遊技機用表示装置
【課題】 可撓性のEL素子シートに形成した表示部にシンボルを表示した場合に立体感を出せると共に、形状が容易に変化しないプレート状の遊技機用表示装置を提案すること。
【解決手段】 可撓性のEL素子シート及び該EL素子シートを挟持する内外の形状保持板に表示部としての機能を発揮させることができる少なくとも1つ以上の曲面部分を形成したプレート状の遊技機用表示装置。
【解決手段】 可撓性のEL素子シート及び該EL素子シートを挟持する内外の形状保持板に表示部としての機能を発揮させることができる少なくとも1つ以上の曲面部分を形成したプレート状の遊技機用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン、パチンコ機に装着される遊技機用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一つの曲面部のみを有する可撓性EL素子のディスプレイ装置が開示されている。前記曲面部には、1種類の画素パターン(シンボルを表示すための表示部分)が開示されている。しかし、この特許文献1に記載の発明は、ディスプレイ装置がフレキシブルであるため、遊技機の前面の大きな窓部に対して簡単に取付けることができないという問題点がある。また、1種類の画素パターンであるために、表示内容に面白さを加味することができないという問題点がある。
【0003】
特許文献2に記載の発明は、左右の回転リール毎に表示装置を配設しなければならないため、取付け作業の効率化及び製作コストの低減化の観点から問題点がある。特許文献3に記載の発明は、帯状の有機ELディスプレイを回転リールの外周面にそれぞれ巻き付けなければならないため、特許文献2と同様の問題点がある。
【特許文献1】公開特許公報7−1144号
【特許文献2】特開2001−252393号公報
【特許文献3】特開2004−105379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、表示部にシンボルを表示した場合に立体感を出せることができると共に、形状が容易に変形しない遊技機用表示装置を提案することである。本発明の第2の目的は、遊技機の前面の大きな窓部に対して簡単に取付けることができることである(取付け作業の効率化)。本発明の第3の目的は、異なる種類の情報を表示するために用いることができることである。本発明の第4の目的は、シンボルの入賞ラインに沿って複数個の回転リールを表示させることが可能な第1表示部を、例えば縦断面方向に複数個設けることによって、製作コストの低減化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプレート状の遊技機用表示装置は、可撓性のEL素子シート及び該EL素子シートを挟持する内外の形状保持板に表示部としての機能を発揮させることができる少なくとも1つ以上の曲面部分を形成したことを特徴とする。
【0006】
上記構成に於いて、形状保持板は樹脂性のプレートであり、平坦部分とこれに連設する曲面部分とを有することを特徴とする。また、形状保持板には複数個の曲面部分が形成され、これらの曲面部分は、縦断面方向に同一曲率を有して連続的に形成されていると共に、端部側の曲面部分には平坦部分が連設していることを特徴とする。また、EL素子シートには、複数個の回転リールを擬似的に表示するための断面弧状の第1表示部が形成されると共に、平坦部には回転リールとは異なる内容の表示をするための第2表示部が形成されていることを特徴とする。また、形状保持板は中空円柱を半分に切断したような「かまぼこ形」のカバー部を有すると共に、EL素子シートに形成された第1表示部は該カバー部によってカバーされていることを特徴とする。また、EL素子シートに形成された第2表示部は、形状保持板に形成された平坦部分によってカバーされていることを特徴とする。さらに、形状保持板の両端部には、EL素子シートよりも外方向に突出する取付け部分が設けられていることを特徴とする。加えて、少なくとも外側形状保持板は、透明であることを特徴とする。
【0007】
ここで、「表示装置」とは、パネル状のEL素子、シート状のEL素子、フィルム状のEL素子、有機ELディスプレイ等と称されものを含むものをいう。また「挟持」には、サンドイッチ状に挟む場合や全体を包む場合が含まれる。また「平坦部分」は、遊技機に対する装着位置によって、水平状態、傾斜状態、垂直状態となる。したがって、例えば複数個の曲面部分が縦方向に並ぶように表示装置を90度回転させた状態で用いることもできる。
【発明の効果】
【0008】
(1)プレート状の表示装置に、可撓性のEL素子シート及び該EL素子シートを挟持する内外の形状保持板に表示部としての機能を発揮させることができる少なくとも1つ以上の曲面部分を形成したので、表示装置の表示部にシンボルを表示させた場合には、立体感が出ると共に、表示装置の形状は容易に変形しない。また、EL素子シート及び内外の形状保持板の両方に曲面部分を形成したので、EL素子シートの表面に「シワ」が発生しない。
