説明

過剰増殖性障害および血管新生障害の処置に有用なピリドンカルボキサミド誘導体

ピリドンカルボキサミド誘導体、それを含有する医薬組成物ならびにそれを用いて過剰増殖性障害および血管新生障害を処置する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、新規な化合物、このような化合物を含有する医薬組成物ならびに過剰増殖性障害および/または血管新生障害の処置におけるこれらの化合物または組成物の使用に関する。より詳しくは、本発明は、過剰増殖性障害および/または血管新生障害の処置における、単剤としてのまたは他の有効成分、例えば細胞傷害療法と組み合わせた、これらの化合物または組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2.先行技術の記載
進行性の腫瘍が1〜2mm3を超える大きさに成長するのを補助するためには、腫瘍細胞が、線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、細胞外マトリックスタンパク質および可溶性因子からなる支持構造である機能性間質を必要とすることが認められている(Folkman, J., Semin Oncol, 2002, 29(6 Suppl 16), 15-8)。腫瘍は、PDGFおよびトランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)などの可溶性増殖因子の分泌を介して間質組織の形成を誘導し、それらが次に、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)、および血管内皮増殖因子(VEGF)などの宿主細胞による補足因子の分泌を刺激する。これらの刺激因子は、新しい血管の形成すなわち血管新生を誘導し、これが酸素と栄養分を腫瘍にもたらし、腫瘍の増殖を可能にし、転移の経路を提供する。間質形成の阻害に向けられた一部の治療法は、多様な組織種からの上皮腫瘍の増殖を阻害すると考えられている(George, D. Semin Oncol, 2001, 28 (5 Suppl 17), 27-33; Shaheen, R.M., et al., Cancer Res, 2001, 61(4), 1464-8; Shaheen, R.M., et al.,Cancer Res, 1999, 59(21), 5412-6)。しかしながら、血管新生過程および腫瘍進行の複雑な性質およびこれらに関わる増殖因子が多いことから、単一の経路を標的とする薬剤は有効性が限定される。腫瘍が宿主の間質内で血管新生を誘導するために利用するいくつかの鍵となるシグナル伝達経路に対する処置を提供することが望ましい。これらとしては例えば、間質形成の強力な刺激因子であるPDGF(Ostman, A. and CH. Heldin, Adv Cancer Res, 2001, 80, 1-38)、線維芽細胞および内皮細胞の化学誘引物質かつマイトジェンであるFGF、ならびに脈管形成の強力な調節因子であるVEGFが挙げられる。HGF(肝細胞増殖因子)も着目されるさらなるシグナル伝達増殖因子である。
【0003】
PDGFは、間質形成の鍵となる調節因子であり、これは、多くの腫瘍によってパラ分泌形式で分泌され、線維芽細胞、平滑筋および内皮細胞の増殖を促進し、間質形成および血管新生を促進すると考えられている。PDGFは、元々、サル肉腫ウイルスのv−sis癌遺伝子産物として同定された(Heldin, CH., et al., J Cell Sci Suppl, 1985, 3, 65-76)。この増殖因子は、一次アミノ酸配列において60%の相同性を有するA鎖またはB鎖と呼ばれる2つのペプチド鎖から構成される。これらの鎖はジスルフィド架橋により、AA、BBまたはABのホモ二量体もしくはヘテロ二量体のいずれかからなる30kDaの成熟タンパク質を形成する。PDGFは血小板中に高レベルで見られ、内皮細胞および血管平滑筋細胞により発現される。また、PDGFの産生は、脈管形成が不充分な腫瘍組織に見られるものなどの低酸素条件下でアップレギュレーションされる(Kourembanas, S., et al., Kidney Int, 1997, 51(2), 438-43)。PDGFは、高い親和性でPDGF受容体(1106個のアミノ酸の124kDaのトランスメンブランチロシンキナーゼ受容体)に結合する(Heldin, C.H., A. Ostman and L. Ronnstrand, Biochim Biophys Acta, 1998, 1378(1), 79-113)。PDGFRは、そのアミノ酸配列全体にわたって30%の相同性、また、そのキナーゼドメイン間で64%の相同性を有するホモ二量体鎖またはヘテロ二量体鎖として見られる(Heldin, CH., et al., Embo J, 1988, 7(5), 1387-93)。PDGFRは、分断されたキナーゼドメインを有するチロシンキナーゼ受容体ファミリーの一員であり、VEGFR2(KDR)、VEGFR3(Flt4)、c−KitおよびFLT3が含まれる。PDGF受容体は、主に、線維芽細胞、平滑筋細胞および周皮細胞において発現され、それより程度は低いが、ニューロン、腎メサンギウム細胞、ライディッヒ細胞および中枢神経系のシュワン細胞においても発現される。受容体に結合すると、PDGFは、受容体の二量体化を誘導し、チロシン残基の自己リン酸化およびリン酸転移反応を受け、これによりこの受容体のキナーゼ活性が増大し、SH2タンパク質結合ドメインの活性化により下流のエフェクターの補充が促進される。多くのシグナル伝達分子が、PI−3−キナーゼ、ホスホリパーゼC−γ、srcおよびGAP(p21−rasのGTPアーゼ活性化タンパク質)を含む活性化されたPDGFRと複合体を形成する(Soskic, V., et al., Biochemistry, 1999, 38(6), 1757-64)。PDGFは、PI−3−キナーゼの活性化を通じて細胞の運動性および遊走を誘導するRhoシグナル伝達経路を活性化し、またGAPの活性化を通じて、p21−rasおよびMAPKシグナル伝達経路の活性化による有糸分裂誘発を誘導する。
【0004】
成体において、PDGFの主な機能は、創傷治癒を促進し、その速度を増大すること、および血管ホメオスタシスを維持することであると考えられている(Baker, E.A. and D.J. Leaper, Wound Repair Regen, 2000, 8(5), 392-8; Yu, J., A. Moon and H.R.Kim, Biochem Biophys Res Commun, 2001, 282(3), 697-700)。PDGFは血小板に高濃度で見られ、線維芽細胞、平滑筋細胞、好中球およびマクロファージの強力な化学誘引物質である。創傷治癒におけるその役割に加え、PDGFは、血管ホメオスタシスの維持を助けることが知られている。新しい血管の発生中、PDGFは、血管の構造的完全性に必要とされる周皮細胞および平滑筋細胞を補充する。PDGFは、腫瘍の新生血管形成中に、同様の役割を果たすと考えられている。血管新生におけるその役割の一部として、PDGFは、間質液圧を制御し、結合組織細胞と細胞外マトリックスとの相互作用の調節を介して血管の透過性を調節する。PDGFR活性の阻害は、間質液圧を低下させて腫瘍内への細胞毒の流入を促進させ、これらの薬剤の抗腫瘍効力を改善し得る(Pietras, K. et al., Cancer Res, 2002, 62(19), 5476-84; Pietras, K. et al., Cancer Res, 2001, 61(7), 2929-34)。
【0005】
PDGFは、間質細胞または腫瘍細胞上のPDGFR受容体のパラ分泌刺激または自己分泌刺激のいずれかを通じて直接に、または組換えによるこの受容体の増幅もしくはこの受容体の活性化を通じて、腫瘍の増殖を促進し得る。過剰発現されたPDGFは、おそらく間質形成および血管新生の誘導に対するPDGFの直接的作用により、PDGF受容体を発現しない2つの細胞型であるヒト黒色腫細胞およびケラチン生成細胞を形質転換し得る(Forsberg, K., et al., Proc Natl Acad Sci U S A., 1993, 90(2), 393-7; Skobe, M. and N.E. Fusenig, Proc Natl Acad Sci U S A, 1998, 95(3), 1050-5)。腫瘍間質のこのパラ分泌刺激はまた、結腸、肺、乳房および前立腺の癌腫においても観察され(Bhardwaj, B., et al. Clin Cancer Res, 1996, 2(4), 773-82; Nakanishi, K., et al. Mod Pathol, 1997, 10(4), 341-7; Sundberg, C., et al. Am J Pathol, 1997, 151(2), 479-92; Lindmark, G., et al. Lab Invest, 1993, 69(6), 682-9; Vignaud, J.M., et al, Cancer Res, 1994, 54(20), 5455-63)、この場合、腫瘍はPDGFを発現するが、この受容体は発現しない。
【0006】
腫瘍細胞増殖の自己分泌刺激(この場合は、分析された腫瘍の大部分がリガンドPDGFとその受容体の両方を発現する)は、グリア芽細胞腫(Fleming, T.P., et al. Cancer Res, 1992, 52(16), 4550-3)、軟組織肉腫(Wang, J., M.D. Coltrera, and A.M. Gown, Cancer Res, 1994, 54(2), 560-4)ならびに卵巣癌(Henriksen, R., et al. Cancer Res, 1993, 53(19), 4550-4)、前立腺癌(Fudge, K., CY. Wang and M.E. Stearns, Mod Pathol, 1994, 7(5), 549-54)、膵臓癌(Funa, K., et al. Cancer Res, 1990, 50(3), 748-53)および肺癌(Antoniades, H.N., et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1992, 89(9), 3942-6)において報告されている。この受容体のリガンド非依存性の活性化は、それより程度は低いが、慢性骨髄単球性白血病(CMML)でも見られ、そこでは染色体の転座事象がEts様転写因子TELとPDGF受容体との融合タンパク質を形成することが報告されている。また、PDGFRにおける活性化突然変異が、c−Kit活性化が関与していない胃腸間質腫瘍において見出されている(Heinrich, M.C., et al., Science, 2003, 9, 9)。
【0007】
ある種のPDGFR阻害剤は腫瘍間質の発達を妨害し、腫瘍の増殖および転移を阻害すると考えられている。
【0008】
胚発生およびいくつかの血管新生依存性疾患の双方における血管新生および脈管形成のもう1つの主要な調節因子は、血管内皮増殖因子(VEGF;血管透過性因子VPFとも呼ばれる)である。VEGFは、選択的RNAスプライシングによりホモ二量体の形態で存在するマイトジェンのイソ型ファミリーである。このVEGFイソ型は、血管内皮細胞に特異性が高いことが報告されている(総説としては、Farrara et al. Endocr. Rev. 1992, 13, 18; Neufield et al. FASEB J. 1999, 13, 9参照)。
【0009】
VEGFの発現は、低酸素(Shweiki et al. Nature 1992, 359, 843)、ならびにインターロイキン−1、インターロイキン−6、上皮増殖因子およびトランスフォーミング増殖因子などの様々なサイトカインおよび増殖因子によって誘導されることが報告されている。これまで、VEGFおよびVEGFファミリーのメンバーは、3種類のトランスメンブラン受容体チロシンキナーゼ(Mustonen et al. J. Cell Biol., 1995, 129, 895)、VEGF受容体−1(flt−1(fms様チロシンキナーゼ−1)としても知られる)、VEGFR−2(キナーゼインサートドメイン含有受容体(KDR)としても知られる;KDRのマウス類似体は、胎児肝キナーゼ−1(flk−1)として知られる)、およびVEGFR−3(flt−4としても知られる)の1つまたはそれ以上と結合することが報告されている。KDRおよびflt−1は、異なるシグナル伝達特性を有することが示されている(Waltenberger et al. J. Biol. Chem. 1994, 269, 26988); Park et al. Oncogene 1995, 10, 135)。このように、KDRは、無傷の細胞において強いリガンド依存性チロシンリン酸化を受けるが、flt−1は弱い応答を示す。従って、KDRに対する結合は、VEGFにより媒介される生体応答全域の誘導に不可欠な要件であると考えられている。
【0010】
in vivoでは、VEGFは脈管形成に中心的な役割を果たし、血管新生および血管透過性を誘導する。制御を欠いたVEGF発現は、異常な血管新生および/または超透過性過程を特徴とする多くの疾患の発症の原因となる。いくつかの薬剤によるVEGF媒介性シグナル伝達カスケードの調節は、異常な血管新生および/または超透過性過程の制御に有用なモデルを提供し得ると考えられている。
【0011】
血管内皮増殖因子(VEGF、VEGF−C、VEGF−D)およびその受容体(VEGFR2、VEGFR3)は、腫瘍血管新生だけでなく、リンパ管新生の鍵となる調節因子でもある。VEGF、VEGF−CおよびVEGF−Dは、ほとんどの腫瘍において、主に腫瘍の増殖期間中、多くの場合、実質的に増大したレベルで発現される。VEGF発現は、低酸素、サイトカイン、rasなどの癌遺伝子によって、または腫瘍抑制遺伝子の不活化によって刺激される(McMahon, G. Oncologist 2000, 5 (Suppl. 1), 3-10; McDonald, N.Q.; Hendrickson, W.A. Cell 1993, 73, 421-424)。
【0012】
VEGFの生物学的活性は、その受容体に対する結合によって媒介される。VEGFR3(Flt−4とも呼ばれる)は、主として正常な成体組織のリンパ内皮において発現され、VEGFR3機能は、新しいリンパ管形成に必要とされるが、既存のリンパ管の維持には必要とされないと考えられている。VEGFR3はまた、腫瘍の血管内皮においてアップレギュレーションされる。最近、VEGFR3のリガンドであるVEGF−CおよびVEGF−Dが、哺乳類におけるリンパ管新生の調節因子として同定された。腫瘍関連リンパ管新生因子によって誘導されるリンパ管新生は、腫瘍内への新しい管の成長を促進し、腫瘍細胞の全身循環への接近手段をもたらし得る。リンパ管に浸潤した細胞は、胸管を介して血流内への侵入路を見出し得る。腫瘍発現の研究により、VEGF−C、VEGF−DおよびVEGFR3の発現と、原発腫瘍の拡散能に直接関連する臨床病理学的要因(例えば、リンパ節の関与、リンパ管浸潤、二次転移および無疾患生存)との直接的比較が可能になっている。多くの例において、これらの研究で、リンパ管新生因子の発現と原発固形腫瘍の転移能との間に統計学的相関が示されている(Skobe, M. et al. Nature Med. 2001, 7(2), 192-198 ;Stacker, S.A. et al., Nature Med. 2001, 7(2), 186-191; Makinen, T. et al. Nature Med. 2001, 7(2), 199-205; Mandriota, S.J. et al. EMBO J. 2001, 20(4), 672-82; Karpanen, T. et al. Cancer Res. 2001, 61(5), 1786-90; Kubo, H. et al. Blood 2000, 96(2), 546-53)。
【0013】
低酸素は、悪性細胞におけるVEGF産生に対する重要な刺激であると思われる。p38MAPキナーゼの活性化が、低酸素に応答した腫瘍細胞によるVEGF誘導に必要とされる(Blaschke, F. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2002, 296, 890-896; Shemirani, B. et al. Oral Oncology 2002, 38, 251-257)。VEGF分泌の調節を通じた血管新生における関与に加え、p38MAPキナーゼは、悪性細胞の浸潤、ならびにコラゲナーゼ活性およびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子の発現の調節を通じて、種々の腫瘍種の遊走を促進する(Laferriere, J. et al. J. Biol. Chem. 2001, 276, 33762-33772; Westermarck, J. et al. Cancer Res. 2000, 60, 7156-7162; Huang, S. et al. J. Biol. Chem. 2000, 275, 12266-12272; Simon, C. et al. Exp. Cell Res. 2001, 271, 344-355)。
【0014】
受容体チロシンキナーゼファミリーの一員である原癌遺伝子c−Metは、140kDaの膜貫通β鎖と50kDaの細胞外α鎖からなるヘテロ二量体複合体をコードしている。このヘテロ二量体複合体は肝細胞増殖因子(HGF)または散乱因子(SF)に対する高親和性受容体として働く。c−Met/HGFシグナル伝達は正常な哺乳類の発達に必要であり、細胞の増殖、遊走、形態分化および三次元管構造の組織化(例えば、腎管細胞、腺形成など)に特に重要であることが示されている。c−MetおよびHGFは様々な組織で広く発現され、それらの発現は通常、それぞれ上皮起源および間葉起源の細胞に限られている。HGF/c−Metシグナル伝達は種々の組織種の腫瘍の発生および悪性進行に重要な役割を有するという、新たな数系列の動かし難い証拠がある。ヌードマウスにおいてc−MetまたはHGFを異所発現する細胞系統は腫瘍形成性および転移性となるが、c−Metのダウンレギュレーションはそれらの腫瘍形成能を低下させる。HGF依存性自己分泌ループは骨肉腫、横紋筋肉腫および乳癌に関連することが見出されている(Trusolino and Comoglio, Nat Rev Cancer, 2002, 2, 289-300)。c−MetまたはHGFトランスジェニックマウスは転移性腫瘍を発症する(Wang, R. et al., J. Cell Biol. 2001, 153, 1023-1034; Takayama et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 1997, 94, 701-706)。c−Metの過剰発現は多くの種類の固形腫瘍で見られており、予後の不良と相関している(Birchmeier, et al. Mol. Cell Biol., 2003, 4, 915-925; Christensen, J. and Salgia, R., Can Lett., 2005, 225, 1-26)。c−Metとヒト癌とを関連づける明確な証拠は、遺伝性乳頭腎臓癌を患う患者における生殖細胞系活性化突然変異の同定から得られる(Dharmawardana, et al., Curr. Mol. Med., 2004, 4, 855-868)。最後に、c−Met遺伝子の増幅は多くの胃の腫瘍で見られている(Ponzetto, C. et al., Oncogene. 1991, 6, 553-9)。
【0015】
c−Met/HGFシグナル伝達経路と腫瘍形成および腫瘍進行との間の強い関連のため、様々なグループがいくつかの治療アプローチを採っている。HGF/SF中和抗体(Cao et al., Proc Natl Acad Sci USA 2001, 98, 7443-8)、c−Metアンチセンスオリゴヌクレオチド(Kitamura et al., Br J Cancer 2000, 83: 668-73)、ドミナントネガティブ形態のMetタンパク質(Firon et al., Oncogene 2000, 19, 2386-97; Furge et al., Proc Natl Acad Sci USA 2001, 98, 10722-7)、Met mRNAを標的とするリボザイム(Abounader et al., J Natl Cancer Inst, 1999, 91, 1548-56; Abounader et al., FASEB J 2002, 16, 108-10)、および小分子c−Metチロシンキナーゼ阻害剤(Christensen et al., Cancer Res 2003, 63, 7345-55)が、c−Metの活性化を遮断し、腫瘍の増殖、浸潤および転移を抑制する可能性ある戦略として検討されている。従って、c−Metキナーゼ活性の有効な阻害剤の同定は、種々の癌種の腫瘍増殖を阻害する大きな可能性を持っている。
【0016】
慢性骨髄性白血病(CML)は発癌タンパク質Bcr−Ablによって引き起こされる(Groffen, J. et al., J Cell Physiol Suppl, 1984, 3, 179-191, Sattler, M. and Griffin, J. D., Semin Hematol, 2003, 40, 4-10)。CML患者では、第9染色体と第22染色体の間の相互転座により、CMLの特徴であるフィラデルフィア染色体が形成され(Rowley, J. D., Nature, 1973, 243, 290-293)、この転座の結果、Bcr−Abl融合タンパク質が形成される(Groffen, J. and Heisterkamp, N., Baillieres Clin Haematol, 1987, 1, 983-999)。Ablタンパク質は非受容体型チロシンキナーゼであり、その活性は正常細胞では厳格に調節されている。しかしながら、N末端におけるBcrタンパク質の存在のために、この融合タンパク質は構成的に活性化される。この構成的に活性なタンパク質は骨髄において芽細胞段階を変換し、CMLを生じる(Kelliher, M. A., et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 1990, 87, 6649-6653)。転座に関与する染色体における厳密な破断点に応じて、融合タンパク質の大きさは185〜230kDaまで様々であるが、CMLでは210kDaのタンパク質が最も多い。
【0017】
CML患者を処置するためのBcr−Ablタンパク質の阻害剤としてのイマニチブの開発は、腫瘍学における標的療法分野の先駆けとなった(Capdeville, R., et al., Nat Rev Drug Discov, 2002, 1, 493-502)。初期段階のCML患者は、血液学的レベルおよび細胞遺伝学レベルの双方で90%を超える程度で応答することが見出されている(Deininger, M. et al., Blood, 2005, 105, 2640-2653, Talpaz, M. et al., Blood, 2002, 99, 1928-1937)。しかしながら、長期処置後のほとんどの患者がイマニチブ耐性を生じる(Gorre, M. E. and Sawyers, C. L., Curr Opin Hematol, 2002, 9, 303-307)。これまでに、30を超えるイマニチブ耐性突然変異が患者に見られ、これらの突然変異の大部分がこの融合タンパク質のキナーゼ領域内のサブドメインに限られている。重要なこととしては、3つの突然変異、すなわち、T315I、E255KおよびM351Tは50%を超えるイマニチブ耐性を示す(Deininger, M., Buchdunger, E. and Druker, B. J., Blood, 2005, 105, 2640-2653)。
【0018】
最近、CML患者におけるイマニチブ耐性を克服するため、腫瘍学の領域で多大な努力がなされている。例えば、BMS−354825は、Bcr−AblまたSrcファミリーキナーゼの阻害剤であることが報告されている。細胞系アッセイで試験された15のイマニチブ耐性突然変異のうち、BMS−354825はT315I以外の変異型タンパク質の全てを阻害することが報告されている(Shah, N. P., et al., Science, 2004, 305, 399-401)。化合物AMN−107は、イマチニブよりも20倍高い効力でBcr−Ablキナーゼ活性を阻害することが報告されている。AMN−107は、T315I以外のほとんどのイマニチブ耐性突然変異を阻害することが報告されている。AMN−107はまた、E255K突然変異体に対する生化学アッセイで、より弱い阻害を示す(IC50 400nM)(Weisberg, E., et al., Cancer Cell, 2005, 7, 129-141)。従って、CMLおよびイマチニブ耐性CMLを処置するための新たな療法の、大きな未検討の医学的必要性がある。
【0019】
当該技術分野における進歩にもかかわらず、癌処置および抗癌化合物に対する必要性が依然として存在する。本発明の化合物の有用性は、例えば下記のアッセイにおけるそのin vitro活性によって示すことができる。
【発明の概要】
【0020】
発明の概要
本発明は、式:
【化1】

