説明

遊技機

【課題】簡易な構成で、入球口の内部に設けられた入球検知スイッチに不正遊技球を詰まらせて賞球を得る不正行為を防止する。
【解決手段】遊技盤上の入球口に入球した遊技球を検知して遊技球検知信号を出力する入球検知手段と、所定周期で第1クロック信号を出力する発振回路と、遊技球検知信号と第1クロック信号との論理積信号を第2クロック信号として出力する論理回路と、第2クロック信号が入力するとともに第2クロック信号のクロック数をカウントし、クロック数に基づいて、遊技球検知信号が有効であることを示す入球有効信号または遊技球検知信号が無効であることを示す入球無効信号を出力するカウンタ回路とを設ける。カウンタ回路は、クロック数のカウント値が所定範囲内の場合に入球有効信号を出力し、クロック数のカウント値が所定範囲を超えた場合に入球無効信号を出力するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特に、いわゆるセブン機、羽根物、権利物といったパチンコ遊技機や組合せ式遊技機(アレンジボール遊技機)等の遊技機(弾球遊技機)に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機では、遊技球が所定の入球口に入球した場合に、遊技者に賞球を払い出すことが行われている。入球口の内部には、遊技球が通過可能な通過穴を備え、通過穴を通過する遊技球を検知する入球検知スイッチが設けられている。このような入球検知スイッチにおいて、通過穴より若干大きい不正遊技球を通過穴に故意に詰まらせた状態で不正電波を送信することで、遊技球が通過したのと同様の状態を発生させ、賞球を得る不正行為が行われることがある。
【0003】
このような不正行為に対して、入球口の内部に入球検知スイッチを2個配置し、両方のセンサで遊技球の通過が検知されることを条件として、賞球を払い出す遊技機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−202134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の遊技機の構成では、遊技盤上に設けられたそれぞれの入球口に対して入球検知スイッチを2個ずつ設ける必要があり、構成の複雑化、部品点数の増大、部品の配置スペースの増大を招くという問題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、簡易な構成で、入球口の内部に設けられた入球検知スイッチに不正遊技球を詰まらせて賞球を得る不正行為を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、
遊技盤上の入球口に入球した遊技球を検知して遊技球検知信号を出力する入球検知手段と、
所定周期で第1クロック信号を出力する発振回路と、
前記遊技球検知信号および前記第1クロック信号の論理積信号を第2クロック信号として出力する論理回路と、
前記第2クロック信号が入力するとともに前記第2クロック信号のクロック数をカウントし、前記クロック数のカウント値に基づいて前記遊技球検知信号が有効であることを示す入球有効信号または前記遊技球検知信号が異常であることを示す入球異常信号を出力するカウンタ回路と、を備え、
前記カウンタ回路は、前記クロック数のカウント値が所定範囲内の場合に前記入球有効信号を出力し、前記クロック数のカウント値が前記所定範囲を超えた場合に前記入球異常信号を出力することを特徴としている。
【0008】
これにより、入球検知手段が遊技球を検知開始してからの経過時間(検知状態が継続する時間)が所定時間範囲内である場合に、入球検知手段の遊技球検知信号を正常な遊技球の通過によるものであると見なし、遊技球検知信号を有効にすることができる。また、入球検知手段が遊技球を検知開始してからの経過時間が所定時間以上である場合に、入球検知手段の遊技球検知信号を不正遊技球を用いた不正行為によるものと見なし、この遊技球検知信号を無効にしたり、エラー報知したりすることができる。
【0009】
また、本発明の遊技機では、前記カウンタ回路は、前記クロック数のカウント値が前記所定範囲を下回った場合には、前記入球有効信号を出力しないことを特徴としている。
【0010】
これにより、入球検知手段が遊技球を検知開始してからの経過時間が所定時間範囲に満たない場合、すなわち、検知時間が所定時間よりも短い場合には、入球検知手段の遊技球検知信号がノイズによるものであると見なし、キャンセルすることができる。ノイズによる場合は、不正信号(不正行為)ではないので、後述する主制御部CPUに当該ノイズ信号を入力しないこともできるし、カウンタ回路からノイズ信号として出力し(入球有効信号とは区別して)、主制御部CPUに入力しても良い。
【0011】
また、本発明の遊技機では、前記発振回路は、前記入球異常信号が入力可能に構成され、前記入力異常信号が入力した場合に前記第1クロック信号の出力を停止することを特徴としている。
【0012】
これにより、カウンタ回路からの入球異常信号の出力に伴って、論理回路の論理積信号(第2クロック信号)がカウンタ回路に入力しなくなり、カウンタ回路でのクロック数のカウントを停止させることができる。
【0013】
また、本発明の遊技機は、前記遊技球検知信号および前記入球異常信号とが入力するとともに、前記遊技球検知信号および前記入球異常信号の論理和信号を前記カウンタ回路に出力する第2の論理回路を備え、
前記カウンタ回路は、前記論理和信号が入力しない場合に、前記クロック数のカウント値を初期化することを特徴としている。
【0014】
これにより、カウンタ回路からの入球異常信号の出力に伴って、カウンタ回路の出力状態、すなわち入球異常信号が出力した状態を保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な回路構成で、正常な遊技による入球検知信号と、不正な遊技による入球検知信号とを区別することができ、入球口の内部に設けられた入球検知スイッチに対して、不正遊技球等(正規な遊技球でない異物)を使用して、不正に賞球を得る行為を確実に詰まらせて賞球を得る不正行為を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した第1実施例に係る遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】入球検知スイッチの断面図であり、(a)は正常遊技球が通過する状態を示し、(b)は不正遊技球が球詰まりした状態を示している。
【図5】入球検知スイッチのスイッチ信号のタイミングチャートであり、(a)は正常遊技球を検知した場合を示し、(b)は不正遊技球を検知した場合を示している。
【図6】遊技球検知回路の回路図である。
【図7】カウンタ信号出力端子Q1〜Q4から出力されるカウンタ信号のタイミングチャートである。
【図8】正常な遊技が実行された場合の入球検知回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】不正行為が実行された場合の入球検知回路の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示されると、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ遊技機(以下、単に遊技機という)に本発明を適用した実施例について説明する。
