説明

過電圧保護回路、及び過電圧保護方法

【課題】電圧供給が不必要に遮断されてしまうことのない、過電圧保護回路および過電圧保護法方を提供する。
【解決手段】第1入力ラインに設けられ、所定値以上の電流が流れると切断される過電流遮断回路と、第1入力ラインと第2入力ラインとの間に介装されるサイリスタと、サイリスタと第1入力ラインとの間に介装され、サイリスタと第1入力ラインとを導通させるか否かを切り替えるスイッチ回路と、第1入力ラインと第2入力ラインとの間の電圧差が予め設定された制限電圧以上になった場合に第1入力ラインをサイリスタのゲートと導通させる過電圧検出回路と、スイッチ回路の動作を制御する制御回路とを具備する。制御手段は、サイリスタのゲートにゲートトリガ以上の電圧が印加された期間が予め設定された制限期間を超えた場合に、サイリスタと第1入力ラインとを導通させるように、スイッチ回路の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電圧保護回路、及び過電圧保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置などにおいては、負荷に対して過電圧が印加されることを防止するために、過電圧保護回路が設けられる。
【0003】
関連技術として、特許文献1(実開昭61−144737)に、過電圧保護装置が記載されている。この過電圧保護装置は、商用交流電源に電気ヒューズを介して接続された電源トランスを設けた電源回路と、交流電源に整流用ダイオード及びツェナー電圧が交流電源電圧の正常時における半波電圧よりも大きい定電圧ダイオードを直列に介して接続された時定数の比較的大きいCR積分回路と、交流電源に電気ヒューズを介して接続され、CR積分回路のコンデンサの所定充電電圧に応動する半導体スイッチング素子とを具備してなることを特徴としている。
【0004】
他の関連技術として、特許文献2(特開平3−214067)に記載された電源装置が挙げられる。この公報には、電源回路に対する商用電源入力ライン間に、ターンオン時にライン間を短絡するトライアックと、ツェナーダイオード、抵抗、ダイオード、抵抗及びコンデンサからなる定電圧検出回路とをそれぞれ並列接続することが記載されている。
【0005】
その他に、本願発明者が知りえた関連技術として、特許文献3(特開2007−43822)に記載された過電圧保護回路、特許文献4(特開昭56−139028)に記載された電源回路、特許文献5(特開昭58−6032)に記載された定電圧電源の保護回路、特許文献6(特開平1−144314)に記載された電源装置、及び特許文献7(特開平5−130730)に記載されたDC−DCコンバータの保護回路が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−144737
【特許文献2】特開平3−214067
【特許文献3】特開2007−43822
【特許文献4】特開昭56−139028
【特許文献5】特開昭58−6032
【特許文献6】特開平1−144314
【特許文献7】特開平5−130730
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1は、本願発明者が考えた過電圧保護回路の一例を示す回路図である。図1に示される過電圧保護回路は、ヒューズF1、ツェナーダイオードD1、抵抗R1、及びサイリスタD2を備えている。ヒューズF1は、高電圧入力端IN+と負荷とを接続する高電圧入力ラインに設けられている。ツェナーダイオードD1は、カソードで高電圧入力ラインに接続されている。ツェナーダイオードD1のアノードは、抵抗R1を介して、低電圧入力ライン(低電圧入力端IN−と負荷とを接続するライン)に接続されている。サイリスタD2は、アノードで高電圧入力ラインに接続されており、カソードで低電圧入力ラインに接続されている。また、ツェナーダイオードD1のアノードは、サイリスタD2のゲートに接続されている。
【0008】
図1に示される過電圧保護回路において、入力ライン間に過電圧が印加されると、ツェナーダイオードD1が逆方向に導通する。その結果、サイリスタD2のゲートにゲート電流が流れる。サイリスタD2のアノードとカソード間が導通状態となり、高電圧入力ラインと低電圧入力ラインとの間が導通する。その結果、短絡電流が高電圧入力端IN+からサイリスタD2を介して低電圧入力端IN−に流れ、ヒューズF1が溶断する。従って、負荷に対して過電圧が印加されることが防止され、負荷の故障が防止される。
【0009】