[式中、
Xは、OおよびSから選択され;
YおよびZは、CHおよびNから独立に選択され;
は、水素、1個またはそれ以上のハロゲン、NRC(O)R、C(O)OR、OC(O)R10、OR11、SR12、シアノ、C(O)NR1516、SONR1516、NR1516、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)、OR11、NR1516、−(CHNR1516(ここで、rは1、2または3である)、−O−(CHNR1516および−NR13−(CHNR1516(ここで、pは2、3または4である)から選択され;
は、水素、1個またはそれ以上のハロゲン、OR11、NR1516および直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(ハロゲンで置換されていることもある)、OR11またはNR1516から選択され;
およびRは、各々独立に、水素、1個またはそれ以上のハロゲン、NRC(O)R、C(O)OR、OC(O)R10、OR11、シアノ、C(O)NR1516、SONR1516、NR1516、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(ハロゲンで置換されていることもある)、OR11、NR1516、−(CHNR1516(ここで、rは1、2または3である)、−O−(CHNR1516および−NR13−(CHNR1516(ここで、pは2、3または4である)から選択され;
は、水素、OR11、NR1516、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)および−(CHNR1516(ここで、rは1、2または3である)から選択され;
は、水素、NRC(O)R、C(O)OR、OC(O)R10、OR11、SR12、C(O)NR1516、SONR1521、NR1516、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)、OR、NR1516、−(CHNR1516(ここで、rは1、2または3である)、−O−(CHNR1516および−NR13−(CHNR1516(ここで、pは2、3または4である)から選択され;
〜R14は、各々独立に、水素、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)、OR11およびNR1516から選択され;
15およびR16は、各々独立に、水素、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)、OR11、NR1718およびR15とR16が一体となって、OまたはNR14を含むこともある5員または6員環を形成している基から選択され;かつ
17およびR18は、各々独立に、水素、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)およびOR11から選択される]
で表される化合物、その薬学上許容される塩、その代謝産物、その溶媒和物、その水和物、そのプロドラッグ、その多形体、ならびにその単離された立体異性体および立体異性体混合物の範囲内にあるものを含むそのジアステレオ異性体を提供する。
【0021】
本発明はまた、上記の1種またはそれ以上の化合物と生理学上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
本発明はさらに、処置を必要とする哺乳類に治療上有効な量の本発明の1種またはそれ以上の化合物を投与することを含む、過剰増殖性障害の処置方法を提供する。
【0023】
本発明はなおさらに、治療の必要な哺乳類に治療上有効な量の本発明の1種またはそれ以上の化合物を投与することを含む、血管新生障害の処置方法を提供する。
【0024】
好ましい実施形態の記載
本発明は次のものを提供する。
(i)式:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

