説明

遊技機

【課題】配線数を増やすことなく違法行為を確実に排除できるスロットマシンを提供する。
【解決手段】フォトカプラPCをON動作させる払出信号PAYを伝送する信号ラインと、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、主制御部50から受ける払出制御部55を有し、主制御部には、給電ライン、及び/又は、信号ラインの電流を監視する監視回路APが設けられ、有意レベルの払出信号を払出制御部55に出力していないタイミングで、監視回路が電流を検出すると異常対応処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ装置を内蔵する電子遊技機に関し、特に、遊技媒体としてメダル又は遊技球を用いる回胴遊技機や弾球遊技機に好適に適用される。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンなどの回胴遊技機では、遊技者がメダル投入口にメダルを投入してスタートレバーを操作すると、これに応じて、回転リールの回転が開始される。そして、遊技者がストップボタンを押して回転リールを停止させたとき、停止ライン上の図柄が揃うと、その図柄に応じた配当メダルが払い出されるようになっている。但し、各ゲームの当否状態は、実際には、機器内部の抽選処理によって各ゲームの開始時に予め決まっており、この抽選処理によって当選した図柄を、遊技者が停止ライン上に揃えることで配当メダルが払出される。
【0003】
この配当メダルは、各スロットマシン内部に配置されたメダルホッパーに予め貯留されている。そして、払出モータMOが回転してメダルを払出し、払出検出センサが必要個数の払出枚数を確認すると払出動作が終了するようになっている。
【0004】
払出モータMOは、例えば、DC24Vの電圧で回転する直流モータで構成されている。そして、メダル払出信号PAYを受けるフォトカプラを設け、メダル払出信号PAYがLレベルになると、フォトカプラの出力側のトランジスタがON動作して、直流モータの電流駆動回路が形成されるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−143058号公報
【特許文献2】特開2011−092774号公報
【特許文献3】特開2011−030662号公報
【特許文献4】特開2011−030661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、メダル払出信号PAYがLレベルになると、払出モータが回転を始めるので、この関係を悪用する違法行為を排除する回路構成が望まれる。そこで本出願人も各種の対策を提案しているが(特許文献1〜4)、必ずしも万全ではない。
【0007】
ここで、セキュリティレベルを上げるために回路構成が複雑化したのでは現実性に欠け、また、配線数が無闇に増加すると、追加された配線を悪用する違法も懸念されるところである。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、回路構成を複雑化したり、配線数を無闇に増加することなく、メダル払出信号PAYを悪用する違法行為を確実に排除できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、インタフェイス素子をON動作させる払出信号を伝送する信号ラインと、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、払出制御部は、Hレベルの払出信号を受けるとインタフェイス素子がON動作し、このON動作に対応して、払出モータが回転して有価物が払出されるよう構成され、上流側制御部には、給電ライン、及び/又は、信号ラインの電流を監視する監視回路が設けられ、有意レベルの払出信号を払出制御部に出力していないタイミングで、監視回路が電流を検出すると異常対応処理を開始するよう構成されている。
【0010】
本発明のインタフェイス素子は、Hレベルの払出信号を受けてON動作するので、メダル払出信号PAYをグランドレベルに降下させる違法行為が無意味となる。また、払出モータは、好ましくは、給電ラインと、グランドラインと、信号ラインの3本の信号のみによって回転可能に構成されているので、配線数を極限的に抑制することができる。
【0011】
上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作して有意レベルの払出信号を出力する出力スイッチ回路が設けられ、出力スイッチ回路のOFF動作時には、異常対応処理が開始可能に構成されているのが好適である。
【0012】
また、ON動作状態のインタフェイス素子の電流が流れる検出抵抗が、払出制御部又は上流側制御部に配置されて監視回路が構成されているのが好適であり、通電状態の給電ラインの電流が流れる監視抵抗が、上流側制御部に配置されて監視回路が構成されているのも好適である。
