説明

運転支援装置

【課題】車両周辺の歩行者の存在を検出してその旨を運転者に報知する車両の運転支援装置において、確実に報知を行いつつ、無駄な報知を低減することを目的とする。
【解決手段】衝突回避装置1においては、携帯電話50から発信された電波を受信し、受信した信号の信号強度Sに基づいて端末所持者の存在を検出する。また、車両の各部から取得した自車両の車速V、ブレーキペダルの操作の有無に基づいて、運転者に対して端末所持者の存在を報知すべきか否かを判定する。そして、端末所持者の存在が検出され、且つ、端末所持者の存在を報知すべきであると判定すると、車内報知部16を介して端末所持者の存在を運転者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺の歩行者の存在を検出してその旨を運転者に報知する車両の運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両周辺の歩行者や自転車等の存在を検出し、その旨を運転者に報知する運転支援装置が知られており、例えば、車両の前方に赤外線を射出して、赤外線カメラにて撮像した映像の赤外線強度に基づいて歩行者の存在を検出するように構成されたものがある。しかし、このような装置においては、赤外線カメラの撮像範囲外(例えば、車両の側方や後方)の歩行者を検出することができず、適切に報知できないという問題があった。
【0003】
そこで、携帯電話や専用の発信機等の携帯端末にて発信される電波を受信可能な受信装置を車両に設け、歩行者が所持する携帯端末から発信される電波を受信装置にて受信し、受信結果を監視することで、車両の周辺に存在する歩行者を、確実に検出するように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2005−148815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記提案の装置においては、受信装置にて受信された電波の電界強度が予め設定されたしきい値より大きいか否かを判断し、電界強度がしきい値よりも大きい場合に、携帯端末を所持した歩行者が車両の周辺に存在すると判定し、運転者にその旨を報知するようにしている。このため、例えば、運転者が既に歩行者の存在に気づいて、車両のスピードを落としており、報知の必要が無い場合にも報知されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、車両周辺の歩行者の存在を検出してその旨を運転者に報知する車両の運転支援装置において、確実に報知を行いつつ、無駄な報知を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の運転支援装置は、車両に搭載され、車両の周辺における携帯通信端末を所持する端末所持者の存在を検出し、その旨を運転者に報知するものであり、受信手段が、携帯通信端末から発信された電波を受信し、受信手段にて受信した受信電波の電波強度に基づいて、存在検出手段が、端末所持者の存在を検出する。また、車速取得手段が、自車両の車速の情報を取得し、ブレーキ状態取得手段が、ブレーキペダルの操作の有無を示すブレーキ操作情報を取得する。
【0007】
そして、車速取得手段により取得された車速、及び、ブレーキ状態取得手段にて取得されたブレーキ操作情報を判定用のパラメータとして、報知要否判定手段が、運転者に対して端末所持者の存在を報知すべきか否かを判定し、存在検出手段により端末所持者の存在が検出され、且つ、報知要否判定手段にて報知すべきであると判定されると、報知手段は、端末所持者の存在を報知する。
【0008】
このように本発明の運転支援装置においては、携帯通信端末から発信された電波を受信し、受信した電波強度に基づいて端末所持者の存在を検出しているので、車両の周辺に存在する端末所持者(つまり、歩行者や自転車に乗車している者等)を確実に検出できる。
また、自車両の車速とブレーキ操作の有無に基づいて報知すべきか否かを判定しているので、例えば、運転者がブレーキ操作をしており、車両の速度が予め設定された判定値を下回るような場合に、運転者に報知を行わないようにすることができる。従って、本発明の運転支援装置によれば、車両の状態と運転者の操作状態を加味して報知すべきか否かの判定を行うことができ、運転者に対する無駄な報知を低減できる。
【0009】
次に、請求項1に記載の運転支援装置は、請求項2に記載のように、報知手段が、報知要否判定手段にて判定に用いられたパラメータに基づいて報知方法を特定し報知を行うように構成してもよい。このようにすれば、例えば、車速、ブレーキ操作の有無等のパラメータに応じて報知方法を変更することができる。つまり、例えば、車両が停止している場合には、単に注意を促す内容で音声メッセージを出力したり、また、メッセージまたは車両の周辺の画像をモニタに表示することにより報知を行い、一方、車両が高速で走行している場合には危険性が高いことを認識させる内容で、音声メッセージ及び警告音を用いて報知を行うといったことが可能となる。このように、請求項2に記載の運転支援装置によれば、車両や運転者の状態に応じて、報知内容や報知手段といった報知方法が変更されるので、より適切に運転者に端末所持者の有無を報知できる。
【0010】
一方、請求項1または請求項2に記載の運転支援装置においては、請求項3に記載のように、受信手段にて受信した受信電波の電波強度に基づいて、電波強度の変化を検出する強度変化検出手段を設け、報知要否判定手段が、強度変化検出手段にて検出された電波強度の変化を判定用のパラメータの1つとして判定を行うようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、車速及びブレーキ操作の有無に加え、電波強度の変化に基づいて報知すべきか否かを判定するので、例えば、電波強度の値が低下している場合、つまり、車両と端末所持者との距離が広がっている場合には、車両と端末所持者が衝突するおそれはないとして報知を禁止することができ、無駄な報知を低減することができる。