で表される実施例1〜7の化合物を含む、本発明の新規な化合物;
(ii)下記実施例1〜7の化合物またはその薬学上許容される塩、代謝産物、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、多形体およびジアステレオ異性体(単離された立体異性体および立体異性体混合物の双方を含む)およびその組合せを含有する医薬組成物;および
(iii)例えば、過剰増殖性障害および/または血管新生障害などの疾患を処置するための、単剤としてのまたは例えば細胞傷害療法などの他の有効成分と組み合わせた(i)の化合物または(ii)の組成物の使用。
【0025】
実施例1〜7の化合物、その塩、代謝産物、溶媒和物、水和物およびプロドラッグを、多形体およびジアステレオ異性体(単離された立体異性体および立体異性体混合物)およびその組合せを含めて、本明細書では「本発明の化合物」と総称する。
【0026】
本明細書において化合物、塩、多形体、水和物、溶媒和物などの用語の複数形を用いる場合、単一の化合物、塩、多形体、異性体、水和物または溶媒和物なども意味するものとする。
【0027】
本発明の化合物は、所望される種々の置換基の位置および性質に応じて、1個またはそれ以上の不斉中心を含み得る。不斉炭素原子は、(R)配置または(S)配置または(R,S)配置で存在し得る。場合によっては、不斉はまた、所与の結合(例えば、特定の化合物の2つの置換された芳香環を隣接させている中心の結合)の周りで回転が制限されているために存在し得る。環上の置換基はまた、シス形態またはトランス形態のいずれかで存在し得る。このような配置は全て(エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)本発明の範囲内に包含されるものとする。好ましい化合物は、より望ましい生物活性を生じるものである。本発明の化合物の分離された、純粋なまたは部分精製された異性体またはラセミ混合物も本発明の範囲内に包含される。前記異性体の精製および前記異性体混合物の分離は、当技術分野で知られた標準法によって達成することができる。
【0028】
光学異性体は、常法によるラセミ混合物の分離によって、例えば、光学的に活性な酸もしくは塩基を用いたジアステレオ異性体塩の形成、または共有結合性ジアステレオマーの形成によって得ることができる。適当な酸の例としては、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジトルオイル酒石酸および樟脳スルホン酸がある。ジアステレオ異性体の混合物は、当技術分野で知られた方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別晶出により、その物理的および/または化学的違いに基づいてその個々のジアステレオマーに分離することができる。この分離されたジアステレオマー塩から、次に、光学的に活性な塩基または酸が遊離される。光学異性体の分離のための別の方法は、慣例の誘導体化を行いまたは行わずに、エナンチオマーの分離が最大となるように最適に選択したキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルHPLCカラム)の使用を伴う。好適なキラルHPLCカラムは、Diacel製のもの、例えば、とりわけChiracel ODおよびChiracel OJであるが、通常あらゆるものが選択可能である。また、誘導体化を伴うまたは伴わない酵素的分離も有用である。光学的に活性な本発明の化合物は、光学的に活性な出発物質を用いたキラル合成によっても同様に得ることができる。
【0029】
本発明はまた、実施例1〜82の全ての化合物の薬学上許容される塩、共沈殿物、代謝産物、水和物、溶媒和物およびプロドラッグなど、本明細書に開示される化合物の有用な形態に関する。「薬学上許容される塩」とは、本発明の化合物の比較的無毒な無機酸付加塩または有機酸付加塩をさす。例えば、S.M. Berge, et al., "Pharmaceutical Salts," J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19参照。薬学上許容される塩としては、塩基としての機能を果たす主化合物を無機酸または有機酸と反応させて、塩、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、樟脳スルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸の塩を形成させることにより得られるものが挙げられる。
【0030】
また、薬学上許容される塩としては、主化合物が酸としての機能を果たし、適当な塩基と反応して、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよび塩素の塩を形成しているものが挙げられる。当業者には、特許請求される化合物の酸付加塩は、この化合物を適当な無機酸または有機酸と、いくつかの公知の方法のいずれかによって反応させることにより製造可能であることがさらに認識されよう。あるいはまた、アルカリおよびアルカリ土類金属塩が、本発明の化合物を適当な塩基と種々の公知の方法によって反応させることにより製造される。
【0031】
本発明の化合物の代表的な塩としては、通常の無毒な塩および第4級アンモニウム塩が挙げられ、これらは、例えば、無機もしくは有機の酸または塩基から当技術分野で周知の手段により形成される。例えば、このような酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、桂皮酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、イタコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。
【0032】
塩基の塩としては、アルカリ金属塩(例えば、カリウムおよびナトリウムの塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウムの塩など)、ならびに有機塩基(例えば、ジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンなど)とのアンモニウム塩が挙げられる。さらに、塩基性の窒素含有基を、低級アルキルハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物など);ジアルキル硫酸塩(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルおよび硫酸ジブチルなど);ならびに硫酸ジアミル、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、アラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などの薬剤により四級化してもよい。
【0033】
本発明の特定の化合物は、in vivo投与後に切断されて活性な親薬剤と薬理学的に不活性な誘導体形成(官能)基をもたらす不安定な官能基でさらに修飾することができる。このような誘導体は一般にプロドラッグと呼ばれ、例えば、活性剤の物理化学的特性を改変するため、活性剤を特定の組織に標的化するため、活性剤の薬物動態学的特性および薬力学的特性を改変するため、ならびに望ましくない副作用を低減するために使用され得る。
【0034】
本発明のプロドラッグとしては、例えば、本発明の適当な化合物のエステルが挙げられ、十分な耐用性があり、薬学上許容されるエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステルまたはペンチルエステルなどのアルキルエステルがある。フェニル(C1−C)アルキルなどの他のエステルも使用可能であるが、メチルエステルが好ましい。
【0035】
本発明の目的の溶媒和物としては、溶媒分子が固体状態で複合体を形成する化合物の形態のものがあり、限定されるものではないが、例えば、エタノールおよびメタノールが含まれる。水和物は、溶媒が水である場合の、溶媒和物の特定の形態である。
【0036】
プロドラッグを合成するための方法は、この主題に関する以下の総説に記載されている。なお、これらの方法の記載は、出典明示により本明細書の一部とされる。
・Higuchi, T.; Stella, V., eds., Prodrugs As Novel Drug Delivery Systems. ACS Symposium Series. American Chemical Society: Washington, DC (1975).
・Roche, E. B. Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs. American Pharmaceutical Association: Washington, DC (1977).
・Sinkula, A. A.; Yalkowsky, S. H. J Pharm Sci. 1975, 64, 181-210.
・Stella, V. J.; Charman, W. N. Naringrekar, V. H. Drugs 1985, 29, 455-473.
・Bundgaard, H., ed. Design of Prodrugs. Elsevier: New York (1985).
・Stella, V. J.; Himmelstein, K. J. J. Med. Chem. 1980, 23, 1275-1282.
・Han, H-K; Amidon, G. L. AAPS Pharmsci 2000, 2, 1- 11.
・Denny, W. A. Eur. J. Med. Chem. 2001, 36, 577-595.
・Wermuth, C. G. in Wermuth, C. G., ed., The Practice of Medicinal Chemistry Academic Press: San Diego (1996), 697-715.
・Balant, L. P.; Doelker, E. in Wolff, M. E. ed. Burgers Medicinal Chemistry And Drug Discovery John Wiley & Sons: New York (1997), 949-982.
【0037】
本発明の本実施形態で使用する化合物の製造において用いられる特定の方法は、特定の目的化合物によって異なる。特定の置換基の選択などの要素は、本発明の特定の化合物の製造において従うべき経路において一定の役割を果たす。このような要素は、当業者ならば容易に認識されよう。
【0038】
意図する投与経路用の組成物を処方するために適宜使用することができる汎用医薬成分としては、以下のものが挙げられる。
酸性化剤(例としては、限定されるものではないが、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸が挙げられる);
アルカリ化剤(例としては、限定されるものではないが、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロラミンが挙げられる);
吸着剤(例としては、限定されるものではないが、粉末セルロースおよび活性炭が挙げられる);
エアゾール噴射剤(例としては、限定されるものではないが、二酸化炭素、CCl22、F2ClC−CClF2およびCClF3が挙げられる);
空気置換剤(例としては、限定されるものではないが、窒素およびアルゴンが挙げられる);
抗真菌保存剤(例としては、限定されるものではないが、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムが挙げられる);
抗菌性保存剤(例としては、限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀およびチメロサールが挙げられる);
抗酸化剤(例としては、限定されるものではないが、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ヒドロリン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、メタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる);
結合材料(例としては、限定されるものではないが、ブロックポリマー、天然および合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリシロキサンならびにスチレン−ブタジエンコポリマーが挙げられる);
緩衝剤(例としては、限定されるものではないが、メタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム二水和物が挙げられる);
担体(例としては、限定されるものではないが、アカシアシロップ、芳香族シロップ、芳香族エリキシル、チェリーシロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、コーン油、鉱油、ピーナッツ油、ゴマ油、静菌性塩化ナトリウム注射剤および静菌性注射水が挙げられる);
キレート化剤(例としては、限定されるものではないが、エデト酸二ナトリウムおよびエデト酸が挙げられる);
着色剤(例としては、限定されるものではないが、FD&C赤3番、FD&C赤20番、FD&C黄6番、FD&C青2番、D&C緑5番、D&C橙5番、D&C赤8番、カラメルおよび赤酸化鉄が挙げられる);
清澄剤(例としては、限定されるものではないが、ベントナイトが挙げられる);
【0039】
乳化剤(例としては、限定されるものではないが、アカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン50が挙げられる);
カプセル化剤(例としては、限定されるものではないが、ゼラチンおよびセルロースアセテートフタレートが挙げられる);
香味剤(例としては、限定されるものではないが、アニス油、シナモン油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミント油およびバニリンが挙げられる);
保湿剤(例としては、限定されるものではないが、グリセロール、プロピレングリコールおよびソルビトールが挙げられる);
研和剤(例としては、限定されるものではないが、鉱油およびグリセリンが挙げられる);
油(例としては、限定されるものではないが、落花生油、鉱油、オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油および植物油が挙げられる);
軟膏基剤(例としては、限定されるものではないが、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ワセリン、親水性ワセリン、白色軟膏、黄色軟膏、およびローズ水軟膏が挙げられる);
浸透促進剤(経皮送達)(例としては、限定されるものではないが、モノヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール、一価または多価アルコール、飽和または不飽和脂肪アルコール、飽和または不飽和脂肪エステル、飽和または不飽和ジカルボン酸、精油、ホスファチジル誘導体、ケファリン、テルペン、アミド、エーテル、ケトンおよび尿素が挙げられる);
可塑剤(例としては、限定されるものではないが、フタル酸ジエチルおよびグリセロールが挙げられる);
溶媒(例としては、限定されるものではないが、エタノール、コーン油、綿実油、グリセロール、イソプロパノール、鉱油、オレイン酸、ピーナッツ油、精製水、注射水、無菌注射水および無菌潅流水が挙げられる);
硬化剤(例としては、限定されるものではないが、セチルアルコール、セチルエステルワックス、微晶質ワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白蝋および黄蝋が挙げられる);
坐剤用基剤(例としては、限定されるものではないが、ココアバターおよびポリエチレングリコール(混合物)が挙げられる);
界面活性剤(例としては、限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム、ノンオキシノール10、オクトキシノール9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウムおよびモノパルミチン酸ソルビタンが挙げられる);
沈殿防止剤(例としては、限定されるものではないが、寒天、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガカントおよびビーガムが挙げられる);
甘味剤(例としては、限定されるものではないが、アスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトールおよびスクロースが挙げられる);
【0040】
錠剤用固結防止剤(例としては、限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクが挙げられる);
錠剤用結合剤(例としては、限定されるものではないが、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、打錠用糖、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース液、メチルセルロース、非架橋型ポリビニルピロリドンおよびアルファー化デンプンが挙げられる);
錠剤およびカプセル用希釈剤(例としては、限定されるものではないが、第二リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、微晶質セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトールおよびデンプンが挙げられる);
錠剤用コーティング剤(例としては、限定されるものではないが、グルコース液、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレートおよびセラックが挙げられる);
