説明

遊技機

【課題】固定式の第1の始動入賞装置と、可変式の第1の始動入賞装置を備え、第2の始動入賞装置への入賞に起因する遊技処理を優先して行う遊技機において、保留数に関する情報を常に同じ条件で表示する。
【解決手段】第1の始動入賞装置に入賞した遊技球の個数を第1の保留数、第2の始動入賞装置に入賞した遊技球の個数を第2の保留数として各々記憶するとともに、当否判定が実行される毎に演出表示装置の表示画面で図柄変動表示等を行う。この表示画面上に、第1の保留数に関する情報及び第2の保留数に関する情報のうちの一方を強調表示態様で表示する第1保留表示領域と、他方を標準表示態様で表示する第2保留表示領域とを互いに独立状態に設ける。開放延長手段の未作動時には第1保留表示領域で第1の保留数に関する情報を表示し、作動時には第1保留表示領域で第2の保留数に関する情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に、いわゆるセブン機、羽根物、権利物又はアレンジボール等の弾球式の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球式の遊技機(パチンコ機)としては、開放条件が成立すると、遊技球が入賞困難な閉鎖状態から入賞容易な開放状態に所定の開放時間に渡って変化する「可変式の始動入賞装置」と、液晶表示装置等で構成される演出表示装置と、大入賞装置(可変入賞装置)とを遊技領域内に配設したものを例示できる。かかる遊技機においては遊技球が始動入賞装置に入賞することに基づいて、大当りを発生させるか否かを当否判定し、当否判定の結果が大当りであると、大当り遊技を実行する。
【0003】
つまり、この種の遊技機においては、(a)始動入賞装置に入賞した遊技球の個数を保留数として累積的に記憶する保留数記憶手段と、(b)始動入賞装置への遊技球の入賞に基づいて発生する判定用乱数(大当り抽選用の乱数や、大当り図柄を決定するための乱数や、リーチ演出の実行の可否を決定するための乱数等)を記憶する判定用乱数記憶手段を備えている。また、保留数記憶手段に記憶されている保留数は、演出表示装置や別の表示装置を用いて表示される。
【0004】
そして、当否判定の実行条件が成立すると、判定用乱数記憶手段に記憶されている判定用乱数を記憶順に1個ずつ読み出して、大当りを発生させるか否かの当否判定(大当り抽選)が行われる。この当否判定は、演出表示装置において、特別図柄を用いた図柄変動表示を行った後に、特別図柄の停止図柄を用いて停止表示(確定表示)される。そして、「当否判定の結果が大当りであることを示す停止図柄(つまり、大当り図柄)」が可変表示装置に確定表示されると、遊技機は大当り遊技(特別遊技)を開始し、大入賞装置を構成する開閉部材の開放動作を行って、閉鎖状態にある大入賞装置を開放状態に変化させる。これにより、大入賞装置を構成する大入賞口への遊技球の入賞が可能、若しくは、容易となる。
【0005】
この後、この大入賞口に所定個数の遊技球が入賞するか、所定時間が経過することにより、一旦、開閉部材の閉鎖動作を行い、大入賞装置を閉鎖状態とし、開閉部材に施される「1回の単位駆動」を完了する。そして、この「開閉部材の単位駆動」が、所定の回数(所謂、「ラウンド数」)だけ繰り返されると、この遊技機は大当り遊技を終了する。そして、この種の遊技機においては、所定条件(大当り発生時の「遊技状態」や「大当り図柄の種類」など)が成立すると、大当り遊技終了後に開放延長手段が作動し、「開閉式の始動入賞装置の開放時間」を延長する。
【0006】
ところで、この種の遊技機の中には、可変式の始動入賞装置の他に、「遊技球受入口の大きさが一定とされる固定式の始動入賞装置」を備え、「可変式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して実行される遊技処理(当否判定処理、図柄変動表示処理等)」を「固定式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して実行される遊技処理(当否判定処理、図柄変動表示処理等)」に優先して行うものある。かかる遊技機では、可変式の始動入賞装置が開放状態となる開放時間を通常に比べ延長する開放延長手段を備え、その開放延長手段の未作動時には、「固定式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して実行される遊技処理」が主体となり、開放延長手段の作動時には、「可変式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して実行される遊技処理」が主体となるのが一般的である。
【0007】
このような遊技機では、固定式の始動入賞装置への入賞に基づく保留数(以下、「第1の保留数」という。)に関する表示と、可変式の始動入賞装置への入賞に基づく保留数(以下、「第2の保留数」という。)に関する表示とを、遊技者がそれぞれ区別して認識できるように行うのが一般的である。例えば、演出表示装置の表示画面上の一箇所に保留表示領域を設け、その領域で第1の保留数および第2の保留数を表示することがある(特許文献1参照、以下、「従来例」という。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−17346号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この従来例を含む従来技術では、第1の保留数を表示する保留表示部位と、第2の保留数を表示する保留表示部位は、それぞれ固定的に設けられている。このため、遊技処理の主体が、「固定式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して実行される遊技処理」と、「可変式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して実行される遊技処理」との間で変更される度に、遊技者にとっては注視する保留表示部位が変化することになる。従って、従来技術においては、主体となる遊技制御が切り替っているにもかかわらず、「保留数に関する情報(保留数等)」を遊技者に対して判り易く適切に示しているとは言い難い。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、固定式の始動入賞装置と可変式の始動入賞装置とを備え、固定式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して行われる遊技処理に対して、可変式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して実行される遊技処理を優先して行う遊技機において、主体となる遊技処理が変更されても、保留数に関する情報を遊技者に対して判り易く適切に示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の遊技機は、
遊技球受入口の大きさが一定とされる第1の始動入賞装置と、
開放条件が成立すると、遊技球が入賞困難な閉鎖状態から入賞容易な開放状態に、所定の開放時間が経過するまで変化する第2の始動入賞装置と、
前記第1の始動入賞装置に入賞した遊技球の個数を第1の保留数として、第1の上限個数を限度としつつ累積的に記憶する第1の保留数記憶手段と、
前記第2の始動入賞装置に入賞した遊技球の個数を第2の保留数として、第2の上限個数を限度としつつ累積的に記憶する第2の保留数記憶手段と、
前記第1の始動入賞装置への遊技球の入賞に基づいて発生する第1の判定用乱数を、前記第1の上限個数を限度に記憶する第1の判定用乱数記憶手段と、
前記第2の始動入賞装置への遊技球の入賞に基づいて発生する第2の判定用乱数を、前記第2の上限個数を限度に記憶する第2の判定用乱数記憶手段と、
前記第1の判定用乱数記憶手段に記憶されている前記第1の判定用乱数を記憶順に1個ずつ読み出して、当りを発生させるか否かの判定を第1の当否判定として行う第1の当否判定手段と、
前記第2の判定用乱数記憶手段に記憶されている前記第2の判定用乱数を記憶順に1個ずつ読み出して、当りを発生させるか否かの判定を第2の当否判定として行う第2の当否判定手段と、
前記第1の判定用乱数記憶手段に前記第1の判定用乱数が記憶され、かつ前記第2の判定用乱数記憶手段に前記第2の判定用乱数が記憶されている場合に、前記第2の当否判定が前記第1の当否判定に優先して行われるように処理する優先処理手段と、
前記第1の当否判定若しくは前記第2の当否判定が実行される毎に、該実行された当否判定の結果を、表示画面上にて演出図柄を用いた図柄変動表示を行った後に確定表示する演出表示装置と、
前記第1の当否判定の実行に基づいて前記図柄変動表示を開始する際に、前記第1の保留記憶手段に記憶されている第1の保留数を減算する第1の保留数減算手段と、
前記第2の当否判定の実行に基づいて前記図柄変動表示を開始する際に、前記第2の保留記憶手段に記憶されている第2の保留数を減算する第2の保留数減算手段と、
前記第2の始動入賞装置の開放時間を延長させる開放延長手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出表示装置の表示画面上に、前記第1の保留数に関する情報及び前記第2の保留数に関する情報のうちの一方を強調表示態様で表示するための第1保留表示領域と、前記第1の保留数に関する情報及び前記第2の保留数のうちの他方を標準表示態様で表示するための第2保留表示領域とを独立した状態に設け、
前記開放延長手段の未作動時には、前記第1保留表示領域で前記第1の保留数に関する情報を表示するとともに前記第2保留表示領域で前記第2の保留数に関する情報を表示し、前記開放延長手段の作動時には、前記第1保留表示領域で前記第2の保留数に関する情報を表示するとともに前記第2保留表示領域で前記第1の保留数に関する情報を表示することを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明の遊技機では、遊技処理の主体が、「第1の始動入賞装置(固定式の始動入賞装置)への遊技球の入賞に関連する第1の遊技処理」と、「第2の始動入賞装置(可変式の始動入賞装置)への遊技球の入賞に関連する第2の遊技処理」との間で変更されても、保留数に関する情報(保留数や保留の有無に関する情報)を遊技者に対して判り易く適切に示すことができる。
【0013】
つまり、「第1の遊技処理」が主体となる開放延長手段の未作動時には、「第1の保留数に関する情報」が「強調表示態様」で第1保留表示領域に表示され、「第2の保留数に関する情報」が強調表示態様よりも目立たない「標準表示態様」で第2保留表示領域に表示される。一方、「第2の遊技処理」が主体となる開放延長手段の作動時には、「第2の保留数に関する情報」が「強調表示態様」で第1保留表示領域に表示され、「第1の保留数に関する情報」が「標準表示態様」で第2保留表示領域に表示される。しかも、「第1保留表示領域」および「第2保留表示領域」は、それぞれ独立して(離して)設けられる。
【0014】
すなわち、請求項1の発明によると、開放延長手段の未作動時及び作動時の何れにおいても、発生・消化の頻度が高い保留情報(第1の保留数に関する情報及び第2の保留数に関する情報のうちの一方)が、第1保留表示領域に目立つ状態で表示され、発生・消化の頻度が低い保留情報(第1の保留数に関する情報及び第2の保留数に関する情報のうちの他方)が、「第1保留表示領域とは独立した状態の第2保留表示領域」に目立たない状態で表示される。従って、請求項1の発明の遊技機によると、遊技処理の主体が、「第1の遊技処理」と「第2の遊技処理」との間で変更されても、保留に係る情報を常に同じ態様で遊技者に対して示すことができる。
【0015】
各請求項の発明において、「強調表示態様」は「標準表示態様(消極表示態様)」に比べて、目立ちやすい表示態様である。例えば、(a)第1保留表示領域(強調表示態様)でなされる「保留数に関する情報の表示(以下、保留表示ということがある。)」の大きさを、第2保留表示領域(標準表示態様)に表示される保留表示の大きさに比べて大きくする態様、(b)第1保留表示領域(強調表示態様)に表示される保留表示の意匠性を、第2保留表示領域(標準表示態様)に表示される保留表示に比べて高くする態様を例示できる。なお、(b)の具体例としては、前者が「キャラクタ」や「キャラクタのシルエット」等を利用した特殊な保留表示であり、後者が「単純な図形(真円,楕円,長円,三角,四角等のその他の多角形等)」、「単純な記号(クエスチョンマーク,音符等の音楽記号、「+」等の演算記号)」、「明朝体やゴシック体等の標準的な字体で描かれた文字や数字(A,B,C,1,2等)」等を利用した通常の保留表示である場合を例示できる。
【0016】
また、「強調表示態様」として、(c)第1保留表示領域(強調表示態様)に表示される保留表示の明るさ(輝度)を、第2保留表示領域(標準表示態様)に表示される保留表示の明るさ(輝度)よりも明るくする態様、(d)「第1保留表示領域(強調表示態様)に表示される保留表示」と、「演出表示装置の表示画面において、第1保留表示領域(強調表示態様)に表示される保留表示の周囲に位置する部分の表示」との間のコントラスト(例えば、明度差)が、「第2保留表示領域(標準表示態様)に表示される保留表示」と、「演出表示装置の表示画面において、第2保留表示領域(強調表示態様)に表示される保留表示の周囲に位置する部分の表示」との間のコントラスト(例えば、明度差)よりも大きい態様を例示できる。更に、(e)第1保留表示領域(強調表示態様)に表示される保留表示と、第2保留表示領域(標準表示態様)に表示される保留表示とのうち、前者のみを「矢印等の指標記号」や「矢印等を模した指標図形」で指し示す態様を例示できる。また、(a)〜(e)のうちの2つ以上を組み合わせた態様を例示することもできる。
【0017】
「第1保留表示領域と第2保留表示領域とを独立した状態に設ける」とは、「第1保留表示領域」と「第2保留表示領域」とを離した状態に設けることを指す。特に、表示画面が略矩形(正面視)に構成される場合、表示画面の4つの縁部寄りの部位(上縁部寄りの部位、下縁部寄りの部位、右縁部寄りの部位、左縁部寄りの部位)から選択される一の部位に「第1保留表示領域」を設け、4つの縁部寄りの部位から選択される他の部位に「第2保留表示領域」を設けることが望ましい。なお、表示画面の周縁部が、盤部品(遊技盤の盤面に装着される部品)等によって隠蔽され、前方から視認不可能となる場合には、表示画面のうちで視認可能となる部位の縁部寄りの位置に「第1保留表示領域」及び「第2保留表示領域」を設けることが望ましい。
【0018】
各請求項の発明において、判定用乱数(抽選用乱数)としては、(a)当り抽選に際して用いる抽選用乱数(大当り抽選乱数及び小当り抽選乱数のうちの少なくとも大当り抽選乱数)、(b)当否判定の結果を示す図柄(大当りを示す図柄のみでもよい。)を決定するための図柄決定乱数、(c)演出表示装置の表示画面で実行される図柄変動表示においてリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ乱数、などを例示できる。また、遊技者にとって有利な状態(後述する高確率モードや時短モード)を終了させるか否かを決定する転落抽選に用いる転落抽選用乱数などの他の乱数を含んでもよい。なお、本明細書では、「判定用乱数記憶手段から最先に記憶された1個の判定用乱数を読み出し、当否判定やこの当否判定に基づく図柄変動表示を行うこと」を「判定用乱数を消化する」と称することがある。
【0019】
各請求項の発明において、「第1の保留数の上限個数(第1の上限個数)」と、「第2の保留数の上限個数(第2の上限個数)」としては「4」を例示できる。また、各請求項の発明において、「第1の上限個数」と「第2の上限個数」とを等しくしてもよいし、それぞれを異なるものとしてもよい。
【0020】
請求項2の発明の遊技機は、請求項1に記載の遊技機において、
前記表示画面上に、前記図柄変動表示が実行される主表示領域を設けるとともに、前記表示画面上のうち前記主表示領域の下方に位置する部位に前記第1保留表示領域を横方向に設け、前記表示画面上のうち前記主表示領域の左方若しくは右方に位置する部位に前記第2保留表示領域を縦方向に設けることを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明の遊技機では、遊技者の視線が集中し易い箇所に第1保留表示領域が位置することとなるので、主体となる遊技処理(前述の「第1の遊技処理」又は「第2の遊技処理」)に対応する保留に係る情報を、より適切に判りやすく遊技者に対して示すことができる。例えば、始動入賞装置(第1の始動入賞装置、第2の始動入賞装置)を演出表示装置の表示画面よりも下方に配置する場合には、遊技者の視線の中心は、「当否判定の結果等が表示される主表示領域」と「当否判定の実行の可否に直結する始動入賞装置」との間を行き来することになる。そして、請求項2の発明では、その際、遊技者の視線の中心が通過する通過経路上(主表示領域と始動入賞装置の上下方向中間位置)に、保留表示を強調表示態様で行う第1保留表示領域を設け、通過経路外に保留表示を標準表示態様で行う第2保留表示領域を設ける。つまり、遊技者の視線の中心が通過する通過経路上に、「遊技処理の主体なっている判定用乱数に関係する保留表示」が強調表示態様で表示される。従って、請求項2の発明によると、遊技処理の主体が「第1の遊技処理」と「第2の遊技処理」との間で変更される場合において、保留に係る情報をより適切に判り易く示すことができる。
【0022】
なお、演出表示装置の表示画面が、遊技機の前方から略矩形状に視認される場合(表示画面が略矩形に構成され、その略全域が視認される場合や、表示画面の周縁部が盤部品で隠蔽され、その隠蔽された表示画面の周縁部を除く部位が遊技機の前方から略矩形状に視認される場合等)には、その「視認される部位」のうちで、下縁部寄りに位置する個所に「第1保留表示領域」を設け、その「視認される部位」のうちで、左縁部寄りに位置する個所若しくは右縁部寄りに位置する個所に「第2保留表示領域」を設ける態様を例示できる。
【0023】
請求項3の発明の遊技機は、請求項1又は2に記載の遊技機において、
前記第1の判定用乱数が予め定められた第1の特定値と一致するか否かを、前記第1の当否判定の実行に先立って、前記第1の判定用乱数を取得したときに判定する第1の事前判定手段と、
前記第2の判定用乱数が予め定められた第2の特定値と一致するか否かを、前記第2の当否判定の実行に先立って、前記第2の判定用乱数を取得したときに判定する第2の事前判定手段と、
を備え、
前記第1の事前判定手段の判定結果若しくは前記第2の事前判定手段の判定結果に基づく予告表示を、前記第1保留表示領域で行うことを特徴とする。
【0024】
請求項3の発明の遊技機では、保留表示を強調表示態様で行う第1保留表示領域で事前判定の結果に係る予告表示を行うため、遊技処理の主体が「第1の遊技処理」と「第2の遊技処理」との間で変更されても、事前判定の結果に係る情報を遊技者に判り易く適切に示すことができる。
【0025】
ここで、事前判定としては、例えば、(a)大当りを生ずるか否かを判定用乱数の取得時に判定する事前判定、(b)リーチ演出の実行の有無を判定用乱数の取得時に判定する事前判定、(c)転落抽選の当落を判定用乱数の取得時に判定する事前判定、などを例示できる。
【0026】
ここで、各請求項の発明の遊技機が、
「前記当否判定手段(第1の当否判定手段、第2の当否判定手段)を構成するとともに遊技の基本進行を司る主制御部によって表示制御され、前記当否判定の結果を、本図柄(特別図柄の一態様)を用いた変動表示を経て確定表示する主可変表示手段と、
前記主制御部から送信される表示制御コマンドを受信する副制御部によって表示制御され、前記当否判定の結果を、演出図柄(特別図柄の他態様)を用いた図柄変動表示を経て確定表示する演出表示手段(前記演出表示装置)と、
を備えること」
を特徴としてもよい。
【0027】
この場合、「主可変表示手段と演出表示手段(前記演出表示装置)とが別個の表示装置で構成される態様」と、「同一の表示装置が構成する表示部のうちの異なる部分によって構成される態様」と、「主可変表示手段と演出表示手段(前記演出表示装置)とが別個の表示装置で構成されるとともに、演出表示手段(前記演出表示装置)の一部において、本図柄と同一内容の補助図柄を表示する態様」等を例示できる。なお、表示制御コマンドとしては、変動パターン決定手段が決定した変動パターンを特定するための変動パターン指定コマンド、特別図柄停止情報指定コマンド(後述する。)、停止図柄指定コマンド(後述する。)などを例示できる。
【0028】
本明細書において、「当り」は「大当り」のみを指してもよいし、「大当り」及び小当りの双方を指してもよい。つまり、各請求項の発明の遊技機は、「始動入賞に起因して、大当りを発生させるか否かを当否判定によって判断する遊技機(大当り抽選及び小当り抽選のうちで大当り抽選のみを行う遊技機)」であってもよいし、「始動入賞に起因して、大当り抽選を行うとともに、小当り(大当りに比べて遊技者にとって得られる利益が少ない当り)を発生させるか否かの抽選を小当り抽選として行う遊技機(つまり、当否判定によって、大当り抽選及び小当り抽選を行う遊技機)」であってもよい。なお、前者の場合、当り遊技として大当り遊技のみが行われ、後者の場合、当り遊技として大当り遊技若しくは小当り遊技が行われる。また、後者の場合、小当り抽選に用いる抽選用の乱数として、大当り抽選のための乱数とは別の乱数を用いることとしもよい、大当り抽選のための乱数を用いること(大当り抽選で外れとなる乱数値から小当り抽選の当選値を選択すること)としてもよい。
【0029】
なお、各請求項の遊技機は、大当り遊技の終了後において遊技者に遊技上の利益(遊技上の価値)を付与する利益付与手段を1若しくは複数備えている。そして、「遊技モード設定手段」は、利益付与手段(以下に示す、確率変動手段、開放延長手段など)の作動の有無を選択することで、大当り遊技の終了後の遊技モードを、遊技者にとって遊技上の価値が異なる何れかの遊技モードに設定する。そして、遊技モード設定手段が設定した遊技モードに従って、大当り遊技終了後の遊技(図柄変動表示)が進行していく。
【0030】
例えば、「利益付与手段」として、「大当り遊技の終了後に大当り抽選の結果が大当りとなる確率を低確率から高確率に変動する確率変動手段」を備える場合には、遊技機の遊技モードを、確率変動手段を作動させる「高確率モード」と、確率変動手段の作動を停止させる「低確率モード」とのうちの何れかに設定できる。なお、以下の説明において、確率変動手段の作動の有無によって生ずる遊技モードを、「確率モード」と称することがある。そして、「確率設定手段が大当り抽選の当選確率を低確率に設定することを内容とする遊技モード」を「低確率モード(通常確率モード)」と称し、「確率設定手段が大当り抽選の当選確率を低確率に設定することを内容とする遊技モード」を「高確率モード」と称することがある。
【0031】
各請求項の発明の遊技機は、「利益付与手段」として、「大当り遊技の終了後に可変式の始動入賞装置(第2の始動入賞装置)における開放時間を延長させる開放延長手段」を備えるが、遊技機の遊技モードを、開放延長手段を作動させる「開放延長モード」と、開放延長手段の作動を停止させる「通常開放モード」とのうちの何れかに設定できる。なお、以下の説明において、開放延長手段の作動の有無によって生ずる遊技モードを、「開放モード」と称することがある。
【0032】
「利益付与手段」として、「変動時間短縮手段」を備える場合には、遊技機の遊技モードを、変動時間短縮手段を作動させる「短縮変動長モード(時短モード)」と、変動時間短縮手段の作動を停止させる「通常変動モード」とのうちの何れかに設定できる。なお、以下の説明において、変動時間短縮手段の作動の有無によって生ずる遊技モードを、「変動モード」と称することがある。なお、通常、「開放延長手段」が作動する場合には「変動時間短縮手段」も作動し、「開放延長手段」が作動を停止する場合には「変動時間短縮手段」も作動を停止する。