【0018】
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、本体枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を備えている。なお、図1では遊技盤20の詳細な図示を省略している。また、中枠3は前面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
【0019】
本体枠2は木製の板状体を略長方形の枠状に組立てたものであり、遊技機1の外枠を構成している。中枠3はプラスチック製であり、本体枠2の内側にはめ込まれて設置されており、外枠2に対して開閉可能に左端で軸支されている。中枠3は、上側2/3程度を占める枠体部と下側1/3程度を占める下板部とから構成されている。枠体部の前面側には遊技盤20と前面枠4とが重なるように設けられており、下板部の前面側には上皿部5と下皿部6が設けられている。下板部には、遊技球を遊技盤20に発射する発射手段を構成する発射装置ユニット(図示略)、遊技球を発射装置ユニットに供給する球送り装置(図示略)が設けられている。
【0020】
前面枠4は、中枠3の前面側に配置され、中枠3の左端で開閉可能に支持されている。前面枠4はプラスチック製であり、奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にするために、円形状の開口部4aが形成されている。前面枠4の裏面には、開口部4aに対応したガラス板等の透明板を備える略長方形状の透明板枠(図示略)が装着されている。前面枠4における遊技盤20の周囲には、LED等のランプ類(図示略)が設けられている。これらのランプ類は、遊技効果を高めるためにゲーム進行に応じて点灯・消灯あるいは点滅する。
【0021】
上皿部5は、前面枠4の下側に設けられ、中枠3の左端に開閉可能に支持されている。上皿部5は、皿外縁部5aと、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口5bと、上皿部5の遊技球を下皿部6に排出する球抜きボタン5cとを備えている。皿外縁部5aの上面には、遊技者が操作可能な演出ボタン5d、球貸スイッチ5e、返却スイッチ5f等が設けられている。
【0022】
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内部から下皿部6に遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。下皿部6の左端には灰皿7が設けられている。下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット(図示略)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触れていることを検出する接触検知手段としてのタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。なお、発射停止スイッチ8bは、タッチスイッチ回路内に設けられており、タッチスイッチ8aと電気的に直列接続されている。
【0023】
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施錠するためのものである。
【0024】
また、遊技機1には、遊技状態に応じた効果音等を発生させるためのスピーカ10a〜10dが設けられている。スピーカ10a〜10dは、遊技機1の上部に設けられた上部スピーカ10a、10bと遊技機1の下部に設けられた下部スピーカ10c、10dとからなる。さらに、遊技機1の左側には、CRユニット13(プリペイドカードユニット)が装着されている。
【0025】
次に、本実施例の遊技盤20の表面構造について説明する。図2は遊技盤20の正面図である。遊技盤20は、略長方形の木製の板状体であって中枠3に着脱可能に取り付けられているとともに、裏機構盤(図示略)によりその背面側が覆われている。
【0026】
図2に示すように、遊技盤20には、遊技盤20の表面(盤面)に設けられた外レール22と内レール23とにより、略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21内には、中央装置24、普通図柄作動ゲート27、大入賞装置(特別電動役物)33、始動口28、左入賞口34,35、右入賞口36,37、第1装飾部材50、第2装飾部材60等の遊技装置が配設されている。また、遊技領域21には各遊技装置との位置バランスを考慮して多数の障害釘が配設されている。
【0027】
中央装置(センター役物)24は遊技領域21の略中央部に配置され、演出表示装置25を備えている。本実施例では、演出表示装置25として大型の液晶表示装置を用いており、演出表示装置25の表示領域では各種演出表示が行われる。
【0028】
大入賞装置33は遊技領域21における中央装置24の下方に配置されている。第1装飾装置50は遊技領域21における大入賞装置33の左側に配置され、第2装飾装置60は遊技領域21における大入賞装置33の右側に配置されており、装飾装置50,60はいわゆるサイド飾りを構成している。また、第1装飾装置50には左入賞口34,35が一体化されており、第2装飾装置60には右入賞口36,37が一体化されている。
【0029】
普通図柄作動ゲート27は、中央装置24の左側に設けられている。普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知する普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s(図3参照)が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過することで、普通図柄が変動開始する。
【0030】
始動口28は、中央装置24の中央位置の下方に設けられている。始動口28は、遊技盤20の盤面上を流下する遊技球を受け入れる遊技球受入口が形成された2つの入球口を上下方向に並べて配置したもので、上側に設けられた第1始動口28aと下側に設けられた第2始動口28bとから構成されている。
【0031】
第1始動口28aは、遊技球受入口の大きさが変化せず遊技球の入球可能性が一定の固定始動口として構成された通常始動口となっており、遊技球の入球が常時可能となっている。一方、第2始動口28bはいわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部を備えており、この一対の翼片部の上端間隙が遊技球受入口となっている。この一対の翼片部は、各々左右方向に傾動することで開閉動作を行うものとされており、この開閉動作により、第2始動口28bは一対の翼片部の遊技球受入口の大きさが変化する可変始動口として構成されている。第2始動口28bは、一対の翼片部が開動作することで入球可能性が高い状態となり、一対の翼片部が閉動作することで入球可能性が低い状態(入球不能な状態を含む)となる。普通図柄が当り図柄の組合せで停止表示された場合には、一対の翼片部が開動作して第2始動口28bの遊技球受入口が拡大され、第2始動口28bは普通電動役物として機能する。
