遊技機
【課題】スロットマシン遊技中の演出を効果的に実施する。
【解決手段】スロットマシン1は、ベット数を決定した状態で始動レバー24が操作されると、3つのリール10a,10b,10cを回転させる。このときに内部抽選を行ってボーナス入賞フラグがONになると、それに応じて効果音や予告音、装飾ランプ46,48の点灯等による演出(当選告知等)が行われる。あるいは、停止ボタン26,28,30が操作されると、その都度、ボーナス入賞フラグに応じた演出(第1停止で当選告知、第2停止で当選告知等)が行われる。またビッグボーナスゲーム中は、装飾ランプ46,48等が特定のパターンで点滅を繰り返し、また液晶表示器42等によって視覚的な演出画像が表示される。
【解決手段】スロットマシン1は、ベット数を決定した状態で始動レバー24が操作されると、3つのリール10a,10b,10cを回転させる。このときに内部抽選を行ってボーナス入賞フラグがONになると、それに応じて効果音や予告音、装飾ランプ46,48の点灯等による演出(当選告知等)が行われる。あるいは、停止ボタン26,28,30が操作されると、その都度、ボーナス入賞フラグに応じた演出(第1停止で当選告知、第2停止で当選告知等)が行われる。またビッグボーナスゲーム中は、装飾ランプ46,48等が特定のパターンで点滅を繰り返し、また液晶表示器42等によって視覚的な演出画像が表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技の進行に関連して画像を表示する機能を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術の概要) この種の遊技機に関連する背景技術として、例えばスロットマシンのように筐体前面のほぼ中央位置に図柄表示器を備え、この図柄表示器による図柄の表示態様を変動および停止させて遊技を進行させる遊技機(ゲームマシン)が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
(背景技術の構成) この公知の遊技機は、図柄表示器として3つのリールを有しており、これらリールの外周面には、それぞれ周方向に所定の間隔を存して複数の図柄が設けられている。このうち1つのリール(外リール)には、1図柄分に相当する部位に開口窓が形成されており、この開口窓が有効化された入賞ライン上で停止すると、その内側で図柄を再変動させる「追加ゲーム」が行われるものとなっている。追加ゲームによる図柄の再変動は、例えばリールの内側で別のリール(内リール)を回転させたり、あるいは、開口窓の奥(リールの内周壁)に固定された液晶表示パネルによって図柄を変動表示させたりすることで行われる。
【0004】
このような公知の遊技機によれば、より多様な図柄表示態様によって追加ゲームを提供することができ、また遊技者は、追加ゲームによる興趣を享受することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2641767号公報(第5−6頁、図1、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、公知の遊技機のように外リールの内側にさらに別の内リールが設けられている場合、構造上、外リールの内側にバックライト等の発光機器を配置しにくくなってしまう。このため、バックライトを用いた停止図柄の点灯・点滅表示や、入賞図柄の点灯表示による演出を行うことができず、視覚的な演出効果に欠けるという問題がある。 また、リールの内周壁に液晶表示パネルが一体に取り付けられている場合(特許文献1の図7を参照)、リールに比較して液晶表示パネルの質量が大きく、その重心が回転中心から大きくずれてしまう。このため滑らかなリールの回転が得られず、機構的に動作が不安定になりやすいという問題もある。
【0007】
そこで本発明は、図柄表示態様の多様性を確保しつつ、構造的に演出機器類の配置が容易であり、また、機構的に安定した動作を確保することができる技術の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(基本的手段) 本発明では光学的な表示デバイスを用いて画像等を出力するとともに、この出力画像をあるときは実際の可視画像として表示し、またあるときは演出用の発光源として用いることができる。表示デバイスには、液晶層を介して照射される直線偏光を個々の画素として用いるものが好適である。すなわち、個々の画素となる直線偏光は、これらを偏光板に通したときに可視画像として肉眼で視認され、一方、偏光板に通さないときは単に光源として利用することができる。このため、何らかの画像を表示させるために液晶層への電圧印加状態を制御していても、直線偏光の照射先に偏光板を置くか置かないかの違いによって、その利用態様を容易に切り替えることができる。
【0009】
(解決手段1) より具体的な解決手段として、本発明の遊技機は、遊技機本体の前面側に形成されて所定の情報が表示される表示領域と、前記表示領域内に配設され、ツイスト配向型の液晶層を介して前面側へ直線偏光を照射する液晶発光体と、前記液晶層への電圧印加状態を制御することで前記液晶発光体からの直線偏光の照射状態を調整可能な液晶制御手段と、前記液晶層を介して照射される直線偏光を可視画像として透過させる偏光板を有し、この偏光板を前記液晶層の照射面の前面側で移動させることにより、遊技者からの直線偏光の視認状態を変化させる偏光可動体とを備える。
【0010】
上記の液晶発光体は、バックライトからの光を偏光板によって直線偏光とし、そして個々の画素に対応する直線偏光の振動面を液晶層への電圧印加状態に応じてツイスト方向に変位させているが、その照射先に偏光板が置かれていない状態では照射面全体が単なる発光体、つまり、発光源として視認される状態となる。一方、直線偏光の照射先に偏光板が置かれている状態では、個々の画素に対応する直線偏光が可視画像として視認される状態となる。
【0011】
したがって、偏光可動体により偏光板を移動させて液晶層の照射面の前面側に偏光板を出現させたり退避させたりすれば、表示領域内では偏光板の有無によって液晶発光体により可視画像を表示したり、演出用の装飾光を照射したりして、遊技者からの視認状態を変化させることができる。
【0012】
また、偏光板を透過して遊技者に可視画像が視認されている状態であっても、偏光板を照射面に対して前後・左右・上下・斜め等の方向に移動させることで、遊技者からみた可視画像の視認状態に立体的な変化を与えることができる。
【0013】
なお、上記の「ツイスト配向型の液晶層」には、例えばツイストネマティック(TN)型やSTN型、TSTN型、FSTN型等の各種の液晶層が含まれる。
【0014】
(解決手段2) 上記の解決手段1において、本発明の遊技機は前記液晶層と前記偏光可動体との間に配設され、各液晶分子が前記偏光板の偏光軸に対して直交する方向に配向された偏光液晶層をさらに備えており、前記液晶制御手段は、前記液晶層とは別に前記偏光液晶層への電圧印加状態を制御することで、前記偏光液晶層を偏光状態または非偏光状態に切り替えることができる。
【0015】
液晶発光体の液晶層とは異なり、上記の偏光液晶層はツイスト配向処理がされておらず、その各液晶分子は、偏光板の偏光軸と直交する方向に配向されている。この場合、偏光液晶層は、電圧が印加されていない状態で前面側の偏光板と同じ機能を果たし、逆に電圧印加状態では単なる透明板となる。したがって、通常は偏光液晶層を非電圧印加状態(ノーマル)にして液晶発光体を表示デバイスとして利用しておき、特定の演出タイミング等で偏光液晶層を電圧印加状態に切り替えれば、瞬時に画像が消失(例えばホワイトアウト)するといった演出を行うことができる。この場合であっても、液晶発光体の前面側に偏光板を移動させることで、解決手段1と同様に可視画像を表示させることができる。
【0016】
(解決手段3) 上記の解決手段1,2において、前記偏光可動体は、前記液晶発光体の周囲にて回転可能に配置され、外周面に図柄列が付されたリール本体と、前記リール本体のうち前記図柄列の一部を構成する部位に開口して形成され、この開口内で前記偏光板を保持することにより、前記偏光板を通じて前面側から前記液晶発光体を視認可能とする偏光板保持窓とを含む態様であってもよい。
【0017】
解決手段3の態様は、例えば機械的な図柄表示部を有した回胴式遊技機に好適する。すなわち、液晶発光体はリール本体の内周に配置されているため、通常はそこから照射される直線偏光をバックライトとして利用することができる。一方、リール本体の回転に伴って偏光板保持窓が液晶発光体の前面側を通過すると、その偏光板を通じて遊技者から視認可能な画像を表示させることができる。
【0018】
この場合、液晶制御手段は、特定種類の図柄を表示させるべく液晶層への電圧印加状態を固定パターンで制御しているだけでもよい。すなわち、液晶発光体の前面側を偏光板保持窓が通過していない間は、液晶発光体から照射される直線偏光が単なるRGB混合による白色光(ノーマリホワイト液晶の場合)となり、これをそのままバックライトとして利用できるので、偏光板保持窓が液晶発光体の前面側を通過するタイミングを検出して液晶層への電圧印加状態を変えるといった複雑な制御を行う必要がない。
【0019】
これに対し、通常の液晶表示装置を用いた場合、常に画像を表示したままにしていると、開口窓以外の部位が液晶表示装置の前面側を通過したときに画像の発光色や輪郭線等が透けてみるため遊技者に図柄の存在を悟られてしまう。これを防止するためには、リールの回転中に開口窓の位置を検出し、窓以外の部位が液晶表示装置の前面側を通過するタイミングで画面を真っ白に発光させ、開口窓が通過するタイミングで図柄の画像を表示させるといった複雑な制御が必要となる。
【0020】
なお本発明では、リール本体と液晶発光体とは別体構造であるため、リール本体の重心位置が大きくずれるようなことはない。
【0021】
(解決手段4) あるいは、上記の解決手段1,2において、本発明の遊技機は前記液晶発光体と前記偏光可動体との間の位置に設けられ、前記液晶層を介して照射される直線偏光を可視画像として透過させる偏光領域を有した光透過性部材と、前記液晶発光体の前面に沿って前記光透過性部材を移動させることで、前記偏光領域により前記液晶発光体の前面側を覆う第1位置と、この前面側から前記偏光領域を退避させた第2位置との間にて交互に変位させる駆動手段とをさらに備えることもできる。
【0022】
上記の液晶発光体は、その表示面となる前面側に偏光板が設けられていないことから、これを通常の表示デバイスとして利用するには、その前面側を全体的にカバーする偏光板(または偏光板と同等のもの)が必要となる。このため解決手段4では、光透過性部材を液晶発光体の前面側に配置し、その偏光領域(偏光板と同等のもの)により液晶発光体の前面側を覆うことで、通常の表示デバイスとしての利用態様を実現している。
【0023】
この場合、遊技機による遊技の進行に伴い、例えば液晶発光体を通常の図柄表示器として活用することができるが、特定の演出タイミングで、駆動手段により光透過性部材を第2位置に変位させれば、そこで画像が消失したかのような演出を実現することができる。
【0024】
(解決手段5) 上記の解決手段4において、前記駆動手段により前記光透過性部材が前記第2位置に変位された状態で、前記偏光可動体を動作させる可動体制御手段をさらに備える態様が好ましい。
【0025】
この場合、上記のように液晶発光体から画像を消失させる演出を行った状態で、これに続いて液晶発光体の前面側で偏光板を移動させれば、引き続き遊技者は偏光板を通して画像を視認することができる。このとき、液晶発光体の前面に対して偏光板の大きさが充分に小さければ、遊技者は偏光板が移動する軌跡に沿って部分的に画像を視認することになるので、そこに視覚的な面白みを付加することができる。また、液晶発光体の前面からある程度の間隔を存して偏光板が配置されていれば、偏光板を通して視認できる画像に視覚的な奥行きをもたせることができるし、液晶発光体に対してほぼ正面の方向以外からは画像が視認しにくくなるので、周囲の遊技者(他人)から画像を覗き見されにくくなる。 あるいは、液晶発光体の前面に対して偏光板の大きさが充分に小さい場合、液晶発光体の前面からある程度の間隔を存して偏光板を配置しておき、遊技者
が偏光板を正面視したときに敢えて画像の表示位置が上下・左右・斜め方向等へ少しずれるようにすると、遊技者が積極的に自己の視点を調整する必要があるため、それだけ興趣が増す。
【発明の効果】
【0026】
本発明の遊技機は、図柄表示部による演出効果を大きく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態となるスロットマシンの正面図である。
【図2】スロットマシンの制御構成を概略的に示した図である。
【図3】リール装置を概略的に示した斜視図である。
【図4】液晶発光体の構造を模式的に示した図である。
【図5】第2実施形態となるパチンコ機の正面図である。
【図6】センター役物と液晶発光体等との配置関係を示した斜視図である。
【図7】センター役物、液晶発光体等の右側面図である。
【図8】パチンコ機の制御構成を概略的に示した図である。
【図9】図柄変動による演出表示の例を示した連続図である。
【図10】図9に続いて行われる演出表示の例を示した連続図である。
【図11】第2実施形態について、図6と異なる構造の液晶発光体を用いた構成例を示した図である。
【図12】液晶発光体の構造を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、例えば回胴式遊技機や弾球式遊技機として好ましい実施の形態をとることができる。以下、本発明を回胴式遊技機および弾球式遊技機に適用した実施形態(第1,第2)について、次に掲げる項目に沿って各対応図面を参照しながら説明する。
【0029】
A.第1実施形態 1.第1実施形態の概要(図1) 2.スロットマシンの内部構成(図2) 3.リール装置(図3) 4.液晶発光体 4−1.液晶発光体の構造 4−2.液晶発光体の応用例 4−3.偏光可動体(図2) 4−4.液晶制御手段 4−5.具体的構造(図4) B.第2実施形態 5.第2実施形態の概要(図5) 6.センター役物 7.表示領域 8.液晶発光体(図6) 9.偏光可動体 10.光透過性部材 10−1.偏光領域 10−2.各部の配置関係(図7) 11.パチンコ機の制御構成(図8) 12.動作例 12−1.液晶制御手段 12−2.駆動手段(図9〜図10) 12−3.可動体制御手段(図10) 13.偏光液晶層(図11〜図12) 14.液晶制御手段(図11) 15.その他の実施形態についての言及
【0030】
