説明

遊技機

【課題】遊技媒体の投入操作における不正な行為を防止するとともに、遊技の流れを止めることなく異常があったことを確認する遊技機を提供する。
【解決手段】投入された遊技媒体にもとづき通過信号を出力する光センサ26,27と通過信号の入力により遊技の進行を制御する主制御部50と演出制御を行う副制御部60とを備えた遊技機であって、主制御部50は通過時間と時間値を定めた第一の判定時間とを比較して遊技媒体の真偽を判定する第一の真偽判定部52を有し、副制御部60は通過時間と第一の判定時間と時間値の異なる第二の判定時間とを比較して遊技媒体の真偽を判定する第二の真偽判定部62を有し、第二の真偽判定部62の判定により異常を報知する異常報知部12を備え、主制御部50は第二の真偽判定部62が偽遊技媒体と判定したときに、第一の真偽判定部52が偽遊技媒体と判定しない限り遊技の進行を止めない構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に、遊技媒体の投入操作における不正な行為を防止するとともに、遊技の流れを止めることなく異常を確認できる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機は、遊技者が所定数の遊技媒体を遊技機に投入することで遊技を進行するものである。例えば、スロットマシンにおいては、遊技者が遊技媒体であるメダルを遊技媒体投入口から投入し、スタートレバーを押下操作することで、リールが回転し、リールが停止したときの停止図柄の組合せによりはずれ又は当たりを判定して、所定の組合せの場合には所定枚数の遊技メダルが払い出される。これを遊技の1単位として、繰り返すことで遊技が進行するようになっている。
【0003】
通常、スロットマシンでは、投入されたメダルは、所定の規格に適合しないメダルを排除するメダルセレクターに導かれる。そして、所定の規格に適合するメダルの場合には、スロットマシン機内に導かれるとともに計数がされてクレジットとして記憶される。この計数値であるクレジット数がメダルの投入枚数として扱われ、遊技者はこの範囲内で遊技を行うことができる。このように、スロットマシンでは、投入されたメダルがクレジットとして貯留されて、この貯留されたメダル枚数によって遊技が進められる。
【0004】
また、スロットマシンは、一般に、遊技の進行を制御する主制御基板と、遊技の演出制御を行う副制御基板とを備えており、投入されたメダルの通過を検出した通過信号が主制御基板に入力され、この通過信号の示す通過時間と、真メダルの通過とみなす所定の時間値とを比較して、投入されたメダルの真偽判定が主制御基板上のみで行われている。
【0005】
近年、メダルセレクターにおける不正な行為が増えている。例えば、メダルセレクターが、メダルの通過を検出する光センサを備え、この光センサの受光部で受ける光量に応じてメダルを検出する構成の場合では、例えば、先端部に発光素子が設けられた特殊器具をメダル投入口からメダルセレクター内へ挿入し、その先端部を受光部(例えば、フォトインタラプタ)まで到達させた後、発光素子の点滅によって、所定枚数のメダルが通過したかのごとく光センサを誤作動させ、クレジット枚数を瞬時に上げる不正な行為が知られている。このような不正な行為によって、遊技場の経営に対して多大な損害を与えるばかりでなく、正規に遊技を行っている一般の遊技者には、遊技そのものに対する信頼性を減退させることが懸念される。
【0006】
このような不正な行為を防止するための技術として、例えば、メダルセレクターのメダル経路上に光線が交差するように少なくとも二組のメダル通過センサを配置し、これらから出力される通過信号にもとづいてメダルの真偽を判定するスロットマシン(特許文献1)や、メダルセレクターのメダル通路上にメダル検出センサを菱形状に複数配置し、信号の出力を合成することでメダルの真偽を判定する遊技機が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−167442号公報
【特許文献2】特開2005−081016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のスロットマシン及び特許文献2に記載の遊技機では、各種設定値の変更が厳重に規制される主制御基板のみでメダルの真偽を判定しているため、遊技場に設置される前に予め設定されたメダルの真偽を判別する基準(例えば、判定時間)は、変更が規制されるため固定の値となる。その結果、予め設定された基準と異なる基準にもとづいてメダルの真偽を判定することができなかった。
例えば、メダルの投入操作における不正な行為を発見した際に、遊技場側はセキュリティを強化するために、主制御基板に設定されている該基準と異なる厳しい基準にもとづいて不正な行為を監視したい場合であっても、実現することができなかった。
【0009】
また、遊技場に遊技機が配置される前に、予め主制御基板でメダルの真偽判定の基準を厳しく規定することで、不正な行為を監視しようとする場合では、例えば、基準を厳しく規定し過ぎたときには、メダルの真偽判定で遊技機がエラー状態となることが多発し、そのたびに遊技の進行を停止してしまう問題があった。このように、主制御基板で設定される固定の基準を用いて、不正な行為を防ぐためのセキュリティの強化と円滑な遊技の進行とを両立することが難しかった。
さらに、主制御基板では、偽メダルと判定し異常を報知する場合には、遊技が停止されるようになっているため、遊技の流れを止めることなく不正な行為による異常を確認することができなかった。
【0010】
