説明

運動案内装置およびそのインナーシール

【課題】 インナーシールを挿入する隙間の変化に拘わりなくシールリップに作用する圧力を適正に維持できる運動案内装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 軌道部材11と、軌道部材11に対して長手方向に相対的に移動可能な状態で組み付けられる移動体12と、軌道部材11と移動体12との間に介在される多数の転動体16と、軌道部材11に対して移動体12と一体的に移動可能な状態で軌道部材11と移動体12との間に介在され、軌道部材11との対向面40a側には、転動体16の負荷転走路Rを外部に対して密封するためのシールリップ41が長手方向に沿って設けられたインナーシール15とを備えた運動案内装置10において、インナーシール15と移動体12との間には、シールリップよりもばね定数が小さい支持手段42を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体を所定の軌道部材に沿って案内する運動案内装置に係り、特に軌道部材と移動体との間にインナーシールを設けて転動体の負荷転走路を外部に対して密封する運動案内装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械のテーブル等の可動部を所定の方向に案内するための装置として、軌道部材に多数の転動体を介して移動体を取り付けた転がり案内装置が知られている。この種の転がり案内装置では、軌道部材の上面と移動体との間にインナーシールを装着し、そのインナーシールの下面側に設けられたシールリップを軌道部材の上面と接触させて軌道部材の両側の負荷転走路への異物の侵入および負荷転走路から外部への潤滑剤(グリース)の漏れを防止している。インナーシールは移動体に固定され、移動体と軌道部材との間の隙間量の変化はシールリップの弾性変形によって吸収されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の構造では、シールリップの変形に伴ってシールリップと軌道部材との間に働く圧力(接触圧)が変化し、移動体の移動に対する抵抗(シール抵抗)やシール性能が安定しないことがある。特に、軌道部材の上面に防塵などを目的としてカバーを取り付けた場合(例えば特許第2719985号公報参照)には、インナーシールを挿入する隙間がそのカバーの厚さ相当だけ狭くなり、シールリップに作用する接触圧が顕著に増加してシール抵抗が大きくなり、また、シールリップの早期摩耗や発熱による品質劣化が生じ易い。
【0004】そこで、本発明はインナーシールを挿入する隙間の変化に拘わりなくシールリップに作用する接触圧を適正範囲に維持できる運動案内装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】本発明は、軌道部材(11)と、前記軌道部材に対して該軌道部材の長手方向に相対的に移動可能な状態で組み付けられる移動体(12)と、前記軌道部材と前記移動体との間に介在される多数の転動体(16)と、前記軌道部材に対して前記移動体と一体的に移動可能な状態で前記軌道部材と前記移動体との間に介在され、前記軌道部材との対向面(40a)側には、前記転動体の負荷転走路を外部に対して密封するためのシールリップ(41)が前記長手方向に沿って設けられたインナーシール(15)とを備えた運動案内装置(10)において、前記インナーシールと前記移動体との間には、前記シールリップよりもばね定数が小さい支持手段(42,50)が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】この発明によれば、シールリップよりも支持手段の方がばね定数が小さくて弾性変形し易いため、インナーシールが装着される隙間の変化を相殺するように支持手段を弾性変形させてシールリップに加わる接触圧を適正範囲に維持することができる。この結果、シール抵抗を常に小さく維持でき、シールリップの早期摩耗や発熱による品質劣化を防止できる。支持手段の個数や形状を変えることによって支持手段の変形に対する復元力を調整してシールリップの接触圧を自由に変えることもできる。
【0008】本発明の運動案内装置において、前記インナーシールは、基板(40)と、前記基板の前記軌道部材との対向面側に固着されたシールリップ(41)と、前記基板の前記移動体との対向面(40b)側に固着された弾性材料製の支持部(42)とを具備してもよい。その場合、前記支持部のばね定数を前記シールリップよりも小さく設定して該支持部を前記支持手段として機能させることができる。この構成によれば、インナーシールに支持手段が設けられるので、移動体側には別に部品を設ける必要がなく、既存の運動案内装置に対してもインナーシールを変更するだけで本発明の作用効果を得ることができる。インナーシールを組み付ける手間が増えない利点もある。
