説明

道路交通支援用通信方式および道路交通支援用通信システム

【課題】線路と垂直の方向にオムニアンテナに近いアンテナ利得を実現することで、少なくともNデシベルのアンテナ利得を実現する方法を提供する。
【解決手段】本願は主に道路標識等の情報を車両などに伝えるための無電源無線タグシステムに関わる。無電源無線タグの通信距離を少なくとも20m以上とするために、道路標識上に装着する無電源無線タグのアンテナに高アンテナ利得を確保する方法を提供する。すなわち、アンテナを両面基板型の平衡線路で形成したN段のコリニア型アンテナとするとともに、基板を透磁性体を有する部分を含む基材を挟む平衡線路により構成することにより線路と垂直の方向にオムニアンテナに近いアンテナ利得を実現することで、少なくともNデシベルのアンテナ利得を実現する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路交通の安全を確保するための道路標識の示す情報を車両もしくは当該情報を必要とする対象に無線伝送するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通において交通事故の発生は、交差点近傍における衝突が最も多いが、次に多いものとしては出会いがしらの事故が挙げられる。さらには高齢者の歩行ないし運転する車両との事故が挙げられる。道路交通の安全確保の観点から見れば、これらは一時停止無視や最高速度規制の遵守違反、横断道路近傍における不注意や、速度の異なる交通体に対する注意不足や無視によるものが大半であることが近年の統計から明らかである。
交通の規律の柱である道路標識は、現在、運転者の視認すなわち視覚のみに依存している。
しかし、大型車両の直後を進行する小型車両の運転席からは、道路標識は見えない場合が多い。また、天候により視認に困難な場合も少なくない。大量の降雪が道路標識の表示を覆い隠す場合もある。地震や洪水により道路標識が転倒して見えない場合もある(例えば特許文献1)。
こうした場合に対処するためには、車両の運転者が、道路標識もしくは信号機の示す情報を、直接の視認以外の方法で取得できなければならない。
【特許文献1】特開2006−31072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような問題を解決しようとするもので、線路と垂直の方向にオムニアンテナに近いアンテナ利得を実現することで、少なくともNデシベルのアンテナ利得を実現する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ほぼ平面の基板の表裏に平衡線路を形成する場合に基板の一方または両面の表層部分を透磁性材料とした平衡線路構造体により構成したN段のコリニア型アンテナと、該アンテナを周近傍に配置した道路標識などの標識と、該アンテナを用いて作動する無線タグと、車両側に搭載された無線タグリーダーから構成することにより、該標識へ進行する該車両など交通体へ指向性ならびにアンテナ利得を確立した無線タグシステムによる道路交通支援用通信方式である。
【発明の効果】
【0005】
以上から本願によれば、主に道路標識等の情報を車両などに伝えるための道路標識等の上に装着する形態の無電源無線タグシステムを実現でき、無電源無線タグの通信距離を少なくとも20m以上とするが可能となる。これにより道路上を走行中の車両などに対して、進行方向上の道路標識や安全運転性を向上させるに資する各種の無線タグからの情報を送ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0007】
以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
【0008】
視認を支える情報伝達は光によるものであるので、他の通信手段である無線伝送が望ましい。無線伝送は、周波数によっては、直接に見えない相互の位置であっても反射や回折により可能となる利点がある。
【0009】
しかし、道路標識においては、通常は電源を有しない。したがって通信システムとしては無線タグが望ましい。
【0010】
しかしながら、これまでの公知技術によれば、実現性が欠ける。たとえば、図6に示す従来例1の平成18年2月2日(2006.2.2)公開の車両の運転支援システム(出願番号特願2004−204277(P2004−204277)(出願 平成16年7月12日))によれば、トンネル内などGPS衛星からの電波を正常に受信できない環境、雪や濃霧などの天候によって道路標識が見えなくなっている環境であっても車両の現在位置を正しく提示し、安全な運転を支援することができる車両の運転支援システムを提供することを目的に、道路面や道路の付帯工作物に取付けた無線タグから現在位置情報などを受信して車両の運転を支援する運転支援システムを示している。とくにまた、道路に常設または一時的に設置されている道路標識などの付帯工作物に取付けられた無線タグから交通規制情報や工事情報などの告知情報を受信し、当該告知情報を車載の音声または文字出力手段から出力する(またはカーナビゲーションシステムに入力して音声で発音または文字で表示させる)ことにより、霧や雪などの悪天候などで見えにくかったり、見過ごした標識などに書かれていた道路情報などを確実に運転手あるいは同乗者に提供し、安全な走行を支援することができるとしている。