A.第1実施形態 (1.第1実施形態の概要) 図1は、第1実施形態の回胴式遊技機となるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
【0031】
図1のスロットマシン1は箱形の筐体2を備え、この筐体2をベースとして遊技場の島設備に複数台が並んだ状態で設置される。通常は台間サンドとしてメダル等の貸出機が設置されており、遊技者は台間サンドに現金やプリペイドカード等を投入してメダル等の貸出を受けることができる。
【0032】
筐体2は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4は一側端(この例では左側端)を中心として手前に開くことができる。前面扉4はその中程の位置に平坦な透明板6を有しており、その中央に表示領域の一例として矩形の表示窓8が形成されている。第1実施形態のスロットマシン1は、表示領域(表示窓8)内で図柄表示を行うために機械的な図柄表示装置(リール装置)を備えている。この図柄表示装置は例えば3つのリール(左リール、中リール、右リール)10a,10b,10cを装備しており、これらリール10a,10b,10cは前面扉4の奥、つまり、筐体2の内部に配置されている。
【0033】
各リール10b,10cの外周にはそれぞれリール帯が張り巡らされており、その表面に各種の図柄が列をなすように付されている。図1には一部のものだけが示されているが、図柄には例えば、数字や文字、ベル、スイカ、リンゴ、チェリー等を図案化したもの、あるいは、スロットマシン1の機種を特徴付けるキャラクターや図形、記号等を図案化したもの等が含まれている。
【0034】
スロットマシン1はこれらリール10a,10b,10cを回転または停止させることで、図柄の表示態様を変動させたり停止させたりすることができる。なお、スロットマシン1の前面からは、表示窓8を透かしてリール10a,10b,10cの一部のみが視認可能であり、その停止時には各リール10a,10b,10cにつき、縦方向に3つの図柄が有効に表示されるものとなっている。
【0035】
透明板6のうち、表示窓8の両脇にはそれぞれ点灯表示部12,14が形成されており、これら点灯表示部12,14には各種の文字情報や図柄情報が所定の配列で付されている。透明板6の背後には図示しないランプユニットが配置されており、点灯表示部12,14内の情報はランプの光を透過することで点灯表示される。例えば、最初に遊技者がメダル投入口15を通じてメダルを投入すると、その投入枚数に応じてメダルの掛け数、つまりベット数が加算され、これに合わせて左側の点灯表示部12ではベット数に対応した有効ラインランプが点灯表示される。このとき、スロットマシン1においてメダル受入動作がクレジットモードであれば、最大ベット数(例えば3ベット)を超えて投入されたメダルがクレジットとして貯留され、そのクレジット数は表示部16に数値表示される。
【0036】
上記のクレジットは、例えば最大で50まで貯留することができ、1回のゲームを終えた後に充分なクレジットの残りがあれば、その分を次回のベットに回すことができる。ベット数の選択はベットボタン18,20,22を操作することで行い、これらベットボタン18,20,22はそれぞれシングルベット(1枚掛け)、2ベット(2枚掛け)、MAXベット(3枚掛け)に対応する。
【0037】
いずれにしても、遊技者が1ゲームごとのベット数を決め、有効ラインランプが点灯表示された状態で始動レバー24を操作すると、リール10a,10b,10cが回転し始めて図柄が変動する。さらに遊技者が停止ボタン26,28,30を操作すると、右・中・左のそれぞれに対応するリール10a,10b,10cが回転を停止して図柄の変動が停止する。このとき有効化されている入賞ライン上にある図柄の組み合わせから入賞の有無が判断され、入賞があった場合は入賞図柄の種類(例えばボーナス図柄、小役図柄、リプレイ図柄等)に応じて入賞特典が与えられて1回のゲームが終了する。
【0038】
なお、メダルの払い出しを伴う入賞(例えば小役入賞、ボーナス入賞)があった場合は払出枚数が表示部32に表示され、上記のクレジットモードであれば、払い出されたメダルは表示部16のクレジットに加算して貯留される。このとき払い出されたメダルのうち、最大クレジット数を超えた分のメダルは払出口36を通じて受け皿38に払い出される。また遊技者は、精算ボタン40を操作することでクレジットモードを解除し、メダルの貯留(クレジット)を精算することも可能である。
【0039】
第1実施形態のスロットマシン1は、表示窓8の上方に液晶表示器42を有しており、この液晶表示器42には、遊技の進行に伴う演出のための映像や各種ボーナスゲームでの獲得メダル枚数等が表示されるものとなっている。また、払出口36の左右には2個のスピーカ44が設けられており、これらスピーカ44からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。その他、前面扉4には各所にランプ45,46,48が配置されており、これらランプ45,46,48は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。
【0040】
(2.スロットマシンの内部構成) 図2は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1はその遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板50を有しており、このメイン制御基板50にはCPUをはじめROM、RAM、入出力インタフェース等(全ては図示されていない)が実装されている。
【0041】
上述したベットボタン18,20,22や始動レバー24、停止ボタン26,28,30、精算ボタン40等はいずれもメイン制御基板50に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、その操作信号をメイン制御基板50に出力することができる。
【0042】
また筐体2にはメイン制御基板50とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板50に各種の信号が入力されている。機器類には、上記3つのリール10a〜10cを擁するリール装置10のほか、メダルセレクタ52やホッパ装置54等がある。
【0043】
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ(図示していない)を有しており、これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板50に入力されている。またメダルセレクタ52はメダル投入口15から投入されたメダルを1枚ずつ検出し、その検出信号(投入メダル信号)をメイン制御基板50に出力する。ホッパ装置54は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ(図示していない)を有しており、この払出センサからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板50に入力されている。
【0044】
一方、メイン制御基板50からは、リール装置10やホッパ装置54に対して制御信号が出力される。すなわち、リール装置10は各リール10a,10b,10cを回転させるためのステッピングモータ(図示していない)を内蔵しており、これらステッピングモータの起動および停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板50から出力される。またホッパ装置54には、入賞した図柄の種類に応じてメイン制御基板50から払出コマンドが入力され、この払出コマンドに基づいてホッパ装置54はメダルの払い出し動作を行う。
【0045】
スロットマシン1は、メイン制御基板50の他にサブ制御基板56を備えており、このサブ制御基板56にはCPUやROM、RAM、インタフェース、VDP、音源IC、オーディオアンプ等(全ては図示されていない)が実装されている。サブ制御基板56はメイン制御基板50から各種の指令信号を受け、液晶表示器42や表示部16,32,34、スピーカ44の作動を制御するほか、ランプ45,46,48の点灯または点滅を制御している。
【0046】
さらに、メイン制御基板50には外部端子基板58が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子基板58を介して遊技場のホールコンピュータ60に接続されている。外部端子基板58はメイン制御基板50から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ60に中継している。
【0047】
その他、筐体2の内部には電源ユニット62が収容されており、この電源ユニット62は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット62から各ユニットに供給されている。
【0048】
また電源ユニット62には、電源スイッチ64や設定キースイッチ66、リセットスイッチ68等が付属している。これらスイッチ類はいずれも筐体2の外側に露出しておらず、その前面扉4を開くことで始めて操作可能となる。このうち電源スイッチ64は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ66はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ68はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、さらには設定キースイッチ66とともに設定を
変更する際にも操作される。
【0049】
(3.リール装置) 図3は、3つのリール10a,10b,10cを含むリール装置10の構成を概略的に示している。リール装置10は、3つのリール10a,10b,10cを一体に備えたユニットとして筐体2の内部に収容されており、このリール装置10は筐体2の前面扉4を開くと手前側に露出される。
【0050】
図3には示されていないが、各リール10a,10b,10cは、その回転中心にハブ部が形成されていて、このハブ部から放射状に延びるスポークとリムによって構成されているタイプが標準的である。また、ハブ部には通常、駆動源としてモータ(ステッピングモータ)が取り付けられており、各リール10a,10b,10cはステッピングモータによって直接駆動される。
【0051】
その他に、例えば2点鎖線で示されているように、各リール10a,10b,10cの外周がローラ10dによって保持されている態様であってもよい。この場合、各リール10a,10b,10cの中心には上記のハブ部が形成されておらず、代わりにリール内周にリングギヤ(図示していない)が形成されていて、このリングギヤと噛み合う駆動ギヤ10eによって各リール10a,10b,10cが駆動される。
【0052】
(4.液晶発光体) 第1実施形態では、リール10a,10b,10cの内側にそれぞれ液晶発光体100が配設されている。個々の液晶発光体100は矩形をなし、各リール10a,10b,10cの内周面に沿って縦長に配置されている。液晶発光体100の横幅は各リール10a,10b,10cの幅とほぼ同じかそれ以上とすることができる。なお、各リール10a,10b,10cについて、上記の駆動ギヤ10eによる駆動態様を採用している場合、3つの液晶発光体100を一体にして形成することもできる。
【0053】
(4−1.液晶発光体の構造) 第1実施形態の液晶発光体100は、例えばアクティブマトリクス型、単純マトリクス型液晶表示器等の通常の液晶表示器について、その前面側にある偏光板を取り除いたものと同等の構造を有している。すなわち、通常の液晶表示器であれば、例えば90°にツイスト配向処理された液晶層が一対のガラス基板の間に挟み込まれるようにして形成されており、その両側に1枚ずつ偏光板が配設されている。このうち、視認者からみて奥側に位置する偏光板はバックライト等の光を直線偏光にして透過させるので、例えば液晶層が非電圧印加状態にあるとき、その表示面を白く発光させることができる(ノーマリホワイト型の場合)。実際には、表示面内の個々の画素に対応する液晶層ごとに電圧印加状態が制御されることで、表示面上に何らかの可視画像が表示される。
【0054】
これに対し、第1実施形態の液晶発光体100は、上記の表示面に相当する前面側の偏光板が設けられていない構造を有している。このため、何らかの画像(例えば特定種類の図柄)を表示するために個々の画素に対応する液晶層への電圧印加状態が制御されていても、肉眼では直線偏光が白色光としか視認されない。その一方で、液晶発光体100の前面側に偏光板(奥側の偏光板に対して偏光軸を直交させたもの)を配置させると、そこで直線偏光が可視画像として透過されるため、偏光板を通したときだけ画像を視認させることができる。
【0055】
(4−2.液晶発光体の応用例) 上記の特性を利用して、第1実施形態では液晶発光体100をリール装置10のバックライトとして機能させたり、図柄を表示させる用途に用いたりすることができる。
【0056】
(4−3.偏光可動体) 具体的には、3つのリール10a,10b,10cのうち左リール10aに偏光板保持窓17が形成されており、この偏光板保持窓17は、例えばリール10aの図柄列中で図柄1つ分に相当する部位を開口することで形成されている。そして、この開口部分に偏光板17aが保持されているため、偏光板保持窓17が液晶発光体100の前面側で停止し、あるいは前面側を通過すると、その偏光板17aを通じてリール10aの奥にある液晶発光体100を視認可能となる。
【0057】
一方、リール10aにおいて偏光板保持窓17が形成されていない部分は、通常の偏光機能を有していない光透過性の部材で構成されており、それゆえ液晶発光体100から照射された直線偏光はそのまま白色光として透過される。
【0058】
このため図3に示されているように、リール10aの周方向でみて偏光板保持窓17が形成されていない範囲A1,A2では、液晶発光体100の前面側から照射される直線偏光がそのまま白色のバックライトとして透過される。一方、偏光板保持窓17が形成されている範囲Bでは、液晶発光体100から照射される直線偏光が可視画像(例えばチェリーの図柄)として遊技者に視認されることになる。
【0059】
また、リール10aの回転に伴い、偏光板保持窓17が液晶発光体100の前面から退避した位置に移動すると、液晶発光体100の前面側でその全ての範囲(A1,B,A2)で直線偏光が白色のバックライトとして透過されることになる。
【0060】