【0009】
(2)可撓性のEL素子シートは、内外の形状保持板で保持されているから、遊技機の窓部に対して簡単に取付けることができる。したがって、取付け作業の効率化を図ることができる。特に請求項7に記載の発明は、形状保持板の両端部に取付け部分が設けられていることから、固着具又は接着剤を用いて遊技機の窓部に簡単にセットすることができる。
【0010】
(3)請求項3、請求項5、請求項6に記載の発明は、それぞれ表示装置の形状が強くなる。
【0011】
(4)請求項4に記載の発明は、図示しない制御手段が記憶部にアクセスして情報を取得し、曲面部分の第1表示部では、もっぱら立体的なシンボル(数字、図柄)を表示することができると共に、平坦部分の第2表示部では、シンボル以外の他の情報(当該ゲームに関する情報、ニュース情報等)を表示させることができる。したがって、表示内容が変化に富むから、面白さを倍増させることが可能となる。また、シンボルの入賞ラインに沿って複数個の回転リールを表示させることが可能な第1表示部を断面方向に複数個設けたので、個別的に第1表示部を製作するのとは相違し、一度に複数個の第1表示部を形成するから、製作コストの低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1乃至図10に示す本発明を実施するための最良の形態(第1実施例)により説明する。
【0013】
(1)基本的な構成部材
遊技機用表示装置Xは、図1ないし図3で示すように、曲面部分を有する可撓性のEL素子シート1と、このEL素子シート1の内側及び外側を全体的にカバーするプレート状形状保持板2,3とから成る。なお、EL素子シート1は、望ましくは透明の樹脂製封止材(透明の高分子の樹脂材を用いたフィルム)で全体が圧着状態に包まれている。また、少なくとも外側の形状保持板3は、表示部としての機能を発揮させるために透明である。
【0014】
(2)EL素子シートの構造
まず、図5を参照にしてEL素子シート1の構造を説明する。図5は内外の形状保持板2,3とEL素子シート1との関係を示す概念図である。図5のEL素子シート1は、その一部(一画素)を示している。EL素子シート1は、一対の電極を有する可撓性の積層体であり、図示しない金型セット工程、圧着工程等を経て、内外の封止フィルム4,5にラミネート封止されている。
【0015】
しかして、6は内側の封止フィル4にカバーされた第1電極で、この第1電極6は透明である。7は内部に絶縁層8を有するエレクトロルミネッセント層で、このエレクトロルミネッセント層7は発光層である。したがって、前記絶縁層8は非発光部分となる。9は第1電極6と対向する第2電極で、この第2電極9が誘電体層となる。10は外側の封止フィルム5にカバーされた引廻しパターンフィルムで、この引廻しパターンフィルム10は導体11を有している。その他EL素子シート1には、図示しない透明な印刷層、接着層、水蒸気を遮断するバリア層、リード端子を有するプリント基板等が適宜に設けられている。
【0016】
(3)情報表示部としてのEL素子シート1
EL素子シート1は、図示しない制御手段と電気的に接続した場合には、画像素子の配置パターンの態様によって、その全体が表示可能な情報表示部となる。換言すれば、EL素子シート1は、リード端子を介して第1電極と第2電極との間に交流電場を印加することによって発光層を画素パターンに対応して発光させることができる。特に、本実施例のEL素子シート1には、複数個の回転リールを擬似的に表示するための断面弧状の第1表示部が形成されると共に、平坦部には回転リールとは異なる内容の表示をするための第2表示部が形成されている。
【0017】
図1では、説明の便宜上、情報表示部の部分(情報エリア)を斜線で示している。本実施例の情報表示部は、少なくとも二種類に区別することができる。
【0018】
情報表示部の一つは、曲面の第1表示部15である。この第1表示部15は、EL素子シート1、形状保持板等に設けられた図示しないシンボルの入賞ラインに沿って複数個の回転リールを擬似的に表示させることが可能である。もちろん、前記入賞ラインは輝度手段によって第1表示部15に表示することも可能である。入賞時、前記輝度手段を作動させる場合には、制御手段と電気的に接続する記憶部のデータ、データを処理する表示制御手段如何による。
【0019】
この第1実施例に於いて、第1表示部15は、図4を基準にした場合に於いて、縦軸方向に短い垂直部分16を介して複数個(合計3個)連続形成されている。これらの第1表示部15a,15b,15cは、例えばスロットマシンの回転リールの数が所定方向に離間して3個存在している場合に対応している。