【0011】
しかしながら、道路標識と車両間の距離を通信するために必要な手段については、「どの周波数の無線タグを使用するかは無線タグアンテナとのデータ通信距離を考慮したものを適宜使用する。現時点で製品化されている無線タグのうち、データ通信距離が長く小型化できるUHF帯や2.45GHz帯の無線タグが存在するが、水分に非常に弱く、雨などが降るとデータ通信距離が落ちることが多いため、小型化は出来ないが2m程度のデータ通信距離がある135kHz以下の無線ICタグを使用することが望ましい。ただし、それらの欠点が補える無線タグが登場してきた場合、よりデータ通信距離が長くより小型のものを選択することは言うまでもない。また、前述の無線タグとのデータ通信を行う無線タグアンテナは、無線タグとのデータ通信距離を考慮した大きさと性能の製品を選択することも言うまでもない。」との記述を示すのみであり、実現性は確立されていない。
本願は道路標識の示す交通情報が運転中の車両に届き、その運転に反映できるためには、市街地の毎時30kmの速度で2秒以上手前で運転者に届く必要があるとの判断から、約20mの通信距離を確保する必要があるとした。当然ながら高速道路等で毎時80kmの速度では20mは十分ではなく、さらなる手段が必要である。
【0012】
総務省における900MHz帯無線タグシステムの答申によれば、標準的な回線設計値はつぎのように示されている。
【0013】
すなわち、リーダ/ライタの送信電力を30dBm、リーダ/ライタのアンテナ利得を6dBi、無線タグのアンテナ利得を0dBi、通信距離を5mとした場合に、自由空間伝搬損失は46dBとなり、無線タグの受信電力は-10dBmとなる。無線タグ内での損失電力を9dBと設定した場合に、無線タグからの再送信電力すなわち反射電力は-19dBmとなる。この電力は自由空間伝搬損失で減少しリーダ/ライタのアンテナ利得で増強され、リーダ/ライタの受信電力は-59dBmとなる。
【0014】
通信距離dを30mとすると、自由空間伝搬損失Lossは次の数1で与えられ、
【0015】
【数1】

【0016】
となる。すなわち、通信距離5mに比較して15dBの電力強化が必要となる。
【0017】
無線タグの通信距離を拡大する方策を従来例2として以下に示す。電子情報通信学会アンテナ研究会AP2004-333(2005年3月発表)の図8によれば、受信信号をCockcroft-Walton方式による昇圧整流器により大きな電圧を蓄電できるとされる。しかし、蓄電電圧が高いことと、蓄電電力が高いことは等しくない。すなわち、如何に倍電圧整流で高い電圧を蓄電しても、電力の観点からは受信電力を超えることは不可能である。これについて以下、説明する。
【0018】
いま、受信電力をPr(ワット)とし、受信回路の線路もしくは終端インピーダンスをZr(オーム)とすると、受信電圧 (ボルト)は次の数2で与えられる。
【0019】
【数2】

【0020】
両波整流もしくはブリッジ型整流ではすべての半波期間毎に受信電圧νrを得られるのでこれにより倍電圧整流器1段当りに相当する蓄電用キャパシタCrに蓄電される電荷Qrは、整流器による電圧減衰を無視した場合には、
【0021】
【数3】

【0022】
となる。
【0023】
他方、倍電圧整流の段数をn段とすると、倍電圧整流回路のそれぞれのキャパシタに積み上げられる単位受信電圧νrは半波期間毎に重畳されるので、n倍電圧が得られるまでの時間はn周期であるn・T/2(秒)が必要である。
【0024】
他方、n倍電圧を蓄電するキャパシタは倍電圧整流器1段当りに相当する蓄電用キャパシタCr を直列接続したものに相当するので、合成キャパシタンスはCr/nと考えられる。倍電圧整流により蓄積される総電荷Qrは
【0025】
【数4】

【0026】
(2)式と(3)式を比較すると、(3)式がn倍の電荷を有することが分かる。しかし、(3)式が成立するまでにはn・T/2(秒)が必要である。他方、(2)式はT/2(秒)で達成される。
電力は単位時間当たりのエネルギーであるので、(2)式および(3)式を電力の次元に換算するために必要な期間で割ると、前記数3は、
【0027】
【数5】

【0028】
前記数4は、
【0029】
【数6】

【0030】
となり、どちらの方式でも単位時間当たりの電力は等しいことが分かる。
ここでΔp0は、倍電圧整流をしない場合の半周期当りの電力を、Δpnは倍電圧整流を
した場合の半周期当りの電力を示す。
【0031】
無線タグにおいては、この蓄積された受信電力を再送信の電力に変換するので、引例2の示す倍電圧整流の手段が再送信の電力を直接に向上できることではないことが示される。
【0032】
引例2の効果は、倍電圧整流を施すことにより、無線タグ側の半導体回路への電源電圧を高く保てることにあり、結果的に距離拡大がされることにある。
【0033】