なお、リール10aの構造上、偏光板保持窓17の部分がその他の部分に比較して僅かに重くなるようであれば、周方向でみてリール帯の合わせ目(巻き始めと巻き終わりがラップする部分)の反対側に偏光板保持窓17を設ければよい。これにより、リール10aの重量バランス(回転バランス)を良好に保つことができる。
【0061】
(4−4.液晶制御手段) 第1実施形態では、液晶発光体100による表示動作の制御、つまり個々の画素に対応する液晶層への電圧印加状態の制御は、上記のサブ制御基板56により行うことができる。このときサブ制御基板56は、液晶発光体100について、特にリール10aの回転角度に同期して図柄の表示・非表示を切り替える制御を行う必要がない。すなわち、遊技者は偏光板保持窓17が液晶発光体100の前面位置を通過するときだけ図柄を視認することができ、それ以外のタイミングでは、これを単にバックライトとして視認することができる。
【0062】
したがってサブ制御基板56は、液晶発光体100について、常に特定種類の図柄を表示させる制御を行っているだけであっても、あとはリール10aの回転に伴って勝手に遊技者から図柄が視認されたり、単なるバックライトになったりするため、特に偏光板保持窓17の位置を検出して表示を切り替えるといった制御を必要としない。
【0063】
なお図3には、上下方向でみて液晶発光体100の中央位置(表示窓8の中段位置)にだけ図柄「チェリー」が描かれているが、これは偏光板保持窓17以外の部分では画像が視認できないからである。したがって、実際の制御上は上・中・下段の各位置に対応して液晶発光体100に3つの図柄「チェリー」が表示されており、偏光板保持窓17が上段または下段の有効ライン上で停止した場合、各停止位置で遊技者から図柄「チェリー」が視認される。
【0064】
これとは逆に、液晶発光体100には1図柄だけを表示しておき、偏光板保持窓17の移動に合わせて図柄の表示画像を移動させる制御を行うこともできる。この場合、例えばリール10aの回転によって偏光板保持窓17が液晶発光体100の前面を通過し始めると、このタイミングでインデックス信号が出力されるように設定しておけば、あとはインデックス信号を拾ったときに、リール10aの回転速度に合わせて図柄の表示画像を回転方向に移動させる制御を行うだけでよいため、比較的簡単な制御内容で済む。
【0065】
さらに、第1実施形態ではリール10aの内周面から離隔した位置に液晶発光体100が配置されているため、偏光板保持窓17と液晶発光体100の前面との間にある程度の距離が確保されている。この場合、遊技者が偏光板保持窓17を通じて図柄を視認した際に、画像に奥行きを感じるという視覚的な効果が得られる。
【0066】
(4−5.具体的構造) 図4は、液晶発光体100の構造を模式的に示している。液晶発光体100は、その裏面側に配設された光拡散板131を有しており、この光拡散板131は図示しない光源の光を拡散させている。また光拡散板131の手前側に向かって、順に偏光板133、ガラス基板132、液晶層134およびガラス基板132が重ね合わせられるようにして配設されている。なお液晶発光体100には、この他にも透明電極やカラーフィルタ等が用いられているが、これらは公知のものを適用できるため図示を省略する。
【0067】
上記のように、第1実施形態の液晶発光体100では、その表示面となる前面側に偏光板が設けられていない。このため液晶発光体100は、光拡散板131からの光を偏光板133によって直線偏光Lとして透過させ、この直線偏光を液晶層134に入射させる。液晶層134は、その非電圧印加状態では各液晶分子のツイスト方向に沿って直線偏光Lの振動面をねじり変位させ、その変位後の直線偏光Lを遊技者の視点に向けて照射させる構成となっている。またいうまでもなく、液晶層134が電圧印加状態にあると、偏光板133から照射された直線偏光Lは、その振動面を変位させることなくそのまま透過する。
【0068】
いずれにしても、液晶発光体100の前面には偏光板が設けられていないため、遊技者からは個々の画素に対応する直線偏光Lの集合が白色光として視認されるにとどまる。この状態で、上記の偏光板17aが液晶発光体100の前面側に位置付けられると、その直線偏光Lが可視画像(図柄)として視認されるものとなっている。
【0069】
上記の第1実施形態では、リール10a(偏光板保持窓17)の回転位置を検出しながら液晶発光体100による表示制御を細かく行う必要がないことから、サブ制御基板56による制御構成を簡素化することができる。また、このように図柄の表示制御を簡素化しつつ、遊技者から視認される図柄に奥行き感を持たせることで、視覚的な効果を高めることができる。
【0070】
B.第2実施形態 次に、本発明をパチンコ機に適用した第2実施形態について説明する。
【0071】
(5.第2実施形態の概要) 図5は、本発明の第2実施形態としての遊技機が適用されたパチンコ機201の構成例を示している。このパチンコ機201は、木製の外枠を外形のベースとして構成され、その内側に木枠や前面枠、ガラス枠等の枠体が装着されている。このうち、基枠には遊技盤202が着脱可能に嵌め込まれており、その前面にほぼ円形の遊技領域が形成されている、遊技盤202には、多数の誘導釘(図示されていない)が所定のゲージ配列で打設されているほか、風車や各種入賞口、装飾ランプ等が盤面構成要素として配設されている(いずれも参照符号なし)。
【0072】
また、パチンコ機201の前面には遊技球を容れるための上皿204および下皿206が設けられているほか、その右下隅位置には上皿204に収容された遊技球を順次発射させるための発射ハンドル208が設けられている。また上皿204の左側位置には、遊技者が適宜プッシュ操作できる演出ボタン210が配置されている。その他、パチンコ機201の前面(ガラス枠)には多数の枠ランプが装飾的に配置されるほか、遊技の進行に伴い音響出力を行うためのスピーカ装置が設置されている(いずれも参照符号なし)。
【0073】
パチンコ機201の裏面側には、各種の基板ボックスをはじめとする電子機器類や裏セット等の機構部品等が配置されている。また、パチンコ機201は通常、遊技場の島設備に複数台が横方向に並べて設置されており、その台間サンドとしてカードユニット(CR機の場合)が設けられている。
【0074】
(6.センター役物) 遊技領域のほぼ中央位置には、ひときわ目を引くセンター役物214が設けられており、このセンター役物214の形態・構成によりパチンコ機201のゲーム性が特徴づけられている。センター役物214は額縁形状に成形された装飾体からなり、その外面にはゲーム内容をコンセプトとしてデザインされた装飾が施されている。またセンター役物214は光透過性の樹脂成型品から構成されており
、その内部に装飾LEDが各所に配置されている。それゆえパチンコ機201による遊技の進行に伴いい、センター役物214では装飾LEDを用いた発光による演出が行われるものとなっている。
【0075】
またセンター役物214は装飾体としての機能のほかに、遊技領域内に発射されてきた遊技球を左右に振り分け、その動きに変化を与える働きをする。また、センター役物214の下縁部には球ステージ214aが形成されており、また、その左右側縁部には図示しないワープ通路が形成されており。このワープ通路を通じて取り込まれた遊技球は球ステージ214a上に誘導され、そこで一時的に滞留しながら動きに変化が与えられる。
【0076】
(7.表示領域) 上記のセンター役物214内には、第2実施形態において表示領域を構成する表示画面216が配置されており、この表示画面216はちょうど前面側の遊技者から視認しやすい位置にある。また表示画面216では、例えば始動入賞口への入賞を契機として表示内容が変化し、このとき画面上にて特別図柄の変動を表す画像が表示される。特別図柄は一定時間にわたって変動した後に停止し、このとき所定の図柄表示態様(例えば同種の図柄が3つ揃った表示態様)になると大当たりになり、パチンコ機201において特別な遊技状態に移行する。
【0077】
特別遊技状態としての大当たりに移行すると、表示画面216による表示内容が大当たり中のラウンド表示に切り替わり、そこでラウンド演出(入賞個数のカウント表示や継続ラウンド回数等)が実行される。さらに大当たり後の特典遊技(いわゆる「確変」,「時短」等)に移行すると、それぞれ特典遊技中である旨の情報(「確変中」「時短中」)等が表示される場合もある。
【0078】
その他にも、表示画面216にはゲート口の通過を契機として普通図柄の変動および停止が表示される。あるいは、パチンコ機201がしばらくの間、遊技者の待ち受け状態になると、表示画面216において機種名やメーカー名を用いたデモンストレーション表示を行うこともできる。
【0079】
(8.液晶発光体) 図6は、上記のセンター役物214に関する構成例を具体的に示している。センター役物214の背後(遊技盤の裏側)には、上記の表示画面216を有する液晶発光体200が配設されており、この液晶発光体200もまた第1実施形態の液晶発光体と同等の構造を有している。第2実施形態の液晶発光体200は、センター役物214の形態に合わせて横長の表示面を有しており、この表示面がセンター役物214の内側に嵌め込まれた状態で遊技者にほぼ正対する。
【0080】
(9.偏光可動体) 第2実施形態の場合、センター役物214の左側縁部に縦長のスリット部214bが形成されており、このスリット部214bはセンター役物214の左側縁部を横方向に貫通している。またスリット部214bは、センター役物214の左側縁部から上縁部にまで回り込むようにして形成されており(詳しく図示されていない)、この上縁部においてスリット部214bは、右側縁部の直前まで到達している。それゆえセンター役物214の上縁部および左側縁部は、スリット部214bによって前後方向に分割された構造となっている。
【0081】
センター役物214には、上記のスリット部214bを通じて駆動される偏光可動体232が付設されている。この偏光可動体232は、正面からみてちょうど虫眼鏡を逆さにしたような格好をなしており、特に虫眼鏡のレンズに相当する部分に円形の偏光板217が嵌め込まれている。
【0082】
一方、センター役物214の上方には、遊技盤の背後に隠れる位置に駆動装置233が配設されている。この駆動装置233は、モータ233aおよび無端状の駆動ベルト233bを有しており、上記の偏光可動体232は、その柄の先端に相当する部分が駆動ベルト233bに接続されている。モータ233aはその駆動軸が下向きとなる姿勢で保持されており、その先端部に無端状の駆動ベルト233bが巻き掛けられている。駆動装置233は遊技盤面に沿って左右方向に長く延びており、上記の駆動ベルト233bは駆動装置233内に収容された状態で、長円形状に巻回されている。このためモータ233aが両方向に回転されると、これに合わせて駆動ベルト233bが左右方向に走行し、偏光可動体232をセンター役物214内で左右方向に移動させることができる。
【0083】
(10.光透過性部材) またセンター役物214の後方には、液晶発光体200の前面側で、駆動装置233よりも後側の位置にフィルムユニット234が配置されている。フィルムユニット234は長尺なフィルム材234aを有し、このフィルム材234aは上下でそれぞれ駆動ローラ234b,234cに巻き掛けられている。これら上下の駆動ローラ234b,234cは、液晶発光体200を挟んで上下に離隔して配置されており、その間にフィルム材234aの走行経路を形成している。走行経路は液晶発光体200の前面側を上下方向に延びており、この走行経路上にてフィルム材234aは液晶発光体200の前面を全体的に覆っている。
【0084】
また上下の駆動ローラ234b,234cには、それぞれモータ234dが取り付けられており、フィルムユニット234は、これらモータ234dを両方向に回転させることで長尺なフィルム材234aを上下方向に走行させることができる。
【0085】
(10−1.偏光領域) 長尺なフィルム材234aはその母材が透明フィルムから構成されており、さらに、その長手方向の一部に偏光フィルタ領域Fおよび装飾領域Dが相隣接して形成されている。また、これら偏光フィルタ領域Fおよび装飾領域Dは、いずれも液晶発光体200の前面(表示面)を覆い隠すことができる大きさを有している。
【0086】
ここで、第2実施形態の液晶発光体200もまた、その液晶層の前面側に偏光板が配置されていない構造を有する。このため、そのままでは表示画面216上に可視画像が表示されないが、上記の偏光フィルタ領域Fは、液晶発光体200から照射される直線偏光を可視画像として透過させることができる。したがって第2実施形態では、偏光フィルタ領域Fを液晶発光体200、つまりその表示画面216の前面側に位置させることで、液晶発光体200を通常の図柄表示装置として利用することができるものとなっている。
【0087】
なお、もう一方の装飾領域Dには装飾的な図柄印刷(またはシール貼着)が施されており、この装飾領域Dが液晶発光体200の前面側に位置付けられると、そこから照射される直線偏光が遮蔽される代わりに、装飾領域Dの図柄が表示されるものとなっている。
【0088】
(10−2.各部の配置関係) 図7は、センター役物214の周辺における各部の配置関係を示している。上記の駆動装置233はセンター役物214の上方に位置し、そこから偏光可動体232がスリット部214bを通じてセンター役物214の内部に進入可能となっている。
【0089】
フィルムユニット234については、実際のレイアウト上の制約から上側の駆動ローラ234bが液晶発光体200の直上に配置されているが、下側の駆動ローラ234cはセンター役物214の下方に配置されている。この状態で、フィルム材234aは液晶発光体200の直前を上下方向に延びており、それゆえ遊技者からは、フィルム材234aが表示画面216とほぼ同じ位置にあるものとして視認される。
【0090】
これに対し、偏光可動体232は液晶発光体200の前面、つまり表示画面216から前方へ一定の間隔を存して離れた位置にあり、駆動装置233の作動時に偏光可動体232は表示画面216から一定の距離を置いて左右方向に移動するものとなっている。
【0091】
(11.パチンコ機の制御構成) 図8は、パチンコ機201の制御構成を概略的に示している。パチンコ機201はメイン制御基板220およびサブ制御基板222を備え、これら基板220,222はいずれもCPUをはじめROM,RAM等を有している。またメイン制御基板220とサブ制御基板222とが互いに配線を通じて接続されているほか、各基板にそれぞれ付随して電子機器類が接続されている。
【0092】