【0012】
また、請求項1〜請求項3の何れかに記載の運転支援装置においては、請求項4に記載のように、車両周辺の画像に基づいて検出された車両周辺の移動体の情報を取得する移動体情報取得手段を設け、報知要否判定手段は、移動体情報取得手段により取得された移動体情報を判定用のパラメータの1つとして判定を行うようにしてもよい。
【0013】
このようにすれば、上述したパラメータに加え、車両周辺の画像に基づいて検出された移動体情報に基づいて報知すべきか否かを判定するので、例えば、歩行者等の移動体の情報により歩行者の存在が認識された場合にのみ報知を行うようにしたり、逆に歩行者の存在が認識されない場合のみに報知を行うようにすることができ、用途に応じてより適切な報知を行うことができる。
【0014】
さらに、請求項4に記載の運転支援装置においては、請求項5に記載のように、運転者の視線方向を示す視線情報を取得する視線情報取得手段と、移動体情報取得手段にて取得された移動体情報及び視線情報取得手段にて取得された視線情報に基づいて、運転者の視線方向が移動体情報に示される移動体の存在する方向と一致しているか否かを判定する視線判定手段と、を設け、報知要否判定手段が、視線判定手段により判定された判定結果を判定用のパラメータの1つとして判定を行うようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、上述したパラメータに加え、運転者の視線方向が画像にて認識された歩行者等の移動体の方向と一致しているか否かに基づいて報知すべきか否かを判定するので、例えば、視線方向が一致している場合、つまり、既に運転者が歩行者に気づいている場合には、報知を行わないようすることができ、より適切に報知を行うことができる。
【0016】
また、請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転支援装置においては、請求項6に記載のように、車速取得手段により取得された車速が、車両の停止を示す値として予め設定された判定値より小さい場合には、報知要否判定手段が、車速のみに基づいて端末所持者の存在を報知すべきか否かを判定するようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、車両の車速が、車両の停止を示す値として設定された判定値より小さい場合、つまり、車両が停止しており、ブレーキ操作の有無を判定する必要がない場合には、判定を行わないので、処理を低減することができる。よって、車両が停止している場合に、車両の停止時に対応した適切な報知をより迅速に実行することができる。
【0018】
次に、請求項1〜請求項6の何れかに記載の運転支援装置は、請求項7に記載のように、周辺車両との間で通信を行うための通信手段を設け、報知要否判定手段が、通信手段を介して周辺車両から取得した端末所持者に関する情報を、判定用のパラメータの1つとして判定を行うようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、自車両の状態に加え、周辺の車両から取得した端末所持者に関する情報(例えば、端末所持者の存在、端末所持者の位置、移動方向等)に基づいて、報知すべきか否かを判定するので、より適切に報知を行うことができる。
【0020】
また、請求項7に記載の運転支援装置は、請求項8に記載のように、存在検出手段により端末所持者の存在が検出され、且つ、報知要否判定手段にて報知すべき状況であると判定されると、通知手段が、存在検出手段にて検出された端末所持者の情報を、通信手段を介して周辺車両に通知するようにしてもよく、このようにすれば、周辺の車両に対して、自車両にて検出した端末所持者の情報を提供できる。
【0021】
さらに、請求項8に記載の運転支援装置は、請求項9に記載のように、自車両の現在位置を示す情報を取得する位置取得手段を設け、通知手段が、端末所持者の情報として、少なくとも端末所持者の存在と共に、位置取得手段にて取得された自車両の現在位置を示す情報を、通信手段を介して周辺車両に通知するようにしてもよい。このようにすれば、周辺の車両に対して、端末所持者の存在及び送信元の車両の現在位置が通知されるので、端末所持者の情報を取得した運転支援装置においては、端末所持者の存在及び送信元の車両の現在位置を取得できるので、送信元の車両の現在位置から特定される端末所持者の位置や方向等の情報に基づいて判定を行うことができる。
【0022】
また、請求項1〜請求項9の何れかに記載の運転支援装置は、請求項10に記載のように、報知手段が、運転者に加えて端末所持者に対しても報知を行うようにしてもよく、このようにすれば、車両の周辺に存在する端末所持者に対して、車両の存在を認識させることができる。
【0023】
一方、請求項1〜請求項10の何れかに記載の運転支援装置は、請求項11に記載のように、存在検出手段により端末所持者の存在が検出され、且つ、報知要否判定手段にて報知すべき状況であると判定されると、ブレーキ制御手段が、車両の速度を減速させるように車両のブレーキを制御するようにしてもよい。
【0024】
このようにすれば、運転者への報知を行うだけでなく、車両の速度が減速されるので、運転者は減速によっても、端末所持者の存在を認識できる。また、端末所持者の存在を報知すべき状況、つまり、端末所持者が車両の周辺に存在し、車両が端末所持者に衝突する可能性がある場合に、車両が自動的に減速されるので、端末所持者との衝突を回避することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の運転支援装置が適用された衝突回避装置1の構成を示すブロック図である。