本願においては、世界的に許可されている無線タグの仕様に基づいたリーダライタの送信出力に従った上で、前述の距離を通信できる無線タグのシステムを提供するものである。
【0034】
第1の手段としては、受信電力ならびに再送信電力を高めることが必須要件であることから、無線タグ側のアンテナ利得の向上手段を提供する。
【0035】
第2の手段としては、受信電力を蓄電する手段の高速応答化と多段化
【0036】
図1は本願の第1の実施方法を示す。これは、受信電力を高めるため道路標識の形態に即した方式の高利得アンテナを提供するものである。
【0037】
図1の構成について説明する。1は対象とする道路標識の基板であり、2は道路標識の意図する文字もしくは図形による標識情報であり、3はこれら道路標識を道路に設置するための支持体である。
【0038】
4は無線タグの本体部であり、5は第1のアンテナ素子、6は第2のアンテナ素子、7は第3のアンテナ素子、8は第4のアンテナ素子、9は第5のアンテナ素子、10は第6のアンテナ素子、11は第7のアンテナ素子、12は第8のアンテナ素子、13は第9のアンテナ素子、14は第10のアンテナ素子を示す。15はこれらのアンテナ素子全体を支える基板であり、16は前記の道路標識の基板1が金属製である場合に発生するアンテナ性能の劣化を防ぐための透磁性材料等を含む基板であり前記基盤15と各アンテナ素子との間もしくは基板15と道路標識1との間に挿入される。
【0039】
17は第1のアンテナ素子5の放射用線路、18は第2のアンテナ素子6の放射用線路、19は第3のアンテナ素子7の放射用線路、20は第4のアンテナ素子8の放射用線路、21は第5のアンテナ素子9の放射用線路、22は第6のアンテナ素子10の放射用線路、23は第7のアンテナ素子11の放射用線路、24は第8のアンテナ素子12の放射用線路、25は第9のアンテナ素子13の放射用線路、26は第10のアンテナ素子14の放射用線路を示す。27は無線タグ本体部4を実装するために基板であり、基板15と円環として一体化が可能である。
【0040】
28は第1のアンテナ素子5と第2のアンテナ素子6との間隙であり両アンテナの線路および接地導体の接続に供される。29は第2のアンテナ素子6と第3のアンテナ素子7との間隙であり両アンテナの線路および接地導体の接続に供される。30は第3のアンテナ素子7と第4のアンテナ素子8との間隙であり両アンテナの線路および接地導体の接続に供される。31は第4のアンテナ素子8と第5のアンテナ素子9との間隙であり両アンテナの線路および接地導体の接続に供される。32は第6のアンテナ素子10と第7のアンテナ素子11との間隙であり両アンテナの線路および接地導体の接続に供される。33は第7のアンテナ素子11と第8のアンテナ素子12との間隙であり両アンテナの線路および接地導体の接続に供される。34は第8のアンテナ素子12と第9のアンテナ素子13との間隙であり両アンテナの線路および接地導体の接続に供される。35は第9のアンテナ素子13と第10のアンテナ素子14との間隙であり両アンテナの線路および接地導体の接続に供される。
【0041】
図1に基づき、本願第1の実施方法の原理について説明する。無線タグ4は、1、2、3から成る道路標識の意図する標識情報を内部記憶手段内に格納している。無線タグ4からの送受信用アンテナ線ならびに接地線は隣接の第1のアンテナ素子5および第6のアンテナ素子10に接続される。第1のアンテナ素子5と第6のアンテナ素子10はそれぞれ放射用線路17および22を有し、その長さは対象とする無線周波数の有する波長の各1/4である。無線タグのアンテナ回路は平衡とすると、第1のアンテナ素子5と第6のアンテナ素子10は一体のダイポールアンテナとして機能する。
【0042】
第1のアンテナ素子5と第2のアンテナ素子6の間は、絶縁するとともに第1のアンテナ素子5の放射線路17の遠点は第2のアンテナ素子6の接地導体に接続する。同時に第1のアンテナ素子5の接地導体の遠点は第2のアンテナ素子6の放射線路18に接続する。
【0043】
第2のアンテナ素子6と第3のアンテナ素子7の間は、絶縁するとともに第2のアンテナ素子6の放射線路18の遠点は第3のアンテナ素子7の接地導体に接続する。同時に第2のアンテナ素子6の接地導体の遠点は第3のアンテナ素子7の放射線路19に接続する。
【0044】
第3のアンテナ素子7と第4のアンテナ素子8の間は、絶縁するとともに第3のアンテナ素子7の放射線路19の遠点は第4のアンテナ素子8の接地導体に接続する。同時に第3のアンテナ素子7の接地導体の遠点は第4のアンテナ素子8の放射線路20に接続する。
【0045】
第4のアンテナ素子8と第5のアンテナ素子9の間は、絶縁するとともに第4のアンテナ素子8の放射線路20の遠点は第5のアンテナ素子9の接地導体に接続する。同時に第4のアンテナ素子8の接地導体の遠点は第5のアンテナ素子9の放射線路21に接続する。
【0046】
第6のアンテナ素子10と第7のアンテナ素子11の間は、絶縁するとともに第6のアンテナ素子10の放射線路22の遠点は第7のアンテナ素子11の接地導体に接続する。同時に第6のアンテナ素子10の接地導体の遠点は第7のアンテナ素子11の放射線路23に接続する。