【0013】
この払出モータは、直流モータで構成されているのが典型的である。また、インタフェイス素子は、フォトカプラで構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明によれば、回路構成を複雑化したり、配線数を無闇に増加することなく、メダル払出信号PAYを悪用する違法行為を確実に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】図1のスロットマシンの右側面図(a)と平面図(b)である。
【図3】スロットマシンの前面パネルを背面から図示した図面である。
【図4】スロットマシンの本体ケースの内部正面図である。
【図5】図1のスロットマシンの回路構成を示すブロック図である。
【図6】主制御基板の要部と、主制御基板とメダル払出制御基板との接続関係を示すブロック図である。
【図7】メダル払出処理を説明するフローチャートである。
【図8】払出動作時におけるメダル払出制御基板の動作を説明する図面である。
【図9】払出禁止時におけるメダル払出制御基板の動作を説明する図面である。
【図10】払出禁止時における違法行為を説明する図面である。
【図11】別の実施例を説明する図面である。
【図12】更に別の実施例を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1〜図4は、実施例に係るスロットマシンSLを図示したものである。本スロットマシンSLは、矩形箱状の本体ケース1と、各種の遊技部材を装着した前面パネル2とが、ヒンジ3を介して連結され、前面パネル2が本体ケース1に対して開閉可能に構成されている(図2)。そして、図1は前面パネル2の正面図、図2はスロットマシンSLの右側面図(a)と平面図(b)、図3は前面パネル2の背面図、図4は本体ケース1の内部正面図を示している。
【0017】
図4に示す通り、本体ケース1の略中央には、3つの回転リール4a〜4cを備える図柄回転ユニット4が配置され、その下側に、メダル払出装置5が配置されている。各回転リール4a〜4cには、BB図柄、RB図柄、各種のフルーツ図柄、及びリプレイ図柄などが描かれている。メダル払出装置5には、メダルを貯留するメダルホッパー5aと、払出モータMOと、メダル払出制御基板55と、払出中継基板63と、払出センサSE(図5)などが設けられている。ここで、メダルは、払出モータMOの回転に基づいて、払出口5bから図面手前に向けて導出される。なお、限界量を越えて貯留されたメダルは、オーバーフロー部5cを通して、補助タンク6に落下するよう構成されている。
【0018】
上記のメダル払出装置5に隣接して電源基板62が配置され、また、図柄回転ユニット4の上部に主制御基板50が配置され、主制御基板50に隣接して回胴設定基板54が配置されている。なお、図柄回転ユニット4の内部には、回胴LED中継基板58と回胴中継基板57とが設けられ、図柄回転ユニット4に隣接して外部集中端子板56が配置されている。
【0019】
図1に示すように、前面パネル2の上部には液晶表示ユニット7が配置され、その下部には、回転リール4a〜4cに対応する3つの表示窓8a〜8cが配置されている。表示窓8a〜8cを通して、各回転リール4a〜4cの回転方向に、各々3個程度の図柄が見えるようになっており、合計9個の図柄の水平方向の三本と、対角線方向の二本が仮想的な停止ラインとなる。このような表示窓8aの左側には、遊技状態を示すLED群9が設けられ、その下方には、遊技成果として払出されるメダル数を表示する払出表示部10や、クレジット状態のメダル数を表示する貯留数表示部11が設けられている。
【0020】
前面パネル2の垂直方向中央には、メダルを投入するメダル投入口12が設けられ、これに隣接して、メダル投入口12に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン13が設けられている。また、クレジット状態のメダルを払出すクレジット精算ボタン14と、メダル投入口12へのメダル投入に代えてクレジット状態のメダルを擬似的に一枚投入する投入ボタン15と、クレジット状態のメダルを擬似的に三枚投入するマックス投入ボタン16とが設けられている。
【0021】
これらの遊技部材の下方には、回転リール4a〜4cの回転を開始させるスタートレバー17と、回転中の回転リール4a〜4cを停止させるためのストップボタン18a〜18cが設けられている。その他、前面パネル2の下方には、メダルを蓄える横長の受け皿19と、払出装置5の払出口5bに連通するメダル導出口20とが設けられている。なお、メダル導出口20の左右にはスピーカSPが配置されている。
【0022】