【0033】
「確率変動手段」及び「開放延長手段」の作動の有無を選択することで、最大4通りの遊技モードを設定できる。つまり、(a)「高確率モード」と「開放延長モード」との組み合わせにより実現される遊技モード(以下、「高確率開放延長モード」という。)と、(b)「低確率モード」と「開放延長モード」との組み合わせにより実現される遊技モード(以下、「低確率開放延長モード」という。)と、(c)「高確率モード」と「通常開放モード」との組み合わせにより実現される遊技モード(以下、「高確率通常開放モード」という。)と、(d)「低確率モード」と「通常開放モード」との組み合わせにより実現される遊技モード(以下、「低確率通常開放モード」という。)とのうちの何れかに設定できる。なお、前述の「非潜伏確変状態」では、「高確率開放延長モード」に設定され、前述の「潜伏確変状態」では、「高確率通常開放モード」に設定される。
【0034】
「確率変動手段」及び「変動時間短縮手段」の作動の有無を選択することで、最大4通りの遊技モードを設定できる。つまり、(e)「高確率モード」と「短縮変動モード」との組み合わせにより実現される遊技モード(以下、「高確率短縮変動モード」と称する。)、(f)「低確率モード」と「短縮変動モード」との組み合わせにより実現される遊技モード(以下、「低確率短縮変動モード」と称する。(g)「高確率モード」と「通常変動モード」との組み合わせにより実現される遊技モード(以下、「高確率通常変動モード」と称する)、(h)「低確率モード」と「通常変動モード」との組み合わせにより実現される遊技モード(以下、「低確率通常変動モード」と称する。)とのうちの何れかに設定できる。
【0035】
なお、上述の「(a)の遊技モードと(e)の遊技モード」、「(b)の遊技モードと(f)の遊技モード」、「(c)の遊技モードと(g)の遊技モード」、「(d)の遊技モードと(h)の遊技モード」の遊技モードは、各々同義となる。蓋し、「変動時間短縮手段」及び「開放延長手段」は同時に作動し、同時に作動を停止するからである。なお、所謂「潜伏確変状態」では「高確率通常変動モード」に設定される。
【0036】
ここで、本明細書において、「前」及び「表」は、「遊技機を基準とする前方(つまり、遊技者に近接する方向)」を示し、「後」及び「裏」は、遊技機を基準とする後方(つまり、遊技者から離間する方向)」を示す。また、「左」とは、遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは「遊技者から見て右」であることを示す。更に、本体枠、前面枠、上皿部材、下皿部材等のように、「扉の如く、開閉可能な部材(以下、「扉型部材」という。)」において、「左」、「右」、「前」、「後」等は、これらの扉型部材が使用状態にある場合、つまり、閉鎖された状態にある場合を基準としたものである。
【発明の効果】
【0037】
以上記述したように各請求項の発明によると、固定式の始動入賞装置と可変式の始動入賞装置とを備え、固定式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して行われる遊技処理に対して、可変式の始動入賞装置への遊技球の入賞に起因して実行される遊技処理を優先して行う遊技機において、主体となる遊技処理が変更されても、保留数に関する情報を遊技者に対して判り易く適切に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の各実施例に係る遊技機を示す斜視図である。
【図2】本発明の各実施例に係る遊技機を示す正面図である。
【図3】本発明の各実施例に係る遊技機の本体枠等を説明するための概略的な説明図である。
【図4】本発明の各実施例に係る遊技機の遊技盤を示す正面図である。
【図5】(a)及び(b)は各実施例に係る遊技機の可変式の始動入賞装置を概略的に示す正面図である。
【図6】(a)は各実施例に係る遊技機の下部表示装置を概略的に示す正面図であり、(b)は各実施例に係る遊技機の下部表示装置で実行される特別図柄の変動表示態様を示す説明図である。
【図7】各実施例に係る遊技機の演出表示装置の表示画面を概略的に示す正面図である。
【図8】(a)は開放延長手段未作動時における演出表示装置の表示画面の表示態様を説明するための説明図であり、(b)は開放延長手段作動時における演出表示装置の表示画面の表示態様を説明するための説明図である。
【図9】本発明の各実施例に係る遊技機を示す裏面図である。
【図10】本発明の各実施例に係る電子制御装置を示すブロック図である。
【図11】(a)は本発明の各実施例に係る遊技機において、主制御部の内蔵RAMに格納された各種メモリ等の代表例を示す説明図であり、(b)本発明の各実施例に係る電子制御装置を示すブロック図である。
【図12】各実施例に係る遊技機の特図1大当り抽選(第1の大当り抽選)で使用するデータテーブルを説明するための説明図である。
【図13】各実施例に係る遊技機の特図2大当り抽選(第2の大当り抽選)で使用するデータテーブルを説明するための説明図である。
【図14】(a)〜(c)は疑似図柄の内容を説明するための説明図である。
【図15】各実施例に係る遊技機の特図1小当り抽選(第1の小当り抽選)で使用するデータテーブルを説明するための説明図である。
【図16】(a)〜(c)は本発明の各実施例に係る遊技機によって実行される図柄変動表示を説明するための説明図である。
【図17】(a)及び(b)は各実施例に係る遊技機において主制御部からコマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。
【図18】各実施例に係る遊技機の遊技制御処理を示すフロー図である。
【図19】各実施例に係る遊技機の普通電動役物遊技処理を示すフロー図である。
【図20】各実施例に係る遊技機の特別図柄遊技処理を示すフロー図である。
【図21】各実施例に係る遊技機の特別図柄遊技処理を示すフロー図である。
【図22】各実施例に係る遊技機の特別図柄遊技処理を示すフロー図である。
【図23】各実施例に係る遊技機の特別図柄遊技処理を示すフロー図である。
【図24】各実施例に係る遊技機の特別図柄遊技処理を示すフロー図である。
【図25】各実施例に係る遊技機の特図1変動表示開始処理を示すフロー図である。
【図26】各実施例に係る遊技機の特図1変動表示開始処理を示すフロー図である。
【図27】各実施例に係る遊技機の特図2変動表示開始処理を示すフロー図である。
【図28】各実施例に係る遊技機の特図2変動表示開始処理を示すフロー図である。
【図29】各実施例に係る遊技機の当り遊技処理を示すフロー図である。
【図30】各実施例に係る遊技機の当り遊技終了時処理を示すフロー図である。
【図31】各実施例に係る遊技機の当り遊技終了時処理を示すフロー図である。
【図32】各実施例に係る遊技機の演出制御処理を説明するためのフロー図である。
【図33】各実施例に係る遊技機の図柄変動演出関連処理を示すフロー図である。
【図34】各実施例に係る遊技機の保留表示領域設定処理を示すフロー図である。
【図35】各実施例に係る遊技機の特図1保留関連処理を説明するためのフロー図である。
【図36】各実施例に係る遊技機の特図2保留関連処理を説明するためのフロー図である。
【図37】(a)は実施例2を説明する説明図であり、(b)は変形例1を説明する説明図であり、(c)は変形例2を説明する説明図である。
【図38】変形例3を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、発明を実施するための最良の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、各請求項に係る発明を、「セブン機」と称する遊技機(パチンコ機)1に適用した各具体例について説明する。
【実施例1】
【0040】
(1)機械的な構造
a.遊技機の全体構造
先ず、この遊技機1の全体構造について、図1〜図3を参照して説明する。この遊技機1は、図1及び図2に示すように、外枠2と、この外枠2に装着された遊技機本体Hと、を備えている。また、外枠2は、パチンコホールの島設備に設けられた設置部位に固定されると共に遊技機本体Hを支持するためのものである。この外枠2は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体21(図1及び2を参照)と、外枠本体21の前面下部を覆う前板部22とを備えている。
【0041】
遊技機本体Hは、外枠2の左端側上下のヒンジH1、H2(図1を参照)を用いて、外枠2の左端側に回動自在に組み付けてられている。この遊技機本体Hは、遊技機1のうちで外枠2を除く部分であって、図1に示すように、本体枠3と、前面枠4と、上皿部材5と、下皿部材6と、遊技盤10(図4を参照)と、裏機構盤102(図9を参照)等を主要部としている。また、本体枠3は、図3に示すように、外枠2に嵌めこまれ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。尚、本体枠3の右端側には、施錠装置7が装着されている。
【0042】
本体枠3は、全体がプラスチック製であり、図3に示すように、枠状体によって構成されている。この本体枠3は、上半部に窓部3Mを備える枠本体部3bと、枠本体部3bの裏面部から略矩形枠状に突出する突出部3cとを備える。そして、本体枠3は、この突出部3cを用いて遊技盤10を保持するための保持部を構成している。つまり、突出部3cの突端面であって、窓部3Mの左方側の上下と、窓部3Mの右方側の上下には保持具3fが回動可能な状態で装着され、保持具3fの突端部を遊技盤10の後面部に当接させることで遊技盤10が本体枠3により保持されている。
【0043】
本体枠3が遊技盤10を保持したとき、「遊技盤10の前面部10aに構成される遊技領域11」を、窓部3Mによって本体枠3の前方から視認することができる。また、遊技盤10の背面部には、裏機構盤102(図9参照)が装着され、この背面部を覆う状態とされている。なお、遊技球を上皿部材5に払い出すための遊技球払出装置109が、裏機構盤102に配設されている(図9を参照)。
【0044】
前面枠4は、図1に示すように、本体枠3の前面側に配置され、本体枠3の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠4はその中央部に視認窓41aを備えている。この視認窓41aは前面枠4の前後に貫通する状態に設けられ、遊技盤10の盤面に形成された遊技領域11(図4参照)の外周形状に対応して略円周状に開設され、前面枠4を閉じたときにその背後に配置される遊技領域11が、この視認窓41aによって前方から視認可能とされる。
【0045】
前面枠4は、図1に示すように、枠本体41と、この枠本体41に装着されるガラス板43と、ガラス板43を枠本体41に保持させるための保持具(図示を省略)とを備える。また、前面枠4の上端部側の左右には、各々スピーカSP1、SP2(図11(b)参照)が内蔵されている。また、本遊技機1においては、前板部22の左右両端にも、スピーカSP3、SP4(図11(b)参照)が内蔵されている。そして、本遊技機1においては、これらのスピーカSP1〜SP4を用いて、遊技状態に応じた効果音その他の音(音声)を発生させる。
【0046】
遊技機本体Hの前面部のうちで前面枠4の下方の部位には、上皿部材5と下皿部材6とが設けられている。すなわち、上皿部材5は前面枠4の下方に配置され、その略容器形状とされる内部に遊技機1から排出される遊技球を受け入れるための受入口5bを備えている。尚、上皿部材5の裏側には、球貸表示基板410(図10参照)及び演出ボタン基板228(図11(b)参照)が設けられ、上皿部材5の上面部には「演出ボタンSW」が配置されている(図1を参照)。
【0047】
図1及び図2に示すように、下皿部材6は上皿部材5の下方に配置されている。この下皿部材6の略中央には、その略容器形状とされる内部に上皿部材5から排出される遊技球を受け入れるための受入口6aを備えている。また、下皿部材6の左端には灰皿6bが設けられ、下皿部材6の右端には発射ハンドル9が設けられている。
【0048】
発射ハンドル9は、その後方の発射装置ユニット(図示を省略)に接続されている。ここで、発射装置ユニットは、球送り装置(図示を省略)から送り出される遊技球を、遊技領域11に発射するためのものである。また、発射ハンドル9には、遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ(タッチセンサ)9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。
【0049】
b.遊技盤10の構成
次に、遊技盤10の構成について図4等を用いて説明する。この遊技盤10は正面視で略矩形状の合板を用いて構成される遊技盤本体10Aと、この遊技盤本体10Aに装着される各種の盤部品(外側レール12、内側レール13、メイン役物装置20等)が装着されている。尚、この遊技盤本体10Aの前面部には、セル画が印刷されたシート状物が貼着されているが図示を省略する。
【0050】
遊技盤本体10Aは、正面視で略円形とされる領域形成部10Bと、領域形成部10Bの周囲に位置する領域外部10Cとを備える。また、遊技盤本体10Aの前面部には、ともに帯状の金属板を用いて構成される外側レール12と、内側レール13とが配設されている。そして、領域形成部10Bの前面部は、この外側レール12及び内側レール13が形成する略円形の周壁によって略包囲されつつ、遊技領域11を構成している。この領域形成部10B(つまり、遊技盤10において遊技領域11内に位置する部位)には、メイン役物装置20と、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16と、第1の始動入賞装置17aと、第2の始動入賞装置17bと、大入賞装置31と、下部表示装置60と、3個の一般入賞装置40、41、43と、多数の障害釘(図示を省略)と、風車19等が配設されている。
【0051】
メイン役物装置20は、取付部材(化粧板)21と、演出表示装置27と、特別図柄保留表示装置25とを備えている。このうち、取付部材21は、領域形成部10Bの前面部に装着される板状体によって構成され、図4に示すように、遊技領域11の上半部中央部を構成している。この取付部材(化粧板)21には、窓部形成孔21dが設けられ、この窓部形成孔21dによって表示窓21eを構成している。尚、この表示窓21eは正面視で略矩形状とされている。
【0052】
図4に示すように、取付部材21の下縁部には、ステージ部21pが前方に突出する状態に装着され、取付部材21の周縁部のうちのその他の部位には装飾部材21Aが、前方に突出する状態に装着されている。この装飾部材21Aは、取付部材21の上縁部から突出する庇部21Hと、取付部材21の左縁部から突出する左側装飾部21Lと、取付部材21の右縁部から突出する右装飾部21Rとを備えている。
【0053】
左側装飾部21Lの内部に遊技球の通路(所謂「ワープ通路」)21wが形成されている。つまり、左側装飾部21Lの左側面部において、この通路21wの進入口(図示を省略)が、左斜め上方に向かって開口し、遊技領域11を流下する遊技球を、この進入口で受け入れ、ステージ部21p上(メイン役物装置20の内部)に進入させる。また、ステージ部21pは、その上面部によって遊技球の転動面を構成する。この転動面は、左右の端部から中央部に向かって下る傾斜面として構成されているが、転動面の中央部では上方に向かって僅かに隆起する隆起部とされている。
【0054】
本遊技機1においては、遊技領域11を流下し、通路21wを通じて転動面の左端部に到達した遊技球は、転動面上を右方向に転動し、更に、左方向に転動する。そして、遊技球の勢いが衰えたところで、この遊技球はメイン役物装置20外に排出されるが、転動面の中央部から排出される遊技球の多くは、一定の確率で第1の始動入賞装置17aに入賞する。尚、遊技領域11を流下して第1の始動入賞装置17aに入賞する遊技球の中には、メイン役物装置20に進入せずに第1の始動入賞装置17aに入賞するものと、メイン役物装置20に進入し、ステージ部21p上を転動した後に第1の始動入賞装置17aに入賞するものがある。
【0055】
演出表示装置27は、液晶表示装置によって構成されるものである。この演出表示装置27においては、下部表示装置60における特別図柄の変動表示および停止表示に連動する演出表示(変動表示および停止表示)を実行する演出表示装置として機能する。尚、本実施例では、下部表示装置60が、本図柄(特別図柄の一具体例を示す。)を用いて変動遊技を行い、演出表示装置27が、疑似図柄(特別図柄の他の具体例を示す。)を用いて図柄変動表示を行う。なお、本実施例の演出表示装置27においては、本図柄と同一の内容を示す補助図柄(後述する。)が表示される。
【0056】
演出表示装置27の表示画面27aは、その全体、若しくは、一部を用いて種々の図柄を表示可能である。この表示画面27aは、その略全域が遊技機1の前方から視認可能とされている。また、表示画面27aには、図7に示すように、3つの疑似図柄表示部27b〜27dと、背景図柄表示部27hとが出現することがある。この場合、この疑似図柄表示部27b〜27dは、表示画面27aにおいて横方向に3つ並んで配置される。このように出現する各疑似図柄表示部27b〜27dでは、「疑似図柄」を用いた演出表示(変動表示)と、停止表示等がなされる。ここで、疑似図柄表示部27b〜27dは、主表示領域(疑似図柄を用いた図柄変動表示と、疑似図柄の停止図柄の確定表示とがなされる領域)の具体例を構成する。
【0057】
表示画面27aの略全域が、背景を示す図柄(以下、背景図柄といい、背景図柄として特定の地色を表示する場合もある。)を表示するための背景図柄表示部27hを構成する。そして、表示画面27aに疑似図柄表示部27b〜27dが表示されるときには、背景図柄表示部27hと、疑似図柄表示部27b〜27dとが重ね合わされて表示される状態となる。なお、背景図柄表示部27hには、背景図柄と共にキャラクタを示す図柄(以下、キャラクタ図柄という。)を表示することができる。これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」は、演出表示装置27の表示画面27aに表示される「演出図柄」の一具体例を示すものであり、これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」により「図柄変動表示」が実現される。
【0058】
図7に示すように、表示画面27aにおいて、上縁部寄りであって、左端側の位置に、後述する第1の特別図柄表示部62aと連動して変動表示される第1の補助図柄表示領域Aと、後述する第2の特別図柄表示部62bと連動して変動表示される第2の補助図柄表示領域Bとが出現する。これらの補助図柄表示領域A、Bでは、「複数色の色部分を組み合わせたモザイク模様」を用いた「補助図柄」が、対応する特別図柄表示部62a、62b(第1の特別図柄、第2の特別図柄)と連動して変動表示を行った後、対応する特別図柄表示部62a、62bと同時に変動表示を停止する。そして、変動表示を停止すると、補助図柄の停止図柄が確定表示され、その停止図柄によって当否判定の結果(大当りか、小当りか、外れか、確率変動大当りか等)が表示される。但し、その停止図柄の種類が多く、しかも、各停止図柄が紛らわしい態様であるため、その停止図柄の意味する内容(大当りか、小当りか、外れか、確率変動大当りか等)を遊技者が理解することが困難である。また、「補助図柄表示領域A、Bに確定表示される停止図柄によって特定される内容(当否判定の結果)」は、対応する特別図柄表示部62a、62b(第1の特別図柄、第2の特別図柄)の停止表示によって特定される内容(当否判定の結果、特に、確率変動大当りであるか否か等)と同一内容とされる。
【0059】
図7に示すように、表示画面27aにおいて、下縁部寄りの位置(疑似図柄表示部27b〜27dの下方の位置)に、第1保留表示領域(D1、D2、D3、D4)が出現し、左縁部寄りの位置(疑似図柄表示部27b〜27dの左側方の位置)に、第2保留表示領域(E1、E2、E3、E4)が出現することがある。そして、第1保留表示領域(D1〜D4)と第2保留表示領域(E1〜E4)とのうちの一方に、第1の始動入賞装置17aへの入賞に起因して生ずる「特別図柄(つまり、第1の特別図柄)に関する保留数(つまり、第1の保留数)」を「4個」を上限個数として表示し、第1保留表示領域(D1〜D4)と第2保留表示領域(E1〜E4)とのうちの他方に、第2の始動入賞装置17bへの入賞に起因して生ずる「特別図柄(つまり、第2の特別図柄)に関する保留数(第2の保留数)」を「4個」を上限個数として表示する。なお、第1の保留数を表示するための表示部と、第2の保留数を表示するための表示部を、表示画面27a外にも別途設けることもできる。
【0060】
第1保留表示領域(D1〜D4)は、左から右に向かって、第1の表示部D1と、第2の表示部D2と、第3の表示部D3と、第4の表示部D4とを並べた構成を備え、各表示部D1〜D4には、「キャラクタ図柄(例えば、イカのキャラクタ図柄や、タコのキャラクタ図柄)」を表示することができる。また、第2保留表示領域(E1〜E4)は、下から上に向かって、第1の表示部E1と、第2の表示部E2と、第3の表示部E3と、第4の表示部E4とを並べた構成を備え、各表示部E1〜E4には、「球(真円)をあしらった図形」を表示することができる。また、第1保留表示領域(D1〜D4)を構成する各表示部D1〜D4のサイズは、第2保留表示領域(E1〜E4)を構成する各表示部E1〜E4のサイズよりも大きくされている(例えば、3〜20倍)。つまり、第1保留表示領域(D1〜D4)は、強調表示態様で保留数を表示する領域であり、第2保留表示領域(E1〜E4)は、標準表示態様(消極表示態様)で保留数を表示する領域である。
【0061】
何れの保留表示領域(D1〜D4、E1〜E4)も、始動入賞装置17a、17bに入賞したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)を、「使用中の表示部D1〜D4、E1〜E4」の数によって表示するとともに、未消化の遊技球が消化される毎に「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。つまり、保留数が「1」の場合、添え字1を付した表示部(D1、E1)のみを使用し、保留数が「2」の場合、添え字1を付した表示部(D1、E1)と、添え字2を付した表示部(D2、E2)を使用する。更に、保留数が「3」の場合、添え字4を付した表示部以外の表示部(D1〜D3、E1〜E3)を使用し、保留数が「4」の場合、全ての表示部(D1〜D4、E1〜E4)を使用する。また、保留数が「4」から「3」に減った場合、添え字4を付した表示部(D4、E4)の使用を止め、保留数が「3」から「2」に減った場合、添え字3を付した表示部(D3、E3)の使用を止める。また、保留数が「2」から「1」に減った場合、添え字2を付した表示部(D2、E2)の使用を止め、保留数が「1」から「ゼロ」に減った場合、全ての表示部(D1〜D4、E1〜E4)の使用を止めることとされている。なお、各特別図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、始動入賞装置17a、17bに入賞したが、対応する特別図柄表示部62a、62bにおいて、「当該入賞に伴う大当り抽選の結果の表示」と、これに先行する変動表示とがなされていない遊技球を指す。
【0062】