【0026】
本実施形態の衝突回避装置1は、車両周辺の歩行者や自転車の存在を検出し、その旨を車両の運転者や歩行者に対して報知し、必要に応じて車両を停止させるものであり、図1に示すように、周辺認識部2、視線認識部4、車速センサ6、ブレーキスイッチ8、ナビゲーション装置10、外部通信装置12、車々間通信装置14、車内報知部16、クラクション18、ブレーキECU20、受信機30、制御装置40、を備えている。
【0027】
周辺認識部2は、車両の周辺を撮像できるように車両の前方、後方、側方等に設置された車外カメラ22に接続されており、車外カメラ22にて撮像された撮像画像を画像処理することにより、車両の周辺に存在する移動体(例えば、歩行者、自転車)を認識する。
【0028】
視線認識部4は、運転者の顔を撮像できるように車両の内部に設置された車内カメラ24にて撮像された撮像画像を画像処理することによって運転者の視線(注視点の位置)を検出する。なお、撮像画像を画像処理することによって移動体を認識したり、運転者の視線を検出する処理については周知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0029】
車速センサ6は、検出された信号に基づいて自車両の速度を検出する。ブレーキスイッチ8は、ブレーキペダルの踏み込みの有無を検出する。
ナビゲーション装置10は、画像や音声で目的地までの経路案内等を行う周知の装置である。GPS受信機26、車速センサ6、図示しないジャイロスコープ等による検出結果に基づいて、自車両の現在位置を検出して検出した現在位置に応じて記憶媒体から地図情報を読み出し、さらに、地図情報に自車両の現在地を重ねた地図画像を生成してモニタ(図示なし)に表示したり、音声案内をスピーカ(図示なし)から出力する。なお、ナビゲーション装置10は周知技術であるので、詳細については省略する。
【0030】
外部通信装置12は、車両外部の装置と無線通信を行うためのものであり、例えば、電話の交換機に接続された所定の外部装置との間で通信を行い、ナビゲーション装置10にて検出された自車両の現在位置を、報知指令と共に外部装置に送信する。なお、この外部装置は、外部通信装置12から、車両の現在位置と報知指令とを受信した場合に、受信した車両の現在位置と、交換機に記憶された携帯電話の位置情報と、に基づいて、外部通信装置12(つまり、衝突回避装置1)が搭載された車両の周辺にある携帯電話50を特定し、その携帯電話50に電話をかけるように構成されている。
【0031】
車々間通信装置14は、車々間通信を行うためのものであり、車両の周辺に存在する他の車両に搭載された車々間通信装置との間で無線通信を行う。通信方式としては、例えばDSRC、BlueTooth(登録商標)、無線LAN、UWB、ミリ波通信など主に狭域での無線通信方式を採用することが考えられる。なお、この通信エリアに関しては、運転者が目視で確認できるような範囲内の車両からの応答があればよく、例えば半径50m程度の通信エリアとすることが考えられる。もちろん、道路の状況や種別に応じて、より狭い通信エリアとしてもよく、上記以上の広い通信エリアとしてもよい。
【0032】
車内報知部16は、モニタ等の表示装置、及び、スピーカを備えており、制御装置40からの指令を受けて、警告、確認表示等を表示装置に表示したり、スピーカから警告音または音声を出力する。なお、本実施形態においては、ナビゲーション装置10のモニタ及
びスピーカと共用される。クラクション18は、制御装置40からの指令を受けて、車両の周辺に向けて警笛を鳴らす。
【0033】
ブレーキECU20は、操舵角を検出するステアリングセンサや角速度を検出するヨーレートセンサによる検出結果に応じて、ブレーキを制御する。また、ブレーキECU20は、制御装置40から指令を受けると、指令に応じてブレーキを作動させる。
【0034】
受信機30は、携帯通信端末(本実施形態では携帯電話)50から発信される電波を受信可能なアンテナを備え、アンテナにて受信した受信信号の信号強度Sを検出する。なお、携帯電話50は位置情報の登録等を行うために定期的に基地局との間で通信を行っており、通話中でなくても電波が発信されているため、本実施形態では、アンテナにて受信される受信信号の信号強度Sを監視し、信号強度Sが予め設定された判定値を超えたか否かを判断することで、車両の周辺に、携帯電話50を所持する者(以下、端末所持者ともいう)がいるか否かを判断する。
【0035】
制御装置40は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、上記各部を用いて車両の周辺に存在する端末所持者を検出し、車両、運転者及び端末所持者の状況に応じて、運転者及び端末所持者に対して、車両または端末所持者が接近していることを報知し、さらに、状況に応じて車両を停止させる運転支援処理を実行する。
【0036】
以下、制御装置40にて実行される運転支援処理を、図2を用いて説明する。図2は、運転支援処理を示すフローチャートである。
運転支援処理は、イグニッションスイッチがオンされると開始される処理であり、処理が開始されると、S110にて、車速センサ6にて検出された車両の速度(車速V)を取得し、続くS120にて、ブレーキスイッチ8にて検出されたブレーキペダルの踏み込みの有無を示すブレーキ情報を取得する。
【0037】
次に、S130にて、受信機30から受信信号の信号強度Sを取得し、続くS140では、取得した受信信号の信号強度Sに基づいて信号強度Sの時間変化ΔS(=dS/dt)を算出する。そして、S150では、周辺認識部2から、周辺認識部2にて認識された移動体の位置や方向に関する情報を取得し、続くS160では、ナビゲーション装置10にて検出された自車両の現在位置を示す情報を取得する。