図3に示すように、前面パネル3の裏側には、メダル投入口12に投入されたメダルの選別を行うメダル選別装置21と、メダル選別装置21により不適正と判別されたメダルをメダル導出口20に案内する返却通路22とが設けられている。また、前面パネル3の裏側上部には、演出制御基板51、演出インタフェイス基板52、及び液晶制御基板61などを収容する基板ケース23が配置されている。そして、メダル選別装置21の上部には、図1に示す各種の遊技部材と主制御基板50との間の信号を中継する遊技中継基板53が設けられている。
【0023】
図5は、実施例に係るスロットマシンSLの回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このスロットマシンSLは、回転リール4a〜4cを含む各種の遊技部材の動作を制御する主制御基板50と、主制御基板50から受けた制御コマンドに基づいて演出動作を実現する演出制御基板51と、交流電圧(24V)を直流電圧(5V,12V,24V)に変換して装置各部に供給する電源基板62とを中心に構成されている。
【0024】
主制御基板50は、演出制御基板51に対して、スピーカSPによる音声演出、LEDランプや冷陰極線管放電管によるランプ演出、及び、液晶表示ユニット7による図柄演出を実現するための制御コマンドを出力している。そして、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通して、液晶制御基板61に接続されており、液晶制御基板61は、液晶表示(LCD)ユニット7における図柄演出を実現している。
【0025】
演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52と共に、LED基板59やインバータ基板60や回胴LEDドライブ基板58を経由して、各種のLEDや冷陰極線管放電管におけるランプ演出を実現している。また、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通してスピーカSPを駆動して音声演出を実現している。
【0026】
主制御基板50は、遊技中継基板53を通して、スロットマシンの各種遊技部材に接続されている。具体的には、スタートレバー17の始動スイッチ、ストップボタン18a〜18cの停止スイッチ、投入ボタン15,16の投入スイッチ、清算ボタン14の清算スイッチ、投入枚数判定部21dを構成するフォトインタラプタPH1,PH2、投入メダル返却部21cを構成するブロッカーソレノイド30、及び、各種LED素子9〜11などに接続されている。
【0027】
また、主制御基板50は、回胴中継基板57を経由して、回転リール4a〜4cを回転させる3つのステッピングモータ、及び、回転リール4a〜4cの基準位置を検出するためのインデックスセンサに接続されている。そして、ステッピングモータを駆動又は停止させることによって、回転リール4a〜4cの回転動作と、目的位置での停止動作を実現している。
【0028】
主制御基板50は、払出中継基板63を通してメダル払出装置5にも接続されている。メダル払出装置5には、メダル払出制御基板55と、メダル払出センサSEと、払出モータMOとが設けられており、メダル払出制御基板55は、主制御基板50からのメダル払出信号PAYに基づいて払出モータMOを回転させて、所定量のメダルを払出している。なお、払出モータMOは、ブラシモータなどのDCモータであり、DC24Vを受けている限り回転を継続する。
【0029】
その他、主制御基板50は、外部集中端子板56と、回胴設定基板54にも接続されている。外部集中端子板56は、例えばホールコンピュータHCに接続されており、主制御基板50は、外部集中端子板56を通して、メダルの投入枚数やメダルの払出枚数などを出力している。また、回胴設定基板54は、係員が設定した確率的なメダル払出枚数のランク設定値を示す設定キー信号などを出力している。
【0030】
図6(a)は、主制御基板50と、払出中継基板63と、メダル払出制御基板55との接続関係を図示した概略図である。図示の通り、メダル払出制御基板55は、払出中継基板63を経由して、主制御基板50から、メダル払出信号PAYと、DC24Vとを受ける一方、監視信号SENを、主制御基板50に出力している。なお、各回路基板50,63,55は、配線コネクタCN1〜CN4を経由して隣接する回路基板と接続されている。
【0031】
図示の通り、主制御基板50は、メダル払出信号PAYを出力する信号出力部70を有して構成され、メダル払出制御基板55は、監視信号SENを生成するフォトカプラPCを有して構成されている(図6(a)及び図6(c)参照)。なお、払出モータMOを回転させるには、フォトカプラPCをON動作させる必要があり、フォトカプラPCがOFF状態を維持する限り、払出モータMOが回転することはなく、メダルが払出されることがない。