このうちメイン制御基板220には入賞スイッチ224が接続されており、この入賞スイッチ224は、遊技中に始動入賞口への入賞があると、その検出信号をメイン制御基板220に出力する。
【0093】
またサブ制御基板222には、表示制御基板226を介して上記の液晶発光体200が接続されており、表示制御基板226は、サブ制御基板222から送信される表示コマンドに基づき、液晶発光体200に対する描画コマンドを出力することができる。さらに、サブ制御基板222にはアンプ基板228を介してスピーカ装置230が接続されているほか、図示しないアンプ中継基板等を介して装飾ランプ/LED等が接続されている。一方、上記の演出ボタン210はサブ制御基板222に接続されており、そのプッシュ操作があった場合に操作信号をサブ制御基板222に出力する。
【0094】
またサブ制御基板222には、上記の駆動装置233およびフィルムユニット234が接続されており、これらのモータ233a,234dはサブ制御基板222からの制御信号に基づいて回転を制御されている。
【0095】
図8には示されていないが、メイン制御基板220には払出制御基板が接続されており、この払出制御基板は図示しない賞球装置の作動を制御する。払出制御基板にはさらに発射制御基板が接続されており、この発射制御基板は図示しない発射モータの作動を制御している。パチンコ機201には、その他にも電源ユニット基板やインタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、これらについてはいずれも公知のものを適用できるため、図示とともにその説明を省略する。
【0096】
(12.動作例) 次に第2実施形態のパチンコ機201による動作例について説明する。 パチンコ機201における遊技は、遊技領域に向けて発射された遊技球が各種の入賞口・ゲート等に入賞したり通過することで具体的に進行する。例えば、上記のように遊技球が始動入賞口に入賞すると、その検出信号が入賞スイッチ224からメイン制御基板220に入力される。これを契機としてメイン制御基板220のCPU(以下、「メインCPU」と呼称する。)がプログラム上で乱数を取得し、このときの乱数値が所定のあたり値に該当していると、表示画面216によるリーチ演出や図柄表示演出等を経て大当たりとなる。
【0097】
(12−1.液晶制御手段) また、始動入賞口への入賞が検出されると、そのとき行われた抽選結果に基づいてメイン制御基板220からサブ制御基板222に変動パターン番号と最終停止図柄を表す変動パターンコマンドが送信される。このうち変動パターンコマンドには、リーチ演出をはじめとする各種の演出情報が含まれており、例えばリーチ演出を行った後にハズレの態様で図柄の組み合わせを表示したりする場合、これら一連の演出情報が変動パターンコマンドによってサブ制御基板222に指示される。
【0098】
サブ制御基板222のCPU(以下、「サブCPU」と称呼する。)は受け取った変動パターンコマンドに基づいて表示画面216上での出力画像を制御するため、予め決められた演出パターンにしたがって表示コマンドを生成し、これを表示制御基板226に出力する。
【0099】
本実施形態においては、遊技中にサブCPUが受け取った変動パターン番号や変動パターンコマンド(以下、これらをまとめて「変動パターン信号」と総称する。)に基づいて処理・判断を行い、大当たりへの信頼度が高い場合等において各種の演出を行うことができる。
【0100】
例えば、ある時点でサブ制御基板222が受け取った変動パターン信号を解釈した結果、その内容が大当たりであったとすると、図柄変動中にリーチ演出を行うことで、その間に大当たりへの期待感を高めることができる。このようなリーチ演出はさらに、通常図柄か確変図柄下によって内容を異ならせることができ、遊技者にとっ
てより有利な状況であるほど、その演出内容に凝るといった味付けをすることもできる。
【0101】
さらに、図柄変動中に始動入賞口への入賞が重なって、いわゆる保留状態(変動開始待ち)になっている場合、現在保留されている変動パターン信号中(例えば保留4つ目)に大当たりがあると判断すると、サブ制御基板222は図柄の変動表示を繰り返しながら大当たりに近づいていく予告演出(いわゆる連続予告)を指示することもできる。
【0102】
第2実施形態では、このようなリーチ演出に関連して上記の駆動装置233およびフィルムユニット234をそれぞれ作動させることで、視覚的な演出効果を高めることができ、以下にその演出例について説明する。
【0103】
(12−2.駆動手段) 図9は、表示画面216における図柄の変動表示過程の例を示している。例えば、リーチ演出による変動表示が行われる場合、先ず図9中(a)に示されるように、左側と右側の変動ライン上で同じ種類の図柄が停止し、残った中央の図柄の変動表示が継続されている。この時点で、表示画面216は偏光フィルタ領域Fに覆われた状態にあるため(第1位置)、遊技者からは通常どおり図柄の変動表示が可視画像として視認される。
【0104】
次に、中央の図柄の変動が停止する少し前のタイミングで、サブ制御基板222はフィルムユニット234を作動させ、図9中(b)に示されているようにフィルム材234aを下方に送り出す。これにより、表示画面216に対して偏光フィルタ領域Fが下方に変位する代わりに、上方から装飾領域Dが垂れ下がってくる。このとき、表示画面216の下側を部分的に覆っている偏光フィルタ領域Fでは、それまでどおり可視画像が視認されているが、その上側の装飾領域Dでは、可視画像が視認されない代わりに装飾上の図が視認される。
【0105】
ここで、装飾領域Dには例えば「雪崩」をイメージした装飾が施されているので、あたかも表示画面216の上方で「雪崩」が発生し、それによってリーチ図柄の上に「雪崩」が覆い被さっていくかのような視覚的効果が得られる。続いてフィルムユニット234がフィルム材234aをさらに下方に走行させると、表示画面216の前面側から偏光フィルタ領域Fが完全に退避し(第2位置)、全体が装飾領域Dに覆われる。この後、フィルムユニット234はさらにフィルム材234aを下方に走行させ、装飾領域Dをも表示画面216の下方に退避させる。
【0106】
図10は、表示画面216の前面側から装飾領域Dが退避したときの状態を示している。図10中(a)に示されているように、この状態で、表示画面216の前面側にはフィルム材234aの透明部分が位置しているため、遊技者からは表示画面216上に可視画像が視認されず、そこから照射されている直線偏光が単なる白色光として視認されている。したがって遊技者からは、図9中(b)の状態から図10中(a)の状態に移行する過程で「雪崩」が発生し、その「雪崩」が下方に流れ去ると、その後で表示画面216が真っ白になる(いわゆるホワイトアウト)といった一連の変化が視認される。これにより、リーチ状態の最終結果を見届ける前に、表示画面216があたかも「雪崩」によって消し去られてしまったかのような視覚的効果が得られる。
【0107】
(12−3.可動体制御手段) 上記のように表示画面216が真っ白になると、続いてサブ制御基板222は駆動装置233を作動させ、図10中(b)に示されているように偏光可動体232を表示画面216の前面側にて横方向(図中の右方向)に移動させる。このとき偏光可動体232は、上記のスリット部214bを通じてセンター役物214の左側から出現し、そのまま表示画面216の前面側を横切って右方向に進行する。
【0108】
このような偏光可動体232の移動過程において、遊技者は円形状の偏光板217を通じてのみ可視画像を視認することができる。この過程で、偏光板217が表示画面216の中央付近を通過する際には、先ほどのリーチ状態で遊技者が最終結果を確認することができなかった図柄(最終停止図柄)を実際に視認することができる。このため遊技者は、あたかも表示画面216上をサーチライトのようなもので照らし出しながらリーチの結果(図柄の停止表示態様)を探索しているかのような感覚を味わうことができる。
【0109】
またこのとき、偏光可動体232は表示画面216の前面から離れた位置にあるため、遊技者から視認される画像にある程度の奥行きをもたせることができる。さらに、表示画面216上の図柄は、偏光可動体232の正面位置にいる遊技者からは良好に視認されるが、その左右方向からは視認されにくいので、リーチ結果を周囲(両隣)の遊技者から覗き見されにくくなる。
【0110】
駆動装置233は、偏光可動体232をセンター役物214内で右端位置まで移動させると、そこから引き返すようにして偏光可動体232を左方向に移動させる。この後、偏光可動体232はスリット部214bを通じてセンター役物214の左側縁部から退出し、そのまま遊技者の視界から消える。またこの後、フィルムユニット234はフィルム材234aを上方へ巻き戻し、偏光フィルタ領域Fを表示画面216の前面側に位置付けた状態に復帰する。また復帰後は、表示画面216において通常の表示が行われる。
【0111】
(13.偏光液晶層) 図11は、第2実施形態について上記のフィルムユニット234を用いない場合の例を示している。この例では、液晶発光体300の構造が上記と異なっており、その表示画面316が2重の液晶パネル300a,300bから構成されている。その他の駆動装置233や偏光可動体232等の構成は上記と同じであるため、ここでは同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0112】
図12は、液晶発光体300の構造を模式的に示している。液晶発光体300の基本的な構成は上記の液晶発光体100,200と同様であるが、手前側の液晶パネル300bが付加されている点で構成が異なっている。
【0113】
2重の液晶パネル300a,300bのうち、奥側の液晶パネル300aは上記と同様にツイスト配向型の液晶層134を有している。これに対し、前面側の液晶パネル300bは、各液晶分子がほぼ同一方向に配向処理された偏光液晶層302を有している。すなわち、偏光液晶層302では液晶分子がツイスト配向処理されておらず、その代わり各液晶分子の長軸が偏光板133の偏光軸133aに対して直交する方向(矢印302a)に配向処理されている。
【0114】
このため偏光液晶層302は、その非電圧印加状態では各液晶分子の配向方向に振動する直線偏光L1だけを透過させ、これに直交する方向に振動する直線偏光L2を透過させない。したがって偏光液晶層302は、その非電圧印加状態では通常の液晶表示器における前面側の偏光板と同等の機能を果たすことができる。
【0115】
(14.液晶制御手段) 偏光液晶層302の電圧印加状態は、サブ制御基板222からの指令信号に基づいて表示制御基板226により制御されている。このとき表示制御基板226は、奥側の液晶層134とは別に偏光液晶層302への電圧印加状態を制御することができる。
【0116】
このため表示制御基板226は、通常どおり表示画面216上に画像を表示させる場合、前面側にある偏光液晶層302を非電圧印加状態としておき、その奥側にある液晶層134については、各画素について電圧印加状態を制御することができる。これにより、遊技者からは通常どおり可視画像として図柄等が視認されることになる。
【0117】
これに対し、サブ制御基板222からの指令に基づいて表示制御基板226が偏光液晶層302を電圧印加状態にすると、偏光液晶層302は偏光板としての機能を失い、それまで遮光していた直線偏光L2をそのまま透過させることになる。この場合、液晶層134から照射される直線偏光L1,L2は可視画像として視認されなくなり、代わりに白色光として透過されるので、遊技者からは、あたかも表示画面216が真っ白に消失したかのように視認される。
【0118】
この後の演出処理については、上記の偏光可動体232による視覚的な演出を採用することができる。すなわち、サブ制御基板222は上記の駆動装置233を作動させることで、先のサーチライト的な演出と同様の視覚的効果をもたらすことができる(図11中(b)を参照)。
【0119】
(15.その他の実施形態についての言及) 以上は第1および第2実施形態についての説明であるが、本発明の実施の形態がこれらに制約されることはない。以下に、その他の実施形態についていくつか例を挙げて言及する。
【0120】
(1)第1実施形態のスロットマシン1において、液晶発光体100により可視画像として表示される図柄の種類は1つである必要はなく、多種類の図柄が表示される態様であってもよい。
【0121】
(2)また第1実施形態のスロットマシン1において、遊技中に左リール10aを停止させて有効ライン上に偏光板保持窓17が停止すると、そこから改めて図柄が変動される態様であってもよい。
【0122】
(3)あるいは、偏光板保持窓17は3つのリール10a,10b,10cのいずれに設けられている態様であってもよいし、1つのリール10a,10b,10cについて複数箇所または複数図柄分にわたって偏光板保持窓17が形成されている態様であってもよい。
【0123】
(4)第2実施形態のパチンコ機201において、偏光可動体232が左右方向に移動するものを例に挙げているが、偏光可動体232は表示画面216の前面に沿って揺動される態様であってもよい。あるいは、1つの表示画面216について、複数の偏光可動体を用いて視覚的な演出動作が行われる態様であってもよいし、偏光可動体が前後方向に移動する態様であってもよい。
【0124】
(5)第2実施形態では、偏光可動体232による演出がサブ制御基板222の制御によって自動的に進行するものとなっているが、例えば演出ボタン210を遊技者が操作することによって、偏光可動体232による演出が開始される態様であってもよい。
【0125】
(6)また第2実施形態(図6,図11)において、遊技者が偏光板217を正面から見たときに、敢えて画像が上下方向や斜め方向等にずれて表示されるように制御すると、遊技者が図柄を正しく見ようとして積極的に自己の視点を調整する必要があるため、それだけ演出上の興趣が増す。
【符号の説明】
【0126】
1 スロットマシン 8 表示窓 10 リール装置 17 偏光板保持窓 17a 偏光板 56 サブ制御基板100 液晶発光体134 液晶層200 液晶発光体201 パチンコ機216 表示画面217 偏光板232 偏光可動体233 駆動装置234 フィルムユニット234a フィルム材300 液晶発光体302 偏光液晶層
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技の進行に関連して画像を表示する機能を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術の概要) この種の遊技機に関連する背景技術として、例えばスロットマシンのように筐体前面のほぼ中央位置に図柄表示器を備え、この図柄表示器による図柄の表示態様を変動および停止させて遊技を進行させる遊技機(ゲームマシン)が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