【0032】
始動口28の内部には、遊技球の入球を検知する始動口入球検知スイッチ28s、28t(図3参照)と、一対の翼片部を作動させるための始動口ソレノイド28c(図3参照)とが備えられている。始動口入球検知スイッチ28s、28tには、第1始動口28aへの遊技球入球を検知する第1始動口入球検知スイッチ28sと、第2始動口28bへの遊技球入球を検知する第2始動口入球検知スイッチ28tとがある。この一対の翼片部が左右に開動作した場合には、第2始動口28bの遊技球受入口の大きさが通常時より拡大され、第2始動口28bは遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となる。一方、一対の翼片部が立設された場合には、第2始動口28bの遊技球受入口の大きさが遊技球の直径より小さくなり、第2始動口28bは遊技球が入球不能な状態(閉鎖状態)となる。このとき、遊技球は第1始動口28aにのみ入球可能な状態となる。遊技球が始動口28a、28bに入球することで、後述の特別図柄が変動開始する。また、始動口28a、28bへの遊技球入球が始動口入球検知スイッチ28s、28tで検知されることで、所定数の賞球が払い出される。
【0033】
大入賞装置33は、始動口28の下方に配設されている。ここで、大入賞装置33は、帯状に開口された大入賞口33aと、この大入賞口33aを開放・閉鎖する開閉板33bと、この開閉板33bを作動させるための大入賞口ソレノイド33c(図3参照)と、遊技球の入球を検知する入球検知スイッチ33s(図3参照)とから主に構成されている。
【0034】
大入賞装置33の左斜め上方と右斜め上方には、左入賞口34,35と右入賞口36,37が設けられている。これらの入賞口34〜37の内部には、それぞれ入賞口入球検知スイッチ34s〜37s(図3参照)が設けられている。そして、入賞口入球検知スイッチ34s〜37sによって、これらの入賞口34〜37への遊技球入球が検知されると、所定数の賞球が払い出される。
【0035】
第1装飾部材50には、複数のLEDが設けられており、これらのLEDの組合せにより、普通図柄表示部51、普図保留表示部52、特別図柄保留表示部53が構成されている。同様に第2装飾部材60には、複数のLEDが設けられており、これらのLEDの組合せにより特別図柄表示部61が構成されている。
【0036】
普通図柄表示部51は、1個のLEDから構成されており、このLEDにより普通図柄の表示が行われる。普通図柄表示部51では、普通図柄の変動表示及び停止表示が行われる。普通図柄表示部51では、普通図柄作動ゲート27を遊技球が通過することにより普通図柄が変動開始し、所定時間経過後に普通図柄が当り普通図柄の表示態様あるいは外れ普通図柄の表示態様で停止表示される。そして、普通図柄が予め設定された当り普通図柄の表示態様で停止表示すると、第2始動口28bが所定時間(例えば0.1秒)だけ開放される。
【0037】
本実施例では、普通図柄当否判定用乱数(普通図柄抽選用乱数)が設けられており、この普通図柄当否判定用乱数は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過した際に取得され、第2始動口28bを作動させるか否かの普通図柄当否判定(普通図柄抽選)に用いられる。普通図柄当否判定用乱数には、予め当り値が設定されており、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過したタイミングで取得された普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致する場合に当りと判定される。そして、当りと判定された場合には、普通図柄表示部51で停止表示される普通図柄は、当り普通図柄の表示態様に決定される。一方、外れと判定された場合(取得された普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致しない場合)には、普通図柄表示部51で停止表示される普通図柄は外れ普通図柄の表示態様に決定される。なお、普通図柄当否判定および普通図柄の停止図柄の決定は、後述の主制御部200の制御によって行われる。
【0038】
ここで、普通図柄の保留について説明する。普図保留表示部52には普通図柄保留数が表示され、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球の数を最大保留数(本実施例では4個)まで保留可能となっている。そして、次回の普通図柄当否判定が行われ普通図柄の変動表示が開始する毎に、未始動回数(保留数)が消化され、普通図柄保留数が1個ずつ減少する。普図保留表示部52は2つのLEDからなり、2個のLEDの消灯、点灯、および点滅を組み合わせることで、4個を上限として保留数を表示することができる。普通図柄の保留および保留消化は、後述の主制御部200の制御によって行われる。普通図柄の保留に伴って、普通図柄当否判定用乱数が主制御部200のRAMの所定領域に記憶される。
【0039】
次に、特別図柄について説明する。本実施例の特別図柄表示部61は、7個のLEDから構成されており、これらのLEDにより特別図柄が表示される。特別図柄表示部61を構成する各LEDは、点灯および消灯が可能となっており、これら各LEDの点灯および消灯の組合せにより特別図柄の複数の表示態様を表示できる。そして、7個のLEDで表示される特別図柄の組合せのうち、特定の組合せが当り図柄(大当り図柄)として設定されており、当り特別図柄以外が外れ図柄と設定されている。本実施例では、特別図柄の変動表示を各LEDが点灯と消灯を繰り返す点滅表示で行うものとしている。特別図柄表示部61では、始動口28に遊技球が入球することにより特別図柄が変動開始し、所定時間経過後に特別図柄が当り図柄あるいは外れ図柄で停止表示される。
【0040】
本実施例では、遊技球が始動口28に入球した際に取得され、大当り遊技(特別遊技)を発生させるか否かの特別図柄当否判定(大当り抽選)に用いられる特別図柄当否判定用乱数(大当り抽選乱数)が設けられている。また、特別図柄の停止図柄を決定するための図柄決定用乱数が設けられている。始動口28の遊技球入球に伴って、特別図柄当否判定用乱数と図柄決定用乱数が取得され、この取得された特別図柄当否判定用乱数と図柄決定用乱数は、主制御部200のRAMの所定領域に記憶される。
【0041】
ここで、特別図柄の保留について説明する。特別図柄保留表示部53は2つのLEDからなり、2個のLEDの消灯、点灯、および点滅を組み合わせることで、4個を上限として保留数を表示することができる。
【0042】
始動口28に入球した遊技球数は、特別図柄保留数として最大保留数(本実施例では4個)に達するまで保留可能となっている。特別図柄保留数は、始動口28への遊技球の入球が発生する度に取得されて主制御部200のRAMの所定領域に記憶される乱数の個数(記憶数)に相当する。そして、特別図柄保留数は、特別図柄当否判定(大当り抽選)が行われ特別図柄の変動表示が開始される毎に消化され、1個ずつ減少する。なお、特別図柄の保留および保留消化は、後述の主制御部200の制御によって行われる。
【0043】