図8(a)に示すように、開放延長手段の未作動時(遊技処理の主体が第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因する「特図1遊技処理(第1の遊技処理)」である場合)には、第1の保留数(第1の特別図柄に対応する保留数)が第1保留表示領域(D1〜D4)を用いて表示され、第2の保留数(第2の特別図柄に対応する保留数)が第2保留表示領域(E1〜E4)を用いて表示される。そして、何れの保留表示領域(D1〜D4、E1〜E4)においても、使用する表示部(D1〜D4、E1〜E4)の数を用いて保留数が表示される。ここで、図8(a)に示す具体例では、第1保留表示領域(D1〜D4)を構成する全ての(4個の)表示部(D1〜D4)に「キャラクタ図柄」を表示することで、第1の保留数が「4」であることを示している。また、第2保留表示領域(E1〜E4)を構成する2個の表示部(E1、E2)を、「赤色(赤色を図中、2重丸で表示)」することで、第2の保留数が「2」であることを示している。
【0063】
図8(b)に示すように、開放延長手段の作動時(遊技処理の主体が第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因する「特図2遊技処理(第2の遊技処理)」である場合)には、第2の保留数(第2の特別図柄に対応する保留数)が第1保留表示領域(D1〜D4)を用いて表示され、第1の保留数(第1の特別図柄に対応する保留数)が第2保留表示領域(E1〜E4)を用いて表示される。そして、何れの保留表示領域(D1〜D4、E1〜E4)においても、使用する表示部(D1〜D4、E1〜E4)の数を用いて保留数が表示される。ここで、図8(b)に示す具体例では、第1保留表示領域(D1〜D4)を構成する2個の表示部(D1、D2)に「キャラクタ図柄」を表示することで、第2の保留数が「2」であることを示している。また、第2保留表示領域(E1〜E4)を構成する1個の表示部(E1、E2)を、「青色(青色を図中、黒丸で表示)」することで、第1の保留数が「1」であることを示している。
【0064】
また、図8(a)に示す具体例では、第1保留表示領域(D1〜D4)を構成する「第3の表示部D3」のみに、第1保留表示領域(D1〜D4)を構成する「他の表示部D1、D2、D4」とは異なるキャラクタ図柄(タコのキャラクタ図柄)が表示されている。これは、現在、第3の表示部D3に表示されている保留数に対応する判定用乱数を、その取得時に事前判定した結果が、「大当り」であることを示している。つまり、本実施例では、「キャラクタ図柄」として「イカのキャラクタ図柄」でなく、「タコのキャラクタ図柄」を表示することによって、「大当り予告」がなされる。この「大当り予告」を実現する「タコのキャラクタ図柄」の表示は、「予告表示(保留予告演出)」の一具体例を示すものである。なお、図8(a)及び(b)において、補助図柄表示領域A、Bうちで、「二重丸」で示すものが、変動表示を行っていることを示し、「一重丸」で示すものが、変動表示を行っていないことを示している。
【0065】
第1の始動入賞装置17a(第1の始動口)は非可変式(固定式)の始動入賞装置の具体例を構成するものであり、上方に開口部(遊技球受入口)を開口させたポケット形状を備えている。この第1の始動入賞装置17aは、その開口部(遊技球受入口)の大きさが、1球の遊技球の通過を許容する大きさとされ、その大きさが拡大されたり縮小されたりすることは無く、第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞可能性は一定とされている。そして、この第1の始動口は、ステージ部21p(転動面)の中央部の略鉛直下方に位置するため、その中央部から落下する遊技球は、この第1の始動口を通じて、第1の始動入賞装置17に入賞する確率が高くされている。また、第1の始動入賞装置17の内部には遊技球の通過を検出する始動口入賞検出スイッチ17s(図10参照)が配設されている。
【0066】
第2の始動入賞装置17b(第2の始動口)は可変式(開閉式)の始動入賞装置の具体例を構成するものであり、第1の始動入賞装置17aの直下に配設されている。この第2の始動入賞装置17bは、図5(a)に示すように、遊技盤本体10Aにビス止め固定される取付板17cと、取付板17cの前面部に装着されて第2の始動入賞装置17bの入口側部分を構成する普通電動役物17dと、取付板17cの前面部に装着された障害部材17kと、を備えている。
【0067】
普通電動役物17dは、いわゆるチューリップ式で左右に配設された一対の可動翼片17e、17eと、一対の可動翼片17e、17eを作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図10参照)とを備えている。このうち、可動翼片17e、17eはそれぞれの下方側の支軸を中心に、上端側を相互に離間するように、左右に開放可能とされる。そして、両可動翼片17e、17eが立設状態となる閉鎖状態にあるときに、可動翼片17e、17eの上端部間の間隔が縮小される。また、普通電動役物ソレノイド17cを駆動して、両可動翼片17e、17eを、下端側の軸心に上端側を相互に離間するように傾動させると、可動翼片17e、17eの上端部間の間隔が拡大され、開放状態とされる。また、障害部材17kは、普通電動役物17dの鉛直上方に配設されている。また、第2の始動入賞装置17bの内部には遊技球の通過を検出する始動口入賞検出スイッチ17t(図10参照)が配設されている。
【0068】
図5(a)に示すように、第2の始動入賞装置17bが閉鎖状態になると、一対の可動翼片17e、17eの上端部間には、1球の遊技球の通過を許容する空間部K1が形成されるが、この空間部K1の鉛直上方に障害部材17kが配設されている。このため、閉鎖状態にある第2の始動入賞装置17bに遊技球が入賞することは不可能されている。一方、図5(b)に示すように、第2の始動入賞装置17bが開放状態になり、一対の可動翼片17e、17eが左右に開くと、可動翼片17e、17eの上端部間の間隔K1が、障害部材17kの左右全幅よりも拡大される。このため、障害部材17Kの左右を通過した遊技球が、第2の始動入賞装置17bへ入賞することが可能となる。
【0069】
本遊技機1においては、第2の始動入賞装置17bが開放状態となると、遊技領域11を流下する遊技球が第2の始動入賞装置17bに入賞する確率は、遊技領域11を流下する遊技球が第1の始動入賞装置17aに入賞する確率に比べて高くなっている。そして、遊技機1の遊技モードが開放延長モード(後述する。)となり、第2の始動入賞装置17bが開放状態となる時間が長くなると、遊技球が第2の始動入賞装置17bに入賞する確率は第1の始動入賞装置17aに入賞する確率に比べて遙かに高くなる。なお、本実施例では、開放延長モードにおける第2の始動入賞装置17bの開放時間を「5秒」としており、非開放延長モード(通常開放モード)における第2の始動入賞装置17bの開放時間を「0.2秒」としている。
【0070】
一方、前述のように、第2の始動入賞装置17bが閉鎖状態になると、遊技球が第2の始動入賞装置17bに入賞することが不可能であるため、遊技機1の遊技モードが開放延長モードでない場合、遊技球が第2の始動入賞装置17bに入賞する確率は第1の始動入賞装置17aに入賞する確率に比べて遙かに低くなる。すなわち、遊技機1の遊技モードが開放延長モードとなると、遊技球が第1の始動入賞装置17aに入賞するケースはレアケースとなり、遊技機1の遊技モードが開放延長モードでない場合、遊技球が第2の始動入賞装置17bに入賞するケースはレアケースである。
【0071】
ここで、「開放状態の第2の始動入賞装置17bに遊技球が入賞する確率」は、「第1の始動入賞装置17aに遊技球が入賞する確率」よりも遙かに高くされている。このため、遊技機1の遊技モードが開放延長モードにあるときには、非開放延長モード(通常開放モード)にあるときに比べて、第2の始動入賞装置17bの始動入賞を生ずる確率が高くなり、下部表示装置60及び演出表示装置27において、特別図柄(特に、第2の特別図柄表示部62bに表示される第2の特別図柄)の図柄変動表示を実行する頻度が向上する。つまり、本遊技機1においては、開放延長モードとなると、図柄変動表示の実行頻度(特に、第2の特別図柄に係る図柄変動表示)が通常(非開放延長モードにあるとき)に比べて向上する遊技(特定遊技)が行われる。
【0072】
大入賞装置31は可変入賞装置の具体例を構成するものであり、第2の始動入賞装置17bの下方に配設されている。この大入賞装置31は、遊技盤10の前面部10aに装着された取付板部31kを備える。この取付板部31kは、略中央部において平面形状が略帯状の開口部を表裏を貫通する状態に備え、この開口部によって大入賞口31aを構成している。そして、この大入賞口31aの後端部は、「大入賞口入賞通路(大入賞口31aから入賞する遊技球を通過させるための通路であり、図示を省略する。)」に連絡されている。
【0073】
そして、大入賞装置31は、この大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための大入賞口ソレノイド31c(図10参照)と、大入賞口入賞通路の経路途中若しくは経路端末部に設けられた大入賞口入賞検出スイッチ31s(図10参照)と、を備えている。この大入賞装置31は、開閉板31bが起立姿勢となると、この開閉板31bが大入賞口31aを閉鎖するため、大入賞装置31への遊技球の入賞が不可能となる。一方、開閉板31bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、大入賞口31aが開放されると共に、開閉板31bの後面部(背面部)が遊技領域11を流下し、可変入賞装置(大入賞装置)31へ到達した遊技球を、大入賞口31aに誘導する誘導部を構成する。
【0074】
図4に示すように、下部表示装置60は大入賞装置31の左側方に配置されている。この下部表示装置60は、図6(a)に示すように、遊技盤本体10Aの前面部に取り付けられる取付板61を備えている。そして、この取付板61には、第1の特別図柄表示部62aと、第2の特別図柄表示部62bと、普通図柄表示部63と、普通図柄保留表示部65等が設けられている。
【0075】
第1の特別図柄表示部62a、第2の特別図柄表示部62b及び普通図柄表示部63は、何れも、「7セグメント表示体」を用いて構成されている。このうち、第1の特別図柄表示部62aでは、第1の始動入賞装置17aに遊技球が入賞したことに起因して実行される大当り抽選(第1の大当り抽選)の結果や小当り抽選の結果を示す第1の特別図柄が、変動表示を経て停止表示する。また、第2の特別図柄表示部62bでは、第2の始動入賞装置17bに遊技球が入賞したことに起因して実行される大当り抽選(第2の大当り抽選)の結果を示す第2の特別図柄が、変動表示を経て停止表示する。但し、第2の特別図柄表示部62bにおいて、第2の大当り抽選の結果とともに、小当り抽選(第2の小当り抽選)の結果を示す第2の特別図柄が、変動表示を経て停止表示してもよい。第1の特別図柄表示部62a及び第2の特別図柄表示部62bの表示結果の内容については後述する。また、第1の特別図柄表示部62a及び第2の特別図柄表示部62bにおいて表示される遊技の結果(当否判定の結果)と、演出表示装置27において表示される遊技の結果(当否判定の結果)は一致するものとされる。なお、第1の始動入賞装置17aに遊技球が入賞したことに起因して実行される大当り抽選(第1の大当り抽選)や小当り抽選は、「特図1遊技処理(第1の遊技処理)」の一環として行われるものであり、第2の始動入賞装置17bに遊技球が入賞したことに起因して実行される大当り抽選(第2の大当り抽選)や小当り抽選は、「特図2遊技処理(第2の遊技処理)」の一環として行われるものである。
【0076】
普通図柄表示部63は、図6(a)に示すように、「7セグメント表示体」によって構成され、何れかの普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を遊技球が通過することに起因して図柄変動開始条件が成立すると、普通図柄の変動表示を開始する。この普通図柄の変動表示は、普通図柄表示部63において「0」〜「9」までの算用数字をこの順で表示した後、再び、「0」〜「9」までの算用数字をこの順で表示することを繰り返す「循環表示」によって構成される。そして、これらの変動表示の実行時間が経過すると、普通図柄の停止図柄が一定時間実行される。このとき、停止図柄が「奇数数字」である場合、当り図柄であり、停止図柄が「偶数数字」である場合、外れ図柄である。この普通電動役物17dを開放状態とすべきか否かの抽選を行う抽選手段は、後述する主制御部200Aによって構成される。
【0077】
普通図柄保留表示部65も、4個のLEDを用いて構成され、「普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、普通図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過したが、普通図柄表示部63において、当該通過に伴う抽選の結果の表示(抽選結果図柄の確定表示)と、これに先行する変動表示(本実施例では、7セグメント表示体を用いた表示)とがなされていない遊技球を指す。
【0078】
図4に戻り、3個の一般入賞装置40、41、43は、メイン役物装置20の左右に配置されている。そして、各一般入賞装置40、41、43の内部には、遊技球の入賞を検出するための一般入賞検出スイッチ40s、41s、43s(図10参照)が配設されている。また、多数の障害釘(図示を省略)は、以上説明した各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく配設され、遊技盤10の下方にはアウト口18が設けられている。更に、アウト口18の下部にはバック球防止部材(図示を省略)が設けられている。そして、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。
【0079】
c.遊技機1の裏面構造
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図9を参照して説明する。つまり、遊技機1の裏面構造は、大きな裏パック102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏パック102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。
【0080】
裏パック102には、遊技球が蓄えられる遊技球タンク105と、賞球または貸球としての遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置109と、主制御部200Aを構成する主制御基板200が格納された主制御基板ケースと、発射装置ユニットを制御する発射制御基板260が格納された発射装置制御基板ケース130と、遊技球払出装置109を制御する払出制御基板240が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板200と各種スイッチ類とを中継する中継端子板などが搭載されている。なお、遊技球払出装置109は賞球払出手段の具体例を構成する。
【0081】
また、遊技球タンク105には底部にタンクスイッチが設けられており、球切れを検出することができる。また、遊技球タンク105と遊技球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されている。更に、図9において、タンクレール106の右側には球抜きレバーが設けられ、タンクレール106の下流側には補給球切れ検知スイッチが設けられている。
【0082】
(2)制御回路の構成
次に、図10及び図11(b)を用いて本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。本遊技機1の制御回路は、主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、222A、240A、260A)とを含んで構成されている。つまり、主制御基板200を用いて構成されると共に遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、222A、240A、260A)とを備えている。
【0083】
副制御部としては、(a)サブ制御基板220を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司るサブ制御部220Aと、(b)演出表示制御基板222を用いて構成されると共に、図柄変動演出表示を行う演出表示装置27の制御を司る演出表示制御部222Aと、(c)払出制御基板240を用いて構成されると共に貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部240Aと、(d)発射制御基板260を用いて構成されると共に遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部260Aを備える。尚、副制御部には、主制御部140に直に接続された第1次副制御部(220A、240A)と、この第1次副制御部を介して主制御部200Aに接続された第2次副制御部(222A、260A)とが存在する。
【0084】
これらの制御部(200A、220A、222A、240A、260A)を構成する制御基板(200、220、222、240、260)は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図10及び図11(b)中の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、図10においては、主制御基板200に搭載されたCPU201、RAM202、ROM203のみ図示されており、主制御基板200に搭載されているPIO、更には、他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM、ROMなどについては図示を省略している。
【0085】
主制御部200A(主制御基板200)は、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s、始動口入賞検出スイッチ17s、一般入賞検出スイッチ40s、41s、43s等から遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御部200A(サブ制御基板220)や、払出制御部240A(払出制御基板240)、発射制御部260A(発射制御基板260)等に向かって、後述する各種の信号(コマンド)を出力する。また、主制御部200A(主制御基板200)には、発射装置ユニットから発射された遊技球を検出するカウントスイッチ8sも接続されている。
【0086】
また、主制御部200A(主制御基板200)は、普通電動役物ソレノイド17cや、大入賞口ソレノイド31c、左下表示装置50、右下表示装置60に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。また、主制御部200A(主制御基板200)を構成するCPU201により決定された所定の信号(コマンド)は、サブ制御基板220や払出制御基板240に対してそれぞれ送信される。なお、主制御部200Aは、第1の保留数記憶手段、第2の保留数記憶手段、第1の判定用乱数記憶手段、第2の判定用乱数記憶手段、第1の当否判定手段(大当り抽選手段及び小当り抽選手段)、第2の当否判定手段段(大当り抽選手段)、優先処理手段、第1の保留数減算手段、第2の保留数減算手段、第1の事前判定手段、第2の事前判定手段、確率変動手段、開放延長手段及び変動時間短縮手段の具体例を構成する。
【0087】
サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの各種信号(コマンド)を受け取ると、信号(コマンド)の内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。つまり、サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。なお、サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)と協働して演出表示装置27の表示を制御する表示制御手段として機能する。
【0088】
このサブ制御部220A(サブ制御基板220)には、図11(b)に示すように、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)と、アンプ基板224と、装飾駆動基板226と、演出ボタン基板228と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、サブ制御基板220は、CPU220aと、ROM220bと、RAM220cとを備えている。
【0089】
サブ制御基板220のCPU220aは、主制御基板200からの制御信号を受けて演出表示制御基板222、アンプ基板224、装飾駆動基板226及び演出ボタン基板228などの各基板を制御する。また、ROM220cには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。また、CPU220aは、主制御部200A(主制御基板200)から送出された表示制御コマンド(つまり、表示制御信号)を受信すると共に、ROM220cに記憶されたプログラムに従って受信した表示制御コマンドを解析する。そして、サブ制御部220A(サブ制御基板220)を構成するCPU220aは、主制御部200A(主制御基板200)から送信された表示制御コマンドに基づき新たに生成したコマンドや、主制御部200A(主制御基板200)から送信されたままの表示制御コマンドを、図柄制御コマンドとして演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に対して送信する。
【0090】
アンプ基板224には、所定の効果音を出力するスピーカSP1〜SP4が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板226には、前面枠4や遊技盤10等に設けられる装飾用の各種LED(ランプ)を搭載した各種LED基板が接続されている。また、装飾駆動基板226は、サブ制御基板220Aからの信号を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。
【0091】
払出制御部240Aには、図10に示すように、中継端子板、発射制御部260A、下皿満タンスイッチ6s等が接続されている。また、払出制御部240Aには中継端子板を介して、遊技球払出装置(払出装置)109を構成する払出モータ109mと、前側払出スイッチ109aと、後側払出スイッチ109bとが接続されている。また、払出制御部240Aには、主制御部200Aが双方向通信可能な状態に接続されている。なお、遊技球払出装置109は賞球払出手段の具体例を構成する。
【0092】
この払出制御部240Aは、所謂、貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が貸出ボタン5cや返却ボタン5qを操作すると、その操作信号は、球貸表示基板410から中継端子板を介して払出制御基板240に伝達され、その操作信号に基づいて払出モータ109mを駆動させるための駆動信号が、遊技球払出装置(払出装置)109(払出モータ109m)に伝達される。
【0093】
また、主制御部200Aが賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御部240Aが受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。また、払い出される遊技球は、2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)によって検出されて、払出制御部240Aに入力される。更に、払い出された賞球数はカウントスイッチ109cによっても検出されて、主制御部200Aでも計数されている。
