器とする構成としても良い。
【0113】
この場合は、図柄回転表示等は液晶ディスプレイ14にて常時行い、ステージ22での遊技球100の転動に基づく演出は主に経路通過個数表示器で行うことが可能となる。さらにこの場合、全ての棒グラフ表示が最大となった場合のプレミアム画像の表示は、液晶ディスプレイ14に行なうと良い。
【0114】
また、2次元撮像装置30で撮像して遊技球100を検出する範囲をステージ22に設定したが、2次元撮像装置30を遊技盤3が撮像できるように設置し、遊技盤3上の遊技球100の位置や動作を検出する構成としても良い。
この場合は、ステージ22に遊技球100が入らなくとも、遊技盤3上の遊技球の位置や動作に応じた演出ができる。
【0115】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の入賞口は、実施形態の特別入賞口12に対応し、
以下同様に、
遊技部は、ステージ22に対応し、
撮像手段は、2次元撮像装置30に対応し、
位置判別手段は、球検出部50に対応し、
動作取得手段は、球検出部50及び遊技機演出制御部80に対応し、
ライン処理は、解像度変換&ノイズカット回路53、テンプレートマッチング回路55、及び座標値統合回路57で実行する処理に対応し、
円形のテンプレートは、円形テンプレート55xに対応し、
一定距離は、自以外画素57yの範囲の距離に対応し、
演出手段は、遊技機演出制御部80及び液晶ユニット82に対応し、
透過部材は、透明のプラスチック部材に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】遊技機の外観構成を示す正面図。
【図2】ステージを正面上方から見た斜視図。
【図3】ステージの側面断面図。
【図4】ステージを正面上方から見た斜視図。
【図5】液晶ディスプレイの正面図。
【図6】遊技機の内部構成を示すブロック図。
【図7】球検出部の全体構成を示すブロック図。
【図8】2値化回路の構成を示すブロック図。
【図9】解像度変換&ノイズカット回路の構成を示すブロック図。
【図10】解像度変換とノイズカットを画素の例で説明する説明図。
【図11】テンプレートマッチング回路の構成を示すブロック図。
【図12】円形テンプレートの説明図。
【図13】座標値統合回路の構成を示すブロック図。
【図14】自画素と自以外画素の画素イメージ図。
【図15】遊技機演出制御部の動作を示す処理フロー図。
【図16】遊技機演出制御部の動作を示す処理フロー。
【図17】遊技機演出制御部の動作を示す処理フロー。
【図18】遊技機演出制御部の動作を示す処理フロー。
【図19】他の実施例の2次元撮像装置の構成を説明する説明図。
【図20】他の実施例の2次元撮像装置とステージの構成を説明する説明図。
【図21】先行技術を説明する説明図。
【符号の説明】
【0117】
1…遊技機
12…特別入賞口
22…ステージ
30…2次元撮像装置
40…遊技球位置検出装置
50…球検出部
53…解像度変換&ノイズカット回路
55…テンプレートマッチング回路
55x…円形テンプレート
57…座標値統合回路
57y…自以外画素
80…遊技機演出制御部
82…液晶ユニット
100…遊技球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の遊技部での移動を許容した後、該遊技球の入賞口への入賞を許容する遊技機であって、
前記遊技部を移動している遊技球を撮像する撮像手段と、
該撮像手段による撮像画像から遊技球の位置を判別する位置判別手段と、
判別した位置に基づいて演出を行う演出手段とを備えた
遊技機。
【請求項2】
前記撮像手段による撮像と前記位置判別手段による位置判別とを複数回実行し、判別した位置を時系列で取得して遊技球の動作を取得する動作取得手段を備え、
前記演出手段で実行する演出を、前記動作取得手段で取得した遊技球の動作に基づいて決定する設定とした
請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記撮像手段を、上記遊技部の前記遊技球との反対側に配設し、
前記遊技部を、光が透過する透過部材で形成した
請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記位置判別手段を、円形のテンプレートを使用して遊技球を検知する設定とした
請求項1、2又は3記載の遊技機。
【請求項5】
前記位置判別手段を、ライン処理にて遊技球の存在を検知し、遊技球を複数回検知した際に、検知した各位置の距離が一定距離以下であれば1つの遊技球として扱う設定とした
請求項1〜4のいずれか1つに記載の遊技機。
【請求項6】
遊技機の遊技部を移動している遊技球を撮像する撮像手段と、
該撮像手段による撮像画像から前記遊技球の位置を判別する位置判別手段とを備えた
球位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−34411(P2006−34411A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215517(P2004−215517)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】