ところで、過電圧の発生が瞬間的である場合には、負荷が過電圧の影響を受けないことがある。従って、過電圧の発生が瞬間的である場合には、負荷を過電圧から保護する必要は無いと考えられる。しかしながら、図1に示される過電圧保護回路では、瞬間的であっても、過電圧が印加されると、サイリスタD2のゲートに、ゲートトリガ電圧以上の電圧が印加される。その結果、サイリスタD2が導通する。サイリスタD2は、一度導通状態になると、保持電流以上の電流が流れていれば、導通状態を保持する。サイリスタをオフ状態にするためには、アノード電流を保持電流以下にするか、アノードをある一定以上の時間、逆バイアスにするしかない。そのため、瞬間的であったとしても、過電圧が発生すれば、短絡電流が流れ続け、ヒューズF1が確実に溶断される。その後、負荷に対して所望する電圧を供給するためには、溶断されたヒューズF1を修理しなければならない。
【0010】
また、サイリスタD2は、何らかの原因により、誤点弧することも考えられる。サイリスタD2が誤点弧した場合も、瞬間的に過電圧が発生した場合と同様に、短絡電流が流れつづけ、ヒューズF1が確実に溶断されてしまう。
【0011】
すなわち、図1に示される過電圧保護回路では、負荷に対する電圧供給が不必要に遮断されてしまうことがある、という問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る過電圧保護回路は、第1電圧供給端と負荷とを接続する第1入力ラインに設けられ、所定値以上の電流が流れると切断される、過電流遮断回路と、前記第1入力ラインと、第2電圧供給端と負荷とを接続する第2入力ラインとの間に介装される、サイリスタと、前記サイリスタと前記第1入力ラインとの間に介装され、前記サイリスタと前記第1入力ラインとを導通させるか否かを切り替える、スイッチ回路と、一端で前記第1入力ラインに接続され、他端で前記第2入力ラインに接続され、前記第1入力ラインと前記第2入力ラインとの間の電圧差が予め設定された制限電圧以上になった場合に、前記第1入力ラインを前記サイリスタのゲートと導通させる、過電圧検出回路と、前記スイッチ回路の動作を制御する、制御回路とを具備する。前記サイリスタのゲートにゲートトリガ電圧以上の電圧が印加された期間が、予め設定された制限期間を超えた場合に、前記制御手段は、前記サイリスタが前記第1入力ラインと導通するように、前記スイッチ回路の動作を制御する。
【0013】
本発明に係る電圧保護方法は、第1電圧供給端と負荷とを接続する第1入力ラインと、第2電圧供給端と前記負荷とを接続する第2入力ラインとの間の電圧差が、予め設定された制限電圧以上であるか否かを検出するステップと、前記電圧差が前記制限電圧以上である場合に、前記第1入力ラインと、第2電圧供給端と負荷とを接続する第2入力ラインにカソードで接続されるサイリスタのゲートとを、導通させるステップと、前記サイリスタのゲートに前記制限電圧以上の電圧が印加された期間が、予め設定された制限期間を超えた場合に、前記サイリスタのアノードと前記第1入力ラインとを導通させるステップとを具備する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、負荷に対する電圧供給が不必要に遮断されることの無い、過電圧保護回路、及び過電圧保護方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、過電圧保護回路の一例を示す回路図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る過電圧保護回路が適用される電気回路を示す概略図である。
【図3】図3は、第2の実施形態に係る過電圧保護回路を示す構成図である。
【図4】図4は、第3の実施形態に係る過電圧保護回路を示す構成図である。
【図5】図5は、第4の実施形態に係る過電圧保護回路を示す構成図である。
【図6】図6は、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせた過電圧保護回路を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態と第4の実施形態を組み合わせた過電圧保護回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図2は、本実施形態に係る過電圧保護回路1が適用される電気回路を示す概略図である。この電気回路は、過電圧保護回路1に加え、負荷2、高電圧入力端3(第1電圧入力端)、及び低電圧入力端4(第2電圧入力端)を有している。高電圧入力端3は、高電圧入力ライン20(第1電圧入力ライン)を介して負荷2に接続されており、負荷2に対して高電圧を供給する。低電圧入力端4は、低電圧入力ライン21(第2電圧入力ライン)を介して負荷2に接続されており、負荷2に対して低電圧を供給する。