【0032】
主制御基板50の信号出力部70は、メダルの払出枚数に対応するパルス幅τを有する駆動パルスSGを受けてスイッチング動作をするバイポーラ型の出力トランジスタQaと、駆動パルスSGを受けて論理反転動作をするNOTゲートG1と、NOTゲートG1の出力、及び、エミッタ抵抗Reの両端電圧(監視信号SEN)を受けるNANDゲートG2とを有して構成されている。そして、NANDゲートG2の出力は、異常判別信号ERとして、主制御部50のワンチップマイコンに供給されている。
【0033】
出力トランジスタQaのベース端子は、ベース抵抗Rbを通して駆動パルスSGを受けており、出力トランジスタQaのコレクタ端子は、コレクタ抵抗Rcを経由して直流電源Vcc(=5V)に接続されている。一方、出力トランジスタQaのエミッタ端子は、メダル払出信号PAYの出力端子として、配線コネクタCN1に接続されている。
【0034】
このメダル払出信号PAYは、メダル払出制御基板55のフォトカプラPC(発光ダイオードD)の電流流入端子に供給され、フォトカプラPCの出力電流は、その電流流出端子及び配線コネクタCN1を経由して、主制御部50のエミッタ抵抗Reに流れ込むよう構成されている。この構成から確認される通り、監視信号SENの電圧レベルは、フォトカプラPCの電流値Ipとエミッタ抵抗Reとに対応して、SE=Ip×Reとなり、フォトカプラPCがON動作しているか否かを示すものとなる。
【0035】
図6(c)に示す通り、監視信号SENは、NOTゲートG1の出力と共に、NANDゲートG2に供給されている。ここで、駆動パルスSGは、定常的にはLレベルであり、メダルの払出動作時に限りHレベルとなる(図6(b))。そのため、NOTゲートG1の出力は、定常的にはHレベルであり、メダルの払出動作時に限りLレベルとなる。
【0036】
以上の通り、(1)メダル払出動作時には、NOTゲートG1の出力がLレベルであることにより、また、(2)それ以外の定常時(払出禁止時)には、監視信号SENがLレベルであることにより、異常判別信号ERは、正常状態では、常にHレベルを維持することになる。なお、NANDゲートG1の出力は、プルアップ抵抗RpによってHレベルに安定化されており、主制御部50のワンチップマイコンは、安定的にHレベルである異常判別信号ERに基づいて、異常なメダル払出動作が実行されていないことを確認している。
【0037】
ところが、何らかの違法行為によって、メダル払出禁止時にフォトカプラPCがON動作すると、NOTゲートG1の出力がHレベルである状態で、監視信号SENがHレベルとなる。すると、NANDゲートG2の出力(異常判別信号ER)が、異常事態の発生を示すLレベルに遷移するので、このことを検知した主制御基板50のワンチップマイコンによって適宜な警報動作が実行される。警報動作としては、大音量の警報音の出力や、派手なランプ点滅動作を例示することができ、係員の急行によって、違法行為の継続が阻止される。
【0038】
ところで、各抵抗値Rc,Rb,Reは、上記した警報動作を実現するために適切に設定される必要があるので、この点に関する説明を追加する。メダル払出時は、駆動パルスSGがHレベルであるので、出力トランジスタQaがON状態となり、エミッタ抵抗Reには、トランジスタQaのコレクタ電流Icとベース電流の総和値(エミッタ電流Ie)のほぼ全てが流れる。
【0039】
ここで、簡易的にIe=Icと近似すると、フォトカプラPCのON動作時には、Ic=(Vcc−Rc×Ic−Vce−Vf)/Reの等式が成立する。ここで、Vceは、ON動作時のトランジスタのコレクタエミッタ間の電圧降下、Vfは、ON動作時のフォトダイオードDの電圧降下であり、各素子のON特性に基づき、例えば、Vce≒0.2V、Vf≒1.2Vのように特定可能である。したがって、この場合には、ON動作時のコレクタ電流Icに関し、Ic≒(5−0.2−1.2)/(Rc+Re)・・・(式1)の関係式が成立する。
【0040】
ここで、コレクタ電流Icは、フォトカプラPCを安定してON動作させることができる最低レベルの電流値であり、その値はほぼ一意的に特定できるので、この特定値に基づいて、RcとReの関係が規定されることになる。例えば、最低電流値をIc=10mAとすると、Rc+Re=360Ωとなる。
【0041】
一方、出力トランジスタQaに関して、Rb×Ib+Vbe=Rc×Ic+Vceの等式も成立する。ここで、電流増幅率をαとすると、Ic=α×Ibとなり、また、Vbeは、ON動作時のトランジスタのベースエミッタ間の電圧降下であるので、例えば、Vbe≒0.6Vと特定可能である。そのため、Rc×Ic=Rb×Ic/α+0.4・・・(式2)の関係が成立することになり、電流増幅率αを仮定することで、Rbの値を、Rcの値に基づいて特定することができる。