また、特許文献2に記載の遊技機では、単に各センサを複数設置しているだけであり、例えば、菱形状に配置された各センサの位置に合うように発光素子を配置した特殊器具が挿入され、メダルの通過タイミングに沿って発光素子が一定の間隔で点滅された場合には、メダルが適正に通過したとみなされてしまい、メダルの真偽を正確に判定できない場合があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、副制御基板において、主制御基板における遊技媒体の真偽を判定する際の基準と異なる基準にもとづいて、遊技媒体の真偽を判定するとともに、遊技の進行を停止することなく不正な行為による異常を確認することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、遊技媒体を投入する遊技媒体投入口と、遊技媒体投入口から投入された遊技媒体を機内へ導く遊技媒体誘導部と、遊技媒体誘導部を通過する遊技媒体を検出して通過信号を出力する通過検出部と、通過信号が入力されるとともに、入力された通過信号にもとづいて遊技の進行を制御する主制御部と、主制御部から送信される所定の指令データにもとづいて所定の演出制御を行う副制御部と、を備え、主制御部が副制御部からのデータ受信を禁止する遊技機であって、主制御部は、通過信号の示す通過時間と、所定の時間値を定めた第一の判定時間とを比較して、投入された遊技媒体の真偽を判定する第一の真偽判定部を有し、副制御部は、通過信号が入力されるとともに、入力された通過信号の示す通過時間と、第一の判定時間と時間値の異なる第二の判定時間とを比較して、投入された遊技媒体の真偽を判定する第二の真偽判定部を有し、第二の真偽判定部による偽遊技媒体との判定にもとづいて、異常を報知する異常報知部を備え、主制御部は、第一の真偽判定部が偽遊技媒体と判定したときに、遊技の進行を停止させるとともに、第二の真偽判定部が偽遊技媒体と判定したときに、第一の真偽判定部が偽遊技媒体と判定しない限り、遊技の進行を停止させない構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の遊技機によれば、遊技媒体の投入操作における不正な行為を防止するとともに、遊技の流れを止めることなく異常があったことを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技機の概略正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る遊技機の内部の構造を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る遊技機の選択スイッチの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る遊技機のメダルセレクターの構成を示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る遊技機における制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る遊技機の標準通過時間及び特定の時間帯の設定例を説明する図であり、(a)は一の物体が通過する場合のタイミングチャートであり、(b)は主制御部における標準通過時間の設定例を示す図であり、(c)は副制御部における特定の時間帯の設定例を示す図であり、(d)は通過時間にもとづく遊技媒体の真偽判定の結果を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係る遊技機の主制御部におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る遊技機の主制御部における不正行為判定処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る遊技機の副制御部におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る遊技機の通過信号の周期を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施形態に係る遊技機の副制御部における遊技媒体の通過検出の周期性にもとづく判定を含んだメイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、遊技機は、スロットマシンを例に挙げて説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る遊技機本体の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技機の概略正面図、図2は、本実施形態に係る遊技機の内部の構造を示す概略斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、スロットマシン1は、複数のリール40(40a〜40c)を備えるドラムユニット4、メダル(遊技媒体)を貯留するホッパー7aを備えるメダル払出装置7、コンピュータで構成される主制御部50、副制御部60等が収納可能な筐体1bと、筐体1bの正面方向開口を開閉可能に覆う前扉1aを備えている。
【0017】
前扉1aは、スロットマシン1の筐体1bにヒンジなどを介して開閉自在に取り付けられる扉体であり、この前扉1aには、メダル投入口2,表示窓6,遊技に係る操作手段であるスタートレバー3,停止ボタン5(5a〜5c),BETボタン10(10a、10b)等が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0018】
メダル投入口2(遊技媒体投入口)は、遊技に使用されるメダルの受け入れ口であり、このメダル投入口2から投入されたメダル数に応じて遊技が行えるようになっている。
メダル投入口2の本体内部側には、後述するメダルセレクター20(遊技媒体誘導部)が備えられている。このメダルセレクター20は、メダル投入口2から投入されたメダルを、後述する光センサ26,27で検出し、スロットマシン1内部へ誘導する。なお、所定の規格に適合しないメダルは、メダル払出口8に誘導して遊技者へ返却するようになっている。
【0019】
スタートレバー3は、三つの各リール40の回転を開始させる遊技開始手段であり、傾動可能に設けられている。また、このスタートレバー3が遊技者の操作によって傾動されることで、主制御部50にスタート信号が出力され、本体内部の各リール40a〜40cが一斉に又は順次回転するようになっている。
【0020】
停止ボタン5は、回転するリール40を停止させるリール停止手段であり、左リール40a,中リール40b,右リール40cに対応して設けられた左停止ボタン5a,中停止ボタン5b,右停止ボタン5cが備えられている。この各停止ボタン5が遊技者の任意のタイミングで押下操作されると、主制御部50にストップ信号が出力され、対応する各リール40a〜40cの回転が停止する。
【0021】
BETボタン10は、内部貯留されたクレジットメダルがある場合に、そのクレジットメダルを遊技に掛けるためのスイッチである。一回の押下操作によって、一ゲームに投入可能な最大数のメダル(通常3枚)をクレジットメダルから投入するMAXBETボタン10aと、一回の押下操作で1枚のメダルをクレジットメダルから投入する1枚BETボタン10bとが設けられている。