直接打錠用賦形剤(例としては、限定されるものではないが、第二リン酸カルシウムが挙げられる);
錠剤用崩壊剤(例としては、限定されるものではないが、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微晶質セルロース、ポラクリリンカリウム、架橋型ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプンおよびデンプンが挙げられる);
錠剤用流動促進剤(例としては、限定されるものではないが、コロイド状シリカ、コーンスターチおよびタルクが挙げられる);
錠剤用滑沢剤(例としては、限定されるものではないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸およびステアリン酸亜鉛が挙げられる);
錠剤/カプセル用不透明化剤(例としては、限定されるものではないが、二酸化チタンが挙げられる);
錠剤用研磨剤(例としては、限定されるものではないが、カルナウバ蝋および白蝋が挙げられる);
増粘剤(例としては、限定されるものではないが、蜜蝋、セチルアルコールおよびパラフィンが挙げられる);
等張化剤(例としては、限定されるものではないが、デキストロースおよび塩化ナトリウムが挙げられる);
増粘剤(例としては、限定されるものではないが、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムおよびトラガカントが挙げられる);ならびに
湿潤剤(例としては、限定されるものではないが、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、モノオレイン酸ソルビトール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールおよびステアリン酸ポリオキシエチレンが挙げられる)。
【0041】
本発明の医薬組成物は次のように例示することができる。
無菌溶液
本発明の所望の化合物の5mg/mL溶液は、無菌注射水を用いて作製することができ、必要であればpHを調整する。この溶液を、投与のため無菌5%デキストロースで1〜2mg/mLに希釈し、IV注入液として約60分にわたって投与する。
【0042】
投与用凍結乾燥粉末
無菌調製物は、(i)凍結乾燥粉末としての本発明の所望の化合物100〜1000mg、(ii)32〜327mg/mLのクエン酸ナトリウムおよび(iii)300〜3000mgのデキストラン40を用いて調製することができる。この製剤を、無菌注射用生理食塩水またはデキストロース5%を用いて10〜20mg/mLの濃度に再構成し、これを、生理食塩水またはデキストロース5%でさらに希釈して0.2〜0.4mg/mLとし、IVボーラスまたは15〜60分にわたるIV注入によって投与する。
【0043】
筋肉内懸濁液
以下の溶液または懸濁液を筋肉内注射用に調製することができる。
50mg/mLの本発明の所望の水不溶性化合物
5mg/mLのカルボキシメチルセルロースナトリウム
4mg/mLのTWEEN80
9mg/mLの塩化ナトリウム
9mg/mLのベンジルアルコール
【0044】
硬カプセル剤
標準的な二つ割りゼラチン硬カプセルに各100mgの粉末有効成分、150mgのラクトース、50mgのセルロースおよび6mgのステアリン酸マグネシウムを充填することにより多数の単位カプセル剤が調製される。
【0045】
ゼラチン軟カプセル剤
ダイズ油、綿実油またはオリーブ油などの食用油中、有効成分の混合物を調製し、容積移送式ポンプにより融解ゼラチン内に注入し、100mgの有効成分を含有するゼラチン軟カプセルを形成する。これらのカプセルを洗浄し、乾燥させる。有効成分は、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびソルビトールの混合物中に溶解させ、水混和性薬剤混合物を調製することができる。
【0046】
錠剤
投与単位が100mgの有効成分、0.2mgのコロイド状二酸化ケイ素、5mgのステアリン酸マグネシウム、275mgの微晶質セルロース、11mgのデンプンおよび98.8mgのラクトースとなるように、常法によって多数の錠剤が調製される。嗜好性を向上させるため、精密さと安定性を改善するため、または吸収を遅延させるために、適当な水性および非水性コーティングを施してもよい。
【0047】
即放性錠剤/カプセル剤
これらは、従来法および新規な方法によって製造される固形経口形である。これらの単位は、経口で、即時溶解および薬剤送達のための水なしで摂取される。有効成分を糖、ゼラチン、ペクチンおよび甘味剤などの成分を含有する液体中に混合する。このような液体を、凍結乾燥および固相抽出法によって固化させて固形錠剤またはカプレットとする。これらの薬物化合物を、水の必要のない即時放出を意図する多孔質マトリックスが得られるように、粘弾性かつ熱弾性の糖およびポリマーまたは発泡成分とともに圧縮すればよい。
【0048】
本発明はまた、過剰増殖性障害を処置する方法を提供する。この方法は、処置を必要とする哺乳類に治療上有効な量の本発明の医薬組成物を投与するステップを含む。
【0049】
本発明はさらに、治療の必要な哺乳類に治療上有効な量の、本明細書の以下に記載される本発明の1種またはそれ以上の化合物を投与することを含む、血管新生障害を処置する方法を提供する。
【0050】
過剰増殖性障害の処置方法
本発明は、哺乳類の過剰増殖性障害を処置するために本発明の化合物およびその組成物を使用する方法に関する。化合物は細胞増殖および/または細胞分裂を阻害する、遮断する、軽減する、低下させる、かつ/あるいはアポトーシスを誘導するために使用することができる。この方法は、この障害を処置するのに有効な量の本発明の化合物(実施例1〜7の化合物またはその薬学上許容される塩、異性体、多形体、代謝産物、水和物、溶媒和物またはエステルなど)を、それを必要とするヒトをはじめとする哺乳類に投与することを含む。過剰増殖性障害としては、限定されるものではないが、例えば、乾癬、ケロイド、ならびに皮膚を侵す他の肥大、良性前立腺肥大(BPH)、固形腫瘍、例えば、乳房、気道、脳、生殖器、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺の癌ならびにその遠隔転移が挙げられる。また、このような障害にはリンパ腫、肉腫および白血病も含まれる。
【0051】
乳癌の例としては、限定されるものではないが、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌または非浸潤性小葉癌が挙げられる。
【0052】
気道癌の例としては、限定されるものではないが、小細胞および非小細胞肺癌、ならびに気管支腺腫または胸膜肺芽腫が挙げられる。
【0053】
脳癌の例としては、限定されるものではないが、脳幹および下垂体神経膠腫、小脳および大脳星状細胞腫、髄芽細胞腫、脳室上衣細胞腫、ならびに神経外胚葉性および松果体腫瘍が挙げられる。
【0054】
男性生殖器の腫瘍としては、限定されるものではないが、前立腺および精巣癌が挙げられる。女性生殖器の腫瘍としては、限定されるものではないが、子宮内膜、子宮頸部、卵巣、膣および外陰部の癌、ならびに子宮の肉腫が挙げられる。
【0055】
消化管の腫瘍としては、限定されるものではないが、肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸および唾液腺の癌が挙げられる。
【0056】
尿路の腫瘍としては、限定されるものではないが、膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、尿管、尿道およびヒト乳頭状腎臓癌が挙げられる。
【0057】
眼の癌としては、限定されるものではないが、眼内黒色腫および網膜芽細胞腫が挙げられる。
【0058】
肝臓癌の例としては、限定されるものではないが、肝細胞癌(線維層状の変化(fibrolamellar variant)を伴うまたは伴わない肝細胞癌)、胆管癌(肝内胆管癌)および混合型肝細胞・胆管癌が挙げられる。
【0059】
皮膚癌としては、限定されるものではないが、扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌および非黒色腫皮膚癌が挙げられる。
【0060】
頭頸部癌としては、限定されるものではないが、喉頭、下咽頭、鼻腔咽頭、口咽頭、口唇および口腔の癌が挙げられる。
【0061】
リンパ腫としては、限定されるものではないが、エイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキン病および中枢神経系のリンパ腫が挙げられる。
【0062】
肉腫としては、限定されるものではないが、軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫が挙げられる。
【0063】
白血病としては、限定されるものではないが、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病およびヘアリー細胞白血病が挙げられる。
【0064】
これらの障害は、ヒトにおいて充分特徴付けられているが、他の哺乳類においても同様の病因で存在し、本発明の医薬組成物を投与することにより処置することができる。
【0065】
本開示を通じて述べられる「処置する」または「処置」とは、慣例的に例えば、癌などの疾病または障害に対抗する、緩和する、軽減する、緩解する、症状を改善するなどを目的とした患者の管理またはケアとして用いられる。
【0066】
血管新生障害の処置方法
本発明はまた、過度なかつ/または異常な血管新生に関連する障害および疾病の処置方法を提供する。
【0067】
血管新生の不適切かつ異所的な発現は生物には有害であり得る。いくつかの病状が系統外の血管の成長に関連している。これらには例えば、糖尿病性網膜症、虚血性網膜静脈閉塞および未熟児網膜症(Aiello et al. New Engl. J. Med. 1994, 331, 1480; Peer et al. Lab. Invest. 1995, 72, 638)、加齢性黄斑変性(AMD; Lopez et al. Invest. Opththalmol. Vis. Sci. 1996, 37, 855参照)、血管新生緑内障、乾癬、水晶体後繊維増殖症、血管繊維腫、炎症、関節リウマチ(RA)、再狭窄、ステント内再狭窄、血管移植再狭窄などが含まれる。さらに、癌組織および新生物組織に関連する血液供給の増加が増殖を促進し、急速な腫瘍拡大および転移をもたらす。また、腫瘍における新たな血管やリンパ管の成長は変性した細胞の漏出経路となり、転移やその結果としての癌の拡散を高める。従って、本発明の化合物は、例えば、血管形成の阻害かつ/または軽減により、内皮細胞または血管新生に関与する他種の増殖の阻害、遮断、軽減、低下などにより、ならびにこのような細胞種の細胞死またはアポトーシスの誘導により、上述の血管新生障害を処置および/または予防するために使用可能である。
【0068】
本発明の化合物および組成物は、例えば、血管形成細胞集団に本発明の化合物を接触させ、血管形成に対するその化合物の効果を判定することによるなど、血管新生活性に関して慣例的に試験することができる。血管を形成し得るいずれの細胞集団でも使用可能である。有用なモデルとしては例えば、in vivoマトリゲル型アッセイ;腫瘍新血管新生アッセイ;CAMアッセイ;BCEアッセイ;細胞遊走アッセイ;HUVEC増殖阻害アッセイ;動物モデル(例えば、無胸腺マウスでの腫瘍増殖、ウサギでの慢性虚血下肢モデル、癌モデルなど);患者に存在する心臓または四肢などのin vivo系(例えば、心筋梗塞を処置するための血管新生療法);側副循環を促進するため、生物工学操作組織への血管の成長を促進するための処置を必要とする宿主、例えば、癌、虚血性症候群、動脈閉塞性疾患などの血管新生関連疾患を患う宿主が挙げられる。
【0069】
細胞としては、例えば、内皮細胞、上皮細胞、筋細胞、胚および成体幹細胞、外胚葉細胞、間葉細胞、内胚葉細胞、新生物細胞、血球、ウシCPAE(CCL−209)細胞、ウシFBHE(CRL−1395)細胞、ヒトHUV−EC−C(CRL−1730)細胞、マウスSVEC4−10EHR1(CRL−2161)細胞、マウスMS1(CRL−2279)細胞、マウスMS1 VEGF(CRL−2460)細胞、幹細胞などが挙げられる。「血管を形成し得る」とは、特定の細胞種を示すものではなく、単にその集団中の細胞が血管を形成するのに適当な条件下にあり得ることを示す。場合によっては、この集団は1を超える細胞種を含む不均質なものであってよく、実際に血管へ分化するのは一部であって、他のものは血管形成のプロセスを開始、維持するためなどに必要とされる。
【0070】
血管新生に対する化合物または組成物の効果を調べるのに有用なモデルは、増殖因子(例えばFGF−1)を添加したマトリゲルなどの再構成基底膜マトリックスを宿主動物に皮下注射すると、そのマトリゲルに内皮細胞が補充され、数日の間に新たな血管が形成するという知見に基づくものである。例えば、Passaniti et al., Lab. Invest., 67:519-528, 1992参照。増殖因子を安定化させ、かつ/またはマトリックスからのその放出を遅くするために、増殖因子をヘパリンまたは他の安定化剤と結合させることができる。また、血管新生プロセスを促進および拡大するために、このマトリゲルに定期的に増殖因子を再注入することもできる。より具体的には、FGF−1を含むマトリゲルプラグインプラントを宿主マウスに皮下移植することができる。FGFの最初のボーラスは内皮細胞をインプラントに引き寄せはするが、新たな血管形成は生じない。約10〜15日後、このインプラントにFGF−1を再注入することができる。このFGF−1はインプラント中に既に存在している内皮細胞を刺激し、血管新生プロセスを誘発する。
【0071】
血管新生を研究するための他の有用な系としては、例えば、腫瘍外植片の新血管形成(例えば、米国特許第5,192,744号、同第6,024,688号)、ニワトリ漿尿膜(CAM)アッセイ(例えば、Taylor and Folkman, Nature, 297:307-312, 1982; Eliceiri et al., J. Cell Biol., 140, 1255-1263, 1998)、ウシ毛細血管内皮(BCE)細胞アッセイ(例えば、米国特許第6,024,688号;Polverini, P. J. et al., Methods Enzymol., 198: 440-450, 1991)、遊走アッセイ、HUVEC(ヒト臍帯血管内皮細胞)増殖阻害アッセイ(例えば、米国特許第6,060,449号)が挙げられる。
【0072】
細胞集団をこの化合物または組成物といずれかの方法で、それが細胞に対して効果を発揮するのに好適な条件下で接触させることができる。化合物が細胞に送達される手段は試験薬の種類、例えばその化学的性質、および細胞集団の性質によって異なり得る。
【0073】
一般に、化合物は細胞集団に接近しなければならず、従って、化合物は、その集団が生理条件を受け得る形態、すなわち、細胞と接触するような形態(またはプロ型)で送達されなければならない。例えば、薬剤を細胞内へ侵入させたい場合には、必要であれば、細胞浸透を容易にする、または促進する手段と結合させることができ、例えば、細胞表面抗原に特異的な抗体または他の試薬、リポソーム、脂質、キレート剤、ターゲティング部分などと結合させることができる。また、細胞に例えばエレクトロポレーション、圧力変動などによって送達を促進するような処理、操作などを行うこともできる。
【0074】
所望の各適応症の処置に関する本発明の化合物の有効用量は、過剰増殖性障害および血管新生障害の処置に有用な化合物を評価するために知られている標準的な実験技術に基づき、標準的な毒性試験により、および哺乳類において上記で定義した症状の処置を判定するための標準的な薬理学的アッセイにより、また、これらの結果をこれらの症状を処置するために用いられる既知の薬剤の結果と比較することにより、容易に決定することができる。これらの症状の1つの処置において投与される有効成分の量は、用いる特定の化合物および投与単位、投与様式、処置期間、処置する患者の年齢および性別、ならびに処置する症状の性質および程度などの考慮によって幅広く変更可能である。
【0075】
投与される有効成分の総量は、一般的に、約0.001mg/kg〜約200mg/kg体重/日、好ましくは約0.01mg/kg〜約20mg/kg体重/日の範囲である。
【0076】
臨床上有用な投与計画は、1日1回〜3回投与から4週間に1回投与の範囲である。また、患者が一定期間の間、薬剤の投与を受けない「休薬期間」は、薬理学的効果と耐容性との全体的なバランスに有益であり得る。単位用量は、約0.5mg〜約1500mgの有効成分を含有してよく、1日1回以上または1日1回未満で投与することができる。
【0077】
静脈注射、筋肉注射、皮下注射および非経口注射などの注射、ならびに輸液法の使用による投与のための平均1日用量は、好ましくは0.01〜200mg/kg全体重である。平均の1日の直腸投与計画は、好ましくは0.01〜200mg/kg全体重である。平均の1日の膣投与計画は、好ましくは0.01〜200mg/kg全体重である。
【0078】
平均の1日の局所投与計画は好ましくは0.1〜200mgであり、1日1〜4回の間で投与される。経皮濃度は、好ましくは、0.01〜200mg/kgの1日量を維持するのに必要とされる濃度である。
【0079】
平均の1日の吸入用量計画は、好ましくは0.01〜100mg/kg全体重である。
【0080】
もちろん、各患者に対する具体的な初期および継続投与計画は、担当診断医によって判定される症状の性質および重篤度、用いる特定の化合物の活性、患者の年齢および健康状態、投与期間、投与経路、薬物の排泄速度、併用薬物などに応じて異なる。
【0081】
当業者ならば従来の治療検査を用い、本発明の化合物またはその薬学上許容される塩もしくはエステルまたは組成物の所望される処置様式および投与回数を確認することができる。
【0082】
よって、本発明は、処置を必要とする哺乳類に治療上有効な量の本発明の1種またはそれ以上の化合物を投与することを含む過剰増殖性障害の処置方法を提供する。
【0083】
本発明の化合物は一般に式:
【化9】