【0018】
過電圧保護回路1は、負荷2に対して、負荷2が故障してしまうような過電圧が供給されてしまうことを防止する回路である。過電圧保護回路1は、ヒューズ23、過電圧検出回路5、サイリスタ6、制御回路7、及びスイッチ回路8を備えている。
【0019】
ヒューズ23は、高電圧入力ライン20に介装されている。ヒューズ23は、所定値以上の電流が流れると切断される過電流遮断回路として機能する。
【0020】
サイリスタ6は、過電圧が発生した場合に、高電圧入力ライン20と低電圧入力ライン21とを短絡させるために設けられている。サイリスタ6は、アノード側で高電圧入力ライン20に接続され、カソード側で低電圧入力ライン21に接続されている。
【0021】
過電圧検出回路5は、入力ライン(20、21)間に過電圧が発生しているか否かを検出するために設けられている。過電圧検出回路5は、入力ライン間の電圧差が予め設定された制限電圧以上になった場合に、過電圧の発生を検知する。そして、サイリスタ6のゲートを高電圧入力ライン20と導通させる。具体的には、過電圧検出回路5は、ツェナーダイオード9及び抵抗素子10を有している。ツェナーダイオード9は、カソードで高電圧入力ライン20に接続されており、アノードで抵抗素子10の一端に接続されている。また、ツェナーダイオード9のアノードは、サイリスタ6のゲートに接続されている。抵抗素子10の他端は、低電圧入力ライン21に接続されている。このような構成を採用すれば、入力ライン(20、21)間の電圧差が制限電圧(ツェナーダイオード9が導通するような電圧)以上になった場合(過電圧が発生した場合)に、ツェナーダイオード9を介して、サイリスタ6のゲートと高電圧入力ライン20とが導通する。その結果、サイリスタ6のゲートに、ゲートトリガ電圧以上の電圧が印加され、サイリスタ6がオン状態になる。
【0022】
スイッチ回路8は、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとの間を導通させるか否かを切り替えるように、設けられている。
【0023】
制御回路7は、スイッチ回路8の動作を制御する回路である。制御回路7は、サイリスタ6のゲートに接続されている。制御回路7は、サイリスタ6のゲート電圧がゲートトリガ電圧以上となった期間が、予め設定された制限期間を超えたか否かを検出する。そして、制限期間を超えた場合にのみ、スイッチ回路8に対して、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとを導通させるような制御信号を送出する。すなわち、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとの間は、サイリスタ6のゲートに、パルス幅が制限期間以上であるゲートトリガ電圧以上の電圧信号が印加された場合にのみ、導通する。尚、制限期間は、過電圧が負荷2に供給された時間が制限期間以内であれば負荷2が故障しないような長さに、設定される。
【0024】
続いて、過電圧保護回路1の動作方法について説明する。正常時運転時には、入力ライン(20、21)間に12VDCの電圧が印加されるものと仮定する。そして、負荷2の入力電圧の絶対最大定格にマージンを考慮して、制限電圧として16VDCが設定されているものとする。すなわち、ツェナーダイオード9のツェナー電圧が、入力ライン(20、21)間に16V以上の電圧が印加された場合にツェナーダイオード9が逆方向にも導通するように、設定されているものとする。
【0025】
何らかの理由により、高電圧入力端3と低電圧入力端4との間の電圧が16Vに達したものとする。このとき、ツェナーダイオード9は、逆方向にも導通し、サイリスタ6のゲートにゲート電流が流れる。その結果、サイリスタ6のゲート電圧は、ゲートトリガ電圧以上になる。
【0026】
ここで、サイリスタ6のゲート電圧がゲートトリガ電圧以上となった時間(期間)が制限期間を超えた場合、制御回路7は、スイッチ回路8に対して、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとを導通させるような制御信号を送出する。その結果、サイリスタ6のアノードとカソード間が導通状態となり、入力ライン(20、21)間が短絡する。これにより、高電圧入力端3から、ヒューズ23、及びサイリスタ6を介して、低電圧入力端4に短絡電流が流れる。ヒューズ23が溶断され、負荷2に過電圧(16Vを越える電圧)が印加されることが防止される。すなわち、負荷は、過電圧から保護される。