【0047】
第7のアンテナ素子11と第8のアンテナ素子12の間は、絶縁するとともに第7のアンテナ素子11の放射線路23の遠点は第8のアンテナ素子12の接地導体に接続する。同時に第7のアンテナ素子11の接地導体の遠点は第8のアンテナ素子12の放射線路24に接続する。
【0048】
第8のアンテナ素子12と第9のアンテナ素子13の間は、絶縁するとともに第8のアンテナ素子12の放射線路24の遠点は第9のアンテナ素子13の接地導体に接続する。同時に第8のアンテナ素子12の接地導体の遠点は第9のアンテナ素子13の放射線路25に接続する。
【0049】
第9のアンテナ素子13と第10のアンテナ素子14の間は、絶縁するとともに第9のアンテナ素子13の放射線路25の遠点は第10のアンテナ素子26の接地導体に接続する。同時に第9アンテナ素子13の接地導体の遠点は第10にアンテナ素子14の放射線路26に接続する。
【0050】
以上において、放射線路18、19、20、21、22、23、24、25、26の長さは対象とする無線周波数の有する波長の各1/2である。
【0051】
図2は、図1に示したアンテナの動作原理を説明するものである。
【0052】
101は給電線の中心導体であり、102は給電線が外被導体であり、103はアンテナの放射線路との接続線であり、104はアンテナ接地導体との接続線であり、105は第1のアンテナの放射導体であり、106は第1のアンテナの接地導体であり、107は第1のアンテナの誘電材料からなる構造基板であり、108は第1のアンテナの放射導体105と第2のアンテナの接地導体111との接続線であり、109は第1のアンテナの接地導体106と第2のアンテナの放射導体110との接続線であり、110は第2のアンテナの放射導体であり、111は第2のアンテナの接地導体であり、112は第2のアンテナの誘電材料からなる構造基板であり、113は第2のアンテナの放射導体110と第3のアンテナの接地導体116との接続線であり、114は第2のアンテナの接地導体111と第3のアンテナの放射導体115との接続線であり、115は第3のアンテナの放射導体であり、116は第3のアンテナの接地導体であり、117は第3のアンテナの誘電材料からなる構造基板であり、118は第3のアンテナの放射導体115の遠点を第3のアンテナの接地導体116に短絡接続する接続線である。
【0053】
アンテナの放射導体の長さは第1のアンテナ105においては対象とする無線周波数の有する波長の1/4を、第2のアンテナ110および第3のアンテナ115においては対象とする無線周波数の有する波長の1/2とする。
【0054】
図2の構成は、いわゆるコリニアアンテナと呼ぶ形式に属するアンテナとして働く。
第1のアンテナ105、第2のアンテナ110、第3のアンテナ115の線路インピーダンスは給電線101、102の線路インピーダンスに等しいとすると、対象とする無線周波数の信号に対して、第1から第3までのアンテナ上には定在波が発生する。定在波は給電線101との接続点で電圧極大の状況となり、1/4波長離れた第1のアンテナ105の遠点108付近では電圧ゼロで電流極大の状況となる。第2のアンテナ110に対しては第1のアンテナ105と放射導体と接地導体の接続を逆にすることにより、第2のアンテナ110においては本来は位相遅れにより極性が反転するところを第1のアンテナの接地導体106からの逆相の電流を放射導体110に導くことで正相の電圧定在波が得られる。第2のアンテナ110は波長の1/2の長さにより構成されており、遠点113にては再び電圧ゼロで電流極大の状況となる。そこで前回と同様にして第3のアンテナ115に対しては第2のアンテナ110と放射導体と接地導体の接続を逆にすることにより、第3のアンテナ115においては本来は位相遅れにより極性が反転するところを第2のアンテナの接地導体111からの逆相の電流を放射導体115に導くことで正相の電圧定在波が得られる。第3のアンテナ110も波長の1/2の長さにより構成されており、遠点118にては再び電圧ゼロで電流極大の状況となる。図2においては3素子アンテナの例を示しているので、接地導体116側の電流を放射導体115側へ、放射導体115側の電流を接地導体116側へ導くために短絡導体118を設けてある。
【0055】
以上から、図2に示した3素子のアンテナはすべて同相の電圧定在波119、120、121の如く各放射線路上に生成できる。
【0056】
ここで、放射導体と接地導体との間の相互誘導すなわち相互インダクタンスを低く抑えるならば、放射導体表面から接地導体と正反対の方向に向かう電気力線の密度の低下を抑えることが可能となり、電気力線と直交する形態で生成される磁力線密度の低下も抑えることができる。この状態における放射導体表面からの電波の生成は、オムニアンテナにおける状態に近づく。
【0057】
放射導体と接地導体との間の相互誘導すなわち相互インダクタンスを低く抑える方法には、放射導体と接地導体の距離を長くする方法があるが、本願においてはアンテナとしての厚みが増すこととなり望ましくない。本願においては、放射導体と接地導体の間の層間に透磁率の高い部分を設けることにより、放射導体から接地導体へ向かう電気力線の密度の高くなることを防ぐ。