【0022】
前扉1aの下部には、メダル払出口8が設けられ、メダルがこのメダル払出口8から払い出されるようになっている。また、メダルセレクター20から所定の規格に適合しないメダルが、シュート9を経由してメダル払出口8から、遊技者に返却されるようになっている。
筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられている。メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、ホッパー7aに誘導されるようになっている。メダル払出装置7は、例えば、遊技において役が成立した場合に、成立役に応じた所定枚数のメダルをホッパー7aからメダル払出口8を介して遊技者に払い出す。
【0023】
筐体1bの上部には、主制御部50及び副制御部60が収納されている。
主制御部50は、遊技の進行を管理する主制御基板に設けられるとともに、コンピュータで構成され、主に、メダルの投入、リール40の回転/停止、入賞時の払い出し、メダルセレクター20における各部の作動等のスロットマシン1で行われる遊技の進行に関する制御を行う。
具体的には、主制御部50(第一の真偽判定部52)は、受光量の変化によって物体の通過を検出する光センサ26,27から通過信号を入力すると、通過信号の示す通過時間を計時し、この通過時間とスロットマシン1が遊技場に設置される前に予め設定された「標準通過時間」(第一の判定時間)とを比較して投入されたメダルの真偽を判定する。
【0024】
ここで、通過時間とは、光センサ26,27を物体が通過することによって通過信号がHighに変化したときからLowに変化したときまでを計時した時間を示している(図6(a)参照)。
また、本実施形態における標準通過時間とは、1枚の正規のメダルが光センサ27を通過し始めてから、光センサ27を通過し終わるまでの標準的な時間を意味し、主制御部50において、投入されたメダルの真偽を判定する際の基準となる時間である。
そして、標準通過時間は、1又は2以上の時間値で定められている。なお、本実施形態では、標準通過時間は、2つの時間値(下限時間と上限時間)で定められ、時間幅を有する場合を例として説明する(図6(b)参照)。
これによって、主制御部50では、光センサ27が検出した通過信号の示す通過時間を、この標準通過時間と比較することで、投入されたメダルの真偽を判断することができる。
【0025】
また、通常、主制御部50が設けられている主制御基板は、遊技機を設置した後に第三者から不正な改造がされるのを防ぐため、ケース等に厳重に収納されており、主制御部50に設定(記憶)されている設定値の変更は禁止される。その結果、主制御部50に予め記憶した標準通過時間は、遊技機を設置した後に変更することができないようになっている。
【0026】
副制御部60は、遊技の進行に応じて所定の演出を管理する副制御基板に設けられるとともに、コンピュータで構成され、主制御部50から送信される各種信号(指令データ)にもとづいて演出を制御する(演出制御処理)。
例えば、主制御部50から送信される指令データには、メダルの投入操作にもとづいて送信されるメダル投入データと、スタートレバー3の操作にもとづいて送信されるスタートデータと、各停止ボタン5の操作にもとづいて送信されるストップデータと、内部抽選の当選内容にもとづいて送信される当選データと、遊技状態の移行にもとづいて送信されるゲームモードデータと、リール40の回転開始と停止のタイミングに送信されるリール回転開始・停止データと、メダルの払出開始と終了のタイミングに送信される払出開始・終了データなどがある。
このように、副制御部60は、各種信号(指令データ)の入力にもとづき、LEDなどの照明装置、スピーカなどの音響装置、液晶ディスプレイなどの表示装置等を制御して遊技の進行に応じた演出を行う。
【0027】
また、副制御部60(第二の真偽判定部62)は、主制御部50と同様に光センサ26,27から通過信号を入力すると、この通過信号の示す通過時間を計時し、この通過時間と、「特定の時間帯」(第二の判定時間)とを比較して投入されたメダルの真偽を判定する。
ここで、本実施形態における特定の時間帯とは、主制御部50に設定される標準通過時間(第一の判定時間)と時間値の異なる時間であって、副制御部60において、投入されたメダルの真偽を判定する際の基準となる時間となる。
そして、特定の時間帯は、1又は2以上の時間値で定められている。なお、本実施形態では、特定の時間帯は、2つの時間値で定められ、時間幅を有する場合を例として説明する(図6(c)参照)。さらに、特定の時間帯は、図6(c)に示すように、標準通過時間より狭い時間幅で複数設定される。
これによって、副制御部60では、光センサ27が検出した通過信号の示す通過時間を、標準通過時間より時間幅が狭い特定の時間帯と比較することで、投入されたメダルの真偽を厳しく判定することができる。
【0028】
また、主制御基板と副制御基板とは、主制御基板から副制御基板への単方向通信が可能に接続されている。すなわち、主制御基板から副制御基板へ各種信号(指令データ)は出力されるが、反対に副制御基板から主制御基板へは各種信号が出力できないようになっている。したがって、主制御部50は副制御部60からのデータ受信が禁止されることになる。
【0029】
副制御基板(副制御部60)のケース表面には、本発明に係る選択部の一例である選択スイッチ11が配置されている。
選択スイッチ11は、副制御部60と接続され、遊技場の従業員等の操作によって特定の時間帯を選択可能なスイッチである。この選択スイッチ11は、例えば、図3に示すように、回転式のディップスイッチが適用でき、具体的には、回転つまみ11aを備え、この回転つまみ11aを回して切欠き11bを所望の文字の位置に移動させることで、この文字に対応付けられた特定の時間帯に切替えることができるようになっている。
すなわち、遊技場の従業員は、選択スイッチ11で任意の文字を選択することによって、副制御部60に設定されている複数の特定の時間帯から一の特定の時間帯を選択することができる。
なお、選択スイッチ11の形態としては、上記に限らず、スイッチを左右にスライドさせることによって設定を行うタイプ、スイッチを押下操作することによって設定を行うタイプ等を用いることができ、複数の特定の時間帯から一の特定の時間帯を選択可能なスイッチであればどの様な形態でもよい。