【0020】
ところで、前述した短い垂直部分16は、第1表示部15及び第2表示部17とは別個の情報、色彩、模様等を表示するために利用される第3表示部で、この第3表示部16は、図1で示す中央部の横長状第1表示部15bを基準にすると、上方の第1表示部15aと下方の第1表示部15cとの間にそれぞれ細長状に存在している。
【0021】
情報表示部のもう一つは、第2表示部17である。この第2表示部17は、本実施例では、前記第1表示部15aの上端部に連設する平坦部分と、第1表示部15cの下端部に連設する平坦部分を意味する(合計2個)。
【0022】
ところで、本実施例では、情報表示部は、少なくとも2種類以上の画素パターンを有している。しかして、第1表示部15の画素パターン18は、図6で示すように、横方向に併設された複数個(例えば3個)の個別型パターン(例えば正方形、長方形、円形等の個別的エリア)である。したがって、個別型画素パターン18には、一つの数字、記号、図柄等をそれぞれ表示する場合に適している。つまり、回転リールの一つのシンボルを表示する場合に適合する。
【0023】
一方、第2表示部17の端部画素パターン19は、図7で示すように横一連型パターンである。したがって、この端部画素パターン19には、記述的な文書を表示する場合に適している。つまり、ゲーム情報、台入れ替え情報、台のメンテナンス情報等のシンボル以外の異なる情報を表示する場合に適合する。
【0024】
第1表示部15は、図3で示すように形状保持板2,3との間にフイットするように(シワが発生しないように)中空円柱を半分に切断したような「かまぼこ形」をしている。また、内外の封止フィルム4,5は、可撓性を有し、かつ、高分子であれば、その樹脂材料を限定するものではない。例えばフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール等でできている。
【0025】
(4)形状保持板
内外の形状保持板2,3は、可撓性のEL素子シート1を全体的にカバーする透明の樹脂プレートである。図2で示すように、内外の形状保持板2,3の断面形状は、EL素子シート1と同一である。したがって、形状保持板2,3は、それぞれ平坦部分2a,3aと、これらの平坦部分にそれぞれ連設する曲面部分2b,3bを有する。また、前記曲面部分2b,3bは、中空円柱を半分に切断したような「かまぼこ形」のカバー部であり、該カバー部2b,3bにEL素子シートの断面弧状の第1表示部15がカバーされる。
【0026】
敷衍すれば、EL素子シート1の第1表示部15は形状保持板2,3の曲面部分2b,3b内に挟持され、一方、EL素子シート1の第2表示部17は形状保持板2,3の平坦部分2a,3aに挟持されている。
【0027】
さらに、本実施例の形状保持板2,3は、EL素子シート1の情報表示部15,16,17よりも外方向に突出する取付け部分2c,3cを有している。表示装置Xは、これらの取付け部分2c,3cを介して遊技機Yの窓部21に固定的に配設される。
【0028】
(5)適用例
遊技機用表示装置Xは、図8ないし図10で示すように、遊技機の一例であるスロットマシンYに適用することができる。このスロットマシンYは、例えば前面の大きな窓部21にマトリックス状に配設された合計9個の機械的な回転リール22を備えている。表示装置Xは、図10で示すように、窓部21に接着層、ネジ等の固定手段23を介して装着される。この時、表示装置Xは、スロットマシンYの入力部、制御手段、記憶部、電源、操作部等から構成される電気回路に接続される。
【0029】
前述したように、表示装置Xは、それ自体で表示機能を発揮することができることから、スロットマシンYが回転リール22を備えていることが必須要件ではない。
しかし、図10で示すように、スロットマシンYが複数個の回転リール22を有する場合には、表示装置Xを若干の間隙を設けて各回転リール22の前面に装着する。そうすると、一つの「かまぼこ形」のカバー部2b,3bは、横方向に並列する3個の回転リール22を全て包む格好となる。本実施例の表示装置Xは、一度に全ての回転リール22を包む格好となる。
【実施例】
【0030】
第1実施例の表示装置Xは、図2から明らかなように、EL素子シート1及び形状保持板2,3の縦断面の形状は、平面部(垂直部)の長さ寸法と曲面部(弧状部)の曲率がそれぞれ同一であり、かつ、上端部から下端部に至るまで、平面部と曲面部が交互に連続している。
【0031】
しかし、前述したように、形状保持板2,3の縦断面の形状は、EL素子シート1の第1表示部としての曲面部の曲率に対応し、かつ、EL素子シート1の形態を保持する可能な範囲で任意に変えることができる。
【0032】