【0042】
以上の関係を踏まえ、本実施例では、式1と式2を満足する値として、例えば、Re=310Ω、Rc=50Ωと設計している。この設計値の場合には、フォトカプラPCに10mA程度の電流が流れると、監視信号SENの電圧は3.1V程度となって、確実にHレベルの論理値となる。なお、後述する違法行為時(図10参照)には、フォトカプラPCに、設計値を超える電流が流れると思われるので、違法時の監視信号SENの電圧SEは、十分にHレベルを維持する。なお、フォトカプラPCの電流が低いと、監視信号SENの電圧がHレベルを維持できないが、設計値より低い電流値では、フォトカプラPCをON動作させることができないので問題がないと解される。
【0043】
図7は、上記した駆動パルスSGの制御を含んだ主制御部50によるメダル払出動作を説明するフローチャートである。先ず、遊技者に払出すべきメダル払出枚数が0か否か判定され(ST10)、メダル払出枚数≠0であれば、クレジット数が上限値(例えば50枚)に達するまでは、クレジット数を増加させることで払出処理を実行する(ST11〜ST13)。
【0044】
図7は、上記した駆動パルスSGの制御を含んだ主制御部50によるメダル払出動作を説明するフローチャートである。先ず、遊技者に払出すべきメダル払出枚数が0か否か判定され(ST10)、メダル払出枚数≠0であれば、クレジット数が上限値(例えば50枚)に達するまでは、クレジット数を増加させることで払出処理を実行する(ST11〜ST13)。
【0045】
一方、このようにしてクレジット数が上限値に達するか、或いは、もともと上限値に達している場合には、メダル払出信号PAYをONレベル(アクティブレベル)にする(ST15)。具体的には、主制御部50の出力トランジスタQaをON動作させて、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをON動作させる。この結果、払出モータMOが回転を開始してメダルの払出が開始される。
【0046】
そこで、次に、払出センサSE(図5)がメダル払出を検出したか否か判定され(ST16)、所定の待機時間、メダルの払出が検出されるのを待つ(ST18)。そして、メダルの払出が検出されれば、払出枚数を減算し(ST17)、残余払出枚数が0になるまで同じ動作を繰返す。一方、所定の待機時間を超えても、払出センサSEがメダルの払出を検出しない場合は、メダルホッパー5aが空であると思われるので、その旨の異常報知処理を実行する(ST19)。そして、ドアセンサの開閉が検出されたら、係員による補給処理が完了したと想定して、エラー報知処理を解除してステップST15の処理に戻る。
【0047】
このような処理を繰返していると、やがて、残余払出枚数が0になるので(ST13)、メダル払出信号PAYをOFF状態にして処理を終える(ST14)。具体的には、主制御部50の出力トランジスタQaをOFF動作させ、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをOFF動作させる。この結果、払出モータMOの回転が停止される。
【0048】
図8〜図9は、メダル払出動作を説明するための図面である。先ず、主制御部50の出力トランジスタQaがON状態となった場合(ST15)について、図8に基づいて説明する。この場合には、DC5V→抵抗Rc→トランジスタQa→フォトカプラの発光ダイオードD→エミッタ抵抗Re→グランドラインの経路で、ON電流Ionが流れる。そのため、フォトカプラのフォトトランジスタTrもON状態となり、トランジスタTrを通過する直流電流は、ダイオードD1→抵抗R6→R7の経路に流れる。
【0049】
なお、エミッタ抵抗ReにON電流Ionが流れることによって、監視信号SENはHレベルとなるが、メダル払出動作時には、NOTゲートG1の出力がLレベルであるので(図6(c)参照)、異常判別信号ERは、正常レベル(Hレベル)を維持する。
【0050】
また、トランジスタTrを通過する直流電流は、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R13の経路と、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R10→R5の経路にも流れる。その結果、トランジスタQ5はON状態となり、ポリスイッチRT→払出モータMO→トランジスタQ5の経路でモータ駆動電流が流れ、払出モータMOが回転する。
【0051】
この時、電流制限回路82は、過大なモータ駆動電流が流れることを防止する負帰還回路として機能する。すなわち、モータ駆動電流は、電流検出抵抗R13に流れるので、仮に、モータ駆動電流が大きく増加すると、トランジスタQ4のベース電位が増加して、抵抗R8→ダイオードD2経路でコレクタ電流が流れる。