(式中、種々の基は本明細書の上記で定義された通り)
で表される。
【0084】
その薬学上許容される塩、その代謝産物、その溶媒和物、その水和物、そのプロドラッグ、その多形体およびそのジアステレオ異性体(その単離された立体異性体および立体異性体混合物の範囲内にあるものを含む)も本発明に含まれる。
【0085】
本発明の具体的な化合物の例としては実施例1〜7に記載されている化合物、ならびにその塩、代謝産物、溶媒和物、水和物およびプロドラッグ(多形体およびジアステレオ立体異性形(単離された立体異性体および立体異性体混合物の双方)を含む)およびその組合せが含まれる。
【0086】
本発明の化合物は、単独の医薬剤として、またはその併用が許容し得ない有害作用を引き起こさない1種類以上の他の医薬剤と組み合わせて、投与することができる。例えば、本発明の化合物は、既知の抗過剰増殖性または他の適応薬剤など、ならびにその混合物および組合せと組み合わせることができる。
【0087】
本組成物に加えることができる任意の抗過剰増殖薬としては、限定されるものではないが、出典明示により本明細書の一部とされる第11版Merck Index(1996)の化学療法薬計画に挙げられている化合物が含まれ、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、イフォスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンなどがある。
【0088】
本発明の化合物と併用するのに好適な他の抗過剰増殖薬としては、限定されるものではないが、出典明示により本明細書の一部とされるGoodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (Ninth Edition), Molinoff et al.編, McGraw-Hill出版, 1225-1287頁, (1996)の、新生物性疾患の処置に使用が認可されている化合物が含まれ、アミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アザシチジンクラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2',2'−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、リン酸フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチル−L−アスパルテート(PALA)、プリカマイシン、セムスタチン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジンおよびビノレルビンがある。
【0089】
本発明の組成物との併用に好適な他の抗過剰増殖薬としては、限定されるものではないが、エポチロンおよびその誘導体、イリノテカン、ラロキシフェンおよびトポテカンなどの他の抗癌薬が挙げられる。
【0090】
本発明の化合物は、単独の医薬剤として、またはその併用が許容し得ない有害作用を引き起こさない1種類以上の他の医薬剤と組み合わせて、投与することができる。例えば、本発明の化合物は、既知の抗過剰増殖性または他の適応薬剤など、ならびにその混合物および組合せと組み合わせることができる。
【0091】
本組成物に加えることができる任意の抗過剰増殖薬としては、限定されるものではないが、出典明示により本明細書の一部とされる第11版Merck Index(1996)の化学療法薬計画に挙げられている化合物が含まれ、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、イフォスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンなどがある。
【0092】
本発明の化合物と併用するのに好適な他の抗過剰増殖薬としては、限定されるものではないが、出典明示により本明細書の一部とされるGoodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (Ninth Edition), Molinoff et al.編, McGraw-Hill出版, 1225-1287頁, (1996)の、新生物性疾患の処置に使用が認可されている化合物が含まれ、アミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アザシチジンクラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2',2'−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、リン酸フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチル−L−アスパルテート(PALA)、プリカマイシン、セムスタチン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチル-メラミン、ウリジンおよびビノレルビンがある。
【0093】
本発明の組成物との併用に好適な他の抗過剰増殖薬としては、限定されるものではないが、エポチロンおよびその誘導体、イリノテカン、ラロキシフェンおよびトポテカンなどの他の抗癌薬が挙げられる。
【0094】
一般に、本発明の化合物または組成物との組合せにおける細胞傷害薬および/または細胞増殖抑制薬の使用は:
(1)腫瘍増殖の低減、またはさらに腫瘍の排除において、いずれか一方の薬剤の単独投与に比べてより良好な有効性をもたらす、
(2)より少ない投与量での化学療法剤の投与を提供する、
(3)単剤化学療法および特定の他の併用療法で見られるものよりも、患者に充分な耐容性があり、有害な薬理学的合併症が少ない化学療法処置を提供する、
(4)哺乳類、特にヒトにおいて広域の異なる癌種の処置を提供する、
(5)処置患者において、より速い応答速度を提供する、
(6)標準的な化学療法処置に比べ、処置患者においてより長い生存期間を提供する、
(7)腫瘍進行をより長くし、かつ/または他の癌併用薬が拮抗作用をもたらす既知の場合に比べ、単独で使用した薬剤と少なくとも同程度に良好な有効性および耐容性をもたらす、
ために役立つ。
【0095】
本医薬組成物はさらに、付加的抗過剰増殖薬および/または付加的医薬を含み得る。
【0096】
付加的抗過剰増殖薬は、エポチリン(epothiline)またはその誘導体、イリノテカン(irinotecan)、ラロキシフェン(raloxifen)またはトポテカン(topotecan)などの化合物であり得る。付加的医薬は、アルデスロイキン(aldesleukin)、アレンドロン酸(alendronic acid)、アルファフェロン(alfaferone)、アリトレチノイン(alitretinoin)、アロプリノール(allopurinol)、アロプリム(aloprim)、アロキシ(aloxi)、アルトレタミン(altretamine)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アミフォスチン(amifostine)、アムルビシン(amrubicin)、アムサクリン(amsacrine)、アナストロゾール(anastrozole)、アンズメット(anzmet)、アラネスプ(aranesp)、アルグラビン(arglabin)、三酸化ヒ素、アロマシン(aromasin)、5−アザシチジン、アザチオプリン、BCGまたはtice BCG、ベスタチン(bestatin)、酢酸ベタメタゾン(betamethasone acetate)、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン(bexarotene)、硫酸ブレオマイシン(bleomycin sulfate)、ブロクスウリジン(broxuridine)、ボルテゾミブ(bortezomib)、ブスルファン(busulfan)、カルシトニン(calcitonin)、キャンパス(campath)、カペシタビン(capecitabine)、カルボプラチン(carboplatin)、カソデックス(casodex)、セフェソン(cefesone)、セルモロイキン(celmoleukin)、セルビジン(cerubidine)、クロラムブシル(chlorambucil)、シスプラチン(cisplatin)、クラドリビン(cladribine)、クラドリビン(cladribine)、クロドロン酸(clodronic acid)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、シタラビン(cytarabine)、ダカルバジン(dacarbazine)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノキソム(DaunoXome)、デカドロン(decadron)、リン酸デカドロン、デレストロゲン(delestrogen)、デニロイキンディフチトクス(denileukin diftitox)、デポ・メドロール(depo-medrol)、デスロレリン(deslorelin)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、ジエチルスチルベストロール(diethylstilbestrol)、ダイフルカン(diflucan)、ドセタキセル(docetaxel)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ドロナビノール(dronabinol)、DW−166HC、エリガード(eligard)、エリテック(elitek)、エレンス(ellence)、エメンド(emend)、エピルビシン(epirubicin)、エポエチンアルファ(epoetin alfa)、エポジェン(epogen)、エプタプラチン(eptaplatin)、エルガミゾール(ergamisol)、エストレース(estrace)、エストラジオール(estradiol)、リン酸エストラムスチンナトリウム(estramustine phosphate sodium)、エチニルエストラジオール、エチオール(ethyol)、エチドロン酸(etidronic acid)、エトポフォス(etopophos)、エトポシド(etoposide)、ファドロゾール(fadrozole)、ファルストン(farston)、フィルグラスチム(filgrastim)、フィナステリド(finasteride)、フィルグラスチム(fligrastim)、フロクスウリジン(floxuridine)、フルコナゾール(fluconazole)、フルダラビン(fludarabine)、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、5−フルオロウラシル(5−FU)、フルオキシメステロン(fluoxymesterone)、フルタミド(flutamide)、フォルメスタン(formestane)、フォステアビン(fosteabine)、フォテムスチン(fotemustine)、フルベストラント(fulvestrant)、ガンマガード(gammagard)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、グリベック(gleevec)、グリアデル(gliadel)、ゴセレリン(goserelin)、グラニセトロンHCl(granisetron HCl)、ヒストレリン(histrelin)、ハイカムチン(hycamtin)、ハイドロコートン(hydrocortone)、エリスロ−ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、イダルビシン(idarubicin)、イフォスファミド(ifosfamide)、インターフェロンα、インターフェロン−α2、インターフェロンα−2A、インターフェロンα−2B、インターフェロンα−n1、インターフェロンα−n3、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターロイキン−2、イントロンA、イレッサ(iressa)、イリノテカン(irinotecan)、カイトリル(kytril)、硫酸レンチナン(lentinan sulphate)、レトロゾール(letrozole)、ロイコボリン(leucovorin)、ロイプロリド(leuprolide)、酢酸ロイプロリド、レバミゾール(levamisole)、レボフォリン酸カルシウム塩、レボトロイド(levothroid)、レボキシル(levoxyl)、ロムスチン(lomustine)、ロニダミン(lonidamine)、マリノール(marinol)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メコバラミン(mecobalamin)、酢酸メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone acetate)、酢酸メゲストロール(megestrol acetate)、メルファラン(melphalan)、メネスト(menest)、6−メルカプトプリン、メスナ(Mesna)、メトトレキサート(methotrexate)、メトビックス(metvix)、ミルテホシン(miltefosine)、ミノサイクリン(minocycline)、マイトマイシンC(mitomycin C)、ミトタン(mitotane)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、モドレナル(Modrenal)、ミオセット(Myocet)、ネダプラチン(nedaplatin)、ニューラスタ(neulasta)、ニューメガ(neumega)、ニューポゲン(neupogen)、ニルタミド(nilutamide)、ノルバデックス(nolvadex)、NSC−631570、OCT−43、オクトレオチド(octreotide)、オンダンセトロンHCl(ondansetron HCl)、オラプレド(orapred)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、パクリタキセル(paclitaxel)、ペディアプレド(pediapred)、ペグアスパラガーゼ(pegaspargase)、ペガシス(Pegasys)、ペントスタチン(pentostatin)、ピシバニール(picibanil)、ピロカルピンHCl(pilocarpine HCl)、ピラルビシン(pirarubicin)、プリカマイシン(plicamycin)、ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium)、プレドニムスチン(prednimustine)、プレドニゾロン(prednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、プレマリン(premarin)、プロカルバジン(procarbazine)、プロクリット(procrit)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、レビフ(rebif)、エチドロン酸レニウム−186(rhenium-186 etidronate)、リツキシマブ(rituximab)、ロフェロン−A(roferon-A)、ロムルチド(romurtide)、サラジェン(salagen)、サンドスタチン(sandostatin)、サルグラモスチム(sargramostim)、セムスチン(semustine)、シゾフィラン(sizofiran)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、ソルメドロール(solu-medrol)、スパルホス酸(sparfosic acid)、幹細胞治療薬(stem-cell therapy)、ストレプトゾシン(streptozocin)、塩化ストロンチウム−89、ステント(sutent)、シントロイド(synthroid)、タモキシフェン(tamoxifen)、タムスロシン(tamsulosin)、タソネルミン(tasonermin)、タストラクトン(tastolactone)、タキソテール(taxotere)、テセロイキン(teceleukin)、テモゾロマイド(temozolomide)、テニポシド(teniposide)、プロピオン酸テストステロン、テストレド(testred)、チオグアニン(thioguanine)、チオテパ(thiotepa)、チロトロピン(thyrotropin)、チルドロン酸(tiludronic acid)、トポテカン(topotecan)、トレミフェン(toremifene)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、トレオスルファン(treosulfan)、トレチノイン(tretinoin)、トレキサル(trexall)、トリメチルメラミン(trimethylmelamine)、トリメトレキサート(trimetrexate)、酢酸トリプトレリン(triptorelin acetate)、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン(valrubicin)、ベスナリノン(vesnarinone)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、ビルリジン(virulizin)、ザインカード(zinecard)、ジノスタチンスチマラマー(zinostatin stimalamer)、ゾフラン(zofran)、ABI−007、アコルビフェン(acolbifene)、アクティミューン(actimmune)、アフィニタック(affinitak)、アミノプテリン(aminopterin)、アルゾキシフェン(arzoxifene)、アソプリスニル(asoprisnil)、アタメスタン(atamestane)、アトラセンタン(atrasentan)、ソラフェニブ(sorafenib)、アバスチン(avastin)、CCI−779、CDC−501、セレブレックス(celebrex)、セツキシマブ(cetuximab)、クリスナトール(crisnatol)、酢酸シプロテロン(cyproterone acetate)、デシタビン(decitabine)、DN−101、ドキソルビシン−MTC(doxorubicin-MTC)、dSLIM、デュタステライド(dutasteride)、エドテカリン(edotecarin)、エフロールニチン(eflornithine)、エキサテカン(exatecan)、フェンレチニド(fenretinide)、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント(histrelin hydrogel implant)、ホルミウム−166 DOTMP、イバンドロン酸(ibandronic acid)、インターフェロンγ、イントロン−PEG、イキサベピロン(ixabepilone)、キーホールリンペットヘモシアニン、L−651582、ランレオチド(lanreotide)、ラソフォキシフェン(lasofoxifene)、リブラ(libra)、ロナファルニブ(lonafarnib)、ミプロキシフェン(miproxifene)、ミノドロネート(minodronate)、MS−209、リポソームMTP−PE、MX−6、ナファレリン(nafarelin)、ネモルビシン(nemorubicin)、ネオバスタット(neovastat)、ノラトレキセド(nolatrexed)、オブリメルセン(oblimersen)、onco−TCS、オシデム(osidem)、パクリタキセルポリグルタメート、パミドロネート二ナトリウム(pamidronate disodium)、PN−401、QS−21、クアゼパム(quazepam)、R−1549、ラロキシフェン(raloxifene)、ランピルナーゼ(ranpirnase)、13−シス−レチノイン酸、サトラプラチン(satraplatin)、セオカルシトール(seocalcitol)、T−138067、タルセバ(tarceva)、タキソプレキシン(taxoprexin)、チモシン(thymosin)α1、チアゾフリン(tiazofurine)、チピファーニブ(tipifarnib)、チラパザミン(tirapazamine)、TLK−286、トレミフェン(toremifene)、TransMID−107R、バルスポダール(valspodar)、バプレオチド(vapreotide)、バタラニブ(vatalanib)、ベルテポルフィン(verteporfin)、ビンフルニン(vinflunine)、Z−100、ゾレンドロン酸(zoledronic acid)またはその組合せであり得る。
【0097】
一般製造法
一般に、本発明の化合物は、市販されているか、慣例の化学法に従って製造可能である出発材料を用い、当技術分野で公知の標準技術により、それに類似する既知の方法により、および/または本明細書に記載の方法により製造することができる。当業者ならば、本発明の精神または範囲から外れることなく、本発明において改変が行えることが分かるであろう。
【0098】
以下の実験情報および実施例によって本発明をさらに説明するが、これらはそこに記載されている特定の手順または組成物に本発明の精神および範囲を限定するものではない。本発明の化合物の合成に用いられる中間体は、下記の方法中に保護する必要があり得る感受性または反応性のある官能基を持っていることがある。このような保護基の除去は、当業者によく知られた方法によって適当な段階で行われる(例えば、T. W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis; Wiley: New York, (1999)参照)。
【0099】
本発明の化合物の合成に使用される特定の調製方法は、所望される特定の化合物によって異なる。分子中に存在するX基および特定の置換基の属性などの因子は、全て本発明の特定の化合物を製造するために使用される経路の選択に役割を果たす。これらの因子は当業者には容易に認識される。
【0100】
反応スキーム1 一般法A1
【化10】