【0058】
図3は、この方法を示すものであり、図3の(a)図は通常の誘電体を用いた場合の対向する2線路の磁力線と電気力線を示したものである。201は対向する2線路が載る誘電体基材であり、202は表層側の線路、203は裏面の線路、204で示される破線群は生成される電気力線、205で示される点線群は生成される磁力線を示している。
誘電体201の透磁率はほとんどゼロであるとすると、表層側の線路202と裏面の線路203の間の電気力線204は、表層側の線路202と裏面の線路203を通る信号が平衡すなわち差動の状態であるから、表層側の線路202と裏面の線路203の距離が近ければほとんどの電気力線204は誘電体201の中へと向かう。このため、表層側の線路202から裏面の線路203とは正反対の方向に向かう電気力線204の密度は非常に低くなり、電気力線204に直交する磁力線205の密度も低下する。この結果、この方向に進む電磁波は弱いものとなる。
【0059】
図3の(b)図は基材の透磁率を高くした場合を示したものである。211は対向する2線路が載る誘電体基材であり、212は表層側の線路、213は裏面の線路、214で示される破線群は生成される電気力線、215で示される点線群は生成される磁力線を示している。
誘電体211の透磁率が十分に高いとすると、表層側の線路212と裏面の線路213の間の磁力線205は基材211の表面ではこれに垂直に入り込む。この結果、磁力線215と垂直となる電気力線214は、基材の外側の空間においては線路212を中心とするほぼ同心円となる。この状態は、線路213もしくは214が単独で存在する場合のオムニアンテナの状態に極めて近いものとなる。この結果、表層側の線路212から裏面の線路213とは正反対の方向に向かう電気力線204の密度はほぼ均等となりオムニアンテナに近い状態を確保し、この方向に進む電磁波はオムニアンテナに近い指向性を保つものとなる。
【0060】
図4は、図3の(b)図を実現するための線路および基材の構造を示したものである。
【0061】
図4の(a)図においては、線路間の基材401は透磁性の高い材料を用いたものを示す。402は表層側線路を、403は裏面側線路を示す。基材401自体が透磁性を保有することで、図3の(b)図の効果が得られる。
【0062】
図4の(b)図においては、線路間の基材411は透磁性の高い材料414を線路間に挟んだ場合を示す。412は表層側線路を、413は裏面側線路を示す。基材401自体には透磁性が無いが材料414が透磁性を保有することで、図3の(b)図の効果が得られる。材料414を挟み込む位置は裏面側線路413との間とすることも可能である。
【0063】
図4の(c)図においては、線路間の基材421は透磁性の高い材料424を基材間に挟んだ場合を示す。422は表層側線路を、423は裏面側線路を示す。基材421自体には透磁性が無いが材料424が透磁性を保有することで、図3の(b)図の効果が得られる。材料424を挟み込む位置は基材421の中心部でなく偏らせることも可能である。
【0064】
図4の(d)図においては、線路間の基材431は透磁性の高い材料434で基材を包んだ場合を示す。432は表層側線路を、433は裏面側線路を示す。基材431自体には透磁性が無いが材料434が透磁性を保有することで、表層側線路432には図3の(b)図の効果が得られる。材料434の包み込みは一部に間隙を残すことも可能である。
【0065】
図4の(e)図においては、図4の(d)図に示した方法において、裏面側の線路443を基材441に埋め込んだ場合を示す。442は表層側線路を、443は裏面側線路を、444は透磁性の高い材料を示す。表層側線路442には図3の(b)図の効果が得られる。材料444の包み込みは一部に間隙を残すことも可能である。
【0066】
図4の(f)図においては、図4の(d)図に示した方法において、裏面側の線路453を透磁性の高い材料454に埋め込んだ場合を示す。441は基材を、442は表層側線路を、443は裏面側線路を示す。表層側線路452には図3の(b)図の効果が得られる。透磁性の高い材料454の包み込みは一部に間隙を残すことも可能である。
【0067】
以上から本願第1の実施方法によれば、放射導体表面から接地導体と正反対の方向すなわち図2中の矢印112、123、124の方向ににおいて、放射導体表面から接地導体に向かう電気力線の密度をほぼオムニアンテナにおける状態に維持できるとともに、電気力線の極性がすべての放射導体において同一となるため、放射指向性は図2の同相の電圧定在波119、120、121の如くに示すように各線路に垂直方向となると同時に鋭くなる。このようにして、アンテナ利得は通常、1素子で1dB前後の向上が図れるものである。
【0068】
図1において素子数は10となっているが1/2波長単位で扱うと9アンテナに相当する。
数値の背景について説明する。
【0069】
対象とする無線周波数を900MHzとする。この場合の波長λは
【0070】