【0038】
また、次に、S170では、視線認識部4から、視線認識部4にて検出された運転者の視線方向を取得し、S180にて、自車両の周辺の車両の存在を確認するための信号を、車々間通信装置14を介して周辺に送信し、周辺の車両から送信された応答に基づいて、周辺車両の存在の有無、周辺車両に本実施形態の衝突回避装置1が搭載されているか否か等に関する情報を取得し、S190では、車々間通信装置14を介して取得した情報に基づいて、自車両の周辺に端末所持者に関する情報を送受可能な車両(以下、他車両ともいう)がいるか否かを判断する。
【0039】
そして、他車両がいると判断した場合には(S190:YES)、S200にて他車両から、端末所持者に関する情報を取得して、S210に移行する。一方、他車両がいないと判断した場合には(S190:NO)、情報を取得する処理を行うことなくS210に移行する。次に、S210では、以下に説明する報知制御処理を実行し、報知制御処理を終了すると、再びS110に移行して、上述した各種情報を取得する処理を行う。
【0040】
次に、運転支援処理のS210にて実行される報知制御処理について図3を用いて説明
する。図3は、報知制御処理を示すフローチャートである。
処理が開始されると、まずS310にて、車速Vが予め設定された第1車速判定値K1(例えば、4Km/h)以上か否かを判定し、車速Vが第1車速判定値K1以上であると判断すると(S310:YES)、S320に移行して、S120の処理にて取得したブレーキ情報に基づいて、ブレーキペダルが操作されているか否かを判断する。
【0041】
そして、ブレーキペダルが操作されていると判断した場合には(S320:YES)、S430に移行して、車速Vが予め設定された第2車速判定値K2(例えば、20Km/h)以下であるか否かを判断する。ここで、車速が第2車速判定値K2以下であると判断した場合には(S430:YES)、ブレーキペダルが操作されており、しかも、車両が徐行していることから、もし、端末所持者が存在したとしても、既に運転者は端末所持者の存在に気づいている場合であると判断し、報知することなく当該処理を終了する。また、車速が第2車速判定値K2より大きいと判断した場合には(S430:NO)、ブレーキペダルは操作されているけれども車速が第2車速判定値K2を超えており通常走行していると判断し、S330に移行して、次の処理を行う。
【0042】
一方、S320にて、ブレーキペダルが操作されていないと判断した場合には(S320:NO)、S330に移行して、信号強度Sが、端末所持者が車両の周辺の所定範囲内に存在するか否かを判定するためのしきい値として予め設定された第1強度判定値S1以上か否かを判断する。そして、信号強度Sが予め設定された第1強度判定値S1より小さい場合には(S330:NO)、端末所持者が所定範囲内には存在しないと判断し当該処理を終了する。
【0043】
また、S330にて、信号強度Sが予め設定された第1強度判定値S1以上であると判断した場合には(S330:YES)、信号強度が第1強度判定値S1であることから所定範囲内に端末所持者が存在すると判断してS340に移行し、S340にて、信号強度の時間変化ΔS(以下、強度変化ΔSともいう)が、車両と端末所持者とが近づいている状態であることを判定するためのしきい値として予め設定された第2強度判定値S2以上であるか否かを判断する。
【0044】
そして、強度変化ΔSが、第2強度判定値S2より小さいと判断した場合には(S340:NO)、車両と端末所持者とが離れていく状態であり、危険でないと判断し、報知することなく当該処理を終了する。一方、S340にて、強度変化ΔSが、第2強度判定値S2以上であると判断した場合には(S340:YES)、車両と端末所持者とが近づいていると判断し、S350に移行して、S150の処理にて取得した移動体の方向と、S170の処理にて取得した運転者の視線方向が一致するか否かを判断する。
【0045】
そして、移動体の方向と、運転者の視線方向とが一致したと判断した場合(S350:YES)、つまり、端末所持者が車両の所定範囲内に存在し、且つ、車両が端末所持者に近づいているときに、運転者が端末所持者の方向を見ている場合には、運転者が端末所持者(つまり、移動体)に気づいている状態であると判断し、S360に移行して、運転者に対して改めて注意喚起を行うための音声メッセージ(例えば、「歩行者が接近しています。」等)を、車内報知部16を介して出力し、続くS370では、クラクション18を介して端末所持者に報知する。
【0046】
そして、S380では、S190にて他車両がいると判断されており、しかも、他車両が自車両の後方にいる場合には、後方にいる他車両(以下、後続車ともいう)に対して、端末所持者に関する情報として、自車両の現在位置、進行方向と共に、自車両にて取得した端末所持者の位置、方向、進行方向等を、車々間通信装置14を介して後続車に送信し
、当該処理を終了する。なお、他車両が後方にいるか否かの判断は、他車両から送信されてきた情報に基づいて行ってもよく、また、車外カメラ22にて撮像された画像に基づいて行ってもよい。
【0047】
一方、S350にて、移動体の方向と、運転者の視線の方向とが一致しないと判断した場合(S350:NO)、つまり、端末所持者が車両の所定範囲内に存在し、且つ、車両が端末所持者に近づいているときに、運転者が端末所持者の方向を見ていない場合には、運転者が端末所持者に気づいていない状態であると判断し、S440に移行して、後述するブレーキ制御処理を実行し、ブレーキ制御処理を終了すると当該処理を終了する。
【0048】