【0094】
次に、サブ制御部220A(サブ制御基板220)に対する信号或いはコマンドの入出力関係について説明する。前述のように、サブ制御部220A(サブ制御基板220)には、演出表示制御基板222と、アンプ基板224、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228などの各種基板が接続されている。また、サブ制御部220Aは、前述のように、主制御部200Aから各種の演出用のコマンド(表示制御コマンドなど)を受け取ると、コマンドの内容を解釈して、(a)演出表示装置27での具体的な表示内容や、(b)スピーカSP1〜4で出力する効果音、更には、(c)各種LEDやランプ類4b〜4fの点灯若しくは点滅の具体的な態様を決定する。次いで、演出表示装置27の駆動信号(各種の図柄制御コマンド)を演出表示制御部222Aに出力して、演出図柄(疑似図柄、背景図柄、キャラクタ図柄等)の変動表示および停止表示を行う。このとき、表示される演出図柄(疑似図柄、背景図柄、キャラクタ図柄等)の表示データ(静止画像データ、動画像データなど)については、演出表示装置27、或いは、演出表示制御基板222に内蔵された表示用ROM(図示を省略)に格納されているデータを使用する。
【0095】
疑似図柄の変動表示および停止表示に合わせて、音声信号をアンプ基板224に出力することによって、スピーカSP1〜SP4から効果音を出力する。加えて、装飾駆動基板226に信号を供給し、装飾駆動基板226から、各種LEDランプ4b〜4hの駆動信号を出力することによって、各種ランプ類(LED4b〜4h等)等の点灯・点滅動作等を制御する。また、上皿部材5の前面側に設けられた演出ボタンSWを遊技者が操作すると、この操作信号がサブ制御部220Aに供給される。そして、サブ制御部220Aは、供給された操作信号に基づいて、演出表示装置27を初めとする各種の演出内容に操作結果を反映させることが可能に構成されている。
【0096】
(3)遊技機1による遊技の流れ
前述のように、本遊技機1では、始動入賞に基づいて行われる当否判定(大当り抽選、小当り抽選)の結果を示す停止図柄の停止表示(確定表示)と、この停止表示の前段階に行われる図柄変動(図柄変動表示)とを、2種類の図柄表示装置(下部表示装置60及び演出表示装置27)において同時に実行する。ここで、下部表示装置60(つまり、第1の特別図柄表示部62a若しくは第2の特別図柄表示部62b)において表示される特別図柄(7セグメント表示体に次々に変更表示される特別図柄)は「本図柄」であり、遊技の基本進行を司る「主制御部200A(後述する。)」において、「停止図柄」と「変動時間(変動パターン)」が決定される。
【0097】
なお、本実施例では、第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因して行われる当否判定(つまり、第1の当否判定)が大当り抽選及び小当り抽選によって構成され、第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因して行われる当否判定(つまり、第2の当否判定)が大当り抽選のみによって構成される。
【0098】
一方、演出表示装置27の表示画面27aにおいて表示される特別図柄は「疑似図柄(演出図柄)」であり、「主制御部200Aの制御の下で、遊技上の演出を制御するサブ制御部220A(後述する。)」によって、その変動態様と、停止図柄とが決定される特別図柄である。そして、通常、これらの「疑似図柄」の図柄変動は、「本図柄」と同一の時間だけ実行され、これらの「疑似図柄」の停止図柄の「表示内容(大当り、小当り、外れ等)」は、第1の特別図柄表示部62a若しくは第2の特別図柄表示部62bにおける「本図柄」の「表示内容(大当り、小当り、外れ等)」と矛盾を生じないものとされる。そして、本実施例においては特別図柄を用いたリーチ表示などの図柄変動演出表示(変動遊技)を行う場合、その図柄変動演出表示は演出表示装置27(疑似図柄)において行われる。以下、本図柄及び疑似図柄の表示内容について簡単に説明する。
【0099】
a.本図柄
第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因した特別図柄の変動表示(変動遊技)および停止表示(確定表示)は第1の特別図柄表示部62aにおいて行われ、第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因した特別図柄の変動表示(変動遊技)および停止表示(確定表示)は第2の特別図柄表示部62bにおいて行われる。つまり、第1の特別図柄表示部62aにおいては、第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因して、特別図柄の変動表示(変動遊技)を開始する。この変動表示(変動遊技)は、図6(b)に示すように、第1の特別図柄表示部62aを構成する7セグメント表示体によって、「算用数字を構成できない不完全な図柄(以下、不完全図柄という。)」の「循環表示」を行うことを内容とする。つまり、算用数字に比べて遊技者にとって馴染みが無く、識別や記憶が困難な不完全図柄を「循環表示」することを内容とする。尚、以下の説明において、第1の特別図柄表示部62aに表示される図柄(特別図柄)を「第1の特別図柄」と称することがある。
【0100】
低確率モード(通常確率モード)において、第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因して当否判定(第1の大当り抽選)が行われると、大当りを示す判定結果が導出される確率(大当り抽選の結果が当選となる確率、つまり、「当選確率」)が約「1/300」とされる。そして、大当りを示す判定結果が導出されると、大当り遊技実行手段が作動を開始し、本遊技機1の遊技状態が大当り遊技状態(特別遊技状態)する。これにより、主制御部200Aが大入賞口ソレノイド31cを駆動し、起立姿勢にある開閉板31bを前傾姿勢とし、閉鎖状態とされていた大入賞口31aを開放状態に変化させ、大当り遊技が開始される。この開放状態とされた大入賞口31aは、大入賞口31aに所定数(例えば、8個)の遊技球が入球するか、あるいは所定数の遊技球が入球しなくても所定時間が経過すると、閉鎖状態に戻され、1ラウンドが終了する。そして、大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバルを挟みつつ複数回繰り返されると、大当り遊技を終了する。
【0101】
第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因して当否判定(第1の大当り抽選)が行われ、大当りを示す判定結果が導出されると、主制御部200Aは「大当りの種類(大当り図柄の種類)」を乱数抽選(以下、「振分抽選」という。)によって決定する。そして、この乱数抽選によって、図12に示すように、大当りの態様(種類)が「通常大当り」、「第1の確変大当り」及び「第2の確変大当り」のうちの何れかに定められる。また、第1の大当り抽選の結果が落選の場合、図15に示すように、主制御部200Aは小当りを発生させるか否かを乱数抽選(小当り抽選)によって決定する。なお、「振分抽選」を行うための乱数(大当り図柄決定乱数)は、当否判定用の乱数(大当り抽選用の乱数など)と同様に、始動入賞を生じたタイミングで取得される。
【0102】
ここで、「通常大当り」を生ずると、賞球払出の実行可能性が極めて高くなる第1の大当り遊技を実行するとともに、この第1の大当り遊技終了後に、大当り抽選の結果が当選となる確率(第1の大当り抽選若しくは第2の大当り抽選の結果が当選となる確率)が低確率(通常確率)とされる。また、第1の大当り遊技は、図12に示すように、大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ15回(15ラウンド)繰り返されるタイプの大当り遊技(以下、「15R大当り遊技」という。)である。このとき、各ラウンドで大入賞装置31が開放状態となる時間(第1の開放時間)は「25秒」とされている。なお、このように、大当り抽選の結果が当選となる確率(つまり、当否判定の結果が大当りとなる確率)が低確率(通常確率)とされる遊技状態が、「低確率モード(低確率状態)」である。
【0103】
「第1の確変大当り」を生ずると、第1の大当り遊技若しくは変則的な第1の大当り遊技を実行するとともに、実行した第1の大当り遊技終了後に当否判定の結果が大当りとなる確率(第1の大当り抽選の結果が当選となる確率と第2の大当り抽選の結果が当選となる確率)が高確率とされる。つまり、「第1の大当り遊技を実行する第1の確変大当りを発生させるか否か」や、「変則的な第1の大当り遊技を実行する第1の確変大当りを発生させるか否か」も前述の「振分抽選」における選択対象とされる。そして、本実施例においては、「第1の確変大当り」に起因する第1の大当り遊技としては、通常の第1の大当り遊技(通常の15R大当り遊技)若しくは変則的な第1の大当り遊技(変則的な15R大当り遊技)を行う。なお、このように、大当り抽選の結果が当選となる確率(つまり、当否判定の結果が大当りとなる確率)が高確率とされる遊技状態が、「高確率モード(高確率状態)」である。また、以下の説明において、第1の大当り遊技の実行契機となる大当り(15ラウンドの大当りラウンドを行う大当り遊技の実行契機となる大当り)を「15R大当り」若しくは「出球有り大当り」と称し、15R大当りに起因して実行される大当り遊技を、「15R大当り遊技」と称することがある。また、第2の大当り遊技の実行契機となる大当り(2ラウンドの大当りラウンドを行う大当り遊技の実行契機となる大当り)を「2R大当り」若しくは「出球無し大当り」と称し、2R大当りに起因して実行される大当り遊技を、「2R大当り遊技」と称することがある。
【0104】
本実施例の「変則的な第1の大当り遊技」とは、図12に示すように、「大入賞装置31を2.5秒(第4の開放時間)に渡って開放状態とすることを計10回行う開放繰り返し動作」が、所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ15回(15ラウンド)繰り返されるタイプの「15R大当り遊技」である。この「変則的な第1の大当り遊技」は、賞球払出の実行可能性は高いものの、「通常の第1の大当り遊技」に比べて賞球払出量が少なくなる。
【0105】
本実施例では、「通常大当り」及び「第1の確変大当り」に起因する第1の大当り遊技として、「15R大当り遊技」を例示するが、「第1の通常大当り」及び「第1の確変大当り」のうちの少なくとも一方において、当該「大当り」に起因する第1の大当り遊技としては、各ラウンドで大入賞装置31が開放状態となる時間が「第1の開放時間」とされつつラウンド数が異なる複数種類の大当り遊技(例えば、「15R大当り遊技」と、「大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ8回(8ラウンド)繰り返されるタイプの大当り遊技」とが予定されてもよい。
【0106】
「第2の確変大当り」を生ずると、第2の大当り遊技を実行するとともに、この第2の大当り遊技終了後に、当否判定の結果が大当りとなる確率(第1の大当り抽選の結果が当選となる確率と第2の大当り抽選の結果が当選となる確率)が高確率とされる。但し、図12に示すように、「第2の確変大当り」に起因する第2の大当り遊技としては、大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ2回(2ラウンド)繰り返される。そして、この第2の大当り遊技においては、各ラウンドで大入賞装置31が開放状態となる時間(第2の開放時間)は「0.2秒」とされている。
【0107】
「小当り」を生ずると、図15に示すように、大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ2回繰り返される。そして、この小当り遊技においては、大入賞装置31が開放動作を行う毎に開放状態となる時間は、「第2の開放時間(0.2秒)」とされる。なお、第1の当否判定によって、第2の確変大当りと、小当りとを生じ得ることとし、第2の大当り遊技の内容と小当り遊技の内容が同様であるため、通常レベルの遊技者(遊技機に関する知識が豊富でなく、本図柄の表示結果までは理解できないレベルであったり、本図柄の表示結果までを見ようとしない遊技者など)にとっては、「第2の確変大当り」または「小当り」が発生した後の遊技状態(確率モード)が高確率状態(高確率モード)であるか否かを判別することは困難となるので、遊技者は遊技機の確率モード(高確率状態か否か)を判断するために想像を働かせることが必要とされる。
【0108】
一方、第2の特別図柄表示部62bにおいては、第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因して、特別図柄の変動表示(変動遊技)を開始する。この変動表示も、第1の特別図柄表示部62aと同様な態様で行われる。そして、通常確率モードにおいて、第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因して当否判定(第2の大当り抽選)が行われた場合も、大当りを示す判定結果が導出される確率(大当り抽選の結果が当選となる確率)が、約「1/300」とされる。この場合も、大当りを示す判定結果が導出されると、大当り遊技が開始される。
【0109】
第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因して当否判定(第2の大当り抽選)が行われ、大当りを示す判定結果が導出されると、主制御部200Aは「大当りの種類(大当り図柄の種類)」を乱数抽選によって決定する。この乱数抽選も、主制御部200A(主制御基板200)を構成するCPU201が、「大当り態様決定手段」として行う処理の具体例を構成するものであり、図13に示すように、この乱数抽選によって、大当りの態様が「通常大当り」と、「第1の確変大当り」と、「第2の確変大当り」とのうちの何れかに定められる。なお、第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因する当否判定(つまり、第2の当否判定)では、小当りを発生させるか否かの判定(小当り抽選)を行わず、大当りを発生させるか否かの判定(大当り抽選)だけを行う。但し、第2の大当り抽選の結果が落選の場合にも、主制御部200Aは小当りを発生させるか否かを乱数抽選によって決定することとしてもよい。
【0110】
第2の当否判定によって「第1の確変大当り」を生ずると、第1の大当り遊技若しくは変則的な第1の大当り遊技を実行するとともに、実行した第1の大当り遊技終了後に当否判定の結果が大当りとなる確率(第1の大当り抽選の結果が当選となる確率と第2の大当り抽選の結果が当選となる確率)が高確率とされる。つまり、第2の当否判定によって生ずる「第1の確変大当り」の内容は、第1の当否判定によって生ずる「第1の確変大当り」の内容と同様である(図12,13参照)。
【0111】
また、図13に示すように、第2の当否判定によって「通常大当り」を生ずると、第1の大当り遊技を実行するとともに、この第1の大当り遊技終了後に、当否判定の結果が大当りとなる確率(第1の大当り抽選の結果が当選となる確率と第2の大当り抽選の結果が当選となる確率)が低確率(通常確率)とされる。つまり、第2の当否判定によって生ずる「通常大当り」の内容は、第1の当否判定によって生ずる「通常大当り」の内容と同様である(図12,13参照)。
【0112】
図13に示すように、第2の当否判定によって「第2の確変大当り」を生ずると、第2の大当り遊技を実行するとともに、この第2の大当り遊技終了後に、当否判定の結果が大当りとなる確率(第1の大当り抽選の結果が当選となる確率と第2の大当り抽選の結果が当選となる確率)が高確率とされる。つまり、第2の当否判定によって生ずる「第2の確変大当り」の内容は、第1の当否判定によって生ずる「第2の確変大当り」の内容と同様である(図12,13参照)。
【0113】
以上のように、第1の大当り抽選を経て生ずる大当りと、第2の大当り抽選を経て生ずる大当りは、「通常大当り」、「第1の確変大当り」及び「第2の確変大当り」のうちの何れかに定められる。また、「通常大当り」及び「第1の確変大当り」は、何れも、開放延長手段の作動の契機となる「開放延長型の大当り」とされる。更に、「第2の確変大当り」は、大当り発生時の遊技状態に応じて、開放延長手段の作動の契機となる「開放延長型の大当り」とされる場合と、開放延長手段の作動の契機とならない「非開放延長型の大当り(所謂、潜伏確変大当り)」とされる場合がある(図12、13、30、31を参照)。また、「第2の確変大当り」が、開放延長手段の作動の契機となる「開放延長型の大当り」とされる場合において、大当り発生時の遊技状態に応じて、開放延長手段の作動期間が異なっている(図30、31を参照)。
【0114】
なお、第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因する当否判定を経て生ずる大当りの態様と、第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因する当否判定を経て生ずる大当りの態様とのうちの少なくとも一方または両方に、第2の通常大当りを追加してもよい。この第2の通常大当りは、「可変入賞装置(大入賞装置31)を第1の開放時間よりも短く第2の開放時間よりも長い所定の開放時間(例えば、6秒)で開放させることで、賞球払出手段(遊技球払出装置109)による賞球払出の実行可能性が第1の大当り遊技よりも低く第2の大当り遊技よりも高くなる第3の大当り遊技を実行するとともに、第3の大当り遊技終了後に、当否判定の結果が大当りとなる確率(第1の大当り抽選の結果が当選となる確率と第2の大当り抽選の結果が当選となる確率)を低確率(通常確率)とする」ものである。また、大当り態様として「第2の通常大当り」を追加する場合、「上述の第3の大当り遊技を実行するとともに、第3の大当り遊技終了後に、当否判定の結果が大当りとなる確率(第1の大当り抽選の結果が当選となる確率と第2の大当り抽選の結果が当選となる確率)を高確率とする第3の確変大当り」も合わせて追加するのが好ましい。これにより、遊技者にとっては、「第2の通常大当り」または「第3の確変大当り」が発生した後(第3の大当り遊技終了後)の遊技状態(確率モード)が高確率状態(高確率モード)であるか否かを判別することは困難となるので、遊技者は遊技機の確率モード(高確率状態か否か)を判断するために想像を働かせることが必要とされ、この結果、遊技興趣を更に高めることができる。なお、上述の「第3の大当り遊技」の実行契機となる「第2の通常大当り」および「第3の確変大当り」を設ける場合、その「第2の通常大当り」および「第3の確変大当り」を発生させるか否かの判定を含む当否判定に、小当りを発生させるか否かの判定(小当り抽選)を含めなくてもよい(小当りを設けなくてもよい)。
【0115】
b.疑似図柄
演出表示装置27の表示画面27aにおいても、第1の始動入賞装置17a若しくは第2の始動入賞装置17bへの入賞(始動入賞)に起因して図柄変動開始条件が成立すると、疑似図柄の変動表示(疑似図柄を用いた変動遊技)を開始する。そして、これらの変動表示(変動遊技)の実行時間が経過すると、疑似図柄の停止表示(確定表示)が一定時間(約0.6秒間)実行される。このとき、疑似図柄の停止表示(確定表示)と、前述の下部表示装置60(第1の特別図柄表示部62a若しくは第2の特別図柄表示部62b)による停止表示(本図柄の確定図柄)と同様に、当否判定の結果を表示する。
【0116】
また、演出表示装置27の表示画面27aにおいては、疑似図柄の変動表示(変動遊技)を開始する際に、3つの疑似図柄表示部が出現し、各疑似図柄表示部において、「疑似図柄」を用いた変動表示(順次、変更される疑似図柄の表示)と、停止表示(停止した疑似図柄の表示)等がなされる。この疑似図柄の変動表示(変動遊技)は、「1」〜「9」までの算用数字をこの順で表示した後、再び、「1」〜「9」までの算用数字をこの順で表示することを繰り返す「循環表示」によって構成される。また、疑似図柄表示部に確定表示される確定図柄には、「外れを示す停止図柄(外れ表示)」と、「小当りを示す停止図柄(小当り表示)」と、「大当りを示す停止図柄(大当り表示)」がある。
【0117】
ここで、図14(a)に示すように、「大当りを示す停止図柄」の中には、「通常大当りの発生を示す停止図柄」と、「第1の確変大当りの発生を示す停止図柄(以下、第1の確変大当り図柄という。)」と、「第2の確変大当りの発生を示す停止図柄(以下、第2の確変大当り図柄という。)」とが存在する。また、図14(b)に示す「大当り抽選の結果が外れである場合に確定表示される停止図柄」の中には、「小当りの発生を示す小当り図柄」と、図14(c)に示す「小当り抽選にも外れたことを示す停止図柄(以下、外れ図柄という。)」とがある。また、本実施例では、大当り抽選のみならず、小当り抽選にも外れの場合を単に「外れ」と称することとする。
【0118】
図14(a)に示すように、「通常大当り図柄」は表示画面27aに「偶数の同一数字」を3個並べて構成され、「第1の確変大当り図柄」は表示画面27aに「奇数の同一数字」を3個並べて構成される。また、「第2の確変大当り図柄」は「異なる奇数数字」を左から右へ昇順に並べて構成される。更に、図13(b)に示すように、「小当り図柄」は、「第2の確変大当り図柄」と同様に「異なる奇数数字」を左から右へ昇順に並べて構成され、「外れ図柄」は、3つの疑似図柄表示部のうちの少なくとも1つに異なる数字を表示して構成される停止図柄のうちで、「小当り図柄及び第2の確変大当り図柄」を除いたものである。
【0119】
このように、「小当り図柄」と「第2の確変大当り図柄」とが同一図柄とされ、しかも、何れの図柄が停止表示されても、大入賞装置31が同一の態様で開閉動作を行う。そして、通常レベルの遊技者(遊技機1に関する知識が豊富でない遊技者)は、第1の特別図柄表示部62a(図12を参照)や第2の特別図柄表示部62b(図13を参照)には視線を向けず、専ら演出表示装置27の表示画面27aと大入賞装置31とに視線を向ける遊技を行う(通常、第1の特別図柄表示部62aの停止図柄の意味を知らないため)。しかも、第1の補助図柄表示領域Aに表示される補助図柄(小当り図柄を構成するモザイク模様と、第2の確変大当り図柄を構成するモザイク模様とは異なった模様とされている。)においては、その停止図柄の意味を理解することが困難なため、これらの遊技者にとっては、「小当り」が生じたのか、「第2の確変大当り」が生じたのかが、より判別し難くなる。従って、通常レベルの遊技者は、本遊技機1においては、「第2の確変大当り」を発生し、大当り確率が高確率モードに設定されていることを見落とす場合がある。
【0120】
尚、演出表示装置27において「通常大当り図柄」若しくは「第1の確変大当り図柄」を表示する場合、その前提となる変動表示の途中にリーチ表示を行う。また、演出表示装置27において「外れ示す停止図柄」を表示する場合、その前提となる変動表示(つまり、外れ変動)の途中にリーチ表示を行わない場合(以下、「単純外れ」という。)と、リーチ表示を行う場合(以下、「リーチ外れ」という。)とがある。また、本実施例のリーチ表示は、演出表示装置27の表示画面27aに表示される疑似図柄のうち2つの疑似図柄が同一図柄で停止させ、他の1つの疑似図柄を変動中とすることを内容とする表示である。但し、「2R確変大当りを示す停止図柄」や「2R通常大当りを示す停止図柄」を停止表示する場合においても、その変動途中にリーチ表示を行ってもよい。
【0121】
(4)図柄変動演出の概要