【数7】

【0071】
となる。
【0072】
道路標識の標準的な大きさは直径が60cm程度であり、円形の外輪部上に重ねるとする。この場合の無線タグの円形配置アンテナ円は2cmほど内側に放射導体を配置すると、放射導体の載る円の直径は56cmとなる。このとき円周長は1.759(m)となる。
この円周長は上記の波長 の5.28倍となる。ここでアンテナ素子の隣接素子との間隙と無線タグ装着部の間隙、およびコリニアアンテナ最遠端の短絡部の処理部にそれぞれ数ミリメートルを充当すると、アンテナ素子群に充当される周長は波長 の4.5倍、すなわち1/2波長の9倍となる。第1の実施方法におけるアンテナ素子数9の根拠は以上による。
なお、接地導体からも電波放射がなされる可能性があるが、道路標識の素材である金属体により遮蔽される。他方、接地導体に他の金属体が近接すると高周波電流がリークして所望の回路インピーダンスを保持できなくなると同時に、1/2波長アンテナとして機能しなくなる。これらを防ぐために接地導体と道路標識の間には、電気力線の直進を防ぐために透磁性材料を挿入する。この透磁性材料は、接地導体とアンテナ全体を保持する支持体15との間もしくは支持体15と道路標識1との間に実装する。
【0073】
図1に示すようにアンテナ素子は円環上に配置されており、指向性は円環の軸方向に集中する。通常のコリニアアンテナが直線状に配置され直線と垂直方向には無指向性となるのに対して、本願の配置においては、道路標識の対象とする交通車両に対して指向性を定めることが容易となる。
【0074】
円環の配置の結果は、図1に示すように1/2波長アンテナ素子を10基用いた場合は、中心角40度の配置となる。このとき
水平方向には、
【0075】
【数8】

【0076】
垂直方向には、
【0077】
【数9】

【0078】
となり、アンテナ利得は垂直方向にも水平方向にも約7.5dBを期待できるものと考えられる。無線タグシステムの標準仕様における無線タグ側のアンテナ利得は0dBiとされていることを勘案すると、第1の実施方法ではダイポールアンテナを基本とするので、ダイポールアンテナの基本利得である2.14dBiが基準となり、dBiで示した場合には9.6dBiであるといえる。
【0079】
また、道路標識の素材が金属体である場合には、道路標識の表示の無い方向には遮蔽物となり電波放射が避けられることも、本願の無線タグならびにそのアンテナの形態の効果である。
【0080】
リーダ/ライタ側のアンテナ利得は6dBiが基準となっていることから、ダイポールアンテナとしては、約4dBの指向性利得を持つ条件下にあるといえる。すなわち、約143度の指向性を持つものに相当する。車両の走行時に必要な指向性は、運転者の座席からフロントガラスの持つ視野角で十分と考えられる。さらに対向車線上の道路標識からの電波は不要である。これにより指向性は約60度で十分と想定する。
これによりリーダ/ライタ側のアンテナ利得は7.7dBを保持できる。これにより、アンテナ利得は3.7dBの向上となり、無線タグ側と合わせると、13.3dBの向上となる。これは通信距離を4.6倍伸張させるものであり、すなわち23mの通信が可能となる値である。
【0081】
リーダ/ライタ側のアンテナ利得を7.7dB向上させる方法は、ダイポールアンテナの後方にリフレクタを施した八木アンテナとすることで可能となる。
【0082】
ところで、一般に道路標識の素材は金属質であるので、たとえば図3の(b)図の構造のアンテナを道路標識の表示部側の表面に装着したとすると、アンテナの裏面側の線路は道路標識の金属質部分の接地導体の効果を受けて線路インピーダンスが変化するとともに、電気力線に大きな変化が生じる。このために、この弊害を軽減するための方策を図5に示す。
【0083】
図5は、図4に示した線路および基材の構造の図(a)、図(b)、図(c)の場合についての道路標識が金属質である場合の対処の方策を示したものである。図5の図(a)、図(b)、図(c)はそれぞれ図4の図(a)、図(b)、図(c)に対応する。
【0084】
図5において505は道路標識の表示体を示し、506は透磁性を保有する材料を示す。図5の図(a)、図(b)、図(c)のすべてにおいて、裏面導体403、413、423と金属質の道路標識505との間には透磁性を保有する材料506が存在するので、図2の図(b)において示したような電気力線に対する効果が期待できるので、道路標識の金属質からの影響を軽減できる。
以上から、本願によれば、道路標識の意図する道路情報を、装着した無電源無線タグ手段を介して少なくとも20mの距離に近づいた車両に搭載された無線タグ・リーダーライタに伝送することが可能となる。
【0085】
本願は、道路標識に加え、道路工事における工事用パネルや規制用コーン、工事者の反射用防護ベルト、バスや路面電車の停留場、自転車の車輪円周部、車椅子の車輪円周部、歩行困難者の電動椅子、学童用のランドセルやバッグの外部周辺部、ウォーキングを夜間に行う場合などのウィンドブレーカー、視覚障害者の杖、盲導犬の背嚢、などへの適用が可能である。
【0086】