特別図柄当否判定(大当り抽選)は、特別図柄が変動表示を開始する際に行われる。特別図柄当否判定用乱数には、予め当否判定用の当り値が設定されており、特別図柄当否判定用乱数が当り値と一致する場合に大当りと判定され(大当り抽選に当選)、特別図柄表示部61で停止表示される特別図柄が大当り図柄(確変大当り図柄または通常大当り図柄)に決定される。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りでない場合(大当り抽選に落選)には、外れであり、特別図柄表示部61で停止表示される特別図柄が外れ図柄に決定される。なお、特別図柄当否判定、特別図柄の変動パターンの決定、特別図柄の停止図柄の決定は、後述の主制御部200の制御によって行われる。
【0044】
次に、特別遊技の一形態である大当り遊技について説明する。特別図柄表示部61で停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合(特別図柄当否判定の結果が大当りだった場合)に、主制御部200は遊技者に相対的に有利な大当り遊技を開始させる。大当り遊技は、大入賞装置33を作動させる、換言すると大入賞口33aを複数回開閉させることで、大入賞口33aへの遊技球の入球に関して遊技者に利益を付与するものである。なお、主制御部200の制御により実現されるものであり、主制御部200は大当り遊技実行手段として機能する。
【0045】
大当り遊技中は、大入賞装置33が作動し、大入賞口33aへの遊技球の入球に応じて、所定数の賞球(例えば、1個の入球に対して15個の賞球)が払い出される。具体的には、大当り遊技の開始により、大入賞装置(特別電動役物)33を連続して作動させ、大入賞口33aを開放状態と閉鎖状態とに切り替える大入賞口開閉動作が複数回連続して行われる。大入賞装置33の作動開始により、閉鎖状態にある大入賞口33aが開放状態となる。この開放状態は、所定の終了条件成立により終了し、開放していた大入賞口33aが閉鎖状態となる。所定の終了条件として、大入賞口33aの開放時間が所定時間(本実施例では30秒または0.2秒)に達したとき、もしくは開放状態の大入賞口33aに入球した遊技球数が所定数(本実施例では10個)に達したときとすることができる。
【0046】
この大入賞口33aの開放状態の開始から終了までを1ラウンドとした場合、大当り遊技は、所定数のラウンドが行われることで終了する。大入賞装置33では、大入賞口33aの開放が終了、すなわち大入賞口33aが閉鎖状態となってから所定時間(例えば2秒)が経過した後に、大入賞口33aは再び開放状態となり、次のラウンドが開始する。このような大入賞口33aの開放開始から終了までを1ラウンドとする大入賞口33aの開閉動作は、所定の最高継続ラウンド数(本実施例では15ラウンド)が終了するまで繰り返し継続される。
【0047】
次に、特別図柄の変動表示に伴って演出表示装置25にて行われる図柄変動演出について説明する。演出表示装置25の表示領域には、演出図柄を表示する演出図柄表示部25aが設けられている。演出図柄表示部25aの演出図柄は、特別図柄表示部61の特別図柄に連動して表示される。また、演出表示装置25の表示画面のうち、演出図柄表示部25aを除く部位は、文字、図形、記号、キャラクタ等を含む種々の背景図柄が表示される背景表示領域となっている。
【0048】
本実施例では、演出図柄として「1」〜「9」からなる3桁の数字図柄を用いており、演出図柄表示部25aは、右図柄が表示される右図柄表示領域、中図柄が表示される中図柄表示領域、左図柄が表示される左図柄表示領域からなる3つの図柄表示領域から構成される。各図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する向き、この場合、上下方向(縦方向)に図柄変動方向が設定されている。
【0049】
演出図柄は、特別図柄の変動表示開始により変動表示を開始し、特別図柄が何れかの図柄で停止表示されると、演出図柄は特別図柄の停止図柄に応じた図柄で停止表示される。演出図柄では、3桁同一の偶数図柄の組合せが特別図柄の通常大当り図柄に対応し、3桁同一の奇数図柄の組合せが特別図柄の確変大当り図柄に対応し、それら以外の図柄の組合せが特別図柄の外れ図柄に対応している。演出図柄の変動表示演出等の図柄変動演出は、サブ制御部260の制御によって行われるように構成されている。
【0050】
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図3に基づいて説明する。図3は、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0051】
図3に示すように、電子制御装置は、主制御部200と、その主制御部200に接続された副制御部230、260、280とを含んで構成されている。副制御部は、払出制御部(賞球制御部)230、サブ制御部260及び演出表示制御部280から構成される。主制御部200は主制御基板200aを備え、副制御部230、260及び280は周辺制御基板として払出制御基板230a、サブ制御基板260a及び演出表示制御基板280aをそれぞれ備えている。
【0052】
各制御部200、230、260、280には、図示しない主電源から電源が供給されている。また、電源立上げ時には、システムリセット信号が各制御部200、230、260、280に送信される。なお、本実施例の遊技機1は、電源断時に主制御部200及び払出制御部230に作動電圧を供給する図示しないバックアップ電源部(図示略)を備えており、電源断時にも主制御部200及び払出制御部230のRAMデータが保持される。
【0053】
主制御部200は、遊技の進行を司る主制御手段を構成するものであり、各副制御部230、260に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御部230、260、280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
【0054】
主制御部200を構成する主制御基板200aのCPU200bは、CPUコア、内蔵RAM(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM(以下、単にROMともいう)等を備えており、ROMに格納された制御プログラムにより、RAMをワークエリアとして遊技機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。また、主制御部200は、CPU200bが主体となって、ROMに格納された当否判定プログラムにより特別図柄の当否判定を行う当否判定手段を構成している。また、主制御基板200aのCPU200bは、特別図柄当否判定を実行する際に、ROMに格納された特別図柄の変動パターンテーブルから特定の変動パターンを決定する。なお、本実施例の主制御基板200aのCPU200bの制御周期は2msに設定されている。
【0055】