【0052】
すると、トランジスタQ4とトランジスタQ3とは、サイリスタ構造を有して接続されているので、トランジスタQ4のコレクタ電流の増加が、トランジスタQ3のコレクタ電流の増加をもたらし、抵抗R5を経由してトランジスタQ4のコレクタ電流を益々増加させることで、2つのトランジスタQ3,Q4は、ON動作に向けた正帰還ループを形成する。
【0053】
一方、トランジスタQ4のコレクタ電流が飽和電流に向けて増加すると、ダイオードD2のアノード端子の電位が降下するので、トランジスタQ5をOFF動作させる向きの負帰還ループが形成される。したがって、トランジスタQ5の動作に基づいて、過大なモータ駆動電流が流れることが防止され、モータ駆動電流が所定範囲に維持される。
【0054】
ところで、払出モータMOが駆動されているタイミングでは、トランジスタQ6は、OFF状態である。それは、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R7の経路で電流が流れると共に、ダイオードD1→抵抗R6→抵抗R7の経路でも電流が流れるので、抵抗R11と抵抗R12の両端電圧が、トランジスタTrの飽和電圧VCEとダイオードの順方向電圧降下VFからVCE+VF≒1Vに抑制されるからである。
【0055】
次に、図9に基づいて、主制御部50の出力トランジスタQaがOFF状態となった場合(ST13)の動作を説明する(払出停止状態)。
【0056】
この場合には、出力トランジスタQaがOFF状態であるのでフォトカプラPCに電流が流れず、トランジスタQ3,Q4,Q5はON状態とならない。そのため、エミッタ抵抗Reの両端電圧である監視信号SENはLレベルであり、その時のNOTゲートG1の出力がHレベルであることに拘らず(図6(c)参照)、異常判別信号ERは、正常レベル(Hレベル)を維持する。
【0057】
一方、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R7→グランドの経路では電流が流れる。ここで、抵抗R11の両端電圧は、24*R11/(R11+R12+R6+R7)≒3Vとなるよう設定されているので、このソース端子とゲート端子間の電圧によってトランジスタQ6はON状態となる。
【0058】
このトランジスタQ6のON動作は、フォトカプラPCのONからOFFへの遷移時に実行されるので、誘導性を有する払出モータMOの駆動電流は、瞬間的にトランジスタQ6のコレクタ電流として吸収され、払出モータMOの回転にブレーキがかかる。そのため、本実施例の構成によれば、慣性力によってメダルが過払いされることがない。
【0059】
以上の通り、本実施例によれば、メダル払出制御基板55は、違法行為の可能性を低減している。すなわち、払出停止状態において、仮に、メダル払出ラインPAY(出力トランジスタQaのエミッタ端子)をグランドに短絡させても、トランジスタQaがOFF状態を維持しているので、払出モータMOを回転させることはできない。
【0060】
もっとも、図10に示すように、メダル払出制御基板55に給電されるDC24Vを悪用して、フォトカプラPCをON動作させようとする違法行為も考えられなくはない。
【0061】
但し、この場合には、図10に示すように、DC24V→フォトカプラの発光ダイオードD→エミッタ抵抗Re→グランドラインの経路で、異常ON電流が流れるので、エミッタ抵抗Reの両端電圧である監視信号SENがHレベルとなる。この時、NOTゲートG1の出力は、Hレベルであるので、NANDゲートG2の出力(異常判別信号ER)が異常レベル(Lレベル)に遷移することになる。そのため、このことを検知した主制御基板50のワンチップマイコンによって適宜な警報動作が実行されることは前記した通りである。
【0062】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定する趣旨ではなく、適宜に変更可能である。例えば、先の実施例ではスロットマシンについて説明したが、遊技球の払出処理をDCモータで実現する弾球遊技機においては、本発明が好適に適用される。また、監視信号SENを生成するエミッタ抵抗Reは、必ずしも、主制御基板50に配置する必要はなく、メダル払出制御基板55など主制御基板以外に配置しても良い。
【0063】
また、実施例の回路構成では、異常時にエミッタ抵抗Reの両端電圧SEを確実にHレベルにできない可能性が懸念される場合には、例えば、図11に示すようにエミッタ抵抗Reの電流値に基づいてON動作する電流シャントモニタAPを追加すれば良い。
【0064】
この回路構成では、エミッタ抵抗Reと、電流シャントモニタAPと、負荷抵抗RLとで電流検出回路が実現されており、負荷抵抗RLには、フォトカプラPCのON電流Ipに比例して飽和レベルの検出電圧Eoが得られるよう設定されている。なお、電流シャントモニタAPとして、例えばTexas Instrument社のINA139(CURRENT SHUNT MONITOR)が使用される。