また、S310にて、車速Vが第1車速判定値K1より小さい、つまり、車両が停止していると判断した場合には(S310:NO)、S390に移行して、信号強度Sが、車両の停止時において、車両の周辺の所定範囲内に端末所持者が存在するか否かを判定するためのしきい値として予め設定された第1’強度判定値S1’以上か否かを判断する。
【0049】
ここで、本実施形態においては、車両が停止中であるときに、端末所持者が車両の周辺の所定範囲内に存在する場合には、運転者及び端末所持者に対して即座に報知したいという観点から、車両が停止中である場合には、信号強度Sのみを用いて報知を行うか否かを判定している。このため、より確実に報知できるように、例えば、第1’強度判定値S1’は、上記した第1強度判定値S1よりも小さい値を設定してもよい。
【0050】
そして、S390にて、信号強度Sが、第1’強度判定値S1’以上であると判断した場合には(S390:YES)、S400に移行して、注意喚起を行うための音声メッセージ(例えば、「周辺に歩行者がいます。」等)を出力したり、自車両の周辺の画像をモニタに表示したりすることにより、運転者に対して報知を行い、続くS410では、クラクション18にて警笛を鳴らしたり、または、ナビゲーション装置10から取得した自車両の現在位置と、報知指令とを外部通信装置12を介して外部装置に送信し、歩行者の携帯電話50を鳴らすことにより、端末所持者に対して報知を行う。
【0051】
次に、S420では、S380の処理と同様に、S190にて他車両がいると判断されている場合に、端末所持者に関する情報を、他車両のうち自車両の後方に位置する後続車に対して送信し、当該処理を終了する。一方、S390にて、信号強度Sが、第1’強度判定値S1’より小さいと判断した場合には(S390:NO)、端末所持者が所定範囲内には存在しないと判断し当該処理を終了する。
【0052】
次に、報知制御処理のS440の処理にて実行されるブレーキ制御処理について、図4を用いて説明する。図4は、ブレーキ制御処理を示すフローチャートである。
本実施形態のブレーキ制御処理は、端末所持者が車両の所定範囲内に存在し、且つ、車両と端末所持者とが近づいているときに、運転者が端末所持者の方向を見ていないと判断された場合に開始される処理であり、処理が開始されると、まず、S500にて、車内報知部16を介して警告音と共に音声メッセージ(例えば、「歩行者が接近しています。」等)を出力し、続くS510では、クラクション18にて警笛を鳴らすことにより、端末所持者に対して報知を行う。また、S520では、S380の処理と同様に、S190にて他車両がいると判断されている場合に、端末所持者に関する情報を、他車両のうち自車両の後方に位置する後続車に対して送信する。
【0053】
次に、S530では、信号強度Sが、上述した第1強度判定値S1よりも大きな値に設定された第3強度判定値S3以上であるか否かを判断し、信号強度Sが、第3強度判定値S3以上であると判断した場合(S530:YES)、つまり、端末所持者が上記所定範
囲よりもより狭い範囲内に存在し、端末所持者と車両とが非常に近接していると判断した場合には、S540に移行して、強度変化ΔSが、端末所持者と車両とが所定速度以上で接近していることを判定するための判定値として上記第2強度判定値S2よりも値の大きな値に設定された第4強度判定値S4以上であるか否かを判断する。
【0054】
そして、強度変化ΔSが、第4強度判定値S4以上であると判断した場合(S540:YES)、つまり、端末所持者と車両とが非常に近接しており、且つ、所定速度より速い速度で近づいている場合には、S550に移行して、ブレーキECU20にブレーキを制御させるための指令を送信し、ブレーキを作動させる。なお、ここでのブレーキは、運転者が、ブレーキが作動したことを認識できる程度の警報ブレーキとするとよい。
【0055】
そして、続くS560では、クラクション18にて警笛を鳴らすことにより、端末所持者に対して報知し、S570では、S150にて取得した移動体に関する情報に基づいて、車両の前方に移動体(つまり、歩行者や自転車)がいるか否かを判断する。ここで、前方に移動体がない場合、つまり、端末所持者と車両とが非常に近接しており、且つ、非常に速い速度で近づいているにも関わらず、車両の前方の画像に移動体が含まれていない状況である場合とは、例えば、自車両の前方にある交差点で、自車両が走行中の道路と交差する道路上に端末所持者がいるような場合や物影に端末所持者が隠れている場合が考えられ、車両と歩行者とが衝突する可能性が高く、非常に危険な状況が想定される。
【0056】
このため、S570にて、前方に移動体がいないと判断した場合には(S570:NO)、S580に移行して、受信機30にて受信した受信信号の信号強度Sを取得し、続くS590では、取得した受信信号の信号強度Sに基づいて強度変化ΔSを算出し、S600では、算出した強度変化ΔSが、車両と歩行者とが近づく速度が十分に小さくなったこと(例えば、車両または歩行者が停止したこと)を判定するためのしきい値として予め設定された第5強度判定値S5以下か否かを判断する。
【0057】
つまり、S600では、運転者が、警告音や警報ブレーキ等により端末所持者の存在に気づき、車両を停止させたり、端末所持者がクラクションにより車両の存在に気づいて停止したことにより、危険な状況が回避されたか否かを、強度変化ΔSの値にて判断している。
【0058】
そして、S600にて、強度変化ΔSが、第5強度判定値S5より大きいと判断した場合(S600:NO)、つまり、車両と歩行者とが所定速度以上で引き続き接近中であると判断した場合には、S610に移行して、ブレーキECU20にブレーキを制御させるための指令を送信し、ブレーキを作動させ、車両を予め設定された停止時間(例えば、3秒間)停止させる。
【0059】