主制御部200には、盤面入力中継基板201と盤面出力中継基板202とが接続されている。盤面入力中継基板201には、普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s、始動口入球検知スイッチ28s、28t、大入賞口入球検知スイッチ33s、入賞口入球検知スイッチ34s〜37sが接続されており、これらの信号が主制御部200に入力するように構成されている。盤面出力中継基板202には、図柄表示装置51、61、始動口ソレノイド28c、大入賞口ソレノイド33cが接続されており、主制御部200からの制御信号が出力される。
【0056】
払出制御部230を構成する払出制御基板230aは、主制御基板200aのCPU200bと同様の構成を有するCPU230bを備えている。払出制御部230には、発射制御部250、CRユニット13等が接続されている。主制御部200から払出制御部230には、賞球払出を指示する賞球指示信号、遊技開始許可を指示する遊技開始許可信号、各種発射制御コマンド等のコマンドが送信される。各種発射制御コマンドには、球送り許可・禁止、発射許可・禁止、遊技開始許可等が含まれている。
【0057】
発射制御部250は、遊技盤上への遊技球の発射を制御する発射制御手段を構成しており、発射制御基板250aは、発射モータ(図示略)、タッチスイッチ8a、発射停止スイッチ8b等が接続されている。発射モータは、発射位置に送り込まれた遊技球を遊技領域21に打ち込むための槌を稼働させるものであり、遊技者が発射ハンドル8を操作することにより作動する。また、発射制御基板250aには、遊技者による発射ハンドル8の操作量を示す発射ボリューム信号、遊技者が発射ハンドル8に触れているかどうかを示すタッチ端子信号等が入力する。
【0058】
サブ制御部260は、遊技の進行に伴って実行される各種演出を制御するサブ制御手段を構成しており、サブ制御基板260aにはCPU260bや図示しないROM、RAM、入出力ポート等を有する演算回路構成要素とサウンドジェネレータが設けられており、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。サブ制御部260は、各種ランプ類による装飾表示、スピーカ10a〜10dから出力される効果音、演出表示装置25による図柄表示等を用いた演出制御を司るように構成されている。
【0059】
主制御部200からサブ制御部260には、各種ランプ制御コマンド及び各種音声制御コマンドが送信される。主制御部200から演出表示制御部280には、サブ制御部260を介して、演出図柄の表示制御を指示する各種図柄制御コマンドが送信される。サブ制御部260から演出表示制御部280には、演出表示制御を指示する各種演出表示制御コマンドが同時に送信される。
【0060】
サブ制御部260には、演出表示制御部280が接続されている。演出表示制御基板280aには、CPU280b、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにおいてサブ制御基板260aに接続されている。演出表示制御部280には演出表示装置25が接続されている。演出表示制御部280は、CPU280bがROMに格納された制御プログラムに従ってRAMをワークエリアとして演出表示装置25の表示制御を行うように構成されている。演出表示制御部280のROMには、演出表示装置25で表示される演出用図柄の画像データ(前述した図柄変動演出に関する画像データなど)が複数格納されている。
【0061】
サブ制御基板260aには、装飾駆動基板261を介して各種LED・ランプ262が接続されている。各種LED・ランプ262は、遊技効果を高めるためのものであり、これらのランプ類はゲームの進行に対応して点灯・消灯又は点滅し、遊技効果を高めている。また、サブ制御部260にはアンプ基板263が接続されている。アンプ基板263にはスピーカ10a〜10dが接続されている。スピーカ10a〜10dからは、遊技の進行に対応して各種サウンド、音声等が出力される。さらに、サブ制御部260には、演出ボタン基板264を介して演出ボタン5dが接続されている。サブ制御部260は、主制御部200や演出ボタン5dからの各種指令(演出パターン指定コマンドの受信、演出ボタン操作信号の入力など)に基づいて、各種LED・ランプの点灯・点滅パターンの選択・実行処理や、スピーカ10a〜10dから出力される効果音データの選択・出力処理や、演出表示装置25での演出表示のパターンの選択・実行処理等を行う。
【0062】
次に、始動口入球検知スイッチ28s、28t、大入賞口入球検知スイッチ33s、入賞口入球検知スイッチ34s〜37sについて説明する。これらの入球検知スイッチ28s、28t、33s、34s〜37sは近接スイッチとして構成されている。これらの入球検知スイッチ28s、28t、33s、34s〜37sの構成は略同一であるので、以下、入球検知スイッチ40としてまとめて説明する。なお、入球検知スイッチ40が本発明の「入球検知手段」に相当している。
【0063】
図4は、入球検知スイッチ40の断面図である。図4(a)は正常な遊技球42が通過する状態を示し、図4(b)は不正遊技球43が球詰まりした状態を示している。
【0064】
図4(a)に示すように、入球検知スイッチ40は、遊技盤上の入球口(第1始動口28a、第2始動口28b、大入賞口33a、入賞口34〜37)に入球した遊技球が通過する遊技球通路41に設けられている。入球検知スイッチ40には、遊技球42(以下、「正常遊技球42」ともいう。)が通過可能な通過穴40aが設けられており、通過穴40aを遊技球42が通過したことを検知するように構成されている。本実施例では、遊技球通路41の径Aは12mm、通過穴40aは楕円形に構成され、その短い側の内径Bは11.4mmとなっている。また、遊技球42の直径Cは、通過穴40aの内径Bより小さい11mmとなっている。このため、入球口に入球した遊技球42は、通過穴40aを通過して下方に流下することができる。
【0065】
図4(b)に示すように、入球検知スイッチ40に遊技球を故意に詰まらせて不正に賞球を得る不正行為では、通過穴40aの内径B(11.4mm)より大きい直径Dを有する不正遊技球43が用いられる。本実施例では、不正遊技球43の直径Dは11.5mmとなっている。このため、入球口に入球した不正遊技球43は通過穴40aを通過することができず、下側1/3程度が通過穴40aに嵌り込んだ球詰まりの状態となる。
【0066】
図5は、入球検知スイッチ40が出力するスイッチ信号を示すタイミングチャートであり、(a)は正常遊技球42を検知した場合を示し、(b)は不正遊技球43を検知した場合を示している。
【0067】
図5(a)に示すように、入球検知スイッチ40の信号レベルは、遊技球42を検知していない場合にはローレベル(L)となっており、遊技球42を検知することでハイレベル(H)に変化する。このため、入球検知スイッチ40で遊技球42を検知する場合には、入球検知スイッチ40の信号レベルはローレベルから遊技球42が通過穴40aを通過する短時間だけハイレベルとなる。この入球検知スイッチ40の出力信号のハイレベルとローレベルの間での変化(信号の立上がりまたは立ち下がり)を検知することで、通過穴40aを通過する遊技球42を検知することができる。尚、本実施例では、信号の立ち上がりを検知することで、遊技球42の入球を検知する制御を採用している。遊技球42が通過穴40aを通過するのに要する時間は、入球口への遊技球42の入球速度に依存し、遊技盤上における入球口の位置や入球口周辺における釘の配置などによって変化する(すなわち、遊技球の流下距離や釘との衝突・接触により、遊技球の流下速度が変化する)。本実施例では、遊技球42が通過穴40aを通過するのに要する時間を概ね2ms〜10msとしている。