【0101】
化合物1−Gは一般法A1で概略を示した反応スキームに従って合成される。エタノールなどの溶媒中、塩基、好ましくはナトリウムエトキシドの存在下、アニリノ−ケトン(1−A)をギ酸エチルで処理すると、化合物1−C(X=CH)が得られる。
【0102】
同様に、無溶媒または溶媒を用いて、アニリノ−ベンゾエート1−Dをホルムアミド中、ギ酸アンモニウムで処理すると、キナゾリン誘導体1−C(X=N)が得られる。DMFまたはアセトニトリルなどの溶媒中、炭酸セシウムまたは炭酸カリウムなどの塩基の存在下で、これらの化合物1−Cに4−フルオロニトロベンゼン化合物1−Eを加えると、構造1−Fの中間体が得られる。これらの化合物1−Fを、パラジウム/炭素などの好適な触媒の存在下で水素化すると、化合物1−Gが得られる。
【0103】
反応スキーム2 一般法A2
【化11】

【0104】
あるいは、化合物1−Gは一般法A2に示される方法に従って合成される。
【0105】
化合物1−C(スキーム1参照)をオキシ塩化リンまたは塩化チオニルなどの塩素化剤で処理すると、化合物2−Aが得られる。
【0106】
次に、テトラヒドロフランなどの溶媒中、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で化合物2−Aと化合物2−Bをカップリングさせると、化合物1−Gが得られる。
【0107】
反応スキーム3 一般法B
【化12】

【0108】
化合物3−Dは上記一般法Bで概略を示した経路に従って合成される。
【0109】
THFなどの好適な溶媒中、EDCIなどのカップリング剤の存在下、ピラノン3−Aをアミン3−Bと反応させることができる。
【0110】
この反応は、DMAPなどの付加的試薬によってさらに触媒することができる。メタノールおよび水などの溶媒または好適な溶媒の混合物中、化合物3−CをNaOHまたはKOHなどの水酸化物源で処理すると、化合物3−Dが得られる。
【0111】
スキーム4 一般法C1
【化13】

【0112】
式Iの化合物は上記で示した一般法C1に従って合成される。まず、化合物3−Dを、オキシ塩化リンまたは塩化チオニルなどの塩素化剤を用いて対応する酸塩化物へ変換する。次に、このようにして得られた酸塩化物を、THFなどの好適な溶媒中、EtNなどの有機塩基およびDMAPなどの触媒の存在下、化合物1−Gと反応させると、式Iの化合物が得られる。
【0113】
スキーム4 一般法C2
【化14】

【0114】
あるいは、式Iの化合物は、一般法C2に従って製造することができる。THFなどの好適な溶媒中、塩基、好ましくはEtNの存在下、および場合によってはHOBTまたはDMAPなどの触媒の存在下で化合物3−Dを1−Gとカップリングさせると、式Iの化合物が得られる。
【0115】
略語および頭字語
当技術分野の有機化学者が用いている略号の総覧は、Journal of Organic Chemistryの各巻の最初の刊行物にあり、この一覧は通常、略語の標準一覧と題された表に示されている。この一覧に含まれている略語および当技術分野の有機化学者が用いている全ての略語は出典明示により本明細書の一部とされる。
【0116】
本発明の目的では、化学元素は、CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 第67版, 編1986-87の元素の周期表で確認される。
【0117】
より具体的には、本開示を通じて以下の略語が用いられる場合、それらは次の意味を有する。
略号
【表1】


【表2】


【表3】

【0118】
以下の実施例に報告する収率%は、最低のモル量で使用した出発成分に基づくものである。空気および水分に感受性のある液体および溶液はシリンジまたはカニューレを介して移し、ラバーセプタムを経て反応容器に導入した。市販級の試薬および溶媒はそれ以上精製せずに用いた。「減圧下で濃縮」とは、およそ15mmHgでのビュッヒ(Buchi)ロータリーエバポレーターの使用をさす。温度は全てセ氏(℃)で報告する。薄層クロマトグラフィー(TLC)はプレコートガラス基板シリカゲル60A F−254 250μmプレート上で行った。
【0119】
電子衝撃質量スペクトル(EI−MS)は、ヒューレットパッカード(Hewlett Packard)5890ガスクロマトグラフとJ & W DB−5カラム(0.25μMコーティング;30m×0.25mm)を備えたヒューレットパッカード5989A質量分析計を用いて得た。イオン源は250℃で維持し、1スキャン当たり2秒で50〜800amuからスペクトルをスキャンした。
【0120】
高圧液体クロマトグラフィー−エレクトロスプレー質量スペクトル(LC−MS)は下記のいずれかを用いて得た。
a)クォータナリーポンプ、254nmに設定した多波長検出器、YMC pro C−18カラム(2×23mm、120A)およびエレクトロスプレーイオン化を備えたFinnigan LCQイオントラップ質量分析計を備えたヒューレットパッカード1100 HPLC。スペクトルは120〜1200から、イオン源のイオン数に応じた様々なイオン時間を用いてスキャンした。溶出液はA:0.02%TFAを含む水中2%アセトニトリル、およびB:0.018%TFAを含むアセトニトリル中2%水とした。流速1.0mL/分で3.5分かけて10%〜95%Bの勾配溶出を用い、初期維持を0.5分、最終維持を95%Bで0.5分とした。総実施時間は6.5分とした。
【0121】
b)Gilson 306ポンプ2つ、Gilson 215オートサンプラー、Gilsonダイオードアレイ検出器、YMC Pro C−18カラム(2×23mm、120A)およびz−スプレーエレクトロスプレーイオン化を備えたMicromass LCZシングル四重極質量分析計を備えたGilson HPLCシステム。スペクトルは120〜800amuから1.5秒間スキャンした。ELSD(蒸発光散乱検出器)データを、アナログチャネルとして取得した。溶出液はA:0.02%TFAを含む水中2%アセトニトリル、およびB:0.018%TFAを含むアセトニトリル中2%水とした。流速1.5mL/分で3.5分かけて10%〜90%Bの勾配溶出を用い、初期維持を0.5分、最終維持を95%Bで0.5分とした。総実施時間は4.8分とした。カラムの切り替えと再生のため、さらに切り替えバルブを用いた。
【0122】
c)Agilent 1100 HPLCシステム。このAgilent 1100 HPLCシステムはAgilent 1100オートサンプラー、クォータナリーポンプおよびダイオードアレイを備えていた。使用したHPLCカラムはWaters Sunfire(2.1×30mm、3.5μM)であった。HPLC溶出剤を、エレクトロスプレーイオン化を備えたFinnigan LTQイオントラップ質量分析計に1:4分割で直接接続した。スペクトルは50〜1000amuから、陽イオンモードまたは陰イオンモードのいずれかで、イオン源のイオン数に応じた様々なイオン時間を用いてスキャンした。溶出液はA:0.1%ギ酸、およびB:0.1%ギ酸を含むアセトニトリルとした。流速1.0mL/分で3.0分かけて10%B〜90%Bの勾配溶出を用い、初期維持を2.0分、最終維持を95%Bで1.0分とした。総実施時間は8.0分とした。
【0123】
通常の一次元NMR分光法を300/400MHz Varian Mercury−plus分光光度計で行った。サンプルをCambridge Isotope Labsから入手した重水素化溶媒に溶かし、5mm ID Wilmad NMR管に移した。スペクトルを293Kで採取した。化学シフトはppmスケールで記録し、Hスペクトルに関して、アセトン−dスペクトルでは2.05ppm、DMSO−dでは2.49ppm、CDCNでは1.93ppm、CDODでは3.30ppm、CDClでは5.32ppmおよびCDClでは7.26ppmなどの適当な溶媒シグナルを参照した。
【0124】
分取HPLC
分取HPLCは、逆相モードで、0.5%TFAを含有する水性アセトニトリルで溶出し、典型的には、Gilson 322ポンプ2つ、Gilson 215オートサンプラー、Gilsonダイオードアレイ検出器およびYMC Pro C−18カラム(20×150mm,120A)を備えたGilson HPLCシステムを用いて行った。勾配溶出は、バッファーAとして0.1%TFAを含む水およびバッファーBとして0.1%TFAを含むアセトニトリルを使用した。
【0125】
サンプルをMeOHまたはMeOH/DMSOに約50mg/mLの濃度で溶解した。注入容量は、約2〜3mL/回とした。サンプルは通常次のように溶出した:流速25mL/分で15分かけて10〜90%B、2分間保持、10%Bに戻す。所望の画分を254または220nmでのUVモニタリングにより収集し、GeneVac遠心式減圧装置を用いることにより蒸発させた。
【0126】
分取MPLC
分取中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)は、標準的なシリカゲル「フラッシュクロマトグラフィー」法(例えば、Still, W. C. et al. J. Org. Chem. 1978, 43, 2923-5)によって、またはシリカゲルカートリッジとおよびBiotage Flashシステムなどのデバイスを用いることにより行った。実験プロトコールに記載のように、種々の溶出溶媒を使用した。これら上記の方法を用いることにより、本発明の化合物を製造することができる。
【0127】
これらの実施例に記載される化合物は本発明を代表するものであり、これらの実施例の範囲により本発明の範囲は限定されないと理解される。当業者ならば、本発明が、開示されている構造、材料、組成物および方法に変更を加えて実施可能であることを認識し、このような変更も本発明の範囲内にあるものとみなされる。
【0128】
以下の具体例は本明細書に記載の発明をさらに説明するために示すものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0129】
中間体A
4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]アニリンの製造
【化15】

ステップ1:6,7−ジメトキシキノリン−4−オールの製造:
【化16】

DME(100mL)中、2−アミノ−4,5−ジメトキシルアセトフェノン(4.5g、23mmol)の溶液に、NaOMe(5.0g、92mmol)を加えた。この反応物を30分間撹拌した後、ギ酸エチル(8.5g、115mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、NaOEt(油中21%分散物、22g、69.1mmol)を加え、反応混合物を室温でさらに24時間撹拌した。その後、水(10mL)を加え、この混合物を1時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。得られた水性混合物のpHを、HCl(2N水溶液)を用いてpH7に調整した。生じた沈殿を濾取した後、水、酢酸エチルおよびエチルエーテルで順次洗浄した。この固体を機械的真空下で乾燥させ、2.6g(収率55%)の標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.97 (bs, 1 H), 7.79 (d, 1 H), 7.42 (s, 1 H), 6.96 (s, 1 H), 5.96 (d, 1 H), 3.84 (s, 3 H), 3.81 (s, 3 H); ES-MS m/z 206.2 [M+H]+, LCMS RT (min) 1.21
【0130】
ステップ2 6,7−ジメトキシ−4−(4−ニトロフェノキシ)キノリンの製造
【化17】