次に、S620では、車両の速度を急激に上昇させないために予め設定された制限速度K3(例えば、10Km/h)を車両の速度が超えないように所定時間車速を制限する指令を、ブレーキECU20や図示しないエンジンECU等に送信する。そして、S630では、クラクション18にて警笛を鳴らすことにより、再び端末所持者に対して車両に対する注意喚起を行い、当該処理を終了する。
【0060】
一方、S530にて、信号強度Sが、第3強度判定値S3より小さいと判断した場合(S530:NO)、S540にて、強度変化ΔSが、第4強度判定値S4より小さいと判断した場合(S540:NO)、S570にて、前方画像に移動体が存在すると判断した場合(S570:YES)、S600にて、強度変化ΔSが、第5強度判定値S5以下であると判断した場合には(S600:YES)、危険な状況は回避されたと判断し、車両を停止させることなく、当該処理を終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の衝突回避装置1においては、携帯電話50から発信された電波を受信し、受信した信号の信号強度Sに基づいて端末所持者の存在を検出し、また、車両の各部から取得した自車両の車速V、ブレーキペダルの操作の有無に基づいて、運転者に対して端末所持者の存在を報知すべきか否かを判定する。そして、端末所持者の存在が検出され、且つ、端末所持者の存在を報知すべきであると判定すると、車内報知部16を介して端末所持者の存在を運転者に報知する。
【0062】
従って、本実施形態の衝突回避装置1によれば、車両の周辺に存在する端末所持者を確実に検出でき、車両の状態と運転者の操作状態を加味して報知すべきか否かの判定を行うことができるので、端末所持者の存在を運転者に報知すべきか否かを、より適切に判定できる。よって、運転者に対する無駄な報知を低減することができ、運転者が不必要な報知により混乱することを防止できる。
【0063】
また、本実施形態の衝突回避装置1においては、さらに、信号強度の変化(つまり、強度変化ΔS)、車両前方の画像に基づく移動体情報、及び、運転者の視線と移動体の位置とが一致しているか否か等の情報に基づいて、報知を行うか否かを判定している。
【0064】
従って、本実施形態の衝突回避装置1によれば、強度変化ΔSにて、車両と端末所持者とが接近中であるか否かを判定でき、移動体情報にて、端末所持者が運転者に認識される状況にあるか否かを判定でき、また、運転者の視線を用いることで、運転者が端末所持者に気づいているか否かを判定できる。そして、上記各判定を複合して用いているので、車両の周辺に存在する端末所持者の存在を運転者に報知すべきか否かを、より適切に判定できる。
【0065】
一方、本実施形態の衝突回避装置1においては、上述したような車両の各部から取得した情報に基づいて、報知に用いる手段(例えば、運転者に対しては音声メッセージや警告音、モニタへの表示、端末所持者に対しては、クラクション18や携帯電話50)や内容といった報知方法を特定し、運転者だけでなく、端末所持者に対しても報知を行うので、車両、運転者、端末所持者の状況に応じたより適切な報知とすることができ、運転者及び端末所持者は、より確実に状況を認識することができる。
【0066】
また、車速Vが、第1車速判定値K1より小さい場合には、車速Vのみに基づいて端末所持者の存在を報知すべきか否かを判定しているので、車両が停止しており、ブレーキ操作の有無を判定する必要がない場合には、他の情報に基づく判定を行わないので、報知をより迅速に実行することができる。
【0067】
一方、強度変化ΔSが、第4強度判定値S4以上、つまり、端末所持者と車両とが非常に近接しており、且つ、非常に速い速度で近づいている場合には、運転者への報知を行うだけでなく、ブレーキECU20にブレーキを制御させるための指令を送信し、ブレーキを作動させるので、運転者に自車両の減速によっても、端末所持者の存在を認識させることができる。また、特に、前方の画像で移動体が認識されず(つまり、運転者が端末所持者を確認できない状況であり)、運転者及び端末所持者に対して報知したにも関わらず、強度変化ΔSが、第5強度判定値S5より大きいと判断した場合、つまり、車両と歩行者とが引き続き接近中であると判断した場合には、ブレーキECU20を介してブレーキを作動させ、車両を強制的に停止させるので、車両と端末所持者との衝突を回避することも可能となる。
【0068】
なお、本実施形態において、信号強度Sは本発明の電波強度に相当し、強度変化ΔSは本発明の電波強度の変化に相当し、受信機30は本発明の受信手段に相当し、車々間通信
装置14は本発明の通信手段に相当する。また、外部通信装置12、車内報知部16、クラクション18、S360、S370、S400、S410、S500、S510、S560、S630の処理は本発明の報知手段に相当し、S130、S330、S390の処理は本発明の存在検出手段に相当し、S110の処理は本発明の車速取得手段に相当し、S120の処理は本発明のブレーキ状態取得手段に相当し、S140、S590の処理は本発明の強度変化検出手段に相当し、S150の処理は本発明の移動体情報取得手段に相当し、S170の処理は本発明の視線情報取得手段に相当し、S350の処理は本発明の視線判定手段に相当し、S160の処理は本発明の位置取得手段に相当し、S380、S420、S520の処理は本発明の通知手段に相当し、S200、S310、S320、S340、S350、S430、S530、S540、S570、S600の処理は本発明の報知要否判定手段に相当し、ブレーキECU20、S550、S610の処理は本発明のブレーキ制御手段に相当する。
【0069】