【0030】
次に、メダルセレクター20の構成について、図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る遊技機のメダルセレクターの構成を示し、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。
メダルセレクター20は、本発明に係る遊技媒体誘導部の一例であり、図4に示すように、メダル投入口2から投入されたメダルを流下させて、ホッパー7aに向かって誘導するメダル流路25、メダル流路25の下流側に設けられた光センサ26,27、メダル流路25の上流側に設けられたブロッカー23等を備えている。
【0031】
ブロッカー23は、光センサ26,27の上流側に設けられており、メダルセレクター20の背面に設けられているソレノイド24の駆動に伴って作動する。具体的には、遊技の待機状態などにおいて、ソレノイド24が励磁されることで、ブロッカー23は、メダルを壁面と挟むように作動してメダル流路25に沿って流下させるとともに、光センサ26,27で検出させる。一方、リール回転中、再遊技当選時などの所定の遊技状態において、ソレノイド24の励磁が解除されることで、ブロッカー23は、壁面と離間し、メダルを光センサ26,27に検出させずに、シュート9を介してメダル払出口8に誘導するようになっている。
【0032】
光センサ26,27は、本発明に係る通過検出部の一例であり、メダル流路25の下流側に配置され、通過するメダル等の物体を検出するとともに受光状態と遮光状態とで信号形態の異なる電気信号(通過信号)を出力する。
具体的には、図4に示すように、メダルが流下する方向に沿って上流側に配置される光センサ26と、下流側に配置される光センサ27とが設けられている。本実施形態の光センサ26,27は、例えば、フォトインタラプタであって、メダル流路25を挟んで発光部と受光部が配置され、受光部で受ける光量の変化によってメダルを検出するように構成されている。すなわち、発光部から発光される光が、受光部で受光され続けている限り、メダル流路25にメダルが存在しないと認識する。そして、メダル流路25をメダルが通過すると、発光部により発光された光がメダルにより遮光されて、受光部で受光できない状態となる。このとき、光センサ26,27は、メダルの通過を検出することになる。
そして、本実施形態における光センサ26,27は、主制御部50及び副制御部60にメダルの検出を示す電気信号(通過信号)を出力するようになっている。その結果、主制御部50及び副制御部60では、この電気信号の入力にもとづいてメダルの真偽判定を行うことができる。
なお、発光部と受光部とを対向配置する光センサに限らず、本発明においては、反射型等の光センサを用いてもよい。
【0033】
次に、遊技機を制御する主制御部50及び副制御部60の構成について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の遊技機における制御系の構成を示すブロック図である。
主制御部50は、記憶部51、第一の真偽判定部52等を備えている。
【0034】
記憶部51には、スロットマシン1を制御するメインプログラムや、投入されたメダルの真偽を判定する判定プログラムなどのサブプログラムが記憶されており、例えば、この判定プログラムをCPUが実行することによって、CPUが第一の真偽判定部52として動作し、後述する判定処理が行われる。
また、記憶部51には、上記のプログラムの他に、所定のデータ(標準通過時間など)が記憶されている。標準通過時間は、図6(b)に示すように、例えば、「5ms」〜「120ms」のように下限時間と上限時間を定めて予め記憶されている。
【0035】
第一の真偽判定部52は、投入されたメダルの真偽を判定する。具体的には、第一の真偽判定部52は、光センサ27から入力した通過信号の示す通過時間を計時し、この通過時間が、記憶部51に記憶されている標準通過時間内にあるか否かによって、投入されたメダルの真偽を判定する。
例えば、第一の真偽判定部52は、通過時間が標準通過時間の下限時間(5ms)より短い場合、投入されたメダルは偽メダルと判定する。これは、例えば特殊器具がメダル投入口2を介してメダル流路25に挿入され、発光素子から光センサの受光部に対して、短時間のうちに繰り返し点滅されたため、通過時間が極端に短いと判断できるからである。また、標準通過時間の上限時間(120ms)より長い場合においても、投入されたメダルは偽メダルと判定する。これは、例えば特殊器具がメダル流路25に長時間挿入され、光センサの受光部が遮光されているため、通過時間が極端に長いと判断できるからである。
また、このように、投入されたメダルが偽メダルと判定されたときは、主制御部50では、遊技の進行を停止するようになっており、すなわち、第一の真偽判定部52によって投入されたメダルが偽メダルと判定された場合のみ進行が停止され、それ以外の場合では、スロットマシン1の遊技は進行されることになる。
【0036】
なお、第一の真偽判定部52は、標準通過時間として一つの時間値が設定され、時間幅を有しない場合には、この一の時間値にもとづいて投入されたメダルの真偽を判定する。例えば、第一の真偽判定部52は、通過時間と一の時間値で設定された標準通過時間とを比較し、通過時間が標準通過時間を超えていない場合には真メダルと判断し、通過時間が標準通過時間を超えている場合には偽メダルと判断するようにしてもよい。
【0037】
副制御部60は、記憶部61、第二の真偽判定部62等を備えている。
記憶部61には、スロットマシン1の遊技の演出を制御するメインプログラムや、投入されたメダルの真偽を判定する判定プログラムなどのサブプログラムが記憶されており、例えば、この判定プログラムをCPUが実行することによって、CPUが第二の真偽判定部62として動作し、後述する判定処理が行われる。
また、記憶部61には、上記のプログラムの他に、所定のデータ(特定の時間帯など)が記憶されている。特定の時間帯は、それぞれ時間幅の異なる特定の時間帯が複数記憶されている。
【0038】