例えば図11及び図12は、その変形例(第2実施例)である。この第2実施例の表示装置X1は、第1実施例の表示装置Xと同様にEL素子シート1A及び形状保持板2A,3Aは、曲面部分15A,3b,3bと、これに連設する平坦部分17A,3a,2aを有する。しかし、第2実施例の表示装置X1のEL素子シート1Aの第1表示部15Aの曲率は、遊技機Yの窓部21にマトリックス状に配設された各回転リール22の全部(9個)に対応するように縦断面の形状が一つの弧状に形成されている点が相違する。そして、第1表示部15Aの両端部に上下の第2表示部17A,17Aが連設している点も相違する。
【0033】
以上のように、曲面(弧状)部分の断面形状は、スロットマシンの各回転リールに対して個別的に対応させる場合(第1実施例)か、又は各回転リールに対して全体的に対応させる場合(第2実施例)かによって変わる。また、曲面(弧状)部分の断面の長さは、回転リールの半径、位置、数等によって変わる。
【0034】
したがって、当業者が曲面(弧状)部分を適宜に設計変更しても、本発明の目的を達成することができる限り、均等事項である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、スロットマシン、パチンコ機に装着される遊技機の業界で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1乃至図10は本発明の最良の実施例を示す各説明図。図11及び図12は本発明の第2実施例である。
【図1】第1実施例の正面から見た一部切欠の概略説明図。
【図2】各部材を分離した概略縦断面説明図。
【図3】各部材の分解斜視図。
【図4】EL素子シート1の概略説明図。
【図5】内外の形状保持板とEL素子シートとの関係を示す概念図。
【図6】第1表示部の画素パターンの説明図。
【図7】第2表示部の画素パターンの説明図。
【図8】遊技機の窓部に装着した場合の斜視からの説明図。
【図9】遊技機の窓部に装着した場合の正面からの説明図。
【図10】遊技機の窓部に装着した場合の縦断面からの説明図。
【図11】第2実施例の正面から見た一部切欠の概略説明図(図1と同様の図)。
【図12】遊技機の窓部に装着した場合の縦断面からの説明図(図10と同様の図)。
【符号の説明】
【0037】
X,X1…表示装置、Y…遊技機、1,1A…EL素子シート、2,2A…内側の形状保持板、3,3A…外側の形状保持板、2a,3a…平坦部分、2b,3b…曲面部分、2c,3c…取付け部分、15,15A…曲面部分,第1表示部、16…第3表示部、17,17A…平坦部分,第2表示部、18…個別型画素パターン、19…横一連型画素パターン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン、パチンコ機に装着される遊技機用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一つの曲面部のみを有する可撓性EL素子のディスプレイ装置が開示されている。前記曲面部には、1種類の画素パターン(シンボルを表示すための表示部分)が開示されている。しかし、この特許文献1に記載の発明は、ディスプレイ装置がフレキシブルであるため、遊技機の前面の大きな窓部に対して簡単に取付けることができないという問題点がある。また、1種類の画素パターンであるために、表示内容に面白さを加味することができないという問題点がある。
【0003】
特許文献2に記載の発明は、左右の回転リール毎に表示装置を配設しなければならないため、取付け作業の効率化及び製作コストの低減化の観点から問題点がある。特許文献3に記載の発明は、帯状の有機ELディスプレイを回転リールの外周面にそれぞれ巻き付けなければならないため、特許文献2と同様の問題点がある。
【特許文献1】公開特許公報7−1144号
【特許文献2】特開2001−252393号公報
【特許文献3】特開2004−105379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、表示部にシンボルを表示した場合に立体感を出せることができると共に、形状が容易に変形しない遊技機用表示装置を提案することである。本発明の第2の目的は、遊技機の前面の大きな窓部に対して簡単に取付けることができることである(取付け作業の効率化)。本発明の第3の目的は、異なる種類の情報を表示するために用いることができることである。本発明の第4の目的は、シンボルの入賞ラインに沿って複数個の回転リールを表示させることが可能な第1表示部を、例えば縦断面方向に複数個設けることによって、製作コストの低減化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプレート状の遊技機用表示装置は、可撓性のEL素子シート及び該EL素子シートを挟持する内外の形状保持板に表示部としての機能を発揮させることができる少なくとも1つ以上の曲面部分を形成したことを特徴とする。