DMF(7.5mL)およびCHCN(7.5mL)の混合物中、1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(0.83g、5.8mmol)の溶液に、CsCO(3.4g、10.6mmol)を加え、30分間撹拌した後、6,7−ジメトキシキノリン−4−オール(1.09g、5.3mmol)を加え、この反応混合物を60℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、減圧下で濃縮した。この残渣に水(20mL)を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:ヘキサン中50〜100%酢酸エチル)により精製し、504mgの目的化合物を得た。目的生成物の収率は31%。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.60 (d, 1 H), 8.33 (d, 2 H), 7.44 (s, 1 H), 7.42 (d, 2 H), 7.35 (s, 1 H), 6.86 (d, 1 H), 3.94 (s, 3 H), 3.87 (s, 3 H); ES-MS m/z 327.2 [M+H]+, LCMS RT (min) 2.28
【0131】
ステップ3 4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]アニリンの製造
【化18】

撹拌子を備えた丸底フラスコに、6,7−ジメトキシ−4−(4−ニトロフェノキシ)キノリン(534mg、1.64mmol)、パラジウム/炭素(10%、35mg)、EtOH(40mL)およびDMF(20mL)を加えた。この反応混合物をH雰囲気下(1atm)に置き、16時間撹拌した。Hを反応容器から十分排気した後、反応混合物をセライト(登録商標)で濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をそれ以上精製せずに次のステップに送った。アリコートを単離し、H NMRにより特性決定した。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ8.41 (d, 1 H), 7.48 (s, 1 H), 7.34 (s, 1 H), 6.90 (d, 2 H), 6.64 (d, 2 H), 6.34 (d, 1 H), 5.15 (bs, 2 H), 3.92 (s, 3 H), 3.91 (s, 3 H); ES-MS m/z 297 [M+H]+, LCMS RT (分) 1.00
【0132】
中間体B
4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]−2−フルオロアニリンの製造
【化19】


ステップ1 4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリンの製造
【化20】

オキシ塩化リン(10mL)中、6,7−ジメトキシキノリン−4−オール(中間体A、ステップ2、245mg、1.2mmol)の混合物にDMF(0.1mL)を加えた。この反応物を4時間、加熱還流した後、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで溶解し、有機溶液をNaHCO(飽和水溶液)および水で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮し、116mg(43.4%)の標題化合物を得、これをそれ以上精製せずに次のステップに用いた。
【0133】
ステップ2 4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]−2−フルオロアニリンの製造
【化21】

DMSO(10mL)中、4−アミノ−3−フルオロフェノール(65.9mg、0.52mmol)の溶液にKOt−Bu(84mg、0.75mmol)を加え、この反応混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(116mg、0.519mmol)を加え、反応混合物を90℃でさらに16時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。その後、有機混合物を水およびKCO(10%水溶液)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:ヘキサン中50〜100%酢酸エチル)により精製し、50mg(31%)の標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ8.45 (d, 1 H), 7.57 (s, 1 H), 7.39 (s, 1 H), 6.98-6.86 (m, 3 H), 6.49 (d, 1 H), 4.27 (bs, 2 H), 3.99 (s, 3 H), 3.97 (s, 3 H); ES-MS m/z 315.3 [M+H]+, LCMS RT (分) 2.08
【0134】
中間体C
4−[(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)オキシ]アニリンの製造
【化22】

ステップ1 6,7−ジメトキシキナゾリン−4−オールの製造
【化23】

ホルムアミド(50mL)中、2−アミノ−4,5−ジメトキシ安息香酸メチル(5.0g、23.7mmol)の溶液にギ酸アンモニウム(2.2g、35.3mmol)を加えた。この反応混合物を150℃で4時間撹拌し、室温まで冷却した後、水に注いだ。生じた沈殿を濾取し、水で洗浄し、機械的真空下で乾燥させ、4.5gの目的生成物を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ12.07 (s, 1 H), 7.97 (s, 1 H), 7.42 (s, 1 H), 7.12 (s, 1 H), 3.88 (s, 3 H), 3.85 (s, 3 H); ES-MS m/z 206.8 [M+H]+, LCMS RT (分) 1.37
【0135】
ステップ2 4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリンの製造
【化24】

塩化チオニル(5mL)中、6,7−ジメトキシキナゾリン−4−オール(975mg、4.7mmol)の混合物にDMF(0.1mL)を加えた。この反応物を4時間、加熱還流した後、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を機械的真空下で乾燥させ、1.2gの標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ8.83 (s, 1 H), 7.47 (s, 1 H), 7.41 (s, 1 H), 4.06 (s, 3 H), 4.04 (s, 3 H); ES-MS m/z 225.1 [M+H]+, LCMS RT (分) 2.45
【0136】
ステップ3 4−[(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)オキシ]アニリンの製造
【化25】

DMF(10mL)中、4−アミノフェノール(194mg、1.8mmol)の溶液にKOt−Bu(240mg、2.1mmol)を加え、この反応混合物を30分間撹拌した。次いで、4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(400mg、1.8mmol)を加え、この反応混合物を80℃でさらに16時間撹拌した。その後、この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機混合物を水およびKCO(10%水溶液)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をエーテルでトリチュレートし、280mg(収率53%)の標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ8.50 (s, 1 H), 7.60 (s, 1 H), 7.32 (s, 1 H), 6.98 (d, 2 H), 6.74 (d, 2 H), 4.18 (bs, 2 H), 4.04 (s, 3 H), 4.01 (s, 3 H); ES-MS m/z 298.2 [M+H]+, LCMS RT (分) 1.76
【0137】
中間体D
4−[(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)チオ]−2−フルオロアニリンの製造
【化26】

DMF(10mL)中、4−アミノ−3−フルオロベンゼンチオール(280mg、2.0mmol)の溶液にKCO(738mg、5.3mmol)を加え、この反応物を50℃で60分間撹拌した。次いで、4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(中間体C、ステップ2、400mg、1.8mmol)を加え、この反応混合物を50℃で16時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。有機混合物を水、KCO(10%水溶液)およびNHCl(10%水溶液)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:ヘキサン中50〜100%酢酸エチル)により精製し、320mg(54%)の標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ8.62 (s, 1 H), 7.34 (s, 1 H), 7.30 (s, 1 H), 7.26 (dd, 1 H), 7.17 (dd, 1 H), 6.92 (dd, 1 H), 4.59 (bs, 2 H), 4.08 (s, 3 H), 4.01 (s, 3 H); ES-MS m/z 332.2 [M+H]+, LCMS RT (分) 2.72。
【0138】
中間体E
1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸の製造
【化27】

ステップ1 1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチルの製造
【化28】

THF(100mL)中、2−オキソ−2H−ピラン−3−カルボン酸メチル(5g、32.4mmol)の溶液に4−フルオロアニリン(3.6g、32.4mmol)を加え、この反応混合物を室温で2.5時間撹拌した。次いで、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(8.1g、42.2mmol)およびDMAP(0.4g、3.2mmol)を加え、この混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、この反応混合物をHCl(1N水溶液)とEtOAcで分液した。有機相を分離した後、HCl(0.5N水溶液)、水およびブラインで順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤ヘキサン中20〜50%酢酸エチル)により精製し、4.4gの標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ8.13 (dd, 1 H), 7.67 (dd, 1 H), 7.45-7.42 (m, 2 H), 7.30-7.25 (m, 2 H), 6.36 (t, 1 H), 3.81 (s, 3 H); ES-MS m/z 247.9 [M+H]+, LCMS RT (分) 2.27
【0139】
ステップ2 1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸の製造
【化29】

メタノール(100mL)中、1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(4.4g、17.8mmol)の溶液にNaOH(1N水溶液、26.7mL、26.7mmol)を加えた。この反応混合物を室温で16時間撹拌した後、減圧下で濃縮してメタノールを除去した。得られた水性混合物を、HCl(1N水溶液)を用いてpH4に酸性化し、生じた沈殿を濾取した。次いで、この固体を水およびジエチルエーテルで順次洗浄した後、機械的に乾燥させ、2.9gの標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ8.47 (dd, 1 H), 8.20 (dd, 1 H), 7.62-7.59 (m, 2 H), 7.43-7.39 (m, 2 H), 6.78 (t, 1 H); ES-MS m/z 234.0 [M+H]+, LCMS RT (分) 2.32
【0140】
中間体F
1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニルクロリドの製造
【化30】

塩化チオニル(10mL)中、1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(中間体E、1.0g、4.3mmol)の混合物にDMF(0.1mL)を加えた。この反応混合物を4時間、加熱還流した後、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。次いで、残渣をトルエンに溶解させ、減圧下で濃縮した(2回実施)。その後、残渣を機械的真空下で乾燥させ、1.1g(100%)の標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ8.47 (dd, 1H), 8.21 (dd, 1H), 7.62-7.59 (m, 2H), 7.43-7.39 (m, 2H), 6.77 (t, 1H)
【0141】
実施例1
N−{4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]フェニル}−1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドの製造
【化31】

DMF(20mL)中、1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−
ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(中間体E、531mg、2.2mmol)および4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]アニリン(中間体A、450mg、1.5mmol)の溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(437mg、2.3mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(308mg、2.3mmol)、EtN(231mg、2.27mmol)およびDMAP(18.5mg、0.15mmol)を加えた。この反応混合物を室温で48時間撹拌した後、酢酸エチル(50mL)を加えた。この混合物を水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をCHClでトリチュレートし、濾過し、275mg(35%)の標題化合物を得た。濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、さらに180mg(23%)の標題化合物を得た。総収量:455mg(58%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ12.00 (s, 1 H), 8.50 (dd, 1 H), 8.46 (d, 1 H), 8.11 (dd, 1 H), 7.82 (d, 2 H), 7.62-7.59 (m, 2 H), 7.49 (s, 1 H), 7.43-7.39 (m, 2 H), 7.38 (s, 1 H), 7.25 (d, 2H), 6.71 (t, 1H), 6.47 (d, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.91 (s, 3H); ES-MS m/z 512.0 [M+H]+, LCMS RT (分) 2.61
【0142】
実施例2
N−{4−[(2−アミノキノリン−4−イル)オキシ]フェニル}−1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドの製造
【化32】

標題化合物を、市販の2−アミノ−4−ヒドロキシキノリンから出発し、中間体Aおよび実施例1に記載の方法を用いて合成した。
ES-MS m/z 467.3 [M+H]+, LCMS RT (分) 3.02
【0143】
実施例3
N−{4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドの製造
【化33】

標題化合物を、実施例1および中間体Aに記載の方法を用い、適当な出発材料に置き換えて合成した。
ES-MS m/z 530.4 [M+H]+, LCMS RT (分) 2.68
【0144】
実施例4
N−{4−[(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)オキシ]フェニル}−1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドの製造
【化34】

標題化合物を、実施例1に関して記載した方法を用い、中間体Cを用いて合成した。
ES-MS m/z 513.4 [M+H]+, LCMS RT (分) 3.11
【0145】
実施例5
N−{4−[(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)オキシ]−2−フルオロフェニル}−1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドの製造
【化35】

標題化合物を、実施例1および中間体Cに関して記載した方法を用い、適当な出発材料に置き換えて合成した。
ES-MS m/z 531.3 [M+H]+, LCMS RT (分) 3.41
【0146】
実施例6
N−{4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]−2−フルオロフェニル}−1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドの製造
【化36】

THF(10mL)中、1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニルクロリド(中間体F、52mg、0.21mmol)および4−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]−2−フルオロアニリン(中間体B、50mg、0.15mmol)の溶液に、EtN(81mg、0.80mmol)およびDMAP(1.9mg、0.02mmol)を加えた。この反応混合物を室温で20時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し、所望の画分を合わせ、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解させ、溶液をKCO(10%水溶液)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮し、22mg(27%)の標題化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, CD3CN) δ12.3 (bs, 1 H), 8.68-8.62 (m, 2 H), 8.49 (d, 1 H), 7.82 (dd, 1 H), 7.55 (s, 1 H), 7.53-7.49 (m, 2 H), 7.41 (s, 1 H), 7.36-7.31 (m, 2 H), 7.12 (dd, 1 H), 7.07 (dd, 1 H), 6.66 (t, 1 H), 6.60 (d, 1 H), 4.00 (s, 3 H), 3.96 (s, 3H); ES-MS m/z 530.3 [M+H]+, LCMS RT (分) 2.72
【0147】
実施例7
N−{4−[(6,7−ジメトキシキナゾリン−4−イル)チオ]−2−フルオロフェニル}−1−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミドの製造
【化37】