具体的には、図6(c)に示すように、例えば、特定の時間帯A(「5ms」〜「120ms」)、特定の時間帯B(「15ms」〜「110ms」)、特定の時間帯C(「25ms」〜「100ms」)のように、標準通過時間の下限時間及び上限時間を変化させたパターン(パターン1)や、特定の時間帯D(「5ms」〜「120ms」)、特定の時間帯E(「15ms」〜「120ms」)、特定の時間帯F(「25ms」〜「120ms」)のように、標準通過時間の上限時間を固定し下限時間を変化させたパターン(パターン2)や、特定の時間帯G(「5ms」〜「120ms」)、特定の時間帯H(「5ms」〜「110ms」)、特定の時間帯I(「5ms」〜「100ms」)のように、下限時間を固定し上限時間を変化させたパターン(パターン3)等で記憶されている。
【0039】
このように、副制御部60は、投入されたメダルの真偽を判定する際の基準となる特定の時間帯を記憶することで、主制御部50におけるメダルの真偽判定とは別に投入されたメダルの真偽判定を行うことができる。また、記憶部61に記憶される複数の特定の時間帯は、選択スイッチ11を操作することにより、一の特定の時間帯を選択可能となっている。
【0040】
第二の真偽判定部62は、第一の真偽判定部52と同様に投入されたメダルの真偽を判定する。
具体的には、光センサ27から入力した通過信号の示す通過時間を計時し、この通過時間が、記憶部61に記憶されている特定の時間帯にあるか否かによって、投入されたメダルの真偽を判定する。
例えば、特定の時間帯として、特定の時間帯C(「25ms」〜「100ms」)が選択されている場合、通過時間が特定の時間帯C以外のときには、第二の真偽判定部62は、投入されたメダルは偽メダルと判定する。
【0041】
第二の真偽判定部62は、第一の真偽判定部52によるメダルの真偽判定と別に動作してメダルの真偽を判定するようになっている。したがって、図6(d)に示すように、通過時間が標準通過時間内であることから、第一の真偽判定部52によって投入されたメダルが真メダルと判定されるが、通過時間が特定の時間帯C以外であることから、第二の真偽判定部62では偽メダルと判定する。
これによって、第一の真偽判定部52が真メダルと判定し、主制御部50が遊技を進行する状態としても、第二の真偽判定部62が偽メダルと判定することで、副制御部60は後述する異常報知部12を介して異常の報知を行うことができる。
また、第二の真偽判定部62は、第一の真偽判定部52における標準通過時間にもとづくメダルの真偽判定より判定時間を絞り込んで厳しく判定を行うため、メダルの真偽判定の精度を高めることができる。
【0042】
なお、図6(c)及び図6(d)に示すように、特定の時間帯を標準通過時間内で設定する例を示しているが、例えば、「2ms〜20ms」、「25ms〜150ms」、「2ms〜150ms」のように、標準通過時間以外の時間幅で設定してもよい。
また、第二の真偽判定部62は、特定の時間帯として一つの時間値が設定され、時間幅を有しない場合には、この一の時間値にもとづいて投入されたメダルの真偽を判定する。例えば、第二の真偽判定部62は、通過時間と一の時間値で設定された特定の時間帯とを比較し、通過時間が特定の時間帯を超えていない場合には真メダルと判断し、通過時間が特定の時間帯を超えている場合には偽メダルと判断するようにしてもよい。
【0043】
副制御部60には、選択スイッチ11及び異常報知部12が接続されている。
選択スイッチ11は、遊技場の従業員から任意の文字が選択されると、図示しないスイッチング回路を介して、対応する選択信号を副制御部60へ出力する。そして、副制御部60は、入力した選択信号に対応する特定の時間帯を記憶部61に記憶する。
すなわち、選択スイッチ11が選択操作されることによって、記憶部61に設定されている複数の特定の時間帯から一の特定の時間帯を選択することができる。
その結果、例えば、メダルの投入操作における不正な行為が発見されたスロットマシン1においては、セキュリティを強化するために、特定の時間帯を狭く設定し、メダルの投入操作における不正な行為を監視することができる。このように、スロットマシン1ごとの設置状況に応じて、真メダルの通過とみなす特定の時間帯を設定変更できる。
【0044】
異常報知部12は、第二の真偽判定部62が偽メダルと判定したときに、副制御部60から送信される異常信号にもとづき、異常の発生を報知することで、遊技場の従業員に異常を確認させる。例えば、異常報知部12は、筐体各所に設けられるLEDなどの照明装置が適用でき、所定の点灯動作によって異常を報知する。
本実施形態の異常報知部12は、遊技が進行されている状態においても、異常の発生を報知する。これは、主制御部50(第一の真偽判定部52)において投入されたメダルが偽メダルと判定されない限り遊技が進行されるため、このときに、第二の真偽判定部62において偽メダルと判定された場合は、異常報知部12は報知を行うことになる。
例えば、標準通過時間が「5ms」〜「120ms」、特定の時間帯Cが「25ms」〜「100ms」と選択され、計時した通過信号の示す通過時間が「10ms」である場合には、主制御部50では投入されたメダルは真メダル、副制御部60では偽メダルと判定されることになり、この場合には遊技が進行された状態で異常報知部12は報知を行う(図6(d)参照)。
【0045】
このように、異常報知部12は、副制御部60からの指示にもとづき異常の発生を報知するため、主制御部50において正常に遊技が進行している状態であっても、異常の発生を報知することができる。また、遊技場の従業員のみが認識可能なパターン(発光色,点滅回数等)で報知することで、不正行為者に悟られることなく異常の発生を早期に発見でき、迅速に対応することができる。
【0046】
次に、本実施形態における遊技機の動作について、各図を参照して説明する。
まず、主制御部50の制御手順について、図7及び図8を参照して説明する。
図7は、主制御部50におけるメイン処理を示すフローチャート、図8は、主制御部50におけるメダル投入処理の不正行為判定処理を示すフローチャートである。
【0047】
図7に示すように、まず、スロットマシン1が電源投入されると、主制御部50は、各種設定値の初期化などを行う初期化処理を行い(S1)、図示しないクレジット精算スイッチの操作に応じて、クレジットされているメダルを払い出すクレジット精算処理(S2)を行う。
そして、主制御部50は、メダル投入口2から投入されたメダルの真偽を判定する処理(不正行為判定処理)や、正規のメダルの通過をカウントする処理等を行うメダル投入処理(S3)を行い、BETボタン10による押下操作に応じて、クレジットされているメダルをゲームに掛けるBET処理(S4)を行う。