【0006】
上記構成に於いて、形状保持板は樹脂性のプレートであり、平坦部分とこれに連設する曲面部分とを有することを特徴とする。また、形状保持板には複数個の曲面部分が形成され、これらの曲面部分は、縦断面方向に同一曲率を有して連続的に形成されていると共に、端部側の曲面部分には平坦部分が連設していることを特徴とする。また、EL素子シートには、複数個の回転リールを擬似的に表示するための断面弧状の第1表示部が形成されると共に、平坦部には回転リールとは異なる内容の表示をするための第2表示部が形成されていることを特徴とする。また、形状保持板は中空円柱を半分に切断したような「かまぼこ形」のカバー部を有すると共に、EL素子シートに形成された第1表示部は該カバー部によってカバーされていることを特徴とする。また、EL素子シートに形成された第2表示部は、形状保持板に形成された平坦部分によってカバーされていることを特徴とする。さらに、形状保持板の両端部には、EL素子シートよりも外方向に突出する取付け部分が設けられていることを特徴とする。加えて、少なくとも外側形状保持板は、透明であることを特徴とする。
【0007】
ここで、「表示装置」とは、パネル状のEL素子、シート状のEL素子、フィルム状のEL素子、有機ELディスプレイ等と称されものを含むものをいう。また「挟持」には、サンドイッチ状に挟む場合や全体を包む場合が含まれる。また「平坦部分」は、遊技機に対する装着位置によって、水平状態、傾斜状態、垂直状態となる。したがって、例えば複数個の曲面部分が縦方向に並ぶように表示装置を90度回転させた状態で用いることもできる。
【発明の効果】
【0008】
(1)プレート状の表示装置に、可撓性のEL素子シート及び該EL素子シートを挟持する内外の形状保持板に表示部としての機能を発揮させることができる少なくとも1つ以上の曲面部分を形成したので、表示装置の表示部にシンボルを表示させた場合には、立体感が出ると共に、表示装置の形状は容易に変形しない。また、EL素子シート及び内外の形状保持板の両方に曲面部分を形成したので、EL素子シートの表面に「シワ」が発生しない。
【0009】
(2)可撓性のEL素子シートは、内外の形状保持板で保持されているから、遊技機の窓部に対して簡単に取付けることができる。したがって、取付け作業の効率化を図ることができる。特に請求項7に記載の発明は、形状保持板の両端部に取付け部分が設けられていることから、固着具又は接着剤を用いて遊技機の窓部に簡単にセットすることができる。
【0010】
(3)請求項3、請求項5、請求項6に記載の発明は、それぞれ表示装置の形状が強くなる。
【0011】
(4)請求項4に記載の発明は、図示しない制御手段が記憶部にアクセスして情報を取得し、曲面部分の第1表示部では、もっぱら立体的なシンボル(数字、図柄)を表示することができると共に、平坦部分の第2表示部では、シンボル以外の他の情報(当該ゲームに関する情報、ニュース情報等)を表示させることができる。したがって、表示内容が変化に富むから、面白さを倍増させることが可能となる。また、シンボルの入賞ラインに沿って複数個の回転リールを表示させることが可能な第1表示部を断面方向に複数個設けたので、個別的に第1表示部を製作するのとは相違し、一度に複数個の第1表示部を形成するから、製作コストの低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1乃至図10に示す本発明を実施するための最良の形態(第1実施例)により説明する。
【0013】
(1)基本的な構成部材
遊技機用表示装置Xは、図1ないし図3で示すように、曲面部分を有する可撓性のEL素子シート1と、このEL素子シート1の内側及び外側を全体的にカバーするプレート状形状保持板2,3とから成る。なお、EL素子シート1は、望ましくは透明の樹脂製封止材(透明の高分子の樹脂材を用いたフィルム)で全体が圧着状態に包まれている。また、少なくとも外側の形状保持板3は、表示部としての機能を発揮させるために透明である。
【0014】
(2)EL素子シートの構造
まず、図5を参照にしてEL素子シート1の構造を説明する。図5は内外の形状保持板2,3とEL素子シート1との関係を示す概念図である。図5のEL素子シート1は、その一部(一画素)を示している。EL素子シート1は、一対の電極を有する可撓性の積層体であり、図示しない金型セット工程、圧着工程等を経て、内外の封止フィルム4,5にラミネート封止されている。
【0015】
しかして、6は内側の封止フィル4にカバーされた第1電極で、この第1電極6は透明である。7は内部に絶縁層8を有するエレクトロルミネッセント層で、このエレクトロルミネッセント層7は発光層である。したがって、前記絶縁層8は非発光部分となる。9は第1電極6と対向する第2電極で、この第2電極9が誘電体層となる。10は外側の封止フィルム5にカバーされた引廻しパターンフィルムで、この引廻しパターンフィルム10は導体11を有している。その他EL素子シート1には、図示しない透明な印刷層、接着層、水蒸気を遮断するバリア層、リード端子を有するプリント基板等が適宜に設けられている。