(背景技術の構成) この公知の遊技機は、図柄表示器として3つのリールを有しており、これらリールの外周面には、それぞれ周方向に所定の間隔を存して複数の図柄が設けられている。このうち1つのリール(外リール)には、1図柄分に相当する部位に開口窓が形成されており、この開口窓が有効化された入賞ライン上で停止すると、その内側で図柄を再変動させる「追加ゲーム」が行われるものとなっている。追加ゲームによる図柄の再変動は、例えばリールの内側で別のリール(内リール)を回転させたり、あるいは、開口窓の奥(リールの内周壁)に固定された液晶表示パネルによって図柄を変動表示させたりすることで行われる。
【0004】
このような公知の遊技機によれば、より多様な図柄表示態様によって追加ゲームを提供することができ、また遊技者は、追加ゲームによる興趣を享受することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2641767号公報(第5−6頁、図1、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、公知の遊技機のように外リールの内側にさらに別の内リールが設けられている場合、構造上、外リールの内側にバックライト等の発光機器を配置しにくくなってしまう。このため、バックライトを用いた停止図柄の点灯・点滅表示や、入賞図柄の点灯表示による演出を行うことができず、視覚的な演出効果に欠けるという問題がある。 また、リールの内周壁に液晶表示パネルが一体に取り付けられている場合(特許文献1の図7を参照)、リールに比較して液晶表示パネルの質量が大きく、その重心が回転中心から大きくずれてしまう。このため滑らかなリールの回転が得られず、機構的に動作が不安定になりやすいという問題もある。
【0007】
そこで本発明は、図柄表示態様の多様性を確保しつつ、構造的に演出機器類の配置が容易であり、また、機構的に安定した動作を確保することができる技術の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(基本的手段) 本発明では光学的な表示デバイスを用いて画像等を出力するとともに、この出力画像をあるときは実際の可視画像として表示し、またあるときは演出用の発光源として用いることができる。表示デバイスには、液晶層を介して照射される直線偏光を個々の画素として用いるものが好適である。すなわち、個々の画素となる直線偏光は、これらを偏光板に通したときに可視画像として肉眼で視認され、一方、偏光板に通さないときは単に光源として利用することができる。このため、何らかの画像を表示させるために液晶層への電圧印加状態を制御していても、直線偏光の照射先に偏光板を置くか置かないかの違いによって、その利用態様を容易に切り替えることができる。
【0009】
(解決手段1) より具体的な解決手段として、本発明の遊技機は、遊技機本体の前面側に形成されて所定の情報が表示される表示領域と、前記表示領域内に配設され、ツイスト配向型の液晶層を介して前面側へ直線偏光を照射する液晶発光体と、前記液晶層への電圧印加状態を制御することで前記液晶発光体からの直線偏光の照射状態を調整可能な液晶制御手段と、前記液晶層を介して照射される直線偏光を可視画像として透過させる偏光板を有し、この偏光板を前記液晶層の照射面の前面側で移動させることにより、遊技者からの直線偏光の視認状態を変化させる偏光可動体とを備える。
【0010】
上記の液晶発光体は、バックライトからの光を偏光板によって直線偏光とし、そして個々の画素に対応する直線偏光の振動面を液晶層への電圧印加状態に応じてツイスト方向に変位させているが、その照射先に偏光板が置かれていない状態では照射面全体が単なる発光体、つまり、発光源として視認される状態となる。一方、直線偏光の照射先に偏光板が置かれている状態では、個々の画素に対応する直線偏光が可視画像として視認される状態となる。
【0011】
したがって、偏光可動体により偏光板を移動させて液晶層の照射面の前面側に偏光板を出現させたり退避させたりすれば、表示領域内では偏光板の有無によって液晶発光体により可視画像を表示したり、演出用の装飾光を照射したりして、遊技者からの視認状態を変化させることができる。
【0012】
また、偏光板を透過して遊技者に可視画像が視認されている状態であっても、偏光板を照射面に対して前後・左右・上下・斜め等の方向に移動させることで、遊技者からみた可視画像の視認状態に立体的な変化を与えることができる。
【0013】
なお、上記の「ツイスト配向型の液晶層」には、例えばツイストネマティック(TN)型やSTN型、TSTN型、FSTN型等の各種の液晶層が含まれる。
【0014】
(解決手段2) 上記の解決手段1において、本発明の遊技機は前記液晶層と前記偏光可動体との間に配設され、各液晶分子が前記偏光板の偏光軸に対して直交する方向に配向された偏光液晶層をさらに備えており、前記液晶制御手段は、前記液晶層とは別に前記偏光液晶層への電圧印加状態を制御することで、前記偏光液晶層を偏光状態または非偏光状態に切り替えることができる。
【0015】
液晶発光体の液晶層とは異なり、上記の偏光液晶層はツイスト配向処理がされておらず、その各液晶分子は、偏光板の偏光軸と直交する方向に配向されている。この場合、偏光液晶層は、電圧が印加されていない状態で前面側の偏光板と同じ機能を果たし、逆に電圧印加状態では単なる透明板となる。したがって、通常は偏光液晶層を非電圧印加状態(ノーマル)にして液晶発光体を表示デバイスとして利用しておき、特定の演出タイミング等で偏光液晶層を電圧印加状態に切り替えれば、瞬時に画像が消失(例えばホワイトアウト)するといった演出を行うことができる。この場合であっても、液晶発光体の前面側に偏光板を移動させることで、解決手段1と同様に可視画像を表示させることができる。
【0016】
(解決手段3) 上記の解決手段1,2において、前記偏光可動体は、前記液晶発光体の周囲にて回転可能に配置され、外周面に図柄列が付されたリール本体と、前記リール本体のうち前記図柄列の一部を構成する部位に開口して形成され、この開口内で前記偏光板を保持することにより、前記偏光板を通じて前面側から前記液晶発光体を視認可能とする偏光板保持窓とを含む態様であってもよい。
【0017】
解決手段3の態様は、例えば機械的な図柄表示部を有した回胴式遊技機に好適する。すなわち、液晶発光体はリール本体の内周に配置されているため、通常はそこから照射される直線偏光をバックライトとして利用することができる。一方、リール本体の回転に伴って偏光板保持窓が液晶発光体の前面側を通過すると、その偏光板を通じて遊技者から視認可能な画像を表示させることができる。
【0018】
この場合、液晶制御手段は、特定種類の図柄を表示させるべく液晶層への電圧印加状態を固定パターンで制御しているだけでもよい。すなわち、液晶発光体の前面側を偏光板保持窓が通過していない間は、液晶発光体から照射される直線偏光が単なるRGB混合による白色光(ノーマリホワイト液晶の場合)となり、これをそのままバックライトとして利用できるので、偏光板保持窓が液晶発光体の前面側を通過するタイミングを検出して液晶層への電圧印加状態を変えるといった複雑な制御を行う必要がない。
【0019】
これに対し、通常の液晶表示装置を用いた場合、常に画像を表示したままにしていると、開口窓以外の部位が液晶表示装置の前面側を通過したときに画像の発光色や輪郭線等が透けてみるため遊技者に図柄の存在を悟られてしまう。これを防止するためには、リールの回転中に開口窓の位置を検出し、窓以外の部位が液晶表示装置の前面側を通過するタイミングで画面を真っ白に発光させ、開口窓が通過するタイミングで図柄の画像を表示させるといった複雑な制御が必要となる。
【0020】
なお本発明では、リール本体と液晶発光体とは別体構造であるため、リール本体の重心位置が大きくずれるようなことはない。
【0021】
(解決手段4) あるいは、上記の解決手段1,2において、本発明の遊技機は前記液晶発光体と前記偏光可動体との間の位置に設けられ、前記液晶層を介して照射される直線偏光を可視画像として透過させる偏光領域を有した光透過性部材と、前記液晶発光体の前面に沿って前記光透過性部材を移動させることで、前記偏光領域により前記液晶発光体の前面側を覆う第1位置と、この前面側から前記偏光領域を退避させた第2位置との間にて交互に変位させる駆動手段とをさらに備えることもできる。
【0022】
上記の液晶発光体は、その表示面となる前面側に偏光板が設けられていないことから、これを通常の表示デバイスとして利用するには、その前面側を全体的にカバーする偏光板(または偏光板と同等のもの)が必要となる。このため解決手段4では、光透過性部材を液晶発光体の前面側に配置し、その偏光領域(偏光板と同等のもの)により液晶発光体の前面側を覆うことで、通常の表示デバイスとしての利用態様を実現している。
【0023】
この場合、遊技機による遊技の進行に伴い、例えば液晶発光体を通常の図柄表示器として活用することができるが、特定の演出タイミングで、駆動手段により光透過性部材を第2位置に変位させれば、そこで画像が消失したかのような演出を実現することができる。
【0024】
(解決手段5) 上記の解決手段4において、前記駆動手段により前記光透過性部材が前記第2位置に変位された状態で、前記偏光可動体を動作させる可動体制御手段をさらに備える態様が好ましい。
【0025】
この場合、上記のように液晶発光体から画像を消失させる演出を行った状態で、これに続いて液晶発光体の前面側で偏光板を移動させれば、引き続き遊技者は偏光板を通して画像を視認することができる。このとき、液晶発光体の前面に対して偏光板の大きさが充分に小さければ、遊技者は偏光板が移動する軌跡に沿って部分的に画像を視認することになるので、そこに視覚的な面白みを付加することができる。また、液晶発光体の前面からある程度の間隔を存して偏光板が配置されていれば、偏光板を通して視認できる画像に視覚的な奥行きをもたせることができるし、液晶発光体に対してほぼ正面の方向以外からは画像が視認しにくくなるので、周囲の遊技者(他人)から画像を覗き見されにくくなる。 あるいは、液晶発光体の前面に対して偏光板の大きさが充分に小さい場合、液晶発光体の前面からある程度の間隔を存して偏光板を配置しておき、遊技者
が偏光板を正面視したときに敢えて画像の表示位置が上下・左右・斜め方向等へ少しずれるようにすると、遊技者が積極的に自己の視点を調整する必要があるため、それだけ興趣が増す。
【発明の効果】
【0026】
本発明の遊技機は、図柄表示部による演出効果を大きく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態となるスロットマシンの正面図である。
【図2】スロットマシンの制御構成を概略的に示した図である。
【図3】リール装置を概略的に示した斜視図である。
【図4】液晶発光体の構造を模式的に示した図である。
【図5】第2実施形態となるパチンコ機の正面図である。
【図6】センター役物と液晶発光体等との配置関係を示した斜視図である。
【図7】センター役物、液晶発光体等の右側面図である。
【図8】パチンコ機の制御構成を概略的に示した図である。
【図9】図柄変動による演出表示の例を示した連続図である。
【図10】図9に続いて行われる演出表示の例を示した連続図である。
【図11】第2実施形態について、図6と異なる構造の液晶発光体を用いた構成例を示した図である。
【図12】液晶発光体の構造を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、例えば回胴式遊技機や弾球式遊技機として好ましい実施の形態をとることができる。以下、本発明を回胴式遊技機および弾球式遊技機に適用した実施形態(第1,第2)について、次に掲げる項目に沿って各対応図面を参照しながら説明する。
【0029】
A.第1実施形態 1.第1実施形態の概要(図1) 2.スロットマシンの内部構成(図2) 3.リール装置(図3) 4.液晶発光体 4−1.液晶発光体の構造 4−2.液晶発光体の応用例 4−3.偏光可動体(図2) 4−4.液晶制御手段 4−5.具体的構造(図4) B.第2実施形態 5.第2実施形態の概要(図5) 6.センター役物 7.表示領域 8.液晶発光体(図6) 9.偏光可動体 10.光透過性部材 10−1.偏光領域 10−2.各部の配置関係(図7) 11.パチンコ機の制御構成(図8) 12.動作例 12−1.液晶制御手段 12−2.駆動手段(図9〜図10) 12−3.可動体制御手段(図10) 13.偏光液晶層(図11〜図12) 14.液晶制御手段(図11) 15.その他の実施形態についての言及
【0030】
A.第1実施形態 (1.第1実施形態の概要) 図1は、第1実施形態の回胴式遊技機となるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
【0031】
図1のスロットマシン1は箱形の筐体2を備え、この筐体2をベースとして遊技場の島設備に複数台が並んだ状態で設置される。通常は台間サンドとしてメダル等の貸出機が設置されており、遊技者は台間サンドに現金やプリペイドカード等を投入してメダル等の貸出を受けることができる。
【0032】
筐体2は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4は一側端(この例では左側端)を中心として手前に開くことができる。前面扉4はその中程の位置に平坦な透明板6を有しており、その中央に表示領域の一例として矩形の表示窓8が形成されている。第1実施形態のスロットマシン1は、表示領域(表示窓8)内で図柄表示を行うために機械的な図柄表示装置(リール装置)を備えている。この図柄表示装置は例えば3つのリール(左リール、中リール、右リール)10a,10b,10cを装備しており、これらリール10a,10b,10cは前面扉4の奥、つまり、筐体2の内部に配置されている。
【0033】
各リール10b,10cの外周にはそれぞれリール帯が張り巡らされており、その表面に各種の図柄が列をなすように付されている。図1には一部のものだけが示されているが、図柄には例えば、数字や文字、ベル、スイカ、リンゴ、チェリー等を図案化したもの、あるいは、スロットマシン1の機種を特徴付けるキャラクターや図形、記号等を図案化したもの等が含まれている。
【0034】