第1の始動入賞装置17a若しくは第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞(始動入賞)を生ずると、特別図柄の変動開始条件(当否判定実行条件)が成立する。これにより、対応する特別図柄表示部62a、62bで本図柄の図柄変動を開始すると共に、図16(a)〜(c)に示すように、演出表示装置27の表示画面27a(疑似図柄表示部27b〜27d)において、疑似図柄を用いた図柄変動演出表示(図柄変動表示)を開始する。
【0122】
この図柄変動演出表示の実行時間は、対応する特別図柄表示部62a、62bでの図柄変動開始時に決定される変動パターン(通常変動パターン、短縮変動パターン)によって異なる(後述する。)が、この実行時間を経過すると、何れかの特別図柄表示部62a、62bにおいて本図柄の停止図柄が確定表示されるとともに、表示画面27aにおいて疑似図柄の停止図柄が確定表示される。
【0123】
尚、図16(a)で例示する「外れ表示」は、「リーチ演出を伴わない外れ表示(所謂「通常外れ」)であり、図16(b)で例示する「外れ表示」は、「リーチ演出を伴う外れ表示(所謂「外れリーチ」)」である。ここで、リーチ表示(リーチ演出)とは、例えば、この変動表示(演出表示)の途中において、最終的に停止する図柄(以下、「最終停止図柄」という。)以外の図柄を所定の図柄で停止させ、最終停止図柄の種類によって、大当り表示がなされる可能性があることを示す演出的な表示である。例えば、複数の図柄の停止図柄が同一の図柄であると「大当り表示」が完成する場合に、最終停止図柄以外の図柄を同一図柄で停止させて、遊技機において「特別遊技の実行(大当りの発生)の可能性」が存在することを示す表示を指す。
【0124】
図16(c)に示すように、「特別図柄(疑似図柄)の停止図柄」を用いて、「当否判定の結果が大当りである」旨の停止表示(大当り表示)が行われる場合には、特別図柄(疑似図柄)の図柄変動表示(変動表示)の途中で「リーチ表示」が行われた後に、この確定表示が行われる。そして、この「大当り表示」がなされると、「大当りに移行するための移行表示」等を実行した後に、遊技機1の遊技状態が大当り状態に移行し、大当り遊技を開始する。また、「特別図柄(疑似図柄)の停止図柄」を用いて、「小当り抽選の結果が小当りである」旨の停止表示(確定表示、小当り表示)が行われる場合も、特別図柄(疑似図柄)の図柄変動表示(変動表示)の途中で「リーチ表示」が行われた後に、この確定表示が行われる。そして、この「小当り表示」がなされると、「小当りに移行するための移行表示」等を実行した後に、遊技機1の遊技状態が小当り状態に移行し、小当り遊技を開始する。
【0125】
(5)コマンドの送信
本実施例の遊技機1は、前述の「図柄変動遊技」等を実現するために種々の制御を行っている。この制御を実行する際に、主制御部200A(主制御基板200)からサブ制御部220A(サブ制御基板220)に向かって、種々のコマンドが送信される。次に、このコマンドが送信される様子について、図17(a)の模式図を用いて説明する。
【0126】
主制御部200Aとサブ制御部220Aとは、9ビット幅のパラレル信号ケーブルで接続されている。このうちの1ビット分はストローブ信号の出力用に割り当てられており、残りの8ビット分がコマンド出力用に割り当てられている。そして、主制御部200Aからサブ制御部220Aにコマンドを出力する際には、先ず初めに、コマンド出力用に割り当てられた8ビット幅の信号ケーブルに8ビット分のコマンドデータが出力され、続いて1ビットのストローブ信号が出力される。また、サブ制御部220Aは、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、主制御部200Aから送信されたコマンドを確実に読み取ることができる。
【0127】
ここで、主制御部200A(主制御基板200)からサブ制御部220A(サブ制御基板220)に出力されるコマンドとしては、例えば、図17(b)に図示したものを例示できる。つまり、(A)変動パターン指定コマンド(以下、「CHP」と表記することがある。)、(B)特別図柄停止情報指定コマンド(以下、「CJS」と表記することがある。)等がある。尚、変動パターン指定コマンドは変動パターンを指定するコマンドであり、始動入賞時に使用している変動パターンテーブルに応じて、通常変動用の変動パターン(後述する。)及び短縮変動用の変動パターン(後述する。)のうちの何れかが特定される。そして、変動パターン指定コマンドは、疑似図柄の変動を開始させると共に、疑似図柄の変動時間を指定するコマンドでもある。また、モード指定コマンドは、「遊技モード設定手段としての主制御部200A(主制御基板200)」が設定している遊技モードを指定するコマンドである。
【0128】
(6)主制御部200Aによる遊技制御の概要
図18は、主制御基板200に搭載されたCPU201が実行する遊技制御処理の大まかな流れを示すフローチャートである。この遊技制御処理では、賞球払出処理(S10)、普通図柄遊技処理(S100)、普通電動役物遊技処理(S200)、特別図柄遊技処理(S300)、当り遊技処理(S600)等の各処理が繰り返し実行されている。尚、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、電源投入後、4msec周期のタイマ割込みが発生する毎に、図18のS10〜S600の処理を実行するように構成されている。つまり、図18のS10〜S600の処理は、4msec毎に繰り返し実行される。
【0129】
そして、図18のS10〜S600の処理の中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて各種の信号を送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行することになる。以下、図18のフローチャートに従って、遊技制御処理について説明する。
【0130】
A.賞球払出処理(S10)
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技球を賞球として払い出す処理(賞球払出処理)を行う(S10)。すなわち、始動口入賞検出スイッチ17s、17t若しくは一般入賞検出スイッチ40s、41s、43sの状態を検出して遊技球が入球したか否かを判断する。そして、遊技球が入球していた場合は、この情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶する。そして、RAM202上に記憶されている情報に基づいて、賞球の払出信号を払出制御基板240に向かって出力する。また、RAM202上に、始動口入賞検出スイッチ17s等への入賞情報が既に記憶されていた場合には、先に記憶されていた情報を含めて適切な払出個数を指定して、払出信号を出力する。
【0131】
主制御部200Aから払出制御部240Aへ払出信号を出力するに際しては、先ず、払出制御部240A(払出制御基板240)に向かってストローブ信号を出力し、続いて信号データを出力する。これに対して、払出制御部240Aを構成する払出制御基板240に搭載されたCPUは、払出信号を受け取ると信号の内容を解釈し、賞球払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行う。そして、賞球払出装置109には、払い出された遊技球を検出する2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)が設けられているので、これらスイッチで遊技球を1球ずつ検出しながら、払出信号で指定された個数の賞球を払い出す処理を行う。
【0132】
B.普通図柄遊技処理(S100)
普通図柄遊技処理(S100)が開始されると、普通図柄表示部63において普通図柄の変動表示を開始させる。そして、CPU201は、図18の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、普通図柄の変動表示の実行時間が経過したと判断すると、普通図柄の停止図柄の停止表示を行う。更に、CPU201は、図18の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、この停止図柄の停止表示時間(例えば、0.5秒)」が経過したと判断すると、停止図柄が普通電動役物17dを作動させる図柄(普通図柄の当り図柄)であるのか、或いは、作動させる図柄でないのか(普通図柄の外れ図柄)を判断する。
【0133】
そして、停止図柄が普通電動役物17dを作動させる図柄(普通図柄の当り図柄)である場合、普通電動役物開放延長機能が作動しているか否か(つまり、開放延長手段が作動中であるか否か)が判断され、開放延長手段が作動中である場合、普通電動役物17dの開放時間を「開放延長機能作動時における開放時間(例えば、前述の5秒)」に設定した後、普通図柄遊技処理(S100)を終了して、図18の遊技制御処理に復帰する。一方、開放延長手段が作動中でない場合、普通電動役物17dの開放時間を「開放延長機能未作動時における開放時間(例えば、前述の0.2秒)」に設定した後、普通図柄遊技処理を終了して、図18の遊技制御処理に復帰する。
【0134】
なお、CPU201は、普通電動役物17dが作動中でなく、普通図柄表示部63において普通図柄の変動表示を実行中でなく、しかも普通図柄の停止表示を実行中でなく、更に、普通図柄に関する保留数が「0」でないと判断する場合、普通図柄の変動表示を開始させる。また、普通図柄に関する保留数は、普通図柄作動ゲート16を遊技球が通過するとともに、普通図柄に関する保留数が所定数(本実施例では、4個)未満である場合に「+1」され、普通図柄の変動表示を開始する度に「−1」される。
【0135】
D.普通電動役物遊技処理(S200)
図19は、普通電動役物遊技処理の概要を示すフロー図であり、CPU201が図18の遊技制御処理を行う中で、普通電動役物遊技処理が起動されると、普通電動役物17dが作動中であるか否か(第2の始動入賞装置17bが開放状態であるか否か)が判断される。そして、作動中である(第2の始動入賞装置17bが開放状態である)と判断すると(S201;YES)、普通電動役物17dの作動時間(第2の始動入賞装置17bを開放状態に維持する開放時間であって、開放延長モードでは5秒、通常開放モードでは0.2秒)が経過したか否かを判断する(S202)。そして、作動時間(開放時間)が経過したと判断すると(S202;YES)、普通電動役物17dの作動を停止させることで開放状態にある第2の始動入賞装置17bを閉鎖状態とし(S206)、普通電動役物遊技処理を終了させる。
【0136】
但し、CPU201が、普通電動役物17d(第2の始動入賞装置17b)の開放中に、第2の始動入賞装置17bに規定数(例えば、8個)の遊技球が入球したと判断すると、前述の作動時間(開放時間)が所定時間に達していない場合でも、普通電動役物17dの作動を停止させ(S206)、普通電動役物遊技処理を終了させる。また、本遊技機1では普通電動役物17dが作動すると、内部に設けられた普通電動役物ソレノイド17cが駆動され、普通電動役物17dを構成する第2の始動入賞部17bの一対の翼片部が外側に回動して、第2の始動入賞部17bが開放状態となる。
【0137】
E.特別図柄遊技処理(S300)
次に、図20〜図28を用いて特別図柄遊技処理の概要を説明する。この特別図柄遊技処理が起動されると、図20及び図21に示すように、先ず、第1の始動入賞装置17a若しくは第2の始動入賞装置17bに遊技球が入賞したか否かが判断される(S302a、S302b)。そして、S302aの処理及びS302bの処理において否定的な判断(遊技球が入賞していないとの判断)がなされる場合(S302a;NO、S302b;NO)、そのまま図22に示すS316以降の処理に移行する。
【0138】
一方、第1の始動入賞装置17aに遊技球が入賞したと判断されると(S302a;YES)、「第1の始動入賞装置17に対応する特別図柄の保留数(第1の保留数)」が所定個数未満(本実施例は、4個未満)であるか否かが判断される(S304a)。このS304aの処理において、所定個数未満と判断されると(S304a;YES)、第1の始動入賞装置17aへの入賞に関連する判定用乱数(抽選用乱数)を取得し、この判定用乱数(抽選用乱数)が主制御基板200に搭載されたRAM202の所定アドレス{図11(a)に示す第1の判定用乱数メモリ202a}に記憶されるとともに、「第1の始動入賞装置17aに対応する特別図柄の保留数(第1の保留数)」が「+1」される(S306a)。
【0139】
つまり、図11(a)に示す「第1の判定用乱数メモリ202a」には、判定用乱数(抽選用乱数)が「第1の始動入賞装置17aへの始動入賞の時系列にシフトメモリ形式」で記憶されるとともに、図11(a)に示す「特図1保留数メモリ202c」の値が累積的に記憶される。なお、第1の判定用乱数メモリ202aは「第1の判定用乱数記憶手段」の具体例を構成し、「特図1保留数メモリ202c」は「第1の保留数記憶手段」の具体例を構成する。
【0140】
ここで、本実施例の遊技機1は、始動入賞装置として、第1の始動入賞装置17aと、第2の始動入賞装置17bとを備えるとともに、第1の始動入賞装置17aに対応する特別図柄(第1の特別図柄。以下、「特図1」ともいう。)と、第2の始動入賞装置17bに対応する特別図柄(第2の特別図柄。以下、「特図2」ともいう。)とを備える。そして、第1の始動入賞装置17aへの始動入賞に基づく判定用乱数と、第2の始動入賞装置17bへの始動入賞に基づく判定用乱数とが記憶された状況の下では、後者が優先的に処理される(後述する。)。
【0141】
また、CPU201によって行われる処理のうちで、「第1の始動入賞装置17aに遊技球が入賞することに起因して実行される各処理(以下、特図1に関する処理という。)」と、「第2の始動入賞装置17bに遊技球が入賞することに起因して実行する各処理(以下、特図2に関する処理という。)」のうちで、同様な処理に関して、図20〜図28においては、同一のステップ数(算用数字)を付している。そして、この同一のステップ数を付した処理は基本的には同一の処理であるため、以下の説明においては、「特図1に関する処理」及び「特図2に関する処理」のうちの一方を説明し、他方の説明を省略することがある。なお、「特図1に関する処理」については「ステップ数」にアルファベットの「a」を付し、「特図2に関する処理」について「ステップ数」にアルファベットの「b」を付して区別することがある。
【0142】
S306aの処理において取得される判定用乱数(抽選用乱数)としては、(a)第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因して実行される大当り抽選(以下、「特図1大当り抽選」という。)に際して用いる抽選用乱数(以下、「特図1大当り抽選乱数」という。)、(b)第1の始動入賞装置17aへの遊技球の入賞に起因して実行される小当り抽選(以下、「特図1小当り抽選」という。)に際して用いる抽選用乱数(以下、「特図1小当り抽選乱数」という。)と、(c)第1の特別図柄表示部62aに停止表示される大当り図柄を決定するための決定用乱数(以下、「特図1大当り図柄決定乱数」という。)、(d)第1の特別図柄表示部62aに停止表示される小当り図柄を決定するための決定用乱数(以下、「特図1小当り図柄決定乱数」という。)、(e)演出表示装置27の表示面27aにおいて実行される疑似図柄の変動表示においてリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ乱数、などがある。なお、S306aの処理において取得される判定用乱数(抽選用乱数)には、遊技者にとって有利な状態(後述する高確率モードや時短モード)を終了させるか否かを決定するための転落抽選に用いる「転落抽選用乱数」を含んでもよい。
【0143】
CPU201は、S306aの処理を終了したら、現時点(判定用乱数取得時点)の遊技状態を判断する(S308a、S310a)。そして、その判断結果によって、S312a及びS314aの処理を経て、図22に示すS316以降の処理に移行する場合と、S315aの処理を経て、図22に示すS316以降の処理に移行する場合がある。つまり、大当りフラグ(図24のS378の処理を参照)及び開放延長フラグ(図32のS722の処理を参照)が解除(OFFに設定)されている場合(S308a;YES、S310a;YES)には、S306aの処理で取得した判定用乱数(特図1大当り抽選乱数)を用いて、「特図1大当り抽選」に関する事前抽選(事前判定)」を行う(S312a)。すなわち、大当り遊技を実行中でなく、しかも、開放延長手段が未作動である場合(S308a;YES、S310a;YES)には、「特図1大当り抽選に関する事前抽選(事前判定)」を行う(S312a)。
【0144】
CPU201は事前判定を終了すると、保留指定コマンド(特図1に関する保留数指定コマンドであって、以下、「特図1保留指定コマンド」という。)をサブ制御基板220に送信する処理を行った後(S314a)、図21に示すS302b以降の処理に移行する。ここで、S314aの処理で送信される特図1保留指定コマンドには、特図1の保留数だけでなく、「S312aの処理で実行された事前判定の結果」を示す情報も含まれており、S314aの処理で送信される特図1保留指定コマンドによって、「S306aの処理を経た後の第1の保留数」のみならず、「S312aの処理で実行された事前判定の結果」も特定される。但し、S312aの処理で実行された事前判定の結果を特定するためのコマンド(事前判定結果指定コマンド)を、特図1保留指定コマンドとは別に設定して、保留数指定コマンドとは別にサブ制御基板220へ送信することもできる。
【0145】
CPU201は、S308aの処理で大当りフラグがセット(ONに設定)されている判断するか(S308a;NO)、若しくは、S310aの処理で開放延長フラグがセット(ONに設定)されていると判断すると(S308a;YES、S310a;NO)、S315aの処理に移行する。つまり、「特図1大当り抽選に関する事前抽選(事前判定)」を行うことなく、特図1保留指定コマンドをサブ制御基板220に送信する処理を行った後(S315a)、図21に示すS302b以降の処理に移行する。ここで、S315a処理で送信される特図1保留指定コマンドによっては、「S306aの処理を経た後の第1の保留数」のみが特定される。なお、本実施例と異なり、S306aの処理の後、事前抽選(事前判定)を一律に行った後、大当りフラグ及び開放延長フラグが解除(OFFに設定)されている場合に限り、「事前判定の結果を特定するためのコマンド(特図1保留指定コマンドであっても、別のコマンドでもよい。)」をサブ制御基板220へ送信することとしてもよい。
【0146】
また、図21に示すように、第2の始動入賞装置17bに遊技球が入賞したと判断されると(S302b;YES)、「第2の始動入賞装置17dに対応する特別図柄の保留数(第2の保留数)」が所定個数未満(本実施例は、4個未満)であるか否かが判断される(S304b)。このS304bの処理において、所定個数未満と判断されると(S304b;YES)、第2の始動入賞装置17bに関連する判定用乱数(抽選用乱数)を取得し、この判定用乱数(抽選用乱数)が主制御基板200に搭載されたRAM202の所定アドレス{図11(a)に示す第2の判定用乱数メモリ202b}に記憶されるとともに、「第2の始動入賞装置17bに対応する特別図柄の保留数(第2の保留数)」が「+1」される(S306b)。この後、306bの処理で取得した判定用乱数(特図2大当り抽選乱数)を用いて、「特図2大当り抽選」に関する事前抽選(事前判定)」を行う(S312b)。
【0147】
そして、CPU201は、この事前判定(S312b)を終了すると、保留指定コマンド(特図2に関する保留数指定コマンドであって、以下、「特図2保留指定コマンド」という。)をサブ制御基板220に送信する処理を行った後(S314b)、図22に示すS316以降の処理に移行する。ここで、S314bの処理で送信される特図2保留指定コマンドには、特図2の保留数だけでなく、「S312bの処理で実行された事前判定の結果」を示す情報も含まれており、S314bの処理で送信される特図2保留指定コマンドによって、「S306bの処理を経た後の第2の保留数」のみならず、「S312bの処理で実行された事前判定の結果」も特定される。また、図11(a)に示す「第2の判定用乱数メモリ202b」には、判定用乱数(抽選用乱数)が「第2の始動入賞装置17bへの始動入賞の時系列にシフトメモリ形式」で記憶されるとともに、図11(a)に示す「特図2保留数メモリ202c」の値が累積的に記憶される。ここで、第2の判定用乱数メモリ202bは「第2の判定用乱数記憶手段」の具体例を構成し、「特図2保留数メモリ202d」は「第2の保留数記憶手段」の具体例を構成する。
【0148】
S306bの処理において取得される判定用乱数(抽選用乱数)としては、(a)第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因して実行される大当り抽選(以下、「特図2大当り抽選」という。)に際して用いる抽選用乱数(以下、「特図2大当り抽選乱数」という。)、(b)第2の特別図柄表示部62bに停止表示される大当り図柄を決定するための決定用乱数(以下、「特図2大当り図柄決定乱数」という。)、(c)演出表示装置27の表示面27aにおいて実行される疑似図柄の変動表示においてリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ乱数、などがある。なお、本実施例と異なり、第2の始動入賞装置17bへの遊技球の入賞に起因して小当り抽選(以下、「特図2小当り抽選」という。)を行う場合、S306bの処理において取得される判定用乱数(抽選用乱数)には、「特図2小当り抽選」に際して用いる抽選用乱数(以下、「特図2小当り抽選乱数」という。)や第2の特別図柄表示部62bに停止表示される小当り図柄を決定するための決定用乱数(以下、「特図2小当り図柄決定乱数」という。)を含むことができる。また、S306bの処理において取得される判定用乱数(抽選用乱数)には、遊技者にとって有利な状態(後述する高確率モードや時短モード)を終了させるか否かを決定するための転落抽選に用いる「転落抽選用乱数」を含んでもよい。
【0149】
なお、第1の判定用乱数メモリ202a及び第2の判定用乱数メモリ202bは、図11(a)に示すように、「領域0」、「領域1」、「領域2」及び「領域3」の4つの記憶領域を備えている。そして、判定乱数値を、「領域0」、「領域1」、「領域2」、「領域3」の順序で記憶可能となっている。つまり、最も古いタイミングで記憶された判定乱数値が、「領域0」に記憶される。また、同時に記憶できる判定乱数値の数は領域の数に限定される。更に、現に生じている判定乱数値の数が特定個数を下回る場合には、判定乱数値が記憶されていない空きの領域が存在する。そして、各判定乱数値に対応する「特別図柄の変動表示」が実行される毎に、「領域0」の記憶データ(判定乱数値であって、最古のもの)がクリアされると共に、「領域1」、「領域2」、「領域3」のそれぞれの記憶データ(存在する場合のみであって、領域1〜領域3の全てに存在する場合と、領域1及び領域2に存在する場合と、領域1のみに存在する場合と、領域1〜領域3の全てに存在しない場合とがある。)が、「領域0」に向けて「1領域ずつ」シフトされる。
【0150】
S316の処理では、図22に示すように、当り遊技を実行中であるか否か、つまり、大当り遊技若しくは小当り遊技を実行しているか否かが判断される(S316)。具体的には、大当り遊技フラグ(図24のS378の処理を参照)がセット(ONに設定)されているか、或いは、小当り遊技フラグ(図23のS360の処理を参照)がセット(ONに設定)されていると、S316の処理において肯定的な判断がなされる。なお、大当り遊技フラグは「大当り遊技実行手段(制御プログラムであって、ROM203に格納されている。)」が作動中であることを示すものであり、小当り遊技フラグは「小当り遊技実行手段(制御プログラムであって、ROM203に格納されている。)」が作動中であることを示すものである。