【0009】前記シールリップと前記支持部とは、前記基板をインサートとする成形法により前記基板に一体に固着されてもよい。前記シールリップおよび前記支持部と前記基板とが、異種材料を金型内に注入して一体化する多色成形法により相互に一体に成形されてもよい。これらの構成によれば、支持手段を設けても部品点数が増加せず、装置の製造や組み立てに要するコストを抑えることができる。
【0010】前記シールリップと前記支持部とは同一の弾性材料から成形されてもよい。このようにすれば支持手段を設ける手間をより軽減できる。なお、弾性材料としては、ゴム、エラストマーを好適に用いることができる。
【0011】シールリップと支持部とを同一の弾性材料で構成する場合、それらの素材の弾性係数は同一であるため、支持部の形状や配置、個数によってそのばね定数をシールリップよりも小さくする必要がある。例えば、前記支持部を前記シールリップよりも薄いリップ状に形成すれば、シールリップよりも支持部が基板と直交する方向(軌道部材と移動体とが対向する方向)に弾性変形し易くなる。支持部を突起状に形成してもよい。前記支持部を前記シールリップよりも前記基板側に倒した場合でも同様に支持部がシールリップよりも弾性変形し易くなる。また、シールリップはその機能上の要請から基板の長手方向全長に設けられるため、前記支持部を前記長手方向に分散して複数設けた場合にも支持部の方が弾性変形し易くなる。
【0012】本発明の運動案内装置において、前記移動体はブロック本体(20)と、そのブロック本体の前記長手方向両端に装着されるエンドプレート(23,23)とを具備することができ、前記インナーシール(15)の長手方向両端部(15a,15a)は、前記移動体と前記軌道部材とが対向する方向に遊動可能な状態で前記エンドプレートにはめ込まれてもよい。この場合、軌道部材の長手方向に関して基板を移動体に拘束しつつ、前記移動体と前記軌道部材とが対向する方向、換言すればインナーシールが装着される隙間の方向には、エンドプレートによってインナーシールを拘束せず、同方向の支持を支持手段に委ねることができる。
【0013】本発明は運動案内装置用のインナーシールとしても表現できる。そのインナーシールは、運動案内装置(10)の軌道部材(11)と移動体(12)との間に装着される基板(40)と、前記基板の前記軌道部材との対向面(40a)側に固着され、前記軌道部材と前記移動体と間に挟まれた転動体(16)の負荷転走路を外部に対して密封するように前記軌道部材の長手方向に延びたシールリップ(41)と、前記基板の前記移動体との対向面(40b)側に固着された弾性材料製の支持部(42)とを具備し、前記支持部のばね定数が前記シールリップのばね定数よりも小さく設定されていることを特徴とするものである。このインナーシールを軌道部材と移動体との間に装着すれば本発明の運動案内装置を構成できる。
【0014】本発明のインナーシールは、好適には軌道部材の上面(11a)をカバー(14)にて覆っている運動案内装置において、そのカバーと移動体との間に装着することができる。しかし、本発明はカバーを設けない運動案内装置にも適用できる。ここで、軌道部材の上面とは軌道部材の相手部品に対する取付面を下面としたときに、その下面の反対側に位置する面をいい、使用時に必ずしも上を向いている必要はない。移動体は軌道部材に対して相対的に移動可能であればよく、本発明の運動案内装置は、使用時に移動体自身が移動する構成に限定されない。さらに、本発明のインナーシールは軌道部材の上面と移動体との間に限定されず、軌道部材の他の面と移動体との間に装着してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜図6は本発明を転がり案内装置に適用した一実施形態を示している。まず、図6を参照して転がり案内装置の概略を説明する。
【0016】図6に示すように、転がり案内装置10は、軌道部材11と、軌道部材11に対してその長手方向に相対的に移動可能に取り付けられる移動体12と、軌道部材11の上面11aを覆うプレートカバー14と、移動体12とプレートカバー14との間に設けられるインナーシール15とを有している。移動体12は転動体としての多数のローラ16…16(図1参照)を介して軌道部材11に取り付けられる。なお、図6ではプレートカバー14を軌道部材11よりも短く描いているが、実際には軌道部材11とプレートカバー14とは長手方向に関して略等しい長さを有している。
【0017】軌道部材11は鋼等の剛性の高い材料で構成され、その上面11aには多数のボルト取付孔11b…11bが開口している。ボルト取付孔11bは軌道部材11を機械部品に固定するためのものであり、軌道部材11を上下に貫通する。軌道部材11の両側面11c,11cには多数のローラ16が走行する転走面11d…11dが2つずつ形成される(図1参照)。