【0068】
図5(b)に示すように、通過穴40aに不正遊技球43を球詰まりさせた場合には、入球検知スイッチ40が不正遊技球43を検知し続けるため、入球検知スイッチ40の信号レベルはハイレベル(H)のままで維持される。そして、不正遊技球43が球詰まりした状態で、入球検知スイッチ40に対して、外部から不正電波を送信することで、信号レベルがローレベル(L)に変化する。このため、通過穴40aに不正遊技球43が球詰まりした状態では、不正電波が送信される短時間だけ、入球検知スイッチ40の信号レベルがハイレベルからローレベルとなる。これにより、球詰まりさせた状態(信号レベルがハイレベルの状態)で不正電波を送信する毎に入球検知スイッチ40の信号レベルがハイレベルからローレベルに切り替わり、そしてローレベルからハイレベルに戻る状態(遊技球通過を検知したのと同じ状態)が不正に生成されることとなる。このとき、信号レベルがローレベルからハイレベルに立ち上がる、すなわち信号の立ち上がり状態が検知されるので、従来の遊技機では、この状態を検知したときに、遊技球の通過を検知したものとして賞球の払出しを実行していた。
【0069】
本実施例の遊技機1では、不正遊技球43を用いた不正行為(図4(b)、図5(b)参照)を防止するために、図6に示す入球検知回路300が設けられている。図6は、入球検知回路300の回路構成を示している。図6に示すように、入球検知回路300は、入球検知スイッチ40と主制御部200のCPU200b(以下、「主制御CPU200b」という。)との間に設けられている。
【0070】
入球検知回路300は、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が入力するとともに、主制御CPU200bに信号を出力するように構成されている。具体的には、入球検知回路300は、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が正常な遊技球42の通過によるものであると判断した場合には、主制御CPU200bに入球検知信号を出力し、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が不正遊技球43を用いた不正行為によるものであると判断した場合には、主制御CPU200bにエラー信号(異常信号)を出力する。
【0071】
具体的には、入球検知回路300は、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が遊技球検知を示す出力レベル(本実施例ではハイレベル)となっている時間が所定時間範囲を下回った場合に、ノイズによるものであると判断し、入球検知信号を出力しない。また、入球検知回路300は、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が遊技球検知を示す出力レベル(ハイレベル)となっている時間が所定時間範囲内の場合に、正常な遊技球42の通過であると判断し、入球検知信号を出力する。さらに、入球検知回路300は、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が遊技球検知を示す出力レベル(ハイレベル)となっている時間が所定時間範囲を超えている場合に、不正遊技球43を用いた不正行為であると判断し(球詰まり状態になっていると判断し)、エラー信号を出力するように構成されている。「所定時間範囲」は、正常な遊技によって遊技球42が入球検知スイッチ40の通過穴40aを通過するのに要する時間に基づいて設定される。上述のように、正常な遊技によって遊技球42が入球検知スイッチ40の通過穴40aを通過するのに要する時間は概ね2ms〜10msであり、本実施例では余裕をみて「所定時間範囲」を2ms〜16msに設定している。
【0072】
入球検知回路300は、AND回路301、発振回路302、カウンタ回路303、第1OR回路304、第2OR回路305を備えている。AND回路301には、遊技球検知センサ40からのスイッチ信号と発振回路302からの発振信号(基本クロック信号)が入力する。本実施例では、発振回路302の発振信号の周期は2msとなっており、EN(イネーブル)端子に信号が入力されない限り発振信号を出力し続ける。また、AND回路301の出力信号は、カウンタ回路303のクロック端子に入力する。AND回路301の出力信号は、遊技球検知センサ40のスイッチ信号と発振回路302からの発振信号(基本クロック信号)の論理積信号であり、発振回路302の発振信号(基本クロック信号)と同一周期(2ms)のクロック信号となる。なお、AND回路301が本発明の「論理回路」に相当し、発振回路302の発振信号が本発明の「第1クロック信号」に相当し、AND回路301の論理積信号が本発明の「第2クロック信号」に相当する。
【0073】
カウンタ回路303は、カウンタ信号を出力するためのカウンタ信号出力端子Q0〜Q8を備えている。これらのカウンタ信号出力端子Q0〜Q8のうち、カウンタ信号出力端子Q1〜Q4からのカウンタ信号が信号線によって外部に出力される。カウンタ回路303は、クロック端子にAND回路301からの出力信号(基本クロック信号)が入力することにより、クロック数のカウントを開始し、カウンタ信号出力端子Q1から順にカウンタ信号を出力する。クロック数のカウントは、クロック信号の立上がりを検知することで行うことができる。
【0074】
カウンタ信号出力端子Q1〜Q3から出力される第1〜第3カウンタ信号は、第1OR回路304に入力する。第1OR回路304は、第1〜第3カウンタ信号の論理和信号を主制御CPU200bに出力する。つまり、カウンタ信号出力端子Q1〜Q3から第1〜第3カウンタ信号のいずれかが出力されている場合に、第1OR回路304から論理和信号が出力される。第1OR回路304から出力される論理和信号は、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が有効であることを示す「入球有効信号」となる。
【0075】
カウンタ信号出力端子Q4から出力される第4カウンタ信号は、エラー信号として主制御CPU200bに直接入力する。カウンタ回路303のカウンタ信号出力端子Q4から出力されるエラー信号は、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が異常であることを示す「入球異常信号」となる。
【0076】
第4カウンタ信号(エラー信号)は、第2OR回路305にも入力する。第2OR回路305には、入球検知スイッチ40のスイッチ信号も入力する。第2OR回路305は、第4カウンタ信号(エラー信号)および入球検知スイッチ40のスイッチ信号との論理和信号を出力する。第2OR回路305の出力信号は、反転してカウンタ回路303のリセット端子に入力する。そして、エラー信号が出力されたときに、カウンタ回路303のカウント値が初期化されるのを防止する。これにより、一旦エラー信号が出力された場合に、当該エラー信号が出力される状態を保持することができる。