また、商用利用に展開することも可能であることは言及するまでもない。
車両側においては、受信した道路標識の情報や交通規制情報、ならびに安全運転上に必要となる情報を、音声もしくは文字や画像に変換して運転者に伝える。運転者がこれらの情報の中で、音声もしくは文字・画像の出力にする上で制限を加えることは可能である。
【実施例2】
【0087】
上記第一の実施の方法により構成される道路交通支援用通信システムにおいて、同一道路上に存在する複数台の車両などからのリーダー信号に対して、同道路上の同一の道路標識の無線タグに対して別個のタイミングでコマンドを送ると、無線タグの応答タイミングは特定の車両からのリーダー信号に対して合うものとなり、多くの車両に対しては応答しない状態となる。すなわち、多くの車両はこの道路標識の無線タグ信号を受信復号できないものとなる。
【0088】
そのため、本願では、車両間のリーダーのリーダー信号開始タイミングを同期させる。その方法を以下に示す。車両側のリーダー信号は、多くの場合に1ワット前後の強力な送信電力であるので、アンテナの指向性エリアの外にある隣接車両に対しても十分な受信電力で届く。車両に搭載のリーダーは、自らのリーダー信号を発射する前に、少なくとも1フレーム期間に相当する時間を、キャリアセンスに用いる。この間に他の車両からのリーダー信号が受信できた場合には、このリーダー信号に自らのリーダー信号を同期させる。これにより双方の通信のフレーム全体が同期状態となる。
【0089】
なお、同期機能が故障したリーダーが存在した場合には、正常なリーダー群すべてが機能低下を蒙る可能性がある。このため、同期状態が確立された後も、定期的に全リーダーがキャリアセンスを行い、同期の確立をやり直すものとする。
【実施例3】
【0090】
本願が用いる周波数帯は例えば900MHz帯であり、電波伝搬は反射もしくは回折によるものも十分に期待できる。逆にこのことが、進行方向の道路ではない道路上の道路標識の無線タグからの電波を受信することにもつながる。この結果、進行方向上にない道路標識情報があたかも進行方向上にあるとの誤った扱いをする可能性がある。この課題を解決するために本願は以下の方法を提供する。
【0091】
すなわち、道路標識の無線タグには設置の場所を示す情報たとえば緯度経度を持たせる。商用化された多くの車両用ナビゲーションシステムにはGPSシステムを利用するなどして位置情報を取得することが可能である。したがって道路標識の緯度経度情報が分かれば、その道路標識が進行方向上に存在するものかどうか判定できる。
【0092】
また、緯度経度でなくても、道路標識の無線タグに、その道路標識が対象とする道路の方角情報を持たせることで、車両が進行する方角と一致するか否かを判定することにより上記の課題は解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明における第一の実施の方法を示す概略説明図である。
【図2】本発明における第一の実施の方法の原理説明図である。
【図3】層間材の透磁率による磁力線と電気力線の差を示す説明図である。
【図4】透磁性の材料の配置を示す図である。
【図5】道路標識の金属質の場合への対処方法を示す図である。
【図6】従来例1を示す図である。
【図7】900MHz帯無線タグの答申書に示された標準的な回線設計条件を示す説明図である。
【符号の説明】
【0094】
1 対象とする道路標識の基板
2 道路標識の意図する文字もしくは図形による標識情報
3 道路標識を道路に設置するための支持体
4 無線タグの本体部
5 第1のアンテナ素子
6 第2のアンテナ素子
7 第3のアンテナ素子
8 第4のアンテナ素子
9 第5のアンテナ素子
10 第6のアンテナ素子
11 第7のアンテナ素子
12 第8のアンテナ素子
13 第9のアンテナ素子
14 第10のアンテナ素子
15 これらのアンテナ素子全体を支える基板
16 透磁性材料等を含む基板
17 第1のアンテナ素子5の放射用線路
18 第2のアンテナ素子6の放射用線路
19 第3のアンテナ素子7の放射用線路
20 第4のアンテナ素子8の放射用線路
21 第5のアンテナ素子9の放射用線路
22 第6のアンテナ素子10の放射用線路
23 第7のアンテナ素子11の放射用線路
24 第8のアンテナ素子12の放射用線路
25 第9のアンテナ素子13の放射用線路
26 第10のアンテナ素子14の放射用線路
27 無線タグ本体部4を実装するために基板
28 第1のアンテナ素子5と第2のアンテナ素子6との間隙
29 第2のアンテナ素子6と第3のアンテナ素子7との間隙
30 第3のアンテナ素子7と第4のアンテナ素子8との間隙
31 第4のアンテナ素子8と第5のアンテナ素子9との間隙
32 第6のアンテナ素子10と第7のアンテナ素子11との間隙
33 第7のアンテナ素子11と第8のアンテナ素子12との間隙
34 第8のアンテナ素子12と第9のアンテナ素子13との間隙
35 第9のアンテナ素子13と第10のアンテナ素子14との間隙
101 給電線の中心導体
102 給電線が外被導体
103 アンテナの放射線路との接続線
104 アンテナ接地導体との接続線