【0018】移動体12は、ブロック本体20と、ブロック本体20の両端面にボルト(不図示)を介して取り付けられるエンドプレート23,23と、各エンドプレート23の外表面にねじ26…26を利用して固定されるエンドシール25,25とを有している。
【0019】ブロック本体20は軌道部材11と同様に鋼等の剛性の高い材料で構成され、その下面側には軌道部材11を受け入れるための凹部20aが形成される。凹部20aの内壁には、軌道部材11の転走面11dと対向するようにしてローラ16の転走面20b(図1参照)が左右それぞれ2つずつ形成され、それらの転走面20bに沿ってローラ16の負荷転走路が形成される。ブロック本体20の内部には、ローラ16を負荷転走路の一端から他端へ戻すための戻し路が形成され、エンドプレート23の内部にはその戻し路と負荷転走路とを結ぶ方向転換路が形成される。かくして移動体12には、一対の負荷転走路および戻し路とそれらを結ぶ一対の方向転換路とによって構成される無限循環路が、軌道部材11の左右にそれぞれ2本ずつ合計4本形成される。ローラ16は各無限循環路に充填される。移動体12が軌道部材11に対して長手方向に相対的に移動すると、ローラ16が無限循環路を移動し、移動体12が軌道部材11の長手方向に転がり案内される。
【0020】次に、図1〜図5を参照してインナーシール15の詳細を説明する。図1(a)から明らかなように、インナーシール15は軌道部材11の上面11aと移動体12との間に装着される。図2はそのインナーシール15の詳細を示すもので、(a)は下面側を、(b)は上面側をそれぞれ示している。また、図3(a)はインナーシール15の平面図、同(b)は側面図である。これらの図から明らかなように、インナーシール15は、ほぼ平坦な基板40と、その基板40の下面40aの両側部に固着される一対のシールリップ41,41と、基板40の上面40bの4箇所に設けられるリップ状の支持部42…42とを有している。基板40は金属又は樹脂にて形成され、その両端にはエンドプレート23の凹部23a,23aに差し込まれる一対の嵌合部15a,15aが形成されている(図7及び図8参照)。なお、嵌合部15aの厚さは凹部23aの幅よりも十分に小さく設定される。従って、インナーシール15は、軌道部材11の長手方向に関してエンドプレート23,23の間に拘束されて移動体12から長手方向に抜け出ないが、上下方向には遊動可能な状態でエンドプレート23,23の間に保持される。
【0021】シールリップ41は基板40の全長に亘って延びている。図1(a)〜(c)に示したように、シールリップ41はプレートカバー41又は軌道部材11の上面11aに接触して移動体12と軌道部材11の上面11aとの隙間から両側の負荷転走路Rへの異物の進入を阻止するとともに、負荷転走路Rから前記隙間への潤滑剤(グリース)の漏れを防止する。なお、図1(a)では図6の転走路形成部材28〜31の図示が省略されている。
【0022】シールリップ41はポリエステル系のエラストマーにて構成されるが、他の弾性材料で形成されてもよい。支持部42はシールリップ41と同一の弾性材料にて構成される。支持部42は基板40の片側に2個ずつ長手方向に所定の間隔をあけて設けられるが、その個数及び間隔は適宜変更してよい。シールリップ41及び支持部42は各種の手段により基板40に固着してよいが、好適には基板40をインサートとする射出成形によりシールリップ41及び支持部42を基板40と一体に成形するとよい。
【0023】図4(a)は基板40はシールリップ41及び支持部42を成形する前の基板40を示し、同(b)は成形後の基板40を示している。また、図5は図4(b)のV−V線に沿った断面図である。なお、いずれの図も幅方向中心位置から片側のみを示しているが、反対側は対称に形成される。
【0024】図4(a)から明らかなように、基板40の上面40bには基板40の長手方向全長に亘って延びる溝部40cが形成され、その溝部40cの内部には小径の多数の貫通孔40d…40dが適当な間隔をおいて形成されている。また、基板40の側縁の4箇所には支持部42を設けるための切欠部40e…40eが形成され、溝部40cはその切欠部40eを囲むように設けられた拡大部40fに連なっている。そして、拡大部40fにも小径の多数の貫通孔40g…40gが形成されている。
【0025】図4(b)及び図5から明らかなように、基板40をインサートとしてシールリップ41及び支持部42が一体に射出成形されると、上述した貫通孔40gがそれらと同一材料の弾性材料にて埋められてシールリップ41と支持部42とが相互に接続される。同時に、溝部40cも弾性材料で埋められてその部分に保持部43が形成され、貫通孔40dに充填された弾性材料によりその保持部43とシールリップ41とが相互に接続される。以上により、シールリップ41及び支持部42が基板40に対して確実に固着される。