スロットマシン1はこれらリール10a,10b,10cを回転または停止させることで、図柄の表示態様を変動させたり停止させたりすることができる。なお、スロットマシン1の前面からは、表示窓8を透かしてリール10a,10b,10cの一部のみが視認可能であり、その停止時には各リール10a,10b,10cにつき、縦方向に3つの図柄が有効に表示されるものとなっている。
【0035】
透明板6のうち、表示窓8の両脇にはそれぞれ点灯表示部12,14が形成されており、これら点灯表示部12,14には各種の文字情報や図柄情報が所定の配列で付されている。透明板6の背後には図示しないランプユニットが配置されており、点灯表示部12,14内の情報はランプの光を透過することで点灯表示される。例えば、最初に遊技者がメダル投入口15を通じてメダルを投入すると、その投入枚数に応じてメダルの掛け数、つまりベット数が加算され、これに合わせて左側の点灯表示部12ではベット数に対応した有効ラインランプが点灯表示される。このとき、スロットマシン1においてメダル受入動作がクレジットモードであれば、最大ベット数(例えば3ベット)を超えて投入されたメダルがクレジットとして貯留され、そのクレジット数は表示部16に数値表示される。
【0036】
上記のクレジットは、例えば最大で50まで貯留することができ、1回のゲームを終えた後に充分なクレジットの残りがあれば、その分を次回のベットに回すことができる。ベット数の選択はベットボタン18,20,22を操作することで行い、これらベットボタン18,20,22はそれぞれシングルベット(1枚掛け)、2ベット(2枚掛け)、MAXベット(3枚掛け)に対応する。
【0037】
いずれにしても、遊技者が1ゲームごとのベット数を決め、有効ラインランプが点灯表示された状態で始動レバー24を操作すると、リール10a,10b,10cが回転し始めて図柄が変動する。さらに遊技者が停止ボタン26,28,30を操作すると、右・中・左のそれぞれに対応するリール10a,10b,10cが回転を停止して図柄の変動が停止する。このとき有効化されている入賞ライン上にある図柄の組み合わせから入賞の有無が判断され、入賞があった場合は入賞図柄の種類(例えばボーナス図柄、小役図柄、リプレイ図柄等)に応じて入賞特典が与えられて1回のゲームが終了する。
【0038】
なお、メダルの払い出しを伴う入賞(例えば小役入賞、ボーナス入賞)があった場合は払出枚数が表示部32に表示され、上記のクレジットモードであれば、払い出されたメダルは表示部16のクレジットに加算して貯留される。このとき払い出されたメダルのうち、最大クレジット数を超えた分のメダルは払出口36を通じて受け皿38に払い出される。また遊技者は、精算ボタン40を操作することでクレジットモードを解除し、メダルの貯留(クレジット)を精算することも可能である。
【0039】
第1実施形態のスロットマシン1は、表示窓8の上方に液晶表示器42を有しており、この液晶表示器42には、遊技の進行に伴う演出のための映像や各種ボーナスゲームでの獲得メダル枚数等が表示されるものとなっている。また、払出口36の左右には2個のスピーカ44が設けられており、これらスピーカ44からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。その他、前面扉4には各所にランプ45,46,48が配置されており、これらランプ45,46,48は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。
【0040】
(2.スロットマシンの内部構成) 図2は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1はその遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板50を有しており、このメイン制御基板50にはCPUをはじめROM、RAM、入出力インタフェース等(全ては図示されていない)が実装されている。
【0041】
上述したベットボタン18,20,22や始動レバー24、停止ボタン26,28,30、精算ボタン40等はいずれもメイン制御基板50に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、その操作信号をメイン制御基板50に出力することができる。
【0042】
また筐体2にはメイン制御基板50とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板50に各種の信号が入力されている。機器類には、上記3つのリール10a〜10cを擁するリール装置10のほか、メダルセレクタ52やホッパ装置54等がある。
【0043】
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ(図示していない)を有しており、これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板50に入力されている。またメダルセレクタ52はメダル投入口15から投入されたメダルを1枚ずつ検出し、その検出信号(投入メダル信号)をメイン制御基板50に出力する。ホッパ装置54は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ(図示していない)を有しており、この払出センサからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板50に入力されている。
【0044】
一方、メイン制御基板50からは、リール装置10やホッパ装置54に対して制御信号が出力される。すなわち、リール装置10は各リール10a,10b,10cを回転させるためのステッピングモータ(図示していない)を内蔵しており、これらステッピングモータの起動および停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板50から出力される。またホッパ装置54には、入賞した図柄の種類に応じてメイン制御基板50から払出コマンドが入力され、この払出コマンドに基づいてホッパ装置54はメダルの払い出し動作を行う。
【0045】
スロットマシン1は、メイン制御基板50の他にサブ制御基板56を備えており、このサブ制御基板56にはCPUやROM、RAM、インタフェース、VDP、音源IC、オーディオアンプ等(全ては図示されていない)が実装されている。サブ制御基板56はメイン制御基板50から各種の指令信号を受け、液晶表示器42や表示部16,32,34、スピーカ44の作動を制御するほか、ランプ45,46,48の点灯または点滅を制御している。
【0046】
さらに、メイン制御基板50には外部端子基板58が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子基板58を介して遊技場のホールコンピュータ60に接続されている。外部端子基板58はメイン制御基板50から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ60に中継している。
【0047】
その他、筐体2の内部には電源ユニット62が収容されており、この電源ユニット62は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット62から各ユニットに供給されている。
【0048】
また電源ユニット62には、電源スイッチ64や設定キースイッチ66、リセットスイッチ68等が付属している。これらスイッチ類はいずれも筐体2の外側に露出しておらず、その前面扉4を開くことで始めて操作可能となる。このうち電源スイッチ64は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ66はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ68はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、さらには設定キースイッチ66とともに設定を
変更する際にも操作される。
【0049】
(3.リール装置) 図3は、3つのリール10a,10b,10cを含むリール装置10の構成を概略的に示している。リール装置10は、3つのリール10a,10b,10cを一体に備えたユニットとして筐体2の内部に収容されており、このリール装置10は筐体2の前面扉4を開くと手前側に露出される。
【0050】
図3には示されていないが、各リール10a,10b,10cは、その回転中心にハブ部が形成されていて、このハブ部から放射状に延びるスポークとリムによって構成されているタイプが標準的である。また、ハブ部には通常、駆動源としてモータ(ステッピングモータ)が取り付けられており、各リール10a,10b,10cはステッピングモータによって直接駆動される。
【0051】
その他に、例えば2点鎖線で示されているように、各リール10a,10b,10cの外周がローラ10dによって保持されている態様であってもよい。この場合、各リール10a,10b,10cの中心には上記のハブ部が形成されておらず、代わりにリール内周にリングギヤ(図示していない)が形成されていて、このリングギヤと噛み合う駆動ギヤ10eによって各リール10a,10b,10cが駆動される。
【0052】
(4.液晶発光体) 第1実施形態では、リール10a,10b,10cの内側にそれぞれ液晶発光体100が配設されている。個々の液晶発光体100は矩形をなし、各リール10a,10b,10cの内周面に沿って縦長に配置されている。液晶発光体100の横幅は各リール10a,10b,10cの幅とほぼ同じかそれ以上とすることができる。なお、各リール10a,10b,10cについて、上記の駆動ギヤ10eによる駆動態様を採用している場合、3つの液晶発光体100を一体にして形成することもできる。
【0053】
(4−1.液晶発光体の構造) 第1実施形態の液晶発光体100は、例えばアクティブマトリクス型、単純マトリクス型液晶表示器等の通常の液晶表示器について、その前面側にある偏光板を取り除いたものと同等の構造を有している。すなわち、通常の液晶表示器であれば、例えば90°にツイスト配向処理された液晶層が一対のガラス基板の間に挟み込まれるようにして形成されており、その両側に1枚ずつ偏光板が配設されている。このうち、視認者からみて奥側に位置する偏光板はバックライト等の光を直線偏光にして透過させるので、例えば液晶層が非電圧印加状態にあるとき、その表示面を白く発光させることができる(ノーマリホワイト型の場合)。実際には、表示面内の個々の画素に対応する液晶層ごとに電圧印加状態が制御されることで、表示面上に何らかの可視画像が表示される。
【0054】
これに対し、第1実施形態の液晶発光体100は、上記の表示面に相当する前面側の偏光板が設けられていない構造を有している。このため、何らかの画像(例えば特定種類の図柄)を表示するために個々の画素に対応する液晶層への電圧印加状態が制御されていても、肉眼では直線偏光が白色光としか視認されない。その一方で、液晶発光体100の前面側に偏光板(奥側の偏光板に対して偏光軸を直交させたもの)を配置させると、そこで直線偏光が可視画像として透過されるため、偏光板を通したときだけ画像を視認させることができる。
【0055】
(4−2.液晶発光体の応用例) 上記の特性を利用して、第1実施形態では液晶発光体100をリール装置10のバックライトとして機能させたり、図柄を表示させる用途に用いたりすることができる。
【0056】
(4−3.偏光可動体) 具体的には、3つのリール10a,10b,10cのうち左リール10aに偏光板保持窓17が形成されており、この偏光板保持窓17は、例えばリール10aの図柄列中で図柄1つ分に相当する部位を開口することで形成されている。そして、この開口部分に偏光板17aが保持されているため、偏光板保持窓17が液晶発光体100の前面側で停止し、あるいは前面側を通過すると、その偏光板17aを通じてリール10aの奥にある液晶発光体100を視認可能となる。
【0057】
一方、リール10aにおいて偏光板保持窓17が形成されていない部分は、通常の偏光機能を有していない光透過性の部材で構成されており、それゆえ液晶発光体100から照射された直線偏光はそのまま白色光として透過される。
【0058】
このため図3に示されているように、リール10aの周方向でみて偏光板保持窓17が形成されていない範囲A1,A2では、液晶発光体100の前面側から照射される直線偏光がそのまま白色のバックライトとして透過される。一方、偏光板保持窓17が形成されている範囲Bでは、液晶発光体100から照射される直線偏光が可視画像(例えばチェリーの図柄)として遊技者に視認されることになる。
【0059】
また、リール10aの回転に伴い、偏光板保持窓17が液晶発光体100の前面から退避した位置に移動すると、液晶発光体100の前面側でその全ての範囲(A1,B,A2)で直線偏光が白色のバックライトとして透過されることになる。
【0060】
なお、リール10aの構造上、偏光板保持窓17の部分がその他の部分に比較して僅かに重くなるようであれば、周方向でみてリール帯の合わせ目(巻き始めと巻き終わりがラップする部分)の反対側に偏光板保持窓17を設ければよい。これにより、リール10aの重量バランス(回転バランス)を良好に保つことができる。
【0061】
(4−4.液晶制御手段) 第1実施形態では、液晶発光体100による表示動作の制御、つまり個々の画素に対応する液晶層への電圧印加状態の制御は、上記のサブ制御基板56により行うことができる。このときサブ制御基板56は、液晶発光体100について、特にリール10aの回転角度に同期して図柄の表示・非表示を切り替える制御を行う必要がない。すなわち、遊技者は偏光板保持窓17が液晶発光体100の前面位置を通過するときだけ図柄を視認することができ、それ以外のタイミングでは、これを単にバックライトとして視認することができる。
【0062】
したがってサブ制御基板56は、液晶発光体100について、常に特定種類の図柄を表示させる制御を行っているだけであっても、あとはリール10aの回転に伴って勝手に遊技者から図柄が視認されたり、単なるバックライトになったりするため、特に偏光板保持窓17の位置を検出して表示を切り替えるといった制御を必要としない。
【0063】
なお図3には、上下方向でみて液晶発光体100の中央位置(表示窓8の中段位置)にだけ図柄「チェリー」が描かれているが、これは偏光板保持窓17以外の部分では画像が視認できないからである。したがって、実際の制御上は上・中・下段の各位置に対応して液晶発光体100に3つの図柄「チェリー」が表示されており、偏光板保持窓17が上段または下段の有効ライン上で停止した場合、各停止位置で遊技者から図柄「チェリー」が視認される。
【0064】