【0027】
一方で、サイリスタ6のゲート電圧がゲートトリガ電圧以上となったとしても、その期間が制限期間を超えない場合、制御回路7は、スイッチ回路8に対して、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとの間を遮断するような制御信号を送出する。この場合、入力ライン(20、21)間が短絡することはなく、ヒューズ23は溶断されない。負荷2に対しては、瞬間的に過電圧が印加されることになる。しかし、負荷2過電圧が加えられる期間は制限期間内であるため、負荷2が故障することも無い。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、入力ライン(20、21)間に過電圧が印加されたとしても、制限期間を超えない限り、入力ライン(20、21)間が短絡しない。従って、過電圧の発生が瞬間的である場合、及び瞬間的なノイズによりサイリスタ6のゲートにゲートトリガ電圧以上の電圧が加わりサイリスタ6が誤点弧した場合などにおいては、ヒューズ23が溶断されない。従って、不必要にヒューズ23が溶断されることが防止される。
【0029】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。図3は、本実施形態に係る過電圧保護回路1を示す構成図である。本実施形態では、制御回路7の具体的構成について説明する。制御回路7の構成以外については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、スイッチ回路8は、制御回路7からロウレベル電圧を取得した場合に、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとを導通させ、ハイレベル電圧を取得した場合に、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとの間を遮断するように構成されている。
【0030】
図3に示されるように、制御回路7は、コンパレータ12、CR積分回路11、およびツェナーダイオード18を備えている。
【0031】
CR積分回路11は、容量素子19、抵抗素子14、及び抵抗素子15を備えている。容量素子19は、一端でサイリスタ6のゲートに接続され、他端で低電圧入力ライン21に接続されている。抵抗素子14は、一端でサイリスタ6のゲートに接続され、他端で抵抗素子15の一端に接続されている。抵抗素子15の他端は、コンパレータ12の反転入力端に接続されている。
【0032】
コンパレータ12は、ハイレベル電圧端子33から供給されるハイレベル電圧と、低電圧供給端4から供給される低電圧(ロウレベル電圧)との何れかを出力するように構成されている。コンパレータ12の出力端は、スイッチ回路8に接続されている。コンパレータ12の反転入力端は、既述のように、CR積分回路11に接続されている。コンパレータの非反転入力端は、抵抗素子16を介して、ツェナーダイオード18のカソードに接続されている。また、非反転入力端は、抵抗素子17を介して、低電圧入力ライン21に接続されている。抵抗素子17、抵抗素子16、及び抵抗素子13は、コンパレータ12の非反転入力端に、基準電圧が印加されるように、設計されている。コンパレータ12は、反転入力端に印加された電圧が基準電圧を超えた場合にロウレベル電圧を出力し、反転入力端に印加された電圧が基準電圧よりも低い場合にハイレベル電圧を出力するように、構成されている。
【0033】
ツェナーダイオード18は、アノードで低電圧入力ライン21に接続されている。ツェナーダイオード18のカソードは、抵抗素子13を介して、ハイレベル電圧端子33に接続されている。
【0034】
CR積分回路11の時定数は、サイリスタ6のゲート電圧にゲートトリガ電圧以上の電圧が印加された期間が制限期間を超えた場合にコンパレータ12の反転入力端に対して基準電圧を超える電圧が供給されるように、設定されている。
【0035】
本実施形態によれば、サイリスタ6のゲート電圧が定常的にゲートトリガ電圧以上になった場合(制限期間を超えてゲート電圧がゲートトリガ電圧以上になった場合)、CR積分回路14が、コンパレータ15に対して、基準電圧以上の電圧を供給する。その結果、コンパレータ12は、ロウレベル電圧をスイッチ回路8に出力する。スイッチ回路8は、ロウレベル電圧を取得すると、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとの間を導通させる。その結果、短絡電流が流れ、ヒューズ23が溶断される。
【0036】