【0026】図5から明らかなように、支持部42は基板40から斜め外側に延びるリップ状に形成され、シールリップ41は基板40に対してほぼ直交する方向に延びている。すなわち、支持部42はシールリップ41よりも基板40側に倒れるようにして形成される。また、支持部42の厚さt2はシールリップ41の厚さt1よりも小さい。そのため、上下方向に関するばね定数は支持部42の方がシールリップ41よりも十分に小さい。かくして、支持部42は支持手段として機能する。
【0027】以上のように構成されたインナーシール15を軌道部材11と移動体12との間に装着した状態を図1(a)に模式的に示す。上述したように、インナーシール15の支持部42のばね定数はシールリップ41のそれよりも小さい。
【0028】従って、図1(b)に示すように軌道部材11にプレートカバー14を被せた場合と、図1(c)に示すようにプレートカバー14を取り外した状態とで軌道部材11の上面11aと移動体12との隙間量Yが変化しても、その変化を相殺するように支持部12が弾性変形し、その結果、シールリップ41に加わる接触圧の変化が抑えられる。従って、支持部42の弾性を適切に設定することにより、シールリップ41の接触圧を常に適正範囲に維持し、シール抵抗を常に小さく維持でき、シールリップ41の早期摩耗や発熱による品質劣化を防止できる。また、支持部42の個数や形状を変えることによって、その支持部42の弾性復元力を調整してシールリップ41の接触圧を変化させることもできる。
【0029】本発明は上述した実施形態に限らず、種々の形態にて実施できる。例えば、基板40とシールリップ41及び支持部42とは多色成形法により互いに一体に成形してもよい。多色成形法とは、インナーシール15の成形用の型に基板40の成形材料を注入し、ついで、基板40が固化しない範囲の時間的な連続性をもってシールリップ41及び支持部42の成形材料を注入するものである。シールリップ41及び支持部42はそれ以外の接合方法、例えば接着や溶着により基板40と一体化してもよい。シールリップ41と支持部42とは異なる弾性材料で形成してもよい。その場合には、支持部42をシールリップ41の材料よりも弾性係数の低い材料にて成形すれば、さらに簡単に支持部42の弾性を低下させることができる。特に、支持部42は移動体12との間で摩擦を生じないのでシールリップ41のような耐摩耗性が要求されない。この点を考慮して、シールリップ41とは異なる材料で支持部42を構成してもよい。
【0030】本発明の支持手段は、ばねその他の弾性構造によって構成することもできる。支持手段はインナーシールに固着したものに限定されず、移動体に固定してもよい。例えば、図9に示すように、移動体12のインナーシール15との対向面12aに凹部12bを設け、そこにシールリップ41よりも上下方向のばね定数が小さいコイルばね50等の支持手段を装着してインナーシール15を支持してもよい。転動体はローラに限らずボールでもよい。
【0031】また、リップ状の支持部42に代え、例えば図10に示す突起状の支持部42Aを設けてもよい。このような支持部42Aでも、シールリップ41よりもばね定数が小さければシールリップ41の接触圧を下げることができる。なお、支持部42Aは先端に向かうほど細くなるテーパ状に形成されているが、テーパを有しない幅一定の断面に形成してもよい。
【0032】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の運動案内装置によれば、インナーシールが装着される隙間の変化を相殺するように支持手段を弾性変形させてシールリップに加わる接触圧を適正範囲に維持することができるので、シール抵抗を常に小さく維持でき、シールリップの早期摩耗や発熱による品質劣化を防止できる。支持手段の個数や形状を変えることによって支持手段の弾性変形に対する復元力を調整してシールリップの接触圧を自由に変えることもできる。また、本発明のインナーシールによれば、軌道部材と移動体との間にこれを装着するだけで本発明の運動案内装置を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る転がり案内装置の要部を模式的に示す断面図であって、(a),(b)は軌道部材にプレートカバーが装着された場合を、(b)はプレートカバーが省略された場合をそれぞれ示す。
【図2】図1の案内装置で使用されるインナーシールの斜視図であって、(a)は下面側を、(b)は上面側をそれぞれ示す。
【図3】図2のインナーシールの詳細を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図4】図3のインナーシールのさらに詳細を示す図で、(a)は基板の平面図、(b)は基板にシールリップおよび支持部がそれぞれ成形された状態の平面図。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図。