【0016】
(3)情報表示部としてのEL素子シート1
EL素子シート1は、図示しない制御手段と電気的に接続した場合には、画像素子の配置パターンの態様によって、その全体が表示可能な情報表示部となる。換言すれば、EL素子シート1は、リード端子を介して第1電極と第2電極との間に交流電場を印加することによって発光層を画素パターンに対応して発光させることができる。特に、本実施例のEL素子シート1には、複数個の回転リールを擬似的に表示するための断面弧状の第1表示部が形成されると共に、平坦部には回転リールとは異なる内容の表示をするための第2表示部が形成されている。
【0017】
図1では、説明の便宜上、情報表示部の部分(情報エリア)を斜線で示している。本実施例の情報表示部は、少なくとも二種類に区別することができる。
【0018】
情報表示部の一つは、曲面の第1表示部15である。この第1表示部15は、EL素子シート1、形状保持板等に設けられた図示しないシンボルの入賞ラインに沿って複数個の回転リールを擬似的に表示させることが可能である。もちろん、前記入賞ラインは輝度手段によって第1表示部15に表示することも可能である。入賞時、前記輝度手段を作動させる場合には、制御手段と電気的に接続する記憶部のデータ、データを処理する表示制御手段如何による。
【0019】
この第1実施例に於いて、第1表示部15は、図4を基準にした場合に於いて、縦軸方向に短い垂直部分16を介して複数個(合計3個)連続形成されている。これらの第1表示部15a,15b,15cは、例えばスロットマシンの回転リールの数が所定方向に離間して3個存在している場合に対応している。
【0020】
ところで、前述した短い垂直部分16は、第1表示部15及び第2表示部17とは別個の情報、色彩、模様等を表示するために利用される第3表示部で、この第3表示部16は、図1で示す中央部の横長状第1表示部15bを基準にすると、上方の第1表示部15aと下方の第1表示部15cとの間にそれぞれ細長状に存在している。
【0021】
情報表示部のもう一つは、第2表示部17である。この第2表示部17は、本実施例では、前記第1表示部15aの上端部に連設する平坦部分と、第1表示部15cの下端部に連設する平坦部分を意味する(合計2個)。
【0022】
ところで、本実施例では、情報表示部は、少なくとも2種類以上の画素パターンを有している。しかして、第1表示部15の画素パターン18は、図6で示すように、横方向に併設された複数個(例えば3個)の個別型パターン(例えば正方形、長方形、円形等の個別的エリア)である。したがって、個別型画素パターン18には、一つの数字、記号、図柄等をそれぞれ表示する場合に適している。つまり、回転リールの一つのシンボルを表示する場合に適合する。
【0023】
一方、第2表示部17の端部画素パターン19は、図7で示すように横一連型パターンである。したがって、この端部画素パターン19には、記述的な文書を表示する場合に適している。つまり、ゲーム情報、台入れ替え情報、台のメンテナンス情報等のシンボル以外の異なる情報を表示する場合に適合する。
【0024】
第1表示部15は、図3で示すように形状保持板2,3との間にフイットするように(シワが発生しないように)中空円柱を半分に切断したような「かまぼこ形」をしている。また、内外の封止フィルム4,5は、可撓性を有し、かつ、高分子であれば、その樹脂材料を限定するものではない。例えばフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール等でできている。
【0025】
(4)形状保持板
内外の形状保持板2,3は、可撓性のEL素子シート1を全体的にカバーする透明の樹脂プレートである。図2で示すように、内外の形状保持板2,3の断面形状は、EL素子シート1と同一である。したがって、形状保持板2,3は、それぞれ平坦部分2a,3aと、これらの平坦部分にそれぞれ連設する曲面部分2b,3bを有する。また、前記曲面部分2b,3bは、中空円柱を半分に切断したような「かまぼこ形」のカバー部であり、該カバー部2b,3bにEL素子シートの断面弧状の第1表示部15がカバーされる。
【0026】
敷衍すれば、EL素子シート1の第1表示部15は形状保持板2,3の曲面部分2b,3b内に挟持され、一方、EL素子シート1の第2表示部17は形状保持板2,3の平坦部分2a,3aに挟持されている。
【0027】
さらに、本実施例の形状保持板2,3は、EL素子シート1の情報表示部15,16,17よりも外方向に突出する取付け部分2c,3cを有している。表示装置Xは、これらの取付け部分2c,3cを介して遊技機Yの窓部21に固定的に配設される。