次に、主制御部50は、遊技者によるスタートレバー3の傾動操作を監視し、スタートレバー3の傾動に伴いスタート信号が入力されると、内部抽選処理を行うとともに、各リール40を回転させるスタート処理(S5)を行うようになっている。
そして、主制御部50は、遊技者による停止ボタン5の押下操作に伴いストップ信号が入力されると、各リール40を停止制御する回胴停止処理(S6)を行い、各リール40の停止位置(停止図柄)にもとづいて、入賞を判定するとともに、入賞内容に応じて、払い出すメダルの枚数を決定する入賞処理(S7)を行う。そして、メダル払出装置7を制御し、入賞結果に対応するメダルの払い出しを行う賞メダル払出処理(S8)を行う。
このような処理を主制御部50は繰り返し実行することで遊技の進行を制御する。
【0048】
次に、主制御部50におけるメダル投入処理(S3)の不正行為判定処理について、図8を参照して説明する。
まず、主制御部50(第一の真偽判定部52)は、光センサ27から出力される通過信号を監視し、光センサ27における物体の通過の検知を判定する(S31)。例えば、光センサ27の受光部が、遮光したときに出力するHigh信号、受光したときに出力するLow信号となる通過信号の有無を監視する。
そして、第一の真偽判定部52は、通過信号(High信号)を検知した場合(S31−YES)、この通過信号の示す通過時間、すなわち光センサ27の受光部が遮光されている時間を計時し、記憶部51に記憶する。そして、第一の真偽判定部52は、この通過時間と記憶部51に記憶されている標準通過時間とを比較することで、投入されたメダルの真偽を判定する(S32)。
【0049】
判定の結果、通過時間が標準通過時間内にあると判定された場合には(S32−YES)、真メダルと判断し、クレジット枚数を+1して計数する(S33)。
一方、判定の結果、通過時間が標準通過時間以外と判定された場合には(S32−NO)、偽メダルと判断し、所定の警報処理を行う(S34)。なお、警報処理としては、警報音の出力、警告用ランプの点灯等を行うことができる。そして、第一の真偽判定部52において偽メダルと判定され、警報処理が行われる場合には、遊技の進行が停止されるようになっている。
このように、主制御部50では、通過時間と、予め記憶され変更不可能な標準通過時間にもとづき、投入されたメダルの真偽の判定を行う。
【0050】
次に、副制御部60の制御手順について、図9〜図11を参照して説明する。
図9は、副制御部60におけるメイン処理を示すフローチャートである。
まず、副制御部60は、光センサ27から出力される通過信号を監視し、光センサ27における物体の通過の検知を判定する(S101)。そして、第二の真偽判定部62は、通過信号(High信号)を検知した場合(S101−YES)、この通過信号の示す通過時間を計時し、記憶部61に記憶する。そして、この通過時間と記憶部61に記憶されている特定の時間帯とを比較することで、投入されたメダルの真偽を判定する(S102)。
【0051】
例えば、特定の時間帯に、図6(c)に示す、「特定の時間帯C」が選択されている場合では、通過時間が時間帯(「25ms」〜「100ms」)にあるか否かを判定する。判定の結果、通過時間が特定の時間帯以外と判定された場合には(S102−NO)、投入されたメダルが偽メダルと判断し、副制御部60は、異常報知部12へ異常信号を送信する。
そして、異常報知部12は、この異常信号にもとづき、異常の発生を報知する(S103)。例えば、スロットマシン1の筺体各所に設けられたLEDなどの電飾部品を点灯させることで警告する。
なお、報知の方法は、これに限らず、スピーカからの音声出力による報知、表示装置(データ表示器,台間表示器)による報知、筐体1b内部に設けられたLEDによる報知等、遊技場の従業員に認識可能な方法であればよい。また、このとき、異常報知部12は、副制御部60からの指示にもとづき動作するため、遊技がされている状態であっても異常の発生を報知する。
【0052】
また、異常報知部12は、異常を検出したときに限らず、異常を検出した後に報知を行うことで異常があったことを確認できるようにしてもよい。
例えば、副制御部60が、異常の検出を示す所定の情報を記憶部61に記憶し、遊技場の従業員によって筐体1b内の所定のスイッチが押下されたときに、この記憶された情報に応じて異常報知部12へ異常信号を送信することによって、筐体1b内部に設けられたLEDなどを点灯させることで、遊技場の従業員に対して異常があったことを報知する。
【0053】
一方、判定の結果、通過時間が特定の時間帯にあると判定された場合には(S102−YES)、真メダルと判断し、「演出制御処理」が行われる(S104)。
演出制御処理は、主制御部50から送信される指令データに応じて、スロットマシン1で行われる遊技に応じた演出の制御を行う。
具体的には、副制御部60は、主制御部50から指令データを受信した場合には、この指令データに応じて、LEDなどの照明装置、スピーカなどのサウンド装置、液晶ディスプレイなどの表示装置等を制御し、各遊技状態(リール回転時,リール停止時,ボーナス開始時,ボーナス終了時等)に応じた演出を行う。
例えば、受信した指令データが、スタートレバー3の操作にもとづきリール40を回転させるスタートデータの場合、副制御部60は、図示しない照明装置駆動回路,サウンド回路,表示装置駆動回路に対して所定の制御信号を送信することで、リール40の回転に対応した発光、効果音の出力、映像の表示等を行う。
【0054】
以上のように、副制御部60では、主制御部50に設定される真メダルの標準的な通過時間を示す標準通過時間と時間値が異なる特定の時間帯を複数設けるとともに、この複数の特定の時間帯から選択された一の特定の時間帯にもとづいて投入されたメダルの真偽を判定するようになっている。
したがって、光センサ27から出力される通過信号の示す通過時間を、主制御部50では、標準通過時間にもとづいてメダルの真偽を判定し、副制御部60では、特定の時間帯にもとづいてメダルの真偽を別に判定する。このように、主制御部50と副制御部60は独立して判定処理が行われて、異なる基準(判定時間)にもとづいてメダルの真偽判定を行うことができる。そして、偽メダルと判定された場合には、例えば、特殊器具などのメダル以外の異物の挿入がされたと認識でき、不正な行為を防ぐことができる。
【0055】