【0151】
CPU201は、当り遊技を実行中であると判断すると(S316;YES)、特別図柄遊技処理を終了して、図18の遊技制御処理に復帰する。一方、S316の処理で、当り遊技を実行中でないと判断すると(S316;NO)、特別図柄が変動中か否か、つまり、第1の特別図柄及び第2の特別図柄のうちの何れかが変動中であるか否かを判断する(S318)。そして、特別図柄が変動中でない場合は(S318;NO)、特別図柄が未だ変動していないか、若しくは変動表示後に停止図柄で停止表示されているかの、いずれかであると考えられる。そこで、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中(本実施例では、この停止表示時間を0.6秒とする。)であるか否かを判断する(S320)。そして、特別図柄が変動表示されておらず(S318;NO)、且つ、特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間中でもない場合は(S320;NO)、変動表示を開始できるか否かを判断する(S322a、S322b)。
【0152】
この「特別図柄の変動表示を開始できる条件」は「第1の特別図柄に関する保留数」と、「第2の特別図柄に関する保留数」とのうちの何れかが「ゼロ」でないことであるが、本実施例のCPU201は、「第2の特別図柄に関する保留数」が「ゼロ」であるか否かを優先して判断する(S322b)。つまり、「第2の特別図柄に関する保留数」が「ゼロ」でない場合(S322b;NO)、RAM202の「第2の判定用乱数メモリ202b」から、最も古い判定用乱数(S306bで取得した特図2大当り抽選乱数)を読み出し(S324b)、特図2変動表示開始処理(S500b)を行う。なお、「S322bの否定的な判断を経て、S500b以降の処理に至る処理」は、主制御基板200に搭載されたCPU201が「優先処理手段」として行う処理の具体例を構成する。
【0153】
特図2変動表示開始処理(S500b)においては、図27及び図28に示すように、先ず、特図2大当り抽選(第2の当否判定)を行う(502b)。この場合、遊技機1の遊技モードが高確率モードであるか否かが判断され、高確率モードであるときには、「高確率用のデータテーブル」と「S306bの処理で取得した特図2大当り抽選乱数」とを用いて、この「大当り抽選」が行われ、遊技機1の遊技モードが低確率モード(通常確率モード)であるときには、「低確率用のデータテーブル」と「S306bの処理で取得した特図2大当り抽選乱数」とを用いて、この大当り抽選が行われる。
【0154】
この特図2大当り抽選(502b)の結果が「大当り」であると判断されると(S504b;YES)、S306bの処理(図21を参照)において取得した「特図2大当り図柄決定乱数」を読み出して(S512b)、第2の特別図柄表示部62bに停止表示される図柄(大当り図柄)を設定(決定)する処理(S514b)を行った後、その決定された大当り図柄の態様と、遊技機1の現在の遊技状態(遊技モード)とを考慮して、図28に示す「大当り変動パターンテーブル」をセット(選択)する処理を行う(S516b)。なお、S514b及び後述するS514aは、発生する大当りの態様を決定する処理である。つまり、S514b及び後述するS514aで決定される大当り図柄に対応して、「通常大当り(15R通常)」、「第2の確変大当り(2R確変)」及び「第1の確変大当り(変則的でない第1の大当り遊技または変則的な第1の大当り遊技の実行契機となるもの)」のうちの何れかに、発生する大当りが定められる(図12,図13を参照)。
【0155】
S516bの処理(図28)や後述するS516aの処理(図26)では、計8種類の変動パターンテーブルのうちから、発生する大当りの種類(15R大当り、2R大当り)と、そのときの遊技モードを参酌して、1種類の変動パターンテーブルが選択される。つまり、S516bの処理や後述するS516aの処理では、S514bの処理で決定される大当りの種類(15R大当り、2R大当り)に応じて、「15R大当り変動パターンテーブル」若しくは「2R大当り変動パターンテーブル」が選択される。また、「15R大当り変動パターンテーブル」及び「2R大当り変動パターンテーブル」として、各々、遊技機1の遊技モードに対応する4種類のものが設けられており、S516bの処理では、そのときの遊技モードに対応する変動パターンテーブルが選択される。すなわち、「15R大当り変動パターンテーブル」と「2R大当り変動パターンテーブル」の各々として、「高確率短縮変動モード用の変動パターンテーブル」と、「高確率通常変動モード用の変動パターンテーブル」と、「低確率短縮変動モード用の変動パターンテーブル」と「低確率通常変動モード用の変動パターンテーブル」とが設けられている。
【0156】
S516bの処理や、後述するS532b、S533b、S516a、S522a、S532a及びS533aの各処理でセットされる変動パターンテーブルには、乱数値に対応付けて多数の変動パターン(例えば、20種、50種、100種)が記憶されている。
【0157】
S516bの処理で「大当り変動パターンテーブル」をセット(選択)した後、この「大当り用の変動パターンテーブル」を用いて乱数抽選を行うことで変動パターンを設定(決定)する(518b、520b)。つまり、変動パターンを決定するための乱数を取得し(S518b)、変動パターンを設定(決定)した後(520b)、S550b以降の処理に移行する。
【0158】
一方、特図2大当り抽選(502b)の結果が「外れ」であると判断されると(S504;NO)、S306bの処理(図21を参照)において取得したリーチ乱数を読み出し、この読み出したリーチ乱数に基づいて、リーチ演出(表示画面27aにおいて行うリーチ演出)の実行の有無を判断する(S510b)。そして、リーチ演出を行う場合(S510b;YES)には、「リーチ演出あり用の外れ変動パターンテーブル」をセット(選択)する処理を行った後(S532b)、S534bの処理に移行し、リーチ演出を行わない場合(S510b;NO)には、「リーチ演出なし用の外れ変動パターンテーブル」をセット(選択)する処理を行った後(S533b)、S534bの処理に移行する。
【0159】
ここで、S532bの処理、S533bの処理や、後述するS522aの処理、S532aの処理、S533aの処理においても、計4種類の変動パターンテーブルのうちから、そのときの遊技モードを参酌して、1種類の変動パターンテーブルが選択される。つまり、「高確率短縮変動モード用の変動パターンテーブル」と、「高確率通常変動モード用の変動パターンテーブル」と、「低確率短縮変動モード用の変動パターンテーブル」と「低確率通常変動モード用の変動パターンテーブル」とのうちの何れかが選択される。
【0160】
S532b若しくはS533bの処理の後、セット(選択)された「変動パターンテーブル」を用いて乱数抽選を行うことで変動パターンを設定(決定)する処理と、第2の特別図柄表示部62bに停止表示する図柄(外れ図柄)を設定(決定)する処理を行う(S534b、S536b、S538b)。つまり、変動パターンを決定するための乱数を取得する処理(S534b)と、外れ図柄決定乱数を取得する処理(536b)とを行う。そして、S532b若しくはS533bの処理でセット(選択)された「変動パターンテーブル」と、S534bの処理で取得した「変動パターン決定乱数」を用いて変動パターンを決定する処理と、S536bの処理で取得した「外れ図柄決定乱数」を用いて、第2の特別図柄表示部62bに停止表示する「外れ図柄」を決定する処理を行った後(S538b)、S550b以降の処理に移行する。なお、外れ図柄決定乱数は、前述のS306bの処理において取得されていてもよい。
【0161】
なお、本実施例において、「短縮変動モード(時短モード)」とは、変動時間短縮機能(時短機能)が作動している状態を指すもので、開放延長手段が作動する遊技モード、すなわち、「高確率開放延長モード」及び「通常確率開放延長モード」において変動時間短縮機能(時短機能)が作動する。よって、本実施例の説明では、「短縮変動モード(時短モード)」を「開放延長モード」と読み替えることができる。また、当否判定の結果が「外れ」である場合において、「短縮変動モードの設定時に特定される変動時間」は、「短縮変動モードの非設定時に特定される変動時間」に比べて短くされる可能性が高い。また、本実施例では、当否判定の結果が「外れ」である場合、特別図柄の保留数が考慮される。つまり、特別図柄の保留数が更に考慮され、保留数が少ない場合(例えば、変動パターン決定時の保留数が「1」の場合)には、長めの変動時間を特定する変動パターンが選択され、保留数が多い場合(例えば、変動パターン決定時の保留数が「3」〜「4」の場合)には、短めの変動時間を特定する変動パターンが選択される傾向にある。また、リーチ表示を行わないと判断される場合に選択される変動パターンで特定される変動時間は、リーチ表示を行うと判断される場合に選択される変動パターンで特定される変動時間に比べて短くされる傾向にある。なお、各「変動パターンテーブル」は、主制御基板200に搭載されたROM203に予め設定されている。
【0162】
S550bの処理において、CPU201は、第2の特別図柄表示部62bにて特別図柄の変動表示を開始するとともに、サブ制御部200A(サブ制御基板220)に向かって、「変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定するコマンド)」及び「特別図柄停止情報指定コマンド(特図2停止情報指定コマンド)」を送信する処理を行う。そして、CPU201は、S550bの処理に続いて、「第2の特別図柄の保留数(第2の保留数)」を「1」減算する処理と、減算された後の保留数を特定するためのコマンド(特図2保留指定コマンド)をサブ制御基板220に送信する処理とを行った後(S552b)、特図2変動表示開始処理(S500b)を終了し、更に特別図柄遊技処理(S300)を終了して、図18の遊技制御処理に復帰する。
【0163】
ここで、変動パターン指定コマンド及び特別図柄停止情報指定コマンドは、図17に示したように、ストローブ信号とともにサブ制御基板220に向かって出力される。このストローブ信号は、サブ制御基板220に搭載されたCPU220aの割り込み端子に接続されており、サブ制御基板220側のCPU220aは、ストローブ信号が入力されると直ちに各指定信号を受け取って、指定信号の内容を解析する。詳細な説明は省略するが、変動パターンは、リーチ演出を行うか否か、特別図柄を停止表示させる図柄が当り図柄(大当り図柄)であるか否か等の種々の条件を考慮して決定されており、変動パターンが分かれば、特別図柄が変動表示する時間を決定することができる。また、特別図柄停止情報指定コマンドを解析すれば、特別図柄が大当り図柄で停止するのか、小当り図柄で停止するか、或いは、外れ図柄で停止するのか、更には大当り図柄で停止する場合、その大当り図柄が何れであるか(2R潜伏確変大当りを示す大当り図柄であるか、第1の確変大当りを示す大当り図柄等)を知ることができる。
【0164】
サブ制御基板220に搭載されたCPU220aは、これらの情報に基づいて、演出表示装置27での演出態様を決定した後、演出表示制御基板222に対して疑似図柄の表示制御信号を出力し、疑似図柄の変動・停止表示等を行う。また、特別図柄の変動時間(変動パターン指定コマンド)に基づいて、演出表示装置27でいわゆるリーチ演出を行うか否か、更にはどのような種類のリーチ演出とするかも決定する。そして、サブ制御基板220は、こうして決定した演出内容に従って、演出表示制御基板222や、アンプ基板224、装飾駆動基板226などを制御することにより、決定した内容の演出を行うことになる。
【0165】
図22に戻り、「第2の特別図柄に関する保留数」が「ゼロ」であるとともに(S322b;YES)、「第1の特別図柄に関する保留数」が「ゼロ」でない場合(S322a;NO)には、RAM202の「第1の判定用乱数メモリ202a」から、最も古い判定用乱数(S306aで取得した特図1大当り抽選乱数及び特図1小当り抽選乱数)を読み出し(S324a)、特図1変動表示開始処理(S500a)を行う。ここで、特図1変動表示開始処理(S500a)は、図25及び図26に示すように、小当りに関する処理(S506a、S508a、S522a、S524a、526a、528a)が付加されている点と、「特図2」を「特図1」と読み替える点と、「ステップ数」に付したアルファベットの「b」を「a」とする点とが異なる他、前述の特図2変動表示開始処理(S500b)と同様である。
【0166】
つまり、特図1変動関連開始処理(S500a)においては、図25及び図26に示すように、先ず、特図1大当り抽選(第1の当否判定)を行う(502a)。この場合も、遊技機1の遊技モードが高確率モードであるときには、「高確率用のデータテーブル」と「S306aの処理で取得した特図1大当り抽選乱数」とを用いて、この「大当り抽選」が行われ、遊技機1の遊技モードが低確率モード(通常確率モード)であるときには、「低確率用のデータテーブル」と「S306aの処理で取得した特図1大当り抽選乱数」とを用いて、この大当り抽選が行われる。
【0167】
この特図1大当り抽選(502a)の結果が「大当り」であると判断されると(S504a;YES)、S306aの処理(図20を参照)において取得した「特図1大当り図柄決定乱数」を読み出して(S512a)、第1の特別図柄表示部62aに停止表示される図柄(大当り図柄)を設定(決定)する処理(S514a)を行った後、決定された大当り図柄の態様と、遊技機1の遊技状態(遊技モード)とを考慮して、「大当り変動パターンテーブル」をセット(選択)する処理を行う(S516a)。そして、この「大当り変動パターンテーブル」を用いて乱数抽選を行うことで変動パターンを設定(決定)した後(518a、520a)、S550a以降の処理に移行する。
【0168】
一方、特図1大当り抽選(502a)の結果が「大当り」でないと判断されると(S504a;NO)、 「S306aの処理で取得した特図1小当り抽選乱数」を用いて小当り抽選を行い(S506a)、この小当り抽選に当選した場合(S508a;YES)、そのときの遊技モードを参酌して、1種類の変動パターンテーブルをセット(選択)する処理を行う(S522a)。つまり、「高確率短縮変動モード用の変動パターンテーブル」と、「高確率通常変動モード用の変動パターンテーブル」と、「低確率短縮変動モード用の変動パターンテーブル」と「低確率通常変動モード用の変動パターンテーブル」とのうちの何れかが選択される。
【0169】
この後、S522aの処理でセット(選択)された「変動パターンテーブル」を用いて乱数抽選を行うことで変動パターンを設定(決定)する処理と、第1の特別図柄表示部62aに停止表示する図柄(小当り図柄)を設定(決定)する処理を行う(S524a、S526a、S528a)。つまり、変動パターンを決定するための乱数を取得する処理(S524a)と、S306aの処理で取得した「小当り図柄決定乱数」を読み出す処理(526a)とを行う。そして、S522aの処理でセット(選択)された「変動パターンテーブル」と、S524aの処理で取得した「変動パターン決定乱数」を用いて変動パターンを決定する処理と、S526aの処理で読み出した「小当り図柄決定乱数」を用いて、第1の特別図柄表示部62aに停止表示する「小当り図柄」を決定する処理を行った後(S528a)、S550a以降の処理に移行する。
【0170】
また、特図1大当り抽選(502a)の結果が「大当り」でなく、かつ小当り抽選に落選した場合、つまり、特図1大当り抽選(502a)の結果が「外れ」である場合(S504a;NO、S508a;NO)、S306aの処理(図20を参照)において取得したリーチ乱数を読み出し、この読み出したリーチ乱数に基づいて、リーチ演出(表示画面27aにおいて行うリーチ演出)の実行の有無を判断する(S510a)。そして、リーチ演出を行う場合(S510a;YES)には、「リーチ演出あり用の外れ変動パターンテーブル」をセット(選択)する処理を行った後(S532a)、S534aの処理に移行し、リーチ演出を行わない場合(S510a;NO)には、「リーチ演出なし用の外れ変動パターンテーブル」をセット(選択)する処理を行った後(S533a)、S534aの処理に移行する。
【0171】
S532a若しくはS533aの処理の後、セット(選択)された「変動パターンテーブル」を用いて乱数抽選を行うことで変動パターンを設定(決定)する処理と、第1の特別図柄表示部62aに停止表示する図柄(外れ図柄)を設定(決定)する処理を行った後(S534a、S536a、S538a)、S550a以降の処理に移行する。このS550aの処理においても、CPU201は、第1の特別図柄表示部62aにて第1の特別図柄の変動表示を開始するとともに、サブ制御部200A(サブ制御基板220)に向かって、「変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定するコマンド)」及び「特別図柄停止情報指定コマンド(特図1停止情報指定コマンド」を送信する処理を行う。そして、CPU201は、S550aの処理に続いて、「第1の特別図柄の保留数(第1の保留数)」を「1」減算する処理と、減算された後の保留数を特定するためのコマンド(特図1保留指定コマンド)をサブ制御基板220に送信する処理とを行った後(S550a)、特図1変動表示開始処理(S500a)を終了し、更に特別図柄遊技処理(S300)を終了して、図18の遊技制御処理に復帰する。
【0172】
次に、特別図柄遊技処理(S300)のS318の処理(図22参照)で、第1の特別図柄又は第2の特別図柄が変動中であると判断された場合は(S318;YES)、既に、特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されていることとなる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S341)。即ち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S341;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を終了して、図18に示す遊技制御処理に復帰する。
【0173】
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S341;YES)、変動している第1の特別図柄又は第2の特別図柄を停止させ(S344)、停止図柄を表示するとともに、図柄停止コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S346)。なお、図柄停止コマンドは、サブ制御基板220を介して演出表示制御基板222に転送される。そして、特別図柄を停止表示させる停止表示時間を設定した後(S348)、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する(S350)。
【0174】
S350の処理で、特別図柄の停止表示時間が経過していないと判断されれば(S350;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を終了して、図18に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S350;YES)、停止表示の態様が当りを示す態様(つまり、大当り図柄或いは小当り図柄)か否かを判断する(図23のS352)。
【0175】
S352の処理で肯定的な判断がなされると、主制御基板200のCPU201は、後述する「当り遊技」の終了時に参照するためのバッファに、現在の遊技進行状況を示す情報をセット(記憶)する(S354)。具体的には、「当りの種類(大当りであるのか、小当りであるのか、大当りである場合には確変大当りであるのか否かなど)」、「遊技状態フラグの状態」をセット(記憶)する(S354)。ここで、「遊技状態フラグ」とは「遊技機1の遊技状態」を示すフラグ(確変フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグなど)であり、S354の処理においては、これらのフラグが「ONに設定」されているか、「OFFに設定」されているかが、セットされる。また、主制御基板200に搭載されたRAM202の特定領域が、S354の処理で用いるバッファとして機能する。
【0176】
S356以降の処理では、発生した当りの態様に応じて「当り遊技」の態様を振り分けることを行う。先ず、発生した当りが小当りであるか否かを判断し(S356)、小当りである場合(S356;YES)、主制御基板200のCPU201は、「小当り遊技における大入賞口31aの開放パターン」をセットした後(S358)、小当り遊技フラグをセット(ONに設定)する(S360)。ここで、S358の処理で設定される開放パターンは、「0.2秒間」の開放を所定のインターバル時間(例えば、2秒)を挟んで2回行うパターンである。
【0177】
S360の処理に続いて、図24に示すように、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されているか否かを判断し(S362)、セットされていない場合(S362;NO)、特別図柄遊技処理(S300)を抜けて図18の遊技制御処理に復帰する。また、変動短縮フラグがセットされている場合(S362;YES)、変動短縮カウンタの値を「1」デクリメントした後(S364)、変動短縮カウンタの値が「ゼロ」でなければ(S366;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて図18の遊技制御処理に復帰し、変動短縮カウンタの値が「ゼロ」であれば(S366;YES)、変動短縮フラグを解除(OFFに設定)する処理(S367)と、開放延長フラグを解除(OFFに設定)する処理(S368)とを行った後、特別図柄遊技処理(S300)を抜けて図18の遊技制御処理に復帰する。そして、何れの場合においても、図18の遊技制御処理に復帰すると、後述する当り遊技処理(図29)が開始され、小当り遊技が実行される。
【0178】
ここで、「確変フラグ」は遊技機1の遊技モード(遊技状態)が高確率モード(高確率状態)にあることを示すフラグであり、「変動短縮フラグ」は遊技機1の遊技モード(遊技状態)が変動短縮モード(変動短縮状態)にあることを示すフラグである。また、「開放延長フラグ」は遊技機1の遊技モード(遊技状態)が開放延長モード(開放延長状態)にあることを示すフラグである。更に、「変動短縮カウンタ」は、「変動短縮しつつ実行する特別図柄の変動回数」の上限回数を示すものであり、その値が「ゼロ」になると、次回の図柄変動において短縮変動は行われない。
【0179】
図23に示すように、S356の処理で「小当りでない」、つまり、「大当りである」と判断されると(S356;NO)、主制御基板200のCPU201は、発生した大当りの態様に応じて、大入賞口31aの開放パターンをセットする処理を行う。すなわち、発生した大当りが「出球なし大当り(2R大当り)」である場合(S372;YES)、「出球なし大当り用の大入賞口31aの開放パターン(第2の大当り遊技における大入賞口31aの開放パターン)」をセットした後(S374)、S378の処理に移行し、発生した大当りが「出球なし大当り(2R大当り)」でない場合、換言すると「第1の大当り(15R大当り)」である場合(S372;NO)、「出球あり大当り用の大入賞口31aの開放パターン(第1の大当り遊技における大入賞口31aの開放パターン)」をセットした後(S376)、図24に示すS378の処理に移行する。