一方、過電圧の発生が瞬間的である場合には、CR積分回路14は、コンパレータ15に対して、基準電圧を下回る電圧を供給する。その結果、コンパレータ15は、スイッチ回路8に、ハイレベル電圧を出力する。スイッチ回路8は、ハイレベル電圧を取得すると、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとの間を遮断する。従って、短絡電流が流れることはなく、ヒューズ23は溶断されない。ゲートトリガ電圧以上のノイズがゲートに加わることによりサイリスタ6が誤点弧した場合も、同様に、ヒューズ23は溶断されない。通常動作時も、同様に、ヒューズ23は溶断されない。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のような構成を採用しても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係る過電圧保護回路1を示す構成図である。本実施形態では、スイッチ回路8の具体的構成について説明する。図4に示されるように、スイッチ回路8は、トランジスタ25、及びPチャネル型MOSFET24を備えている。
【0039】
FET24は、ソースで高電圧入力ライン20に接続され、ドレインでサイリスタ6のアノードに接続されている。FET24のゲートは、抵抗素子29を介して、接地されている。
【0040】
トランジスタ25のベースは、抵抗素子28を介して制御回路7に接続されている。また、トランジスタ25のエミッタは、FET24のゲートに接続されている。トランジスタのコレクタは、高電圧入力ライン20に接続されている。トランジスタ25のベースは、抵抗素子27を介して、トランジスタ25のコレクタに接続されている。また、トランジスタ25のコレクタは、抵抗素子26を介して、トランジスタ25のエミッタと接続されている。
【0041】
スイッチ回路8として上述のような構成を採用すれば、制御回路7からロウレベル電圧が供給された場合に、サイリスタ6のアノードと高電圧入力ライン20とを導通させることができる。また、制御回路7からハイレベル電圧が供給された場合に、サイリスタ6のアノードを高電圧入力ライン20から遮断することができる。すなわち、制御回路7がロウレベル電圧を出力した場合、トランジスタ25がオフ状態になり、FET24がオン状態になる。一方、制御回路7がハイレベル電圧を出力した場合、トランジスタ25がオン状態になり、FET24がオフ状態になる。従って、制御回路7が、過電圧が定常的に発生した場合にのみロウレベル電圧を出力するように構成されていれば、過電圧が定常的に発生した場合にのみ、高電圧入力ライン20と低電圧入力ライン21とを短絡させることができる。その結果、既述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係る過電圧保護回路1を示す構成図である。本実施形態では、第3の実施形態に対して、スイッチ回路8の具体的構成が変更されている。その他の点については、第3の実施形態と同様の構成を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0043】
図5に示されるように、スイッチ回路8は、ノーマリオンのフォトMOSリレー回路を備えている。すなわち、スイッチ回路8は、フォトダイオード31、及びスイッチ素子32を備えている。フォトダイオード31のアノードは、抵抗素子30を介して、制御回路7に接続されている。フォトダイオード31のカソードは、接地されている。スイッチ素子32は、高電圧入力ライン20とサイリスタ6のアノードとの間に介装されており、フォトダイオード31が発光した場合にオフ状態になり、フォトダイオード31が発光していない場合にはオン状態になるように構成されている。
【0044】
本実施形態のような構成を採用しても、制御回路7が、過電圧が定常的に発生した場合にのみロウレベル電圧を出力するように構成されていれば、過電圧が定常的に発生した場合にのみ、フォトダイオード31が消光し、高電圧入力ライン20と低電圧入力ライン21とを短絡させることができる。その結果、既述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
以上、本発明について、第1の実施形態乃至第4の実施形態について説明した。尚、これらの実施形態は互いに独立するものではなく、矛盾の無い範囲内で組み合わせて用いることも可能である。
【0046】