ところで、上記実施形態では、他車両に対して端末所持者に関する情報を送信するように構成したが、他車両から送信されてきた端末所持者に関する情報を、報知を行うか否かの判定に用いるようにしてもよい。以下、他車両から送信されてきた端末所持者に関する情報を判定に用いた変形例の衝突回避装置1について、図5を用いて説明する。図5は、変形例の衝突回避装置1にて実行される報知制御処理を示すフローチャートである。ただし、変形例の報知制御処理は、上述した報知制御処理とほぼ同様であるので、同様の部分は同じステップ番号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
S320にてブレーキペダルが操作されていないと判断した場合(S320:NO)、または、S430にて車速が第2車速判定値K2より大きいと判断した場合には(S420:NO)、S710に移行して、他車両から端末所持者に関する情報(例えば、他車両の現在位置と、他車両にて取得された端末所持者の位置、方向)を取得したか否かを判断し、他車両からの情報を取得したと判断した場合には(S710:YES)、S720に移行して、他車両から取得した情報と、S130〜S150の処理にて取得した信号強度S、強度変化ΔSにて示される端末所持者の有無及び接近状況、端末所持者の位置や方向に関する情報と、に基づいて、端末所持者の情報が他車両から受信した情報と一致しているか否かを判断する。そして、一致していないと判断した場合(S720:NO)には、S730に移行して、警告音または音声メッセージ等により、車内報知部16を介して車両の周辺に端末所持者が存在すること運転者に報知し、当該処理を終了する。
【0071】
一方、S710にて、他車両からの情報を取得していないと判断した場合(S710:NO)、S720にて、端末所持者の情報が他車両から受信した情報と一致していると判断した場合(S720:YES)は、S330に移行して、S330からの処理を実行する。
【0072】
つまり、変形例の報知制御処理においては、既に他車両にて報知が行われた端末所持者に関する情報を受信したものの、その情報が自車で取得した情報と一致しない、つまり、他車両にて報知が行われているにも関わらず、その端末所持者が自車にて認識されていない場合には、即座に報知を行い、自車でも認識されている場合には、自車で報知すべきか否かを判定してから報知を行うようにしている。
【0073】
以上説明したように、変形例の衝突回避装置1においては、周辺の車両との間で通信を行うための外部通信装置12を用いて、衝突回避装置1を有する周辺車両(つまり、他車両)から端末所持者に関する情報を取得し、取得した端末所持者の情報を、報知すべきか否かの判定に用いている。よって、変形例の衝突回避装置1によれば、自車両の状態に加え、他車両から取得した端末所持者に関する情報(例えば、端末所持者の存在の有無、端末所持者の位置、移動方向等)に基づいて、報知すべきか否かを判断しているので、運転
者に対してより適切に、端末所持者の存在を報知することができる。
【0074】
また、運転者や端末所持者に対する報知を行った後に、取得した端末所持者の位置や方向を、ナビゲーション装置10から取得した自車両の現在位置と共に、端末所持者に関する情報として外部通信装置12を介して他車両に送信するようにしているので、他車両に対して、自車両にて検出した端末所持者に関する情報を提供できる。
【0075】
なお、本変形例において、S710、S720の処理は本発明の報知要否判定手段に相当し、S730の処理は本発明の報知手段に相当する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0076】
上記実施形態においては、運転支援処理の最初に、報知すべきか否かを判定するための情報を全て取得した後に、判定を開始するように構成したが、必ずしもこのようにする必要はなく、情報を取得しつつ判定を行うように構成してもよい。
【0077】
また、上記実施形態においては、車両の周辺に存在する端末所持者を報知すべき対象としており、例えば、端末所持者が車両に乗車している場合にも報知が行われる可能性がある。そのような場合には、例えば、車外カメラ22にて撮像された周辺画像を用いて、移動体が車両に乗車しているか否かを認識し、移動体が車両に乗車している場合には報知しないようにしてもよい。また、例えば、自車両の速度Vに対応して変化する強度変化ΔSの上限の判定値を設け、強度変化ΔSが上限の判定値を超えた場合に、報知を行わないようにすることで、走行中の車両に乗車した端末所持者を報知すべき対象から外すようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、他車両がいるか否かを、車々間通信装置14を用いて他車両と通信を行うことにより判定したが、車外カメラ22にて撮像された周辺画像に基づいて、他車両がいるか否かを判定してもよい。また、歩行者に対する報知は、必ずしも上記実施形態のように行う必要はなく、クラクション18による報知と、携帯電話50による報知とを状況に応じて適宜選択すればよい。
【0079】
さらに、上記実施形態においては、携帯通信端末を携帯電話としたが、PDA、その他の携帯端末としてもよく、専用の発信機としてもよい。一方、上記実施形態においては、本発明の運転支援装置を、衝突回避装置1としたが、本発明の運転支援装置は、エンジンECU、ブレーキECU等の他の制御を行うECUの一部として構成してもよい。また、上記実施形態においては、受信手段を受信機30としたが、運転者が所持し、所定の通信手段(例えば、BlueTooth(登録商標)等)で車載LANと通信可能な携帯電話を受信手段、つまり、運転支援装置の一部として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態の衝突回避装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の運転支援処理を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態の報知制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態のブレーキ制御処理を示すフローチャートである。