【0180】
ここで、発生した大当りが「第1の通常大当り」であるか、「変則的でない第1の確変大当り」である場合は、S376の処理において、一般的な「第1の大当り遊技における大入賞口31aの開放パターン」がセットされ、発生した大当りが変則的な「第1の確変大当り」である場合は、変則的な「第1の大当り遊技における大入賞口31aの開放パターン」がセットされる。ここで、一般的なパターンとしては、「25秒間」の開放を所定のインターバル時間(例えば、2秒)を挟んで15回行うパターン」がセットされ、変則的なパターンとしては、「2.5秒(第4の開放時間)に渡って開放とすることを計10回行う開放繰り返し動作」を所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ15回(15ラウンド)繰り返すパターンがセットされる。また、「第2の大当り遊技における大入賞口31aの開放パターン」は、前述の「小当り遊技における大入賞口31aの開放パターン」と同一であるため、遊技者にとっては、大入賞装置31の動作を見ただけでは、第2の大当り遊技が実行されているのか、或いは、小当り遊技が実行されているのかを判別することが困難である。また、本実施例と異なり、「第1の大当り遊技」として、一般的な「第1の大当り遊技のみを実行することとしてもよい。
【0181】
S378の処理においては、大当り遊技フラグをセット(ONに設定)する処理が行われる。この「大当り遊技フラグ」のセットにより、遊技機1の遊技状態は「大当り遊技状態」に移行する(大当り遊技実行手段が作動を開始する)ことになるが、本実施例の遊技機1では、「大当り遊技フラグ」の設定中(つまり、大当り遊技実行手段の作動中)は、確変機能、時短機能、開放延長機能は働かないこととしている。このため、S378の処理の後にS380以降の一連の処理を経て特別図柄遊技処理(S300)を終了する。
【0182】
つまり、S378の処理において、「大当り遊技フラグ」を設定したら、確変フラグがセット(ONに設定)されているか否かを判断し(S382)、セットされていない場合は(S382;NO)、そのままS384の処理に移行し、セットされている場合は(S382;YES)、確変フラグを解除(OFFに設定)した後(S382)、S384の処理に移行する。そして、S384の処理においては、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されているか否かを判断し、セットされていない場合は(S384;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図18の遊技制御処理に復帰する。一方、S384の処理において、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されていると判断される場合は(S384;YES)、変動短縮フラグと開放延長フラグとを解除(OFFに設定)した後(S386、S387)、特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図18の遊技制御処理に復帰する。そして、何れの場合においても、図18の遊技制御処理に復帰すると、後述する当り遊技処理(図29)が開始され、大当り遊技が実行される。なお、S382の処理の肯定判断とS383の処理を経て、S384の処理で否定的な判断がなされる場合、遊技機1の当該「大当りの発生」前における遊技状態(遊技モード)は、「高確率通常開放モード」、つまり、「潜伏確変モード」となる。
【0183】
次に、図23のS352の処理で否定的な判断がなされる場合の処理について説明する。つまり、第1の特別図柄表示部62a若しくは第2の特別図柄表示部62bにおいて停止表示された特別図柄が「外れ図柄」の場合(S352;NO)、図24に示すように、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されているか否かが判断される(S398)。そして、変動短縮フラグがセットされていない場合(S398;NO)、つまり、外れ発生時の遊技モードが、「低確率通常変動モード」若しくは「高確率通常変動モード」である場合、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図18の遊技制御処理に復帰する。
【0184】
一方、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されている場合(S398;YES)、つまり、外れ発生時の遊技モードが、「低確率短縮変動モード」若しくは「高確率短縮変動モード」である場合、変動短縮カウンタの値を「−1」した後(S400)、変動短縮カウンタの値が「ゼロ」になったか否かを判断する(S404)。そして、「ゼロ」になっていない場合(S404;NO)、 そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図18の遊技制御処理に復帰する。
【0185】
これに対して、S404の処理で、変動短縮カウンタの値が「ゼロ」になったと判断される場合(S404;YES)、遊技機1の遊技モードが低確率短縮変動モードから低確率通常変動モードに切り替わるか、或いは、高確率短縮変動モードから高確率通常変動モードに切り替わることになる。このため、変動短縮フラグを解除(OFFに設定)する処理(S410)と、開放延長フラグを解除(OFFに設定)する処理(S416)と、モード指定コマンドをサブ制御基板220に送信する処理(S430)とを行った後、特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図18の遊技制御処理に復帰する。なお、S430の処理では、低確率通常変動モード或いは高確率通常変動モードを指定する「モード指定コマンド」がサブ制御基板220に送信される。但し、「低確率短縮変動モード」、「高確率短縮変動モード」の何れかの遊技モードにおいて「確変大当り(第1の確変大当り又は第2の確変大当り)」を生ずると、変動短縮カウンタの初期値が「10,000」にセットされるので、この場合には、S404の肯定判断を生ずることはあり得ないため、そのような状況下から「高確率通常変動モード」を生ずることはない。また、「モード指定コマンド」とは、遊技状態フラグ(確変フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグ)に基づいて、現在の遊技モードが「低確率通常変動モード」、「高確率通常変動モード」、「低確率短縮変動モード」、「高確率短縮変動モード」の何れであるかを指定するコマンドである。
【0186】
F.当り遊技処理(S600)
主制御基板200に搭載されたCPU201が、図18の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、図29に示すように、「当りフラグ」がセットされている(大当りフラグ若しくは小当りフラグがONに設定されている)と判断すると(S602;YES)、当り遊技処理を開始させ(S600)、「当り遊技(大当り遊技若しくは小当り遊技)」が実現される。
【0187】
図29は、当り遊技処理(S600)の流れを示すフローチャートである。大入賞口31aが開放されると、前述のように、所定の開放時間(図29のS358、S374若しくはS376の処理で設定)が経過するか、或いは、所定数の遊技球が大入賞口31aに入賞すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開放状態となる。ここで、閉鎖状態の大入賞装置31が開放状態となり、再び開放状態となることを内容とする遊技(大入賞口31aを開放してから閉鎖するまでの遊技)は「単位動作(大当り遊技においては、ラウンド)」と称することとする。そして、この単位動作を所定回数(2回若しくは15回)繰り返すと、当り遊技を終了する。以下、図29〜図31を参照しながら、詳細な処理内容について説明する。
【0188】
当り遊技(小当り遊技、第1の大当り遊技若しくは第2の大当り遊技)を開始すると、先ず、大入賞口31aが開放中か否かを判断する(S604)。ここで、大入賞口31aは、「当り遊技状態ではない通常の遊技状態」では閉鎖されており、従って、当り遊技の開始直後は、大入賞口31aは閉鎖状態となっている。このため、当り遊技の開始直後は、大入賞口31aは開放中ではないと判断され(S604;NO)、続いて、当り遊技の終了条件が成立したか否かが判断される(S612)。つまり、「当り遊技開始後に実行された単位動作の回数」が対応する当り遊技の設定回数(2回若しくは15回であって、図23のS358、S374若しくはS376の処理で設定)に達したか否かを判断する(S612)。
【0189】
但し、当り遊技が開始された直後は、当り遊技の終了条件が成立しないため、S612の処理では、必然的に否定的な判断がなされる(S612;NO)。このため、S614の処理に移行して、インターバル時間(例えば、2秒)が経過したか否かを判断する(S614)。つまり、大入賞口31aの閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S614)。ここで、大入賞口31aの閉鎖時間(インターバル時間)とは、単位動作と単位動作との間で大入賞口31aが閉鎖状態となっている時間である。そして、当り遊技が開始された直後は、大入賞口31aは閉鎖状態となっているから、必然的に、大入賞口の閉鎖時間が経過していると判断され(S614;YES)、大入賞口31aを開放させた後(S616)、図29に示した当り遊技処理を一旦終了して、図18の遊技制御処理に復帰する。
【0190】
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図18に示す一連の各種処理を行った後、再び当り遊技処理(S600)を開始する。この際、前述のように、図18に示した遊技制御処理を、主制御基板200のCPU201が一回、実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図29に示す当り遊技処理(S600)も、約4msec毎に繰り返して実行される。
【0191】
そして、S604の処理で肯定的な判断がなされると、大入賞口31aの開放時間が経過したか否かを判断する(S606)。つまり、実行中の大当り遊技が変則的でない「第1の大当り遊技」である場合、第1の開放時間(25秒)が経過したか否かが判断され、変則的な「第1の大当り遊技」である場合、第4の開放時間(2.5秒)の10倍の時間(25秒)が経過したか否かが判断される。また、実行中の大当り遊技が「第2の大当り遊技」である場合、第2の開放時間(0.2秒)が経過したか否かが判断される。更に、実行中の当り遊技が「小当り遊技」である場合、第2の開放時間(0.2秒)が経過したか否かが判断される。ここで、第1の開放時間(25秒)は多数の遊技球(8個、但し、釘調整が厳しい場合、例えば、6個)が入賞するための十分な時間であり、第2の開放時間は遊技球が入賞することが困難な時間である。
【0192】
大入賞口31aの開放時間(第1の開放時間、第2の開放時間若しくは第3の開放時間など)が経過していれば(S606;YES)、大入賞口31aを閉鎖した後(S610)、図29に示した当り遊技処理(S600)を抜けて、図18の遊技制御処理に復帰する。一方、大入賞口31aの開放時間が経過していない場合は(606;NO)、大入賞口31aに入賞した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S608)。そして、遊技球の入賞数が規定数に達した場合も(S608;YES)、大入賞口31aを閉鎖する(S610)。つまり、遊技球の入賞数が規定数に達すると、開放時間の経過を待たずに大入賞口31aを閉鎖する。
【0193】
大入賞口31aの開放時間(第1の開放時間若しくは第2の開放時間)が経過せず(S606;NO)、入賞数が規定数に達していない場合は(S608;NO)、大入賞口31aを開放させたまま、図29の当り遊技処理を抜けて、図18の遊技制御処理に復帰する。
【0194】
遊技機1の遊技状態が「当り遊技状態」である場合(大当り遊技フラグ若しくは小当り遊技フラグがセットされている場合)、図18の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口31aの開放時間が経過するか(S606;YES)、若しくは、大入賞口31aに所定数の遊技球が入賞して(S608;YES)、大入賞口31aが閉鎖される(S610)。こうして、1回の単位動作を終了する。
【0195】
遊技機1の遊技状態が「当り遊技状態」にあるときに、再度、当り遊技処理(S600)が実行され、S604において大入賞口31aが閉鎖中と判断されると(S604;NO)、当該「当り遊技」の終了条件が成立したか否かが判断される(S612)。つまり、「当り遊技」が「第1の大当りに係る大当り遊技」の場合は、その「当り遊技」中に実行した単位動作の回数(ラウンド数)が「15」に達したか否かが判断され、「第2の大当りに係る大当り遊技」の場合は「2」に達したか否かが判断される。そして、単位動作の回数(ラウンド数)が設定回数に到達していなければ(S612;NO)、インターバル時間(例えば、2秒)が経過したことを確認した後(S614;YES)、再び大入賞口31aを開放状態とする新たな単位動作を実行する(S616)。また、「当り遊技」が「小当り遊技」の場合には、大入賞口31aを0.2秒間開放させる開放動作が2回行われたか否かが判断され、2回行われていなければ(S612;NO)、インターバル時間(例えば、2秒)が経過したことを確認した後(S614;YES)、再び大入賞口31aを開放状態とする(S616)。
【0196】
一方、S612の処理において、当該「当り遊技」の終了条件が成立したと判断される場合は(S612;YES)、以下に示す「当り遊技終了時処理(S700)」を行った後、当り遊技処理(S600)を終了する。以下、この「当り遊技終了時処理(S700)」について、図30及び図31を用いて説明する。
【0197】
図30に示すように、「当り遊技終了時処理(S700)」が起動すると、先ず、当り遊技フラグ(大当り遊技フラグ若しくは小当り遊技フラグ)を解除(OFFに設定)する処理を行う(S702)。そして、前述の「当り終了時参照用バッファ(図23のS354を参照)」を参照することによって、S704以降の処理を行う。
【0198】
S704の処理では、「今回の当り遊技の前提となった当り図柄(以下、「今回の当り図柄」という。)」が「大当り図柄」であるか否かが判断される。そして、「大当り図柄」でないと判断される場合(S704;NO)、つまり、「今回の当り図柄」が「小当り図柄」であると判断される場合(S704;NO)、CPU201は、図31に示すように、当り遊技終了後における遊技機1の遊技モードをサブ制御基板220に送信した後(S724)、当り遊技終了時処理(S700)を終了する。この場合、(a)今回の当り遊技開始前の遊技モードが「低確率短縮変動モード」若しくは「高確率短縮変動モード」であり、S366(図24参照)の否定的な判断を経た場合と、(b)今回の当り遊技開始前の遊技モードが「低確率通常変動モード」若しくは「高確率通常変動モード」であった場合には、「今回の当り遊技開始前の遊技モードと同一の遊技モードを指定するコマンド」がS724の処理で送信される。また、(c)今回の当り遊技開始前の遊技モードが「低確率短縮変動モード」であって、S366(図24参照)の肯定的な判断を経た場合には、「低確率通常変動モードを指定するコマンド」がS724の処理で送信され、(d)今回の当り遊技開始前の遊技モードが「高確率短縮変動モード」であって、S366(図24参照)の肯定的な判断を経た場合には、「高確率通常変動モードを指定するコマンド」がS724の処理で送信される。
【0199】
「今回の当り図柄」が「大当り図柄」であると判断される場合(S704;YES)には、「今回の当り図柄」が「確変大当り図柄」であるか否かを判断する(S706)。そして、「今回の当り図柄」が「通常大当り図柄」であった場合(S706;NO)には、図31に示すように、変動短縮カウンタに「100」をセットする処理(S718)と、変動短縮フラグをセットする処理(S720)と、開放延長フラグをセットする処理(S722)とを行う。そして、当り遊技終了後における遊技機1の遊技モードが、「低確率短縮変動モード」であること指定するモード指定コマンドをサブ制御基板220に送信した後(S724)、当り遊技終了時処理(S700)を終了する。
【0200】
また、今回の当り図柄が「確変大当り図柄(第1の確変大当り図柄若しくは第2の確変大当り図柄)」である場合は(S706;YES)、確変フラグをセット(ONに設定)する処理(S708)を行った後、S710の処理に移行する。このS710の処理では、この今回の当り図柄が「出球あり確変大当りを示す大当り図柄(第1の確変大当り図柄)」であるか否かを判断する(S710)。
【0201】
そして、S710の処理で肯定的な判断がなされる場合、つまり、今回の当り図柄が「出球あり確変大当りを示す大当り図柄(第1の確変大当り図柄)」である場合(S710;YES)、図31に示すように、変動短縮カウンタに「10,000」をセットする処理(S716)と、変動短縮フラグをセットする処理(S720)と、開放延長フラグをセットする処理(S722)とを行う。更に、当り遊技終了後における遊技機1の遊技モードが、「高確率短縮変動モード」であること指定するモード指定コマンドをサブ制御基板220に送信した後(S724)、当り遊技終了時処理(S700)を終了する。
【0202】
一方、S710の処理で否定的な判断がなされる場合、つまり、今回の当り図柄が「出球なし確変大当りを示す大当り図柄(第2の確変大当り図柄)」である場合(S710;NO)、今回の当り発生時の遊技モードに応じて、当り遊技後の遊技モードを振り分ける処理を行う(S712、S714)。
【0203】
すなわち、当り発生時の遊技モードが「高確率短縮変動モード」である場合(S712;YES)には、変動短縮カウンタに「10,000」をセットする処理(S716)と、変動短縮フラグをセットする処理(S720)と、開放延長フラグをセットする処理(S722)とを行う。そして、当り遊技終了後における遊技機1の遊技モードが「高確率短縮変動モード」であること指定するモード指定コマンドをサブ制御基板220に送信した後(S724)、当り遊技終了時処理(S700)を終了する。
【0204】
また、当り発生時の遊技モードが「低確率短縮変動モード」である場合(S712;NO、S712;YES)には、変動短縮カウンタに「100」をセットする処理(S718)と、変動短縮フラグをセットする処理(S720)と、開放延長フラグをセットする処理(S722)とを行う。そして、当り遊技終了後における遊技機1の遊技モードが「高確率短縮変動モード」であること指定するモード指定コマンドをサブ制御基板220に送信した後(S724)、当り遊技終了時処理(S700)を終了する。つまり、低確率短縮変動モードである場合に「出球なし確変大当り」を生ずると、高確率短縮変動モードである場合に「出球なし確変大当り」を生じた場合に比べて、開放延長手段が作動する期間が短くなる。
【0205】
更に、当り発生時の遊技モードが、高確率短縮変動モード及び低確率短縮変動モードの何れでもない場合(S712;NO、S712;NO)には、当り遊技終了後における遊技機1の遊技モードが「高確率通常変動モード」であること指定するモード指定コマンドをサブ制御基板220に送信した後(S724)、当り遊技終了時処理(S700)を終了する。つまり、開放延長手段が未作動の状態で(遊技モードが、高確率通常変動モード若しくは低確率通常変動モードである場合に)、「出球なし確変大当り」を生ずると、当該当り遊技終了後に所謂「潜伏確変状態(開放延長手段及び変動短縮手段を未作動としつつ、確率変動手段を作動させる状態)」となる。
【0206】
(7)演出制御処理
次に、図32を用いて、サブ制御部220A(サブ制御部220Aを構成するサブ制御基板220のCPU220a)が、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222の図示しないCPU)と協働して行う「演出制御処理」の概要について説明する。なお、図32には、演出制御処理を構成する各処理のうちで主要な処理のみを図示している。
【0207】
この演出制御処理では、遊技機1に電源が投入されるか、リセットスイッチが押されると(950;YES)、先ず、初期化処理を行う(S960)。この後、電源がOFFになるまでの間(S2300で肯定判断されるまでの間)、図柄変動演出関連処理(S1100)、保留表示領域設定処理(S1500)、特図1保留関連処理(S1600)、特図2保留関連処理(S1700)、大当り遊技演出処理(S1800)などの主要な処理が繰り返し実行される。尚、図32の一周の処理に要する時間は、ほぼ2msecとなっているため、これらの処理は約2msec毎に繰り返し実行される。以下、図32のフロー図に従ってサブ制御処理について説明する。また、本実施例では、大当り遊技演出処理(S1800)についての説明を省略する。
【0208】
a.図柄変動演出関連処理(S1100)
図柄変動演出関連処理(S1100)においては、図33に示すように、サブ制御部220A(サブ制御部220Aを構成するサブ制御基板220のCPU220a)が、図柄変動開始時のコマンドを受信すると(S1105;YES)、S1110以降の処理が実行される。ここで、S1105の処理で受信するコマンドは、変動パターン指定コマンド及び特別図柄停止情報指定コマンド(特図1停止情報指定コマンド若しくは特図2停止情報指定コマンド)である。
【0209】
ここで、サブ制御部220Aは、受信した「特別図柄停止情報指定コマンド」に基づき、主制御部200Aにおいて実行された当否判定(S320a,S320b)の結果を判断することができる。そして、当否判定の結果が当り(大当り若しくは小当り)である場合(S1110;YES)、受信した変動パターン指定コマンドに基づき、「当り演出の変動パターン(演出表示装置27の表示画面27aで実行される演出表示の実行態様、リーチ表示の態様等)」及び「当り停止図柄(演出表示装置27の表示画面27aで当りを確定表示する疑似図柄の態様)」を決定する処理を行った後(S1115)、S1120の処理に移行する。
【0210】
更に、当否判定の結果が外れある場合(S1110;NO)、受信した変動パターン指定コマンドに基づき、「外れ演出の変動パターン(演出表示装置27の表示画面27aで実行される演出表示の実行態様、リーチ表示の実行有無、リーチ表示を実行する場合のリーチ表示態様等)」及び「外れ停止図柄(演出表示装置27の表示画面27aで外れを確定表示する疑似図柄の態様)」を決定する処理を行った後(S1118)、S1120の処理に移行する。
【0211】
S1120の処理において、サブ制御部220Aは、受信した変動パターン指定コマンド(CHP)及び特別図柄停止情報指定コマンド(CJS)に基づいて、S1115若しくはS1118で決定した「変動パターン(演出パターン)」及び「疑似図柄の停止図柄」を指定するコマンド(演出表示詳細コマンド)を演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に送信し、演出表示装置27において、疑似図柄や背景図柄等の演出図柄の変動表示(変動遊技)を開始させる(S1120)。つまり、演出表示装置27の表示画面27aにおける図柄変動表示(図柄変動演出)を開始させる(S1120)。
【0212】
そして、サブ制御部220Aが、主制御部200A(主制御基板200)から送信される演出停止指定コマンド(CZE)を受信すると(S1125;YES)、サブ制御部220Aは、受信した演出停止指定コマンドを演出表示制御部222Aに転送し、演出表示装置27の表示画面27aにおける図柄変動表示を終了させる(S1130)。