【0028】
(5)適用例
遊技機用表示装置Xは、図8ないし図10で示すように、遊技機の一例であるスロットマシンYに適用することができる。このスロットマシンYは、例えば前面の大きな窓部21にマトリックス状に配設された合計9個の機械的な回転リール22を備えている。表示装置Xは、図10で示すように、窓部21に接着層、ネジ等の固定手段23を介して装着される。この時、表示装置Xは、スロットマシンYの入力部、制御手段、記憶部、電源、操作部等から構成される電気回路に接続される。
【0029】
前述したように、表示装置Xは、それ自体で表示機能を発揮することができることから、スロットマシンYが回転リール22を備えていることが必須要件ではない。
しかし、図10で示すように、スロットマシンYが複数個の回転リール22を有する場合には、表示装置Xを若干の間隙を設けて各回転リール22の前面に装着する。そうすると、一つの「かまぼこ形」のカバー部2b,3bは、横方向に並列する3個の回転リール22を全て包む格好となる。本実施例の表示装置Xは、一度に全ての回転リール22を包む格好となる。
【実施例】
【0030】
第1実施例の表示装置Xは、図2から明らかなように、EL素子シート1及び形状保持板2,3の縦断面の形状は、平面部(垂直部)の長さ寸法と曲面部(弧状部)の曲率がそれぞれ同一であり、かつ、上端部から下端部に至るまで、平面部と曲面部が交互に連続している。
【0031】
しかし、前述したように、形状保持板2,3の縦断面の形状は、EL素子シート1の第1表示部としての曲面部の曲率に対応し、かつ、EL素子シート1の形態を保持する可能な範囲で任意に変えることができる。
【0032】
例えば図11及び図12は、その変形例(第2実施例)である。この第2実施例の表示装置X1は、第1実施例の表示装置Xと同様にEL素子シート1A及び形状保持板2A,3Aは、曲面部分15A,3b,3bと、これに連設する平坦部分17A,3a,2aを有する。しかし、第2実施例の表示装置X1のEL素子シート1Aの第1表示部15Aの曲率は、遊技機Yの窓部21にマトリックス状に配設された各回転リール22の全部(9個)に対応するように縦断面の形状が一つの弧状に形成されている点が相違する。そして、第1表示部15Aの両端部に上下の第2表示部17A,17Aが連設している点も相違する。
【0033】
以上のように、曲面(弧状)部分の断面形状は、スロットマシンの各回転リールに対して個別的に対応させる場合(第1実施例)か、又は各回転リールに対して全体的に対応させる場合(第2実施例)かによって変わる。また、曲面(弧状)部分の断面の長さは、回転リールの半径、位置、数等によって変わる。
【0034】
したがって、当業者が曲面(弧状)部分を適宜に設計変更しても、本発明の目的を達成することができる限り、均等事項である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、スロットマシン、パチンコ機に装着される遊技機の業界で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1乃至図10は本発明の最良の実施例を示す各説明図。図11及び図12は本発明の第2実施例である。
【図1】第1実施例の正面から見た一部切欠の概略説明図。
【図2】各部材を分離した概略縦断面説明図。
【図3】各部材の分解斜視図。
【図4】EL素子シート1の概略説明図。
【図5】内外の形状保持板とEL素子シートとの関係を示す概念図。
【図6】第1表示部の画素パターンの説明図。
【図7】第2表示部の画素パターンの説明図。
【図8】遊技機の窓部に装着した場合の斜視からの説明図。
【図9】遊技機の窓部に装着した場合の正面からの説明図。
【図10】遊技機の窓部に装着した場合の縦断面からの説明図。
【図11】第2実施例の正面から見た一部切欠の概略説明図(図1と同様の図)。
【図12】遊技機の窓部に装着した場合の縦断面からの説明図(図10と同様の図)。
【符号の説明】
【0037】
X,X1…表示装置、Y…遊技機、1,1A…EL素子シート、2,2A…内側の形状保持板、3,3A…外側の形状保持板、2a,3a…平坦部分、2b,3b…曲面部分、2c,3c…取付け部分、15,15A…曲面部分,第1表示部、16…第3表示部、17,17A…平坦部分,第2表示部、18…個別型画素パターン、19…横一連型画素パターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のEL素子シート及び該EL素子シートを挟持する内外の形状保持板に表示部としての機能を発揮させることができる少なくとも1つ以上の曲面部分を形成したプレート状の遊技機用表示装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、形状保持板は樹脂性のプレートであり、平坦部分とこれに連設する曲面部分とを有することを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、形状保持板には複数個の曲面部分が形成され、これらの曲面部分は、縦断面方向に同一曲率を有して連続的に形成されていると共に、端部側の曲面部分には平坦部分が連設していることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項4】