【0065】
ところで、違法行為者が、DC24Vラインとメダル払出信号PAYの信号ラインとを適宜な抵抗素子で接続することに加えて、監視信号SENの信号ラインをグランドラインに接続することも考えられなくはない。そこで、このような事態まで想定される場合には、DC24Vの給電ラインに、図11と同様の電流検出回路を設け、メダル払出が禁止されている定常時に異常電流を検出した場合には、前記した警報動作を実行するよう構成すれば良い。
【0066】
図12は、この回路構成を例示したものであり、DC24Vの給電ラインに、微小抵抗値のシャント抵抗Rsと、上記した電流シャントモニタAPとを配置し、DC24Vの給電ラインにモータ駆動電流が流れると、負荷抵抗RLに飽和レベルの検出電圧Eoが得られるよう構成されている。
【0067】
また、この実施例では、検出電圧Eoと監視信号SENとを受けるORゲートG3を設け、ORゲートG3の出力を、NOTゲートの出力と共に、NANDゲートG2に供給している。そのため、監視信号SENの信号ラインを、グランドラインに接続する違法行為があっても、DC24Vの給電ラインにモータ駆動電流が流れると、ORゲートG3の出力がHレベルになり、異常判別信号ERが異常レベル(Lレベル)に遷移する。したがって、このような違法時にも適宜な警報動作を起動することができる。
【0068】
なお、DC24Vの給電ラインの電流をチェックする回路構成を採る場合には、エミッタ抵抗Reは必須ではなく、これを省略できることは言うまでもない。エミッタ抵抗Reを省略する場合には、フォトカプラPCの電流出力端子をグランドラインGNDに短絡させるので、主制御部50と払出制御部55とは、3本の信号線(DC24V,PAY,GND)で接続可能となる。
【0069】
なお、エミッタ抵抗Reを省略する場合には、ORゲートG3も不要であり、検出電圧(負荷抵抗RLの両端電圧)Eoは、そのままNANDゲートG2に供給される。
【符号の説明】
【0070】
MO 払出モータ
55 払出制御部
PC インタフェイス素子
PAY 払出信号
CN4 配線コネクタ
SL 遊技機(スロットマシン)
Re 監視回路
AP 監視回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタフェイス素子をON動作させる払出信号を伝送する信号ラインと、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、
払出制御部は、Hレベルの払出信号を受けるとインタフェイス素子がON動作し、このON動作に対応して、払出モータが回転して有価物が払出されるよう構成され、
上流側制御部には、給電ライン、及び/又は、信号ラインの電流を監視する監視回路が設けられ、
有意レベルの払出信号を払出制御部に出力していないタイミングで、監視回路が電流を検出すると異常対応処理を開始するよう構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作して有意レベルの払出信号を出力する出力スイッチ回路が設けられ、
出力スイッチ回路のOFF動作時には、異常対応処理が開始可能に構成されている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
ON動作状態のインタフェイス素子の電流が流れる検出抵抗が、払出制御部又は上流側制御部に配置されて監視回路が構成されている請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
通電状態の給電ラインの電流が流れる監視抵抗が、上流側制御部に配置されて監視回路が構成されている請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。
【請求項5】
払出モータは、給電ラインと、グランドラインと、信号ラインの3本の信号によって回転可能に構成されている請求項4に記載の遊技機、
【請求項6】
払出モータは、直流モータで構成されている請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項7】
インタフェイス素子は、フォトカプラで構成されている請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−81533(P2013−81533A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221939(P2011−221939)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】