【0077】
カウンタ回路303は、リセット端子に入力する信号がハイレベルの場合は、クロック数のカウント値を初期化(ゼロクリア)し、リセット端子に入力する信号がローレベルの場合は、クロック数のカウントが可能となる。また、第4カウンタ信号(エラー信号)は、発振回路302のイネーブル端子にも入力する。発振回路302は、イネーブル端子に第4カウンタ信号(エラー信号)の入力があった場合には、発振信号の出力を停止する。これにより、カウンタ回路303のカウント値が加算されない状態となる(カウントが継続され、カウンタ信号Q5以降が出力されるのを防止する)。
【0078】
ここで、入球検知回路300の作動について説明する。まず、入球検知スイッチ40は遊技球を検知するまでスイッチ信号がローレベルであるので、第2OR回路305の出力信号もローレベルとなり、これを反転したハイレベルの信号がカウンタ回路303のリセット端子に入力され、カウンタ回路303がリセットされる。そして、入球検知スイッチ40が遊技球を検知してスイッチ信号がハイレベルに立ち上がることで、第2OR回路305の出力信号がハイレベルとなり、これを反転したローレベルの信号がカウンタ回路303のリセット端子に入力され、カウンタ回路303でのカウントが可能となる。
【0079】
次に、遊技球検知センサ40が遊技球を検知してスイッチ信号がハイレベルに変化することで、AND回路301は遊技球検知センサ40のスイッチ信号および発振回路302の発振信号との論理積信号を、クロック信号としてカウンタ回路303のクロック端子に出力する。カウンタ回路303は、AND回路301からのクロック信号が入力開始されることで、クロック信号のクロック数のカウントを開始する。そして、遊技球検知センサ40のスイッチ信号がハイレベルになっている間(遊技球検知センサ40が遊技球を検知している間)は、AND回路301からのクロック信号の出力が維持され、カウンタ回路303でのクロック数のカウントが継続される。
【0080】
図7は、カウンタ信号出力端子Q1〜Q4から出力されるカウンタ信号のタイミングチャートである。図7に示すように、第1カウンタ信号出力端子Q1から出力される第1カウンタ信号の周期は4msであり、第2カウンタ信号出力端子Q2から出力される第2カウンタ信号の周期は8msであり、第3カウンタ信号出力端子Q3から出力される第3カウンタ信号の周期は16msであり、第4カウンタ信号出力端子Q4から出力される第4カウンタ信号の周期は32msである。このため、カウンタ回路303にAND回路301からのクロック信号の入力が開始されてから、2msが経過した時点(クロック数のカウント値が「2」になった時点)で第1カウンタ信号がハイレベルに立上がり、4msが経過した時点(クロック数のカウント値が「3」になった時点)で第2カウンタ信号がハイレベルに立上がり、8msが経過した時点(クロック数のカウント値が「5」になった時点)で第3カウンタ信号がハイレベルに立上がり、16msが経過した時点(クロック数のカウント値が「9」になった時点)で第4カウンタ信号がハイレベルに立上がる構成となっている。
【0081】
次に、正常な遊技が実行された場合の、入球検知回路300の動作(信号の出力態様)について、図8のタイミングチャートに基づいて説明する。図8は、正常な遊技により2個の遊技球42が入球検知スイッチ40の通過穴40aを通過した場合を示し、それぞれの通過時間が4msおよび7msとなっている。
【0082】
まず、遊技球42の通過時間が4msの場合は、遊技球検知スイッチ40のスイッチ信号が4msの間だけハイレベルとなる。このため、AND回路301のクロック信号は、遊技球検知スイッチ40のスイッチ信号がハイレベルとなっている間に2回ハイレベルとなる。そして、カウンタ回路303にAND回路301からのクロック信号が入力開始してから2ms経過後に第1カウンタ信号がハイレベルとなり、同時に第1OR回路304の出力信号がハイレベルとなる。遊技球検知スイッチ40のスイッチ信号はハイレベルとなってから4ms経過後にローレベルとなるので、第2〜第4カウンタ信号はローレベルのまま維持される。そして、第1カウンタ信号はハイレベルとなってから2ms経過後にローレベルとなり、同時に第1OR回路304の出力信号もローレベルとなる。
【0083】
次に、遊技球42の通過時間が7msの場合は、遊技球検知スイッチ40のスイッチ信号が7msの間だけハイレベルとなる。このため、AND回路301のクロック信号は、遊技球検知スイッチ40のスイッチ信号がハイレベルとなっている間に4回ハイレベルとなる。そして、カウンタ回路303にAND回路301のクロック信号が入力開始してから2ms経過後に第1カウンタ信号がハイレベルとなり、同時に第1OR回路304の出力信号がハイレベルとなる。続いて、カウンタ回路303にAND回路301からのクロック信号が入力開始してから4ms経過後に第1カウンタ信号がローレベルとなるとともに第2カウンタ信号がハイレベルとなり、第1OR回路304の出力信号はハイレベルのまま維持される。遊技球検知スイッチ40のスイッチ信号はハイレベルとなってから7ms経過後にローレベルとなるので、第3、第4カウンタ信号はローレベルのまま維持される。そして、第1カウンタ信号はハイレベルとなってから4ms経過後にローレベルとなり、同時に第1OR回路304の出力信号もローレベルとなる。
【0084】
以上のように、正常な遊技により遊技球42が入球検知スイッチ40の通過穴40aを4msで通過した場合も7msで通過した場合も、主制御CPU200bは第1OR回路304の出力信号に基づいて入球口への遊技球入球を検知することができる。
【0085】
次に、不正な遊技が実行された場合の、入球検知回路300の動作(信号の出力態様)について、図9のタイミングチャートに基づいて説明する。
【0086】
まず、入球検知スイッチ40に球詰まりさせた不正遊技球43が検知され、スイッチ信号がハイレベルとなってから2ms経過した時点で第1カウンタ信号がハイレベルとなり、第1OR回路304の出力信号がハイレベルとなる。また、入球検知スイッチ40のスイッチ信号がハイレベルとなってから4ms経過した時点で第1カウンタ信号がローレベルになるとともに第2カウンタ信号がハイレベルとなり、第1OR回路304の出力信号がハイレベルのまま維持される。また、入球検知スイッチ40のスイッチ信号がハイレベルとなってから8ms経過した時点で第1、第2カウンタ信号がローレベルになるとともに第3カウンタ信号がハイレベルとなり、第1OR回路304の出力信号がハイレベルのまま維持される。また、入球検知スイッチ40のスイッチ信号がハイレベルとなってから16ms経過した時点で第1〜第3カウンタ信号がローレベルになるとともに第4カウンタ信号(エラー信号)がハイレベルとなり、第1OR回路304の出力信号がローレベルになる。
【0087】