請求項1に於いて、EL素子シートには、複数個の回転リールを擬似的に表示するための断面弧状の第1表示部が形成されると共に、平坦部には回転リールとは異なる内容の表示をするための第2表示部が形成されていることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに於いて、形状保持板は中空円柱を半分に切断したような「かまぼこ形」のカバー部を有すると共に、EL素子シートに形成された第1表示部は該カバー部によってカバーされていることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに於いて、EL素子シートに形成された第2表示部は、形状保持板に形成された平坦部分によってカバーされていることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項7】
請求項1に於いて、形状保持板の両端部には、EL素子シートよりも外方向に突出する取付け部分が設けられていることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項8】
請求項1に於いて、少なくとも外側形状保持板は、透明であることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項1】
可撓性のEL素子シート及び該EL素子シートを挟持する内外の形状保持板に表示部としての機能を発揮させることができる少なくとも1つ以上の曲面部分を形成したプレート状の遊技機用表示装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、形状保持板は樹脂性のプレートであり、平坦部分とこれに連設する曲面部分とを有することを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、形状保持板には複数個の曲面部分が形成され、これらの曲面部分は、縦断面方向に同一曲率を有して連続的に形成されていると共に、端部側の曲面部分には平坦部分が連設していることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項4】
請求項1に於いて、EL素子シートには、複数個の回転リールを擬似的に表示するための断面弧状の第1表示部が形成されると共に、平坦部には回転リールとは異なる内容の表示をするための第2表示部が形成されていることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに於いて、形状保持板は中空円柱を半分に切断したような「かまぼこ形」のカバー部を有すると共に、EL素子シートに形成された第1表示部は該カバー部によってカバーされていることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに於いて、EL素子シートに形成された第2表示部は、形状保持板に形成された平坦部分によってカバーされていることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項7】
請求項1に於いて、形状保持板の両端部には、EL素子シートよりも外方向に突出する取付け部分が設けられていることを特徴とする遊技機用表示装置。
【請求項8】
請求項1に於いて、少なくとも外側形状保持板は、透明であることを特徴とする遊技機用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−39471(P2006−39471A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223279(P2004−223279)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(599115354)株式会社ドラゴン (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(599115354)株式会社ドラゴン (17)
【Fターム(参考)】
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