105 第1のアンテナの放射導体
106 第1のアンテナの接地導体
107 第1のアンテナの誘電材料からなる構造基板
108 第1のアンテナの放射導体と第2のアンテナの接地導体との接続線
109 第1のアンテナの接地導体と第2のアンテナの放射導体との接続線
110 第2のアンテナの放射導体
111 第2のアンテナの接地導体
112 第2のアンテナの誘電材料からなる構造基板
113 第2のアンテナの放射導体と第3のアンテナの接地導体との接続線
114 第2のアンテナの接地導体と第3のアンテナの放射導体との接続線
115 第3のアンテナの放射導体
116 第3のアンテナの接地導体
117 第3のアンテナの誘電材料からなる構造基板
118 第3のアンテナの放射導体の遠点を第3のアンテナの接地導体に短絡接続する接続線
201 対向する2線路が載る誘電体基材
202 表層側の線路
203 裏面の線路
204 破線群は生成される電気力線
205 点線群は生成される磁力線
211 対向する2線路が載る誘電体基材
212 表層側の線路
213 裏面の線路
214 破線群は生成される電気力線
215 点線群は生成される磁力線
401 線路間の基材
402 表層側線路
403 裏面側線路
411 線路間の基材
412 表層側線路
413 裏面側線路
414 透磁性の高い材料
421 線路間の基材
422 表層側線路
423 裏面側線路
424 透磁性の高い材料
431 線路間の基材
432 表層側線路
433 裏面側線路
434 透磁性の高い材料
443 裏面側の線路
441 基材
442 表層側線路
443 裏面側線路
444 透磁性の高い材料
505 道路標識の表示体
506 透磁性を保有する材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ平面の基板の表裏に平衡線路を形成する場合に基板の一方または両面の表層部分を透磁性材料とした平衡線路構造体により構成したN段のコリニア型アンテナと、該アンテナを周近傍に配置した道路標識などの標識と、該アンテナを用いて作動する無線タグと、車両側に搭載された無線タグリーダーから構成することにより、該標識へ進行する該車両など交通体へ指向性ならびにアンテナ利得を確立したことを特徴とする無線タグシステムによる道路交通支援用通信方式。
【請求項2】
上記請求項1において透磁性材料を基板の内層部に形成したことを特徴とする道路交通支援用通信方式。
【請求項3】
上記請求項1において透磁性材料を基板を包み込む形態で形成したことを特徴とする道路交通支援用通信方式。
【請求項4】
上記請求項3において平衡線路の一方を透磁性材料の内側に配置したことを特徴とする道路交通支援用通信方式。
【請求項5】
上記請求項1乃至3において標識機材が金属質であるか導電性を持つ素材である場合にコリニア型アンテナと標識機材の間に透磁性材料を挿入することを特徴とする道路交通支援用通信方式。
【請求項6】
上記請求項1乃至5の方式により実装された道路交通支援用通信システム。
【請求項7】
リーダー側が自らのリーダー信号の発射を開始する前に、少なくとも1フレーム期間に相当する時間を、キャリアセンスに用い、この間に他のリーダーからのリーダー信号が受信できた場合には、このリーダー信号に自らのリーダー信号を同期させることを特徴とする上記請求項1乃至5の方式により実装された道路交通支援用通信方式もしくはシステム。
【請求項8】
リーダー信号に同期状態が確立された後も、定期的に全リーダーがキャリアセンスを行い、同期の確立をやり直すことを特徴とする上記請求項7の道路交通支援用通信方式もしくはシステム。
【請求項9】
道路標識に装着する無線タグに、その道路標識が位置する緯度経度情報を持つことと、リーダーを装着する車両側において前記緯度経度情報により定まる道路標識の位置が進行する方位上もしくは近傍に有るか無いかを判定する機能と、この機能の出力によりこの道路標識の情報を運転者に伝えるか否かを決定する機能とを保持することを特徴とする上記請求項1乃至8の方式により実装された道路交通支援用通信方式もしくはシステム。
【請求項10】
道路標識に装着する無線タグに、その道路標識が対象とする運行車両の進行の方角情報を持つことと、リーダーを装着する車両側において前記方角情報により定まる道路標識の位置が進行する方位上もしくは近傍に有るか無いかを判定する機能と、この機能の出力によりこの道路標識の情報を運転者に伝えるか否かを決定する機能とを保持することを特徴とする上記請求項1乃至8の方式により実装された道路交通支援用通信方式もしくはシステム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−299165(P2007−299165A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126013(P2006−126013)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(506148578)株式会社YRP事業開発研究所 (1)
【Fターム(参考)】