【0213】
b.保留表示領域設定処理(S1500)
保留表示領域設定処理(S1500)は、第1の特別図柄の保留数を示す「第1の保留数に関する表示(以下、「特図1保留表示」という。)」と、第2の特別図柄の保留数を示す「第2の保留数に関する表示(以下、「特図2保留表示」という。)」とを、図7に示す第1保留表示領域(D1〜D4)及び第2保留表示領域(E1〜E4)のうちの何れで行うかを決定(設定)するための処理である。この保留表示領域設定処理(S1500)においては、モード指定コマンドを受信すると(S1505;YES)、S1510以降の処理を実行する。
【0214】
ここで、このモード指定コマンドは、本遊技機1の遊技モードが切り替わるときに、主制御部200A(主制御基板200)からサブ制御部220A(サブ制御基板200)に送信されるコマンドであり(図24のS430の処理、図31のS724の処理を参照)、「遊技機1の遊技モードが高確率短縮変動モードに切り替わるときに送信されるモード指定コマンド」と、「遊技機1の遊技モードが高確率通常変動モードに切り替わるときに送信されるモード指定コマンド」と、「遊技機1の遊技モードが低確率短縮変動モードに切り替わるときに送信されるモード指定コマンド」と、「遊技機1の遊技モードが低確率通常変動モードに切り替わるときに送信されるモード指定コマンド」とが設けられている。
【0215】
サブ制御基板220のCPU220aは、モード指定コマンドを受信すると(S1505;YES)、そのモード指定コマンドが通常変動モード(高確率通常変動モード若しくは低確率通常変動モード)を指定するコマンドであるか否かを判断する(S1510)。つまり、受信したモード指定コマンドが、開放延長手段を作動させない通常開放モード(高確率通常変動モード若しくは低確率通常変動モード)を指定するコマンドであるのか、それとも、開放延長手段を作動させる開放延長モード(高確率短縮変動モード若しくは低確率短縮変動モード)を指定するコマンドであるのかを判断する。
【0216】
受信したモード指定コマンドが、「通常変動モード」(高確率通常変動モード若しくは低確率通常変動モード)を指定するコマンドである場合(S1510;YES)、すなわち、「通常開放モード」を指定するコマンドである場合には、「特図1保留表示」を第1保留表示領域(D1〜D4)で実行し、「特図2保留表示」を第2保留表示領域(E1〜E4)で実行するように設定した後(S1515,S1520)、保留表示領域設定処理(S1500)を終了する。一方、受信したモード指定コマンドが、「短縮変動モード」(高確率短縮変動モード若しくは低確率短縮変動モード)を指定するコマンドである場合(S1510;NO)、すなわち、「開放延長モード」を指定するコマンドである場合には、「特図2保留表示」を第1保留表示領域(D1〜D4)で実行し、「特図1保留表示」を第2保留表示領域(E1〜E4)で実行するように設定した後(S1525,S1530)、保留表示領域設定処理(S1500)を終了する。
【0217】
c.特図1保留関連処理(S1600)
特図1保留関連処理(S1600)は、「特図1保留表示」の更新等に関する処理である。この特図1保留関連処理(S1600)においては、「特図1保留指定コマンド」を受信すると(S1605;YES)、S1610以降の処理を実行する。
【0218】
ここで、「特図1保留指定コマンド」は、第1の保留数の増加(図20のS306aの処理を参照)若しくは減少(図26のS552aの処理を参照)を生じたときに、主制御部200A(主制御基板200)からサブ制御部220A(サブ制御基板200)に送信されるコマンドである(図20のS314a若しくはS315aの処理、図26のS552aの処理を参照)。
【0219】
サブ制御基板220のCPU220aは、「特図1保留指定コマンド」を受信すると(S1605;YES)、この「特図1保留指定コマンド」に「事前判定の結果」を示す情報が含まれているか否かを判断する(S1610)。ここで、図20のS314aによって送信された「特図1保留指定コマンド」には「事前判定の結果」を示す情報が含まれており、図20のS315aによって送信された「特図1保留指定コマンド」と、図26のS552aの処理によって送信された「特図1保留指定コマンド」には「事前判定の結果」を示す情報が含まれていない。
【0220】
サブ制御基板220のCPU220aが、S1605の処理で受信した「特図1保留指定コマンド」に事前判定の結果を示す情報が含まれていないと判断すると(S1610;NO)、「特図1保留表示」を更新する処理を行った後(S1625)、特図1保留関連処理(S1600)を終了する。つまり、S1605の処理で受信した「特図1保留指定コマンド」が、図20のS315aによって送信されたものである場合には、「特図1保留表示(第1の保留数)」を「+1」する処理を行った後(S1625)、特図1保留関連処理(S1600)を終了する。また、S1605の処理で受信した「特図1保留指定コマンド」が、図25のS552aによって送信されたものである場合には、「特図1保留表示(第1の保留数)」を「−1」する処理を行った後(S1625)、特図1保留関連処理(S1600)を終了する。
【0221】
一方、サブ制御基板220のCPU220aが、S1605の処理で受信した「特図1保留指定コマンド」に事前判定の結果を示す情報が含まれていると判断すると(S1610;YES)、「特図1保留表示」を利用した予告(保留予告演出)を行うか否かを決定する(S1615)。例えば、乱数抽選等を用いて、「特図1保留表示」を利用した予告を行うか否かを決定する(S1615)。なお、「特図1保留指定コマンド」に事前判定の結果を示す情報が含まれているのは、開放延長手段が未作動のとき(通常開放モードのとき)であるため(図20を参照)、S1610の処理で肯定的な判断が得られるのは、「特図1保留表示」が第1保留表示領域(D1〜D4)において行われるときである(図34のS1515を参照)。
【0222】
S1615の処理の結果、サブ制御基板220のCPU220aが、予告を行わないと決定すると(S1615;NO)、第1保留表示領域(D1〜D4)において「特図1保留表示(第1の保留数)」を「+1」する処理を行った後(S1625)、特図1保留関連処理(S1600)を終了する。つまり、第1保留表示領域(D1〜D4)に表示する「イカのキャラクタ図柄(図8参照)」を1個増やす処理を行った後(S1625)、特図1保留関連処理(S1600)を終了する。
【0223】
一方、サブ制御基板220のCPU220aが、予告を行うと決定すると(S1615;YES)、第1保留表示領域(D1〜D4)において「特図1保留表示(第1の保留数)」を「+1」する処理を、予告演出を伴って行った後(S1620)、特図1保留関連処理(S1600)を終了する。つまり、第1保留表示領域(D1〜D4)に表示する「タコのキャラクタ図柄(図8参照)」を1個増やす処理を行った後(S1620)、特図1保留関連処理(S1600)を終了する。
【0224】
d.特図2保留関連処理(S1700)
特図2保留関連処理(S1700)は、「特図2保留表示」の更新等に関する処理である。この特図2保留関連処理(S1700)においては、「特図2保留指定コマンド」を受信すると(S1705;YES)、S1710以降の処理を実行する。
【0225】
ここで、「特図2保留指定コマンド」は、第2の保留数の増加(図21のS306bの処理を参照)若しくは減少(図28のS552bの処理を参照)を生じたときに、主制御部200A(主制御基板200)からサブ制御部220A(サブ制御基板200)に送信されるコマンドである(図21のS314b若しくはS315aの処理、図28のS552bの処理を参照)。
【0226】
「特図2保留指定コマンド」を受信すると(S1705;YES)、この「特図2保留指定コマンド」に「事前判定の結果」を示す情報が含まれているか否かを判断する(S1708)。ここで、図21のS314bによって送信された「特図2保留指定コマンド」には「事前判定の結果」を示す情報が含まれており、図28のS552bの処理によって送信された「特図2保留指定コマンド」には「事前判定の結果」を示す情報が含まれていない。
【0227】
サブ制御基板220のCPU220aが、S1705の処理で受信した「特図2保留指定コマンド」に事前判定の結果が含まれていないと判断すると(S1708;NO)、「特図2保留表示」を更新する処理を行った後(S1725)、特図2保留関連処理(S1700)を終了する。つまり、S1705の処理で受信した「特図2保留指定コマンド」が、図28のS552bによって送信されたものである場合には、「特図2保留表示(第2の保留数)」を「−1」する処理を行った後(S1725)、特図2保留関連処理(S1700)を終了する。
【0228】
一方、サブ制御基板220のCPU220aが、S1705の処理で受信した「特図2保留指定コマンド」に事前判定の結果が含まれていると判断すると(S1708;YES)、現在の遊技モードが短縮変動モード(開放延長機能が作動中)であるか否かを判断する(S1710)。ここで、遊技機1の遊技モードが高確率短縮変動モード若しくは低確率短縮変動モードであると、開放延長手段が作動する「開放延長モード」となることから、「特図2保留表示」が第1保留表示領域(D1〜D4)において行われ、遊技機1の遊技モードが高確率通常変動モード若しくは低確率通常変動モードであると、開放延長手段が未作動となる「通常開放モード」となることから、「特図2保留表示」が第2保留表示領域(E1〜E4)において行われる(図34のS1520、S1530を参照)。
【0229】
そして、S1710の処理で否定的な判断がなされる場合(S1710:NO)、つまり、「特図2保留表示」を第2保留表示領域(E1〜E4)で行っている場合は、「特図2保留表示(第2の保留数)」を「−1」する処理を行った後(S1725)、特図2保留関連処理(S1700)を終了する。一方、S1710の処理で肯定的な判断がなされる場合(S1710:YES)、つまり、「特図2保留表示」を第1保留表示領域(D1〜D4)において行っている場合、サブ制御基板220のCPU220aは、「特図2保留表示」を利用した予告(保留予告演出)を行うか否かを決定する(S1715)。例えば、乱数抽選等を用いて、「特図2保留表示」を利用した予告を行うか否かを決定する(S1715)。
【0230】
そして、サブ制御基板220のCPU220aが、予告を行わないと決定すると(S1715;NO)、第1保留表示領域(D1〜D4)において「特図2保留表示(第2の保留数)」を「+1」する処理を行った後(S1725)、特図2保留関連処理(S1700)を終了する。つまり、第1保留表示領域(D1〜D4)に表示する「イカのキャラクタ図柄(図8参照)」を1個増やす処理を行った後(S1725)、特図2保留関連処理(S1700)を終了する。
【0231】
これに対し、サブ制御基板220のCPU220aが、予告を行うと決定すると(S1715;YES)、第1保留表示領域(D1〜D4)において「特図2保留表示(第2の保留数)」を「+1」する処理を、予告演出を伴って行った後(S1720)、特図2保留関連処理(S1700)を終了する。つまり、第2保留表示領域(D1〜D4)に表示する「タコのキャラクタ図柄(図8参照)」を1個増やす処理を行った後(S1720)、特図2保留関連処理(S1700)を終了する。
【0232】
(8)実施例の効果
本実施例の遊技機1では、遊技処理の主体が「特図1遊技処理」と「特図2遊技処理」との間で変更されても、保留に係る情報を同じ態様で遊技者に対して示すことができる。つまり、「特図1遊技処理」が主体となる開放延長手段の未作動時(通常開放モード中)には、「特図1保留表示(第1の保留数)」が強調表示態様で第1保留表示領域(D1〜D4)に表示され、「特図2保留表示(第2の保留数)」が「標準表示態様」で第2保留表示領域(E1〜E4)に表示される。また、「特図2遊技処理」が主体となる開放延長手段の作動時(開放延長モード中)には、「特図2保留表示(第2の保留数)」が強調表示態様で第1保留表示領域(D1〜D4)に表示され、「特図1保留表示(第1の保留数)」が「標準表示態様」で第2保留表示領域(E1〜E4)に表示される。
【0233】
しかも、「第1保留表示領域(D1〜D4)」および「第2保留表示領域(E1〜E4)」は、演出表示装置27の表示画面27aの下縁部寄りの部位と、左縁部寄りの部位とに、それぞれ独立して(離して)設けられている。
【0234】
すなわち、本実施例の遊技機1によると、開放延長手段の未作動時及び作動時の何れにおいても、発生・消化の頻度の高い保留情報(第1の保留数、第2の保留数)が、第1保留表示領域(D1〜D4)に目立つ状態で表示され、発生・消化の頻度の低い保留情報(第2の保留数、第1の保留数)が、「第1保留表示領域(D1〜D4)とは独立した状態の第2保留表示領域(E1〜E4)」に目立たない状態で表示される。従って、本実施例の遊技機1によると、遊技処理の主体が「特図1遊技処理」と「特図2遊技処理」との間で変更されても、保留に係る情報を常に同じ態様で判り易く示すことができる。
【0235】
また、本実施例の遊技機1では、遊技者の視線が集中し易い「表示画面27aの下縁部寄りの部位」に第1保留表示領域(D1〜D4)が位置することとなるので、保留に係る情報をより適切に判りやすく提供することができる。つまり、本実施例では、第1の始動入賞装置17aおよび第2の始動入賞装置17bが、演出表示装置27の表示画面27aの下方に配置されており、遊技者の視線の中心は、「当否判定の結果等が表示される主表示領域(疑似図柄表示部27b〜27d)」と「当否判定の実行の可否に直結する始動入賞装置17a、17b」との間を行き来することになる。そして、遊技者の視線の中心が通過する通過経路上に「保留表示を強調表示態様で行う第1保留表示領域(D1〜D4)」を設け、通過経路外に「保留表示を標準表示態様で行う第2保留表示領域(E1〜E4)」を設ける。つまり、遊技者の視線の中心が通過する通過経路上に「遊技処理の主体なっている判定用乱数に関係する保留表示」が「強調表示態様」で表示される。従って、遊技処理の主体が「特図1遊技処理」と「特図2遊技処理」との間で変更される場合において、保留表示をより適切に判り易く行うことができる。
【0236】
また、本実施例の遊技機1では、事前判定の結果を示す予告表示(保留予告演出)を、強調表示態様で保留表示を行う第1保留表示領域(D1〜D4)において行うため、保留予告演出を遊技者に判り易く適切に行うことができる。また、本実施例によると、「2つの特別図柄」と「優先変動機能」を備えた遊技機に適した新規な保留表示を実現できるため、遊技機(パチンコ機)の品質向上を図ることができる。
【実施例2】
【0237】
次に、実施例2の遊技機について説明する。この実施例2の遊技機は、第1保留表示領域(D1〜D4)における保留表示の態様と、第2保留表示領域(E1〜E4)における保留表示の態様が異なる他は、実施例1と同様である。
【0238】
実施例2では、図37(a)に示すように、第1保留表示領域(D1〜D4)においては、「サイズが大きなキャラクタの影絵を示す図柄」を用いて保留表示を行い、第2保留表示領域(E1〜E4)においては、「キャラクタの影絵を示す図柄」よりもサイズが小さい「数字(例えば、明朝体、ゴシック体等の標準的字体)」を用いて保留表示を行っている。
【0239】
実施例2によっても、実施例1と同様な効果を得ることができる。また、実施例2の変形例として、図37(b)に示す変形例1と、図37(c)に示す変形例2を例示できる。このうち、変形例1は、第1保留表示領域(D1〜D4)における保留表示の輝度を高くし、第2保留表示領域(E1〜E4)における保留表示の輝度を低くしている。
【0240】
また、変形例2は、「第1保留表示領域(D1〜D4)」、「第2保留表示領域(E1〜E4)」および「各保留表示領域を除く表示画面27aの表示領域(以下、「残表示領域」という)」の3つの表示領域の明度について、「第1保留表示領域(D1〜D4)と残表示領域との間の明度差」を、「第2保留表示領域(E1〜E4)と残表示領域との間の明度差」よりも大きくしている。なお、図37(c)中、ハッチング表示の密度が高いほど、明度が低いことを示している。そして、変形例1及び変形例2によっても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0241】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0242】
すなわち、各実施例の遊技機では、表示画面27aの略全域が遊技機1の前方から視認可能となり、この表示画面27aの下縁部寄りの部位に第1保留表示領域(D1〜D4)を設け、この表示画面27aの左縁部寄りの部位に第2保留表示領域(E1〜E4)を設ける態様を例示した。但し、図38に示す変形例3のように、表示画面27aの前方に配設される盤部品27Gによって表示画面27aの周縁部が隠蔽される場合にも、各請求項の発明を適用できる。
【0243】
変形例3では、表示画面27aの前方に配設される盤部品27Gが、円形(楕円、長円、真円の何れでもよい。)の開口部27Hを前後に貫通する状態に備えており、「表示画面27aの周縁部寄りを除く部位271a(以下、「視認領域」という。)」が、開口部27Hを通じて、前方から視認可能とされている。そして、視認領域271aには、主表示領域(疑似図柄表示部27b〜27d)が設けられる。更に、視認領域271aにおいて、主表示領域(疑似図柄表示部27b〜27d)の下方に位置する部位であって開口部27Hの開口縁に近接する部位に、第1保留表示領域(D1〜D4)を横方向に向かって円弧状(開口部27Hの開口縁に沿った状態)に配置している。また、視認領域271aにおいて、主表示領域(疑似図柄表示部27b〜27d)の左側方に位置する部位であって開口部27Hの開口縁に近接する部位に、第2保留表示領域(E1〜E4)を縦方向に向かって円弧状(開口部27Hの開口縁に沿った状態)に配置している。そして、変形例3によっても、各実施例と同様な効果が得られる。
【0244】
各実施例では、一個の可変式の始動入賞装置(第2の始動入賞装置17b)と、一個の固定式の始動入賞装置(第1の始動入賞装置17a)とを備える遊技機1を例示したが、可変式の始動入賞装置(第2の始動入賞装置17b)及び固定式の始動入賞装置(第1の始動入賞装置17a)のうちの少なくとも一方を複数個としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0245】
本発明は、遊技機を製造、販売等する分野において利用できる。
【符号の説明】
【0246】
1;遊技機(弾球遊技機)、
2;外枠、
17a;第1の始動入賞装置(始動入賞装置)、
17b;第2の始動入賞装置(始動入賞装置)、
27;演出表示装置、
27a;表示画面、
31;大入賞装置(可変入賞装置)、
200;主制御部(第1の保留数記憶手段、第2の保留数記憶手段、第1の判定用乱数記憶手段、第2の判定用乱数記憶手段、第1の当否判定手段(大当り抽選手段及び小当り抽選手段)、第2の当否判定手段(大当り抽選手段)、優先処理手段、第1の保留数減算手段、第2の保留数減算手段、第1の事前判定手段、第2の事前判定手段、確率変動手段、開放延長手段、変動時間短縮手段)、
220A;サブ制御部、
222A;演出表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球受入口の大きさが一定とされる第1の始動入賞装置と、
開放条件が成立すると、遊技球が入賞困難な閉鎖状態から入賞容易な開放状態に、所定の開放時間が経過するまで変化する第2の始動入賞装置と、
前記第1の始動入賞装置に入賞した遊技球の個数を第1の保留数として、第1の上限個数を限度としつつ累積的に記憶する第1の保留数記憶手段と、
前記第2の始動入賞装置に入賞した遊技球の個数を第2の保留数として、第2の上限個数を限度としつつ累積的に記憶する第2の保留数記憶手段と、
前記第1の始動入賞装置への遊技球の入賞に基づいて発生する第1の判定用乱数を、前記第1の上限個数を限度に記憶する第1の判定用乱数記憶手段と、
前記第2の始動入賞装置への遊技球の入賞に基づいて発生する第2の判定用乱数を、前記第2の上限個数を限度に記憶する第2の判定用乱数記憶手段と、
前記第1の判定用乱数記憶手段に記憶されている前記第1の判定用乱数を記憶順に1個ずつ読み出して、当りを発生させるか否かの判定を第1の当否判定として行う第1の当否判定手段と、
前記第2の判定用乱数記憶手段に記憶されている前記第2の判定用乱数を記憶順に1個ずつ読み出して、当りを発生させるか否かの判定を第2の当否判定として行う第2の当否判定手段と、
前記第1の判定用乱数記憶手段に前記第1の判定用乱数が記憶され、かつ前記第2の判定用乱数記憶手段に前記第2の判定用乱数が記憶されている場合に、前記第2の当否判定が前記第1の当否判定に優先して行われるように処理する優先処理手段と、
前記第1の当否判定若しくは前記第2の当否判定が実行される毎に、該実行された当否判定の結果を、表示画面上にて演出図柄を用いた図柄変動表示を行った後に確定表示する演出表示装置と、
前記第1の当否判定の実行に基づいて前記図柄変動表示を開始する際に、前記第1の保留記憶手段に記憶されている第1の保留数を減算する第1の保留数減算手段と、
前記第2の当否判定の実行に基づいて前記図柄変動表示を開始する際に、前記第2の保留記憶手段に記憶されている第2の保留数を減算する第2の保留数減算手段と、
前記第2の始動入賞装置の開放時間を延長させる開放延長手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出表示装置の表示画面上に、前記第1の保留数に関する情報及び前記第2の保留数に関する情報のうちの一方を強調表示態様で表示するための第1保留表示領域と、前記第1の保留数に関する情報及び前記第2の保留数のうちの他方を標準表示態様で表示するための第2保留表示領域とを独立した状態に設け、
前記開放延長手段の未作動時には、前記第1保留表示領域で前記第1の保留数に関する情報を表示するとともに前記第2保留表示領域で前記第2の保留数に関する情報を表示し、前記開放延長手段の作動時には、前記第1保留表示領域で前記第2の保留数に関する情報を表示するとともに前記第2保留表示領域で前記第1の保留数に関する情報を表示することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記表示画面上に、前記図柄変動表示が実行される主表示領域を設けるとともに、前記表示画面上のうち前記主表示領域の下方に位置する部位に前記第1保留表示領域を横方向に設け、前記表示画面上のうち前記主表示領域の左方若しくは右方に位置する部位に前記第2保留表示領域を縦方向に設けることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1の判定用乱数が予め定められた第1の特定値と一致するか否かを、前記第1の当否判定の実行に先立って、前記第1の判定用乱数を取得したときに判定する第1の事前判定手段と、
前記第2の判定用乱数が予め定められた第2の特定値と一致するか否かを、前記第2の当否判定の実行に先立って、前記第2の判定用乱数を取得したときに判定する第2の事前判定手段と、
を備え、
前記第1の事前判定手段の判定結果若しくは前記第2の事前判定手段の判定結果に基づく予告表示を、前記第1保留表示領域で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−50486(P2012−50486A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193295(P2010−193295)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】