これとは逆に、液晶発光体100には1図柄だけを表示しておき、偏光板保持窓17の移動に合わせて図柄の表示画像を移動させる制御を行うこともできる。この場合、例えばリール10aの回転によって偏光板保持窓17が液晶発光体100の前面を通過し始めると、このタイミングでインデックス信号が出力されるように設定しておけば、あとはインデックス信号を拾ったときに、リール10aの回転速度に合わせて図柄の表示画像を回転方向に移動させる制御を行うだけでよいため、比較的簡単な制御内容で済む。
【0065】
さらに、第1実施形態ではリール10aの内周面から離隔した位置に液晶発光体100が配置されているため、偏光板保持窓17と液晶発光体100の前面との間にある程度の距離が確保されている。この場合、遊技者が偏光板保持窓17を通じて図柄を視認した際に、画像に奥行きを感じるという視覚的な効果が得られる。
【0066】
(4−5.具体的構造) 図4は、液晶発光体100の構造を模式的に示している。液晶発光体100は、その裏面側に配設された光拡散板131を有しており、この光拡散板131は図示しない光源の光を拡散させている。また光拡散板131の手前側に向かって、順に偏光板133、ガラス基板132、液晶層134およびガラス基板132が重ね合わせられるようにして配設されている。なお液晶発光体100には、この他にも透明電極やカラーフィルタ等が用いられているが、これらは公知のものを適用できるため図示を省略する。
【0067】
上記のように、第1実施形態の液晶発光体100では、その表示面となる前面側に偏光板が設けられていない。このため液晶発光体100は、光拡散板131からの光を偏光板133によって直線偏光Lとして透過させ、この直線偏光を液晶層134に入射させる。液晶層134は、その非電圧印加状態では各液晶分子のツイスト方向に沿って直線偏光Lの振動面をねじり変位させ、その変位後の直線偏光Lを遊技者の視点に向けて照射させる構成となっている。またいうまでもなく、液晶層134が電圧印加状態にあると、偏光板133から照射された直線偏光Lは、その振動面を変位させることなくそのまま透過する。
【0068】
いずれにしても、液晶発光体100の前面には偏光板が設けられていないため、遊技者からは個々の画素に対応する直線偏光Lの集合が白色光として視認されるにとどまる。この状態で、上記の偏光板17aが液晶発光体100の前面側に位置付けられると、その直線偏光Lが可視画像(図柄)として視認されるものとなっている。
【0069】
上記の第1実施形態では、リール10a(偏光板保持窓17)の回転位置を検出しながら液晶発光体100による表示制御を細かく行う必要がないことから、サブ制御基板56による制御構成を簡素化することができる。また、このように図柄の表示制御を簡素化しつつ、遊技者から視認される図柄に奥行き感を持たせることで、視覚的な効果を高めることができる。
【0070】
B.第2実施形態 次に、本発明をパチンコ機に適用した第2実施形態について説明する。
【0071】
(5.第2実施形態の概要) 図5は、本発明の第2実施形態としての遊技機が適用されたパチンコ機201の構成例を示している。このパチンコ機201は、木製の外枠を外形のベースとして構成され、その内側に木枠や前面枠、ガラス枠等の枠体が装着されている。このうち、基枠には遊技盤202が着脱可能に嵌め込まれており、その前面にほぼ円形の遊技領域が形成されている、遊技盤202には、多数の誘導釘(図示されていない)が所定のゲージ配列で打設されているほか、風車や各種入賞口、装飾ランプ等が盤面構成要素として配設されている(いずれも参照符号なし)。
【0072】
また、パチンコ機201の前面には遊技球を容れるための上皿204および下皿206が設けられているほか、その右下隅位置には上皿204に収容された遊技球を順次発射させるための発射ハンドル208が設けられている。また上皿204の左側位置には、遊技者が適宜プッシュ操作できる演出ボタン210が配置されている。その他、パチンコ機201の前面(ガラス枠)には多数の枠ランプが装飾的に配置されるほか、遊技の進行に伴い音響出力を行うためのスピーカ装置が設置されている(いずれも参照符号なし)。
【0073】
パチンコ機201の裏面側には、各種の基板ボックスをはじめとする電子機器類や裏セット等の機構部品等が配置されている。また、パチンコ機201は通常、遊技場の島設備に複数台が横方向に並べて設置されており、その台間サンドとしてカードユニット(CR機の場合)が設けられている。
【0074】
(6.センター役物) 遊技領域のほぼ中央位置には、ひときわ目を引くセンター役物214が設けられており、このセンター役物214の形態・構成によりパチンコ機201のゲーム性が特徴づけられている。センター役物214は額縁形状に成形された装飾体からなり、その外面にはゲーム内容をコンセプトとしてデザインされた装飾が施されている。またセンター役物214は光透過性の樹脂成型品から構成されており
、その内部に装飾LEDが各所に配置されている。それゆえパチンコ機201による遊技の進行に伴いい、センター役物214では装飾LEDを用いた発光による演出が行われるものとなっている。
【0075】
またセンター役物214は装飾体としての機能のほかに、遊技領域内に発射されてきた遊技球を左右に振り分け、その動きに変化を与える働きをする。また、センター役物214の下縁部には球ステージ214aが形成されており、また、その左右側縁部には図示しないワープ通路が形成されており。このワープ通路を通じて取り込まれた遊技球は球ステージ214a上に誘導され、そこで一時的に滞留しながら動きに変化が与えられる。
【0076】
(7.表示領域) 上記のセンター役物214内には、第2実施形態において表示領域を構成する表示画面216が配置されており、この表示画面216はちょうど前面側の遊技者から視認しやすい位置にある。また表示画面216では、例えば始動入賞口への入賞を契機として表示内容が変化し、このとき画面上にて特別図柄の変動を表す画像が表示される。特別図柄は一定時間にわたって変動した後に停止し、このとき所定の図柄表示態様(例えば同種の図柄が3つ揃った表示態様)になると大当たりになり、パチンコ機201において特別な遊技状態に移行する。
【0077】
特別遊技状態としての大当たりに移行すると、表示画面216による表示内容が大当たり中のラウンド表示に切り替わり、そこでラウンド演出(入賞個数のカウント表示や継続ラウンド回数等)が実行される。さらに大当たり後の特典遊技(いわゆる「確変」,「時短」等)に移行すると、それぞれ特典遊技中である旨の情報(「確変中」「時短中」)等が表示される場合もある。
【0078】
その他にも、表示画面216にはゲート口の通過を契機として普通図柄の変動および停止が表示される。あるいは、パチンコ機201がしばらくの間、遊技者の待ち受け状態になると、表示画面216において機種名やメーカー名を用いたデモンストレーション表示を行うこともできる。
【0079】
(8.液晶発光体) 図6は、上記のセンター役物214に関する構成例を具体的に示している。センター役物214の背後(遊技盤の裏側)には、上記の表示画面216を有する液晶発光体200が配設されており、この液晶発光体200もまた第1実施形態の液晶発光体と同等の構造を有している。第2実施形態の液晶発光体200は、センター役物214の形態に合わせて横長の表示面を有しており、この表示面がセンター役物214の内側に嵌め込まれた状態で遊技者にほぼ正対する。
【0080】
(9.偏光可動体) 第2実施形態の場合、センター役物214の左側縁部に縦長のスリット部214bが形成されており、このスリット部214bはセンター役物214の左側縁部を横方向に貫通している。またスリット部214bは、センター役物214の左側縁部から上縁部にまで回り込むようにして形成されており(詳しく図示されていない)、この上縁部においてスリット部214bは、右側縁部の直前まで到達している。それゆえセンター役物214の上縁部および左側縁部は、スリット部214bによって前後方向に分割された構造となっている。
【0081】
センター役物214には、上記のスリット部214bを通じて駆動される偏光可動体232が付設されている。この偏光可動体232は、正面からみてちょうど虫眼鏡を逆さにしたような格好をなしており、特に虫眼鏡のレンズに相当する部分に円形の偏光板217が嵌め込まれている。
【0082】
一方、センター役物214の上方には、遊技盤の背後に隠れる位置に駆動装置233が配設されている。この駆動装置233は、モータ233aおよび無端状の駆動ベルト233bを有しており、上記の偏光可動体232は、その柄の先端に相当する部分が駆動ベルト233bに接続されている。モータ233aはその駆動軸が下向きとなる姿勢で保持されており、その先端部に無端状の駆動ベルト233bが巻き掛けられている。駆動装置233は遊技盤面に沿って左右方向に長く延びており、上記の駆動ベルト233bは駆動装置233内に収容された状態で、長円形状に巻回されている。このためモータ233aが両方向に回転されると、これに合わせて駆動ベルト233bが左右方向に走行し、偏光可動体232をセンター役物214内で左右方向に移動させることができる。
【0083】
(10.光透過性部材) またセンター役物214の後方には、液晶発光体200の前面側で、駆動装置233よりも後側の位置にフィルムユニット234が配置されている。フィルムユニット234は長尺なフィルム材234aを有し、このフィルム材234aは上下でそれぞれ駆動ローラ234b,234cに巻き掛けられている。これら上下の駆動ローラ234b,234cは、液晶発光体200を挟んで上下に離隔して配置されており、その間にフィルム材234aの走行経路を形成している。走行経路は液晶発光体200の前面側を上下方向に延びており、この走行経路上にてフィルム材234aは液晶発光体200の前面を全体的に覆っている。
【0084】
また上下の駆動ローラ234b,234cには、それぞれモータ234dが取り付けられており、フィルムユニット234は、これらモータ234dを両方向に回転させることで長尺なフィルム材234aを上下方向に走行させることができる。
【0085】
(10−1.偏光領域) 長尺なフィルム材234aはその母材が透明フィルムから構成されており、さらに、その長手方向の一部に偏光フィルタ領域Fおよび装飾領域Dが相隣接して形成されている。また、これら偏光フィルタ領域Fおよび装飾領域Dは、いずれも液晶発光体200の前面(表示面)を覆い隠すことができる大きさを有している。
【0086】
ここで、第2実施形態の液晶発光体200もまた、その液晶層の前面側に偏光板が配置されていない構造を有する。このため、そのままでは表示画面216上に可視画像が表示されないが、上記の偏光フィルタ領域Fは、液晶発光体200から照射される直線偏光を可視画像として透過させることができる。したがって第2実施形態では、偏光フィルタ領域Fを液晶発光体200、つまりその表示画面216の前面側に位置させることで、液晶発光体200を通常の図柄表示装置として利用することができるものとなっている。
【0087】
なお、もう一方の装飾領域Dには装飾的な図柄印刷(またはシール貼着)が施されており、この装飾領域Dが液晶発光体200の前面側に位置付けられると、そこから照射される直線偏光が遮蔽される代わりに、装飾領域Dの図柄が表示されるものとなっている。
【0088】
(10−2.各部の配置関係) 図7は、センター役物214の周辺における各部の配置関係を示している。上記の駆動装置233はセンター役物214の上方に位置し、そこから偏光可動体232がスリット部214bを通じてセンター役物214の内部に進入可能となっている。
【0089】
フィルムユニット234については、実際のレイアウト上の制約から上側の駆動ローラ234bが液晶発光体200の直上に配置されているが、下側の駆動ローラ234cはセンター役物214の下方に配置されている。この状態で、フィルム材234aは液晶発光体200の直前を上下方向に延びており、それゆえ遊技者からは、フィルム材234aが表示画面216とほぼ同じ位置にあるものとして視認される。
【0090】
これに対し、偏光可動体232は液晶発光体200の前面、つまり表示画面216から前方へ一定の間隔を存して離れた位置にあり、駆動装置233の作動時に偏光可動体232は表示画面216から一定の距離を置いて左右方向に移動するものとなっている。
【0091】
(11.パチンコ機の制御構成) 図8は、パチンコ機201の制御構成を概略的に示している。パチンコ機201はメイン制御基板220およびサブ制御基板222を備え、これら基板220,222はいずれもCPUをはじめROM,RAM等を有している。またメイン制御基板220とサブ制御基板222とが互いに配線を通じて接続されているほか、各基板にそれぞれ付随して電子機器類が接続されている。
【0092】
このうちメイン制御基板220には入賞スイッチ224が接続されており、この入賞スイッチ224は、遊技中に始動入賞口への入賞があると、その検出信号をメイン制御基板220に出力する。
【0093】
またサブ制御基板222には、表示制御基板226を介して上記の液晶発光体200が接続されており、表示制御基板226は、サブ制御基板222から送信される表示コマンドに基づき、液晶発光体200に対する描画コマンドを出力することができる。さらに、サブ制御基板222にはアンプ基板228を介してスピーカ装置230が接続されているほか、図示しないアンプ中継基板等を介して装飾ランプ/LED等が接続されている。一方、上記の演出ボタン210はサブ制御基板222に接続されており、そのプッシュ操作があった場合に操作信号をサブ制御基板222に出力する。
【0094】
またサブ制御基板222には、上記の駆動装置233およびフィルムユニット234が接続されており、これらのモータ233a,234dはサブ制御基板222からの制御信号に基づいて回転を制御されている。
【0095】
図8には示されていないが、メイン制御基板220には払出制御基板が接続されており、この払出制御基板は図示しない賞球装置の作動を制御する。払出制御基板にはさらに発射制御基板が接続されており、この発射制御基板は図示しない発射モータの作動を制御している。パチンコ機201には、その他にも電源ユニット基板やインタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、これらについてはいずれも公知のものを適用できるため、図示とともにその説明を省略する。
【0096】