【図6】本発明の一実施形態の転がり案内装置の全体構成を示す図。
【図7】移動体の両端に取り付けられるエンドプレートの内側(ブロック本体への取付面側)の形状を示す図。
【図8】インナーシールの両端部とエンドプレートとの嵌合部分を示す図。
【図9】支持手段を移動体側に取り付けた他の実施形態を示す図。
【図10】図5の変形例を示す図。
【符号の説明】
10 案内装置
11 軌道部材
11d 転走面
12 移動体
14 プレートカバー
15 インナーシール
16 ローラ(転動体)
20 ブロック本体
20b 転走面
23 エンドプレート
40 基板
41 シールリップ
42,42A 支持部(支持手段)
50 コイルばね(支持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 軌道部材と、前記軌道部材に対して該軌道部材の長手方向に相対的に移動可能な状態で組み付けられる移動体と、前記軌道部材と前記移動体との間に介在される多数の転動体と、前記軌道部材に対して前記移動体と一体的に移動可能な状態で前記軌道部材と前記移動体との間に介在され、前記軌道部材との対向面側には、前記転動体の負荷転走路を外部に対して密封するためのシールリップが前記長手方向に沿って設けられたインナーシールとを備えた運動案内装置において、前記インナーシールと前記移動体との間には、前記シールリップよりもばね定数が小さい支持手段が設けられていることを特徴とする運動案内装置。
【請求項2】 前記インナーシールは、基板と、前記基板の前記軌道部材との対向面側に固着されたシールリップと、前記基板の前記移動体との対向面側に固着された弾性材料製の支持部とを具備し、前記支持部のばね定数が前記シールリップのばね定数よりも小さく設定されて該支持部が前記支持手段として機能することを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
【請求項3】 前記シールリップと前記支持部とは、前記基板をインサートとする成形法により前記基板に一体に固着されていることを特徴とする請求項2に記載の運動案内装置。
【請求項4】 前記シールリップおよび前記支持部と前記基板とが、異種材料を連続的に金型内に注入して一体化する多色成形法により相互に一体に成形されていることを特徴とする請求項2に記載の運動案内装置。
【請求項5】 前記シールリップと前記支持部とが同一の弾性材料から成形されていることを特徴とする請求項3または4に記載の運動案内装置。
【請求項6】 前記支持部が突起状または前記シールリップよりも薄いリップ状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の運動案内装置。
【請求項7】 前記支持部が前記シールリップよりも前記基板側に倒れていることを特徴とする請求項5又は6に記載の運動案内装置。
【請求項8】 前記支持部が前記長手方向に分散して複数設けられていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の運動案内装置。
【請求項9】 前記移動体がブロック本体と、そのブロック本体の前記長手方向両端に装着されるエンドプレートとを具備し、前記インナーシールの長手方向両端部は、前記移動体と前記軌道部材とが対向する方向に遊動可能な状態で前記エンドプレートにはめ込まれていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の運動案内装置。
【請求項10】 運動案内装置の軌道部材と移動体との間に装着される基板と、前記基板の前記軌道部材との対向面側に固着され、前記軌道部材と前記移動体と間に挟まれた転動体の負荷転走路を外部に対して密封するように前記軌道部材の長手方向に延びたシールリップと、前記基板の前記移動体との対向面側に固着された弾性材料製の支持部とを具備し、前記支持部のばね定数が前記シールリップのばね定数よりも小さく設定されていることを特徴とする運動案内装置用のインナーシール。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−227538(P2001−227538A)
【公開日】平成13年8月24日(2001.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−46755(P2000−46755)
【出願日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願人】(390029805)テイエチケー株式会社 (420)
【Fターム(参考)】