【図5】変形例の報知制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1…衝突回避装置、2…周辺認識部、4…視線認識部、6…車速センサ、8…ブレーキスイッチ、10…ナビゲーション装置、12…外部通信装置、14…車々間通信装置、16
…車内報知部、18…クラクション、20…ブレーキECU22…車外カメラ、24…車内カメラ、26…GPS受信機、30…受信機、40…制御装置、50…携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車両の周辺における携帯通信端末を所持する端末所持者の存在を検出し、その旨を運転者に報知する車両の運転支援装置であって、
前記携帯通信端末から発信された電波を受信する受信手段と、
該受信手段にて受信した受信電波の電波強度に基づいて、前記端末所持者の存在を検出する存在検出手段と、
自車両の車速の情報を取得する車速取得手段と、
ブレーキペダルの操作の有無を示すブレーキ操作情報を取得するブレーキ状態取得手段と、
前記車速取得手段により取得された車速、及び、前記ブレーキ状態取得手段にて取得されたブレーキ操作情報を判定用のパラメータとして、運転者に前記端末所持者の存在を報知すべきか否かを判定する報知要否判定手段と、
前記存在検出手段により前記端末所持者の存在が検出され、且つ、前記報知要否判定手段にて報知すべきであると判定されると、前記端末所持者の存在を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記報知要否判定手段にて判定に用いられたパラメータに基づいて、報知方法を特定し、報知を行うことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記受信手段にて受信した受信電波の電波強度に基づいて、該電波強度の変化を検出する強度変化検出手段を備え、
前記報知要否判定手段は、前記強度変化検出手段にて検出された電波強度の変化を判定用のパラメータの1つとして判定を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
車両周辺の画像に基づいて検出された車両周辺の移動体の情報を取得する移動体情報取得手段を備え、
前記報知要否判定手段は、前記移動体情報取得手段により取得された移動体情報を判定用のパラメータの1つとして判定を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項5】
運転者の視線方向を示す視線情報を取得する視線情報取得手段と、
前記移動体情報取得手段にて取得された移動体情報と、前記視線情報取得手段にて取得された視線情報と、に基づいて、運転者の視線方向が前記移動体情報に示される移動体の存在する方向と一致しているか否かを判定する視線判定手段と、
を備え、
前記報知要否判定手段は、前記視線判定手段により判定された判定結果を判定用のパラメータの1つとして判定を行うことを特徴とする請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記報知要否判定手段は、前記車速取得手段により取得された車速が、車両の停止を示す値として予め設定された判定値より小さい場合には、前記車速のみに基づいて前記端末所持者の存在を報知すべきか否かを判定することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項7】
周辺車両との間で通信を行うための通信手段を備え、
前記報知要否判定手段は、前記通信手段を介して前記周辺車両から取得した前記端末所持者に関する情報を、判定用のパラメータの1つとして判定を行うことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記存在検出手段により前記端末所持者の存在が検出され、且つ、前記報知要否判定手段にて報知すべき状況であると判定されると、前記存在検出手段にて検出された端末所持者の情報を、前記通信手段を介して周辺車両に通知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の運転支援装置。
【請求項9】
自車両の現在位置を示す情報を取得する位置取得手段を備え、
前記通知手段は、前記端末所持者の情報として、少なくとも端末所持者の存在と共に、前記位置取得手段にて取得された自車両の現在位置を示す情報を、前記通信手段を介して周辺車両に通知することを特徴とする請求項8に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記報知手段は、運転者に加え、前記端末所持者に対しても報知を行うことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記存在検出手段により前記端末所持者の存在が検出され、且つ、前記報知要否判定手段にて報知すべき状況であると判定されると、車両の速度を減速させるように車両のブレーキを制御するブレーキ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項10の何れかに記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−257582(P2008−257582A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100793(P2007−100793)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】