次に、上記した副制御部60におけるメダルの真偽判定に、光センサから出力される通過信号の周期性にもとづく判定を加えた判定処理について説明する。以下では、図10及び図11を参照し、通過信号の周期性にもとづく判定を説明する。
【0056】
図10に示すタイムチャートは、物体が光センサ27を通過したときの通過信号の出力を示しており、A1,A2,A3は、物体の通過により前回の入力から今回の入力までの通過信号(High信号)の周期を示している。B1,B2,B3は、物体の通過により前回の入力から今回の入力までの通過信号(Low信号)の周期を示している。
【0057】
図11を参照して、光センサ27から出力される通過信号の周期性にもとづくメダルの真偽判定について説明する。
まず、上記した図9の処理と同様に、副制御部60において、光センサ27における物体の通過の検知が判定され(S101)、通過信号(High信号)を検知した場合に(S101−YES)、第二の真偽判定部62は、通過時間と特定の時間帯とを比較して投入されたメダルの真偽を判定する(S102)。
判定の結果、副制御部60は、通過時間が特定の時間帯にあると判定した場合(S102−YES)、通過信号の周期(A1〜A3、B1〜B3)を算出する(S105)。なお、算出した通過信号のそれぞれの周期は、記憶部61に記憶される。
副制御部60は、算出した通過信号の周期を相互に比較する(S106)。例えば、A1とA2、A2とA3のそれぞれの周期を比較し、比較した周期がほぼ同じ時間値か否かを比較する。
【0058】
具体的には、前回の周期と今回の周期による時間差を算出し、この時間差の絶対値がゼロか否かによって、比較した周期が同じ時間値であるかを判定する。すなわち、時間差の絶対値がゼロの場合には、比較した周期が同じ時間値であるとする。また、時間差の絶対値がゼロではない場合でも、実験的に求めて設定した所定時間内であれば、比較した周期はほぼ同じ時間値とみなす。
例えば、所定時間が9.1msと設定されている場合には、この所定時間より時間差の絶対値が小さい場合に、ほぼ同じ時間値とみなす。
なお、所定時間は、遊技機が遊技場に設置される前に製造メーカ等によって予め設定される固定値であっても、遊技場の従業員等によって任意に設定可能な可変値としてもよい。可変値とする場合、例えば、選択スイッチ11を用いて設定できるようにしてもよい。
【0059】
特殊器具を用いて発光素子を点滅させる不正な行為は、機械的に一定の間隔で点滅動作することが多い。すなわち、S106において算出した各周期は、ほぼ同じ時間値になる。一方、遊技者から正規のメダルが投入された場合は、通常バラつきがあるため、各周期は異なることになる。したがって、通過時間の周期にもとづきメダルの真偽を判別することができる。
【0060】
そして、副制御部60は、S106にもとづき、周期が連続してほぼ同じ時間値か否かを判定する(S107)。
例えば、A1とA2及びA2とA3の周期が連続してほぼ同じ時間値か否かを判定する。ここで、「連続して」とは、少なくとも2回以上の連続とすることが好ましい。1回とした場合では偶発的に周期が同じになった場合が多く含まれてしまい、この場合も異常と判定され、正確な判定結果を得ることができないためである。
【0061】
S107の判定の結果、周期が連続してほぼ同じ時間値の場合(S107−YES)、特殊器具などのメダル以外の異物が挿入されたものとみなし、これにより偽メダルが投入されたと判断し、異常を報知する(S103)。一方、S107の判定の結果、周期が異なる場合(S107−NO)、真のメダルが投入されたと判断し、演出制御処理が行われる(S104)。
このように、光センサ27から出力される通過信号の周期性にもとづいて、特殊器具を用いて発光素子を点滅させるような不正な行為を認識することができる。
【0062】
また、スロットマシン1では、通常、3枚のメダルの投入(3枚掛け)によって一ゲームが行われる。そのため、上記したS107の判定において、「2回」連続して周期がほぼ同じ場合に異常と判定することによって、一ゲームが行われる前に不正の発生を認識することができる。
すなわち、1枚目のメダルの投入による通過信号の周期(A1)と2枚目のメダルの投入による通過信号の周期(A2)を比較し、2枚目のメダルの投入による通過信号の周期(A2)と3枚目のメダルの投入による通過信号の周期(A3)とを比較することで、2回連続して周期がほぼ同じ場合に異常と判定でき、不正な行為を早期に発見することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の遊技機によれば、主制御部50では、1枚の真メダルが通過する標準的な時間を示す標準通過時間を設け、この標準通過時間内に通過時間があるか否かにもとづいて投入されたメダルの真偽を判定し、副制御部60では、遊技媒体の通過異常を判別する際の基準となる特定の時間帯を設け、この特定の時間帯に通過時間があるか否かにもとづいて投入されたメダルの真偽を主制御部50とは別に判定する。
これによって、主制御部50において予め設定される基準(標準通過時間)と異なる基準(特定の時間帯)にもとづいてメダルの真偽を判定することができ、特殊器具などの挿入による不正な行為を正確に認識することができる。
また、本実施形態の遊技機は、遊技の進行状態によらず、副制御部60のメダルの真偽判定の結果にもとづいて、異常を報知することができる。したがって、遊技の進行を妨げることなく、異常を確認することができる。
【0064】
さらに、副制御部60に設定される特定の時間帯は、選択スイッチ11の切り換えにより任意に変更可能であり、この特定の時間帯を変更することで判定する時間帯を絞り込むことができる。そして、遊技場に遊技機が配置された後においても、遊技機ごとに最適な特定の時間帯(判定時間)を選択でき、効率的に不正な行為を防ぐことができる。
また、光センサ27から出力される通過信号の周期性にもとづき、特殊器具など遊技媒体以外の異物の通過を判別することができるため、さらに判定の精度を向上することができる。