標題化合物を、実施例6に関して記載した方法を用い、中間体Dを用いて合成した。
ES-MS m/z 547.2 [M+H]+, LCMS RT (分) 3.66
【0148】
生物学的評価
本発明の化合物の活性の実証は、当業者に周知のin vitro、ex vivoおよびin vivoアッセイによって行うことができる。例えば、本発明の化合物の活性を実証するには、以下のアッセイを用いることができる。
【0149】
生物学的アッセイの実施例
Flk−1(マウスVEGFR−2)生化学的アッセイ:
このアッセイは、96ウェル不透明プレート(Costar 3915)において、TR−FRET形式で行った。反応条件は、以下の通りである:10μM ATP、25nMポリGT−ビオチン、2nMのEu標識ホスホ−Tyr Ab(PY20 Perkin Elmer)、10nM APC(Perkin Elmer)、7nM Flk−1(キナーゼドメイン)、1%DMSO、50mM HEPES pH7.5、10mM MgCl2、0.1mMのEDTA、0.015%BRIJ、0.1mg/mL BSA、0.1%β−メルカプトエタノール)。反応は、酵素の添加により開始する。各ウェル内の最終反応容量は100μLである。プレートの読み取りは、Perkin Elmer Victor V Multilabelカウンターにて、615および665nMの両方で、反応開始後、約1.5〜2.0時間の時点で行う。各ウェルについて、シグナルを比(665nm/615nm)10000として計算する。
【0150】
c−MET生化学アッセイ
cMET生化学アッセイには、ELISA形式を用いる。このアッセイでは、96ウェルプレートにて、C末端HISタグ付き細胞内キナーゼドメイン(956〜1390アミノ酸)ヒト組換えc−Metを用いる。ポリ(GluTyr)(Sigma # P0275)でコーティングした96ウェルプレート(Costar # 9018)をこのアッセイにおいて用いる。プレート上にコーティングされたこのポリ(GluTyr)基質を、反応容量100μlで、0.2μM ATP(Sigma #A7699)を含むアッセイバッファー(50mM HEPES pH7.0、5mM MnCl、0.1%BSA、0.5mMオルトバナジウム酸ナトリウム、0.1%β−メルカプトエタノール)中2nMのcMETタンパク質でリン酸化する。2μLの化合物を、10μM〜128pMの範囲の8点IC50用量曲線として、終濃度1%DMSOで加える。インキュベーション25分後、アッセイ反応を25μLの100mM EDTAで停止される。その後、プレートを洗浄し、ウェルを100μLの80ng/mL抗4G10−HRP抗体(Upstate #16-105)で1時間処理する。プレートを最後に1回洗浄し、100μLの3,3',5,5'−TMB(Sigma #T8665)で現像し、100μLの1M HClでクエンチする。プレートをVictor 2プレートリーダー(Perkin Elmer)で読み取り、Analyze 5(自家ソフトウエア)を用いてIC50分析を行う。
【0151】
Bcr−Abl野生型および変異型T315I生化学アッセイ
Abl−T315Iキナーゼフィルターマットアッセイ:33P−ATPフィルターマットアッセイにおけるミエリン塩基性タンパク質のAbl−T315Iキナーゼリン酸化の、化合物による阻害。
変異型Abl−T315IまたはAbl−wtキナーゼ(0.17nM)を、50mM Tris pH7.5、10mM MgCl、1mM EGTA、2mM DTT、50μM ATPおよび0.4μCiの33P−ATPからなるアッセイバッファー中、ミエリン塩基性タンパク質(MBP、2μM)とともにインキュベートする。化合物を様々な濃度で加え(最終DMSO=1%)、その後、ATPを加える。この反応混合物を32℃で1時間インキュベートする。その後、反応をリン酸(終濃度1%)で停止させ、サンプルをフィルターマットに移し、βプレートリーダーで読み取る。Abl−T315I(またはAbl−wt)によるMBPのリン酸化の阻害を、Analyze5にて4パラメーター適合を用いて分析する。
【0152】
本発明の化合物は上述の1つまたはそれ以上の生化学アッセイでIC50<3μMを示した。
【0153】
in vitro腫瘍細胞増殖アッセイ
本発明の化合物を試験するために用いる接着腫瘍細胞増殖アッセイは、Promegaにより開発されたCell Titre−Gloと呼ばれる読み出しを伴う(Cunningham, BA "A Growing Issue: Cell Proliferation Assays. Modern kits ease quantification of cell growth" The Scientist 2001, 15(13), 26, およびCrouch, SP et al., "The use of ATP bioluminescence as a measure of cell proliferation and cytotoxicity" Journal of Immunological Methods 1993, 160, 81-88)。
【0154】
H460細胞(肺癌、ATCCから入手)を96ウェルプレートに、10%ウシ胎児血清を含む完全培地中、3000細胞/ウェルでプレーティングし、37℃で24時間インキュベートする。プレーティング24時間後、試験化合物を、DMSO終濃度0.2%の連続希釈系として10nM〜20μMの範囲の終濃度で加える。試験化合物を添加した後、完全増殖培地中、37℃で72時間、細胞をインキュベートする。4日目、Promega Cell Titer Glo Luminescent(登録商標)アッセイキットを用い、細胞を溶解し、100μlの基質/バッファー混合物を各ウェルに加え、混合し、室温で8分間インキュベートする。これらのサンプルを照度計で読み取って、各ウェルに由来する細胞溶解液中に存在するATPの量(そのウェルの生存細胞数に相当する)を測定する。24時間インキュベーション時に読み取った値は0日目として差し引く。IC50の決定のため、直線回帰分析を用い、このアッセイ形式で細胞増殖の50%阻害をもたらす薬剤濃度を決定することができる。このプロトコールを、限定されるものではないが、CAKI−1、MNK45、HCC2998、K562、H441、K812、MEG01、SUP15およびHCT116を含む対象とする種々の細胞系統に適用した。
【0155】
本発明の化合物の抗増殖性特性を、1つまたはそれ以上の対象細胞系統を用いてさらに特性決定することができる。対象細胞系統としては、限定されるものではないが、CAKI−1、MNK45、HCC2998、K562、H441、K812、MEG01、SUP15およびHCT116が含まれる。
【0156】
本発明の化合物が本明細書の上述の1つまたはそれ以上の生化学アッセイでIC50<3μMを示すというin vitro試験結果に基づけば、特許請求される一般構造によって表される化合物は実施された1つまたはそれ以上の生化学アッセイでも有効であると考えられる。
【0157】
当業者ならば、以上の情報および当技術分野で利用可能な情報を用い、本発明を最大限利用できると考えられる。本明細書に記載される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対して変更および改変を行うことができることは、当業者には自明であるはずである。上記および下記の主題の見出しは、特定の情報が本願中に見つけやすいように意図したものであり、このような主題に関する情報が見出せるところが本願中そこだけであるわけではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
Xは、OおよびSからなる群から選択され;
YおよびZは、CHおよびNからなる群から独立に選択され;
は、水素、1個またはそれ以上のハロゲン、NRC(O)R、C(O)OR、OC(O)R10、OR11、SR12、シアノ、C(O)NR1516、SONR1516、NR1516、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)、OR11、NR1516、−(CHNR1516(ここで、rは1、2または3である)、−O−(CHNR1516および−NR13−(CHNR1516(ここで、pは2、3または4である)からなる群から選択され;
は、水素、1個またはそれ以上のハロゲン、OR11、NR1516および直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(ハロゲンで置換されていることもある)、OR11またはNR1516からなる群から選択され;
およびRは、各々独立に、水素、1個またはそれ以上のハロゲン、NRC(O)R、C(O)OR、OC(O)R10、OR11、シアノ、C(O)NR1516、SONR1516、NR1516、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(ハロゲンで置換されていることもある)、OR11、NR1516、−(CHNR1516(ここで、rは1、2または3である)、−O−(CHNR1516および−NR13−(CHNR1516(ここで、pは2、3または4である)からなる群から選択され;
は、水素、OR11、NR1516、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)および−(CHNR1516(ここで、rは1、2または3である)からなる群から選択され;
は、水素、NRC(O)R、C(O)OR、OC(O)R10、OR11、SR12、C(O)NR1516、SONR1521、NR1516、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)、OR、NR1516、−(CHNR1516(ここで、rは1、2または3である)、−O−(CHNR1516および−NR13−(CHNR1516(ここで、pは2、3または4である)からなる群から選択され;
〜R14は、各々独立に、水素、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)、OR11およびNR1516からなる群から選択され;
15およびR16は、各々独立に、水素、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)、OR11、NR1718およびR15とR16が一体となって、OまたはNR14を含むこともある5員または6員環を形成している基からなる群から選択され;かつ
17およびR18は、各々独立に、水素、直鎖、分枝または環式C1−6アルキル(1個またはそれ以上のハロゲンで置換されていることもある)およびOR11からなる群から選択される]
で表される化合物、その薬学上許容される塩、その代謝産物、その溶媒和物、その水和物、そのプロドラッグ、その多形体、ならびにその単離された立体異性体および立体異性体混合物中にあるものを含むそのジアステレオ異性体。
【請求項2】
請求項1に記載の1種またはそれ以上の化合物と生理学上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項3】
付加的抗過剰増殖薬および/または付加的医薬をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記付加的抗過剰増殖薬がエポチリン、その誘導体、イリノテカン、ラロキシフェン、トポテカンおよびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記付加的医薬が、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミフォスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメット、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5−アザシチジン、アザチオプリン、BCGまたはtice BCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフェソン、セルモロイキン、セルビジン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソム、デカドロン、リン酸デカドロン、デレストロゲン、デニロイキンディフチトクス、デポ・メドロール、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ダイフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW−166HC、エリガード、エリテック、エレンス、エメンド、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポジェン、エプタプラチン、エルガミゾール、エストレース、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール、エチドロン酸、エトポフォス、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン、フィルグラスチム、フィナステリド、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、5−フルオロウラシル(5−FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルメスタン、フォステアビン、フォテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロンHCl、ヒストレリン、ハイカムチン、ハイドロコートン、エリスロ−ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、インターフェロンα、インターフェロン−α2、インターフェロンα−2A、インターフェロンα−2B、インターフェロンα−n1、インターフェロンα−n3、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターロイキン−2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、カイトリル、硫酸レンチナン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、酢酸ロイプロリド、レバミゾール、レボフォリン酸カルシウム塩、レボトロイド、レボキシル、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メネスト、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトビックス、ミルテホシン、ミノサイクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル、ミオセット、ネダプラチン、ニューラスタ、ニューメガ、ニューポゲン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC−631570、OCT−43、オクトレオチド、オンダンセトロンHCl、オラプレド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペディアプレド、ペグアスパラガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、ピシバニール、ピロカルピンHCl、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、エチドロン酸レニウム−186、リツキシマブ、ロフェロン−A、ロムルチド、サラジェン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、スパルホス酸、幹細胞治療薬、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウム−89、ステント、シントロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タキソテール、テセロイキン、テモゾロマイド、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、テストレド、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキサル、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、酢酸トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ザインカード、ジノスタチンスチマラマー、ゾフラン、ABI−007、アコルビフェン、アクティミューン、アフィニタック、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、ソラフェニブ、アバスチン、CCI−779、CDC−501、セレブレックス、セツキシマブ、クリスナトール、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN−101、ドキソルビシン−MTC、dSLIM、デュタステライド、エドテカリン、エフロールニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム−166 DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンγ、イントロン−PEG、イキサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L−651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロネート、MS−209、リポソームMTP−PE、MX−6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、onco−TCS、オシデム、パクリタキセルポリグルタメート、パミドロネート二ナトリウム、PN−401、QS−21、クアゼパム、R−1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ、13−シス−レチノイン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T−138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシンα1、チアゾフリン、チピファーニブ、チラパザミン、TLK−286、トレミフェン、TransMID−107R、バルスポダール、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z−100、ゾレンドロン酸およびその組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
式:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

で表される化合物からなる群から選択される化合物、その薬学上許容される塩、その代謝産物、その溶媒和物、その水和物、そのプロドラッグ、その多形体、そのジアステレオ異性体、その単離された立体異性体およびその混合物。
【請求項7】
処置を必要とする哺乳類に治療上有効な量の1種またはそれ以上の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、過剰増殖性障害の処置方法。
【請求項8】
処置を必要とする哺乳類に治療上有効な量の請求項2に記載の医薬組成物を投与することを含む、過剰増殖性障害の処置方法。
【請求項9】
前記過剰増殖性障害が癌である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記癌が、乳房、気道、脳、生殖器、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭部および/または頸部、甲状腺、副甲状腺および/またはそれらの遠隔転移のものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記癌が、リンパ腫、肉腫または白血病である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記乳房の癌が、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌または非浸潤性小葉癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記気道の癌が、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支腺腫または胸膜肺芽腫である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記脳の癌が、脳幹の腫瘍、下垂体神経膠腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、髄芽細胞腫、脳室上衣細胞腫、神経外胚葉性のまたは松果体の腫瘍である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記男性生殖器の腫瘍が、前立腺または精巣癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記女性生殖器の癌が、子宮内膜、子宮頸部、卵巣、膣、外陰部のもの、または子宮の肉腫である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記消化管の癌が、肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸または唾液腺のものである、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記尿路の癌が、膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、尿管または尿道のものである、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記眼の癌が、眼内黒色腫または網膜芽細胞腫である、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記肝臓癌が、肝細胞癌、線維層状の変化を伴うまたは伴わない肝細胞癌、胆管癌または混合型肝細胞・胆管癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記皮膚癌が、扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌または非黒色腫皮膚癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記頭頸部癌が、喉頭、下咽頭、鼻腔咽頭、口咽頭、口唇または口腔の癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記リンパ腫が、エイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病または中枢神経系のリンパ腫である、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記肉腫が、軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫または横紋筋肉腫である、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
前記白血病が、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病またはヘアリー細胞白血病である、請求項10に記載の方法。
【請求項26】
治療の必要な哺乳類に治療上有効な量の1種またはそれ以上の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、血管新生障害の処置方法。

【公表番号】特表2009−537632(P2009−537632A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512061(P2009−512061)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/011981
【国際公開番号】WO2008/048375
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】