また、第4カウンタ信号がハイレベルになった場合(エラー信号が出力された場合)には、発振回路302のイネーブル端子にハイレベルの信号が入力し、発振回路302が発振信号を出力停止する。この結果、AND回路301からのクロック信号がカウンタ回路303に入力しなくなり、カウンタ回路303でのクロック数のカウントが停止する。さらに、第4カウンタ信号がハイレベルになった場合には、第2OR回路305の出力信号がハイレベルとなり、これが反転したローレベルの信号がカウンタ回路303のリセット端子に入力されるため、カウンタ回路303でのカウント値のリセットが行われない状態とされると共に、第1〜第3カウンタ信号がローレベルで維持され、第4カウンタ信号(エラー信号)がハイレベルで維持される。図9に示す例では、第4カウンタ信号がハイレベルになった後に、不正電波によって遊技球検知スイッチ40のスイッチ信号がローレベルに変化しているが、第4カウンタ信号がハイレベルで維持されたままとなる。これにより、不正遊技球による球詰まりを発生させた場合には、エラー信号を出力状態とすると共に、以降の不正入球を無効なものとすることができ、不正の被害を最小限に食い止めることができる。
【0088】
以上の構成によって、入球検知回路300は、入球検知スイッチ40のスイッチ信号がハイレベルとなってから2ms未満(カウンタ回路303でのクロック数のカウント値が「2」未満)でローレベルになった場合には、正常な遊技により遊技球42が入球検知スイッチ40の通過穴40aを通過するのに要する時間より短い時間に相当するので、入球検知スイッチ40のスイッチ信号をノイズとみなしてキャンセルすることができる。この場合、カウンタ信号Q0をノイズ信号として主制御CPU200bに入力しても良いし、入力しない(出力しない)構成としても良い。入力した場合には、ノイズの発生頻度を管理し、遊技球設置環境等の改善に活かすことができる。
【0089】
また、入球検知スイッチ40のスイッチ信号がハイレベルとなってから2ms以上16ms未満(カウンタ回路303でのクロック数のカウント値が「2」以上「9」未満)でローレベルになった場合には、正常な遊技により遊技球42が入球検知スイッチ40の通過穴40aを通過するのに要する時間に相当するので、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が正常な遊技球42の通過によるものであると判断し、第1OR回路304から入球検知信号を主制御CPU200bに出力する。これにより、主制御CPU200bは、入球口(第1始動口28a、第2始動口28b、大入賞口33a、入賞口34〜37)への遊技球42の入球を検知することができる。
【0090】
また、入球検知スイッチ40のスイッチ信号がハイレベルとなってから16ms以上経過した場合(カウンタ回路303でのクロック数のカウント値が「9」以上となった場合)には、正常な遊技により遊技球42が入球検知スイッチ40の通過穴40aを通過するのに要する時間より長い時間に相当するので、入球検知スイッチ40のスイッチ信号が不正遊技球43を用いた不正行為によるものであると判断し、エラー信号を主制御CPU200bに出力する。これにより、主制御CPU200bは、不正遊技球43を用いた不正行為が行われていることを検知することができる。
【0091】
入球検知回路300からエラー信号が主制御CPU200bに出力された場合には、主制御部200はサブ制御部260にエラー報知の実行を指示するコマンドを送信し、ホールコンピュータに対してエラーが発生した旨の報知を行い、遊技の進行を停止させる。エラー報知を指示するコマンドを受信したサブ制御部260は、演出表示制御部280と協働して、演出表示装置25の表示領域でエラーが発生した旨の表示を行う。また、遊技機1による遊技の進行を停止させることで、不正遊技球43を用いた不正行為によってそれ以後も継続して賞球が払い出されることを防止できる。なお、入球検知回路300から出力されるエラー信号は、所定のエラー解除用スイッチを操作するか、または遊技機1の電源を再投入することで解除することができる。
【0092】
(他の実施形態)
上記した実施例において、入球検知回路300を全ての入球検知スイッチに設置してもよいし、不正が狙われ易い入球検知スイッチに限定して設置してもよい。具体的には、当否判定の基となる始動口入球検知スイッチ28s、28tや、他の入賞口と比較して賞球数が多く設定される場合の多い入賞口入球検知スイッチ34s〜37s(所謂、その他入賞口検知スイッチ)の一部又は全部に設置することが望ましい。
【0093】
また、上記実施例では、イネーブル端子にハイレベル信号(第4カウンタ信号)が入力した場合に、ハイレベルの状態を維持する発振回路を用いたが、ハイレベル信号又はローレベル信号(第4カウンタ信号)がイネーブル端子に入力した場合に、ローレベルの状態を維持する発振回路を用いても良い。この場合(第4カウンタ信号が出力し異常状態となったとき)、AND回路301に入力される信号の一つがローレベルの状態を維持することとなるので、カウンタ回路303に信号が入力されることはなくなる。
【0094】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【符号の説明】
【0095】
1…遊技機、28a…第1始動口、28b…第2始動口、33a…大入賞口、34〜37…入賞口、40…入球検知スイッチ、42…正常遊技球、43…不正遊技球、200…主制御部、200b…CPU、300…入球検知回路、301…AND回路(論理回路)、302…発振回路、303…カウンタ回路、304…第1OR回路、305…第2OR回路(第2の論理回路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤上の入球口に入球した遊技球を検知して遊技球検知信号を出力する入球検知手段と、
所定周期で第1クロック信号を出力する発振回路と、
前記遊技球検知信号および前記第1クロック信号の論理積信号を第2クロック信号として出力する論理回路と、
前記第2クロック信号が入力するとともに前記第2クロック信号のクロック数をカウントし、前記クロック数のカウント値に基づいて前記遊技球検知信号が有効であることを示す入球有効信号または前記遊技球検知信号が異常であることを示す入球異常信号を出力するカウンタ回路と、を備え、
前記カウンタ回路は、前記クロック数のカウント値が所定範囲内の場合に前記入球有効信号を出力し、前記クロック数のカウント値が前記所定範囲を超えた場合に前記入球異常信号を出力することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記カウンタ回路は、前記クロック数のカウント値が前記所定範囲を下回った場合には、前記入球有効信号を出力しないことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記発振回路は、前記入球異常信号が入力可能に構成され、前記入力異常信号が入力した場合に前記第1クロック信号の出力を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技球検知信号および前記入球異常信号とが入力するとともに、前記遊技球検知信号および前記入球異常信号の論理和信号を前記カウンタ回路に出力する第2の論理回路を備え、
前記カウンタ回路は、前記論理和信号が入力しない場合に、前記クロック数のカウント値を初期化することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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