(12.動作例) 次に第2実施形態のパチンコ機201による動作例について説明する。 パチンコ機201における遊技は、遊技領域に向けて発射された遊技球が各種の入賞口・ゲート等に入賞したり通過することで具体的に進行する。例えば、上記のように遊技球が始動入賞口に入賞すると、その検出信号が入賞スイッチ224からメイン制御基板220に入力される。これを契機としてメイン制御基板220のCPU(以下、「メインCPU」と呼称する。)がプログラム上で乱数を取得し、このときの乱数値が所定のあたり値に該当していると、表示画面216によるリーチ演出や図柄表示演出等を経て大当たりとなる。
【0097】
(12−1.液晶制御手段) また、始動入賞口への入賞が検出されると、そのとき行われた抽選結果に基づいてメイン制御基板220からサブ制御基板222に変動パターン番号と最終停止図柄を表す変動パターンコマンドが送信される。このうち変動パターンコマンドには、リーチ演出をはじめとする各種の演出情報が含まれており、例えばリーチ演出を行った後にハズレの態様で図柄の組み合わせを表示したりする場合、これら一連の演出情報が変動パターンコマンドによってサブ制御基板222に指示される。
【0098】
サブ制御基板222のCPU(以下、「サブCPU」と称呼する。)は受け取った変動パターンコマンドに基づいて表示画面216上での出力画像を制御するため、予め決められた演出パターンにしたがって表示コマンドを生成し、これを表示制御基板226に出力する。
【0099】
本実施形態においては、遊技中にサブCPUが受け取った変動パターン番号や変動パターンコマンド(以下、これらをまとめて「変動パターン信号」と総称する。)に基づいて処理・判断を行い、大当たりへの信頼度が高い場合等において各種の演出を行うことができる。
【0100】
例えば、ある時点でサブ制御基板222が受け取った変動パターン信号を解釈した結果、その内容が大当たりであったとすると、図柄変動中にリーチ演出を行うことで、その間に大当たりへの期待感を高めることができる。このようなリーチ演出はさらに、通常図柄か確変図柄下によって内容を異ならせることができ、遊技者にとっ
てより有利な状況であるほど、その演出内容に凝るといった味付けをすることもできる。
【0101】
さらに、図柄変動中に始動入賞口への入賞が重なって、いわゆる保留状態(変動開始待ち)になっている場合、現在保留されている変動パターン信号中(例えば保留4つ目)に大当たりがあると判断すると、サブ制御基板222は図柄の変動表示を繰り返しながら大当たりに近づいていく予告演出(いわゆる連続予告)を指示することもできる。
【0102】
第2実施形態では、このようなリーチ演出に関連して上記の駆動装置233およびフィルムユニット234をそれぞれ作動させることで、視覚的な演出効果を高めることができ、以下にその演出例について説明する。
【0103】
(12−2.駆動手段) 図9は、表示画面216における図柄の変動表示過程の例を示している。例えば、リーチ演出による変動表示が行われる場合、先ず図9中(a)に示されるように、左側と右側の変動ライン上で同じ種類の図柄が停止し、残った中央の図柄の変動表示が継続されている。この時点で、表示画面216は偏光フィルタ領域Fに覆われた状態にあるため(第1位置)、遊技者からは通常どおり図柄の変動表示が可視画像として視認される。
【0104】
次に、中央の図柄の変動が停止する少し前のタイミングで、サブ制御基板222はフィルムユニット234を作動させ、図9中(b)に示されているようにフィルム材234aを下方に送り出す。これにより、表示画面216に対して偏光フィルタ領域Fが下方に変位する代わりに、上方から装飾領域Dが垂れ下がってくる。このとき、表示画面216の下側を部分的に覆っている偏光フィルタ領域Fでは、それまでどおり可視画像が視認されているが、その上側の装飾領域Dでは、可視画像が視認されない代わりに装飾上の図が視認される。
【0105】
ここで、装飾領域Dには例えば「雪崩」をイメージした装飾が施されているので、あたかも表示画面216の上方で「雪崩」が発生し、それによってリーチ図柄の上に「雪崩」が覆い被さっていくかのような視覚的効果が得られる。続いてフィルムユニット234がフィルム材234aをさらに下方に走行させると、表示画面216の前面側から偏光フィルタ領域Fが完全に退避し(第2位置)、全体が装飾領域Dに覆われる。この後、フィルムユニット234はさらにフィルム材234aを下方に走行させ、装飾領域Dをも表示画面216の下方に退避させる。
【0106】
図10は、表示画面216の前面側から装飾領域Dが退避したときの状態を示している。図10中(a)に示されているように、この状態で、表示画面216の前面側にはフィルム材234aの透明部分が位置しているため、遊技者からは表示画面216上に可視画像が視認されず、そこから照射されている直線偏光が単なる白色光として視認されている。したがって遊技者からは、図9中(b)の状態から図10中(a)の状態に移行する過程で「雪崩」が発生し、その「雪崩」が下方に流れ去ると、その後で表示画面216が真っ白になる(いわゆるホワイトアウト)といった一連の変化が視認される。これにより、リーチ状態の最終結果を見届ける前に、表示画面216があたかも「雪崩」によって消し去られてしまったかのような視覚的効果が得られる。
【0107】
(12−3.可動体制御手段) 上記のように表示画面216が真っ白になると、続いてサブ制御基板222は駆動装置233を作動させ、図10中(b)に示されているように偏光可動体232を表示画面216の前面側にて横方向(図中の右方向)に移動させる。このとき偏光可動体232は、上記のスリット部214bを通じてセンター役物214の左側から出現し、そのまま表示画面216の前面側を横切って右方向に進行する。
【0108】
このような偏光可動体232の移動過程において、遊技者は円形状の偏光板217を通じてのみ可視画像を視認することができる。この過程で、偏光板217が表示画面216の中央付近を通過する際には、先ほどのリーチ状態で遊技者が最終結果を確認することができなかった図柄(最終停止図柄)を実際に視認することができる。このため遊技者は、あたかも表示画面216上をサーチライトのようなもので照らし出しながらリーチの結果(図柄の停止表示態様)を探索しているかのような感覚を味わうことができる。
【0109】
またこのとき、偏光可動体232は表示画面216の前面から離れた位置にあるため、遊技者から視認される画像にある程度の奥行きをもたせることができる。さらに、表示画面216上の図柄は、偏光可動体232の正面位置にいる遊技者からは良好に視認されるが、その左右方向からは視認されにくいので、リーチ結果を周囲(両隣)の遊技者から覗き見されにくくなる。
【0110】
駆動装置233は、偏光可動体232をセンター役物214内で右端位置まで移動させると、そこから引き返すようにして偏光可動体232を左方向に移動させる。この後、偏光可動体232はスリット部214bを通じてセンター役物214の左側縁部から退出し、そのまま遊技者の視界から消える。またこの後、フィルムユニット234はフィルム材234aを上方へ巻き戻し、偏光フィルタ領域Fを表示画面216の前面側に位置付けた状態に復帰する。また復帰後は、表示画面216において通常の表示が行われる。
【0111】
(13.偏光液晶層) 図11は、第2実施形態について上記のフィルムユニット234を用いない場合の例を示している。この例では、液晶発光体300の構造が上記と異なっており、その表示画面316が2重の液晶パネル300a,300bから構成されている。その他の駆動装置233や偏光可動体232等の構成は上記と同じであるため、ここでは同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0112】
図12は、液晶発光体300の構造を模式的に示している。液晶発光体300の基本的な構成は上記の液晶発光体100,200と同様であるが、手前側の液晶パネル300bが付加されている点で構成が異なっている。
【0113】
2重の液晶パネル300a,300bのうち、奥側の液晶パネル300aは上記と同様にツイスト配向型の液晶層134を有している。これに対し、前面側の液晶パネル300bは、各液晶分子がほぼ同一方向に配向処理された偏光液晶層302を有している。すなわち、偏光液晶層302では液晶分子がツイスト配向処理されておらず、その代わり各液晶分子の長軸が偏光板133の偏光軸133aに対して直交する方向(矢印302a)に配向処理されている。
【0114】
このため偏光液晶層302は、その非電圧印加状態では各液晶分子の配向方向に振動する直線偏光L1だけを透過させ、これに直交する方向に振動する直線偏光L2を透過させない。したがって偏光液晶層302は、その非電圧印加状態では通常の液晶表示器における前面側の偏光板と同等の機能を果たすことができる。
【0115】
(14.液晶制御手段) 偏光液晶層302の電圧印加状態は、サブ制御基板222からの指令信号に基づいて表示制御基板226により制御されている。このとき表示制御基板226は、奥側の液晶層134とは別に偏光液晶層302への電圧印加状態を制御することができる。
【0116】
このため表示制御基板226は、通常どおり表示画面216上に画像を表示させる場合、前面側にある偏光液晶層302を非電圧印加状態としておき、その奥側にある液晶層134については、各画素について電圧印加状態を制御することができる。これにより、遊技者からは通常どおり可視画像として図柄等が視認されることになる。
【0117】
これに対し、サブ制御基板222からの指令に基づいて表示制御基板226が偏光液晶層302を電圧印加状態にすると、偏光液晶層302は偏光板としての機能を失い、それまで遮光していた直線偏光L2をそのまま透過させることになる。この場合、液晶層134から照射される直線偏光L1,L2は可視画像として視認されなくなり、代わりに白色光として透過されるので、遊技者からは、あたかも表示画面216が真っ白に消失したかのように視認される。
【0118】
この後の演出処理については、上記の偏光可動体232による視覚的な演出を採用することができる。すなわち、サブ制御基板222は上記の駆動装置233を作動させることで、先のサーチライト的な演出と同様の視覚的効果をもたらすことができる(図11中(b)を参照)。
【0119】
(15.その他の実施形態についての言及) 以上は第1および第2実施形態についての説明であるが、本発明の実施の形態がこれらに制約されることはない。以下に、その他の実施形態についていくつか例を挙げて言及する。
【0120】
(1)第1実施形態のスロットマシン1において、液晶発光体100により可視画像として表示される図柄の種類は1つである必要はなく、多種類の図柄が表示される態様であってもよい。
【0121】
(2)また第1実施形態のスロットマシン1において、遊技中に左リール10aを停止させて有効ライン上に偏光板保持窓17が停止すると、そこから改めて図柄が変動される態様であってもよい。
【0122】
(3)あるいは、偏光板保持窓17は3つのリール10a,10b,10cのいずれに設けられている態様であってもよいし、1つのリール10a,10b,10cについて複数箇所または複数図柄分にわたって偏光板保持窓17が形成されている態様であってもよい。
【0123】
(4)第2実施形態のパチンコ機201において、偏光可動体232が左右方向に移動するものを例に挙げているが、偏光可動体232は表示画面216の前面に沿って揺動される態様であってもよい。あるいは、1つの表示画面216について、複数の偏光可動体を用いて視覚的な演出動作が行われる態様であってもよいし、偏光可動体が前後方向に移動する態様であってもよい。
【0124】
(5)第2実施形態では、偏光可動体232による演出がサブ制御基板222の制御によって自動的に進行するものとなっているが、例えば演出ボタン210を遊技者が操作することによって、偏光可動体232による演出が開始される態様であってもよい。
【0125】
(6)また第2実施形態(図6,図11)において、遊技者が偏光板217を正面から見たときに、敢えて画像が上下方向や斜め方向等にずれて表示されるように制御すると、遊技者が図柄を正しく見ようとして積極的に自己の視点を調整する必要があるため、それだけ演出上の興趣が増す。
【符号の説明】
【0126】
1 スロットマシン 8 表示窓 10 リール装置 17 偏光板保持窓 17a 偏光板 56 サブ制御基板100 液晶発光体134 液晶層200 液晶発光体201 パチンコ機216 表示画面217 偏光板232 偏光可動体233 駆動装置234 フィルムユニット234a フィルム材300 液晶発光体302 偏光液晶層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者の操作に応じて起動と停止とを行い、その起動により図柄の表示を変動させる一方、その停止時に複数の図柄を組み合わせて表示する図柄表示装置と、 前記図柄表示装置の停止時に特定の図柄表示態様で入賞があった場合に特典遊技状態に移行させる特典遊技状態移行手段と、 前記特典遊技状態の間に所定の演出表示を行う演出表示装置とを具備したことを特徴とする遊技機。
【請求項1】
遊技者の操作に応じて起動と停止とを行い、その起動により図柄の表示を変動させる一方、その停止時に複数の図柄を組み合わせて表示する図柄表示装置と、 前記図柄表示装置の停止時に特定の図柄表示態様で入賞があった場合に特典遊技状態に移行させる特典遊技状態移行手段と、 前記特典遊技状態の間に所定の演出表示を行う演出表示装置とを具備したことを特徴とする遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−365(P2010−365A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174824(P2009−174824)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【分割の表示】特願2004−140608(P2004−140608)の分割
【原出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【出願人】(000148922)株式会社大一商会 (3,262)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【分割の表示】特願2004−140608(P2004−140608)の分割
【原出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【出願人】(000148922)株式会社大一商会 (3,262)
【Fターム(参考)】
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