図6は、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせた過電圧保護回路1を示す図である。図6に示される例では、制御回路7として、CR積分回路11及びコンパレータ12を含む回路が用いられ、スイッチ回路8として、トランジスタ25及びFET24を含む回路が用いられている。このような構成を採用しても、既述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
また、図7は、第2の実施形態と第4の実施形態を組み合わせた過電圧保護回路1を示す図である。図7に示される例では、制御回路7として、CR積分回路11及びコンパレータ12を含む回路が用いられ、スイッチ回路8として、ノーマリオンのフォトMOSリレー回路が用いられている。このような構成を採用しても、既述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 過電圧保護回路
2 負荷
3 高電圧入力端
4 低電圧入力端
5 過電圧検出回路
6 サイリスタ
7 制御回路
8 スイッチ回路
9 ツェナーダイオード
10 抵抗素子
11 CR積分回路
12 コンパレータ
13 抵抗素子
14 抵抗素子
15 抵抗素子
16 抵抗素子
17 抵抗素子
18 ツェナーダイオード
19 容量素子
20 高電圧入力ライン
21 低電圧入力ライン
23 ヒューズ
24 FET
25 トランジスタ
26 抵抗素子
27 抵抗素子
28 抵抗素子
29 抵抗素子
30 抵抗素子
31 フォトダイオード
32 スイッチ素子
33 ハイレベル電圧供給端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧供給端と負荷とを接続する第1入力ラインに設けられ、所定値以上の電流が流れると切断される、過電流遮断回路と、
前記第1入力ラインと、第2電圧供給端と前記負荷とを接続する第2入力ラインとの間に介装される、サイリスタと、
前記サイリスタと前記第1入力ラインとの間に介装され、前記サイリスタと前記第1入力ラインとを導通させるか否かを切り替える、スイッチ回路と、
前記第1入力ラインと前記第2入力ラインとの間の電圧差が予め設定された制限電圧以上になった場合に、前記第1入力ラインを前記サイリスタのゲートと導通させる、過電圧検出回路と、
前記スイッチ回路の動作を制御する、制御回路と、
を具備し、
前記制御手段は、前記サイリスタのゲートにゲートトリガ以上の電圧が印加された期間が、予め設定された制限期間を超えた場合に、前記サイリスタと前記第1入力ラインとを導通させるように、前記スイッチ回路の動作を制御する
過電圧保護回路。
【請求項2】
請求項1に記載された過電圧保護回路であって、
前記制御回路は、
入力端が前記サイリスタのゲートに接続された、CR積分回路と、
前記CR積分回路の出力端から出力されるCR積分回路出力電圧を予め定められた基準電圧と比較し、比較結果を示す信号をスイッチ回路制御信号として前記スイッチ回路に供給する、コンパレータとを備え、
前記コンパレータは、前記CR積分回路出力電圧が前記基準電圧を超えた場合に、前記スイッチ回路がオン状態になるような信号を、前記スイッチ回路制御信号として供給する
過電圧保護回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された過電圧保護回路であって、
前記スイッチ回路は、電界効果型トランジスタを含んでいる
過電圧保護回路。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された過電圧保護回路であって、
前記スイッチ回路は、フォトMOSリレ−回路を有している
過電圧保護回路。
【請求項5】
第1電圧供給端と負荷とを接続する第1入力ラインと、第2電圧供給端と前記負荷とを接続する第2入力ラインとの間の電圧差が、予め設定された制限電圧以上であるか否かを検出するステップと、
前記電圧差が前記制限電圧以上である場合に、前記第1入力ラインと、第2電圧供給端と負荷とを接続する第2入力ラインにカソードで接続されるサイリスタのゲートとを、導通させるステップと、
前記サイリスタのゲートに前記制限電圧以上の電圧が印加された期間が、予め設定された制限期間を超えた場合に、前記サイリスタのアノードと前記第1入力ラインとを導通させるステップと、
を具備する
過電圧保護方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−152003(P2011−152003A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12550(P2010−12550)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】