【0065】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、下流側に配置される光センサ27を用いて遊技媒体の通過異常を判定する場合で説明したが、これに限らず、上流側に配置される光センサ26のみ、又は、光センサ26及び光センサ27を用いて判定を行ってもよい。光センサ26及び光センサ27を用いる場合には、例えば、標準通過時間を1枚の正規のメダルが光センサ26を通過し始めてから、光センサ27を通過し終わるまでの標準的な時間として設定するとともに、この標準通過時間に応じて特定の時間帯を設定することでメダルの真偽判定を行うようにしてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、光センサ27から直接、副制御部60(第二の真偽判定部62)に通過信号を入力するように説明したが、これに限らず、主制御部50を介して副制御部60(第二の真偽判定部62)に通過信号を入力するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、異常報知部12が、音や光等による報知を行うように説明したが、これに限らず、例えば、外部出力端子から異常信号を出力することで、ホールコンピュータなどの管理装置に入力し、遊技機ごとの異常発生回数を確認可能としてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、複数の特定の時間帯から一の特定の時間帯を選択するように説明したが、これに限らず、特定の時間帯を固定値として1つ設けるとしてもよい。この場合には、例えば、副制御部60におけるメダルの真偽判定を行うか否かを切替え可能な切替スイッチを設け、この切替スイッチを、真偽判定を行う(ON)と切替えた場合には、判定処理を有効とし、副制御部60において固定値となる特定の時間帯にもとづいてメダルの真偽判定を行う。一方、切替スイッチを、真偽判定を行わない(OFF)と切替えた場合には、判定処理を無効とし、副制御部60においてメダルの真偽判定を行わないようにすることで、主制御部50のみでメダルの真偽判定が行われることになる。また、特定の時間帯が、上述した本実施形態と同様に複数設けられている場合においても、切替スイッチのON/OFFにもとづいて副制御部60が複数の特定の時間帯にもとづいてメダルの真偽判定を行うか否を切替え可能としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、遊技媒体を用いて遊技が行われる遊技機に利用することができ、特に、クレジット機能を悪用した不正な行為が行われる可能性のあるスロットマシンに好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 スロットマシン(遊技機)
11 選択スイッチ(選択部)
12 異常報知部
20 メダルセレクター(遊技媒体誘導部)
26、27 光センサ(通過検出部)
50 主制御部
52 第一の真偽判定部
60 副制御部
62 第二の真偽判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を投入する遊技媒体投入口と、
前記遊技媒体投入口から投入された遊技媒体を機内へ導く遊技媒体誘導部と、
前記遊技媒体誘導部を通過する遊技媒体を検出して通過信号を出力する通過検出部と、
前記通過信号が入力されるとともに、入力された通過信号にもとづいて遊技の進行を制御する主制御部と、
前記主制御部から送信される所定の指令データにもとづいて所定の演出制御を行う副制御部と、を備え、
前記主制御部が前記副制御部からのデータ受信を禁止する遊技機であって、
前記主制御部は、前記通過信号の示す通過時間と、所定の時間値を定めた第一の判定時間とを比較して、投入された遊技媒体の真偽を判定する第一の真偽判定部を有し、
前記副制御部は、前記通過信号が入力されるとともに、入力された通過信号の示す通過時間と、前記第一の判定時間と時間値の異なる第二の判定時間とを比較して、投入された遊技媒体の真偽を判定する第二の真偽判定部を有し、
当該第二の真偽判定部による偽遊技媒体との判定にもとづいて、異常を報知する異常報知部を備え、
前記主制御部は、前記第一の真偽判定部が偽遊技媒体と判定したときに、遊技の進行を停止させるとともに、前記第二の真偽判定部が偽遊技媒体と判定したときに、前記第一の真偽判定部が偽遊技媒体と判定しない限り、遊技の進行を停止させない
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
時間値の異なる前記第二の判定時間を複数記憶するとともに、いずれか一の前記第二の判定時間を選択可能な選択部を備え、
前記第二の真偽判定部は、前記選択部において選択された一の前記第二の判定時間にもとづいて投入された遊技媒体の真偽を判定する
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記通過検出部は、受光状態と遮光状態とで信号形態の異なる電気信号を出力する一の光学センサからなり、
前記光学センサより出力される前記電気信号は、前記主制御部と前記副制御部とにそれぞれ入力されるとともに、前記主制御部と前記副制御部は、入力された前記電気信号の変移から遊技媒体の通過を検出するとともに前記通過時間を計時し、
前記第一の真偽判定部は、前記通過時間が下限時間と上限時間とで規定される前記第一の判定時間内にあるときに、当該通過時間に係る遊技媒体を真遊技媒体と判定するとともに、前記第一の判定時間以外の通過時間に係る遊技媒体を、偽遊技媒体と判定し、
前記第二の真偽判定部は、前記第一の判定時間内であってこれより時間幅の狭い前記第二の判定時間内にある前記通過時間に係る遊技媒体を、真遊技媒体と判定するとともに、前記第一の判定時間内であっても前記第二の判定時間以外の通過時間に係る遊技媒体を、偽遊技媒体と判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記副制御部は、
前記通過信号が入力される度に、前回の入力から今回の入力までの通過信号の周期を計時するとともに、過去の所定入力数に亘る前記通過信号のそれぞれの周期を記憶し、
前記第二の真偽判定部は、
所定入力数に亘って連続して入力された前記通過信号のそれぞれの周期が、ほぼ同じ時間値を示すときは、連続して入力された各通過信号の示すそれぞれの通過時間と前記第二の判定時間との比較結果にかかわらず、偽遊技媒体と判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−223445(P2012−223445A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95204(P2011−95204)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】